特許第6179886号(P6179886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6179886欠陥検査装置、光学表示デバイスの生産システム及び光学シートの製造システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6179886
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】欠陥検査装置、光学表示デバイスの生産システム及び光学シートの製造システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20170807BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   G01N21/892 A
   G02F1/1335 510
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-81214(P2013-81214)
(22)【出願日】2013年4月9日
(65)【公開番号】特開2014-202694(P2014-202694A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100148884
【弁理士】
【氏名又は名称】▲廣▼保 直純
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(72)【発明者】
【氏名】笹本 綾子
(72)【発明者】
【氏名】井村 圭太
【審査官】 蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−249568(JP,A)
【文献】 特開2007−033295(JP,A)
【文献】 特開2006−208084(JP,A)
【文献】 特開2003−083903(JP,A)
【文献】 国際公開第03/005007(WO,A1)
【文献】 特許第4307510(JP,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0179193(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部材の欠陥検査装置であって、
前記光学部材の一方側に配置された第一光源と、
前記光学部材の一方側に配置された第二光源と、
前記光学部材の他方側において前記第一光源から射出される光の光軸上に配置された撮像装置と、
前記第二光源を、前記第一光源から射出される光の光軸上の第1の位置と前記光軸からずれた第2の位置との間で移動させる移動装置と、
第1の撮像モードにおいて、前記第一光源を点灯させ、且つ、前記第二光源を消灯させるとともに、前記移動装置によって前記第二光源を前記第2の位置に移動させ、
第2の撮像モードにおいて、前記第一光源を消灯させ、且つ、前記第二光源を点灯させるとともに、前記移動装置によって前記第二光源を前記第1の位置に移動させ、
第3の撮像モードにおいて、前記第一光源を消灯させ、且つ、前記第二光源を点灯させるとともに、前記移動装置によって前記第二光源を前記第2の位置に移動させる制御を行う制御装置と、
を含む欠陥検査装置。
【請求項2】
前記第一光源は、
光源と、
前記光源と前記光学部材との間に配置され、前記光源から前記光学部材に入射する光の入射角度分布を調整する調整部材と、
を含む請求項1に記載の欠陥検査装置。
【請求項3】
前記調整部材は、前記光軸の外側から前記光を絞る絞り部材である請求項2に記載の欠陥検査装置。
【請求項4】
光学表示部品に光学部材を貼合してなる光学表示デバイスの生産システムであって、
前記光学部材を搬送するための搬送装置と、
前記搬送装置で搬送された前記光学部材を前記光学表示部品に貼り合わせて前記光学表示デバイスを作製する貼合装置と、
前記搬送装置から前記貼合装置に搬送される前記光学部材の欠陥の有無を検査する請求項1からまでのいずれか一項に記載の欠陥検査装置と、
を含む光学表示デバイスの生産システム。
【請求項5】
光学シートを製造する光学シートの製造装置と、
前記光学シートの欠陥の有無を検査する請求項1からまでのいずれか一項に記載の欠陥検査装置と、
を含む光学シートの製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、欠陥検査装置、光学表示デバイスの生産システム及び光学シートの製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイなどの光学表示デバイスを生産する生産システムとして、特許文献1に記載の生産システムが知られている。光学表示デバイスは、液晶パネルなどの光学表示部品に偏光板などの光学部材を貼合してなるものである。光学表示部品と光学部材を貼合する貼合装置の上流側には、光学部材の欠陥検査を行う欠陥検査装置が設けられている。
【0003】
光学部材の欠陥検査装置として、光学部材の真下から光を入射させ、光学部材の真上に抜けた透過光像を撮像するものが知られている。光学部材の欠陥としては、異物欠陥や凹凸欠陥などの種々の欠陥が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4307510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
欠陥の種類によって欠陥検査装置の構成も異なるため、従来は複数の欠陥検査装置を並べて各種の欠陥検出を行っていた。しかしながら、複数の欠陥検査装置を並べると、検査スペースが大きくなり、ラインの大型化を招くという課題があった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、種々の欠陥に対応することができ、ラインの大型化を抑制することが可能な欠陥検査装置、光学表示デバイスの生産システム及び光学シートの製造システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用した。
(1)すなわち、本発明の第一の態様に係る欠陥検査装置は、光学部材の欠陥検査装置であって、前記光学部材の一方側に配置された第一光源と、前記光学部材の一方側に配置された第二光源と、前記光学部材の他方側において前記第一光源から射出される光の光軸上に配置された撮像装置と、前記第二光源を、前記第一光源から射出される光の光軸上の第1の位置と前記光軸からずれた第2の位置との間で移動させる移動装置と、第1の撮像モードにおいて、前記第一光源を点灯させ、且つ、前記第二光源を消灯させるとともに、前記移動装置によって前記第二光源を前記第2の位置に移動させ、第2の撮像モードにおいて、前記第一光源を消灯させ、且つ、前記第二光源を点灯させるとともに、前記移動装置によって前記第二光源を前記第1の位置に移動させ、第3の撮像モードにおいて、前記第一光源を消灯させ、且つ、前記第二光源を点灯させるとともに、前記移動装置によって前記第二光源を前記第2の位置に移動させる制御を行う制御装置と、を含むことを特徴とする。
【0008】
(2)上記(1)に記載の欠陥検査装置では、前記第一光源は、光源と、前記光源と前記光学部材との間に配置され、前記光源から前記光学部材に入射する光の入射角度分布を調整する調整部材と、を含んでいてもよい。
【0009】
(3)上記(2)に記載の欠陥検査装置では、前記調整部材は、前記光軸の外側から前記光を絞る絞り部材であってもよい。
【0011】
)本発明の第一の態様に係る光学表示デバイスの生産システムは、光学表示部品に光学部材を貼合してなる光学表示デバイスの生産システムであって、前記光学部材を搬送するための搬送装置と、前記搬送装置で搬送された前記光学部材を前記光学表示部品に貼り合わせて前記光学表示デバイスを作製する貼合装置と、前記搬送装置から前記貼合装置に搬送される前記光学部材の欠陥の有無を検査する上記(1)から()までのいずれか一項に記載の欠陥検査装置と、を含むことを特徴とする。
【0012】
)本発明の第一の態様に係る光学シートの製造システムは、光学シートを製造する光学シートの製造装置と、前記光学シートの欠陥の有無を検査する上記(1)から()までのいずれか一項に記載の欠陥検査装置と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、種々の欠陥に対応することができ、ラインの大型化を抑制することが可能な欠陥検査装置、光学表示デバイスの生産システム及び光学シートの製造システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態のフィルム貼合システムの装置構成を示す側面図である。
図2】フィルム貼合システムの装置構成を示す側面図である。
図3】液晶パネルの平面図である。
図4】偏光フィルムシートの断面図である。
図5】第1実施形態の欠陥検査装置を示す側面図である。
図6】第1実施形態の第一光源の平面図である。
図7】第1の撮像モードにおける欠陥検査装置を説明するための図である。
図8】第2の撮像モードにおける欠陥検査装置を説明するための図である。
図9】第3の撮像モードにおける欠陥検査装置を説明するための図である。
図10】第2実施形態の欠陥検査装置を示す側面図である。
図11】第2実施形態の第一光源の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0017】
尚、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。また、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
以下の説明においては、必要に応じてXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。本実施形態においては、光学表示部品である液晶パネルの搬送方向をX方向としており、液晶パネルの面内においてX方向に直交する方向(液晶パネルの幅方向)をY方向、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向としている。
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態の光学表示デバイスの生産システムとして、その一部を構成するフィルム貼合システムについて説明する。
図1及び図2は、本実施形態のフィルム貼合システム1の装置構成を示す側面図である。
フィルム貼合システム1は、例えば液晶パネルや有機ELパネルといったパネル状の光学表示部品に、偏光フィルムや反射防止フィルム、光拡散フィルムといったフィルム状の光学部材を貼合するものである。
【0020】
なお、本実施形態では、光学表示部品として液晶パネルPを例示し、光学部材貼合体として、液晶パネルPの表裏両面に貼合シートF5を貼合してなる両面貼合パネルを例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】
図1及び図2に示すように、本実施形態のフィルム貼合システム1は液晶パネルPの製造ラインの一工程として設けられている。フィルム貼合システム1の各部は、電子制御装置としての制御部2により統括制御される。
【0022】
本実施形態のフィルム貼合システム1は、液晶パネルPの搬送方向に対して、液晶パネルPの姿勢を途中で90°旋回する。フィルム貼合システム1は、液晶パネルPの表裏面に、互いに偏光軸を直交する方向に向けた偏光フィルムF1を貼り合わせる。
【0023】
図3は、液晶パネルPをその液晶層P3の厚さ方向から見た平面図である。液晶パネルPは、平面視で長方形状をなす第1基板P1と、第1基板P1に対向して配置される比較的小形の長方形状をなす第2基板P2と、第1基板P1と第2基板P2との間に封入された液晶層P3とを備える。液晶パネルPは、平面視で第1基板P1の外形状に沿う長方形状をなし、平面視で液晶層P3の外周の内側に収まる領域を表示領域P4とする。
【0024】
図4は、液晶パネルPに貼合する光学部材F1を含む光学シートFの断面図である。尚、図4においては、便宜上、断面図の各層のハッチングを省略している。
図4に示すように、光学シートFは、フィルム状の光学部材F1と、光学部材F1の一方の面(図では上面)に設けられた粘着層F2と、粘着層F2を介して光学部材F1の一方の面に分離可能に積層されたセパレータF3と、光学部材F1の他方の面(図では下面)に積層された表面保護フィルムF4とを有する。光学部材F1は偏光板として機能し、液晶パネルPの表示領域P4の全域とその周辺領域とにわたって貼合される。
【0025】
光学部材F1は、その一方の面に粘着層F2を残しつつセパレータF3を分離した状態で、液晶パネルPに粘着層F2を介して貼合される。以下、光学シートFからセパレータF3を除いた部分を貼合シートF5という。
【0026】
セパレータF3は、粘着層F2から分離されるまでの間に粘着層F2及び光学部材F1を保護する。表面保護フィルムF4は、光学部材F1とともに液晶パネルPに貼合される。表面保護フィルムF4は、光学部材F1に対して液晶パネルPと反対側に配置されて光学部材F1を保護すると共に、所定のタイミングで光学部材F1から分離される。尚、光学シートFが表面保護フィルムF4を含まない構成であったり、表面保護フィルムF4が光学部材F1から分離されない構成であったりしてもよい。
【0027】
光学部材F1は、シート状の偏光子F6と、偏光子F6の一方の面に接着剤等で接合される第1フィルムF7と、偏光子F6の他方の面に接着剤等で接合される第2フィルムF8とを有する。第1フィルムF7及び第2フィルムF8は、例えば偏光子F6を保護する保護フィルムである。
【0028】
尚、光学部材F1は、一層の光学層からなる単層構造でもよく、複数の光学層が互いに積層された積層構造でもよい。前記光学層は、偏光子F6の他に、位相差フィルムや輝度向上フィルム等でもよい。第1フィルムF7と第2フィルムF8の少なくとも一方は、液晶表示素子の最外面を保護するハードコート処理やアンチグレア処理を含む防眩などの効果が得られる表面処理が施されてもよい。光学部材F1は、第1フィルムF7と第2フィルムF8の少なくとも一方を含まなくてもよい。例えば第1フィルムF7を省略した場合、セパレータF3を光学部材F1の一方の面に粘着層F2を介して貼り合わせてもよい。
【0029】
次に、本実施形態のフィルム貼合システム1について、詳しく説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態のフィルム貼合システム1は、図中右側の液晶パネルPの搬送方向上流側(+X方向側)から図中左側の液晶パネルPの搬送方向下流側(−X方向側)に至り、液晶パネルPを水平状態で搬送する駆動式のローラコンベア3を備えている。
【0030】
ローラコンベア3は、反転装置(図示略)を境に、上流側コンベアと下流側コンベアとに分かれる。上流側コンベアでは、液晶パネルPは表示領域P4の長辺を搬送方向に沿うようにして搬送される。一方、下流側コンベアでは、液晶パネルPは表示領域P4の短辺を搬送方向に沿うようにして搬送される。この液晶パネルPの表裏面に対して、帯状の光学シートFから所定長さに切り出した貼合シートF5が貼合される。
【0031】
本実施形態のフィルム貼合システム1は、第1供給装置7、第1貼合装置11、反転装置、第2供給装置、第2貼合装置、検査装置、制御部2を備えている。尚、反転装置、第2供給装置、第2貼合装置及び検査装置については、便宜上、その図示を省略する。
【0032】
図1では、フィルム貼合システム1の装置構成として、第1供給装置及び第2供給装置のうち第1供給装置7を挙げて説明する。第2供給装置は、第1供給装置7と同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。
【0033】
図1に示すように、第1供給装置7は、帯状の光学シートFを巻回した原反ロールR1から光学シートFを引き出して、所定サイズに切断した後に供給する。第1供給装置7は、第1搬送装置8、検査前剥離装置18、第1欠陥検査装置9、検査後貼合装置19、第1切断装置10を備えている。
【0034】
第1搬送装置8は、光学シートFをその長手方向に沿って搬送する搬送機構である。第1搬送装置8は、ロール保持部8aと、ニップローラ8bと、ガイドローラ8cと、アキュムレータ8dと、巻き取り部8e(図2参照)と、を有する。
【0035】
ロール保持部8aは、帯状の光学シートFを巻回した原反ロールR1を保持すると共に光学シートFをその長手方向に沿って繰り出す。
【0036】
ニップローラ8bは、原反ロールR1から巻き出した光学シートFを所定の搬送経路に沿って案内するべく光学シートFを挟みこむ。
【0037】
ガイドローラ8cは、搬送中の光学シートFの進行方向を搬送経路に沿って変化させる。複数のガイドローラ8cのうち少なくとも一つは、テンションローラとして機能する。つまり、搬送中の光学シートFのテンションを調整するべく可動する。
【0038】
アキュムレータ8dは、光学シートFが第1切断装置10で切断される間に、ロール保持部8aから搬送される光学シートFの繰り出し量を吸収する。
【0039】
第1搬送装置8の始点に位置するロール保持部8aと第1搬送装置8の終点に位置する巻き取り部8e(図2参照)とは、例えば互いに同期して駆動する。これにより、ロール保持部8aが光学シートFをその搬送方向へ繰り出しつつ、巻き取り部8eが第1貼合装置11を経たセパレータF3を巻き取る。以下、第1搬送装置8における光学シートF(セパレータF3)の搬送方向上流側をシート搬送上流側、搬送方向下流側をシート搬送下流側という。
【0040】
検査前剥離装置18は、シート搬送上流側から搬送されてきた光学シートFから第1セパレータH1(セパレータF3に相当)を剥離し、ロールに巻き取る構成である。検査前剥離装置18は、ナイフエッジ18aと、巻き取り部18bと、を有する。
【0041】
ナイフエッジ18aは、光学シートFの幅方向で少なくともその全幅にわたって延在する。ナイフエッジ18aは、原反ロールR1から巻き出した光学シートFの第1セパレータH1側に摺接するようにこれを巻きかける。ナイフエッジ18aは、その先端部に光学シートFを鋭角に巻きかける。ナイフエッジ18aは、その先端部で光学シートFを鋭角に折り返す際、第1セパレータH1から貼合シートF5を分離させる。ナイフエッジ18aは、この貼合シートF5を第1欠陥検査装置9に供給する。
【0042】
巻き取り部18bは、ナイフエッジ18aを経て単独となった第1セパレータH1を巻き取り、第1セパレータロールR2として保持する。
【0043】
第1欠陥検査装置9は、第1セパレータH1の剥離後の光学シートF、すなわち貼合シートF5の欠陥検査を行う。第1欠陥検査装置9は、CCDカメラで撮像された画像データを解析して欠陥の有無を検査し、欠陥がある場合には、その位置座標を算出する。この欠陥の位置座標は、第1切断装置10によるスキップカットに提供される。尚、第1欠陥検査装置9の詳細については後述する。
【0044】
検査後貼合装置19は、欠陥検査後の貼合シートF5に、第2セパレータH2(セパレータF3に相当)を、粘着層F2を介して貼り合わせる。検査後貼合装置19は、ロール保持部19aと、挟圧ロール19bと、を有する。
【0045】
ロール保持部19aは、帯状の第2セパレータH2を巻回した第2セパレータロールR3を保持すると共に第2セパレータH2をその長手方向に沿って繰り出す。
【0046】
挟圧ロール19bは、第2セパレータロールR3から巻き出した第2セパレータH2をシート搬送上流側から搬送される欠陥検査後の貼合シートF5の下面(粘着層F2側の面)に貼合する。挟圧ロール19bは、互いに軸方向を平行にして配置された一対の貼合ローラを有する(上の貼合ローラは上下する)。一対の貼合ローラ間には所定の間隙が形成され、この間隙内が検査後貼合装置19の貼合位置となる。前記間隙内には、貼合シートF5及び第2セパレータH2が重なり合って導入される。これら貼合シートF5及び貼合シートF5が、挟圧ロール19bに挟圧されつつシート搬送下流側に送り出される。これにより、欠陥検査後の貼合シートF5の下面に第2セパレータH2が貼合され、光学シートFが形成される。
【0047】
第1切断装置10は、光学シートFが所定長さ繰り出された際、光学シートFの長手方向と直交する幅方向の全幅にわたって、光学シートFの厚さ方向の一部を切断するハーフカットを行う。
【0048】
第1切断装置10は、光学シートFの搬送中に働くテンションによって光学シートF(セパレータF3)が破断しないように(所定の厚さがセパレータF3に残るように)、切断刃の進退位置を調整し、粘着層F2とセパレータF3との界面の近傍までハーフカットを施す。尚、切断刃に代わるレーザー装置を用いてもよい。
【0049】
ハーフカット後の光学シートFには、その厚さ方向で光学部材F1及び表面保護フィルムF4が切断されることにより、光学シートFの幅方向の全幅にわたる切込線が形成される。切込線は、帯状の光学シートFの長手方向で複数並ぶように形成される。例えば同一サイズの液晶パネルPを搬送する貼合工程の場合、複数の切り込み線は光学シートFの長手方向で等間隔に形成される。光学シートFは、前記複数の切込線によって長手方向で複数の区画に分けられる。光学シートFにおける長手方向で隣り合う一対の切込線に挟まれる区画は、それぞれ貼合シートF5における一つのシート片とされる。
【0050】
第1切断装置10は、第1欠陥検査装置9で算出された欠陥の位置座標に基づいて、欠陥部分を避けるように所定サイズに切断する(スキップカット)。欠陥部分を含む切断品は、不良品として後工程で排除される。尚、第1切断装置10は、欠陥部分を無視して、光学シートFを連続的に所定サイズに切断してもよい。この場合、貼合シートF5と液晶パネルPとの貼合工程において、欠陥部分を含む切断品を液晶パネルPに貼り合わせずに除去することができる。
【0051】
図2では、フィルム貼合システム1の装置構成として、第1貼合装置及び第2貼合装置のうち第1貼合装置11を挙げて説明する。第2貼合装置は、第1貼合装置11と同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。
【0052】
図2に示すように、第1貼合装置11は、貼合位置に導入された液晶パネルPの上面に対して、所定サイズにカットした貼合シートF5の貼合を行う。第1貼合装置11は、ナイフエッジ11aと、挟圧ロール11bと、を有する。
【0053】
ナイフエッジ11aは、ハーフカットを施した光学シートFを鋭角に巻きかけてセパレータF3から貼合シートF5を分離させつつこの貼合シートF5を貼合位置に供給する。
【0054】
挟圧ロール11bは、ナイフエッジ11aが光学シートFから分離させた所定長さの貼合シートF5を上流側コンベアにより搬送される液晶パネルPの上面に貼合する。挟圧ロール11bは、互いに軸方向を平行にして配置された一対の貼合ローラを有する。一対の貼合ローラ間には所定の間隙が形成され、この間隙内が第1貼合装置11の貼合位置となる。前記間隙内には、液晶パネルP及び貼合シートF5が重なり合って導入される。これら液晶パネルP及び貼合シートF5が、挟圧ロール11bに挟圧されつつ上流側コンベアのパネル搬送下流側に送り出される。これにより、液晶パネルPの上面に貼合シートF5が一体的に貼合される。以下、この貼合後のパネルを片面貼合パネルP11という。
【0055】
巻き取り部8eは、ナイフエッジ11aを経て単独となった第2セパレータH2を巻き取り、第2セパレータロールR4として保持する。
【0056】
反転装置(図示略)は、第1貼合装置11よりもパネル搬送下流側に設けられて上流側コンベアの終着位置に達した液晶パネルPを下流側コンベアの始発位置まで搬送する。
【0057】
反転装置は、第1貼合装置11を経て上流側コンベアの終着位置に達した片面貼合パネルP11を吸着や挟持等により保持する。反転装置は、片面貼合パネルP11の表裏を反転させる。反転装置は、例えば前記表示領域P4の長辺と平行に搬送されていた片面貼合パネルP11を表示領域P4の短辺と平行に搬送されるように方向転換させる。
【0058】
前記反転は、液晶パネルPの表裏面に貼合する各光学部材F1が偏光軸方向を互いに直角に配置するような場合になされる。
【0059】
尚、単に液晶パネルPの表裏を反転させる場合には、例えば搬送方向と平行な回動軸を有する反転アームを有する反転装置を用いればよい。この場合、第1供給装置7のシート搬送方向と第2供給装置のシート搬送方向とを平面視で互いに直角にして配置すれば、液晶パネルPの表裏面に互いに偏光軸方向を直角にした光学部材F1を貼合できる。
【0060】
第2供給装置は、第1供給装置7と同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。第2供給装置は、帯状の光学シートFを巻回した原反ロールから光学シートFを引き出して、所定サイズに切断した後に供給する。第2供給装置は、図示はしないが、第2搬送装置、検査前剥離装置、第2欠陥検査装置、検査後貼合装置、第2切断装置を備えている。
【0061】
第2貼合装置は、貼合位置に導入された液晶パネルPの上面に対して、所定サイズにカットした貼合シートF5の貼合を行う。第2貼合装置は、第1貼合装置11と同様のナイフエッジと、挟圧ロールと、を有する。
【0062】
挟圧ロールの一対の貼合ローラ間の間隙内(第2貼合装置の貼合位置)には、片面貼合パネルP11及び貼合シートF5が重なり合った状態で導入され、片面貼合パネルP11の上面に貼合シートF5が一体的に貼合される。以下、この貼合後のパネルを両面貼合パネル(光学部材貼合体)という。
【0063】
検査装置(図示略)は、第2貼合装置よりもパネル搬送下流側に設けられている。検査装置は、両面貼合パネルの欠陥(貼合不良等)の有無を検査する。検査対象となる欠陥としては、液晶パネルと貼合シートとを貼合する際の異物や気泡のかみ込み、貼合シートの表面の傷、液晶パネルに内在する配向不良などの欠陥などが挙げられる。
【0064】
尚、本実施形態においてフィルム貼合システム1の各部を統括制御する電子制御装置としての制御部2は、コンピュータシステムを含んで構成されている。このコンピュータシステムは、CPU等の演算処理部と、メモリやハードディスク等の記憶部とを備える。本実施形態の制御部2は、コンピュータシステムの外部の装置との通信を実行可能なインターフェースを含む。制御部2には、入力信号を入力可能な入力装置が接続されていてもよい。上記の入力装置は、キーボード、マウス等の入力機器、あるいはコンピュータシステムの外部の装置からのデータを入力可能な通信装置等を含む。制御部2は、フィルム貼合システム1の各部の動作状況を示す液晶表示ディスプレイ等の表示装置を含んでいてもよいし、表示装置と接続されていてもよい。
【0065】
制御部2の記憶部には、コンピュータシステムを制御するオペレーティングシステム(OS)がインストールされている。制御部2の記憶部には、演算処理部にフィルム貼合システム1の各部を制御させることによって、フィルム貼合システム1の各部に光学シートFを精度よく搬送させるための処理を実行させるプログラムが記録されている。記憶部に記録されているプログラムを含む各種情報は、制御部2の演算処理部が読み取り可能である。制御部2は、フィルム貼合システム1の各部の制御に要する各種処理を実行するASIC等の論理回路を含んでいてもよい。
【0066】
記憶部は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などといった半導体メモリや、ハードディスク、CD−ROM読取り装置、ディスク型記憶媒体などといった外部記憶装置などを含む概念である。記憶部は、機能的には、第1供給装置7、第1貼合装置11、反転装置、第2供給装置、第2貼合装置、検査装置の動作の制御手順が記述されたプログラムソフトを記憶する記憶領域、その他各種の記憶領域が設定される。
【0067】
(欠陥検査装置)
次に、本実施形態の欠陥検査装置について詳細に説明する。
【0068】
図5は、本実施形態の欠陥検査装置を示す側面図である。図5では、欠陥検査装置として、第1欠陥検査装置9、第2欠陥検査装置のうち第1欠陥検査装置9を挙げて説明する。第2欠陥検査装置は、第1欠陥検査装置9と同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。図5において、符号Sf1は貼合シートF5の下面(光学部材の一方側の面)であり、粘着層F2側の面である。符号Sf2は貼合シートF5の上面(光学部材の他方側の面)であり、表面保護フィルムF4側の面である。
【0069】
図5に示すように、本実施形態の第1欠陥検査装置9は、貼合シートF5の下面Sf1の側に配置された第一光源20と、貼合シートF5の下面Sf1の側に配置された第二光源23と、貼合シートF5の上面Sf2の側において第一光源20から射出される光の光軸CL上に配置された撮像装置24と、第二光源23を光軸CL上の第1の位置と光軸CLからずれた第2の位置との間で移動させる移動装置30と、制御装置31と、を備えている。
【0070】
制御装置31は、第1欠陥検査装置9の各部を統括制御する。制御装置31は、第一光源20、第二光源23及び移動装置30の各々を独立に制御可能である。
【0071】
第一光源20は相対的に指向性の高い光を射出する光源であり、第二光源23は相対的に指向性の低い光を射出する光源である。
【0072】
本実施形態の第一光源20は、光源21と、光源21と貼合シートF5との間に配置された調整部材22と、を備えている。調整部材22は、光源20から貼合シートF5に入射する光の入射角度分布を調整するものである。
【0073】
本実施形態では、調整部材22として、光軸CLの外側から光源21から射出された光を絞る絞り部材を用いる。
【0074】
絞り部材22には、第一光源20から射出された光の光軸CLと重なる位置にスリット22hが設けられている。
【0075】
光源21の光射出面21aの中心と撮像装置24の受光面24aの中心とは、同軸(光軸CL上)に配置されている。
【0076】
図6は、第一光源20の平面図である。図6では、便宜上、貼合シートF5を図示している。
【0077】
図6に示すように、第一光源20を構成する光源21は、長方形であり、Y方向に沿って長手を有している。光源21の光射出面21aも、Y方向に沿って長手を有している。本実施形態において、光源21の光射出面21aは、貼合シートF5の搬送方向と直交する幅方向に沿って長手を有している。光源21の光射出面21aは、貼合シートF5に対して幅方向に跨って形成されている。例えば、光源21としては、LEDライン光源を用いることができる。
【0078】
図6では図示はしないが、第二光源23も、光源21と同様に、Y方向に沿って長手を有している。例えば、第二光源23としては、光源21と同様のLEDライン光源を用いることができる。
【0079】
絞り部材22は、光源21の光射出面21aの外周部と重なるように配置されている。絞り部材22は、光源21と同様に、Y方向に沿って長手を有している。スリット22hも、Y方向に沿って長手を有している。絞り部材22は、Y方向において光源21よりも長くなっている。スリット22hは、Y方向において光源21の光射出面21aよりも短くなっている。
【0080】
これにより、光源21から射出された光のうちスリット22hを透過した光、すなわち光軸CLに沿う光のみが、貼合シートF5を透過し、撮像装置24に選択的に入射する成分となる。
【0081】
図6では図示しないが、撮像装置24も、第一光源20と同様に、Y方向に沿って長手を有している。例えば、撮像装置24としては、ラインカメラを用いることができる。
【0082】
このような構成により、第1欠陥検査装置9は、貼合シートF5に対して、下面Sf1側から絞り部材22を介して光を当て、貼合シートF5を透過した光を撮像装置24で撮像し、この撮像データに基づいて貼合シートF5の欠陥の有無を検査する。
【0083】
次に、第1欠陥検査装置9の撮像モードについて図7図9を用いて説明する。
図7は、第1の撮像モードにおける第1欠陥検査装置9を説明するための図である。図8は、第2の撮像モードにおける第1欠陥検査装置9を説明するための図である。図9は、第3の撮像モードにおける第1欠陥検査装置9を説明するための図である。図7図9においては、便宜上、移動装置30及び制御装置31(図5参照)の図示を省略している。
【0084】
図7に示すように、制御装置31は、第1の撮像モードにおいて、光源21(第一光源20)を点灯させ、且つ、第二光源23を消灯させるとともに、移動装置30によって第二光源23を光軸CLからずれた第2の位置Q2に移動させる制御を行う。
【0085】
第2の位置Q2は、第一光源20から射出される光が第二光源23によって遮られることを回避することができ、且つ、撮像装置24の視野範囲から第二光源23が退避される位置に設定されている。第2の位置Q2が光軸CLに近すぎると、第一光源20から射出される光の一部が第二光源23によって遮られたり、撮像装置24の視野範囲に第二光源23が侵入したりしてしまう。一方、第2の位置Q2が光軸CLから遠すぎると、第二光源23を光軸CL上の第1の位置に移動させる際に時間がかかり、スムーズに別の撮像モードに移行しにくくなる。このような観点から、第2の位置Q2は、光軸CLから−200mm以上200mm以下の範囲の距離に設定されている。
【0086】
第1の撮像モードでは、第一光源20から射出された光のみが選択的に貼合シートF5に入射する。撮像装置24は、貼合シートF5の第一光源20によって照射された位置Ps1を撮像する。撮像装置24は、第一光源20から射出され貼合シートF5を真っ直ぐ透過した光の透過光像を撮像する。
【0087】
このように第1の撮像モードとすることにより、貼合シートF5の欠陥(例えば凹凸欠陥)を検出するためのスリット透過検査を行うことができる。
【0088】
図8に示すように、制御装置31は、第2の撮像モードにおいて、光源21(第一光源20)を消灯させ、且つ、第二光源23を点灯させるとともに、移動装置30によって第二光源23を光軸CL上の第1の位置Q1に移動させる制御を行う。
【0089】
第2の撮像モードでは、第二光源23から射出された光のみが選択的に貼合シートF5に入射する。撮像装置24は、貼合シートF5の第二光源23によって照射された位置Ps2を撮像する。撮像装置24は、第二光源23から射出され貼合シートF5を真っ直ぐ透過した光の透過光像を撮像する。
【0090】
このように第2の撮像モードとすることにより、貼合シートF5の欠陥(例えば異物欠陥)を検出するための正透過検査を行うことができる。
【0091】
図9に示すように、制御装置31は、第3の撮像モードにおいて、光源21(第一光源20)を消灯させ、且つ、第二光源23を点灯させるとともに、移動装置30によって第二光源23を光軸CLからずれた第2の位置Q2に移動させる制御を行う。
【0092】
第3の撮像モードでは、第二光源23から射出された光のみが選択的に貼合シートF5に入射する。撮像装置24は、貼合シートF5の第二光源23によって照射された位置Ps2を撮像する。撮像装置24は、第二光源23から射出され貼合シートF5を斜めに透過した光の散乱光像を撮像する。
【0093】
第1欠陥検査装置9は、撮像装置24の撮像結果に基づいて、光軸CLに沿った方向から見たときの貼合シートF5の上面Sf2と平行な面内の透過率の分布を検出し、透過率の大きい部分を欠陥部分として検出する。貼合シートF5に凹凸欠陥(例えば気泡)があると、第二光源23から射出された光が凹凸欠陥によって散乱し、散乱光の一部L2が撮像装置24に入射するようになる。一方、凹凸欠陥がない場合には、散乱光が生じないため、撮像装置24の撮像画像は暗くなる。そのため、光軸CLに沿った方向から見たときの透過率の分布を検出すれば、欠陥の有無を検出することができる。
【0094】
光軸CLに対する第二光源23の配置角度θ(第一光源20の光軸CLと第二光源23の光軸CL2とのなす角度)は、撮像装置24が散乱光L2を十分に受光できる角度に設定されている。撮像装置24が散乱光L2を撮像する際にはコントラストを大きくする観点から暗視野に配置されることが好ましい。配置角度θが小さすぎると、貼合シートF5を透過した光のうち第二光源23の光軸CL2に沿って進行する光L1と散乱光L2とが混在してしまい、コントラストが小さくなり、散乱光L2を精度よく検出できなくなる。一方、配置角度θが大きすぎると、撮像装置24に散乱光が入射しにくくなる。このような観点から、配置角度θは、−3.5°以上3.5°以下の範囲の角度に設定されている。尚、配置角度θは、より好ましくは―1.5°以上1.5°以下の範囲の角度に設定される。
【0095】
このように第3の撮像モードとすることにより、貼合シートF5の欠陥(例えば凹凸欠陥)を検出するための散乱透過検査を行うことができる。
【0096】
第3の撮像モードによれば、撮像装置24が第一光源20の光軸CL上に配置され、貼合シートF5の光が照射された位置Ps2を鉛直方向から撮像するので、第二光源23から射出された光が直接撮像装置24に入射することはない。これにより、凹凸欠陥により発生した散乱光を選択的に撮像できるため、精度のよい欠陥検出が可能となる。
【0097】
尚、各撮像モードにおいて、第一光源20(光源21及び絞り部材22)と撮像装置24とは定位置に固定される。
【0098】
以上、説明したように本実施形態の第1欠陥検査装置9は、制御装置31の制御により、第1の撮像モード、第2の撮像モード及び第3の撮像モードを自由に選択することができる。そのため、異物欠陥や凹凸欠陥など欠陥の種類が異なる場合であっても、同じ第1欠陥検査装置9によって各種の欠陥を検出することができる。よって、第1欠陥検査装置9による検査スペースを、複数の欠陥検査装置を並べたときの検査スペースよりも小さくすることができる。従って、本実施形態によれば、種々の欠陥に対応することができ、ラインの大型化を抑制することができる。
【0099】
また、光源21と貼合シートF5の間に絞り部材22が設けられているため、貼合シートF5に入射する光の指向性を高めることができる。よって、精度よく欠陥を検出することができる。
【0100】
また、各撮像モードにおいて、絞り部材22が定位置に固定される構成であるため、絞り部材を移動させる構成に比べて、光源21から射出される光の指向性の調整が容易となる。
【0101】
(第2実施形態)
図10は、図5に対応した、本発明の第2実施形態の欠陥検査装置を示す側面図である。図10では、欠陥検査装置として、第1欠陥検査装置、第2欠陥検査装置のうち第1欠陥検査装置109を挙げて説明する。第2欠陥検査装置は、第1欠陥検査装置109と同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。図10において、符号Sf1は貼合シートF5の下面(光学部材の一方側の面)であり、粘着層F2側の面である。符号Sf2は貼合シートF5の上面(光学部材の他方側の面)であり、表面保護フィルムF4側の面である。
【0102】
図10に示すように、本実施形態の第1欠陥検査装置109は、調整部材25として、絞り部材に替えて、光軸CLの片側から光源21から射出された光を遮光する遮光板を用いる点が第1実施形態と異なる。図10において、図5と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0103】
図11は、図6に対応した、第一光源120の平面図である。図11では、便宜上、貼合シートF5を図示している。図11において、図6と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0104】
図11に示すように、遮光板25は、第一光源120を構成する光源21の光射出面21aの略半分(光源21の+X方向側の部分)と重なるように配置されている。遮光板25も、光源21と同様に、Y方向に沿って長手を有している。遮光板25は、Y方向において光源21よりも長くなっている。
【0105】
これにより、光源21から射出された光のうち光軸CLよりも+X方向側に射出された光が遮光板25によって遮光される。一方、光源21から射出された光のうち光軸CLよりも−X方向側に射出された光は撮像装置24に入射されない。そのため、光源21から射出された光のうち光軸CLに沿う光のみが、貼合シートF5を透過し、撮像装置24に選択的に入射する成分となる。
【0106】
このような構成により、第1欠陥検査装置109は、貼合シートF5に対して、下面Sf1側から遮光板25を介して光を当て、貼合シートF5を透過した光を撮像装置24で撮像し、この撮像データに基づいて貼合シートF5の欠陥の有無を検査する。
【0107】
本実施形態によれば、光源21と貼合シートF5の間に遮光板25が設けられているため、貼合シートF5に入射する光の指向性を高めることができる。よって、精度よく欠陥を検出することができる。
【0108】
尚、上記実施形態では、一例として、第一光源が光源と調整部材とを備えた構成を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第一光源が調整部材を備えずに、第二光源よりも指向性の高い光源を備えた構成であってもよい。第一光源としては、第二光源よりも指向性の高い構成であれば、種々の構成を採用することができる。
【0109】
また、上記実施形態では、欠陥検査装置を、光学表示デバイスの生産システムとして、その一部を構成するフィルム貼合システムに適用した例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、欠陥検査装置を、光学シートの製造システムによる光学シートの製造の単独した工程においても適用することができる。光学シートの製造システムは、光学シートを製造する光学シートの製造装置と、光学シートの欠陥の有無を検査する前記欠陥検査装置と、を含む。例えば、光学シートの製造装置は、図1に示した原反ロールR1に巻回された帯状の光学シートFを製造するための装置である。
【0110】
他にも、光学シートの製造システムにおいて用いられる欠陥検査方法を、リワインダー(自動巻取機)による検査を行うための単独のラインにおいても適用することができる。欠陥検査方法は、光学シートの一方側に第一光源と第二光源とを配置し、光学シートの他方側において第一光源から射出される光の光軸上に撮像装置を配置し、第二光源を、第一光源から射出される光の光軸上の第1の位置と光軸からずれた第2の位置との間で移動させる。
【0111】
以上、添付図面を参照しながら本実施形態に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0112】
1…フィルム貼合システム(光学表示デバイスの生産システム)、8…第1搬送装置(搬送装置)、9,109…第1欠陥検査装置(欠陥検査装置)、11…第1貼合装置(貼合装置)、21…光源、22…絞り部材(調整部材)、23…第二光源、24…撮像装置、25…遮光板(調整部材)、30…移動装置、31…制御装置、CL…光軸、P…液晶パネル(光学表示部品)、F1…光学部材、Sf1…下面(光学部材の一方側の面)、Sf2…上面(光学部材の他方側の面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11