【0037】
このフェノール化合物の具体例としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等のポリヒドロキシベンゾフェノン類;
トリス(4−ヒドロシキフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、4,4’−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、5,5’−ジシクロヘキシル−4,4’,3”,4”−テトラヒドロキシ−2,2’−ジメチルトリフェニルメタン等のトリスフェノール型化合物;
2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−ヒドロキシフェノール、2,6−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール等のリニア型3核体フェノール化合物;
1,1−ビス〔3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル〕イソプロパン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン等のリニア型4核体フェノール化合物;
2,4−ビス[2−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,4−ビス[4−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,6−ビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシベンジル]−4−メチルフェノール等のリニア型5核体フェノール化合物;
ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、2,3,4−トリヒドロキシフェニル−4’−ヒドロキシフェニルメタン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3’−フルオロ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、4,4’−[1−[4−[2−[4−ヒドロキシフェニル]−2−プロピル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール等のビスフェノール型化合物;
1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1−[1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン等の多核枝分かれ型化合物;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等の縮合型フェノール化合物;等が挙げられる。
これらのフェノール化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【実施例】
【0045】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0046】
<分留クレゾールの精製>
[未処理1,2]
未処理の分留クレゾールとして、富梅化工製のm−p−クレゾール(m−クレゾール/p−クレゾール=66/33(モル比);未処理1)及び同社製のロット違いのm−p−クレゾール(m−クレゾール/p−クレゾール=66/33(モル比);未処理2)を準備した。そして、ガスクロマトグラフ質量分析(PerkinElmer製)を用いてピリジン及び2−メチルピリジンの含有量を測定した(検出限界は<0.1ppm)。結果を下記表1に示す。
【0047】
[比較精製例1]
温度計及び還流管を備えたフラスコ中に未処理1の分留クレゾール1800gを仕込み、最大130℃まで昇温させながら、初流180gを流出させた後、還流比10〜20の条件で本蒸分を採取し、1550gの精製クレゾールを得た。そして、上記と同様にして、この精製クレゾール中のピリジン及び2−メチルピリジンの含有量を測定した。結果を下記表1に示す。
【0048】
[精製例1]
未処理1の分留クレゾール700kgと酢酸ブチル700kgとを混合し、さらに1質量%塩酸水溶液1400kgを混合して60分間撹拌し、静置後、有機相を分取した。この有機相に1質量%塩酸水溶液1400kgを混合して60分間撹拌し、静置後、有機相を分取した。この有機相に純水1400kgを混合し、30分間撹拌し、静置後、有機相を分取した。純水を用いた洗浄作業を合計3回繰り返した。そして、水分1質量%、酢酸ブチル3質量%以下となるまで有機相を濃縮し、精製クレゾールを得た。そして、上記と同様にして、この精製クレゾール中のピリジン及び2−メチルピリジンの含有量を測定した。結果を下記表1に示す。
【0049】
[精製例2]
温度計及び還流管を備えたフラスコ中に未処理1の分留クレゾール1000g及び塩酸(分留クレゾール中のピリジン類と等モル)を仕込み、最大130℃まで昇温させながら、初流50gを流出させた後、還流比10〜20の条件で本蒸分を採取し、730gの精製クレゾールを得た。そして、上記と同様にして、この精製クレゾール中のピリジン及び2−メチルピリジンの含有量を測定した。結果を下記表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
表1から分かるように、未処理の分留クレゾール中にはピリジン及び2−メチルピリジンがそれぞれ200ppm前後含まれている。比較精製例1のように再蒸留することにより2−メチルピリジンの含有量を顕著に低減することができたが、ピリジンの含有量はそれほど低減できなかった。これに対して、精製例1,2のように未処理の分留クレゾールを塩酸水溶液で洗浄し、又は分留クレゾールに塩酸を添加した後、再蒸留することにより、分留クレゾール中のピリジン及び2−メチルピリジンをほぼ完全に除去することができた。
【0052】
<ノボラック樹脂の製造、感光性樹脂組成物の調製>
[実施例1]
m−クレゾール/p−クレゾール/3,5−キシレノール=50/30/20(モル比)となるように、精製例1で精製した分留クレゾールに対して、化学合成品のp−クレゾール及び3,5−キシレノールを添加した。そして、酸触媒としてシュウ酸を用い、縮合剤としてホルマリンを用いて常法により縮合反応を行うことによりノボラック樹脂を得た。なお、縮合反応条件は、分留クレゾールの代わりに化学合成品のクレゾールを用いた場合に質量平均分子量(Mw)8000のノボラック樹脂が得られる条件とした。
【0053】
このノボラック樹脂100質量部に対し、以下の感光剤、増感剤、及び界面活性剤を添加し、固形分濃度が35質量%となるように2−ヘプタノンを加えて混合することにより、感光性樹脂組成物を調製した。
・感光剤
4,4’−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)−ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸(モノ〜トリ)エステル・・・21質量部
5,5’−ジシクロヘキシル−4,4’,3”,4”−テトラヒドロキシ−2,2’−ジメチルトリフェニルメタン−ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸(モノ〜テトラ)エステル・・・4.3質量部
・増感剤
4,4’−[1−[4−[2−[4−ヒドロキシフェニル]−2−プロピル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール・・・35質量部
・界面活性剤
パーフルオロアルキル基含有オリゴマー・・・8質量部
【0054】
[実施例2]
m−クレゾール/p−クレゾール/3,5−キシレノール=50/30/20(モル比)となるように、精製例1で精製した分留クレゾールに対して、化学合成品のp−クレゾール及び3,5−キシレノールを添加した。そして、酸触媒としてシュウ酸を用い、縮合剤としてホルマリンを用いて常法により縮合反応を行うことによりノボラック樹脂を得た。なお、縮合反応条件は、分留クレゾールの代わりに化学合成品のクレゾールを用いた場合に質量平均分子量4500のノボラック樹脂が得られる条件とした。
【0055】
このノボラック樹脂100質量部に対し、以下の感光剤、増感剤、及び界面活性剤を添加し、固形分濃度が32質量%となるように2−ヘプタノンを加えて混合することにより、感光性樹脂組成物を調製した。
・感光剤
4,4’−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)−ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸(モノ〜トリ)エステル・・・21質量部
5,5’−ジシクロヘキシル−4,4’,3”,4”−テトラヒドロキシ−2,2’−ジメチルトリフェニルメタン−ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸(モノ〜テトラ)エステル・・・4.3質量部
・増感剤
4,4’−[1−[4−[2−[4−ヒドロキシフェニル]−2−プロピル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール・・・35質量部
・界面活性剤
パーフルオロアルキル基含有オリゴマー・・・8質量部
【0056】
[比較例1,2]
精製例1で精製した分留クレゾールの代わりに未処理1の分留クレゾールを用いるほかは実施例1,2と同様にして、ノボラック樹脂を製造するとともに、感光性樹脂組成物を調製した。なお、ターゲットとなるノボラック樹脂の質量平均分子量は、比較例1が8000であり、比較例2が4500である。
【0057】
[比較例3,4]
ノボラック樹脂を製造する際の酸触媒の量を3倍に増量したほかは比較例1,2と同様にして、ノボラック樹脂を製造するとともに、感光性樹脂組成物を調製した。なお、ターゲットとなるノボラック樹脂の質量平均分子量は、比較例3が8000であり、比較例4が4500である。
【0058】
[比較例5]
精製例1で精製した分留クレゾールの代わりに未処理2の分留クレゾールを用いるほかは実施例1と同様にしてノボラック樹脂を製造した。なお、ターゲットとなるノボラック樹脂の質量平均分子量は8000である。
【0059】
[実施例3]
m−クレゾール/p−クレゾール=60/40(モル比)となるように、精製例2で精製した分留クレゾールに対して、化学合成品のp−クレゾールを添加した。そして、酸触媒としてシュウ酸を用い、縮合剤としてホルマリンを用いて常法により縮合反応を行うことによりノボラック樹脂を得た。なお、縮合反応条件は、分留クレゾールの代わりに化学合成品のクレゾールを用いた場合に質量平均分子量(Mw)16300のノボラック樹脂が得られる条件とした。
【0060】
このノボラック樹脂100質量部に対し、以下の感光剤、添加剤、及び界面活性剤を添加し、固形分濃度が20質量%となるように乳酸エチル/酢酸ブチル=90/10(質量比)の混合溶剤を加えて混合することにより、感光性樹脂組成物を調製した。
・感光剤
2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンの6−ジアゾ−5,6−ジヒドロ−5−オキソ−1−ナフタレンスルホン酸エステル・・・27質量部
・添加剤
2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン・・・12.7質量部
・界面活性剤
パーフルオロアルキル基含有オリゴマー・・・5.1質量部
【0061】
[比較例6]
精製例2で精製した分留クレゾールの代わりに未処理1の分留クレゾールを用いるほかは実施例3と同様にしてノボラック樹脂を製造した。なお、ターゲットとなるノボラック樹脂の質量平均分子量は16300である。
【0062】
[比較例7]
精製例2で精製した分留クレゾールの代わりに比較精製例1で精製した分留クレゾールを用いるほかは実施例3と同様にしてノボラック樹脂を製造した。なお、ターゲットとなるノボラック樹脂の質量平均分子量は16300である。
【0063】
<ノボラック樹脂及び感光性樹脂組成物の評価>
[ノボラック樹脂の質量平均分子量(Mw)の評価]
実施例1〜3、比較例1〜7で得られたノボラック樹脂の質量平均分子量を測定した。それぞれのターゲットとなる質量平均分子量に対する比率(%)を下記表2に示す。
【0064】
[ノボラック樹脂のアルカリ溶解速度(ADR)の評価]
実施例1〜3、比較例1〜7で得られたノボラック樹脂をそれぞれプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させて25質量%の樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液をシリコンウェーハ上に塗布し、110℃で90秒間乾燥させることにより、膜厚1μmの樹脂膜を形成した。その後、樹脂膜を2.38質量%テトラメチルアンモニウム水溶液に一定時間浸漬し、樹脂膜の膜厚変化量を求めた。
【0065】
また、分留クレゾールの代わりに化学合成品のクレゾールを用いたほかは実施例1〜3と同様にして質量平均分子量4500,8000,16300のノボラック樹脂をそれぞれ製造し、同様に樹脂膜の膜厚変化量を求め、実施例1〜3、比較例1〜7の各分子量についての標準値とした。
実施例1〜3、比較例1〜7の膜厚変化量の標準値に対する比率(%)を下記表2に示す。
【0066】
[感光性樹脂組成物の感度評価]
実施例1,2、比較例1〜4で調製した感光性樹脂組成物をスピンナーを用いてシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で90℃にて90秒間乾燥させることにより、膜厚1.05μmの樹脂膜を得た。次いで、縮小投影露光装置NSR−2005i10D(ニコン社製)を用いて、ラインアンドスペースが1:1の0.5μmパターン対応のマスク(レチクル)を介して0.1秒から0.01秒間隔で樹脂膜を露光した後、110℃、90秒間のPEB(露光後加熱)処理を行った。その後、2.38質量%テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、23℃にて60秒間、露光後の樹脂膜を現像し、30秒間水洗して乾燥させることにより、ラインアンドスペースパターンを形成した。そして、マスクどおりのラインアンドスペースパターンが形成される最適露光時間(Eop)をミリ秒(ms)単位で求め、感度の指標とした。
【0067】
また、実施例3で調製した感光性樹脂組成物をスピンナーを用いてシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で90℃にて90秒間乾燥させることにより、膜厚1.26μmの樹脂膜を得た。次いで、ghi混合光源(ただし、h線(405nm)以下の波長の光はフィルタで遮断)を用いて、ラインアンドスペースが1:1の1.0μmパターン対応のマスク(レチクル)を介して0.1秒から0.01秒間隔で樹脂膜を露光した後、110℃、90秒間のPEB(露光後加熱)処理を行った。その後、2.38質量%テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、23℃にて60秒間、露光後の樹脂膜を現像し、30秒間水洗して乾燥させることにより、ラインアンドスペースパターンを形成した。そして、マスクどおりのラインアンドスペースパターンが形成される最適露光時間(Eop)をミリ秒(ms)単位で求め、感度の指標とした。
【0068】
また、分留クレゾールの代わりに化学合成品のクレゾールを用いたほかは実施例1〜3と同様にして質量平均分子量4500,8000,16300のノボラック樹脂をそれぞれ製造し、このノボラック樹脂を用いて、実施例1〜3、比較例1〜4と同様にして感光性樹脂組成物を調製した。そして、上記と同様に最適露光時間(Eop)を求め、実施例1〜3、比較例1〜4の標準値とした。
実施例1〜3、比較例1〜4の最適露光時間(Eop)の標準値に対する比率(%)を下記表2に示す。
【0069】
なお、比較例5については、ノボラック樹脂の特性が比較例1と同様に劣ることが確認できたため、感光性樹脂組成物の評価は行わないこととした。また、比較例6,7については、ノボラック樹脂の特性結果から感度特性の劣化は明らかであり、耐熱性及び解像性評価において他の例のように感度を調整することができないため、感光性樹脂組成物の評価は行わないこととした。
【0070】
[感光性樹脂組成物の耐熱性評価]
感度を同程度に調整するため、実施例1の感光性樹脂組成物と実施例2の感光性樹脂組成物とを35:65の質量比で混合した。同様に、比較例1の感光性樹脂組成物と比較例2の感光性樹脂組成物とを84:16の質量比で混合するとともに、比較例3の感光性樹脂組成物と比較例4の感光性樹脂組成物とを12:88の質量比で混合した。
なお、実施例3の感光性樹脂組成物は混合調整せずにそのまま使用した。
【0071】
次いで、得られた感光性樹脂組成物(実施例3を除く)をスピンナーを用いてシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で90℃にて90秒間乾燥させることにより、膜厚1.05μmの樹脂膜を得た。次いで、縮小投影露光装置NSR−2005i10D(ニコン社製)を用いて樹脂膜を露光した後、110℃、90秒間のPEB(露光後加熱)処理を行った。次いで、2.38質量%テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、23℃にて60秒間、露光後の樹脂膜を現像し、30秒間水洗して乾燥させることにより、300μmのラインパターンを形成した。その後、シリコンウェーハを130℃にて5分間加熱した後、ラインパターンの断面を観察した。そして、300μmラインパターンの角が残っているものを○、熱フローにより300μmラインパターンの角が丸くなっているものを×として、耐熱性を評価した。結果を下記表2に示す。
【0072】
なお、実施例3の感光性樹脂組成物については、樹脂膜の膜厚を1.26μmとし、露光の際にghi混合光源(ただし、h線(405nm)以下の波長の光はフィルタで遮断)を用いたほかは上記と同様にして耐熱性を評価した。結果を下記表2に示す。
【0073】
[感光性樹脂組成物の解像性評価]
感度を同程度に調整するため、実施例1の感光性樹脂組成物と実施例2の感光性樹脂組成物とを35:65の質量比で混合した。同様に、比較例1の感光性樹脂組成物と比較例2の感光性樹脂組成物とを84:16の質量比で混合するとともに、比較例3の感光性樹脂組成物と比較例4の感光性樹脂組成物とを12:88の質量比で混合した。
なお、実施例3の感光性樹脂組成物は混合調整せずにそのまま使用した。
【0074】
次いで、ラインアンドスペース幅が0.50μm、0.45μm、0.40μm、0.38μm、0.36μm、0.35μm、又は0.32μmのマスク(レチクル)を用いるほかは上記感度評価におけるパターン形成方法と同様にしてラインアンドスペースパターンを形成した(実施例3を除く)。そして、スペース部分の残渣の有無を確認することにより、解像可能な最小のスペース幅を求めた。結果を下記表2に示す。
【0075】
なお、実施例3の感光性樹脂組成物については、ラインアンドスペース幅が1.0μm、0.8μm、0.6μm、又は0.4μmのマスク(レチクル)を用いるほかは上記感度評価におけるパターン形成方法と同様にしてラインアンドスペースパターンを形成した。そして、スペース部分の残渣の有無を確認することにより、解像可能な最小のスペース幅を求めた。結果を下記表2に示す。
【0076】
【表2】
【0077】
表2から分かるように、塩基性物質をほぼ完全に除去した分留クレゾールを用いてノボラック樹脂を製造した実施例1〜3では、質量平均分子量、アルカリ溶解速度がほぼ標準値どおりとなっていた。また、感光性樹脂組成物の感度もほぼ標準値どおりとなっており、耐熱性、解像性も良好であった。なお、実施例3の解像性の結果については、分留クレゾールの代わりに化学合成品のクレゾールを用いた場合と同等であり、良好な結果といえる。
【0078】
これに対して、未処理1の分留クレゾールを用いてノボラック樹脂を製造した比較例1,2では、質量平均分子量、アルカリ溶解速度が標準値から大きく外れていた。また、感光性樹脂組成物の感度も標準値から大きく外れ、耐熱性、解像性も実施例1、2より劣っていた。
また、比較例1,2よりも酸触媒の量を3倍に増量してノボラック樹脂を製造した比較例3,4では、質量平均分子量、アルカリ溶解速度はほぼ標準値どおりとなったものの、感光性樹脂組成物の感度が標準値から大きく外れ、耐熱性、解像性も実施例1、2より劣っていた。
また、未処理2の分留クレゾールを用いてノボラック樹脂を製造した比較例5、未処理1の分留クレゾールを用いて比較例1、2とは異なるノボラック樹脂を製造した比較例6、再蒸留した分留クレゾールを用いてノボラック樹脂を製造した比較例7においても、質量平均分子量、アルカリ溶解速度が標準値から大きく外れていた。