(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固有振動数決定部は、音波の周波数を変えながら前記基板に前記音波を当て、前記基板から反射した音波の振幅を計測し、前記振幅が最も大きくなるときの音波の周波数から前記基板の固有振動数を決定することを特徴とする請求項4に記載の基板処理装置。
前記固有振動数決定部は、音波の周波数を変えながら前記基板に前記音波を当てて前記基板を振動させ、前記基板の振動の振幅を計測し、前記振幅が最も大きくなるときの音波の周波数から前記基板の固有振動数を決定することを特徴とする請求項4に記載の基板処理装置。
前記固有振動数決定部は、回転している前記基板の振動の振幅を測定し、前記処理制御部は、前記基板の振動の振幅が所定のしきい値よりも大きいときには、前記基板の回転を停止させることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ウェーハなどの基板を回転させるときに、基板面が大きく振動することを防ぎ、洗浄や乾燥などの基板処理の効果を安定させることができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、基板を保持して回転させる基板保持部と、前記基板の固有振動数を決定する固有振動数決定部と、前記基板の固有振動数に基づいて、前記基板の回転速度を制御する処理制御部とを備え
、前記処理制御部は、前記基板の固有振動数に対応する回転速度とは異なる回転速度で前記基板が回転するように、前記基板の回転速度を制御することを特徴とする基板処理装置である。
【0007】
本発明の好ましい態様は、前記固有振動数決定部は、前記基板に固有の諸元から該基板の固有振動数を算出することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記基板に固有の諸元は、前記基板の厚さ、直径、密度、ヤング率、ポアソン比を少なくとも含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の好ましい態様は、前記固有振動数決定部は、前記基板保持部に保持された前記基板の固有振動数を測定することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記固有振動数決定部は、音波の周波数を変えながら前記基板に前記音波を当て、前記基板から反射した音波の振幅を計測し、前記振幅が最も大きくなるときの音波の周波数から前記基板の固有振動数を決定することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記固有振動数決定部は、音波の周波数を変えながら前記基板に前記音波を当てて前記基板を振動させ、前記基板の振動の振幅を計測し、前記振幅が最も大きくなるときの音波の周波数から前記基板の固有振動数を決定することを特徴とする。
【0009】
本発明の好ましい態様は、回転している前記基板の表面の振動周波数を計測する振動周波数計測器をさらに備え、前記処理制御部は、前記基板の固有振動数および前記振動周波数に対応する回転速度とは異なる回転速度で前記基板が回転するように、前記基板の回転速度を制御することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記振動周波数計測器は、前記基板の表面の変位を測定する変位センサを備えており、前記変位の変動から前記振動周波数を決定することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記振動周波数計測器は、前記基板の表面に光を照射し、該基板からの反射光を受光し、該反射光の強度の変動から前記振動周波数を決定することを特徴とする。
【0010】
本発明の好ましい態様は、前記処理制御部は、前記基板の回転速度に従って前記基板の処理時間を変化させることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記基板の表面に流体を供給する流体供給機構と、前記流体の流量を調整する流量調整弁とをさらに備え、前記処理制御部は、前記基板の回転速度に従って前記流量調整弁を介して前記流体の流量を制御することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記固有振動数決定部は、回転している前記基板の振動の振幅を測定し、前記処理制御部は、前記基板の振動の振幅が所定のしきい値よりも大きいときには、前記基板の回転を停止させることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記振動周波数計測器は、回転している前記基板の振動の振幅を測定し、前記処理制御部は、前記基板の振動の振幅が所定のしきい値よりも大きいときには、前記基板の回転を停止させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、基板の固有振動数から逸れた回転速度で基板が回転される。したがって、基板の共振が回避され、基板の表面が大きく振動することが防止できる。結果として、洗浄具および/または処理液(例えば、洗浄液やリンス液)は基板の表面に均一に接触し、均一な基板処理が実現される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る基板処理装置を備えた研磨装置の全体構成を示す平面図である。
図1に示すように、研磨装置は、略矩形状のハウジング10と、多数の半導体ウェーハ等の基板をストックする基板カセットが載置されるロードポート12を備えている。ロードポート12は、ハウジング10に隣接して配置されている。ロードポート12には、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、またはFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができる。SMIF、FOUPは、内部に基板カセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。
【0014】
ハウジング10の内部には、複数(この実施形態では4つ)の研磨ユニット14a〜14dと、研磨後の基板を洗浄する第1洗浄ユニット16及び第2洗浄ユニット18と、洗浄後の基板を乾燥させる乾燥ユニット20が収容されている。研磨ユニット14a〜14dは、研磨装置の長手方向に沿って配列され、洗浄ユニット16,18及び乾燥ユニット20も研磨装置の長手方向に沿って配列されている。
【0015】
ロードポート12、研磨ユニット14a、及び乾燥ユニット20に囲まれた領域には、第1基板搬送ロボット22が配置され、また研磨ユニット14a〜14dと平行に、基板搬送ユニット24が配置されている。第1基板搬送ロボット22は、研磨前の基板をロードポート12から受け取って基板搬送ユニット24に渡すとともに、乾燥後の基板を乾燥ユニット20から受け取ってロードポート12に戻す。基板搬送ユニット24は、第1基板搬送ロボット22から受け取った基板を搬送して、各研磨ユニット14a〜14dとの間で基板の受け渡しを行う。各研磨ユニットは、研磨面に研磨液(スラリー)を供給しながら、ウェーハなどの基板を研磨面に摺接させることで、基板の表面を研磨する。
【0016】
第1洗浄ユニット16と第2洗浄ユニット18の間に位置して、これらの各ユニット16,18の間で基板を搬送する第2基板搬送ロボット26が配置され、第2洗浄ユニット18と乾燥ユニット20との間に位置して、これらの各ユニット18,20の間で基板を搬送する第3基板搬送ロボット28が配置されている。更に、ハウジング10の内部に位置して、研磨装置の各ユニットの動きを制御する動作制御部30が配置されている。
【0017】
この例では、第1洗浄ユニット16として、洗浄液の存在下で、基板の表裏両面にロールスポンジなどの洗浄具を擦り付けて基板を洗浄する本発明の実施形態に係る基板処理装置が使用されている。第2洗浄ユニット18として、ペンスポンジタイプの基板洗浄装置が使用されている。また、乾燥ユニット20として、基板を保持し、移動するノズルからIPA蒸気を噴出して基板を乾燥させ、更に高速で回転させ遠心力によって基板を乾燥させるスピン乾燥装置が使用されている。
【0018】
図2は、第1洗浄ユニット(基板処理装置)16を示す斜視図である。
図2に示すように、第1洗浄ユニット16は、ウェーハWを水平に保持して回転させる4つの保持ローラ71,72,73,74と、ウェーハWの上下面に接触する円柱状のロールスポンジ(洗浄具)77,78と、これらのロールスポンジ77,78を回転させる洗浄具回転機構80,81と、ウェーハWの上面にリンス液(例えば純水)を供給する上側リンス液供給ノズル85,86と、ウェーハWの上面に洗浄液(例えば薬液)を供給する上側洗浄液供給ノズル87,88とを備えている。図示しないが、ウェーハWの下面にリンス液(例えば純水)を供給する下側リンス液供給ノズルと、ウェーハWの下面に洗浄液(例えば薬液)を供給する下側洗浄液供給ノズルが設けられている。
【0019】
上側洗浄液供給ノズル87,88には、流量調整弁61,62がそれぞれ接続されており、上側リンス液供給ノズル85,86には、流量調整弁63,64がそれぞれ接続されている。ウェーハWに供給される洗浄液およびリンス液の流量は、対応する流量調整弁61〜64を操作することによって変更することが可能となっている。
【0020】
保持ローラ71,72,73,74は図示しない駆動機構(例えばエアシリンダ)によって、ウェーハWに近接および離間する方向に移動可能となっている。4つの保持ローラのうちの2つの保持ローラ71,74は、基板回転機構75に連結されており、これら保持ローラ71,74は基板回転機構75によって同じ方向に回転されるようになっている。4つの保持ローラ71,72,73,74がウェーハWを保持した状態で、2つの保持ローラ71,74が回転することにより、ウェーハWはその軸心まわりに回転する。本実施形態では、ウェーハWを保持して回転させる基板保持部は、保持ローラ71,72,73,74と基板回転機構75から構成される。
【0021】
上側のロールスポンジ77を回転させる洗浄具回転機構80は、その上下方向の動きをガイドするガイドレール89に取り付けられている。また、この洗浄具回転機構80は昇降駆動機構82に支持されており、洗浄具回転機構80および上側のロールスポンジ77は昇降駆動機構82により上下方向に移動されるようになっている。なお、図示しないが、下側のロールスポンジ78を回転させる洗浄具回転機構81もガイドレールに支持されており、昇降駆動機構によって洗浄具回転機構81および下側のロールスポンジ78が上下動するようになっている。昇降駆動機構としては、例えばボールねじを用いたモータ駆動機構またはエアシリンダが使用される。ウェーハWの洗浄時には、ロールスポンジ77,78は互いに近接する方向に移動してウェーハWの上下面に接触する。洗浄具として、ロールスポンジに代えて、ロールブラシが使用されることもある。
【0022】
次に、ウェーハWを洗浄する工程について説明する。まず、保持ローラ71,72,73,74によりウェーハWをその軸心まわりに回転させる。次いで、上側洗浄液供給ノズル87,88および図示しない下側洗浄液供給ノズルからウェーハWの上面及び下面に洗浄液が供給される。この状態で、ロールスポンジ77,78がその水平に延びる軸心周りに回転しながらウェーハWの上下面に摺接することによって、ウェーハWの上下面をスクラブ洗浄する。
【0023】
スクラブ洗浄後、回転するウェーハWにリンス液として純水を供給することによってウェーハWの濯ぎ(リンス)が行われる。ウェーハWのリンスは、ロールスポンジ77,78をウェーハWの上下面に摺接させながら行なってもよいし、ロールスポンジ77,78をウェーハWの上下面から離間させた状態で行なってもよい。
【0024】
第1洗浄ユニット(基板処理装置)16は、ウェーハWの固有振動数を決定する固有振動数決定部41と、ウェーハWの固有振動数に基づいてウェーハWの回転速度を制御する処理制御部43とをさらに備えている。固有振動数決定部41には入力装置44が接続されており、この入力装置44を介してウェーハWに固有の諸元(要素)が固有振動数決定部41に入力可能となっている。固有振動数決定部41は、ウェーハWの諸元に基づいてウェーハWの固有振動数を算出するように構成されている。ウェーハWの諸元としては、ウェーハWの厚さ、直径、密度、ヤング率、ポアソン比などが挙げられる。
【0025】
固有振動数決定部41は、次の式(1)および式(2)を使用してウェーハWの固有振動数fi[Hz]を算出する。
【数1】
【数2】
ただし、dはウェーハWの直径、EはウェーハWのヤング率、tはウェーハWの厚さ、νはウェーハWのポアソン比、ρはウェーハWの密度、λiはウェーハWの無次元化した固有振動数(振動モードから決まる係数)、iは振動モードの次数(i=1,2,3,…)である。
【0026】
図3は、直径300mmのウェーハと直径
450mmのウェーハの固有振動数の算出値を示すグラフである。
図3から、ウェーハの直径が1.5倍大きくなると、固有振動数が約2分の1に低下することが分かる。
図4は、ウェーハの厚さによって固有振動数の算出値が変わることを示すグラフである。
図4から、ウェーハの固有振動数は、ウェーハの厚さの減少に従って低下することが分かる。
【0027】
図5は、ウェーハの結晶方位によって固有振動数の算出値が変わることを示すグラフである。
図5において、ウェーハの結晶方位は、ミラー指数で表されている。ヤング率およびポアソン比は、ウェーハの結晶方位に依存して変わる。したがって、
図5に示すように、ウェーハの結晶方位に依存してウェーハの固有振動数が変化する。そこで、保持ローラ71,72,73,74の位置とウェーハWの結晶方位との相対角度に従って、固有振動数の算出に使用されるヤング率およびポアソン比を変えることが好ましい。
【0028】
通常、ウェーハWの結晶方位は、ウェーハWに形成されているノッチの位置によって示される。
図6に示すように、保持ローラ71,72,73,74のうちの1つとウェーハWの中心とを結ぶ線と、ノッチとウェーハWの中心とを結ぶ線とがなす角度αを上記相対角度と定義すると、固有振動数決定部41は、相対角度αとデータベースから、ヤング率およびポアソン比を決定し、上記式(1)および式(2)を用いて固有振動数を算出する。データベースは、相対角度と、対応するヤング率およびポアソン比のデータから構成されており、固有振動数決定部41に予め格納されている。上記相対角度αは、ウェーハWの上方に配置されたカメラ(図示せず)によりウェーハWおよび保持ローラ71,72,73,74の画像を取得し、その画像から算出することができる。
【0029】
固有振動数決定部41によって算出された固有振動数は、処理制御部43に送られる。処理制御部43は、算出された固有振動数に対応する回転速度とは異なる回転速度でウェーハWが回転するように、上記基板回転機構75を介してウェーハWの回転速度を制御する。より具体的には、処理制御部43は、算出された固有振動数[Hz]に対応する回転速度[rpmまたはmin
−1]を算出し、この算出された回転速度とは異なる回転速度でウェーハWが回転するように、基板回転機構75の動作を制御する。
【0030】
このように、処理中のウェーハWの回転速度はウェーハWの固有振動数に対応する回転速度に一致しないので、ウェーハWの共振が起こらない。したがって、回転しているウェーハWの表面は大きく振動せず、ロールスポンジはウェーハWの表面に均一に接触して、ウェーハWの表面を均一に処理することができる。ウェーハWの共振を確実に避けるためには、ウェーハWの回転速度と、その固有振動数に対応する回転速度との差異は、60[min
−1]以上であることが好ましい。
【0031】
処理中のウェーハWの回転速度を変えると、ウェーハWの処理時間およびウェーハWに供給される流体(例えば、洗浄液、リンス液)の量が不足するか、または過剰となることがある。そこで、処理制御部43は、ウェーハWの回転速度に基づいてウェーハWの処理時間および/またはウェーハWに供給される流体の流量を変えることが好ましい。例えば、ウェーハWの回転速度を下げる場合は、ウェーハWの処理時間を長くするか、またはウェーハWに供給される流体の流量を増加させる。この場合、ウェーハWの処理時間を長くし、かつウェーハWに供給される流体の流量を増加させてもよい。
【0032】
図2に示す基板処理装置では、処理制御部43は、流量調整弁61〜64を操作することに洗浄液およびリンス液の流量を変えることができる。処理制御部43は、ウェーハWの回転速度とウェーハWに供給すべき流体の流量との対応関係を示すデータベースを記憶しており、このデータベースに基づいてウェーハWの回転速度に対応する流量を決定し、この決定された流量で流体がウェーハWに供給されるように流量調整弁61〜64を操作する。
図2に示す例においては、ウェーハWに供給される流体は、ウェーハWの上面および下面に供給される洗浄液およびリンス液である。
【0033】
図7は、基板処理装置の他の実施形態を示す模式図である。特に説明しない構成は
図2に示す構成と同じであるので、その重複する説明を省略する。この実施形態では、固有振動数決定部41は、ウェーハWの固有振動数を計算するのではなく、保持ローラ71,72,73,74に保持されたウェーハWの固有振動数を測定するように構成されている。したがって、この実施形態では、入力装置44は設けられていない。
【0034】
図8は、
図7に示す固有振動数決定部41を示す模式図である。
図8に示すように、固有振動数決定部41は、音波をウェーハWに向かって発生させる音波発生器46と、ウェーハWから反射した音波の振幅を計測する音波解析部47とを備えている。音波発生器46は、保持ローラ71,72,73,74に保持されたウェーハWの上方に配置されており、音波の周波数を変えながら音波をウェーハWの表面に当てるように構成されている。音波解析部47はウェーハWから反射した音波の振幅を計測し、振幅が最も大きくなるときの音波の周波数からウェーハWの固有振動数を決定する。例えば、音波解析部47は、ウェーハWから反射した音波をFFT(高速フーリエ変換)により解析して音波の周波数と振幅との関係を取得し、振幅が最も大きいピーク周波数をウェーハWの固有振動数に決定する。
【0035】
このようにして決定された固有振動数は、処理制御部43に送られる。処理制御部43は、算出された固有振動数に対応する回転速度とは異なる回転速度でウェーハWが回転するように、上記基板回転機構75を介してウェーハWの回転速度を制御する。
【0036】
図9は、固有振動数決定部41の他の実施形態を示す模式図である。本実施形態の固有振動数決定部41は、ウェーハWの表面に音波を当てる点で
図7に示す固有振動数決定部41と同じであるが、音波との衝突によって振動するウェーハWの振幅が測定される点で異なっている。
【0037】
図9に示すように、固有振動数決定部41は、ウェーハWに向かって音波を発生させる音波発生器46と、振動するウェーハWの振幅を計測する振動測定部48とを備えている。音波発生器46は、保持ローラ71,72,73,74に保持されたウェーハWの上方に配置されており、音波の周波数を変えながら音波をウェーハWの表面に当ててウェーハWを振動させるように構成されている。振動測定部48は、音波との衝突により振動しているウェーハWの振幅を計測し、振幅が最も大きくなるときの音波の周波数からウェーハWの固有振動数を決定するように構成されている。ウェーハWの振動の振幅を計測する振動測定部48としては、例えば、非接触型の振動計が使用される。
【0038】
このようにして決定された固有振動数は、処理制御部43に送られる。処理制御部43は、算出された固有振動数に対応する回転速度とは異なる回転速度でウェーハWが回転するように、上記基板回転機構75を介してウェーハWの回転速度を制御する。
【0039】
振動測定部48は、ウェーハWの処理中に該ウェーハWの振動の振幅を測定し、ウェーハWの振動の振幅が所定のしきい値よりも大きいときには、処理制御部43はウェーハWの回転を停止させてもよい。このような制御により、ウェーハWの破損を未然に防ぐことができる。
【0040】
処理中のウェーハWの表面は、完全に平坦であることが理想的である。しかしながら、積層工程、ウェーハWの自重、保持ローラからの加えられる保持力などに起因して、ウェーハWの表面がうねることがある。
図10は、複数の保持ローラで保持されているウェーハWのうねりを示す模式図である。
図10には、3つ、4つ、5つ、6つの保持ローラで保持されているウェーハWが示されている。ウェーハWは、保持ローラとの接触部において大きくうねっている。
図10では、ウェーハWがうねっている領域を点線で示している。
図10から分かるように、保持ローラの数(すなわち、ウェーハ支持点の数)が多くなると、ウェーハWのうねりの程度は減少するが、ウェーハWのうねりの数が増える。
【0041】
うねりがあるウェーハWを回転させると、ウェーハWの表面は周期的に振動する。このうねりに起因するウェーハWの表面の振動の周波数を、以下、振動周波数という。
図11は、ウェーハWを回転速度1200〜2000min
−1の範囲内で変化させたときの、振動周波数と、ウェーハ1回転あたりのうねり数との関係を示すグラフである。
図11のグラフにおいて、縦軸は振動周波数[Hz]を表し、横軸は、ウェーハ1回転あたりのうねり数、すなわちウェーハ支持点の数を表している。さらに、
図11のグラフ中には、振動モードが2,4,6のときの固有振動数f2,f4,f6が表されている。
【0042】
ウェーハWが4点で支持されている場合、ウェーハWを1700min
−1の回転速度で回転させると、ウェーハWの振動周波数が固有振動数f2に近くなることが
図11から分かる。振動周波数がウェーハWの固有振動数に一致すると、ウェーハWの振動が誘発されやすい。
【0043】
そこで、さらに他の実施形態では、回転しているウェーハWの表面の振動周波数が計測される。
図12は、基板処理装置のさらに他の実施形態を示す模式図である。特に説明しない構成は
図7に示す構成と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態に係る基板処理装置は、回転しているウェーハWの表面の振動周波数を計測する振動周波数計測器49をさらに備えている。
図12に示すように、振動周波数計測器49は、保持ローラ71,72,73,74によって回転されるウェーハWの表面の振動周波数を測定する。
【0044】
図13は、
図12に示す振動周波数計測器49の一例を示す模式図である。この振動周波数計測器49は、ウェーハWの表面の変位を測定する変位センサ51と、変位の測定値の変動からウェーハWの表面の振動周波数を決定する振動解析部52とを備えている。変位センサ51は、ウェーハWの周縁部に対向するように配置されており、回転しているウェーハWの変位を測定し、その測定値を振動解析部52に送る。振動解析部52は、時間とともに周期的に変化する変位の測定値からウェーハWの表面の振動周波数を決定するように構成されている。変位センサ51としては、ウェーハWの表面に接触することなく変位を測定することができるレーザ式変位計を用いることができる。
【0045】
図14は、
図12に示す振動周波数計測器49の他の例を示す模式図である。この振動周波数計測器49は、ウェーハWの表面に光を照射する光照射部53と、ウェーハWからの反射光を受光し、該反射光の強度の変動から振動周波数を決定する振動解析部54とを備えている。振動解析部54は、時間とともに周期的に変化する反射光の強度からウェーハWの表面の振動周波数を決定するように構成されている。
【0046】
振動周波数計測器49によって計測された振動周波数と、固有振動数決定部41によって計測された固有振動数は、処理制御部43に送信される。処理制御部43は、ウェーハWの固有振動数および振動周波数に対応する回転速度とは異なる回転速度でウェーハWが回転するように、ウェーハWの回転速度を制御する。
【0047】
変位センサ51および振動解析部54は、ウェーハWの処理中に該ウェーハWの振動の振幅を測定し、ウェーハWの振動の振幅が所定のしきい値よりも大きいときには、処理制御部43はウェーハWの回転を停止させてもよい。このような制御により、ウェーハWの破損を未然に防ぐことができる。
【0048】
上述した実施形態の基板処理装置は、保持ローラでウェーハを保持しながら、ロールスポンジでウェーハをスクラブ洗浄するタイプであるが、本発明は他のタイプの基板処理装置にも適用することが可能である。例えば、本発明は
図15に示すようなペンスポンジタイプの基板処理装置に適用することも可能である。
図15に示すように、このタイプの基板処理装置は、ウェーハWを保持して回転させる基板保持部91と、ペンスポンジ92と、ペンスポンジ92を保持するアーム94と、ウェーハWの上面にリンス液としての純水を供給するリンス液供給ノズル96と、ウェーハWの上面に洗浄液(薬液)を供給する洗浄液供給ノズル97とを備えている。ペンスポンジ92は、アーム94内に配置された回転機構(図示せず)に連結されており、ペンスポンジ92は鉛直方向に延びる中心軸線まわりに回転されるようになっている。
【0049】
基板保持部91は、ウェーハWの周縁部を保持する複数の(
図15では4つの)チャック95と、チャック95に連結されたモータ
98とを備えている。チャック95はウェーハWを水平に保持し、この状態でウェーハWはモータ98によってその軸心まわりに回転される。
【0050】
アーム94はウェーハWの上方に配置されている。アーム94の一端にはペンスポンジ92が連結され、アーム94の他端には旋回軸100が連結されている。この旋回軸100にはアーム94を旋回させるアーム回転機構としてのモータ101が連結されている。アーム回転機構は、モータ101に加えて、減速ギヤなどを備えてもよい。モータ101は、旋回軸100を所定の角度だけ回転させることにより、アーム94をウェーハWと平行な平面内で旋回させるようになっている。アーム94の旋回により、これに支持されたペンスポンジ92がウェーハWの半径方向外側に移動する。
【0051】
ウェーハWは次のようにして洗浄される。まず、ウェーハWをその軸心まわりに回転させる。次いで、洗浄液供給ノズル97からウェーハWの上面に洗浄液が供給される。この状態で、ペンスポンジ92が鉛直に延びるその軸心周りに回転しながらウェーハWの上面に摺接し、さらにウェーハWの半径方向に沿って揺動する。洗浄液の存在下でペンスポンジ92がウェーハWの上面に摺接することにより、ウェーハWがスクラブ洗浄される。
【0052】
スクラブ洗浄後、ウェーハWから洗浄液を洗い流すために、リンス液供給ノズル96から回転するウェーハWの上面にリンス液としての純水を供給し、ウェーハWをリンスする。次いで、ウェーハWへの純水の供給を停止する。ウェーハWのリンスは、ペンスポンジ92をウェーハWに摺接させながら行なってもよいし、ペンスポンジ92をウェーハWから離間させた状態で行なってもよい。
【0053】
上述した実施形態では、ウェーハWの固有振動数に基づいてウェーハWの回転速度を調整しているが、ウェーハWおよび基板保持部91を含む回転体の固有振動数に基づいてウェーハWの回転速度を調整してもよい。
図16は、
図15に示す基板処理装置の他の実施形態を示す図である。
図16に示すように、基板保持部91には、振動計103が取り付けられている。この振動計103は、ウェーハWの処理中の回転体(ウェーハWおよび基板保持部
91)の振動を波形信号として出力し、これを固有振動数決定部41に送る。固有振動数決定部41は波形信号をFFT(高速フーリエ変換)により解析して振動の周波数と振幅との関係を取得し、振幅が最も高いピーク周波数を回転体の固有振動数に決定する。固有振動数決定部41によって計測された固有振動数は、処理制御部43に送信される。処理制御部43は、回転体の固有振動数に対応する回転速度とは異なる回転速度でウェーハWが回転するように、ウェーハWの回転速度を制御する。
図16に示す例では振動計103はモータ101に取り付けられているが、基板保持部91に取り付けてもよい。
【0054】
上述した実施形態では、本発明の基板処理装置を基板を洗浄するための装置に適用しているが、本発明の基板処理装置は基板を回転させて乾燥させる基板乾燥装置に適用することも可能である。
【0055】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。