(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金属製インサート材は内側空間を有して屈曲した形状の帯状金属板からなり、両端部に夫々形成され前記第1の棒状材が密嵌される第1の孔及び第2の孔と、前記両端部から頂部に向けて配置され、前記第2の棒状材が遊嵌される一対の長孔とが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の食品搬送用コンベア装置。
前記歯形部は、前記連結具の両端部の一方に形成され、前記棒状材で形成される搬送ベルトの外側に向けて形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品搬送用コンベア装置。
前記搬送機構が、前記2本の回転軸に固定された複数のスプロケットで前記螺旋状上昇路及び前記螺旋状下降路に均等に搬送力を付与するように構成したことを特徴とする請求項10に記載の食品搬送用コンベア装置。
【背景技術】
【0002】
従来、食品の加熱、乾燥、冷凍等の処理をする手段として、冷凍庫内に螺旋状無端コンベアを配置し、食品等を螺旋状無端コンベアで搬送しながら冷凍処理する手段が採用されている。螺旋状無端コンベアを用いることにより、コンベア設置面積の省スペース化を達成できると共に、冷凍庫への被冷凍品の出し入れ作業を軽減し、省力化を達成できる利点がある。特許文献1に、かかるコンベア装置の一例が開示されている。以下、このコンベア装置の概略を
図21で説明する。
【0003】
図21において、螺旋状無端コンベア装置200は、複数本の支柱202で囲まれた領域に、螺旋状無端コンベアベルト204が上下方向に配置されている。螺旋状無端コンベアベルト204の入口付近に電動機206が設けられ、螺旋状無端コンベアベルト204の内側領域に補助伝動装置208が設けられている。補助伝動装置208は、電動機206によってギア210を介して回転駆動される。補助伝動装置208を構成する複数の支柱212は、回転して螺旋状無端コンベアベルト204に移動する力を付与する。
【0004】
螺旋状無端コンベアベルト204は、入口路204Aと、支柱202の内側領域に配置された螺旋状上昇路204Bと、最上部に設けられた折返し路204Cと、螺旋状下降路204Dと、出口路204Eとから構成されている。螺旋状上昇路204Bの最上部は、折返し路204Cを介して螺旋状下降路204Dの最上部に接続されている。折返し路204Cで搬送面の逆転はなく、常に同一搬送面を上にしながら折り返す。螺旋状上昇路204Bと螺旋状下降路204Dとは上下方向で交互に配置され、互いに逆方向へ移動する。
【0005】
特許文献2及び特許文献3には、コンベア装置を構成するコンベアベルトの構成が開示されている。特許文献2の
図6には、コンベアベルトの外側部位に等間隔に配置されたインボリュート形の歯形部と、この歯形部に噛合する歯付き車輪とを備え、この歯付き車輪でコンベアベルトを駆動する構成が開示されている。
また、特許文献3には、コンベアベルトの両側部位に水平方向に開口するU字形断面の被支持部と、該被支持部に遊嵌する案内レールとを設け、該案内レールよってコンベアベルトを移動可能に支持する構成が開示されている。さらに、特許文献2及び3には、コンベアベルト搬送面から上方へ突出し、被搬送品の脱落を防止する落下防止板が、搬送ベルトを構成する隣り合う2本のバーに嵌合固定された構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に開示された歯形部及びこの歯形部に噛合する歯付き車輪は、通常ステンレス鋼等の金属で構成されている。そのため、この噛合部で発生する摩擦により金属粉が発生し、この金属粉が食品等の被搬送品の品質に悪影響を及ぼすおそれがある。また、特許文献3に開示されたU字形断面の被支持部では、冷凍庫等の低温環境下に配置された場合、該被支持部の材質とこれを支持する案内レールを構成する材質との線膨張係数の違いから、案内レールが被支持部の内側へはみ出る現象が発生する場合も考えられる。
【0008】
また、被支持部と案内レールとの線膨張係数の違いから、被支持部と案内レール間の面圧が高くなり、そのため、駆動トルクが上昇し、かつ被支持部と案内レール間の摺接面の摩耗が増大するという問題がある。さらに、案内レールがU字形断面を有する被支持部の内部に挿入されているため、コンベアベルトに弛みが発生しても、この弛みを除去する作業が容易でないという問題がある。
【0009】
また、特許文献2及び3に開示された落下防止板は、1個の落下防止板がコンベアベルトを構成する2本のバーに嵌合固定されているため、隣り合うバー同士の相対位置が拘束される。そのため、コンベアベルトの曲がり部で、コンベアベルトがきめ細かな曲線形状を形成できないという問題がある。また、落下防止板は2本のバーとの嵌合固定部を形成するため、構造が複雑化し、製造費が高コストになるという問題がある。
【0010】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、金属粉の発生を防止すると共に、低温環境下でも、搬送ベルトと案内レール間の摺接部の面圧上昇や摩耗の増大を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、閉空間内に上下方向に配置された螺旋状搬送ベルトで食品を搬送しながら該食品の処理を行う食品搬送用コンベア装置であって、並列に並べられて搬送ベルトを形成する多数の棒状材と、該棒状材の両端に固定され前記棒状材を連結する連結具と、前記棒状材で構成された搬送ベルトを滑動可能に支持する案内レールと、前記連結具に形成された歯形部と噛合するスプロケットとを有する食品搬送用コンベア装置に適用される。
【0012】
そして、前記目的を達成するため、前記連結具は、金属製インサート材と該金属製インサート材を内蔵した耐摩耗性樹脂体とで構成され、内側空間を有して屈曲した形状を有すると共に、両端部が第1の棒状材に結合され、該第1の棒状材と隣り合う第2の棒状材が遊嵌される一対の長孔を有している。また、前記耐摩耗性樹脂体が歯形部及び案内レール上を滑動する滑動面を構成すると共に、歯形部と噛合するスプロケットの噛合部が耐摩耗性樹脂体で構成されている。
【0013】
前記構成において、搬送ベルトは案内レールによって下方から支持される。また、各棒状材の両端に設けられた個々の連結具が隣り合う2本の棒状材を拘束することで、多数の棒状材を並列な位置に拘束した搬送ベルトを形成できる。また、逆に、棒状材を介して連結具同士が搬送路に沿って順々に連結される。第2の棒状材は長孔内で搬送方向に移動できるので、隣り合う棒状材間の搬送方向の相対変位が調整可能になっている。そのため、棒状材の両端で間隔を変えることで、搬送ベルトの曲がりを可能にする。また、スプロケットにより連結具を搬送方向に移動させる駆動力が付与され、連結具が案内レールに支持されながら案内レール上を滑動することで、搬送ベルトは搬送方向に移動する。
【0014】
連結具は金属製インサート材が内蔵された耐摩耗性樹脂体で構成されているので、棒状材を拘束する強度を十分保持しながら軽量化できる。これによって、コンベア装置全体の重量を軽減できる。また、連結具の歯形部、案内レール上を滑動する滑動面及び歯形部と噛合するスプロケットの噛合部が耐摩耗性樹脂体で構成されているので、滑動面及び噛合部での摩耗や摩耗粉の発生を抑制できる。そのため、食品の品質に悪影響を及ぼすおそれがなくなる。
【0015】
本発明で用いられる耐摩耗性樹脂は、例えば、所謂エンジニアリングプラスチック(エンプラ)と称される超高分子系のポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テフロン(登録商標)で代表されるフッソ系樹脂、あるいはナイロン系樹脂等である。
【0016】
また、連結具は滑動面を介して案内レール上を滑動するものであり、特許文献3の被支持部のようにレールを囲む構成ではない。そのため、低温環境下でも案内レール間の面圧上昇や摩耗の増大を防止できると共に、搬送ベルトのたるみの修正が容易になる。
また、本発明では、隣り合う2本の棒状材の搬送方向の相対位置が固定されないので、搬送ベルトの曲がり部で、棒状材がきめ細かな曲線形状を形成できる。従って、搬送路の設計自由度を広げることができると共に、連結具に滑動面を形成しているので、該滑動面を形成するための特別な部材を必要としない。そのため、搬送ベルトの構成部材を簡素化でき、その製造費を低コスト化できる。また、連結具が2つ折りに形成され、第1の棒状材を両端部2箇所で支持するので、連結具の強度を増大できる。
【0017】
本発明の一実施態様は、金属製インサート材は内側空間を有して屈曲した形状の帯状金属板からなり、両端部に夫々形成され第1の棒状材が挿入される第1の孔及び第2の孔と、両端部から頂部に向けて配置され、第1の棒状材が遊嵌された一対の長孔とが形成されている。かかる構成では、棒状材と接触し棒状材を支持又は固定する部位に、高強度の金属製インサート材が配置されるので、連結具の強度を増大できると共に、棒状材の支持強度を増大できる。
【0018】
本発明の一実施態様は、歯形部は連結具の両端部の一方に形成され、棒状材で形成される搬送ベルトの外側に向けて形成されている。
これによって、搬送ベルトの側方に隣接配置されたスプロケットとの噛合が容易になる。また、歯形部は棒状材と結合された連結具の両端部に形成されているため、大きな強度を有することができる。
【0019】
本発明の一実施態様として、連結具を構成する耐摩耗性樹脂体は、前記滑動面の外側で案内レール側に突出したガイド部を有すると共に、このガイド部は、案内レールの側面に摺接するガイド面を有している。
このように、連結具は滑動面の外側にガイド面を有しているので、搬送ベルトが案内レールから脱落するのを防止できる。また、この実施形態では、連結具は滑動面及びガイド面のみで案内レールに摺接し、特許文献3の被支持部のようにレールを囲む構成ではない。そのため、低温環境下でも案内レール間の面圧上昇や摩耗の増大を防止できると共に、搬送ベルトのたるみの修正が容易になる。
【0020】
本発明の一実施態様において、案内レールの上端は耐摩耗性樹脂製のカバーで被覆され、この耐摩耗性樹脂製のカバーが連結具の滑動面及びガイド面に摺接している。
これによって、連結具と案内レールとの間に形成される摺接面の摩耗や摩耗粉の発生を抑制し、摩耗粉が搬送される食品に及ぼす悪影響を排除できる。
【0021】
本発明の一実施態様として、前記滑動面は、前記棒状材に対し上下対称に前記案内レールの延在方向に沿って設けられる一対の平坦面であり、前記ガイド面は棒状材に対し上下対称に配置された一対のガイド面で構成されている。
搬送ベルトが無端搬送路を構成するとき、無端搬送ベルトはリターン路で反転され、搬送始端部に戻る。この場合、リターン路以外の無端搬送路で、連結具は一対の滑動面のうち下方に配置された滑動面を介して案内レールに支持され、かつ一対のガイド面のうち下方に配置されたガイド面を介して案内レールにガイドされる。
【0022】
一方、無端搬送ベルトが反転するリターン路では、連結具は、一対の滑動面のうち上方に配置された滑動面を介して案内レールに支持され、一対のガイド面のうち上方に配置されたガイド面を介して案内レールにガイドされる。このように、搬送ベルトが反転するリターン路においても、搬送ベルトを案内レールで安定して支持でき、かつ案内レールから脱落させることなくガイドすることができる。
【0023】
本発明の一実施態様として、連結具は両端部から頂部に向かってくさび状に徐々に拡幅となる形状を有し、連結具の内側空間に隣り合う連結具の頂部が進入可能に構成されている。
これによって、連結具の内側空間に隣り合う連結具の頂部が進入しやすくなり、1個の連結具によって拘束される第1の棒状材及び第2の棒状材の搬送方向の相対変位が容易になる。そのため、搬送路が形成する曲線の自由度を広げることができる。
【0024】
本発明の一実施態様において、連結具は頂部が平行な外側面を有する第1の平行部位を有すると共に、頂部を除く両端側部位が第1の平行部位より拡幅の第2の平行部位を有している。そして、第2の平行部位は平行な内側面を有し第1の平行部位が進入可能な内側空間を形成している。
これによって、隣り合う一方の連結具の内部空間に他方の連結具が進入するとき、両連結具間で棒状材の長手軸方向の隙間が発生せず、両連結具の搬送方向の相対変位を円滑に行うことができる。そのため、搬送動作が滑らかに行われるので、搬送路の曲がりが容易になり、搬送路の設計自由度を広げることができると共に、搬送ベルトの搬送方向位置で搬送速度にばらつきが生じるノッキング現象を防止できる。
【0025】
本発明の一実施態様として、金属製インサート材は、両端部の少なくとも一方で頂部に向かって折り返す折返し部を有し、この折返し部は第1の棒状材が密嵌される第3の孔を有している。これによって、連結具の強度を増大でき、特に、棒状材と連結具との結合強度を増大できる。
【0026】
本発明の一実施態様として、前記螺旋状搬送ベルトは該螺旋状搬送ベルトの終端で搬送ベルトが反転して該螺旋状搬送ベルトの始端に戻るリターン路を有する無端搬送ベルトで構成されると共に、案内レールは無端搬送ベルトの全長に亘って設けられ、さらに、無端搬送ベルトの経路に設けられ、前記無端搬送ベルトの張力を調整する張力調整機構と、スプロケット及び該スプロケットの駆動装置を備えた搬送機構とを備えている。
【0027】
これによって、無端搬送ベルトのたるみは、前記張力調整機構で調整できる。ガイド部と案内レール間の面圧や摩擦力が上昇すると、面圧や摩擦力が周期的に変動し、搬送速度にばらつきが生じるノッキング現象が発生し、搬送ベルトの円滑な移動が妨げられる。本発明ではかかるノッキング現象を防止できる。
また、リターン路においても案内レールによって支持されるので、リターン路における搬送ベルトのたるみを防止できる。
【0028】
本発明の一実施態様において、無端搬送ベルトは、水平方向に配置された入口路と、下端部で該入口路に連結され、搬送方向下流側に向かって螺旋状に上昇する螺旋状上昇路と、記螺旋状上昇路の最上部から折り返す折返し路と、該折返し路で連結され、螺旋状上昇路の間に1段毎に交互に配置されて螺旋状に下降する螺旋状下降路と、該螺旋状下降路の最下部に連結され、水平方向に配置された出口路と、該出口路の端で出口路の下方へ折返し、前記入口路の端に連なるリターン路とで構成されている。
【0029】
このように、螺旋状上昇路及び螺旋状下降路が1段毎に交互に配置されることで、省スペース化できると共に、食品が下部から搬入され、下部から搬出されるため、食品の螺旋状搬送ベルトへの載置及び取出しが容易になり、処理を省力化及び効率化できる。
【0030】
本発明の一実施形態において、前記閉空間は冷凍庫の内部空間であり、前記搬送機構は搬送ベルトを搬送方向へ移動させるものであり、前記搬送機構を収納した縦長状のハウジングを具え、該ハウジングに前記搬送ベルトに駆動力を伝達する回転軸を収納し、前記ハウジングの内部に上下方向に並列に配置された2本の回転軸の上端を前記冷凍庫外の常温域まで突出させて、該常温域で前記ハウジングの天井壁に支持された複数のスラスト軸受で支承させて、前記スラスト軸受を前記常温域に配置するとともに、前記2本の回転軸は、前記ハウジングの内部に上下方向に複数配置された中間軸受によって水平方向位置を固定されてなる。
上記構成によれば、前記二本の回転軸を支承するスラスト軸受の耐用年数を大幅に向上できる。
【0031】
本発明の一実施形態において、前記搬送機構が、前記2本の回転軸に固定された複数のスプロケットで前記螺旋状上昇路及び前記螺旋状下降路に均等に搬送力を付与するように構成する。
これによって、無端搬送路を均等に移動でき、たるみの発生を抑制できる。
【0032】
本発明の一実施形態において、前記搬送機構は1個の駆動モータで駆動可能に構成されている。これによって、搬送機構の構成を簡素化かつ低コスト化できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、コンベア装置を構成する構成機器の摺接面で金属粉の発生を防止し、搬送ベルトで搬送される食品への悪影響を抑制できると共に、冷凍庫等の低温環境下に適用された場合でも、搬送ベルトと案内レールとの間の摺接面の面圧上昇や摩耗の増大を防止できる。また、搬送ベルトのたるみの修正が容易になり、かつ搬送ベルトの曲がり部で、きめ細かな曲線形状を形成可能となり、搬送ベルトによって形成される曲線の設計の自由度を広げることができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0036】
(実施形態1)
冷凍庫内に配置され、食品を冷凍処理するコンベア装置に適用した本発明の第1実施形態を
図1〜
図11に基づいて説明する。
図1において、入口開口10a及び出口開口10bを除き密閉構造の冷凍庫10が設けられ、冷凍庫10の内部にコンベア装置12Aが設けられている。
【0037】
コンベア装置12Aに設けられた無端搬送路14は、入口開口10aから冷凍庫10の内部に進入する入口路14Aと、入口路14Aから螺旋状に上昇する螺旋状上昇路14Bと、螺旋状上昇路14Bの最上段から折返す折返し路14Cと、折返し路14Cから螺旋状に下降し、螺旋状上昇路14Bと1段毎に交互に配置された螺旋状下降路14Dと、最下段の螺旋状下降路14Dから出口開口10bを介して冷凍庫10の外部に延設された出口路14Eと、出口路14Eの端でガイドスプロケット16によって反転し、その後ガイドローラ18で再反転して入口路14Aに連なるリターン路14Fとから構成されている。螺旋状上昇路14Bと螺旋状下降路14Dとは互いに逆方向へ移動する。折返し路14Cは常に同一搬送面を上にした状態で折り返されている。
【0038】
図2に示すように、ガイドスプロケット16に駆動モータ16aが設けられ、出口開口10bが形成された冷凍庫10の側壁10cの外側に、無端搬送路14の張力を調整する張力調整機構20が設けられている。この張力調整機構20は、リターン路14Fに面して、一対のガイドスプロケット22、22と、テンションローラ24とが設けられている。テンションローラ24は、テンションウエイト26によって上下方向に移動可能に設けられ、テンションローラ24の移動によって無端搬送路14の張力を調整できる。テンションローラ24の出口側部位にリターン路14Fの張力を検出する張力検出センサ28が設けられている。
【0039】
張力検出センサ28は、例えば、非接触式のものでもよく、あるいはテンションローラ24に負荷される反力を検出し、この検出値からリターン路14Fの張力を算出する方式のものでもよい。張力検出センサ28の検出値は制御装置30(
図11参照)に入力される。
図3は、入口開口10aから冷凍庫10の外側に突設された入口路14Aを示している。ここで食品が搬送ベルトに載せられる。
【0040】
冷凍庫10の内部で螺旋状搬送路を構成する搬送ベルトに隣接して、該搬送ベルトを搬送方向へ移動させる搬送機構32と、搬送機構32を収容した縦長のハウジング34とが立設されている。以下、搬送機構32の構成を
図4に基づいて説明する。
【0041】
図4において、ハウジング34の上部は冷凍庫10の天井壁10dを貫通して庫外に突出している。ハウジング34の頂面には駆動モータ36及び減速機38が設けられている。ハウジング34の内部に2本の回転軸40及び42が上下方向に並列に配置されている。回転軸40、42の上端は庫外の常温域まで突出し、天井壁10dに支持されたスラスト軸受44及び46で支承されている。また、回転軸40、42は、ハウジング34に固定され、上下方向に複数配置された中間軸受47によって水平方向位置を固定されている。回転軸40、42には、入口路14A、螺旋状上昇路14B、螺旋状下降路14D、出口路14E及びリターン路14Fの高さに対応した位置に夫々複数のスプロケット48、50が装着されている。スラスト軸受44、46を庫外の常温域に配置することで、スラスト軸受44、46の耐用年数を大幅に向上できる。
【0042】
各スプロケット48、50は、搬送ベルトを構成する後述する連結具62の歯形部72d(
図6参照)と噛合し、無端搬送路14を構成する搬送ベルトを搬送方向へ移動させる。回転軸40、42の上端部位には平歯車51、52が固定され、平歯車51、52に対面したハウジング34の内壁に、通過する平歯車51、52の歯数を計測する歯数計測センサ54、56が設けられている。平歯車51及び52が互いに噛合し、駆動モータ36によって回転軸40及び42は互いに逆方向へ回転する。スプロケット48は入口路14A及び螺旋状上昇路14Bに設けられた歯形部72dと噛合し、スプロケット50は螺旋状下降路14D及びリターン路14Fに設けられた歯形部72dと噛合する。入口路14Aとリターン路14F、及び螺旋状上昇路14Bと螺旋状下降路14Dとは互いに逆方向へ移動する。
【0043】
また、折返し路14C及び出口路14Eの出口端に、トルクモータ58a及びトルクモータ58aによって駆動されるスプロケット58bを有する張力調整装置58が設けられている。これらの張力調整装置58は、無端搬送路14の移動速度より若干速い速度でスプロケット58bを回転させ、設置場所の無端搬送路14のたるみを解消している。
【0044】
図5〜
図7は、螺旋状上昇路14B及び螺旋状下降路14Dの一部を示し、上下方向に螺旋状に配置された螺旋状搬送ベルト15a、15b、15c及び15dが図示されている。
図6に示すように、螺旋状搬送ベルト15a〜15dは、水平方向に配置された多数の丸棒60で構成されている。個々の丸棒60の両端には連結具62が取り付けられ、丸棒60は連結具62を介して所定間隔に連結されている。
【0045】
図8〜
図10は連結具62の拡大図である。連結具62は、ステンレス鋼からなるインサート材64と、インサート材64を内蔵する耐摩耗性樹脂体72とで構成されている。
図10に示すように、インサート材64は、帯状のステンレス鋼板が内側空間s有して屈曲し、頂部64aから両端部に向かってくさび状に徐々に拡幅となるように加工されている。インサート材64は平坦な頂部64aと、頂部64aの両側に形成された傾斜部64b及び64cと、傾斜部64bに連なる底部64dと、傾斜部64cに連なる底部64eとを形成している。これによって、中央部から両端部向けて内側空間sが徐々に広がった内側面を形成している。
【0046】
頂部64a寄りの傾斜部64b及び64cに、互いに対面する長孔66a及び66bが穿設され、底部64d、64eに、孔70a、70b及び70cが穿設されている。長孔66a、66bの長辺68a、68bは搬送方向に向けられ、孔70a、70b及び70cは、1本の丸棒60が挿入可能なように一直線上に配置されている。
【0047】
図8及び
図9に示す耐摩耗性樹脂体72は、射出成形機を用い、インサート材64を覆うように射出成形される。従って、耐摩耗性樹脂体72の本体部位はインサート材64と同様に、頂部72aから両端部に向けて内側空間sが拡大するように徐々に広がった内側面を形成した形状となる。
耐摩耗性樹脂体72の材質は、前述のように、例えば、所謂エンジニアリングプラスチック(エンプラ)と称される超高分子系のポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テフロン(登録商標)で代表されるフッソ系樹脂、あるいはナイロン系樹脂等が用いられる。
【0048】
耐摩耗性樹脂体72は、平坦な頂部72aと、頂部72aの両側に形成された傾斜部72b及び72cと、傾斜部72bの端部に一体形成された歯形部72dと、傾斜部72bと歯形部72dとの間に形成されたガイド部72e及び72fとを構成している。歯形部72dは螺旋状搬送ベルト15a〜15dの外側に配置されている。傾斜部72b及び72cには、インサート材64の長孔66a、66bに重なる位置に、該長孔と同一形状の長孔74a及び74bが形成されている。
【0049】
また、インサート材64の孔70a及び70bに重なる位置に、丸孔76a及び76bが形成されている。丸孔76a、76b及び70cに1本の丸棒60が密嵌されている。長孔66a、66bには該丸棒60と隣り合う丸棒60が挿入され、この丸棒60は、長孔66a、66bの内部で長辺68a、68bの方向に移動可能である。
これによって、1個の連結具62に隣り合う2本の丸棒60が拘束され、かつこれら2本の丸棒60は搬送ベルトの搬送方向の相対変位が可能である。
【0050】
傾斜部72bの上面及び下面には、無端搬送路14に沿って設けられた案内レール82と摺接する滑動面78a及び78bが形成されている。ガイド部72e及び72fには、案内レール82の側面と摺接するガイド面80a及び80bが上下方向に形成されている。歯形部72dは、スプロケット48、50と噛合し、螺旋状搬送ベルト15a〜15dを移動させる。
【0051】
滑動面78aと滑動面78bとは、丸棒60に対し上下対称に配置され、ガイド面80aとガイド面80bとは、丸棒60に対し上下対称に配置されている。これによって、リターン路14F以外の無端搬送路14では、連結具62は、滑動面78bを介して案内レール82によって滑動可能に支持されると共に、ガイド面80bを介して案内レール82によってガイドされる。搬送ベルトが反転されるリターン路14Fでは、連結具62は、滑動面78aを介して案内レール82によって滑動可能に支持されると共に、ガイド面80aを介して案内レール82によってガイドされる。そのため、リターン路14Fを含む無端搬送路14の全域に亘り、連結具62は案内レール82によってガイドされる。
【0052】
案内レール82は一部の領域(例えば、ガイドスプロケット22、22及びテンションローラ24を含む張力調整機構20の配置領域)を除き、無端搬送路14のほぼ全領域に設けられている。滑動面78a、78bは水平方向の平坦面を形成し、滑動面78bは、リターン路14Fを除き案内レール82の上端面と摺接し、案内レール82上を滑動する。リターン路14Fでは、搬送ベルトが上下に反転するため、滑動面78aが案内レール82の上端面と摺接する。案内レール82の側面はガイド部72e、72fのガイド面80a、80bに摺接する。そのため、ガイド部72e、72fによって、螺旋状搬送ベルト15a〜15dが案内レール82から脱線するのを防止できる。
図8中の矢印(破線)は、連結具62の動きに対する案内レール82の相対的な移動方向を示している。
【0053】
図5及び
図7に示すように、案内レール82は、ステンレス鋼等の金属で構成され、連結具62の滑動面78bの下方に位置するように配置されている。螺旋状搬送ベルト15a〜15dは案内レール82によって搬送方向に移動可能に支持されている。案内レール82は、螺旋状搬送ベルト15a〜15dの両側に配置された支持構造体84によって支持されている。支持構造体84は、ステンレス鋼等の金属で構成され、案内レール82とボルト86で結合される支持板84aと、支持板84aに対して直交する方向に一体形成された4本のアーム84bと、これらアーム84bが上下方向に等間隔に一体形成された基部84cとで構成されている。
【0054】
螺旋状搬送ベルト15a〜15dの両側に適宜間隔で支柱88が適宜間隔で立設され、支持構造体84の基部84cは支柱88にボルト結合されている。案内レール82にボルト86で支持板84aと共に落下防止板90が結合されている。落下防止板90は、案内レール82の直下に配置され、搬送ベルトの上方区間と、その外側空間との冷気の流通を確保するため、搬送方向に沿って案内レール82の全長ではなく、部分的に配置されている。落下防止板90は、下方に配置された搬送ベルトの連結具62のガイド面80aの内側に垂下され、搬送ベルト上の食品が搬送ベルトの外側に落下するのを防止している。また、落下防止板90は、下方の連結具62のガイド部72eを内側からガイドするので、下方の搬送ベルトが脱線するのを防止する機能もある。
【0055】
案内レール82と支持板84a、基部84cと支柱88、及び支持板84aと落下防止板90とは、夫々長孔を介してボルト結合され、互いに水平方向又は上下方向に相対位置を微小調整可能になっている。滑動面78a、78bと摺接する案内レール82の上端は、前述の耐摩耗性樹脂からなるU字形のカバー92で被覆されている。
【0056】
図1に示すように、入口路14Aの下方には、通過する連結具62の歯形部72dの数を計測する計数センサ94が設けられている。
図11は、コンベア装置12の制御系を示している。制御装置30には、張力検出センサ28、歯数計測センサ54、56及び計数センサ94の検出値が入力される。制御装置30では、これらの検出値に基づいて、駆動モータ16a、駆動モータ36及び張力調整装置58等の稼働を制御する。
【0057】
かかる構成において、冷凍庫10の内部は例えば−35℃等の極低温雰囲気に保持されている。コンベア装置12は、搬送ベルトに食品を載せ、極低温雰囲気中で食品を搬送することで、食品を冷凍する。個々の丸棒60は隣り合う連結具62のうち、隣り合う一方の連結具62の丸孔70a〜70cと、他方の連結具62の長孔66a、66bとに同時に挿入されている。これによって、丸棒同士は連結具62によって互いの間隔を拘束され、並列に配置されて搬送ベルトを形成する。逆に、連結具同士は丸棒60によって搬送方向に向けて連続的に連結される。長孔66a、66bに挿入された丸棒60は搬送方向に移動できるので、丸棒60間の間隔を調整できる。
【0058】
一方、張力検出センサ28の検出値が制御装置30に入力され、制御装置30は、無端搬送路14に付加される張力が異常値とならないように、駆動モータ16a及び張力調整装置58の作動を制御する。また、歯数計測センサ54、56及び計数センサ94の検出値が制御装置30に入力され、制御装置30によって無端搬送路14の走行状態を監視する。
【0059】
本実施形態によれば、連結具62は、ステンレス鋼製のインサート材64を内蔵した耐摩耗性樹脂体72で構成されているので、丸棒60を拘束する強度増大と軽量化とを同時に達成できる。歯形部72dはスプロケット48、50と噛合し、螺旋状搬送ベルト15a〜15dを移動させる。滑動面78a、78b、ガイド面80a、80b、歯形部72d及びスプロケット48、50は、共に耐摩耗性樹脂で構成されているので、摩耗や摩耗粉の発生を抑制できる。そのため、搬送される食品に対する衛生環境を良好に保持できる。
【0060】
連結具62は、1個の連結具62の両端部で1本の丸棒60を支持するため、丸棒60に対する支持強度を増大できる。丸棒60が挿入される長孔74a、74b及び孔76a、76bを形成する部位は大きな支持強度を必要とする。これらの部位をインサート材64と耐摩耗性樹脂体72とで構成しているので、大きな支持強度を得ることができる。また、インサート材64の孔70a〜70cで丸棒60を密嵌しているので、丸棒60に対する連結具62の取付け強度を増大できる。
【0061】
また、案内レール82に対する摺接面は、滑動面78a、78b及びガイド面80a、80bのみで構成され、特許文献3の被支持部のように案内レール82を囲む構成ではないので、たるみの調整が容易になる。また、低温環境下でも連結具62と案内レール82との間の摺接面に面圧や摩擦力の上昇は起こらない。従って、搬送機構32の駆動トルクの上昇を抑制できると共に、前記摺接面での摩耗粉の発生を抑制でき、食品の品質に及ぼす悪影響を抑制できる。前記摺接面での面圧や摩擦力が上昇すると、面圧や摩擦力が周期的に変動し、搬送ベルトの搬送速度にばらつきが生じるノッキング現象が発生し、無端搬送路14の円滑な移動が妨げられる。本実施形態では、摺接面で面圧や摩擦力の上昇は起こらないので、かかるノッキング現象を防止できる。
【0062】
また、連結具62が上下両面に滑動面78a、78b及びガイド面80a及び80bをもつので、リターン路14Fにおいても、案内レール82による無端搬送路14の支持を持続でき、搬送ベルトが案内レール82から脱落するのを防止できる。これによって、無端搬送路14の円滑な移動が可能になる。
また、連結具62が丸棒60の1個毎に別々に設けられているので、隣り合う連結具62は互いに拘束されない。そのため、無端搬送路14の曲がり部できめ細かな曲線形状を形成でき、無端搬送路14の設計自由度を広げることができる。また、案内レール82の構造を簡素化でき、製造費を低コストにできる。
【0063】
また、張力検出センサ28で無端搬送路14に加わる張力を常に監視し、制御装置30によってガイドスプロケット16の駆動モータ16aを作動させ、該張力を調整できる。これによって、無端搬送路14のたるみを調整できると共に、無端搬送路14に異常張力が付加されるのを未然に防止できる。また、歯数計測センサ54、56及び計数センサ94で無端搬送路14の走行状態を常に監視できるので、コンベア装置12の異常を早期に検知できる。
【0064】
また、搬送機構32は、回転軸40、42に固定された複数のスプロケット48、50で螺旋状上昇路14B及び螺旋状下降路14Dに均等に搬送力を付与できるので、無端搬送路14を均等に移動でき、たるみの発生を抑制できる。また、搬送機構32は1個の駆動モータ36で済むので、構成を簡素化かつ低コスト化できる。
【0065】
また、落下防止板90によって搬送ベルト上の食品が搬送路から落ちるのを防止できると共に、落下防止板90及び連結具62に設けられたガイド部72e、72fの作用によって、搬送ベルトが案内レール82から脱落するのを防止できる。さらに、搬送ベルトの両側に適宜間隔で立設された支柱88と支持構造体84とで案内レール82を支持しているので、搬送ベルトが上下方向に多段に形成されていても、簡易かつ低コストな支持構造で案内レール82を支持できる。
【0066】
さらに、
図4に示すように、駆動モータ36、減速機38、スラスト軸受44、46、平歯車51、52、及び歯数計測センサ54、56が、天井壁10dの外側の常温領域に設けられているので、これら機器の保守点検や修理が容易であるという利点がある。
【0067】
(実施形態2)
次に、本発明の第2実施形態を
図12〜
図18に基づいて説明する。本実施形態は前記第1実施形態で用いられた連結具62と異なる構成の連結具を用いた例である。本実施形態に係る連結具100は、ステンレス鋼製のインサート材102と、インサート材102を内包する耐摩耗性樹脂体110とで構成されている。
【0068】
図17に示すように、インサート材102は内側空間sを有して2つ折りに曲折された帯状のステンレス鋼板で構成されている。インサート材102は頂部104と頂部104を除く両端側部位112とで構成されている。頂部104は平坦な頂面106と互いに平行な2つの隔壁からなる平行壁部108とで構成されている。平行壁部108には、互いに対面した位置に配置された一対の長孔110、110が形成されている。
【0069】
両端側部位112は、拡幅方向に傾斜した2つの傾斜壁からなる傾斜壁部114と、傾斜壁部114に連なり互いに平行な2つの隔壁からなる平行壁部116と、平行壁部116に連なる平坦な底部118a及び118bと、底部118a及び118bに連なり頂部104に向かって折り返した折返し部120a及び120bとで構成されている。平行壁部116及び折返し部120a、120bに夫々丸孔122a、122b、122c及び122dが形成されている。これらの丸孔は1本の丸棒60が挿入可能なように一直線上に配置されている。
【0070】
図15及び
図16に示すように、耐摩耗性樹脂体124はインサート材102を内包するように成形されている。耐摩耗性樹脂体124の材質は第1実施形態の耐摩耗性樹脂体72と同様のものを用いている。耐摩耗性樹脂体124は、頂部126と頂部126を除く両端側部位136とで構成されている。
頂部126は平坦な頂面128と、傾斜面130と平行な外側面を有する第1の平行部位132とを有している。第1の平行部位132には両外側面に貫通し、頂部126から両端側部位136に向かう長辺を有する長孔134が形成されている。長孔134はインサート材102の長孔110、110と一致した位置に形成されている。
【0071】
両端側部位136は、拡幅方向に傾斜した2つの隔壁からなる傾斜壁部138と、傾斜壁部138に連なり第1の平行部位132より拡幅の第2の平行部位140と、第2の平行部位140に一体に形成された歯形部142とで構成されている。傾斜壁部138は外側に広がる内側面及び外側面を有し、第2の平行部位140は平行な内側面及び外側面を有している。傾斜壁部138及び第2の平行部位140の内部には内側空間sが形成されている。内側空間sは第1の平行部位132が挿入可能な幅を有している。歯形部142は丸棒60によって形成された搬送ベルトの外側に位置している。
【0072】
頂部126の上下面は案内レール82の端面に摺接する滑動面144a及び144bを形成している。滑動面144a及び144bは丸棒60に対し上下対称に配置されている。頂部126には上下方向にガイド部146a及び146bが一体に形成されている。ガイド部146a及び146bは案内レール82の側面に摺接するガイド面148a及び148bを有している。ガイド面148a及び148bは丸棒60に対し上下対称に配置されている。
【0073】
また、耐摩耗性樹脂体124は、インサート材102の丸孔122a、122b及び122cと一致した位置にこれらと同径の丸孔150a、150b及び150cが形成されている。丸棒60はインサート材102の丸孔122a〜122dに密嵌されている。長孔134には前記丸棒60と隣り合う丸棒60が遊嵌され、長孔134の長辺方向に移動可能になっている。そのため、1個の連結具100に拘束される2本の丸棒60は搬送ベルトの搬送方向に相対変位が可能になっている。
【0074】
図18に示すように、丸棒60はインサート材102に形成された4個の丸孔122a〜122dに密嵌し、丸棒60に対する連結具100の軸方向の結合強度を増加させている。底部118a及び118bは丸棒60に接しているので、丸棒60に対する連結具100の結合部の強度を増大させている。
【0075】
図12〜
図14に示すように、歯形部142はスプロケット48又は50と噛合し、螺旋状搬送ベルト15a〜15dを搬送方向へ移動させる。リターン路14F以外の無端搬送路14では、連結具100は、滑動面144bを介して案内レール82によって滑動可能に支持されると共に、ガイド面148bを介して案内レール82によってガイドされる。
搬送ベルトが反転されるリターン路14Fでは、連結具62は、滑動面144aを介して案内レール82によって滑動可能に支持されると共に、ガイド面148aを介して案内レール82によってガイドされる。その他連結具100以外の構成は第1実施形態と同一である。
【0076】
本実施形態によれば、第1実施形態で得られる作用効果に加えて、隣り合う一方の連結具100の内側空間sに他方の連結具100の頂部126が進入するとき、両連結具間で丸棒60の長手軸方向の隙間が発生しない。そのため、両連結具は丸棒60の長手軸方向に互いに拘束されるので、両連結具の搬送方向の円滑な動作を確保できる。従って、丸棒60を長手軸方向に位置決めでき、搬送動作が滑らかに行われるので、搬送路の曲がりが容易になり、搬送路の設計自由度を広げることができると共に、搬送ベルトの搬送方向位置で搬送速度にばらつきが生じるノッキング現象を防止できる。
【0077】
また、インサート材102は、第2の平行部位140に形成された丸孔122b、122c及び折返し部120a、120bに形成された丸孔122a、122dの4か所で連結具100と結合しているので、丸棒60と連結具100との結合強度を増大できる。さらに、底部118a及び118bは丸棒60に接しているので、丸棒60に対する連結具100の結合部の強度を増大できる。
【0078】
(実施形態3)
次に、本発明の第3実施形態に係るコンベア装置を
図19に基づいて説明する。本実施形態のコンベア装置12Bは、搬送機構32の負荷が大きい場合の例である。本実施形態では、螺旋状上昇路14B及び螺旋状下降路14Dで構成された螺旋状搬送路の上端部中央に、駆動モータ150が設けられている。駆動モータ150は、第1実施形態の駆動モータ36より大きな容量を有する。この螺旋状搬送路を挟んで対面する位置に、2個のハウジング34が設けられ、各ハウジング34の内部に第1実施形態と同一構成の搬送機構32が設けられている。
【0079】
各ハウジング34の頂壁には、回転軸40、42を駆動するギアボックス154a及び154bが設けられている。駆動モータ150から駆動軸152a、152bが延設され、ギアボックス154a、154bに接続されている。その他の構成は前記第1実施形態と同一である。
【0080】
本実施形態では、駆動モータ150の駆動力は、ギアボックス154a、154bを介して各搬送機構32の回転軸40、42に伝達される。本実施形態によれば、搬送機構32の負荷が大きいときでも、1個の駆動モータ150によって2基の搬送機構32を駆動できる。また、螺旋状搬送路の両側に設けられた2基の搬送機構32で搬送力を分担しているので、螺旋状搬送路の移動を円滑に行うことができる。
【0081】
(実施形態4)
次に、本発明の第4実施形態を
図20に基づいて説明する。本実施形態のコンベア装置12Cは、冷凍庫10の内部で、螺旋状上昇路14Bのみからなる螺旋状搬送路と、螺旋状下降路14Dのみからなる螺旋状搬送路とが隣り合わせに2個配置されている。これら2個の螺旋状搬送路に、夫々ハウジング34が設けられ、一方のハウジング34の内部に搬送機構32Aが設けられ、他方のハウジング34の内部に搬送機構32Bが設けられている。搬送機構32Aは、
図4に示す第1実施形態の複数のスプロケット48が装着された1本の回転軸40のみ有し、搬送機構32Bは、
図4に示す複数のスプロケット50が装着された1本の回転軸42のみを有している。
【0082】
さらに、搬送機構32A及び32Bに、
図4に示す第1実施形態の歯数計測センサ54、56と同一構成の歯数計測センサを備えており、回転軸40及び42の回転量を検出している。また、
図11に示す制御装置30と同様の制御装置を備えており、この制御装置は、搬送機構32A及び32Bに設けられた歯数計測センサの検出値を入力し、回転軸40及び42の回転速度を同期させ、螺旋状上昇路14Bを構成する搬送ベルトと、螺旋状下降路14Dを構成する搬送ベルトの移動速度を同期させる機能を有している。その他の構成は前記第1実施形態と同一である。
【0083】
本実施形態によれば、螺旋状上昇路14Bと螺旋状下降路14Dとを分離したことにより、第3実施形態と比べて、螺旋状搬送路の構成を簡素化かつ低コスト化できる。また、搬送機構32A及び32Bも第1実施形態の搬送機構32と比べて夫々1本の回転軸のみ有し、一方向のみに移動する螺旋状搬送路用に構成できるので、簡素化かつ低コスト化できる。さらに、螺旋状上昇路14Bを構成する搬送ベルトと、螺旋状下降路14Dを構成する搬送ベルトの移動速度を同期させることで、無端搬送路14を構成する搬送ベルトのたるみをなくし、かつ円滑な走行を可能にしている。