【実施例】
【0048】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。使用原料は以下の通りである。
1)親水性フュームドシリカ(SiO
2):日本アエロジル(株)製、品名 Aerosil 380、比表面積約380m
2/g
2)疎水性フュームドシリカ(SiO
2):日本アエロジル(株)製、品名 Aerosil R-812、室温で固体
3)テトラメトキシシラン(Si(OCH
3)
4):信越化学工業(株)製、品名 KBM-04、室温で液体
4)テトライソプロポキシチタン(Ti(O-i-C
3H
7)
4):東京化成工業(株)製、室温で液体
5)アルミニウムイソプロポキシド(Al(O-i-C
3H
7)
3):東京化成工業(株)製、室温で固体
6)フュームド混合酸化物(シリカとアルミナの物理的混合物、SiO
2/Al
2O
3):日本アエロジル(株)製、品名 Aerosil MOX 84、室温で固体
7)親水性フュームド金属酸化物(TiO
2):日本アエロジル(株)製、品名 AEROXIDE TiO
2 P25、室温で固体
8)親水性フュームドアルミナ(Al
2O
3):日本アエロジル(株)製、品名 AEROXIDE Alu C、室温で固体
9)ヒュームドアルミナ(Al
2O
3):キャボット社製、品名 SpectrAl 100、室温で固体
10)二酸化チタン(TiO
2):石原産業(株)社製 品名 CR-60、室温で固体
【0049】
実施例1
表1に示されるように、フュームドシリカ(SiO
2)(日本アエロジル社製、Aerosil 380)と、テトライソプロポキシチタン(Ti(O-i-C
3H
7)
4)(東京化成工業(株)製)又は/及びアルミニウムイソプロポキシド(Al(O-i-C
3H
7)
3)(東京化成工業(株)製)とを、攪拌装置で均一になるまで混合することで粘土状の混合物を製造した。この混合物を400℃、600℃又は800℃のマッフル炉にいれて5時間熱処理行った後、室温まで冷却することで焼結物を得た。
【0050】
【表1】
【0051】
実施例1A〜1Fの800℃で焼成しガラス化したブロックを粗割りした後、ボールミルで粉砕することで破砕状の複合酸化物粒子を製造した。この粉末粒子の分布状況を分析したところ、アルミニウム元素やチタン元素が均一な分布で存在した。粉砕した粒子の粒度分布を下記表2に示す。なお、粒度分布はレーザー回折式粒度分布測定装置(日機装(株)製「MicrotracHRA(X-100)」)により質量基準で求めた。表2中の数値は、質量%を示す。
【0052】
【表2】
【0053】
比較例1
フュームドシリカ(SiO
2)(日本アエロジル社製、Aerosil 380)50質量部、テトライソプロポキシチタン(Ti(O-i-C
3H
7)
4)(東京化成工業(株)製)50質量部を攪拌装置で均一になるまで混合することで、粘土状の混合物を製造した。この混合物を200℃マッフル炉にいれて5時間熱処理行った後、室温まで冷却した。得られた製品は全く焼結されていないもので、容易に手で擦ると崩れる粉体であった。
【0054】
実施例2
表3に示されるように、テトラメトキシシラン(Si(OCH
3)
4)(信越化学工業(株)製、品名KBM-04)と、親水性フュームド金属酸化物(TiO
2)(日本アエロジル(株)製、品名 AEROXIDE TiO
2 P25)又は/及びヒュームドアルミナ(Al
2O
3)(キャボット社製、品名 SpectrAl 100)とを攪拌装置で均一になるまで混合することで粘土状の混合物を製造した。この混合物を400℃、600℃又は800℃のマッフル炉にいれて5時間熱処理行った後、室温まで冷却することで焼結物を得た。
【0055】
【表3】
【0056】
実施例2A〜2Fの800℃で焼成しガラス化したブロックを粗割りした後、ボールミルで粉砕することで、破砕状の複合酸化物粒子2A−2Fを製造した。この粉末粒子の分布状況を分析したところ、アルミニウム元素やチタン元素が均一な分布で存在した。粉砕した粒子の粒度分布を表4に示す。なお、粒度分布はレーザー回折式粒度分布測定装置(日機装(株)製「MicrotracHRA(X-100)」)により質量基準で求めた。表4中の数値は、質量%を示す。
【0057】
【表4】
【0058】
比較例2
テトラメトキシシラン(Si(OCH
3)
4)(信越化学工業(株)製 品名KBM-04)50質量部及び二酸化チタン(TiO
2)(石原産業(株)社製 品名 CR-60)50質量部を攪拌装置で均一になるまで混合することで粘土状の混合物を製造した。この混合物を200℃マッフル炉にいれて5時間熱処理行った後、室温まで冷却した。得られた製品は全く焼結しておらず、手で擦ると容易に崩れる粉体であった。
【0059】
実施例3
実施例1A〜1Fにおいて、400℃で焼成して得た複合酸化物を、微粉になるまでボールミルで粉砕し、粉砕した粉末を篩で粒度が50μm以下になるように調整した。この粉末を2000℃の火炎中に降らせることで溶融させ、冷却することで球状の複合酸化物3A〜3Fを製造した。この複合酸化物は形状が球状で均一な組成分布からなる粒子であった。複合酸化物の粒度分布を表5に示す。表5中の数値は、質量%を示す。
実施例1Aにおいて、400℃で焼成して得られた複合酸化物のケイ素(Si)及びチタン(Ti)の電子線マイクロプローブアナライザ(EPMA)マッピング図を、それぞれ
図1及び
図2に示す。
【0060】
【表5】
【0061】
実施例4
表6で示される配合割合の原料(混合微粉末)を、少量の水の存在下、造粒装置で造粒させた。得られた造粒粉末を2000℃の火炎中に降らせることで溶融させて、球状の複合酸化物粒子4A〜4Dを得た。得られた複合粒子の粒度分布を表7に示した。
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】
以下の合成例、実施例及び比較例で使用した各成分を以下に示す。
尚、以下において重量平均分子量は下記測定条件により測定されたものである。
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流量:0.35mL/min
検出器:RI
カラム:TSK−GEL Hタイプ(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:5μL
【0065】
(A)オルガノポリシロキサンの合成
[合成例1]
メチルトリクロロシラン100質量部及びトルエン200質量部を1Lのフラスコに入れ、これに氷冷下で水8質量部及びイソプロピルアルコール60質量部の混合液を、内温−5〜0℃で5〜20hrかけて液中滴下した。その後、得られた混合物を加熱して、還流温度で20分間撹拌した。それから該混合物を室温まで冷却し、水12質量部を30℃以下、30分間で滴下し、20分間撹拌した。これに更に水25質量部を滴下後、40〜45℃で60分間撹拌した。その後、得られた混合物に水200部を加えて有機層を分離した。この有機層を中性になるまで洗浄し、その後、共沸脱水、濾過、減圧ストリップをすることにより、下記平均式(A−1)で示される無色透明の固体(融点76℃、重量平均分子量3,060)36.0質量部の熱硬化性オルガノポリシロキサン(A)を得た。
(CH
3)
1.0Si(OC
3H
7)
0.07(OH)
0.10O
1.4 (A−1)
【0066】
実施例5
合成例1で製造した(A)オルガノポリシロキサン100質量部、(B)実施例3Aで製造した球状複合酸化物粒子750質量部、下記の(C)硬化触媒2質量部、(D)離型剤2質量部、及び(E)カップリング剤0.5部を予備混合し、連続混練装置で混練することで、白色の熱硬化性シリコーン樹脂組成物を製造した。
(C)硬化触媒
安息香酸亜鉛(和光純薬工業(株)製)
(D)離型剤
ステアリン酸カルシウム(和光純薬工業(株)製)
(E)カップリング剤
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 品名 KBM−803)
【0067】
比較例3
合成例1で製造した(A)オルガノポリシロキサン100質量部、(B)平均粒径13μmの溶融球状シリカ((株)龍森 製、品名:CS-6103 53C2)630質量部と酸化チタン(石原産業(株)製、品名:CR-95)120質量部との混合酸化物、(C)上記の硬化触媒2質量部、(D)上記の離型剤2質量部、及び(E)上記のカップリング剤0.5部を連続混練装置で混練することで、白色の熱硬化性シリコーン樹脂組成物を製造した。
【0068】
実施例5と比較例3の組成物につき、以下の諸特性を測定した。結果を表8に示す。成型はすべてトランスファー成型機で行った。
【0069】
<スパイラルフロー値>
EMMI規格に準じた金型を使用して、成型温度175℃、成型圧力6.9N/mm
2、成形時間120秒の条件で行った。
<溶融粘度>
降下式フローテスターを用い、25kgfの加圧下、直径1mmのノズルを用い、温度175℃で粘度を測定した。
<曲げ強度及び曲げ弾性率>
JIS−K6911規格に準じた金型を使用して、成型温度175℃、成型圧力6.9N/mm
2、成形時間120秒の条件で成形し、その後180℃で4時間ポストキュアした試験片を室温で曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
<光反射率及び光透過率>
成型温度175℃、成型圧力6.9N/mm
2、成形時間120秒の条件で、1辺50mm、厚さ0.35mmの正方形の硬化物を作成し、エス・デイ・ジー(株)製X-rite8200を使用して450nmの光反射率及び光透過率を測定した。
【0070】
【表8】
【0071】
表8から、本発明により製造した複合酸化物粒子を使用することで、樹脂組成物の硬化物を、機械強度などの特性を維持したまま、光特性、特に光透過率を向上させることができることがわかった。
【0072】
実施例6
(リフレクターの成形と物性)
実施例5及び比較例3で製造した樹脂組成物、及び全面銀メッキした銅リードフレーム102を用い、
図3のマトリックスタイプの凹型リフレクター10(表面銀メッキした銅基板上に封止剤の厚み1mmで縦38mm、横16mmで成形)を、下記の成形条件でトランスファー成形し作製した。
【0073】
成形条件は下記の通りである。
成形温度:175℃
成形圧力:70kg/cm
2
成形時間:120秒
更にポストキュアを180℃で4時間行った。
【0074】
<反り測定>
反りはポストキュアした上記形状の成形リフレクターを樹脂側で対角線の二方向で測定し、平均値で示した。その結果、実施例5で製造した樹脂組成物では反りは250μmであるのに対し、比較例3で製造した樹脂組成物では510μmとなり、本発明の複合酸化物の使用は、樹脂組成物の成形物のそり特性にも有効であることがわかった。
【0075】
実施例7
実施例5及び比較例3の樹脂組成物を用いて成形したマトリックスタイプのリフレクター10の、各リフレクター100の凹状底辺に露出したリードフレーム102上に、青色LED素子104を、シリコーンダイボンド剤105(品名:LPS632D、信越化学(株)製)で接着固定し、金線103で、もう一方のリード部とLED素子電極を電気的に接続した。その後、シリコーン封止剤(LPS380:信越化学(株)製)106を、LED素子104が配置された凹部開口部内にそれぞれ注入し、120℃で1時間、更に150℃で1時間硬化させて、LED素子104を封止した。
このマトリックスタイプのリフレクターをダイシングすることで個片化した。これら個片型した実施例5及び比較例3の樹脂組成物を成形したリフレクターで組み立てたLED装置を5個用い、コニカミノルタ(株)製CS−2000Aを用いて輝度を測定した。実施例5の樹脂組成物を成形したリフレクターを用いたLEDの輝度を100とした場合、比較例3の樹脂組成物で作製したLEDの輝度は92と低下していた。また、LEDパッケージの側面から発光しているLEDを見ると比較例3の樹脂組成物で作製したリフレクターを用いたものは光が漏れていた。