(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、発泡液、特にアルカリ性の発泡液中でも初期消泡性が良好で且つ経時劣化が少なく、消泡性能が優れるオイルコンパウンド、及びその製造方法、並びにそのオイルコンパウンドを含有する消泡剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、
(A)25℃における粘度が10〜100,000mm
2/sである本質的に疎水性のオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)比表面積が50m
2/g以上の微粉末シリカ:1〜30質量部、
(C)下記一般式(I)で表される末端アルコキシ変性オルガノポリシロキサン:0.001〜5質量部、
【化1】
(式中、XはR
1又はY−O−から選択される有機基であり、Yは−SiR
13-a(OR
2)
aで表される有機基である。また、R
1は炭素数1〜20の一価の有機基であり、R
2は同一でも異なっていてもよく、水素原子、又は置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜20の一価炭化水素基である。aは1〜3の整数、mは2以上の整数である。)
を含有し、(B)成分の表面処理剤として(C)成分を用いる消泡剤用オイルコンパウンドを使用することで、アルカリ性の発泡液中でも初期消泡性及び特に消泡持続性が優れるシリコーン系の消泡剤組成物を得ることができることを見出し、本発明をなすに至った。
【0010】
従って、本発明は、下記に示す消泡剤用オイルコンパウンド、その製造方法及びそれを含む消泡剤組成物を提供する。
〔1〕
(A)25℃における粘度が10〜100,000mm
2/sである本質的に疎水性のオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)比表面積が50m
2/g以上の微粉末シリカ:1〜30質量部、
(C)下記一般式(I)で表される末端アルコキシ変性オルガノポリシロキサン:0.001〜5質量部、
【化3】
(式中、XはR
1又はY−O−から選択される有機基であり、Yは−SiR
13-a(OR
2)
aで表される有機基である。また、R
1及びR
2は
メチル基である。aは
3、mは2以上の整数である。)
を含有してなり、(B)成分の表面処理剤として(C)成分を用いることを特徴とする消泡剤用オイルコンパウンド。
〔2〕
(A)成分が、下記平均組成式(II)
R3nSiO(4-n)/2 (II)
(R3は非置換もしくは置換の炭素数1〜18の一価炭化水素基であり、nは1.9≦n≦2.2の正数である。ただし、全R3の80モル%以上がメチル基である。)
で示されるオルガノポリシロキサンである〔1〕記載の消泡剤用オイルコンパウンド。
〔
3〕
(1)(A)25℃における粘度が10〜100,000mm
2/sである本質的に疎水性のオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)比表面積が50m
2/g以上の微粉末シリカ:1〜30質量部、
(C)下記一般式(I)で表される末端アルコキシ変性オルガノポリシロキサン:0.001〜5質量部、
【化4】
(式中、XはR
1又はY−O−から選択される有機基であり、Yは−SiR
13-a(OR
2)
aで表される有機基である。また、R
1及びR
2は
メチル基である。aは
3、mは2以上の整数である。)
(D)水:0〜5質量部
を混練する第一の工程、
(2)この第一の工程で得られた混練物を熱処理する第二の工程からなる第一コンパウンディングと、
(3)この第二の工程で得られた混練物に、
(E)アルカリ触媒又は酸触媒:0.001〜5質量部を混練する第三の工程、
(4)この第三の工程で得られた混練物を熱処理する第四の工程からなる第二コンパウンディングと、
(5)この第四の工程で得られた混練物に、中和剤として酸又はアルカリを混練する第五の工程
とを含むことを特徴とする消泡剤用オイルコンパウンドの製造方法。
〔4〕
(A)成分が、下記平均組成式(II)
R3nSiO(4-n)/2 (II)
(R3は非置換もしくは置換の炭素数1〜18の一価炭化水素基であり、nは1.9≦n≦2.2の正数である。ただし、全R3の80モル%以上がメチル基である。)
で示されるオルガノポリシロキサンである〔3〕記載の消泡剤用オイルコンパウンドの製造方法。
〔
5〕
〔1〕
又は〔2〕記載のオイルコンパウンドを含むことを特徴とする消泡剤組成物。
この場合、消泡剤組成物は、溶液型、自己乳化型、エマルション型として調製し得、アルカリ性の発泡液用として好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アルカリ性の発泡液中でも良好な初期消泡性を与え、及び特に経時での性能低下が少なく、消泡性能が優れるシリコーン系消泡剤組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
(A)成分
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、本質的に疎水性のものである。ここで、本質的に疎水性とは、一部の官能基に親水性基を含有してもオルガノポリシロキサン全体として疎水性を示すことである。
【0013】
本質的に疎水性のオルガノポリシロキサン(A)は、直鎖状のものでも分岐状のものでもよいが、特に下記平均組成式(II)で示されるものが好適である。
R
3nSiO
(4-n)/2 (II)
【0014】
上記式(II)において、R
3は非置換もしくは置換の炭素数1〜18の一価炭化水素基であり、これらは同一であっても異なっていてもよい。R
3の一価炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、スチリル基、α−メチルスチリル基等のアラルキル基など、又はこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、水酸基等で置換したクロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノエチル基、3−アミノプロピル基、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基等が挙げられるが、消泡性及び経済性の面から全R
3の80モル%以上、特に90モル%以上がメチル基であることが好ましい。
また、nは1.9≦n≦2.2、好ましくは1.95≦n≦2.15の正数である。
なお、オルガノポリシロキサンの末端は、R
33Si−で示されるトリオルガノシリル基で封鎖されていても、(HO)R
32Si−で示されるジオルガノヒドロキシシリル基で封鎖されていてもよい。
【0015】
この本質的に疎水性のオルガノポリシロキサン(A)のオストワルド粘度計により測定した25℃における粘度は、消泡性、作業性の面から10〜100,000mm
2/sであり、好ましくは50〜30,000mm
2/sである。10mm
2/s未満では消泡性能が劣り、100,000mm
2/sを超えると消泡剤用オイルコンパウンド(以下、シリコーンオイルコンパウンドと称することがある)の粘度が増大して作業性が悪くなる。
【0016】
本発明で用いることのできる(A)成分は通常、オクタメチルシクロテトラシロキサンなどの環状低分子シロキサンを、触媒を用いて開環重合させて製造するが、重合後は原料である環状低分子シロキサンを含有しているため、これを加熱及び減圧下で、反応生成中に不活性気体を通気させながら、留去したものを用いることが好ましい。
【0017】
本発明で用いることのできる(A)成分の具体的な構造を表したものとしては以下に示すようなものなどが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中のMe、Vi、Ph、OHはそれぞれメチル基、ビニル基、フェニル基、ヒドロキシル基を示す。
【化4】
(g≧10、h≧1)
【0018】
(B)成分
(B)成分の微粉末シリカとしては、フュームドシリカ又は沈降シリカなどの親水性シリカが望ましく、これらは1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。また、微粉末シリカの比表面積(BET法)は50m
2/g以上であり、好ましくは100〜700m
2/gであり、更に好ましくは150〜500m
2/gである。比表面積が50m
2/g未満では好ましい消泡性能が得られない。
【0019】
本発明で用いることのできる市販の(B)成分の例として、日本アエロジル(株)から購入可能であるAEROSIL(登録商標)300(300m
2/gのBET比表面積を有する親水性フュームドシリカ)、AEROSIL(登録商標)200(200m
2/gのBET比表面積を有する親水性フュームドシリカ)や、東ソー・シリカ(株)から購入可能であるNIPSIL(登録商標)L−250(170m
2/gのBET比表面積を有する親水性沈降シリカ)などが挙げられる。
【0020】
(B)成分の割合は、(A)成分100質量部に対して1〜30質量部であり、好ましくは5〜15質量部の範囲である。1質量部未満であると十分な消泡性能が得られず、30質量部を超えると得られるシリコーンオイルコンパウンドの粘度が増加して作業性が悪くなる。
【0021】
(C)成分
(C)成分の下記一般式(I)で表される末端アルコキシ変性オルガノポリシロキサンは、(B)成分の表面疎水化処理を行うと共に、(B)成分の(A)成分に対する濡れ性、分散性を向上させるものであり、これらは1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【化5】
(式中、XはR
1又はY−O−から選択される有機基であり、Yは−SiR
13-a(OR
2)
aで表される有機基である。また、R
1は炭素数1〜20の一価の有機基であり、R
2は同一でも異なっていてもよく、水素原子、又は置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜20の一価炭化水素基である。aは1〜3の整数、mは2以上の整数である。)
【0022】
一般式(I)のR
1は一価炭化水素基であることが好ましく、より好ましくはアルキル基又はアリール基であり、更に好ましくは炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基である。R
2もアルキル基であることが好ましい。mは2〜100が好ましく、より好ましくは2〜80であり、更に好ましくは2〜50である。
【0023】
一般式(I)は、片末端又は両末端アルコキシ変性オルガノポリシロキサンのどちらでもよく、これらは1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。また、片末端及び両末端ジ又はトリアルコキシ変性オルガノポリシロキサンが好ましく、より好ましくは片末端及び両末端トリアルコキシ変性オルガノポリシロキサンである。
【0024】
本発明で用いることのできる(C)成分の例としては、片末端モノアルコキシ変性オルガノポリシロキサン[式(I)において、R
1及びR
2=CH
3、X=CH
3又は−O−SiR
12(OR
2)、Y=−SiR
12(OR
2)、m=2以上の整数]、片末端ジアルコキシ変性オルガノポリシロキサン[式(I)において、R
1及びR
2=CH
3、X=CH
3又は−O−SiR
12(OR
2)、Y=−SiR
1(OR
2)
2、m=2以上の整数]、片末端トリアルコキシ変性オルガノポリシロキサン[式(I)において、R
1及びR
2=CH
3、X=CH
3又は−O−SiR
12(OR
2)、Y=−Si(OR
2)
3、m=2以上の整数]、両末端モノアルコキシ変性オルガノポリシロキサン[式(I)において、R
1及びR
2=CH
3、X及びY=−SiR
12(OR
2)、m=2以上の整数]、両末端ジアルコキシ変性オルガノポリシロキサン[式(I)において、R
1及びR
2=CH
3、X及びY=−SiR
1(OR
2)
2、m=2以上の整数]、両末端トリアルコキシ変性オルガノポリシロキサン[式(I)において、R
1及びR
2=CH
3、X及びY=−Si(OR
2)
3、m=2以上の整数]等が挙げられる。
【0025】
(C)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対して0.001〜5質量部であり、好ましくは0.01〜3質量部である。0.001質量部未満であると十分な消泡性能が得られず、5質量部を超えると得られるシリコーンオイルコンパウンドの消泡性能が悪くなる。
【0026】
(D)成分
(D)成分の水は、上記(C)成分の加水分解を促進し、(B)成分の表面処理速度を増大させる役割を担っている。(B)成分には吸着水などの水を含有する場合もあるため、(D)成分は必須でなくてもよい。
【0027】
(D)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対して0〜5質量部であり、好ましくは0.01〜5質量部であり、より好ましくは0.01〜3質量部である。
【0028】
(E)成分
(E)成分のアルカリ触媒としては、ポリシロキサンの平衡反応に用いられる公知のアルカリ触媒である、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、アルコキシド又はシリコネートを用いることができ、好ましくはカリウムシリコネート及び水酸化カリウムである。また、酸触媒としては、酢酸、酪酸、マレイン酸、クエン酸等の有機酸類、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸等の無機酸類などが挙げられる。(E)成分としては、酸触媒よりもアルカリ触媒の方が好ましい。
【0029】
(E)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対して0.001〜5質量部であり、好ましくは0.01〜5質量部であり、より好ましくは0.01〜3質量部であり、更に好ましくは0.05〜3質量部である。0.001質量部未満では十分な触媒効果が得られず、5質量部を超える量でも触媒の効果は大きく向上しないため、コスト的に不利になる。
【0030】
前記の中和剤として、アルカリ触媒に対する中和剤としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸や室温で固体状のカルボン酸を用いることができ、好ましくは、室温で固体状のカルボン酸である。室温で固体状のカルボン酸としては、安息香酸等のモノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸、クエン酸、イソクエン酸、オキサロコハク酸、アコニット酸等のトリカルボン酸が使用される。中でも酸解離定数が小さく酸として強い上、入手が容易なコハク酸が好ましい。また、酸触媒に対する中和剤としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、アルコキシド又はシリコネートを用いることができ、好ましくはカリウムシリコネート及び水酸化カリウムである。
【0031】
本発明におけるシリコーンオイルコンパウンド製造法の特徴は、コンパウンディングが第一コンパウンディングと第二コンパウンディングの2段階で行われることにある。第一コンパウンディングは、(C)成分である末端アルコキシ変性オルガノポリシロキサンを(B)成分である微粉末シリカの表面に吸着又は固定化することを主な目的とし、第二コンパウンディングは、(A)成分であるオルガノポリシロキサン等のポリマー成分及び(C)成分由来の反応性基を(B)成分である微粉末シリカ表面に固定化することを主な目的としている。
【0032】
即ち、本発明においては、
(1)(A)25℃における粘度が10〜100,000mm
2/sである本質的に疎水性のオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)比表面積が50m
2/g以上の微粉末シリカ:1〜30質量部、
(C)下記一般式(I)で表される末端アルコキシ変性オルガノポリシロキサン:0.001〜5質量部、
【化6】
(式中、XはR
1又はY−O−から選択される有機基であり、Yは−SiR
13-a(OR
2)
aで表される有機基である。また、R
1は炭素数1〜20の一価の有機基であり、R
2は同一でも異なっていてもよく、水素原子、又は置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜20の一価炭化水素基である。aは1〜3の整数、mは2以上の整数である。)
(D)水:0〜5質量部
を混練する第一の工程、
(2)この第一の工程で得られた混練物を熱処理する第二の工程からなる第一コンパウンディングと、
(3)この第二の工程で得られた混練物に、
(E)アルカリ触媒又は酸触媒:0.001〜5質量部(上記(A)成分100質量部に対し)を混練する第三の工程、
(4)この第三の工程で得られた混練物を熱処理する第四の工程からなる第二コンパウンディングと、
(5)この第四の工程で得られた混練物に、中和剤として酸又はアルカリを混練する第五の工程
とを含み、これによって消泡剤用オイルコンパウンドを製造するものである。
【0033】
この第一から第五の工程を経て製造されたシリコーンオイルコンパウンドを用いることで、発泡液、特にアルカリ性の発泡液中でも初期消泡性及び消泡持続性が優れる消泡剤組成物を得ることができる。
【0034】
この場合、第一の工程において、(A)〜(C)成分又は(A)〜(D)成分は好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下の温度で混練する。特に外部より加熱する必要はなく、室温(例えば10〜30℃)で混練することができ、混練中に生じる摩擦抵抗による系内の発熱により上昇した温度を100℃以下、特に80℃以下に調整することがよい。100℃を超えて混練が行われると、(C)成分が揮発し、有効に作用しなくなる場合がある。この第一の工程の処理時間は、混練装置及びスケールに大きく依存するもので一概には規定できないが、通常0.1〜3時間、特には0.5〜2時間程度が望ましい。
【0035】
第二の工程は、(B)成分中の吸着水又は(D)成分の少なくともいずれかにより加水分解された(C)成分を(B)成分の表面に固定化するための熱処理工程であり、120〜200℃、好ましくは140〜180℃で、好ましくは混練しながら熱処理する。熱処理温度が、120℃未満では消泡性能が劣り、200℃を超える温度では(A)成分が劣化(分解)する場合がある。なお、この第二の工程の処理時間は、混練装置及びスケールに大きく依存するもので一概には規定できないが、通常0.1〜4時間、特には0.5〜2時間程度が望ましい。
【0036】
第三の工程は、第二の工程にて得られた混練物に(E)成分を添加し、オイルコンパウンドの系中をアルカリ性又は酸性にするものである。第三の工程も第一の工程と同様の理由から、100℃以下の温度で混練することが好ましい。なお、この場合も、混練を室温(例えば、10〜30℃)にて行うことができる。この第三の工程の処理時間も、混練装置及びスケールに大きく依存するもので一概には規定できないが、通常0.05〜3時間、特には0.1〜2時間程度が望ましい。
【0037】
第四の工程は、(A)成分のオルガノポリシロキサン等のポリマー成分及び(C)成分由来の反応性基を(B)成分の微粉末シリカ表面に固定化するための熱処理工程であり、120〜200℃、好ましくは140〜180℃で、好ましくは混練しながら熱処理する。熱処理温度が、120℃未満では消泡性能が劣り、200℃を超える温度では(A)成分が劣化(分解)する場合がある。なお、この第四の工程の処理時間は、混練装置及びスケールに大きく依存するもので一概には規定できないが、通常0.1〜6時間、特には2〜4時間程度が望ましい。
【0038】
第五の工程は、第二コンパウンディングで用いたアルカリ触媒又は酸触媒を中和する工程である。第五の工程も第一、第三の工程と同様の理由から、100℃以下の温度で混練することが好ましい。なお、この場合も、混練を室温(例えば、10〜30℃)にて行うことができる。この第五の工程の処理時間も、混練装置及びスケールに大きく依存するもので一概には規定できないが、通常0.1〜4時間、特には0.5〜3時間程度が望ましい。
【0039】
本発明の製造方法において、混練を行うために使用される混練機としては、例えば、プラネタリーミキサー、ニーダー、加圧ニーダー、二軸混練機、インテンシブミキサー、アジホモミキサー、ディスパー、プラネタリーディスパー等が挙げられるが、特に限定されない。これら混練機は、第一の工程から中和工程のいずれにおいても用いることができる。
【0040】
上記成分を混練し、熱処理して得たシリコーンオイルコンパウンドは、そのまま使用されるか、あるいは該シリコーンオイルコンパウンドを含む消泡剤組成物、具体的には、適当な溶媒に分散した溶液型消泡剤組成物、ポリオキシアルキレン基で変性されたオルガノポリシロキサンとの併用による自己乳化型消泡剤組成物、又は周知の乳化技術によって得られるエマルション型消泡剤組成物等として使用することができる。
【0041】
ここで、適当な溶媒に分散した溶液型消泡剤組成物とする場合、溶媒としては、(A)成分である本質的に疎水性のオルガノポリシロキサンが溶解する溶媒、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、クロロホルム、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン等が挙げられる。
【0042】
溶液型消泡剤組成物とする場合、シリコーンオイルコンパウンドの含有量は、消泡剤組成物全体の5〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは30〜70質量%である。シリコーンオイルコンパウンドの含有量が少なすぎると消泡剤組成物としての消泡性能が劣る場合があり、多すぎるとシリコーンオイルコンパウンドの分散性を高めるという溶液型消泡剤組成物の主目的を満足できない場合がある。
【0043】
また、ポリオキシアルキレン基で変性されたオルガノポリシロキサンとの併用による自己乳化型消泡剤組成物とする場合、ポリオキシアルキレン基で変性されたオルガノポリシロキサンとしては、下記一般式(III)で示されるものが挙げられる。
R
42R
6SiO−(R
42SiO)
x−(R
4R
5SiO)
y−SiR
42R
6 (III)
【0044】
上記式(III)中、R
4は互いに同一又は異種の非置換もしくは置換の炭素数1〜18の一価炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、スチリル基、α−メチルスチリル基等のアラルキル基など、又はこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基、アミノ基等で置換したクロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノエチル基、3−アミノプロピル基、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基等の一価炭化水素基が挙げられる。
【0045】
また、R
5は下記一般式(IV)で示されるポリオキシアルキレン基である。
−R
7−O(CH
2CH
2O)
w−(CH
2(CH
3)CHO)
z−R
8 (IV)
上記式(IV)中、R
7は炭素数2〜6の二価炭化水素基であり、アルキレン基、アルケニレン基等が挙げられ、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。また、R
8は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アセチル基又はイソシアン基であり、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。w及びzはブロック状又はランダム状に重合してよく、その重合度はw及びzは3≦w+z≦80、好ましくは5≦w+z≦60、且つw/z=2/8〜8/2、好ましくはw/z=2.5/7.5〜7.5/2.5を満たす正数である。
【0046】
一方、R
6はR
4もしくはR
5と同様の基、水酸基又は炭素数1〜6のアルコキシ基であり、具体的には前記のR
4及びR
5として例示した基、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
なお、上記式(III)中のxは5〜200、好ましくは20〜150の整数であり、yは1〜30、好ましくは1〜20の整数である。
【0047】
このポリオキシアルキレン基で変性されたオルガノポリシロキサンは、1種単独で用いても、2種以上の混合物を用いてもよいが、オストワルド粘度計により測定した25℃における粘度が、10〜10,000mm
2/s、好ましくは50〜8,000mm
2/s、更に好ましくは500〜5,000mm
2/sであるものを用いることができる。
【0048】
ポリオキシアルキレン基で変性されたオルガノポリシロキサンの具体例としては、下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(CH
3)
3SiO−[(CH
3)
2SiO]
30−[(CH
3)R’SiO]
5−Si(CH
3)
3
R’:−C
3H
6O−(C
2H
4O)
30−(C
3H
6O)
10−C
4H
9、
(CH
3)
3SiO−[(CH
3)
2SiO]
30−[(CH
3)R’SiO]
3−Si(CH
3)
3
R’:−C
3H
6O−(C
2H
4O)
20−(C
3H
6O)
20−C
4H
9、
(CH
3)
3SiO−[(CH
3)
2SiO]
40−[(CH
3)R’SiO]
4−Si(CH
3)
3
R’:−C
3H
6O−(C
2H
4O)
21−(C
3H
6O)
7−COCH
3、
(CH
3)
3SiO−[(CH
3)
2SiO]
50−[(CH
3)R’’SiO]
6−[(CH
3)R’’’SiO]
1−Si(CH
3)
3
R’’:−C
3H
6O−(C
2H
4O)
32−(C
3H
6O)
8−C
4H
9
R’’’:−C
12H
25、
(CH
3)
3SiO−[(CH
3)
2SiO]
135−[(CH
3)R’SiO]
15−Si(CH
3)
3
R’:−C
3H
6O−(C
2H
4O)
21−(C
3H
6O)
21−CH
3、
(CH
3)
3SiO−[(CH
3)
2SiO]
30−[(CH
3)R’SiO]
5−Si(CH
3)
3
R’:−C
3H
6O−(C
2H
4O)
25.5−(C
3H
6O)
8.5−C
4H
9、
(CH
3)
3SiO−[(CH
3)
2SiO]
27−[(CH
3)R’SiO]
3−Si(CH
3)
3
R’:−C
3H
6O−(C
2H
4O)
23−(C
3H
6O)
23−C
4H
9
【0049】
自己乳化型消泡剤組成物において、上記ポリオキシアルキレン基で変性されたオルガノポリシロキサンは、1種単独で用いても、2種以上の混合物を用いてもよいが、その含有量は自己乳化型消泡剤組成物全体の0〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは0〜70質量%である。含有量が多すぎると消泡剤組成物としての消泡性能が劣る場合がある。なお、配合する場合は有効量とすることができるが、20質量%以上配合することが好ましい。
【0050】
また、ポリオキシアルキレン基で変性されたオルガノポリシロキサンとの併用による自己乳化型消泡剤組成物には、
HO−[CH
2(CH
3)CHO]
35−H、
HO−[CH
2(CH
3)CHO]
70−H、
HO−(CH
2CH
2O)
4−[CH
2(CH
3)CHO]
30−H、
HO−(C
2H
4O)
25−(C
3H
6O)
35−H、
HO−(C
3H
6O)
30−H、
CH
2=CHCH
2O−(CH
2CH
2O)
32−[CH
2(CH
3)CHO]
8−H、
CH
2=CHCH
2O−(CH
2CH
2O)
22−[CH
2(CH
3)CHO]
22−C
4H
9、
CH
2=CHCH
2O−(CH
2CH
2O)
10−CH
3
で例示されるようなポリオキシアルキレン重合体や、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油等の非イオン性界面活性剤を用いてもよい。
なお、上記に例示した組成式は一例であり、本発明を制限するものではない。
【0051】
自己乳化型消泡剤組成物において、上記ポリオキシアルキレン重合体は、シリコーンオイルコンパウンドの分散性を高めるために配合するものであり、1種単独で用いても、2種以上の混合物を用いてもよいが、その含有量は自己乳化型消泡剤組成物全体の0〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは0〜70質量%である。含有量が多すぎると消泡剤組成物としての消泡性能が劣る場合がある。なお、配合する場合は有効量とすることができるが、20質量%以上配合することが好ましい。
【0052】
また、自己乳化型消泡剤組成物において、上記非イオン性界面活性剤は、シリコーンオイルコンパウンドの分散性を高めるために配合するものであり、1種単独で用いても、2種以上の混合物を用いてもよいが、この含有量は自己乳化型消泡剤組成物全体の0〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは0〜70質量%である。含有量が多すぎると消泡剤組成物としての消泡性能が劣る場合がある。なお、配合する場合は有効量とすることができるが、20質量%以上配合することが好ましい。
【0053】
また、自己乳化型消泡剤組成物とする場合、シリコーンオイルコンパウンドの含有量は、自己乳化型消泡剤組成物全体の5〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜70質量%であり、更に好ましくは20〜60質量%である。シリコーンオイルコンパウンドの含有量が少なすぎると消泡剤組成物としての消泡性能が劣る場合があり、多すぎるとシリコーンオイルコンパウンドの分散性を高めるという自己乳化型消泡剤組成物の主目的を満足できない場合がある。
【0054】
更に、エマルション型消泡剤組成物とする場合、公知の方法を用いることができるが、シリコーンオイルコンパウンドを乳化する乳化剤としては、上述したポリオキシアルキレン基で変性されたオルガノポリシロキサンや、ポリオキシアルキレン重合体、非イオン性界面活性剤等を使用することができる。
【0055】
エマルション型消泡剤組成物において、上記ポリオキシアルキレン基で変性されたオルガノポリシロキサンは、1種単独で用いても、2種以上の混合物を用いてもよいが、その含有量はエマルション型消泡剤組成物全体の0〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量%である。含有量が30質量%を超えると組成物の消泡性能が悪くなる場合がある。
【0056】
また、エマルション型消泡剤組成物において、上記ポリオキシアルキレン重合体は、乳化助剤となるもので、1種単独で用いても、2種以上の混合物を用いてもよいが、その含有量はエマルション型消泡剤組成物全体の0〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは0〜20質量%である。含有量が40質量%を超えると組成物の乳化特性が悪くなる場合がある。なお、配合する場合は有効量とすることができるが、5質量%以上配合することが好ましい。
【0057】
更に、エマルション型消泡剤組成物において、上記非イオン性界面活性剤は、シリコーンオイルコンパウンドを水に分散させるためのものであり、1種単独で用いても、2種以上の混合物を用いてもよいが、この含有量はエマルション型消泡剤組成物全体の0〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜12質量%である。20質量%を超えると消泡剤組成物の粘度が高くなり、作業性が悪くなる場合がある。
【0058】
また、エマルション型消泡剤組成物とする場合、シリコーンオイルコンパウンドの含有量は、エマルション型消泡剤組成物全体の5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜40質量%である。シリコーンオイルコンパウンドの含有量が少なすぎると消泡剤組成物としての消泡性能が劣る場合があり、多すぎると消泡剤組成物の粘度が高くなり、作業性が悪くなる場合がある。
【0059】
エマルション型消泡剤組成物においては、シリコーンオイルコンパウンド、ポリオキシアルキレン基で変性されたオルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン重合体、非イオン性界面活性剤等の各成分を乳化するのに必要な水を添加する必要があり、その量は各成分の含有割合の合計に対する残部であり、好ましくは各成分の合計100質量部に対して50〜2,000質量部、より好ましくは80〜400質量部となるように添加する。
【0060】
なお、エマルション型消泡剤組成物は、水以外の各成分の所定量を混合し、必要に応じて加熱しながら、公知の方法、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、コロイドミル等の混合・分散機により撹拌・乳化することにより調製することができるが、特に水以外の各成分の所定量を均一に混合・分散させた後、水の一部を添加し、撹拌・乳化を行った後に更に残りの水を加え、均一に撹拌・混合して調製する方法が好ましい。
【0061】
また、エマルション型消泡剤組成物には、防腐の目的で少量の保存料・殺菌料を任意で添加してもよい。この保存料・殺菌料の具体例としては、次亜塩素酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラベン類、イソチアゾリン化合物等が挙げられる。この添加量は、エマルション型消泡剤組成物全体の0〜0.5質量%、特に0.005〜0.5質量%が好ましい。
【0062】
また、エマルション型消泡剤組成物には、増粘の目的で少量の増粘剤を任意で添加してもよい。この増粘剤の具体例としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、キサンタンガム、グアーガム等が挙げられる。この添加量は、エマルション型消泡剤組成物全体の0〜1.0質量%、特に0.01〜0.5質量%が好ましい。
【実施例】
【0063】
以下、実施例
、参考例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において、粘度はオストワルド粘度計により測定した25℃における値である。
【0064】
[実施例1]
本質的に疎水性のオルガノポリシロキサンとして、粘度が10,000mm
2/sの分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部、微粉末シリカとして、アエロジル(AEROSIL)300[日本アエロジル(株)製、比表面積300m
2/g]を5質量部、シリカ表面処理剤として、末端トリアルコキシ変性オルガノポリシロキサン[式(I)において、R
1、R
2=CH
3、X=Y−O−、Y=−Si(OR
2)
3、m=10]0.3質量部、水0.3質量部をプラネタリーミキサーを使用して1時間混練した。その後、温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混練した。100℃以下に冷却後、アルカリ触媒として、水酸化カリウムを3質量%含有するカリウムシリコネート2質量部を添加して100℃以下で0.1時間混練した後、混練したまま温度を150℃に昇温、保持し、昇温してから合計で4時間混練した。100℃以下に冷却後、コハク酸を添加して3時間混練することで中和し、シリコーンオイルコンパウンド(a−1)を得た。
このシリコーンオイルコンパウンド(a−1)30質量部に、平均組成が下記式
R
42R
6SiO−(R
42SiO)
x−(R
4R
5SiO)
y−SiR
42R
6
(但し、R
4及びR
6は−CH
3、R
5は−C
3H
6O(C
2H
4O)
21(C
3H
6O)
21CH
3、xは135、yは15である。)
で表され、且つ粘度が2,500mm
2/sであるポリオキシアルキレン変性オルガノシロキサン(a−2)70質量部を室温で混合して自己乳化型消泡剤組成物(A)を調製した。
【0065】
[実施例2]
実施例1のシリコーンオイルコンパウンド(a−1)20質量部と、ソルビタンモノステアレート4質量部と、ポリオキシエチレン(55)モノステアレート6質量部の混合物を加熱溶解後、水70質量部を加え、ホモミキサーで撹拌、乳化してエマルション型消泡剤組成物(B)を調製した。
【0066】
[実施例3]
本質的に疎水性のオルガノポリシロキサンとして、粘度が8,000mm
2/sの分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部、微粉末シリカとして、アエロジル(AEROSIL)200[日本アエロジル(株)製、比表面積200m
2/g]を12質量部、シリカ表面処理剤として、末端トリアルコキシ変性オルガノポリシロキサン[式(I)において、R
1、R
2=CH
3、X=R
1、Y=−Si(OR
2)
3、m=30]0.72質量部をプラネタリーミキサーを使用して1時間混練した。その後、温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混練した。100℃以下に冷却後、アルカリ触媒として、水酸化カリウムを3質量%含有するカリウムシリコネート3質量部を添加して100℃以下で0.1時間混練した後、混練したまま温度を150℃に昇温し、150℃にて2時間混練した。100℃以下に冷却後、コハク酸を添加して3時間混練することで中和し、シリコーンオイルコンパウンド(c−1)を得た。
このシリコーンオイルコンパウンド(c−1)30質量部に、平均組成が下記式
R
42R
6SiO−(R
42SiO)
x−(R
4R
5SiO)
y−SiR
42R
6
(但し、R
4及びR
6は−CH
3、R
5は−C
3H
6O(C
2H
4O)
25.5(C
3H
6O)
8.5C
4H
9、xは30、yは5である。)
で表され、且つ粘度が1,000mm
2/sであるポリオキシアルキレン変性オルガノシロキサン(c−2)50質量部と、平均組成が下記式
HO−(C
2H
4O)
25−(C
3H
6O)
35−H
で表されるポリオキシアルキレン重合体(c−3)20質量部を室温で混合して自己乳化型消泡剤組成物(C)を調製した。
【0067】
[実施例4]
実施例3のシリコーンオイルコンパウンド(c−1)20質量部と、ソルビタンモノステアレート6質量部と、ポリオキシエチレン(55)モノステアレート6質量部の混合物を加熱溶解後、水68質量部を加え、ホモミキサーで撹拌、乳化してエマルション型消泡剤組成物(D)を調製した。
【0068】
[
参考例
1]
本質的に疎水性のオルガノポリシロキサンとして、粘度が10,000mm
2/sの分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部、微粉末シリカとして、アエロジル(AEROSIL)300[日本アエロジル(株)製、比表面積300m
2/g]を5質量部、シリカ表面処理剤として、末端トリアルコキシ変性オルガノポリシロキサン[式(I)において、R
1、R
2=CH
3、X=R
1、Y=−SiR
1(OR
2)
2、m=30]0.3質量部、水0.3質量部をプラネタリーミキサーを使用して1時間混練した。その後、温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混練した。100℃以下に冷却後、アルカリ触媒として、水酸化カリウムを3質量%含有するカリウムシリコネート3質量部を添加して100℃以下で0.1時間混練した後、混練したまま温度を150℃に昇温し、150℃にて2時間混練した。100℃以下に冷却後、コハク酸を添加して3時間混練することで中和し、シリコーンオイルコンパウンド(e−1)を得た。
このシリコーンオイルコンパウンド(e−1)30質量部に、平均組成が下記式
R
42R
6SiO−(R
42SiO)
x−(R
4R
5SiO)
y−SiR
42R
6
(但し、R
4及びR
6は−CH
3、R
5は−C
3H
6O(C
2H
4O)
21(C
3H
6O)
21CH
3、xは135、yは15である。)
で表され、且つ粘度が2,500mm
2/sであるポリオキシアルキレン変性オルガノシロキサン(e−2)70質量部を室温で混合して自己乳化型消泡剤組成物(E)を調製した。
【0069】
[
参考例
2]
参考例
1のシリコーンオイルコンパウンド(e−1)20質量部と、ソルビタンモノステアレート4質量部と、ポリオキシエチレン(55)モノステアレート6質量部の混合物を加熱溶解後、水70質量部を加え、ホモミキサーで撹拌、乳化してエマルション型消泡剤組成物(F)を調製した。
【0070】
[比較例1]
本質的に疎水性のオルガノポリシロキサンとして、粘度が10,000mm
2/sの分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部、微粉末シリカとして、アエロジル(AEROSIL)300[日本アエロジル(株)製、比表面積200m
2/g]を5質量部、アルカリ触媒として、水酸化カリウムを3質量%含有するカリウムシリコネート2質量部を用い、窒素ガス雰囲気下、プラネタリーミキサーを使用して150℃、3時間混練した。100℃以下に冷却後、コハク酸で中和してシリコーンオイルコンパウンド(g−1)を得た。
このシリコーンオイルコンパウンド(g−1)30質量部に、平均組成が下記式
R
42R
6SiO−(R
42SiO)
x−(R
4R
5SiO)
y−SiR
42R
6
(但し、R
4及びR
6は−CH
3、R
5は−C
3H
6O(C
2H
4O)
21(C
3H
6O)
21CH
3、xは135、yは15である。)
で表され、且つ粘度が2,500mm
2/sであるポリオキシアルキレン変性オルガノシロキサン(g−2)70質量部を室温で混合して自己乳化型消泡剤組成物(G)を調製した。
【0071】
[比較例2]
比較例1のシリコーンオイルコンパウンド(g−1)20質量部と、ソルビタンモノステアレート4質量部と、ポリオキシエチレン(55)モノステアレート6質量部の混合物を加熱溶解後、水68質量部を加え、ホモミキサーで撹拌、乳化してエマルション型消泡剤組成物(H)を調製した。
【0072】
実施例1〜
4、参考例1,2及び比較例1,2で得られた消泡剤組成物(A)〜(H)について、下記方法により評価した。結果を表1に示す。
【0073】
[評価方法]
100mLのガラス瓶に不揮発分を8質量%に調整した針葉樹由来の亜硫酸パルプ廃液を50g充填し、このものを80℃で予備加熱した。
消泡性(初期):
80℃で予備加熱した試験液に、消泡剤組成物を有効成分で0.1質量%添加後、振とう機により30秒間振とうして泡立たせ、その泡高さ(液面+泡)と消泡までの時間を測定することで消泡性を評価した。
消泡性(持続性):
上記の亜硫酸パルプ廃液に各消泡剤組成物を有効成分で0.1質量%添加したものを80℃で保存した後、所定の時間(30分後、120分後)ごとに振とう機により30秒間振とうして泡立たせ、その泡高さ(液面+泡)と消泡までの時間を測定することで消泡性を評価した。
【0074】
【表1】