【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成23〜25年度独立行政法人新エネルギー・産業技術開発機構高温超電導ケーブル実証プロジェクト共同研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液化ガスを貯留するリザーバタンク、該リザーバタンクに貯留された前記液化ガスを循環させる循環ポンプ、及び、前記循環する液化ガスを冷却する冷却装置を有する循環ループを備え、前記液化ガスをサブクール状態で循環させることにより超電導装置を冷却する超電導装置の冷却システムであって、
前記循環ループから分岐した第1のバイパスラインを介して導入した前記液化ガスを、該第1のバイパスライン上に設けた熱交換器で気化して、前記リザーバタンクの上部に供給する第1の加圧手段と、
前記循環ループから分岐した第2のバイパスラインに前記リザーバタンク内の気化ガスを導入し、前記第2のバイパスライン内部において凝縮することにより前記前記リザーバタンクを減圧する機能手段を有する超電導装置の冷却システム。
前記リザーバタンク内の圧力を検出する圧力検出手段と、前記圧力検出手段の検出値に基づいて、前記第1の加圧手段及び前記減圧手段を作動させる制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の超電導装置の冷却システム。
前記制御手段は、前記圧力検出手段の検出値が予め設定された第1の閾値未満になった場合に前記第1の加圧手段を作動させ、前記圧力検出手段の検出値が前記第1の閾値より高く設定された第2の閾値以上になった場合に前記減圧手段を作動させることを特徴とする請求項2に記載の超電導装置の冷却システム。
前記制御手段は、前記第2のバイパスラインに設けられた圧力制御弁を開状態に切り替えることによって、前記リザーバタンク内の気化ガスを前記第2のバイパスラインに導入して前記減圧手段を作動させることを特徴とする請求項2に記載の超電導装置の冷却システム。
前記液化ガスと同種のガスを高圧で貯めたガスボンベから、圧力調整弁を介して前記リザーバタンクに供給することにより、前記リザーバタンクを加圧する第3の加圧手段を更に備え、
前記制御手段は、前記圧力検出手段の検出圧力値が前記第3の閾値より低く設定された第4の閾値未満になった場合に、前記第3の加圧手段を作動させることを特徴とする請求項5に記載の超電導装置の冷却システム。
液化ガスを貯留するリザーバタンク、該リザーバタンクに貯留された前記液化ガスを循環させる循環ポンプ、及び、前記循環する液化ガスを冷却する冷却装置を有する循環ループを備え、前記液化ガスをサブクール状態で循環させることにより超電導装置を冷却する超電導装置の冷却方法であって、
前記リザーバタンク内の圧力を検出するステップと、
前記検出した圧力が予め設定された第1の閾値未満になった場合に、前記循環ループから分岐した第1のバイパスラインを介して導入した前記液化ガスを、該第1のバイパスライン上に設けられた第2の熱交換器で気化して、前記リザーバタンクの上部に供給するステップと、
前記検出した圧力が前記第1の閾値より高く予め設定された第2の閾値以上になった場合に、前記循環ループから分岐した第2のバイパスラインに前記リザーバタンク内の気化ガスを導入し、前記第2のバイパスライン内部において凝縮することにより、前記リザーバタンクを減圧するステップと
を備えたことを特徴とする超電導装置の冷却方法。
前記検出した圧力が前記第1の閾値より低く設定された第3の閾値未満になった場合に、前記リザーバタンク内に貯留された液化ガスを加熱することにより、前記リザーバタンクを加圧するステップを更に備えたことを特徴とする請求項11に記載の超電導装置の冷却方法。
前記検出した圧力が第3の閾値より低く設定された第4の閾値未満になった場合に、前記液化ガスと同種のガスを高圧で貯めたガスボンベから、圧力調整弁を介して前記リザーバタンクに供給することにより、前記リザーバタンクを加圧するステップを更に備えたことを特徴とする請求項12に記載の超電導装置の冷却方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
超電導ケーブルは良好な送電効率を有するため、遠隔地などのアクセスが困難な地域を含む広い範囲に亘って設置されることがある。そのため、超電導ケーブルの冷却装置は、極力少ないメンテナンスで、長期的に安定的な運用が可能であることが要求される。
【0007】
特許文献1では、リザーバタンク外部に設けられたガスボンベから窒素ガスを供給する必要があるため、ガスボンベの窒素ガスの残量が減少した場合には、窒素ガスの補充作業又はガスボンベの交換作業などのメンテナンス作業が必要となる。また、ガスボンベから供給された窒素ガスがリザーバタンク内で液化するため、冷却システムにおける液化ガス(液体窒素)の総量が増加する。そのため、過剰となった液化ガスを排出する必要があり、無駄がある。
【0008】
また、特許文献1では、リザーバタンクの圧力が高くなった場合には、リザーバタンク内で気化した窒素ガスを外部に放出することにより、減圧を実施する。しかしながら、このように外部に窒素ガスを放出すると、冷却システム全体における液化ガスが減少するため、不足分を外部から補充するメンテナンス作業が必要となる。
このように特許文献1の冷却システムでは、その冷却性能を維持するために、様々なメンテナンス作業が必要となる。
【0009】
また、ヒータで加熱して加圧する場合、ヒータを動作させるために電力の消費を伴う。そのため、冷却対象である超電導ケーブルで良好な送電効率が得られたとしても、ヒータによる電力消費量の分だけ、システム全体における送電効率が低下してしまう。
また、ヒータのON/OFFによってリザーバタンク内の圧力を制御する場合、リザーバタンクの圧力変化との間に大きなタイムラグが生じる。具体的に言うと、ヒータを停止した場合、リザーバタンク内の温度が低下するまでにはある程度の時間を要する。そのため、ヒータを用いた加圧方法は、リザーバタンクを適切な圧力範囲に精度よく制御することが難しい。
【0010】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態は、電力消費量が少なく、長期に亘って安定的な運用が可能な超電導装置の冷却システム及び冷却方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態に係る超電導装置の冷却システムは、液化ガスを貯留するリザーバタンク、該リザーバタンクに貯留された前記液化ガスを循環させる循環ポンプ、及び、前記循環する液化ガスを冷却する冷却装置を有する循環ループを備え、前記液化ガスをサブクール状態で循環させることにより超電導装置を冷却する超電導装置の冷却システムであって、前記循環ループから分岐した第1のバイパスラインを介して導入した前記液化ガスを、該第1のバイパスライン上に設けた熱交換器で気化して、前記リザーバタンクの上部に供給する第1の加圧手段と、前記循環ループから分岐した第2のバイパスラインに前記リザーバタンク内の気化ガスを導入し、前記第2のバイパスライン内部において凝縮することにより前記リザーバタンクを減圧する減圧手段と、前記リザーバタンク内の圧力を検出する圧力検出手段と、前記圧力検出手段の検出値に基づいて、前記第1の加圧手段及び前記減圧手段を作動させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
上記冷却システムでは、リザーバタンク内の圧力が低下した場合には第1の加圧手段によって加圧する一方で、リザーバタンク内の圧力が上昇した場合には減圧手段によって減圧する。これにより、リザーバタンク内の圧力を所定範囲内に制御することができ、循環ループを流れる液化ガスをサブクール状態に維持することができる。
第1の加圧手段は、循環ループを流れる液化ガスの一部を気化してリザーバタンクに供給することで加圧を行うため、外部から液化ガスを補給する必要がない。また、液化ガスは熱交換器を用いて、例えば外気との間で熱交換して気化できるので、電力消費量も少なくて済む。
減圧手段は、リザーバタンク内の気化ガスの一部を第2のバイパスラインに導入して凝縮することにより減圧するため、システム外部から液化ガスを補給する必要がない。このとき、減圧手段は、リザーバタンク内の存在する気化ガスを、第2のバイパスラインに存在する液化ガスに接触させることよって凝縮する。そのため、リザーバタンク内の気化ガスをシステム外部に排出して無駄にすることもない。
従って、上記冷却システムでは、循環ループを流れる液化ガスを有効利用しながら、リザーバタンク内の圧力を適切な範囲に維持できる。このように、電力消費量が少なく、長期に亘って安定的な運用が可能な超電導装置の冷却システムを提供することができる。
【0013】
一実施形態において、前記制御手段は、前記圧力検出手段の検出値が予め設定された第1の閾値未満になった場合に前記第1の加圧手段を作動させ、前記圧力検出手段の検出値が前記第1の閾値より高く設定された第2の閾値以上になった場合に前記減圧手段を作動させる。
上記冷却システムでは、圧力検出手段の検出値に基づいて第1の加圧手段及び減圧手段を作動させることによって、リザーバタンク内の圧力を第1の閾値以上、第2の閾値未満に精度よく制御することができる。
【0014】
一実施形態において、前記制御手段は、前記第2のバイパスラインに設けられた圧力制御弁を開状態に切り替えることによって、前記リザーバタンク内の気化ガスを前記第2のバイパスラインに導入して前記減圧手段を作動させる。
上記冷却システムでは、第2のバイパスラインに設けた圧力制御弁の開閉状態を制御手段によって制御することによって、リザーバタンク内の圧力を適切な範囲に減圧することができる。例えば制御手段による圧力制御弁の開閉制御にPID制御を採用することにより、リザーバタンク内の圧力が上昇した場合にでも第2の閾値になるように良好に制御することができる。
【0015】
一実施形態に係る超電導装置の冷却システムは、前記リザーバタンク内に貯留された液化ガスを加熱することにより、前記リザーバタンクを加圧する第2の加圧手段を更に備え、前記制御手段は、前記圧力検出手段の検出値が前記第1の閾値より低く設定された第3の閾値未満になった場合に、前記第2の加圧手段を作動させる。
上記冷却システムでは、リザーバタンク内の圧力が第3の閾値未満になった場合には、第2の加圧手段を作動させることにより、第1の加圧手段による加圧性能を補助して、リザーバタンク内の圧力を適切な範囲に維持することができる。
第2の加圧手段は液化ガスを加熱する必要があるため、第1の加圧手段に比べて消費電力が大きい。そのため、第1の加圧手段による加圧性能が足りない場合に限って第2の加圧手段を作動させることにより、消費電力量を抑制しつつ、リザーバタンク内の圧力を適切な範囲に維持することができる。
また、何らかの原因によって第1の加圧手段が故障等によって停止した場合であっても、第2の加圧手段をバックアップとして作動させることによって、リザーバタンクを加圧することができる。これにより、冷却システムに不具合が生じた場合でもリザーバタンク内の圧力を適切な範囲に維持することができ、信頼性を向上させることができる。尚、第1の加圧手段が停止して第2の加圧手段のみによって加圧制御した場合には、リザーバタンク内の圧力は第1の閾値より低い第3の閾値を基準に加圧されるが、リザーバタンク内の圧力が極端に低下することによって冷却システムが重大な故障に陥ることを効果的に防ぐことができる。
【0016】
一実施形態に係る超電導装置の冷却システムは、前記液化ガスと同種のガスを高圧で貯めたガスボンベから、圧力調整弁を介して前記リザーバタンクに供給することにより、前記リザーバタンクを加圧する第3の加圧手段を更に備え、前記制御手段は、前記圧力検出手段の検出値が前記第3の閾値より低く設定された第4の閾値未満になった場合に、前記第3の加圧手段を作動させる。
上記冷却システムでは、リザーバタンク内の圧力が第4の閾値未満になった場合には、第3の加圧手段を作動させることにより、第1の加圧手段及び第2の加圧手段による加圧性能を更に補助して、リザーバタンク内の圧力を適切な範囲に維持することができる。
第3の加圧手段はガスボンベからリザーバタンクに気化ガスを供給するため、ガスボンベの残量ガスが少なくなった場合に、ガスボンベの補給作業又は交換作業などのメンテナンスが必要となる。そのため、第1の加圧手段及び第2の加圧手段によっても依然として加圧性能が足りない場合に限って第3の加圧手段を作動させることにより、ガスボンベのガス消費量を抑制してメンテナンス頻度を少なくしつつ、リザーバタンク内の圧力を適切な範囲に維持することができる。
また、何らかの原因によって第1の加圧手段及び第2の加圧手段が故障等によって停止した場合であっても、第3の加圧手段をバックアップとして作動させることによって、リザーバタンクを加圧することができる。これにより、冷却システムに不具合が生じた場合でもリザーバタンク内の圧力を適切な範囲に維持することができ、より良好な信頼性を有する冷却システムを実現することができる。尚、第1の加圧手段及び第2の加圧手段が停止して第3の加圧手段のみによって加圧制御した場合には、リザーバタンク内の圧力は第3の閾値より低い第4の閾値を基準に加圧されるが、リザーバタンク内の圧力が極端に低下することによって冷却システムが重大な故障に陥ることを効果的に防ぐことができる。
【0017】
一実施形態において、前記第1のバイパスラインは、前記循環ループのうち前記ポンプの上流側から分岐している。
【0018】
一実施形態において、前記第2のバイパスラインは、前記循環ループのうち前記リザーバタンクの上流側から分岐している。
【0019】
一実施形態において、前記超電導装置は超電導ケーブルである。
上記冷却システムでは、長距離送電に用いられる超電導ケーブルなど、少ないメンテナンス負担で、長期に亘って安定的な運用が求められる超電導装置に適用することができる。
【0020】
本発明の一実施形態に係る超電導装置の冷却方法は、液化ガスを貯留するリザーバタンク、該リザーバタンクに貯留された前記液化ガスを循環させる循環ポンプ、及び、前記循環する液化ガスを冷却する冷却装置を有する循環ループを備え、前記液化ガスをサブクール状態で循環させることにより超電導装置を冷却する超電導装置の冷却方法であって、前記リザーバタンク内の圧力を検出するステップと、前記検出した圧力が予め設定された第1の閾値未満になった場合に、前記循環ループから分岐した第1のバイパスラインを介して導入した前記液化ガスを、該第1のバイパスライン上に設けられた第2の熱交換器で気化して、前記リザーバタンクの上部に供給するステップと、
前記検出した圧力が前記第1の閾値より高く予め設定された第2の閾値以上になった場合に、前記循環ループから分岐した第2のバイパスラインに前記リザーバタンク内の気化ガスを導入し、前記第2のバイパスライン内部において凝縮することにより、前記リザーバタンクを減圧するステップとを備えたことを特徴とする。
一実施形態に係る超電導装置の冷却方法は、前記検出した圧力が前記第1の閾値より低く設定された第3の閾値未満になった場合に、前記リザーバタンク内に貯留された液化ガスを加熱することにより、前記リザーバタンクを加圧するステップを更に備える。
一実施形態に係る超電導装置の冷却方法は、前記液化ガスを加熱することにより得られたガスに対する流量調整弁を設けることで加圧速度の調整を行う。
一実施形態に係る超電導装置の冷却方法は、前記検出した圧力が前記第3の閾値より低く設定された第4の閾値未満になった場合に、前記液化ガスと同種のガスを高圧で貯めたガスボンベから、圧力調整弁を介して前記リザーバタンクに供給することにより、前記リザーバタンクを加圧するステップを更に備える。
【0021】
上記超電導装置の冷却方法は、上述の超電導装置の冷却システム(上記各種態様を含む)によって実施することができる。
【発明の効果】
【0022】
上記冷却システムでは、リザーバタンク内の圧力が低下した場合には第1の加圧手段によって加圧する一方で、リザーバタンク内の圧力が上昇した場合には減圧手段によって減圧する。これにより、リザーバタンク内の圧力を所定範囲内に制御することができ、循環ループを流れる液化ガスをサブクール状態に維持することができる。
第1の加圧手段は、循環ループを流れる液化ガスの一部を気化してリザーバタンクに供給することで加圧を行うため、外部から液化ガスを補給する必要がない。また、液化ガスは熱交換器を用いて、例えば外気との間で熱交換して気化できるので、電力消費量も少なくて済む。
減圧手段は、リザーバタンク内の気化ガスの一部を第2のバイパスラインに導入して凝縮することにより減圧するため、システム外部から液化ガスを補給する必要がない。このとき、減圧手段は、リザーバタンク内に存在する気化ガスを、第2のバイパスラインに存在する液化ガスに接触させることよって凝縮する。そのため、リザーバタンク内の気化ガスをシステム外部に排出して無駄にすることもない。
従って、上記冷却システムでは、循環ループを流れる液化ガスを有効利用しながら、リザーバタンク内の圧力を適切な範囲に維持できる。このように、電力消費量が少なく、長期に亘って安定的な運用が可能な超電導装置の冷却システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0025】
図1は冷却システム100の全体構成を示す概念図である。冷却システム100は冷却対象として超電導ケーブル110を有しており、該超電導ケーブル110を冷却するための液化ガスである液体窒素が循環する循環ループ130が設けられている。
【0026】
液体窒素はリザーバタンク120に貯留されており、該リザーバタンク120に連通するライン131を介して循環ポンプ140に接続されている。循環ポンプ140はライン132を介して冷却器150に液体窒素を圧送する。冷却器150で冷却された液体窒素はライン133を介して超電導ケーブル110に供給され、超電導ケーブル110が冷却される。超電導ケーブル110を冷却した後の液体窒素は、ライン134を介してリザーバタンク120に戻される。このようにライン131乃至134は循環ループ130を形成しており、内部の液体窒素は循環ポンプ140によって、当該循環ループ130を循環するように構成されている。
【0027】
リザーバタンク120は、液体窒素が貯留されている貯留槽121と、該貯留槽121の外側に設けられた外装部122とを備えている。貯留槽121と外装部122との間の空間は不図示の真空ポンプによって減圧されており、真空断熱されている。貯留槽121内には液体窒素の液面上に気相部123を有しており、該気相部123は液体窒素が気化してなる窒素ガスで満たされている。
【0028】
第1のバイパスライン161は、ライン132から循環ループ130を流れる液体窒素の一部を分岐し、熱交換器162に供給する。熱交換器162は、供給された液体窒素を、例えば外気と熱交換することにより気化させ、窒素ガスを生成する。第1のバイパスライン161において、熱交換器162より下流側には圧力制御弁163が設けられており、その先がリザーバタンク120の気相部123に連通している。圧力制御弁163は、第1のバイパスライン161のうち当該圧力制御弁163の下流側の圧力(リザーバタンク内圧力)が所定値(後述する圧力目標値P
※1)を下回った場合に開き、上回ったときに閉じる圧力調整機構を持った弁である。また、熱交換器162の上流側に調整バルブ167を設け、液化ガス供給量を調整することによりリザーバタンク120の加圧速度が変更可能な機構を備えている。
【0029】
ここで
図2は圧力制御弁163の内部構成を模式的に示す断面図である。圧力制御弁163は弁体164、スプリング165、ダイヤフラム166を有しており、第1のバイパスライン161の途中に配置されている。第1のバイパスライン161の下流側は、リザーバタンク120に連通しているので、リザーバタンク120内の気相部123と圧力が略等しくなっている。そのため、リザーバタンク120内の圧力が所定値(後述する第1の閾値P
※1)より低くなると、ダイヤフラム166に印加される力が軽減され、スプリング165によって弁体164が図中下方に押し下げられ、圧力制御弁163が開状態となる。すると、第1のバイパスライン161の上流側から下流側に窒素ガスが流れ、リザーバタンク120内に供給されることにより所定値P
※1まで加圧される。
リザーバタンク120内の圧力が所定値(後述する圧力目標値P
※1)まで加圧されると、ダイヤフラム166によってスプリング165と共に弁体が図中上方に押し上げられ、圧力制御弁163は閉状態となる。すると、第1のバイパスライン161の上流側から下流側への窒素ガスの供給、則ち加圧動作は停止する。
このように、熱交換器162で生成された窒素ガスが、圧力制御弁163の開度に応じてリザーバタンク120に供給され、リザーバタンク120を加圧できるように構成されている。このように、第1のバイパスライン161、熱交換器162、圧力制御弁163は第1の加圧手段160を構成している。
【0030】
再び
図1に戻って、第2のバイパスライン171は、ライン134とリザーバタンク120の気相部123とを連通しており、途中に圧力制御弁172が設けられている。圧力制御弁172は後述する制御手段220によって開度が制御可能な電磁弁である。圧力制御弁172が開状態にある場合、リザーバタンク120の気相部123に滞留している窒素ガスは第2のバイパスライン171に導入される。
第2のバイパスライン171に導入された窒素ガスは、第2のバイパスライン171に存在している液体窒素に接触することによって凝縮され、リザーバタンク120が減圧される。このように、第2のバイパスライン171、圧力制御弁172は減圧手段170を構成している。
【0031】
リザーバタンク120の気相部123には、貯留槽121に貯留された液体窒素の液面と略平行に設けられた輻射板181と、該輻射板181を加熱するためのヒータ182とが設けられている。輻射板181はヒータ182によって加熱されることにより輻射熱を液体窒素に供給し、液体窒素を気化させて窒素ガスを生成する。これにより、リザーバタンク120を加圧することができる。このように輻射板181及びヒータ182は第2の加圧手段180を構成している。
【0032】
冷却システム100は高圧の窒素ガスが充填されたガスボンベ191を有している。該ガスボンベ191の窒素ガスは、圧力制御弁192を介して供給ライン193によってリザーバタンク120に供給される。これにより、気相部123に高圧の窒素ガスを供給することにより、リザーバタンク120を加圧できるように構成されている。このように、ガスボンベ191、圧力制御弁192及び供給ライン193は第3の加圧手段190を構成している。
圧力制御弁192は、供給ライン193のうち当該圧力制御弁192の下流側の圧力(リザーバタンク内圧力)が所定値(後述する圧力目標値P
※4)を下回った場合に開く圧力調整弁である。圧力制御弁192の具体的な構成は、上述の第1の加圧手段における圧力制御弁163と同様である。
【0033】
リザーバタンク120の気相部123における圧力は、圧力センサ200によって検出される。輻射板181の温度は、温度センサ210によって検出される。
【0034】
制御部220は冷却システム100を制御するためのコントロールユニットであり、圧力センサ200及び温度センサ210からの検出値を取得し、その値に応じて、圧力制御弁172の開度、及び、ヒータ182の出力を制御して、減圧手段170、第2の加圧手段180をそれぞれ作動又は停止させる。尚、
図1の例では制御部220は、下流側の圧力(リザーバタンク120の内部圧力)に基づいて作動する圧力制御弁を用いた第1の加圧手段160及び第3の加圧手段190にそれぞれ設けられた不図示のON/OFF切換スイッチに対して制御信号を送受信することにより、これらの加圧手段についても作動状態を制御できるようになっている。
【0035】
図3は冷却システム100の制御内容を示すフローチャートである。
まず制御部220は、圧力センサ200から検出値Pを取得すると共に、不図示のメモリ等の記憶手段から圧力目標値P
※1を取得する(ステップS101)。ここで、圧力目標値P
※1は第1の加圧手段160によってリザーバタンク120内の圧力を制御する際に用いる第1の閾値である。
【0036】
制御部220はステップS201で取得したデータに基づいて、検出値Pと圧力目標値P
※1との大小関係を判断する(ステップS102)。検出値Pが圧力目標値P
※1以下である場合(P<P
※1)、制御部220はリザーバタンク120内の圧力を圧力目標値P
※1に近づけるために加圧する必要があると判断し、各種加圧手段の作動制御を行う。
【0037】
制御部220はまず第1の加圧手段160を作動させる(ステップS103)。第1の加圧手段160は、第1のバイパスライン161に配置された圧力制御弁163の上流側及び下流側間における圧力差に基づいて圧力制御弁163が開閉することによって、リザーバタンク120内の圧力が圧力目標値P
※1になるように、第1のバイパスライン161を介してリザーバタンク120に窒素ガスを供給して加圧を行う。
尚、圧力制御弁163として電磁弁を使用した場合には、当該電磁弁の開閉状態を制御部220が切換制御するように構成してもよい。
第1の加圧手段160は、循環ループ130を流れる液体窒素の一部を気化してリザーバタンクに供給することで加圧を行うため、外部から液体窒素や窒素ガスを補給する必要がなく、メンテナンス負担が小さくて済む。また、第1の加圧手段160では、熱交換器162によって液体窒素と外気との間で熱交換し、外部からエネルギーを供給することなく窒素ガスを生成できるので、電力消費量も少なくて済む。
【0038】
一方、検出値Pが圧力目標値P
※1に等しい場合は、制御部220はリザーバタンク120を加圧する必要がないとして、第1の加圧手段160を停止させる(ステップS104)
【0039】
このように第1の加圧手段160を作動させた後、制御部220は再び検出値Pを取得すると共に、不図示のメモリ等の記憶手段から圧力目標値P
※3を取得する(ステップS105)。ここで、圧力目標値P
※3は第2の加圧手段160によってリザーバタンク120内の圧力を制御する際に用いる第3の閾値であり、上述の圧力目標値P
※1より小さく設定されている。
【0040】
制御部220は検出値Pが圧力目標値P
※3より低いか否かを判断する(ステップS106)。検出値Pが圧力目標値P
※3より低い場合(ステップS106:YES)、第1の加圧手段160の加圧能力のみでは、リザーバタンク120内の圧力を適正範囲に加圧することが難しいと判断して、第2の加圧手段180を作動させる(ステップS107)。第2の加圧手段180はヒータ182で輻射板181を加熱することにより、輻射熱によって貯留槽121に貯留されている液体窒素を気化し、リザーバタンク120を加圧する。
【0041】
第2の加圧手段180は、上述の第1の加圧手段160とは異なり、ヒータ182で加熱するために電力を消費する。そのため、第1の加圧手段160による加圧性能が足りない場合に限って第2の加圧手段180を作動させることにより、消費電力量を抑制しつつ、リザーバタンク120内の圧力を適切な範囲に維持することができる。
また、何らかの原因によって第1の加圧手段160が故障等によって停止した場合であっても、第2の加圧手段180をバックアップとして作動させることによって、リザーバタンク120を加圧することができる。これにより、冷却システム100に不具合が生じた場合でもリザーバタンク120内の圧力を適切な範囲に維持することができ、信頼性を向上させることができる。尚、第1の加圧手段160が停止して第2の加圧手段180のみによって加圧制御した場合には、リザーバタンク120内の圧力は圧力目標値P
※1より低い圧力目標値P
※3を基準に加圧されるため、P
※3を適切な値に設定することによりリザーバタンク120内の圧力が極端に低下することがなく、冷却システム100が重大な故障に陥ることを防ぐことができる。
【0042】
一方、検出値Pが圧力目標値P
※3以上である場合(ステップS106:NO)は、制御部220は第1の加圧手段160の作動のみによって、リザーバタンク120を加圧できると判断して、第2の加圧手段180を停止させる(ステップS108)
【0043】
このように第2の加圧手段180を作動させた後、制御部220は再び検出値Pを取得すると共に、不図示のメモリ等の記憶手段から圧力目標値P
※4を取得する(ステップS109)。ここで、圧力目標値P
※4は第3の加圧手段190によってリザーバタンク120内の圧力を制御する際に用いる第4の閾値であり、上述の圧力目標値P
※3より小さく設定されている。
【0044】
制御部220は検出値Pが圧力目標値P
※4より低いか否かを判断する(ステップS110)。検出値Pが圧力目標値P
※4より低い場合(ステップS110:YES)、第1の加圧手段160及び第2の加圧手段180の加圧能力のみでは、リザーバタンク120内の圧力を適正範囲に加圧することが難しいと判断して、第3の加圧手段190を作動させる(ステップS111)。第3の加圧手段190は、供給ライン193に配置された圧力制御弁192の上流側及び下流側間における圧力差に基づいて圧力制御弁192が開閉することによって、リザーバタンク120内の圧力が圧力目標値P
※4になるように、供給ライン193を介して、ガスボンベ191からリザーバタンク120に窒素ガスを供給して加圧を行う。
尚、圧力制御弁192として電磁弁を使用した場合には、当該電磁弁の開閉状態を制御部220が切換制御するように構成してもよい。
【0045】
第3の加圧手段190はガスボンベ191からリザーバタンク120に窒素ガスを供給するため、ガスボンベ191の残量ガスが少なくなった場合に、ガスボンベ191の補給作業又は交換作業などのメンテナンスが必要となる。そのため、第1の加圧手段160及び第2の加圧手段180によっても依然として加圧性能が足りない場合に限って第3の加圧手段190を作動させることにより、ガスボンベ191のガス消費量を抑制してメンテナンス頻度を少なくしつつ、リザーバタンク120内の圧力を適切な範囲に維持することができる。
また、何らかの原因によって第1の加圧手段160及び第2の加圧手段180が故障等によって停止した場合であっても、第3の加圧手段190をバックアップとして作動させることによって、リザーバタンク120を加圧することができる。これにより、冷却システム100に不具合が生じた場合でもリザーバタンク120内の圧力を適切な範囲に維持することができ、より良好な信頼性を有する冷却システム100を実現することができる。尚、第1の加圧手段160及び第2の加圧手段180が停止して第3の加圧手段190のみによって加圧制御した場合には、リザーバタンク120内の圧力は圧力目標値P
※3より低い圧力目標値P
※4を基準に加圧されるが、リザーバタンク120内の圧力が極端に低下することによって冷却システムが重大な故障に陥ることを効果的に防ぐことができる。
【0046】
一方、検出値Pが圧力目標値P
※4以上である場合(ステップS110:NO)は、制御部220は第1の加圧手段160及び第2の加圧手段180の作動のみによって、リザーバタンク120内の圧力を適性範囲に加圧できると判断して、第3の加圧手段190を停止させる(ステップS112)。
【0047】
ステップS102において、検出値Pが圧力目標値P
※1より大きいと判断された場合(P>P
※1)、制御部220はリザーバタンク120内の圧力を圧力目標値P
※1に近づけるために、減圧する必要があると判断し、減圧手段170の作動制御を行う。
【0048】
制御部220は再び検出値Pを取得すると共に、不図示のメモリ等の記憶手段から圧力目標値P
※2を取得する(ステップS113)。ここで、圧力目標値P
※2は減圧手段170によってリザーバタンク120内の圧力を制御する際に用いる第2の閾値である。
制御部220は検出値Pが圧力目標値P
※2より高いか否かを判断する(ステップS114)。検出値Pが圧力目標値P
※2より高い場合(ステップS114:YES)、減圧手段170を作動させてリザーバタンク120を減圧する(ステップS115)。減圧手段170は、圧力制御弁172の開度を調整することによって、リザーバタンク120の気相部123に存在している窒素ガスを第2のバイパスライン171に導入し、該第2のバイパスライン171内に存在している液体窒素に接触させることによって凝縮させて減圧する。
【0049】
減圧手段170は、リザーバタンク120内の窒素ガスを第2のバイパスライン171に導入することにより減圧するため、外部から液体窒素を補給する必要がない。このとき、減圧手段170は、第2のバイパスライン171に導入して凝縮することにより生成した液体窒素は、循環ループ130を流れる液体窒素と共に循環させるので、窒素ガスをシステム外部に排出して無駄にすることもない。
【0050】
一方、検出値Pが圧力目標値P
※2以下である場合(ステップS114:NO)、制御部220はリザーバタンク120を減圧する必要がないとして、減圧手段170を停止させる(ステップS116)。
【0051】
以上説明した制御部220による冷却システム100の制御は、一定又は不定のタイミングで繰り返し実行される。これにより、循環ループ130を流れる液体窒素の圧力を適性範囲にし、サブクール状態を維持することができる。
【0052】
図4は各加圧手段及び減圧手段が作動する圧力範囲を概念的に示す図である。
図3を参照して説明したように、リザーバタンク120の圧力が第1の圧力目標値P
※1より低くなると第1の加圧手段160が作動する。リザーバタンク120の圧力が第3の圧力目標値P
※3より低くなると、更に第2の加圧手段180が作動する。リザーバタンク120の圧力が第4の圧力目標値P
※4より低くなると、更に第3の加圧手段190が作動する。
このように、リザーバタンク120内の圧力が適切な圧力範囲から乖離するに従い、第1の加圧手段160、第2の加圧手段180、第3の加圧手段190を順に作動させることにより、作動中に外部からの窒素ガス供給が必要である、第3の加圧手段190の作動期間が短くなるように制御されている。その結果、無人でも長期に亘って安定的な運用が可能な冷却システム100を実現できる。また、窒素ガス及び電力消費量を抑えることが可能である。
【0053】
一方、リザーバタンク120の圧力が第2の圧力目標値P
※2より高くなると減圧手段170が作動する。このように冷却システム100では、リザーバタンク120内の圧力が低下した場合には各加圧手段によって加圧する一方で、リザーバタンク120内の圧力が上昇した場合には減圧手段170によって減圧する。これにより、リザーバタンク120内の圧力を所定範囲(P
※4<P<P
※2)内に制御して、循環ループ130を流れる液化ガスをサブクール状態に維持することができる。尚、リザーバタンク120の圧力の加圧制御設定値であるP
※1、P
※3、P
※4は例えば0.15〜0.2MPaの範囲で設定するとよい。
従って、上記冷却システム100では、循環ループ130を流れる液体窒素を有効利用しながら、リザーバタンク120内の圧力を適切な範囲に維持できる。このように、電力消費量が少なく、信頼性に優れ、長期に亘って安定的な運用が可能な超電導装置の冷却システム100を提供することができる。
【0054】
図5は減圧手段170の動作制御の詳細を示すフローチャートである。
制御部220は圧力センサ200から検出値Pを取得すると共に、不図示のメモリ等の記憶手段から圧力目標値P
※2を取得する(ステップS201)。そして、偏差(P−P
※2)を算出し、予め用意したマップに基づいて、該偏差(P−P
※2)に対応する圧力制御弁172の操作量MVを求める(ステップS202)。
ここで
図6は偏差(P−P
※2)と圧力制御弁172の操作量MVとの関係を規定するマップの一例である。操作量MVは偏差(P−P
※2)が増加するに従って比例的に増加する傾向を有しており、偏差(P−P
※2)が所定値に達すると一定に維持される。
【0055】
制御部220は該求めた操作量MVに従って、圧力制御弁172を操作することにより開度を調整することにより、リザーバタンク120の気相部123から第2のバイパスライン171に導入される窒素ガスの流量を制御する(ステップS203)。
図7は制御部220による操作量MVと圧力制御弁172の開度との関係の一例を示すグラフである。
このように、減圧手段170では、リザーバタンク120から第2のバイパスライン171への窒素ガスの導入量を調整することによって、気相部123の窒素ガスを凝縮させて、リザーバタンク120を減圧する。
【0056】
図8は、減圧手段170を作動させた場合のリザーバタンク120の圧力変化の一例を示す。尚、
図8において、実線はリザーバタンク120内の圧力値を示しており、破線は圧力制御弁172の開度を示している。
図8に示すように、制御部220は圧力制御弁172の開度を増減することによって、リザーバタンク120内の圧力を適正な値に維持することができる。
【0057】
図9は第2の加圧手段180における制御内容の詳細を示すフローチャートである。
まず制御部220は圧力センサ200から検出値Pを取得し、温度センサ210から検出値Tを取得すると共に、不図示のメモリ等の記憶手段から圧力目標値P
※3、温度目標値T
※を取得する(ステップS301)。ここで、圧力目標値P
※3は第2の加圧手段180によってリザーバタンク120内の圧力を制御する際に用いる目標値である。温度目標値T
※は圧力目標値P
※3を達成するために必要な輻射板181の温度を制御する際に用いる目標値である。
【0058】
制御部220はステップS301で取得したデータに基づいて、検出値Pが圧力目標値P
※3より高いか否かを判断する(ステップS302)。検出値Pが圧力目標値P
※3より高い場合(ステップS302:YES)、制御部220は温度目標値T
※に補正値T
βを減算し、温度目標値T
※を減少させる(ステップS303)。一方、検出値Pが圧力目標値P
※3以下である場合(ステップS302:NO)、制御部220は更に検出値Pが圧力目標値P
※3より小さいか否かを判断する(ステップS304)。検出値Pが圧力目標値P
※3より小さい場合(ステップS304:YES)、制御部220は温度目標値T
※に補正値T
αを加え、温度目標値T
※を増加させる(ステップS305)。
【0059】
続いて、制御部220はこのように圧力センサ200からの検出値Pに基づいて変更した温度目標値T
※に基づいて、温度センサ210からの検出値Tが温度目標値T
※より大きいか否かを判断する(ステップS306)。検出値Tが温度目標値T
※より高い場合(ステップS306:YES)、制御部220は電流目標値I
※に補正値I
βを減算し、電流目標値I
※を減少させる(ステップS307)。一方、検出値Tが温度目標値T
※以下である場合(ステップS306:NO)、制御部220は更に検出値Tが温度目標値T
※より小さいか否かを判断する(ステップS308)。検出値Tが圧力目標値T
※より小さい場合(ステップS308:YES)、制御部220は電流目標値I
※に補正値I
αを加え、電流目標値I
※を増加させる(ステップS309)。
【0060】
第2の加圧手段180では、ヒータ182に印加する駆動電流の電流値Iを、このように設定された電流目標値I
※になるようにPID制御する(ステップS310)。これにより、リザーバタンク120内の圧力値が圧力目標値P
※3になるように加圧される。
【0061】
このようにヒータ182の出力を直接的に制御する電流値の目標(電流目標値I
※)を、圧力センサ200の検出値Pと圧力目標値P
※3との偏差に基づいて設定することによって、ヒータ182のON/OFF制御によって、リザーバタンク120内の圧力を目標値に精度良く追従させることができる。
【0062】
以上説明したように、本実施例に係る冷却システム100では、循環ループ130を流れる液化ガスを有効利用しながら、リザーバタンク120内の圧力を適切な範囲に維持できる。このように、電力消費量が少なく、長期に亘って安定的な運用が可能な冷却システム100を提供することができる。