特許第6180742号(P6180742)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180742
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】テープ貼着方法及びテープ貼着装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
   H01L21/78 Q
   H01L21/78 P
   H01L21/78 W
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-6156(P2013-6156)
(22)【出願日】2013年1月17日
(65)【公開番号】特開2014-138089(P2014-138089A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087099
【弁理士】
【氏名又は名称】川村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100063174
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 功
(74)【代理人】
【識別番号】100124338
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 健
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 涼子
【審査官】 川原 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−008831(JP,A)
【文献】 特開2007−214457(JP,A)
【文献】 特開2005−045149(JP,A)
【文献】 特開2000−349138(JP,A)
【文献】 特開昭63−276240(JP,A)
【文献】 特開2006−012902(JP,A)
【文献】 特開2004−001076(JP,A)
【文献】 特開昭50−079256(JP,A)
【文献】 特開2005−109043(JP,A)
【文献】 特開2007−157887(JP,A)
【文献】 特開2003−051465(JP,A)
【文献】 特開2002−334852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 35/00−35/10
H01L 21/301
H01L 21/67−21/683
H01L 21/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状ワークの一方の面に保護テープを貼着するとともに該板状ワークの他方の面側に形成された切断ラインに沿って切断することにより複数のチップが該保護テープに貼着された第1のワークセットが構成され、環状に形成され内周側に開口エリアを備える環状フレームの該開口エリアに該第1のワークセットの該保護テープ側を下にして配置し、該環状フレームと該第1のワークセットとの上面に粘着テープを貼着することによって第2のワークセットを形成する粘着テープ貼着工程と、該粘着テープ貼着工程の後に該保護テープを該板状ワークの一方の面から剥離することによって第3のワークセットを形成する保護テープ剥離工程と、を備えたテープ貼着方法であって、
該粘着テープ貼着工程で用いられる該粘着テープは熱収縮性を有し、
該粘着テープ貼着工程の後、保護テープ剥離工程の前に、該開口エリアにおける該粘着テープに熱付与することによって該粘着テープを熱収縮させて該チップ間の間隔を広げるチップ離間工程を遂行するテープ貼着方法。
【請求項2】
前記チップ離間工程では、該環状フレームの内周と板状ワークの外周との間のエリアに限定して熱付与する請求項1記載のテープ貼着方法。
【請求項3】
前記環状フレームを支持するとともに前記開口エリアにおいて該環状フレームと同じ高さで板状ワークを支持する支持テーブルと、
該支持テーブルに支持された板状ワークと該環状フレームとに前記粘着テープを貼着することにより該環状フレームの内側の該開口エリアにおいて該粘着テープに板状ワークが貼着された前記第2のワークセットを形成する粘着テープ貼着手段と、
該粘着テープに熱を与える熱付与手段とを含んで構成され、請求項1又は2記載のテープ貼着方法を可能とするテープ貼着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状ワークに粘着テープを貼着する方法及びこの方法の実施を可能とするテープ貼着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表面に格子状の切断ラインが形成された半導体デバイスウエーハなどの板状ワークは、切断装置を使用して切断ラインに沿って切断することによって個々のチップに分割され、携帯電話機やパソコンなどの各種電気機器に組み込まれて利用される。
【0003】
板状ワークを切断する切断装置としては、ブレードを備えるダイシング装置やレーザー装置がある。ダイシング装置やレーザー装置によって板状ワークを個々のチップに分割する際には、デバイスとして使用することができる面積を広げるために切断ラインを通過するブレードなどの切断幅を狭く形成するとともに、電力消費を抑えるためにチップを薄化することが要求されている。
【0004】
また、板状ワークを個々のチップに分割するとき、切断ラインに沿って切断された板状ワークの表面と板状ワークの研削面(裏面)とに欠けが生じないようにするため、ダイシング装置では、ブレードを板状ワークの一方の面(表面)側から板状ワークの厚みの半分程度まで切り込ませることにより切削溝を形成した後、板状ワークの他方の面(裏面)から研削して薄化するとともに切削溝を裏面側から表出させることによって、板状ワークを個々のチップに分割している。レーザー装置を使用して板状ワークを個々のチップに分割する場合は、板状ワークの内部にレーザービームを集光して切断ラインを形成した後、ウエーハの裏面から研削して薄化することによって板状ワークを個々のチップに分割している。
【0005】
さらに、板状ワークを個々のチップに分割するとき、各チップがバラバラになることを防止するために、板状ワークを環状フレームの中央の開口した領域に配置するとともに、板状ワークと環状フレームとに粘着テープを貼着している(例えば、下記の特許文献1及び特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−236024号公報
【特許文献2】特開2002−334852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、板状ワークの裏面を研削することによって個々のチップに分割された後は、次の工程で個々のチップをピックアップするため、板状ワークの表裏を反転させてその表面側を上向きにする必要がある。このとき、個々に分割された複数のチップ同士の間に十分な間隔がないために隣り合うチップが接触することがある。特にレーザービーム照射後に板状ワークを個々のチップに分割すると、隣接するチップ同士の間隔が極めて狭く形成されるため、チップ同士が接触し破損してしまうという問題がある。したがって、環状フレームには、隣接するチップ同士を離間した状態にして板状ワークを支持させる必要がある。
【0008】
本発明は、上記の事情にかんがみてなされたものであり、切断ラインに沿って分割された個々のチップ同士を離間させつつフレームに板状ワークを支持させ、隣接するチップが接触しないようにすることに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、板状ワークの一方の面に保護テープを貼着するとともに板状ワークの他方の面側に形成された切断ラインに沿って切断することにより複数のチップが保護テープに貼着された第1のワークセットが構成され、環状に形成され内周側に開口エリアを備える環状フレームの該開口エリアに該第1のワークセットの該保護テープ側を下にして配置し、該環状フレームと該第1のワークセットとの上面に粘着テープを貼着することによって第2のワークセットを形成する粘着テープ貼着工程と、該粘着テープ貼着工程の後に該保護テープを板状ワークの一方の面から剥離することによって第3のワークセットを形成する保護テープ剥離工程と、を備えたテープ貼着方法であって、該粘着テープ貼着工程で用いられる該粘着テープは熱収縮性を有し、該粘着テープ貼着工程の後、保護テープ剥離工程の前に、該開口エリアにおける該粘着テープに熱付与することによって該粘着テープを熱収縮させて該チップ間の間隔を広げるチップ離間工程を遂行する。
【0010】
上記チップ離間工程では、環状フレームの内周と板状ワークの外周との間のエリアに限定して熱付与することが望ましい。
【0011】
さらに、本発明は、上記環状フレームを支持するとともに上記開口エリアにおいて環状フレームと同じ高さで板状ワークを支持する支持テーブルと、該支持テーブルに支持された板状ワークと該環状フレームとに上記粘着テープを貼着することにより該環状フレームの内側の該開口エリアにおいて粘着テープに板状ワークが貼着された上記第2のワークセットを形成する粘着テープ貼着手段と、該粘着テープに熱を与える熱付与手段とを含んで構成されたテープ貼着装置であり、上記のテープ貼着方法を可能とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかるテープ貼着方法では、粘着テープ貼着工程を実施することにより、環状フレームの開口エリアに板状ワークと保護テープとからなる第1のワークセットを保護テープ側を下にして配置し、環状フレームと第1のワークセットとに熱収縮性を有する粘着テープを貼着し第2のワークセットを形成した後、チップ離間工程を実施し、第2のワークセットを構成する粘着テープに熱付与することによって粘着テープを熱収縮させるため、チップ同士の間隔が広がって隣接するチップを離間させることができる。したがって、次の保護テープ剥離工程において板状ワークから保護テープを剥離するために、第2のワークセットの表裏を反転しても、隣接するチップ同士が接触して破損することがない。
【0013】
上記チップ離間工程では、環状フレームの内周と板状ワークの外周との間のエリアに限定して熱付与を実施するため、粘着テープのうち環状フレーム及び板状ワークが貼着されてない部分の収縮によって板状ワークが貼着されている部分が引っ張られ、チップ同士の間隔が広がって隣接するチップを確実に離間させることができる。
【0014】
さらに、本発明にかかるテープ貼着装置は、環状フレームを支持するとともに該環状フレームと同じ高さで板状ワークを支持する支持テーブルと、支持テーブルに支持された板状ワークと該環状フレームとに粘着テープを貼着しワークセットを形成する粘着テープ貼着手段と、粘着テープに熱を与える熱付与手段とを含んで構成され上記テープ貼着方法を可能としているため、チップ離間工程を実施し、粘着テープに熱付与することによって粘着テープが熱収縮するため、チップ同士の間隔が広がって隣接するチップを離間させることができる。したがって、チップ離間工程の後、保後テープ剥離工程を実施するためにワークセットを反転させるときに、隣接するチップ同士が接触することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】テープ貼着装置の構成を示す平面図である。
図2】支持テーブル及び粘着テープ貼着手段の構成を示す断面図である。
図3】熱付与手段の第1例の構成を示す断面図である。
図4】熱付与手段の第2例の構成を示す断面図である。
図5】粘着テープ貼着工程を示す断面図である。
図6】チップ離間工程を示す断面図である。
図7】保護テープ剥離工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すテープ貼着装置10は、Y軸方向にのびる装置ベース10aを有し、装置ベース10aの中央部には、環状に形成され内周側に開口エリアA1を有するフレーム2とともに被加工物を支持する第1の支持テーブル40と、フレーム2とともに被加工物を支持する第2の支持テーブル60とが配設されている。装置ベース10aのY軸方向前部には、被加工物を収容するロードカセット11と、フレーム2とともに被加工物を収容するアンロードカセット12とが配設されている。
【0017】
ロードカセット11と第1の支持テーブル40との間には、ロードカセット11から被加工物を取り出し第1の支持テーブル40に被加工物を搬入する搬入ロボット20が配設されている。搬入ロボット20は、被加工物を保持するハンド21と、ハンド21を回動させる回動部22と、ハンド21を所望の位置に移動させるアーム部23と、を備えている。
【0018】
第1の支持テーブル40及び第2の支持テーブル60の近傍には、第1の支持テーブル40においてフレーム2とともに支持された被加工物を第2の支持テーブル60に搬送する搬送ロボット30が配設されている。搬送ロボット30は、フレーム2を吸着する複数の吸着部31と、水平方向の回転軸を中心として吸着部31を回動させる回動部32と、支点軸34を中心軸として吸着部31を所定の位置に移動させるアーム部33と、を備えている。
【0019】
アンロードカセット12には、一対のガイド部14が連結されている。アンロードカセット12の前方には、フレーム2を一対のガイド部14に沿ってY軸方向に引っ張り、フレーム2とともに被加工物をアンロードカセット12に搬入するアンロードユニット13が配設されている。
【0020】
図2に示すように、第1の支持テーブル40は、被加工物である板状ワークWを吸引保持するワーク吸引部41と、フレーム2を吸引保持するフレーム吸引部42と、ワーク吸引部41とフレーム吸引部42とに連通する吸引源43とを備えており、移動基台44によって下方から支持されている。第1の支持テーブル40は、吸引源43が作動することにより、フレーム吸引部42においてフレーム2を支持するとともにワーク吸引部41においてフレーム2と同じ高さで被加工物を支持することができる。
【0021】
図1及び図2に示すように、装置ベース10aには、第1の支持テーブル40をY軸方向に移動させる第1の移動手段15が配設されている。第1の移動手段15は、Y軸方向にのびるボールネジ15aと、ボールネジ15aと平行にのびる一対のガイドレール15bと、ボールネジ15aの一端に接続されたモータ15c、とを備えている。一対のガイドレール15bには、図2に示す移動基台44の一方の面が摺接するとともに、この移動基台44の中央部に形成された雌螺子にボールネジ15cが螺合している。そして、モータ15cによって駆動されてボールネジ15aが回動することにより、第1の支持テーブル40をY軸方向に水平に移動させることができる。なお、図2においてはガイドレール15bの図示を省略している。
【0022】
第1の支持テーブル40の移動経路上(Y軸方向)には、第1の支持テーブル40において支持された被加工物とフレーム2とに粘着テープ4を貼着することによりフレーム2の内側の開口エリアA1において粘着テープ4に被加工物を貼着する粘着テープ貼着手段50が配設されている。粘着テープ貼着手段50は、テープ保護シート5が貼着された粘着テープ4をロール状に巻いた第1のロール部51と、テープ保護シート5をロール状に巻き取る第2のロール部52と、テープ保護シート5が貼着された粘着テープ4を第1のロール部51から下方に送り出す送りローラ53a及び送りローラ53bと、粘着テープ4を押圧しながら被加工物に貼着する押圧ローラ54と、粘着テープ4からテープ保護シート5を剥離する剥離ローラ55と、テープ保護シート5を第2のロール部52に引き込ませる引き込みローラ56と、を備えている。
【0023】
図3に示す第2の支持テーブル60は、被加工物を吸引保持するワーク吸引部61と、フレーム2を吸引保持するフレーム吸引部62と、ワーク吸引部61とフレーム吸引部62とに連通する吸引源64とを備え、移動基台63によって下方から支持されている。図1に示す装置ベース10aには、第2の支持テーブル60をY軸方向に移動させる第2の移動手段16が配設されている。第2の移動手段16は、第1の移動手段15と同様の構成となっており、Y軸方向にのびるボールネジ16aと、ボールネジ16aと平行にのびる一対のガイドレール16bと、ボールネジ16aの一端に接続されたモータ16c、とを備えている。モータ16cが駆動されてボールネジ16aが回動することにより、第2の支持テーブル60をY軸方向に水平に移動させることができる。
【0024】
図3に示すように、第2の支持テーブル60の内部には、図2に示した粘着テープ4に熱を与える熱付与手段70が配設されている。熱付与手段70は、リング状のヒータ71と、ヒータ71に接続された電源72と、電源72のオンとオフとの切り替えを制御する制御部73とを備えている。制御部73により電源72をオフからオンに切り替えると、第2の支持テーブル60の内部にあるヒータ71が所定の温度に加熱され、上方に向けて熱を与えることができる。
【0025】
熱を与える手段としては、熱付与手段70に限定されるものではない。例えば、図4に示すように、搬送ロボット30の内部に熱付与手段70と略同様の構成となっている熱付与手段80を配設するようにしてもよい。すなわち、熱付与手段80は、リング状のヒータ81と、ヒータ81に接続された電源82と、電源82のオンとオフとの切り替えを制御する制御部83とを備えている。そして、吸着部31に接続された吸引源35の作動によって、吸着部31が図2に示したフレーム2を吸引保持しつつ、制御部83により電源82をオフからオンに切り替えると、搬送ロボット30の内部にあるヒータ81が所定の温度で加熱され、下方に向けて熱を与えることができる。
【0026】
第2の支持テーブル60の移動経路上(Y軸方向)には、保護テープ剥離手段90が配設されている。保護テープ剥離手段90は、剥離部91を有し、被加工物の一方の面に貼着された保護テープを剥離することができる。
【0027】
以下では、テープ貼着装置10の動作例について説明する。図2に示す板状ワークWは、被加工物の一例であって特に限定されるものではない。この板状ワークWは、一方の面に保護テープ3が貼着されるとともに板状ワークWに形成された切断ラインに沿って複数のチップCにあらかじめ切断されており、チップC同士の間には僅かな幅を有する間隔Sが形成されている。このように保護テープ3が貼着されたまま複数のチップCに切断された状態の板状ワークWを第1のワークセット1としており、図1に示すロードカセット11に第1のワークセット1が複数収容されている。そして、搬入手段20は、ロードカセット11から第1のワークセット1を取り出して第1の支持テーブル40に搬入する。なお、フレーム2は、あらかじめ第1の支持テーブル40に載置しておく。保護テープ3は特に限定されるものではなく、例えば、ダイシングテープを使用することができる。
【0028】
(1)粘着テープ貼着工程
図5(a)に示すように、搬入ロボット20は、第1のワークセット1を構成する保護テープ3側を下にして第1の支持テーブル40におけるフレーム2の開口エリアA1に配置する。その後、吸引源43の作動によりワーク吸引部41が保護テープ3側を吸引するとともに、フレーム吸引部42においてフレーム2を吸引することによって第1の支持テーブル40において第1のワークセット1を支持する。
【0029】
第1の移動手段15は、ボールネジ15aを回動することにより第1の支持テーブル40を例えばY1方向に移動させ、図5(b)に示す粘着テープ貼着手段50の下方に移動させる。次いで、粘着テープ貼着手段50が作動すると、送りローラ53a及び送りローラ53bが回転し、第1のロール部51からテープ保護シート5が貼着された粘着テープ4を下方にある押圧ローラ54の下方に向けて送り出す。この際、引き込みローラ56が回転することにより、剥離ローラ55にテープ保護シート5を掛けるようにして引き込み、粘着テープ4からテープ保護シート5を剥離する。
【0030】
図5(b)に示すように、第1の移動手段15によって第1の支持テーブル40を例えばY2方向に移動させながら、下方に送り出された粘着テープ4を押圧ローラ54によって押圧しながらフレーム2と第1のワークセット1との上面に粘着テープ4を貼着することにより、図5(c)に示す第2のワークセット7を形成する。粘着テープ4は、熱収縮性を有しており、例えば、日東電工社製のテープ(EM−760,D−174A)やリンテック社製のテープ(LE4003)を使用することができる。
【0031】
(2)チップ離間工程
粘着テープ貼着工程を実施した後、図6(a)に示すように、搬送ロボット30によって、第2のワークセット7を第2の支持テーブル60に搬送する。次いで、吸引源64の作動により、フレーム吸引部62においてフレーム2を吸引するとともに、ワーク吸引部61において保護テープ3側を吸引することによって、第2の支持テーブル60において第2のワークセット7を支持する。この際、フレーム2の内周2aと板状ワークWの外周1aとの間に環状の空間である限定エリアA2が形成される。これにより、ヒータ71の上方には、限定エリアA2を通じて粘着テープ4の一方の面が位置づけられる。
【0032】
次に、熱付与手段70は、制御部73の制御により電源72をオフからオンに切り替え、ヒータ71が所定の温度で限定エリアA2に限定して加熱することにより、第2のワークセット7を構成する粘着テープ4のうち、フレーム2及び板状ワークWが貼着されていない部分に熱付与する。
【0033】
粘着テープ4に熱が付与されると、加熱された部分が熱収縮することにより粘着テープ4が径方向に伸びるとともに、粘着テープ4に貼着された板状ワークWも同一方向に引き伸ばされるため、隣接する複数のチップCの間隔Sが広がる。その結果、図6(b)に示すように、隣接する複数のチップC同士が離間し隙間9が形成される。このとき、板状ワークWには、粘着テープ4が貼着された面と反対側に面において保護テープ3が貼着されているため、複数のチップCの位置がずれることがない。
【0034】
なお、チップ離間工程において、図4に示した構成の熱付与手段80を用いる場合は、吸着部31においてフレーム2を吸着して搬送ロボット30によって第2のワークセット7を第2の支持テーブル60に搬送する過程において、粘着テープ4のうちフレーム2及び板状ワークWが貼着されていない部分を加熱することができる。
【0035】
(3)保護テープ剥離工程
チップ離間工程を実施した後、図7に示すように、板状ワークWから保護テープ3を剥離する。まず、図7(a)に示す搬送ロボット30によって第2のワークセット7の表裏を反転させ、粘着テープ4側を下向きにするとともに板状ワークWに貼着された保護テープ3側が上向きになるように第2の支持テーブル60において第2のワークセット7を配置する。このとき、チップ離間工程においてチップ間隔が広げられているため、隣り合うチップ同士が接触することがない。
【0036】
図7(b)に示すように、第2の移動手段16におけるボールネジ16aが回動することにより第2の支持テーブル60を例えばY1方向に移動させながら、第2のワークセット7を保護テープ剥離手段90の下方に移動させる。保護テープ剥離手段90は、剥離部91にクランプされた剥離テープ6を保護テープ3の周縁部分に貼着し、第2の支持テーブル60をY1方向に移動させながら剥離部91を上昇させる。そうすると、図7(c)に示すように、保護テープ3を板状ワークWから完全に剥離することができる。このようにして、隙間9によって個々のチップCが離間した状態でフレーム2に支持されて構成される第3のワークセット8を形成する。この第3のワークセット8は、図1に示したアンロードユニット13によってY軸方向手前側に引っ張られてアンロードカセット12に収容される。その後、次の工程において個々のチップCはピックアップされる。
【0037】
以上のように、テープ貼着装置10は、板状ワークWと保護テープ3とからなる第1のワークセット1とフレーム2とを支持する第1の支持テーブル40と、第1の支持テーブル40に支持されたフレーム2と第1のワークセット1とに粘着テープ4を貼着し第2のワークセット7を形成する粘着テープ貼着手段50と、粘着テープ4に熱を与える熱付与手段7とを含んで構成されているため、粘着テープ貼着工程の後にチップ離間工程を実施し、第2のワークセット7を構成する粘着テープ4に熱付与することによって粘着テープ4が熱収縮するため、チップC同士の間隔Sが広がって隙間9を形成し、隣接するチップCを離間させることができる。したがって、次の保護テープ剥離工程を実施するために、第2のワークセット7を反転させても、隣接するチップ同士が接触することがなくなる。
【0038】
上記チップ離間工程では、フレーム2の内径2aと板状ワークWの外径1aとの間の限定エリアA2に限定して熱付与を実施するため、粘着テープ4のうち、フレーム2及び板状ワークWが貼着されていない部分が熱収縮し、チップCが貼着されている部分が伸びてチップC同士の間隔Sが広がって隙間9を形成し、隣接するチップCを確実に離間させることができる。
【符号の説明】
【0039】
1:第1のワークセット 2:フレーム 2a:内径 3:保護テープ 4:粘着テープ5:テープ保護シート 6:剥離テープ 7:第2のワークセット
8:第3のワークセット 9:隙間 10:テープ貼着装置 10a:装置ベース
11:ロードカセット 12:アンロードカセット 13:アンロードユニット
14:ガイド部 15:第1の移動手段 15a:ボールネジ 15b:ガイドレール
15c:モータ 16:第2の移動手段 16a:ボールネジ 16b:ガイドレール
16c:モータ
20:搬入ロボット 21:ハンド 22:回動部 23:アーム部
30:搬送ロボット 31:吸着部 32:回転部 33 アーム部 34:支点軸
35:吸引源
40:第1の支持テーブル 41:ワーク吸引部 42:フレーム吸引部 43:吸引源
44:移動基台
50:粘着テープ貼着手段 51:第1のロール部 52:第2のロール部
53a,53b:送りローラ 54:押圧ローラ 55:剥離ローラ
56:引き込みローラ
60:第2の支持テーブル 61:ワーク吸引部 62:フレーム吸引部
63:移動基台 64:吸引源
70:熱付与手段 71:ヒータ 72:電源 73:制御部
80:熱付与手段 81:ヒータ 82:電源 83:制御部
90:保護テープ剥離手段 91:剥離部
W:板状ワーク Wa:外径 C:チップ S:間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7