【実施例】
【0050】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。使用原料は以下の通りである。
1)親水性フュームドシリカ(SiO
2):日本アエロジル(株)製、品名 Aerosil 380、BET比表面積約380m
2/g、
2)疎水性フュームドシリカ(SiO
2):日本アエロジル(株)製、品名 Aerosil R−812、BET比表面積約260m
2/g、
3)フュームド混合酸化物(シリカとアルミナの物理的混合物、SiO
2/Al
2O
3):日本アエロジル(株)製、品名 Aerosil MOX 84、
4)親水性フュームド二酸化チタン(TiO
2):日本アエロジル(株)製、品名 AEROXIDE TiO
2 P25、
5)親水性フュームドアルミナ(Al
2O
3):日本アエロジル(株)製、品名 AEROXIDE Alu C、
6)ヒュームドアルミナ(Al
2O
3):キャボット社製、品名 SpectrAl 100、
7)二酸化チタン(TiO
2):石原産業(株)社製 品名 CR−60
【0051】
実施例1
表1に示されるように、フュームドシリカ(SiO
2)(日本アエロジル社製、Aerosil380)、二酸化チタン(TiO
2)(石原産業(株)製、CR−60)、ヒュームドアルミナ(Al
2O
3)(キャボット社製 SpectrAl 100)、水を配合し、攪拌装置で均一になるまで混合することで粘土状の混合物を製造した。この混合物を400℃、600℃、又は800℃のマッフル炉にいれて5時間熱処理を行った後、室温まで冷却することで焼結物を得た。
【0052】
【表1】
【0053】
実施例1A〜1Dの800℃で焼成しガラス化したブロックを粗割りした後、ボールミルで粉砕することで破砕状の複合酸化物粒子1A〜1Dを製造した。この粉末粒子の分布状況を分析したところ、アルミニウム元素やチタン元素が均一な分布で存在した。粉砕した粒子の粒度分布を下記表2に示す。なお、粒度分布はレーザー回折式粒度分布測定装置(日機装(株)製「MicrotracHRA(X−100)」)により質量基準で求めた。表2中の数値は、質量%を示す。
【0054】
【表2】
【0055】
比較例1
フュームドシリカ(SiO
2)(日本アエロジル社製、Aerosil 380)50質量部、二酸化チタン(TiO
2)(石原産業(株)製、CR−60)50質量部、水10質量部を攪拌装置で均一になるまで混合することで、粘土状の混合物を製造した。この混合物を200℃マッフル炉にいれて5時間熱処理を行った後、室温まで冷却した。得られた製品は全く焼結されていないもので、容易に手で擦ると崩れる粉体であった。
【0056】
実施例2
実施例1A〜Dにおいて、400℃で焼成して得た複合酸化物を、微粉になるまでボールミルで粉砕し、粉砕した粉末を篩で粒度が50μm以下になるように調整した。この粉末を2000℃の火炎中に降らせることで溶融させ、冷却することで球状の複合酸化物2A〜2Dを製造した。この複合酸化物は形状が球状で均一な組成分布からなる粒子であった。複合酸化物の粒度分布を表3に示す。表3中の数値は、質量%を示す。実施例1Aにおいて、400℃で焼成して得られた複合酸化物のケイ素(Si)及びチタン(Ti)の電子線マイクロプローブアナライザ(EPMA)マッピング図を、それぞれ
図1及び
図2に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
実施例3
表4で示される配合割合の原料(混合微粉末)を、少量の水の存在下、造粒装置で造粒させた。得られた造粒粉末を2000℃の火炎中に降らせることで溶融させて、球状の複合酸化物粒子3A〜3Dを得た。得られた複合酸化物の粒度分布を下記の表5に示す。表5中の数値は、質量%を示す。
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
(A)ビニル基を含有するオルガノポリシロキサン
[合成例1]
フラスコにキシレン1000g及び水5014gを加え、これにフェニルトリクロロシラン2285g(10.8mol)、ビニルジメチルクロロシラン326g(2.70mol)及びキシレン1478gを混合した混合物を滴下した。滴下終了後3時間攪拌し、廃酸を分離し、水洗した。これに、共沸脱水後にKOH6g(0.15mol)を加え、150℃で一夜加熱還流を行った。得られた生成物にトリメチルクロロシラン27g(0.25mol)を加え、酢酸カリウム24.5g(0.25mol)で中和し濾過した後、溶剤を減圧留去し、下記平均組成式(1)で示される透明で室温で固体のシロキサン樹脂(A−1)を合成した。ビニル当量は0.0013mol/g、水酸基含有量は0.01質量%であった。軟化点は65℃であった。
(C
6H
5SiO
3/2)
0.80((CH
2=CH)(CH
3)
2SiO
1/2)
0.20 (1)
【0062】
(B)Si−Hを持つ架橋剤
架橋剤として下記構造のオルガノハイドロジエンポリシロキサンを使用した。
架橋剤(B−1)
【0063】
【化1】
【0064】
水素発生量0.00377mol/g
n=2.0(平均値)、X:水素原子、SiH基当量は0.403であった。
【0065】
架橋剤(B−2)
【化2】
【0066】
水素発生量0.0076mol/g
【0067】
(C)付加反応触媒
塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金濃度2質量%)
(D)接着助剤
接着助剤として下記構造のオルガノハイドロジエンポリシロキサンを使用した。
【0068】
【化3】
(式中、j及びkは、それぞれ独立に1、2又は3、Rはそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はイソプロピル基であり、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は3045である。)
【0069】
(E)反応抑制剤
3‐メチル‐トリデシン‐3‐オール
(F)離型剤
リケスターEW 440A(理研ビタミン株式会社製)
【0070】
実施例4
上記、合成例1で製造した(A)ビニル基含有シリコーン94質量部、架橋剤(B−1)4質量部、架橋剤(B−2)17質量部、(C)付加反応触媒0.1質量部、(D)接着助剤6.2質量部、(E)反応抑制剤6.5質量部、(F)離型剤0.7質量部及び(G)実施例3Aで製造した複合酸化物580質量部をプレ混合し、連続混練装置で混練することで、白色の熱硬化性シリコーン樹脂組成物を製造した。
【0071】
比較例2
合成例1で製造した(A)ビニル基含有シリコーン94質量部、架橋剤(B−1)4質量部、架橋剤(B−2)17質量部、(C)付加反応触媒0.1質量部、(D)接着助剤を6.2質量部、(E)反応抑制剤6.5質量部、(F)離型剤0.7質量部、(G’−1)平均粒径13μmの溶融球状シリカ460質量部及び(G’−2)ニ酸化チタン115質量部を連続混練装置で混練することで、白色の熱硬化性シリコーン樹脂組成物を製造した。
【0072】
実施例4と比較例2の各組成物につき、以下の諸特性を測定した。結果を表6に示す。成形はすべてトランスファー成形機で行った。
【0073】
<スパイラルフロー値>
EMMI規格に準じた金型を使用して、成型温度150℃、成型圧力6.9N/mm
2、成形時間180秒の条件でスパイラルフロー試験を行った。
<溶融粘度>
降下式フローテスターを用い、10kgfの加圧下、直径1mmのノズルを用い、温度150℃で粘度を測定した。
<曲げ強度及び曲げ弾性率>
JIS−K6911規格に準じた金型を使用して、成型温度150℃、成型圧力6.9N/mm
2、成形時間180秒の条件で成形し、その後150℃で4時間ポストキュアした試験片を室温で曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
<光反射率及び光透過率>
成型温度150℃、成型圧力6.9N/mm
2、成形時間180秒の条件で、1辺50mm、厚さ0.35mmの正方形の硬化物を作成し、エス・デイ・ジー(株)製X−rite8200を使用して450nmの光反射率及び光透過率を測定した。
【0074】
【表6】
【0075】
表6の結果から、本発明の複合粒子を利用することで、それを含む樹脂組成物の硬化物を、機械強度などの特性を維持したまま、光特性、特に光透過率を向上させることができることがわかった。
【0076】
実施例5
(リフレクターの成形と物性)
実施例4及び比較例2で製造した樹脂組成物、及び全面銀メッキした銅リードフレーム102を用い、
図3に示すマトリックスタイプの凹型リフレクター10(表面銀メッキした銅基板上に封止剤の厚み1mmで縦38mm、横16mmで成形)を、下記の成形条件でトランスファー成形し作製した。
【0077】
成形条件は下記の通りである。
成形温度:150℃
成形圧力:70kg/cm
2
成形時間:3分
更にポストキュアを150℃で4時間行った。
【0078】
<反り測定>
反りはポストキュアした上記形状の成形リフレクターを樹脂側で対角線の二方向で測定し、平均値で示した。その結果、実施例4で製造した樹脂組成物では反りは210μmであるのに対し、比較例2で製造した樹脂組成物では560μmとなり、本発明の複合酸化物の使用は、樹脂組成物の成型物のそり特性にも有効であることがわかった。
【0079】
実施例6
実施例4及び比較例2の樹脂組成物を用いて成形したマトリックスタイプのリフレクター10の、各リフレクター100の凹状の底辺に露出したリードフレーム102上に青色LED素子104を、シリコーンダイボンド剤105(品名:LPS632D、信越化学(株)製)で接着固定し、金線103で、もう一方のリード部とLED素子電極を電気的に接続した。その後、シリコーン封止剤(LPS380:信越化学(株)製)106を、LED素子104が配置された凹部開口部内にそれぞれ注入し、120℃で1時間、更に150℃で1時間硬化させて、LED素子104を封止した。
このマトリックスタイプのリフレクターをダイシングすることで個片化した。これら個片型した実施例4及び比較例2の樹脂組成物を成形したリフレクターで組み立てたLED装置を5個用い、コニカミノルタ(株)製CS−2000Aを用いて輝度を測定した。実施例4の樹脂組成物を成形したリフレクターを用いたLEDの輝度を100とした場合、比較例2の樹脂組成物で作製したLEDの輝度は93と低下していた。また、LEDパッケージの側面から発光しているLEDを見ると比較例2の樹脂組成物で作製したリフレクターを用いたものは光が漏れていた。