特許第6178595号(P6178595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6178595
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/374 20110101AFI20170731BHJP
   H04N 5/363 20110101ALI20170731BHJP
   H04N 5/3745 20110101ALI20170731BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20170731BHJP
【FI】
   H04N5/374
   H04N5/363
   H04N5/3745
   H01L27/146 A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-48446(P2013-48446)
(22)【出願日】2013年3月11日
(65)【公開番号】特開2014-175948(P2014-175948A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2016年2月1日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】北村 和也
【審査官】 鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/004928(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30−5/378
H01L 27/14−27/148
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素に配設される光電変換部と、
前記光電変換部の出力端子に接続されるスイッチ素子と、
前記スイッチ素子の出力側に接続され、前記スイッチ素子を介して、前記光電変換部出力する映像信号を蓄積するフローティングディフュージョンと、
電源と前記フローティングディフュージョンとの間に設けられ、オンにされると前記フローティングディフュージョンに蓄積される映像信号をリセットするリセットスイッチと、
前記フローティングディフュージョンと前記リセットスイッチとの接続点に直列に接続される読み出しスイッチと、前記接続点に前記読み出しスイッチを介して接続される読み出し端子とを有し、前記フローティングディフュージョンに蓄積される映像信号を前記リセットスイッチがオフのときに前記読み出し端子から読み出す信号読み出し回路と、
前記スイッチ素子と前記リセットスイッチと前記読み出しスイッチとのオン/オフを切り替える駆動部と
を含み、
前記駆動部は、2つのフレーム期間のうち、第1フレーム期間の開始時には、前記光電変換部が光電変換をしている状態で前記リセットスイッチをオフ、前記スイッチ素子をオフ、かつ、前記読み出しスイッチをオフにしてから、前記リセットスイッチをオン、前記スイッチ素子をオフ、かつ、前記読み出しスイッチをオンにし、第2フレーム期間の開始時にはリセットスイッチをオフ、前記スイッチ素子をオフ、かつ、前記読み出しスイッチをオンにし、
前記第1フレーム期間の開始時に、前記リセットスイッチをオン、前記スイッチ素子をオフ、かつ、前記読み出しスイッチをオンにした状態で読み出す映像信号を前記第2フレーム期間のリセット信号として使用する、撮像装置。
【請求項2】
信号読み出し回路は、
フローティングディフュージョンの出力信号をデジタル変換するADコンバータを有する、請求項1記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光学系による像を繰り返し撮像する撮像素子と、前記光学系の焦点調節状態を検出する焦点検出手段と、前記焦点検出手段による検出結果に基づいて前記光学系による像の像面移動速度を算出する像面移動速度算出手段と、前記像面移動速度算出手段により算出された前記像面移動速度に応じて、前記撮像素子のフレームレートを変更する制御手段と、を備えたことを特徴とする撮像装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、動画像を撮像可能な撮像手段と、前記撮像手段の撮像動作中に、前記撮像手段のフレームレートを第1のフレームレートから前記第1のフレームレートより高い第2のフレームレートに変更するフレームレート変更手段と、前記フレームレート変更手段によって前記第1のフレームレートから前記第2のフレームレートに変更される場合に、前記第2のフレームレートにて撮像された動画像から前記第1のフレームレートで撮像された動画像に相当する動画像を生成する動画像生成手段と、前記フレームレート変更手段によって前記第1のフレームレートから前記第2のフレームレートに変更される場合に、前記第2のフレームレートにて撮像された動画像と動画像生成手段にて生成された前記第1のフレームレートで撮像された動画像に相当する動画像とをともに記録する記録手段を備えることを特徴とする撮像装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−088049号公報
【特許文献2】特開2007−195050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2記載の発明は、いずれも一度に2つの異なるフレームレートでの撮影を行うことはできない。
【0006】
そこで、本発明は、2つの異なるフレームレートで撮影を行うことのできる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面の撮像装置は、画素に配設される光電変換部と、前記光電変換部の出力端子に接続されるスイッチ素子と、前記スイッチ素子の出力側に接続され、前記スイッチ素子を介して、前記光電変換部出力する映像信号を蓄積するフローティングディフュージョンと、電源と前記フローティングディフュージョンとの間に設けられ、オンにされると前記フローティングディフュージョンに蓄積される映像信号をリセットするリセットスイッチと、前記フローティングディフュージョンと前記リセットスイッチとの接続点に直列に接続される読み出しスイッチと、前記接続点に前記読み出しスイッチを介して接続される読み出し端子とを有し、前記フローティングディフュージョンに蓄積される映像信号を前記リセットスイッチがオフのときに前記読み出し端子から読み出す信号読み出し回路と、前記スイッチ素子と前記リセットスイッチと前記読み出しスイッチとのオン/オフを切り替える駆動部とを含み、前記駆動部は、2つのフレーム期間のうち、第1フレーム期間の開始時には、前記光電変換部が光電変換をしている状態で前記リセットスイッチをオフ、前記スイッチ素子をオフ、かつ、前記読み出しスイッチをオフにしてから、前記リセットスイッチをオン、前記スイッチ素子をオフ、かつ、前記読み出しスイッチをオンにし、第2フレーム期間の開始時にはリセットスイッチをオフ、前記スイッチ素子をオフ、かつ、前記読み出しスイッチをオンにし、前記第1フレーム期間の開始時に、前記リセットスイッチをオン、前記スイッチ素子をオフ、かつ、前記読み出しスイッチをオンにした状態で読み出す映像信号を前記第2フレーム期間のリセット信号として使用する
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、2つの異なるフレームレートで撮影を行うことのできる撮像装置を提供できるという特有の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態の撮像装置に含まれるピクセル部を示す図である。
図2】実施の形態1の撮像装置500を示す図である。
図3】実施の形態の撮像装置500におけるピクセル部100の駆動方法を説明するための図である。
図4】実施の形態の撮像装置500において映像信号を読み出す際のシーケンスを示す図である。
図5】ピクセル部100の出力端子100Aに出力される映像信号の信号レベル(PIXEL OUT)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の撮像装置を適用した実施の形態について説明する。
【0011】
<実施の形態>
図1は、実施の形態の撮像装置に含まれるピクセル部を示す図である。
【0012】
実施の形態の撮像装置に含まれるピクセル部100は、フォトダイオードPD、スイッチ素子TX、フローティングディフュージョンFD、リセット用スイッチ素子RT、出力段110、及び出力端子100Aを含む。
【0013】
フォトダイオードPDは、撮像装置に含まれる複数の画素のすべて、又は、一部の画素に配設されている。
【0014】
フォトダイオードPDは、光電変換部の一例である。ここでは、光電変換部の一例としてフォトダイオードPDを示すが、光電変換部はフォトダイオードに限らず、入射光を光電変換して、撮像信号を出力できる素子であればよい。
【0015】
フォトダイオードPDは、アノードが接地されており、出力端子となるカソードがスイッチ素子TXに接続されている。
【0016】
なお、図1には、1つのフォトダイオードPDを示すが、実際には多数(N個)の画素があるため、ピクセル部100は、N個のフォトダイオードPDを含む。ここで、Nは2以上の任意の整数である。
【0017】
スイッチ素子TXは、例えば、FET(Field Effect Transistor)で構成される。ここでは、一例として、スイッチ素子TXがn型のFETである形態について説明する。しかしながら、スイッチ素子TXは、n型のFETに限らず、他の形式のトランジスタであってもよい。
【0018】
スイッチ素子TXは、ソースがフォトダイオードPDの出力端子(カソード)に接続され、ドレインがフローティングディフュージョンFDに接続される。スイッチ素子TXのゲートは、実施の形態1のピクセル部100を含む撮像装置の駆動部によって駆動される。
【0019】
なお、スイッチ素子TXの数は、フォトダイオードPDの数と等しい。すなわち、スイッチ素子(TX)は、フォトダイオード(PD)の出力側に、1つずつ接続される。
【0020】
フローティングディフュージョンFDは、スイッチ素子TXのドレインに接続されている。フローティングディフュージョンFDは、例えば、pn接合ダイオードのn型領域であり、電気的に浮遊している。
【0021】
フローティングディフュージョンFDは、コンデンサのような機能を有しており、スイッチ素子TXを介して接続されるフォトダイオードPDから出力される撮像信号(負の電荷)を蓄積する。
【0022】
フローティングディフュージョンFDには所定の飽和容量があるため、所定の飽和容量以上の電荷を蓄積することはできない。フローティングディフュージョンFDは、撮像装置の用途等に応じて、所定の飽和容量を有するように構成されている。この飽和容量は、フローティングディフュージョンFDの飽和レベルに対応する。飽和レベルとは、それ以上撮像信号による電荷を蓄積できないレベルである。
【0023】
リセット用スイッチ素子RTは、例えば、n型のFETであり、ソースがフローティングディフュージョンFDに接続され、ドレインが電源(VDD)に接続される。リセット用スイッチ素子RTは、実施の形態1のピクセル部100を含む撮像装置の駆動部によって駆動される。リセット用スイッチ素子RTがオンにされると、フローティングディフュージョンは電源(VDD)に接続され、リセットされる。なお、リセット用スイッチ素子RTは、n型のFETに限らず、他の形式のトランジスタであってもよい。
【0024】
出力段110は、フローティングディフュージョンFDに蓄積される電荷を信号読み出し回路に取り出すための回路である。実施の形態1では、出力段110は、例えば、アンプ110Aとn型のFET110Bで構成される。
【0025】
アンプ110Aは、入力端子がフローティングディフュージョンFDに接続され、出力端子がFET110Bのドレインに接続されている。
【0026】
FET110Bのドレインは、アンプ110Aの出力端子に接続され、ソースは出力端子100Aに接続される。FET110Bのゲートは、撮像装置500のセレクト信号(SL)が印加される。セレクト信号は、フォトダイオードPDを含む画素を選択するための信号であり、ピクセル部100を含む撮像装置の駆動部から出力される。
【0027】
出力端子100Aは、ピクセル部100の出力端子である。ピクセル部100は、フローティングディフュージョンFDに蓄積した撮像信号を出力段110を介して、(PIXEL OUTとして)出力端子100Aから出力する。出力端子100Aは、実施の形態1のピクセル部100を含む撮像装置の信号読み出し部の入力端子に接続される。
【0028】
図2は、実施の形態1の撮像装置500を示す図である。
【0029】
撮像装置500は、ピクセル部100、及びADC回路510を含む。
【0030】
ピクセル部100は、図1に示す出力端子100AがADC回路510に接続されており、FDに蓄積される電荷による撮像信号をADC回路510に出力する。
【0031】
ADC回路510は、撮像信号(アナログ値)をデジタル値に変換するアナログデジタルコンバータ(Analog to Digital Converter)である。ADC回路510がデジタル変換した撮像信号は、撮像装置500の撮像信号(映像信号)として出力される。
【0032】
ここで、標準的なフレーム速度による撮像信号のサンプル値とは、ピクセル部100のフォトダイオードPDによって得られた撮像信号がフローティングディフュージョンFDに蓄積された状態におけるフローティングディフュージョンFDの電荷レベル(SRA)から、フローティングディフュージョンFDのリセットレベル(SRST)を引いた値(SRA−SRST)である。
【0033】
また、フレーム速度が半分の撮像信号のサンプル値とは、1番目のフレーム期間においてフォトダイオードPDによって得られた撮像信号を蓄積したフローティングディフュージョンFDが、2番目のフレーム期間においてフォトダイオードPDによって得られた撮像信号をさらに蓄積した状態における(フローティングディフュージョンFDの)電荷レベル(SRB)から、フローティングディフュージョンFDのリセットレベル(SRST)を引いた値(SRB−SRST)である。
【0034】
実施の形態1では、ピクセル部100が2つフレーム期間で得られる合計の電荷をフローティングディフュージョンFDに蓄積する形態について説明する。
【0035】
次に、図3を用いて実施の形態の撮像装置500におけるピクセル部100の駆動方法について説明する。
【0036】
図3は、実施の形態の撮像装置500におけるピクセル部100の駆動方法を説明するための図である。図3には、ピクセル部100の動作を説明するために、(A)〜(E)の状態を時系列的に示す。
【0037】
なお、図3(A)〜(E)には図1に示すピクセル部100を示すが、ここでは図面を見やすくするために、ピクセル部100、出力段110、及び出力端子100Aの符号を省略する。
【0038】
図3(A)では、フォトダイオードPDに1フレーム期間の映像信号が蓄積される。このとき、スイッチ素子TX、リセット用スイッチ素子RT、及びFET110Bはオフにされる。
【0039】
図3(B)では、FET110Bがオン、リセット用スイッチ素子RTがオンにされ、リセット信号が出力端子100Aから読み出される。
【0040】
次に、図3(C)に示すようにスイッチ素子TXがオンにされることで、フォトダイオードPDで得られる信号電荷がフローティングディフュージョン(FD)に転送され、出力端子100Aから映像信号(PIXEL OUT)が読みだされる。
【0041】
次に、図3(D)に示すようにFET110Bがオフにされ、次の1フレームの露光が開始される。
【0042】
次に、図3(E)に示すように画素選択期間でFET110Bがオンにされ、またスイッチ素子TXがオンにされることで、出力端子100Aから映像信号(PIXEL OUT)が読み出される。このときの映像信号は、図3(C)の期間で転送された信号電荷に、図3(D)の期間で蓄積された信号電荷が付加されることによって得られる値を有する。
【0043】
次に、図4及び図5を用いて、実施の形態の撮像装置500において映像信号を読み出す際のシーケンスについて説明する。
【0044】
図4は、実施の形態の撮像装置500において映像信号を読み出す際のシーケンスを示す図である。図5は、ピクセル部100の出力端子100Aに出力される映像信号の信号レベル(PIXEL OUT)を示す図である。
【0045】
図4には上段に1番目のフレーム期間(1 Frame)のn−1番目の水平期間(n-1 H.)とn番目の水平期間(n H.)を示す。また、図4には下段に2番目のフレーム期間(2 Frame)のn−1番目の水平期間(n-1 H.)とn番目の水平期間(n H.)を示す。
【0046】
ここでは、1番目のフレーム期間(1 Frame)のn番目の水平期間(n H.)と、2番目のフレーム期間(2 Frame)のn−1番目のn番目の水平期間(n H.)とに着目する。
【0047】
なお、上段及び下段のシーケンスにおいて、PIXEL OUTの下に示す(A)〜(E)は、図3の(A)〜(E)の状態にそれぞれ対応する。
【0048】
図4において、1番目のフレーム期間(1 Frame)では、(A)の状態になり、フォトダイオードPDに1フレーム期間の映像信号が蓄積される。
【0049】
次に、1番目のフレーム期間(1 Frame)のn番目の水平期間(n H.)では、まず(B)の状態になることにより、FET110Bがオン、リセット用スイッチ素子RTがオンにされ、リセット信号が出力端子100Aから読み出される。
【0050】
このときの映像信号のレベルは、フローティングディフュージョンFDのリセットレベル(SRST)である(図5(A)参照)。
【0051】
次に、(C)の状態になると、スイッチ素子TXがオンにされることで、フォトダイオードPDで得られる信号電荷がフローティングディフュージョン(FD)に転送され、出力端子100Aから映像信号が読みだされる。
【0052】
このため、映像信号の信号レベル(PIXEL OUT)は、フローティングディフュージョンFDの電荷レベル(S)に低下する。
【0053】
このときの映像信号のレベルは、ピクセル部100のフォトダイオードPD0によって得られた撮像信号がフローティングディフュージョンFDに蓄積された状態におけるフローティングディフュージョンFDの電荷レベル(S)から、フローティングディフュージョンFDのリセットレベル(SRST)(図5(A)参照)を引いた値(S−SRST)である(図5(B)参照)。
【0054】
次に、(D)の状態になると、FET110Bがオフにされ、次の1フレーム(2番目のフレーム期間)の露光が開始される。
【0055】
そして、次に、(E)の状態になると、FET110Bとスイッチ素子TXが同時にオンにされることで、出力端子100A(PIXEL OUT)から映像信号が読み出される。このときの映像信号は、図3(C)の期間で転送された信号電荷に、図3(D)の期間で蓄積された信号電荷が付加されることによって得られる値を有する。
【0056】
すなわち、(E)の期間の初めにフローティングディフュージョンFDがリセットされることなく、フローティングディフュージョンFDに電荷が蓄積される。このときのフローティングディフュージョンFDの電荷レベル(S)を用いると、このときの映像信号のレベルは、フローティングディフュージョンFDの電荷レベル(S)から、フローティングディフュージョンFDのリセットレベル(SRST)(図5(A)参照)を引いた値(S−SRST)である(図5(C)参照)。
【0057】
こうして得られる映像信号は、ADC回路510でデジタル値に変換されて出力される。
【0058】
ここで、信号レベルがcの映像信号は、信号レベルが(S−SRST)の映像信号に比べて、フレームレートが1/2倍(すなわち、速度が1/2倍(半分))である。
【0059】
撮像装置500は、リセットレベルSRSTとフレームレートが1倍の信号レベルが(S)の映像信号と、フレームレートが1/2倍の信号レベルが(S)の映像信号とを出力する。フレームレートが1倍の実際の映像信号は(S−SRST)と(S−S)であり、フレームレートが1/2倍の実際の映像信号は(S−SRST)であり、これらの演算は後段の信号処理回路などフレームレートを選択する際に行われる。
【0060】
ここで、映像信号の読み出し時のランダムノイズをRNとする。このランダムノイズRNは、リセット時と信号の読み出し時とでそれぞれ発生するランダムノイズである。
【0061】
フレームレートが1倍の信号レベルが(S−SRST)の映像信号を得る場合には、リセット時と信号読み出し時の2回の読み出しのノイズの2乗和の平方根となることから、最終的なノイズは√2×RNとなる。
【0062】
例えば、ピクセル部100から出力された後に、フレームレートが1倍の映像信号を2フレーム分加算して疑似的に1/2倍(半分)のフレームレートの映像信号を得ようとすると、2フレーム分の映像信号に含まれるノイズの2乗和の平方根となることから、2RNとなる。
【0063】
これに対して、実施の形態によるフレームレートが1/2倍の映像信号を得る場合には、リセット時(SRST)と信号読み出し時(S)の2回の読み出しのノイズの2乗和の平方根となることから、最終的なノイズは√2×RNとなる。
【0064】
従って、出力信号の加算により疑似的に半分のフレームレートの映像信号を得る場合に比べて、ノイズを低減することができる。具体的には、ピクセル部100から出力された後に、フレームレートが1倍の映像信号を2フレーム分加算して疑似的に1/2倍のフレームレートの映像信号を得る場合に比べて、最終的なノイズを√2分の1に(1/(√2))倍にすることができる。すなわち、フレームレートが1倍の信号レベルが(S−SRST)の映像信号を読み出す場合と同じノイズレベルにできる。
【0065】
以上、実施の形態によれば、ノイズレベルを低減しつつ、2つの異なるフレームレートで撮影を行うことのできる撮像装置500を提供することができる。
【0066】
撮像装置500で同時に得られた二つのフレームレートの映像信号をすべて読み出し、見やすい方を人間又は装置で判断して再生のフレームレートを選択すればよい。
【0067】
なお、以上では、2つの異なるフレームレートで撮影を行うことのできる撮像装置500について説明したが、3つ以上の異なるフレームレートで撮影を行うようにしてもよい。
【0068】
以上、本発明の例示的な実施の形態の撮像装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
100 ピクセル部
100A 出力端子
110 出力段
PD フォトダイオード
TX スイッチ素子
FD フローティングディフュージョン
RT リセット用スイッチ素子
500 撮像装置
510 ADC回路
図1
図2
図3
図4
図5