(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する実装基板及び電子装置は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。
各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0009】
〔実装基板〕
実装基板は、主として、基材と、基材上に配置された少なくとも一対の配線パターンとを備える。この実装基板は、電子部品を実装するための基板である。
【0010】
(基材)
基材は、その表面に電子部品を搭載するための配線パターンが配置されている。基材の材料としては、例えば、Al、Cu等の金属が挙げられ、なかでもAlが好ましい。基材の材料として金属を用いる場合、金属の表面にエポキシ樹脂等の絶縁膜を設けて、絶縁膜上に配線パターンを形成する。配線パターンと金属基板との間に絶縁膜を形成することにより、配線パターンと金属基材とを離間して配置することができる。
また、基材の材料として、絶縁材料を用いてもよい。例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、LTCC等のセラミックス、樹脂、パルプ、ガラス又はこれらの複合材料(ガラスエポキシ、ガラスシリコーン及びガラス変性シリコーン等、セラミックスに、BTレジン、ガラスエポキシ、エポキシ系樹脂等の絶縁性材料を組み合わせた材料)、あるいはこれら材料と導電材料(例えば、金属、カーボン等)との複合材料等が挙げられる。基材は、単一素材からなる単層構造でもよいし、多層構造でもよい。
【0011】
(配線パターン)
配線パターンは、電子部品と電気的に接続され、電子部品に給電するための部材である。
配線パターンは、例えば、銅、アルミニウム、金、銀、タングステン、鉄、ニッケル等の金属又は鉄−ニッケル合金、燐青銅等の合金等によって形成することができる。配線パターンの表面はメッキ等で被膜が施されていてもよい。配線パターンは、基材の表面に配置されて、電子部品と接続される。電子部品と接続された配線パターンは、給電のために基板内部及び/又は裏面まで延長して配置されていてもよい。
【0012】
基材の表面には、電子部品に給電するために、少なくとも一対の配線パターンが配置されている。この一対の配線パターンは、配線パターン間に所定の間隔を有する。つまり、一対の配線パターンは所定の間隔をおいて互いに離間して配置されている。なお、配線パターンは、基材上に搭載する電子部品の数、電子部品の接続形態あるいは1つの電子部品における外部電極(又は端子)の数等によって、二対以上配置されていてもよい。この場合、1つの電子部品に対して一対の配線パターンが設けられていてもよいし、二対以上の配線パターンが設けられていてもよい。一対の配線パターンは、大きさ及び形状が互いに異なっていてもよい。また、配線パターンは、平面視において、配線パターンの外縁から内側に窪んだ形状の窪み部を有していてもよい。
配線パターンは、電子部品が載置される載置部と、基材の一部を露出させる孔とを備える。なお、基材の材料として金属基板を用いる場合、孔は、孔から絶縁膜の一部が露出するように形成される。
【0013】
(載置部)
電子部品が載置される載置部は、一対の配線パターンの双方の配線パターン上に形成される。載置部は、一対の配線パターンが配置される領域内に、一対の配線パターンが有する所定の間隔を含み、この所定の間隔を跨いで配置される。載置部は後述する孔によってその領域が画定される。言い換えると、載置部の外縁上に孔が配置される。ただし、孔は、載置部の全外縁に配置されておらず、外縁の一部にのみ配置される。
【0014】
載置部は、載置しようとする電子部品の形状によって適宜設定することができる。平面視における載置部の形状と電子部品の形状とは同一形状であることが好ましく、例えば、電子部品が平面視において矩形である場合、載置部も平面視において電子部品と同形状の矩形であることが好ましい。載置部が矩形であるとは、後述する孔を結ぶ線で形成される概形が略矩形状であることを意味する。なお、本明細書における矩形とは、その角の角度は、90±10°程度の変動は許容される。また、その角が若干の丸みを帯びたものでもよい。さらに、その辺が微細な凹凸を有していてもよいし、緩やかに湾曲していてもよい。
載置部の大きさは、特に限定されるものではなく、電子部品の大きさによって適宜調整することができる。
【0015】
1つの電子部品が二対以上の外部電極を備える場合、載置部は二対以上の配線パターンがそれぞれ有する所定の間隔を含み、これら所定の間隔を跨いで配置される。この場合も1つの電子部品が載置される載置部の大きさは、電子部品又は外部電極の平面視における外形と同じかそれよりも若干大きいことが好ましい。
【0016】
(孔)
孔は、配線パターンに形成される。ただし、一対の配線パターンのいずれか一方にのみ形成されていてもよい。
上述したように、孔を有する配線パターンでは、載置部は孔によって、その領域の一部又は全部が画定される。つまり、配線パターンは孔によって載置部と載置部以外の領域とに分けられる。ただし、孔を有さない配線パターンでは、その外縁および上述した窪み部等を利用して、載置部の一部を確定してもよい。
孔は、載置部の外縁に沿って配置される。厳密には、孔は載置部の外縁の一部に配置される。例えば、孔は、載置部の外縁の対向する2辺のそれぞれに配置されていてもよいが、好ましくは外縁の角部である。孔は、一対の配線パターンのいずれか一方又はそれぞれに、1つずつ配置されてもよいし、2つ以上配置されてもよい。
孔の形状は、特に限定されない。例えば、平面視における外形が円形、楕円形、半円形、扇形、三日月形、三角形、四角形、多角形等、載置する電子部品の外形に沿って様々な形状とすることができる。
なかでも、載置部の平面視における外形が矩形状である場合、孔の平面視における外形は四角形が1箇所で屈曲したL字状又は2箇所で屈曲したコの字状(矩形の一辺が開放された形状)が好ましい。屈曲の角度は特に限定されないが、上述したように、載置部を画定するという観点から、90±10°程度が好ましく、直角であることがより好ましい。孔がこのような屈曲部を有することにより、平面視における概形が矩形状の載置部において、屈曲部が載置部の角部に対応するように配置することができるため好ましい。なお、屈曲部の角部は面取りされていてもよい。
【0017】
平面視における孔の幅及び長さは、配線パターンの加工精度等を考慮して適宜調整することができる。なかでも、孔は、はんだを用いて電子部品を実装基板に実装した場合に、(i)はんだが孔内に配置され、両者の接触面積を増大すること、(ii)はんだが配線パターンの上面に接合するのみならず、配線パターンの側面(孔の内側面)にも接合されること、(iii)電子部品のセルフアライメントを効果的に行わせること等を考慮して、これらの機能を効果的に発揮させ得る幅及び長さに設定することが好ましい。
なお、平面視で一定の幅を有する孔が載置部の外縁に配置されるため、孔は、厳密には、孔の一部は載置部の領域内に、他の一部は載置部以外の領域に配置されることになる。言い換えると載置部に電子部品が載置された電子装置において、平面視で孔の一部は電子部品とオーバーラップするように配置される。
【0018】
孔の深さ、つまり載置部における配線パターンの厚みは、上述した機能を十分に発揮させ得るためには、より厚く設定することが好ましい。具体的には、放熱性及び配線パターンの加工精度等を考慮すると、配線パターンの厚みは30μm以上150μm以下とすることが好ましい。
【0019】
孔がこのように平面視矩形状の電子部品の角部に配置されることにより、はんだにかかる熱応力の影響を受けやすい電子部品の角部において、はんだを配線パターンの上面だけでなく配線パターンの側面(孔の内側面)にも配置させることができる。このように孔の側面にはんだが回り込んで形成されるため、電子部品の実装に使用されるはんだ量が増える。つまりは熱応力を受けるはんだの総面積が増える。その結果、熱応力をはんだ全体で分散させることができ、はんだクラックの発生を抑制することが可能となる。
【0020】
載置部は配線パターン上に設けられる。配線パターンは載置部よりも大きい平面積を有しているため、載置部が受ける電子部品からの発熱を、載置部より大きな面積を有する配線パターン全面で放熱することが可能となり、放熱性に優れた実装基板とすることができる。
【0021】
孔は載置部外縁の一部に配置され、配線パターンは載置部外縁において、載置部につながる配線層を複数有する。このように、配線パターンが載置部につながる配線層を複数備えることによって、載置部に載置される電子部品に、複数の配線層を通じて電流を給電することが可能となる。このため、電子部品に大電流を投入した際に一部の配線層の破断が生じたとしても、配線層は複数あるため、電子部品への未導通のリスクを低減させることができる。
さらに、載置部に載置される電子部品は、その中央近傍ほど、はんだ及び配線パターンに負荷される応力が小さい。よって、配線層が電子部品の中央近傍に相当する部位で配置されている場合には、電子部品の中央近傍に配置された配線層に付加される応力は、電子部品の端部に配置される配線層と比べると相対的に小さくなる。これにより、配線層の破断によるリスクをより一層低減させることができる。
【0022】
本実施形態において、孔を凹部としても、孔を設けた場合と同様に、凹部の側面まではんだが配置され、はんだクラックの発生を抑制することは可能である。しかし、セルフアライメントによる電子部品の実装位置精度を考慮すると、少なくとも載置部外縁の一部(好ましくは角部)には貫通孔が配置されていることが好ましい。例えば、孔が一対の配線パターンの一方又はそれぞれに2つ以上配置される場合、2つ以上の孔の1つを孔ではなく凹部とすることもできる。つまり、1つの配線パターンに1つ以上の孔と、1つ以上の凹部を備えてもよい。この場合の凹部の厚みは、例えば、配線パターンの厚みの10%以上100%未満程度の深さを有していることが好ましい。
【0023】
配線パターンは、基材上に、当該分野で公知の方法により形成することができる。例えば、マスクを介してスパッタ法等により配線パターン材料を成膜し、リフトオフによってパターニングする方法、全面に蒸着等によって配線パターン材料を成膜し、マスクを用いたフォトリソグラフィー法等を利用してパターニングする方法等が挙げられる。
孔は、上述した配線パターンのパターニング時に同時に形成することができる。あるいは、金型、ロールプレス等を利用した押圧法、ポンチングによる打ち抜き等によって形成することができる。
【0024】
(ソルダーレジスト)
配線パターンは、その表面がソルダーレジストにより覆われていることが好ましい。
ソルダーレジストは、当該分野で使用されるもののいずれで形成されていてもよい。例えば、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂等が挙げられる。なかでも、熱硬化性エポキシ樹脂が好ましい。ソルダーレジストの厚みは、用いる材料等によって適宜調整することができる。
【0025】
ソルダーレジストは、電子部品との電気的接続に必要な配線パターンの一部を露出して、配線パターンを含む基材の表面を被覆する。具体的には、ソルダーレジストは、載置部を露出するための1以上の開口を有する。開口は、電子部品の外部電極のパターン及び数に応じて、その形状、大きさ及び数を設定することができる。例えば、開口は、孔上を通る、孔の外側を通る、孔の内縁又は外縁に一致する形状及び大きさ等が挙げられる。なかでも、ソルダーレジストは載置部と接することなく、載置部より一回り大きな面積(つまり、孔の外縁に一致する又は孔の外側を通る大きさ)の開口を有することが好ましい。このような開口を有することによって、電子部品の外部電極が配線パターンと、例えば、はんだによって接合される場合、はんだが孔内に進入して、孔の内側面にまで配置される。その結果、耐はんだクラック性を向上させることができる。
【0026】
〔電子装置〕
電子装置は、上述した実装基板と、実装基板上に、好ましくは載置部に実装された電子部品とを備える。
(電子部品)
電子部品は、発光ダイオード、レーザ等の半導体発光装置、パワー半導体、電源整流用ダイオード、ツェナーダイオード、可変容量ダイオード、PINダイオード、ショットキーバリアダイオード、フォトダイオード、太陽電池、サージ保護用ダイオード、バリスタ、コンデンサ、抵抗等の2端子装置、トランジスタ、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ、フォトトランジスタ、CCDイメージセンサ、サイリスタ、光トリガサイリスタ等の3端子装置、DRAM及びSRAM等のメモリ、マイクロプロセッサ等を含む種々のもの、これらを組み合わせたもの等が挙げられる。なかでも、半導体装置が好ましく、半導体発光素子を用いた発光装置がより好ましい。
半導体発光素子は、例えば、InN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN等の窒化物半導体、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体等、種々の半導体による発光層を含む積層構造が設けられたものが挙げられる。半導体積層構造には、サファイア等の絶縁性の層が存在していてもよい。
半導体発光素子は、対向する面に正及び負の電極がそれぞれ設けられたものであってもよいが、同一面側に正及び負の電極が設けられているものが好ましい。
【0027】
半導体発光素子は、半導体発光素子を電子部品に相当するものとして、そのままの形態で実装基板に実装してもよいが、半導体発光素子がパッケージに搭載された発光装置の状態で実装基板に搭載されることが好ましい。この発光装置が電子部品に相当するものとすることができる。
【0028】
(発光装置)
発光装置は、半導体発光素子と、半導体発光素子を搭載するパッケージとを有する。パッケージは、半導体発光素子と電気的に接続される導電部材と、この導電部材を保持する基体とを備える。
基体は絶縁性部材であることが好ましく、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、LTCC等のセラミックス、樹脂、パルプ、ガラス又はこれらの複合材料(ガラスエポキシ、ガラスシリコーン及びガラス変性シリコーン等、セラミックスに、BTレジン、ガラスエポキシ、エポキシ系樹脂等の絶縁性材料を組み合わせた材料)、あるいはこれら材料と導電材料(例えば、金属、カーボン等)との複合材料等が挙げられる。基材は、単一素材からなる単層構造でもよいし、多層構造でもよい。なかでも、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライトなどのセラミックス材料又はこれにBTレジン、ガラスエポキシ、エポキシ系樹脂等の絶縁性材料を組み合わせた材料が好ましい。
【0029】
導電部材は、少なくとも、基体の上面に形成され、さらに、基体の側面及び/又は下面に露出する外部端子を形成する。導電部材の材料は、導電性及び実装性に優れていれば特に限定されず、接合部材、例えば、はんだとの接合性及び濡れ性のよい材料が好ましい。導電部材は、例えば、銅、アルミニウム、金、銀、タングステン、鉄、ニッケル等の金属または鉄―ニッケル合金、燐青銅等の合金等によって形成することができる。また、基体の上面に形成される導電部材は、載置される半導体発光素子からの光を効率よく取り出すために、その表面が銀又は金などの反射率の高い材料で覆われているのが好ましい。具体的には、基体がセラミックスなどである場合には、導電部材は、W/Ni/Au、W/Ni/Pd/Au、W/NiCo/Pd/Auなどの積層構造が挙げられる。基体がガラスエポキシ材料などである場合には、導電部材は、Cu/Ni/Au、Cu/Ni/Pd/Au、Cu/NiCu/Ni/Au、Cu/Ni/Pd/Cu/Ni/Pd/Auなどの積層構造が挙げられる。
【0030】
発光装置の平面形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円形、四角形等の多角形又はこれらに近い形状が挙げられる。
【0031】
電子部品は、はんだを介して実装基板へ実装される。実装に用いるはんだの材料は特に限定されない。具体的には、AgとCuとSnとを主成分とする合金、CuとSnとを主成分とする合金、BiとSnとを主成分とする合金等を介して、配線パターンと電子部品の外部電極とを接続することにより、実装することができる。
【0032】
このようなはんだを介しての実装によると、はんだが配線パターンの載置部において、載置部から孔内に進入して、配線パターンの側面に回り込むことができる。このように、はんだが配線パターンの平面方向に位置する表面だけでなく、配線パターンの厚み方向に位置する孔の側面にも配置されることによって、耐はんだクラック性を向上させることができる。
さらに、孔がはんだを収容して、電子部品実装時のセルフアライメントを効果的に行わせることができ、電子部品の実装精度を向上させることができる。
以下に本発明の実装基板及び電子装置の実施形態を、図面に基づいて具体的に説明する。
【0033】
実施の形態1:実装基板10
この実施形態の実装基板10は、
図1に示すように、基材11と、基材11の上面に形成された一対の配線パターン12とを備える。
基材11は、アルミニウムベース基板によって形成されている。アルミニウムベース基板は、アルミニウム(厚み:1.5mm)の表面にアルマイト処理が施されており、エポキシ樹脂による薄膜(厚み:70μm)を介して一対の配線パターン12が銅膜(厚み:35〜75μm)によって形成されている。
一対の配線パターン12は互いに離間して配置されており、その一対の配線パターン12が離間する所定の間隔を含んで、電子部品の搭載を意図する載置部12aが配置されている。載置部12aは、その外縁が孔12bによって画定される。載置部12aの概形は、平面視が矩形であり、平面視矩形状の載置部12a上に平面視矩形状の電子部品が搭載される。
【0034】
孔12bは、配線パターン12の外縁のいずれからも離間しており、配線パターン12が形成された領域内に配置されている。載置部12aは孔12bによって外縁が画定されるため、載置部12aも配線パターン12の外縁から離間して、配線パターン12が形成された領域内に配置されている。つまり、配線パターン12は載置部12aより大きな面積を有し、載置部12aから平面方向の広がりを有する。
孔12bは、平面形状がL字状である。孔の幅は、例えば、1.0mmであり、一方向に延長する長さは1.7mm、他方向に延長する長さは0.65mmである。
【0035】
2つの配線パターン12が配列されている方向をx方向(
図1参照)とすると、x方向に直交するy軸に対して、2つの配線パターン12は対称に配置されている。配線パターン12のy方向の中央を通るx軸に対して、1つの配線パターン12内において、2つの孔12bがそれぞれ対称に配置されている。つまり、4つの略直角に屈曲するL字状の孔12bが、平面視矩形状の載置部12aの4つの角部に配置されている。
【0036】
配線パターン12は、その表面が、熱硬化性エポキシ樹脂からなるソルダーレジストにより覆われている。ソルダーレジストは、開口13aを有しており、開口13aの外縁は、孔12bのほぼ中央を通り、孔12bの一部(厳密には孔12bから露出する基材の一部)と、載置部12aとを露出している。
【0037】
実施の形態2:実装基板20
この実施形態の実装基板20は、
図2に示すように、基材21と、基材21の上面に形成された一対の配線パターン22とを備える。
一対の配線パターン22は互いに離間して配置されており、その一対の配線パターン22に跨って、電子部品の搭載を意図する載置部22aが配置されている。載置部22aは、その外縁が孔22bによって画定されている。
【0038】
孔22bは、配線パターン22の外縁のいずれからも離間しており、配線パターン22の内側に配置されている。
孔22bの平面視における形状は、一辺が開放された矩形状、いわゆるコの字状である。つまり、孔22bは平面視において、略直角に2箇所屈曲している。
2つの配線パターン22は、2つの配線パターン22が配列されている方向をx方向とすると、x方向に直交するy軸に対して対称に配置されている。配線パターン22のy方向の中央を通るx軸に対して、1つの配線パターン22内において、孔22bは対称に配置されている。つまり、2つの略直角に2箇所で屈曲するコの字状の孔22bが、平面視略矩形状の載置部22aの向かい合う2辺及びそれらと接する角部に対応するようにそれぞれ配置されている。
【0039】
配線パターン22の表面を覆うソルダーレジストは、開口23aを有しており、開口23aの外縁は、孔22bのほぼ中央を通り、孔22bの一部(厳密には孔12bから露出する基材の一部)と、載置部22aとを露出している。
上述した以外の構造は、実施の形態1の実装基板10と同様である。
【0040】
実施の形態3:実装基板30
この実施形態の実装基板30は、
図3に示すように、基材31と、基材31の上面に形成された二対の配線パターン32とを備える。
この二対の配線パターン32は、実施の形態1における実装基板10の一対の配線パターン12を、一対の配線パターン12のy方向の中央で、x軸に沿って分離したような形態で配置している。よって、各配線パターン32は、直角に屈曲した平面形状を有する孔32bを1つ備える。そして、二対の配線パターン32の孔32bの4つの外縁は、平面視において、実装しようとする1つの電子部品の外縁に沿うように配置されている。
言い換えると、基材31上に、二対の配線パターン32が配置され、二対の配線パターン32上に1つの電子部品が搭載される。配線パターン32は、1つの配線パターン32内において、屈曲した平面形状を有する孔32bを1つ備え、孔32bは、平面視略矩形状の電子部品の4つの角部に対応するように配置されている。
上述した以外の構造は、実施の形態1の実装基板10と同様である。
【0041】
実施の形態4:電子装置40
この実施形態の電子装置40は、
図4A及び4Bに示すように、実施形態1の実装基板10を用い、その配線パターン12の上に、発光装置44を搭載している。
図4Aでは、説明の便宜のため、実装基板10の配線パターン12と、その上に搭載された発光装置44及びその外部電極45とのみを表しており、その他の構成要件は省略している。この場合、実装基板10のソルダーレジストの開口13aは、発光装置44の外縁と一致しているか、それもよい若干大きく設定されている。
発光装置44は、窒化物半導体の積層構造によって形成された半導体発光素子を含み、その積層構造の同一面側に電極を有する。また、この半導体発光素子は、パッケージに搭載されており、発光装置44として構成されている。
【0042】
パッケージは、半導体発光素子と電気的に接続される導電部材と、この導電部材を保持する基体とを有する。
パッケージは、セラミックス(具体的にはAlN)からなる基体と、基体の上面から側面をわたって下面に配置された一対の導電部材とを備える。基体の上面に配置された一対の導電部材と、半導体発光素子の同一面側に形成された電極とはAu−Snはんだによって接合されている。発光装置の下面に配置された導電部材が、発光装置44の外部電極45として機能する。外部電極45は、発光装置44の下面において、互いに離間して配置されている。
【0043】
図4A及び4Bに示すように、発光装置44の外部電極45は、実装基板10の配線パターン12における載置部12aの外形に沿って、載置部12aの外形、つまり、孔12bの内縁にほぼ一致して配置されている。発光装置44の外縁は、配線パターン12の孔12bの中央又はやや外側に配置されている。そして、Au−Snはんだが、外部電極45の直下と、孔12bを埋め込むように、孔12b内とに配置され、両者を接合している。
【0044】
(比較例)
上述した電子装置における性能を評価するために、比較例として、
図8A及び8Bに示す従来のNSMD構造及びSMD構造の電子装置A、Bを、それぞれ作成した。
図8A及び8Bでは、実装基板における配線パターン12A、12Bの形状を異ならせた以外、これら比較例の電子装置A、Bは、実質的に電子装置40と同様の構成を備える。
【0045】
電子装置Aでは、実装基板の配線パターン12Aにそれぞれ2つずつ、直角に屈曲する孔(厳密には切欠き)12bAが配置されているが、その一端が、配線パターン12Aの端部と離間せず、連続している。また、発光装置44Aの若干外側まで、ソルダーレジスト13Aが実装基板の表面を覆っており、はんだは、発光装置44Aの電極直下と、孔(厳密には切欠き)12bA内に配置している。
【0046】
電子装置Bでは、実装基板の配線パターン12Bには孔が配置されていない。また、発光装置44Bの若干内側まで、ソルダーレジスト13Bが実装基板の表面を覆っており、はんだは、発光装置44Bの電極直下と、その周囲に配置している。
【0047】
(評価)
以下の表1に示す、放熱性、耐はんだクラック性、耐配線切れ性、LED実装位置精度について評価した。その結果を表1に示す。
【表1】
【0048】
また、上述した3種の電子装置に17W(If=1000mA、Vf=17.0V)で駆動した場合のジャンクション温度を、それぞれ熱伝導シミュレーションによって確認した。その結果、電子装置Aを100%とすると、本実施形態の電子装置40では96.6%であり、電子装置Bの96.3%と同等の放熱性であることがわかった。
【0049】
さらに、上述した3種の電子装置において、LEDを実装し、150℃から−55℃(ΔT205℃)の熱サイクルに付した際のはんだ及び配線パターンにかかる応力を、それぞれ熱応力シミュレーションによって確認した。その結果を表2に示す。
【表2】
特に、本実施形態の電子装置40では、LEDの外側の配線パターン(左右の配線パターン)にかかる応力は高いが、内側の配線パターン(上下の配線パターン)にかかる応力は小さくなるため、配線切れリスクを効果的に低減することができる。
【0050】
実施の形態5:実装基板50
この実施形態の実装基板50は、
図5に示すように、基材51と、基材51の上面に形成された一対の配線パターン52A、52Bとを備える。 一対の配線パターン52A、52Bは互いに離間して配置されており、その一対の配線パターン52A、52Bが離間する所定の間隔を含んで、電子部品の搭載を意図する載置部52aが配置されている。載置部52aは、その外縁の一部が一方の配線パターン52Aに形成された2つの孔52bによって画定される。載置部52aの概形は、平面視が矩形であり、平面視矩形状の載置部52a上に平面視矩形状の電子部品が搭載される。
なお、他方の配線パターン52Bは、孔を有さず、平面視において、配線パターン52Aと対向する部位に、L字状の窪み部52cが2つ配置されている。他方の配線パターン52Bにおいては、るこれら窪み部52cにより、載置部52aが画定される。
【0051】
2つの配線パターン52A、52Bは、2つの配線パターン52A、52Bが配列されている方向をx方向とすると、x方向に直交するy軸に対して非対称に配置されている。載置部52aに配置される一方の配線パターン52Aは他方の配線パターン52Bよりも平面視形状が大きい。この実装基板50には、大きさの異なる一対の外部電極を備える電子部品を搭載することができる。
孔52bは、平面形状がL字状であり、配線パターン52A、52Bのそれぞれの外縁のいずれからも離間している。
2つの孔52bは、配線パターン52Aのy方向の中央を通るx軸に対して対称に配置されている。L字状の孔52bが、平面視矩形状の載置部52aの2つの角部に配置されている。
【0052】
配線パターン52A、52Bは、その表面が、ソルダーレジストにより覆われている。ソルダーレジストは、開口53aを有しており、開口53aの外縁は、孔52b内及び窪み部52c内を通り、孔52b及び窪み部52cの一部と、載置部52aとを露出している。
上述した以外の構造は、実装基板10と同様である。
【0053】
実施の形態5に係る実装基板50においても、孔が平面視矩形状の電子部品の角部に配置されるため、はんだにかかる熱応力の影響を受けやすい電子部品の角部において、はんだを配線パターンの上面だけでなく配線パターンの側面(つまり孔の内側面)にも配置させることができる。これにより、熱応力をはんだ全体で分散させることができ、はんだクラックの発生を抑制することが可能となる。
【0054】
実施の形態6:実装基板60
この実施形態の実装基板60は、
図6に示すように、基材61と、基材61の上面に形成された二対の配線パターン62A、62Bとを備える。
一対の配線パターン62A、62Bは互いに離間して配置されており、その一対の配線パターン62A、62Bが離間する所定の間隔を含んで、電子部品の搭載を意図する載置部62aが配置されている。一方の配線パターン62Aは、他方の配線パターン62Bよりも大きく、配線パターン62Bの二方向を取り囲んでいる。載置部62aは、その外縁の一部が一方の配線パターン62Aに形成された2つの孔62bによって画定される。載置部62aの概形は、平面視が矩形であり、平面視矩形状の載置部62a上に平面視矩形状の電子部品が搭載される。
なお、他方の配線パターン62Bは、孔を有さず、平面視において、配線パターン62Aと対向し、載置部62aに面する部位に、窪み部62cが1つ配置されており、この窪み部62cが載置部62aの画定に関与している。
【0055】
2つの配線パターン62A、62Bは、2つの配線パターン62A、62Bが配列されている方向をx方向とすると、x方向に直交するy軸に対して非対称である。
孔62bは、平面形状がL字状であり、配線パターン62A、62Bのそれぞれの外縁のいずれからも離間している。
2つの孔62bは、配線パターン62Aのy方向の中央を通るx軸に対して対称に配置されている。L字状の孔62bが、平面視矩形状の載置部12aの2つの角部に配置されている。
【0056】
配線パターン62A、62Bは、その表面がソルダーレジストにより覆われている。ソルダーレジストは、開口63aを有しており、開口63aの外縁は、孔62b内、窪み部62c内を通り、孔62b及び窪み部62cの一部と、載置部62aとを露出している。
上述した以外の構造は、実装基板10と同様である。
【0057】
実施の形態6に係る実装基板60においても、孔が平面視矩形状の電子部品の角部に配置されるため、はんだにかかる熱応力の影響を受けやすい電子部品の角部において、はんだを配線パターンの上面だけでなく配線パターンの側面(つまり孔の内側面)にも配置させることができる。これにより、熱応力をはんだ全体で分散させることができ、はんだクラックの発生を抑制することが可能となる。
【0058】
実施の形態7:実装基板70
この実施形態の実装基板70は、
図7に示すように、実装基板60におけるL字状の孔62bに代えて、略四角形の孔72bが配置されている。
配線パターン72A、72Bは、その表面がソルダーレジストにより覆われている。ソルダーレジストは、開口73aを有しており、開口73aの外縁は、孔62b内、窪み部62c内を通り、孔62b及び窪み部62cの一部と、載置部72aとを露出している。ここでの載置部72aは、その外縁の対向する辺の一部が、一方の配線パターン67Aに形成された2つの孔72bによって画定される。つまり、孔72bは、載置部72aの角に配置されておらず、載置部72aの内側に配置されている。
上述した以外の構造は、実装基板10及び実装基板60と同様の構成である。
【0059】
実施の形態7に係る実装基板70においても、孔が平面視において矩形状の電子部品の外縁の対向する辺のそれぞれに配置されるため、配線パターンの上面だけでなく配線パターンの側面(つまり孔の内側面)にも配置させることができる。これにより、熱応力をはんだ全体で分散させることができ、はんだクラックの発生を抑制することが可能となる。