【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特許文献4(特開2010−31169号公報)のポリオール組成物の塩化ビニル重合体粒子及び/又は塩化ビニル−不飽和ビニル共重合体粒子の体積平均粒子径([MV]値)0.05μm以上1μm以下の範囲の中で、その実施例等で未検討な領域、塩化ビニル重合体粒子の体積平均粒子径([MV]値)0.4〜0.8μmで、該粒子の含有率を10〜50重量%にすると、保存安定性に優れ、かつ、ハンドリング性能が良好であり、さらに、体積平均粒子径([MV]値)0.2〜0.6μmの塩化ビニル重合体粒子を含むラテックス溶液とポリオールを混合すると脱水前の粘度が低下し、ハンドリング性能が良好になることを見出して、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、体積平均粒子径([MV]値)0.4〜0.8μmの塩化ビニル重合体粒子をポリオール中に10〜50重量%含有することを特徴とするポリオール組成物、その製造方法、及びそれを用いたポリウレタン樹脂の製造方法である。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明のポリオール組成物
の製造方法は、
体積平均粒子径([MV]値)0.2〜0.6μmの塩化ビニル重合体粒子を含むラテックス溶液をポリオールと混合し、得られた混合物を脱水し、塩化ビニル重合体粒子をポリオール中に分散させたポリオール組成物であって、ポリオール中に含有される塩化ビニル重合体粒子の体積平均粒子径([MV]値)が0.4〜0.8μmであり、かつ、その含有率が、ポリオール組成物に対して10〜50重量%
のポリオール組成物の製造方法である。
【0011】
塩化ビニル重合体粒子の体積平均粒子径([MV]値)が0.4μmより小さくなると、ポリオール組成物の粘度が上昇しやすくなるばかりでなく、塩化ビニル重合体粒子が凝集しやすくなり、保存安定性が低下し、ハンドリング性能が悪くなる。体積平均粒子径([MV]値)が0.8μmより大きくなると、長期保存した場合に粒子の沈降が生じやすくなる。沈降をより防止する点及びハンドリング性能がより良好である点から、0.4〜0.7μmが好ましい。
【0012】
塩化ビニル重合体粒子の含有率(濃度)が10重量%未満では、ポリオールの添加効果として期待されるポリウレタンフォームの硬さの向上が不十分になるおそれがあり、50重量%を超えると、ポリオール組成物の粘度の上昇が著しくなり、ハンドリングが困難となるおそれがあり、さらに、ポリオールの添加効果として期待されるポリウレタンフォームの硬さの向上が不十分になるおそれがある。ハンドリング性能をさらに向上させるため、20〜45重量%が好ましい。
【0013】
本発明において、ポリオール中に含有される塩化ビニル重合体粒子が存在することを確認するためには、塩化ビニル重合体粒子を含有したポリオールを単に水で希釈し、粒度分布測定を行う。
【0014】
本発明において、塩化ビニル重合体粒子の体積平均粒子径([MV]値)は、一般に知られているレーザー回折法及び動的光散乱法を原理とした粒度分布測定装置であればどのような装置を使用しても測定可能であり、特に制限はない。例えば、マイクロトラック(商品名、日機装株式会社製)等の粒度分布測定装置で測定が可能である。
【0015】
このような塩化ビニル重合体粒子は、塩化ビニル単量体を単独で重合することにより調製することができる。重合方法としては特に制限はなく、生成される塩化ビニル重合体粒子の体積平均粒子径([MV]値)が0.2〜0.6μmとなる条件であれば、塩化ビニル重合体粒子の製造方法として一般に知られているどのような方法でも用いることができる。例えば、塩化ビニル単量体を単独で、脱イオン水、界面活性剤、水溶性重合開始剤と共に緩やかな撹拌下で重合を行う乳化重合法、乳化重合法で得られた粒子をシードとして用い乳化重合を行うシード乳化重合法、塩化ビニル単量体を単独で、脱イオン水、界面活性剤、必要に応じて高級アルコール等の乳化補助剤、油溶性重合開始剤をホモジナイザー等で混合分散した後、緩やかな撹拌下で重合を行うミクロ懸濁重合法、ミクロ懸濁重合法で得られた油溶性重合開始剤を含有するシードを用い重合を行うシードミクロ懸濁重合法等が挙げられる。本発明においては、これらのうち乳化重合法が特に好ましい。
【0016】
本発明のポリオール組成物において、使用されるポリオールとしては、例えば、従来公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、更にはリン含有ポリオールやハロゲン含有ポリオール等の難燃ポリオール等が挙げられる。これらのポリオールは単独で使用することもできるし、適宜混合して併用することもできる。
【0017】
ポリエーテルポリオールとしては、特に限定するものではないが、例えば、少なくとも2個以上の活性水素基を有する化合物(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミン等のアミン類、エタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類等が例示される。)を出発原料として、これとアルキレンオキサイド(エチレンオキシドやプロピレンオキシド等が例示される。)との付加反応により製造されたもの等が挙げられる(例えば、Gunter Oertel,“Polyurethane Handbook”(1985) Hanser Publishers社(ドイツ),p.42−53に記載の方法参照)。
【0018】
ポリエステルポリオールとしては、特に限定するものではないが、例えば、二塩基酸とグリコールの反応から得られるものや、ナイロン製造時の廃物、トリメチロールプロパン、ペンタエリストールの廃物、フタル酸系ポリエステルの廃物、廃品を処理し誘導したポリエステルポリオール等が挙げられる(例えば、岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987)日刊工業新聞社 p.117の記載参照)。
【0019】
ポリマーポリオールとしては、特に限定するものではないが、例えば、前記ポリエーテルポリオールとエチレン性不飽和単量体(例えば、ブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等)をラジカル重合触媒の存在下に反応させた重合体ポリオール等が挙げられる。
【0020】
難燃ポリオールとしては、特に限定するものではないが、例えば、リン酸化合物にアルキレンオキシドを付加して得られるリン含有ポリオールや、エピクロルヒドリンやトリクロロブチレンオキシドを開環重合して得られるハロゲン含有ポリオール、フェノールポリオール等が挙げられる。
【0021】
これらのポリオールとしては、具体的に、現在市販されている、サンニックス(商品名、三洋化成工業株式会社製)、エクセノール(商品名、旭硝子株式会社製)、アクトコール(商品名、三井化学ポリウレタン株式会社製)、VORANOL(商品名、DOW社製)等を挙げることができる。
【0022】
これらのポリオールとしては、例えば、平均水酸基価が20〜1000mgKOH/gの範囲のものが使用でき、特に限定するものではないが、軟質ポリウレタン樹脂や半硬質ポリウレタン樹脂を製造する場合には平均水酸基価が20〜100mgKOH/gの範囲のものが、硬質ポリウレタン樹脂を製造する場合には平均水酸基価が100〜800mgKOH/gの範囲のものが、好適に使用される。
【0023】
本発明のポリオール組成物は、ハンドリングを良好にするため、粘度が10000mPa・s以下であることが好ましい。
【0024】
本発明のポリオール組成物の製造方法は、例えば、体積平均粒子径([MV]値)0.2〜0.6μmの塩化ビニル重合体粒子を含むラテックス溶液とポリオールとを混合し、得られた混合物を脱水することをその特徴とする。
【0025】
本発明において、体積平均粒子径([MV]値)0.2〜0.6μmの塩化ビニル重合体粒子を含むラテックス溶液とポリオールとを混合することにより、水分、ポリオール、並びに塩化ビニル重合体粒子を含む混合物が得られる。この混合物は、ポリオールの種類によって、液状、ゲル状、クリーム状の状態となる。この混合物がゲル状、クリーム状となった場合は、例えば、ラボであれば、T.K.ホモディスパ(商品名、プライミクス株式会社製)等の高速乳化・分散機を用いて均一な状態となるまで攪拌することが好ましい。均一化が不十分な場合、引き続いて行う脱水工程で、塩化ビニル重合体粒子の凝集が生じるおそれがある。また、体積平均粒子径([MV]値)が0.2μmより小さいと、脱水前の粘度が上がってしまい、分散機を使用して均一にする際に混合、分散しにくくなり、さらに脱水しにくくなって、ハンドリング性能に劣る。
【0026】
上記混合物の脱水方法としては、特に限定するものではないが、例えば、ラボレベルであれば、減圧下で50℃前後の熱を加えながら脱気すればよい。ゲル状、クリーム状となった混合物であっても、脱水が進むにつれ液状となる。具体的な脱水方法としては、ラボレベルであればロータリーエバポレーターによる脱水を例示することができる。また、高粘度の攪拌に対応した撹拌機と減圧可能な蒸発釜を使用する方法等が例示される。
【0027】
また、塩化ビニル重合体粒子が凝集することを防止するため、脱水時の温度は70℃以下が好ましく、より好ましくは60℃以下である。一方、脱水時間をより短縮するため、室温以上が好ましく、40℃以上の温度がより好ましい。
【0028】
本発明において、脱水量としては、本発明のポリオール組成物の用途に対して任意に決めることができ、特に限定するものではないが、あえて例示すると、ポリウレタン樹脂を調製するときに発泡剤として水を用いる場合には、0〜5重量%、好ましくは0〜3重量%の含水量となるように脱水すればよい。
【0029】
次に本発明のポリオール組成物を用いたポリウレタン樹脂の製造方法について説明する。
【0030】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを触媒の存在下に反応させるポリウレタン樹脂の製造方法であって、ポリオール成分の一部として本発明の上記したポリオール組成物を使用することをその特徴とする。
【0031】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、ポリオール成分として使用されるポリオールは本発明の上記したポリオール組成物であるが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した従来公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、難燃ポリオール等のポリオールを使用することができる。これらのポリオールは単独で使用することもできるし、適宜混合して併用することもできる。
【0032】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法においては、ポリオールの添加効果として期待されるポリウレタンフォームの硬さをより向上させるため、使用されるポリオール(本発明のポリオール組成物中のポリオールを含む。)に対する塩化ビニル重合体粒子の含有率を10重量%以上とすることが好ましく、20重量%以上とすることがさらに好ましい。
【0033】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、イソシアネート成分として使用されるポリイソシアネートは、従来公知のものであればよく、特に限定するものではないが、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフチレンジイシシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類、ジシクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート類、これらの混合体等が挙げられる。これらのうち好ましくはTDIとその誘導体、又はMDIとその誘導体であり、これらは単独で使用しても、混合して使用しても差し支えない。
【0034】
TDIとその誘導体としては、例えば、2,4−TDIと2,6−TDIの混合物、TDIの末端イソシアネートプレポリマー誘導体等を挙げることができる。また、MDIとその誘導体としては、例えば、MDIとその重合体のポリフェニルポリメチレンジイソシアネートの混合体、末端イソシアネート基をもつジフェニルメタンジイソシアネート誘導体等を挙げることができる。
【0035】
これらイソシアネートのうち、軟質ポリウレタン樹脂や半硬質ポリウレタン樹脂製品には、TDIとその誘導体及び/又はMDIとその誘導体が、硬質ポリウレタン樹脂にはMDIとその重合体のポリフェニルポリメチレンジイソシアネートの混合体が好適に使用される。
【0036】
これらポリイソシアネートとポリオールの混合割合としては、特に限定するものではないが、イソシアネートインデックス([イソシアネート基]/[イソシアネート基と反応しうる活性水素基])で表すと、一般に60〜400の範囲が好ましい。
【0037】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、使用される触媒としては、ポリウレタン樹脂の製造に用いられる従来公知の触媒でよく、特に限定するものではないが、例えば、有機金属触媒、第3級アミン触媒、第4級アンモニウム塩触媒等が好適なものとして挙げられる。
【0038】
有機金属触媒としては、従来公知のものでよく、特に限定するものではないが、例えば、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト等が挙げられる。
【0039】
第3級アミン触媒としては、従来公知のものでよく、特に限定するものではないが、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ジメチルアミノプロピルイミダゾール等の第三級アミン化合物類が挙げられる。
【0040】
第4級アンモニウム塩触媒としては、従来公知のものでよく、特に限定するものではないが、例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド等のテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、水酸化テトラメチルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム水酸化物、テトラメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムギ酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩等のテトラアルキルアンモニウム有機酸塩類が挙げられる。
【0041】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、必要であれば、発泡剤を使用することができる。発泡剤としては、特に限定するものではないが、例えば、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)等のフロン系化合物、HFE−254pc等のハイドロフルオロエーテル類、低沸点炭化水素、水、液化炭酸ガス、ジクロロメタン、ギ酸、アセトンから選ばれる1種以上であり混合物を使用することができる。低沸点炭化水素としては、通常、沸点が通常−30〜70℃の炭化水素が使用され、その具体例としては、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、これらの混合物等が挙げられる。
【0042】
発泡剤の使用量は、所望の密度やフォーム物性に応じて決定されるが、具体的には、得られるフォーム密度が、通常5〜1000kg/m
3、好ましくは10〜500kg/m
3となるように選択される。
【0043】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、必要であれば、整泡剤として界面活性剤を用いることができる。使用される界面活性剤としては、例えば、従来公知の有機シリコーン系界面活性剤が挙げられ、具体的には、有機シロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体、シリコーン−グリース共重合体等の非イオン系界面活性剤、又はこれらの混合物等が例示される。それらの使用量は、ポリオール100重量部に対して通常0.1〜10重量部である。
【0044】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、必要であれば、架橋剤又は鎖延長剤を用いることができる。架橋剤又は鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等の低分子量の多価アルコール類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の低分子量のアミンポリオール類、エチレンジアミン、キシリレンジアミン、メチレンビスオルソクロルアニリン等のポリアミン類等を挙げることができる。
【0045】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、必要であれば、難燃剤を用いることができる。使用される難燃剤としては、例えば、リン酸とアルキレンオキシドとの付加反応によって得られるプロポキシル化リン酸、プロポキシル化ジブチルピロリン酸等の含リンポリオールの様な反応型難燃剤、トリクレジルホスフェート等の第3リン酸エステル類、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート等のハロゲン含有第3リン酸エステル類、ジブロモプロパノール、ジブロモネオペンチルグリコール、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン含有有機化合物類、酸化アンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸アルミニウム等の無機化合物等が挙げられる。その量は特に限定されるものではなく、要求される難燃性に応じて異なるが、通常ポリオール100重量部に対して4〜20重量部である。
【0046】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、必要であれば、着色剤や、老化防止剤、その他従来公知の添加剤等も使用できる。これらの添加剤の種類、添加量は、使用される添加剤の通常の使用範囲でよい。
【0047】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法は、例えば、上記した原料を混合した混合液を急激に混合・攪拌した後、適当な容器又はモールドに注入して発泡成型することにより行われる。混合・攪拌は一般的な攪拌機や専用のポリウレタン発泡機を使用して実施すれば良い。ポリウレタン発泡機としては高圧、低圧、スプレー式の機器が使用できる。
【0048】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法により得られるポリウレタン樹脂製品としては、発泡剤を使用しないエラストマーや発泡剤を使用するポリウレタンフォーム等が挙げられ、本発明のポリウレタン樹脂の製造方法は、これらのようなポリウレタンフォーム製品の製造に好適に使用される。
【0049】
ポリウレタンフォーム製品としては、軟質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォーム等が挙げられるが、本発明のポリウレタン樹脂の製造方法は、自動車内装材として用いられる軟質ポリウレタンフォームのカーシート、半硬質ポリウレタンフォームのインスツルメントパネルやハンドル、硬質ポリウレタンフォームにて製造される断熱材の製造に特に好適に使用される。
【0050】
なお、本発明において、軟質ポリウレタンフォームとは、一般的にオープンセル構造を有し、高い通気性を示す可逆変形可能なフォームをいう(Gunter Oertel,“Polyurethane Handbook”(1985年版)Hanser Publishers社(ドイツ),p.161〜233や、岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987年初版)日刊工業新聞社、p.150〜221の記載参照)。軟質ウレタンフォームの物性としては、特に限定するものではないが、一般的には、密度が10〜100kg/m
3、圧縮強度(ILD25%)が200〜8000kPa、伸び率が80〜500%の範囲である。
【0051】
また、半硬質ポリウレタンフォームとは、フォーム密度及び圧縮強度は軟質ポリウレタンフォームよりも高いものの、軟質ポリウレタンフォームと同様にオープンセル構造を有し、高い通気性を示す可逆変形可能なフォームをいう(Gunter Oertel,“Polyurethane Handbook”(1985年版)Hanser Publishers社(ドイツ),p.223〜233や、岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987年初版)日刊工業新聞社、p.211〜221の記載参照)。また、使用するポリオール、イソシアネート原料も軟質ポリウレタンフォームと同様であるため、一般に軟質ポリウレタンフォームに分類される。半硬質ウレタンフォームの物性は、特に限定するものではないが、一般的には、密度が40〜800kg/m
3、圧縮強度(ILD25%)が10〜200kPa、伸び率が40〜200%の範囲である。本発明において、軟質ポリウレタンフォームは、使用する原料及びフォーム物性から半硬質ポリウレタンフォームを含む場合がある。
【0052】
さらに、硬質ポリウレタンフォームとは、高度に架橋されたクローズドセル構造を有し、可逆変形不可能なフォームをいう(Gunter Oertel,“Polyurethane Handbook”(1985年版)Hanser Publishers社(ドイツ),p.234〜313や、岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987年初版)日刊工業新聞社、p.224〜283の記載参照)。硬質ウレタンフォームの物性は、特に限定するものではないが、一般的には、密度が10〜100kg/m
3、圧縮強度が50〜1000kPaの範囲である。