特許第6180901号(P6180901)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180901
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】研削装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 49/04 20060101AFI20170807BHJP
   G01B 5/18 20060101ALI20170807BHJP
   B24B 49/08 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   B24B49/04 Z
   G01B5/18
   B24B49/08
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-239707(P2013-239707)
(22)【出願日】2013年11月20日
(65)【公開番号】特開2015-98074(P2015-98074A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2016年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087099
【弁理士】
【氏名又は名称】川村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100063174
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 功
(74)【代理人】
【識別番号】100124338
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 健
(72)【発明者】
【氏名】三橋 巨悟
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−256358(JP,A)
【文献】 特開平10−138095(JP,A)
【文献】 特開平11−333719(JP,A)
【文献】 米国特許第6641459(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 49/04 − 49/08
G01B 5/18
H01L 21/304
B23Q 17/20
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状ワークを保持するチャックテーブルと、
該チャックテーブルに保持された該板状ワークの上面を研削する研削手段と、
該研削手段により研削された該板状ワークの該上面の高さを測定する高さ測定器と、
を備えた研削装置であって、
該高さ測定器は、
少なくとも板状ワークの上面に接触させる測定子と、
該測定子に接続されたアームと、
該アームを支持する支持部と、
該支持部を支点として該アームを上下させる上下駆動部と、
上下する該アームの位置を読み取るセンサーと、
該支持部と該上下駆動部と該センサーとを収容するとともに、該アームを突出させる第一のケースと、を備え、
さらに、
該高さ測定器を囲繞する側壁と、該側壁の上辺に連結された天板と、該側壁の下辺に連結された底板と、を有する第2のケースを備え、
該底板には、該上下駆動部により上下動作する該測定子を通過させる通過口を備え、
該天板には、該第2のケース内に冷却水を供給する供給口を備え、
該チャックテーブルに保持された該板状ワークの該上面の高さを該高さ測定器が測定する際、該供給口から冷却水の供給を受けることにより該第2のケース内の温度を一定にするとともに、該冷却水を該通過口から排出することにより該測定子に異物が付着するのを防ぐ、研削装置。
【請求項2】
前記第2のケースは、前記冷却水を排出する排出口を前記天板に備え、
前記通過口から排出される量よりも多い量の冷却水を前記供給口から取り込むことにより、該第2のケース内を該冷却水で満たし、溢れた冷却水を該排出口から排出する、請求項1記載の研削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状ワークを研削する研削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
板状ワークを研削する研削装置では、研削された板状ワークの厚さを所望の厚さにするため、板状ワークの被研削面の高さを測定しながら研削を行っている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。板状ワークの被研削面の高さを測定する測定器(ハイトゲージ)としては、揺動可能なアームの端に接続された測定子(フィーラ)を測定対象に接触させ、アームの位置を読取部(トランスデューサ)で電気信号に変換する接触式センサー(例えば、特許文献3参照)などが使用される。
【0003】
また、研削中は、測定子の先端に研削屑などの異物が付着する場合がある。特に、板状ワークが、サファイア、炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)など硬質な被加工物である場合、研削屑が測定子と板状ワークの被研削面との間に入り込むと、被研削面に傷が付いたり、測定子の先端が破損しあるいは磨耗したりする場合がある。測定子に傷が付くと、正確な測定ができなくなる。このような問題が生じるのを回避するために、特許文献2には、測定子と板状ワークとの接触部に洗浄水を供給して、異物の付着を防ぐことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−25769号公報
【特許文献2】特開2005−246491号公報
【特許文献3】特許3856842号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、研削をしながら被研削面の高さを測定する場合、加工熱の影響により測定子やアームが熱膨張するなどして、測定誤差が生じる場合がある。研削精度を高くするためには、測定誤差を小さくする必要がある。そのため、例えば、測定器を冷却水で冷却して温度を一定にすることが考えられるが、加工室内の温度の影響により読取部の温度が上昇し、読取部の温度上昇に起因する測定誤差が生じる可能性がある。
【0006】
本発明は、このような問題にかんがみなされたもので、板状ワークの被研削面の高さ測定の誤差を小さくすることにより、研削装置の研削精度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る研削装置は、板状ワークを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された該板状ワークの上面を研削する研削手段と、該研削手段により研削された該板状ワークの該上面の高さを測定する高さ測定器と、を備えた研削装置であって、該高さ測定器は、少なくとも板状ワークの上面に接触させる測定子と、該測定子に接続されたアームと、該アームを支持する支持部と、該支持部を支点として該アームを上下させる上下駆動部と、上下する該アームの位置を読み取るセンサーと、該支持部と該上下駆動部と該センサーとを収容するとともに、該アームを突出させる第一のケースと、を備え、さらに、該高さ測定器を囲繞する側壁と、該側壁の上辺に連結された天板と、該側壁の下辺に連結された底板と、を有する第2のケースを備え、該底板には、該上下駆動部により上下動作する該測定子を通過させる通過口を備え、該天板には、該第2のケース内に冷却水を供給する供給口を備え、該チャックテーブルに保持された該板状ワークの該上面の高さを該高さ測定器が測定する際、該供給口から冷却水の供給を受けることにより該第2のケース内の温度を一定にするとともに、該冷却水を該通過口から排出することにより該測定子の該接触部に異物が付着するのを防ぐ。
【0008】
前記第2のケースは、前記冷却水を排出する排出口を前記天板に備え、前記通過口から排出される量よりも多い量の冷却水を前記供給口から取り込むことにより、該第2のケース内を該冷却水で満たし、溢れた冷却水を該排出口から排出することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る研削装置によれば、供給口から取り込んだ冷却水により第2のケース内の温度を一定にすることができるため、第2のケースに収容された高さ測定器の温度も一定となり、一定温度環境での測定が可能となり、板状ワークの被研削面の高さ測定誤差を小さくすることができる。また、通過口から冷却水を排出して測定子の接触部に異物が付着するのを防ぐため、接触部が傷付いて測定誤差が発生するのを防ぐことができる。これにより、研削装置の研削精度を高くすることができる。また、板状ワークが傷付くのも防ぐことができる。
【0010】
通過口から排出される量よりも多い冷却水を供給口から取り込み、第2のケース内を冷却水で満たせば、第1のケースが完全に水没するので、高さ測定器の温度を更に一定にすることができ、研削装置の研削精度を更に高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】研削装置を示す一部破断斜視図。
図2】研削装置を示す側面視拡大断面図。
図3】別の研削装置を示す側面視拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示す研削装置10は、ウェーハなどの板状ワークを保持するチャックテーブル11と、チャックテーブル11に保持された板状ワークの上面を研削する研削手段12と、研削手段12を±Z方向に移動させる研削送り手段13と、研削手段12により研削された板状ワークの上面の高さを測定する高さ測定器14aと、チャックテーブル11の保持面111の高さを測定する高さ測定器14bと、2つの高さ測定器14a,14bを収容した第2のケース15と、高さ測定器14a,14b及び第2のケース15を支持する支柱16とを備えている。なお、チャックテーブル11の保持面111の高さを測定する高さ測定器14bが存在せず、研削された板状ワークの上面の高さを測定する高さ測定器14aのみが第2のケース15に収容されている場合もある。
【0013】
チャックテーブル11は、±Y方向に移動可能であるとともに、回転可能であり、保持面111に載置された板状ワークを吸引して保持することができる。
【0014】
研削手段12は、±Z方向の軸心を有するスピンドル121を回転させて、スピンドル121の−Z側の端に設けられたマウント122に装着された研削ホイール20を回転させることができる。研削ホイール20の下面には、複数の研削砥石21が円環状に固着されている。
【0015】
研削送り手段13は、±Z方向に平行なねじ軸131をモータ132が回転させることにより、ねじ軸131に係合した移動部133をガイド134にしたがって±Z方向に移動させることができる。研削手段12は、移動部133に固定されており、移動部133の移動に伴って、±Z方向に移動する。
【0016】
第2のケース15は、流体供給手段30に接続されている。流体供給手段30は、一定の温度の冷却水を供給する冷却水供給源31と、冷却水の供給量を調整するバルブ32とを備えており、供給量を調整された冷却水が第2のケース15に供給される。
【0017】
研削装置10では、研削対象の板状ワークがチャックテーブル11に保持され、研削手段12が研削ホイール20を回転させ、研削送り手段13が研削手段12を−Z方向に移動させてチャックテーブル11に接近させ、研削ホイール20の−Z側の面に固定された研削砥石21を、チャックテーブル11に保持された板状ワークの+Z側の面に接触させることにより、板状ワークを研削する。
【0018】
研削装置10は、板状ワークを研削しながら、高さ測定器14aが測定した板状ワークの上面の高さと、高さ測定器14bが測定したチャックテーブル11の保持面111の高さとの差から、板状ワークの現在の厚さを算出し、算出した厚さが所望の厚さになった時点で、研削を終了する。なお、高さ測定器14bを備えていない場合は、高さ測定器14aが測定した板状ワークの上面の高さが所定の高さになった時点で研削を終了する。
【0019】
図2に示すように、高さ測定器14aは、支柱16に固定された第1のケース41と、第1のケース41に収容された支持部42と、支持部42に備えた支点421を中心として上下に揺動可能に支持部42によって支持されたアーム43と、アーム43に連結された測定子44と、第1のケース41に収容され揺動したアーム43の位置を読み取るセンサー45と、第1のケース41に収容され支持部42を支点としてアーム43を上下に揺動させる上下駆動部46とを備えている。図1に示した高さ測定器14bの構造は、高さ測定器14aと同様である。2つの高さ測定器14a,14bにそれぞれ第1のケース41を備えていてもよいし、1つの第1のケース41に、2つの高さ測定器14a,14bを構成する支持部42、アーム43、センサー45及び上下駆動部46が収容された構成としてもよい。
【0020】
第1のケース41には、アーム43を突出させるための開口411が設けられている。第1のケース41のなかに冷却水が侵入するのを防ぐため、開口411は、アーム43が貫通したパッキン412で塞がれている。パッキン412は、アーム43の揺動を邪魔しないよう、柔軟に変形可能に構成されている。
【0021】
アーム43は、±Y方向に平行な支軸を中心として、XZ平面に平行な平面内で揺動する。測定子44は、±Z方向にほぼ平行な状態で、アーム43が第1のケース41から突出した突出部431に連結されている。
【0022】
センサー45は、コイル451と、アーム43に固定されたコア452とを備えている。アーム43が揺動すると、コイル451とコア452との位置関係が変化し、これにより、コイル451のインダクタンスが変化する。これを電気信号に変換することにより、センサー45は、アーム43の位置を測定する。センサー45が測定した結果は、記憶部17に記憶される。測定子44の−Z側の端に設けられた接触部441を板状ワーク60の上面61に接触させたときにセンサー45が測定したアーム43の位置に基づいて、板状ワーク60の上面61の高さが求められる。なお、センサー45は、作動トランス(LVDT)などの誘導型に限らず、例えば静電容量の変化を読み取る静電容量型やその他の方式によって、アーム43の位置を測定するものであってもよい。
【0023】
上下駆動部46は、シリンダ461と、シリンダ461によって駆動されて±Z方向に移動するピストン462とを備える。板状ワーク60の上面61の高さを測定するときは、ピストン462を−Z方向に移動させることにより、アーム43が自由に上下動できるようにする。これにより、測定子44の接触部441が第2のケース15の外に出て、板状ワーク60の上面61に接触する。測定開始前や測定終了後は、ピストン462を+Z方向に移動させることにより、ピストン462の+Z側の端でアーム43を持ち上げ、測定子44の接触部441を第2のケース15のなかに収納する。
【0024】
第2のケース15は、2つの高さ測定器14a,14bを囲繞している側壁51と、側壁51の上辺に連結された天板52と、側壁51の下辺に連結された底板53とを備えている。
【0025】
天板52には、第2のケース15内に冷却水を供給する供給口54が設けられている。供給口54は、バルブ32に接続されている。バルブ32は、開閉する双方向弁321と、冷却水の供給量を調整するための可変絞り弁322とを備える。なお、供給口54を、天板52ではなく、側壁51に設けてもよい。
【0026】
底板53には、上下駆動部46により駆動されて上下動作する測定子44の接触部441を通過させるための通過口531が設けられている。研削装置10が2つの高さ測定器14a,14bを備える場合は、それぞれの測定子44に対応して2つの通過口531が配設されていてもよいし、1つの共通の通過口531を2つの測定子44が通過するように構成してもよい。
【0027】
第2のケース15の中には、冷却水を満遍なく放出するための散水部55が設けられている。散水部55は、中空板状であり、+Z側の面に供給口54に接続された取入口551を有し、−Z側の面に多数の散水穴552を有する。バルブ32を介して供給された冷却水は、取入口551から散水部55のなかに取り入れられ、散水穴552から放出される。
【0028】
第2のケース15の中には、更に、第1のケース41を水没させるための溢水管56が設けられている。溢水管56は、±Z方向に平行な管状であり、−Z側の端が通過口531に接続され、+Z側の端が開放している。測定子44は、溢水管56の内部に配置されている。測定子44に連結されたアーム43を通すため、溢水管56の側面にはスリット561が設けられている。研削装置10が2つの高さ測定器14a,14bを備える場合は、それぞれの測定子44に対応して2つの溢水管56が配設されていてもよいし、1つの共通の溢水管56に測定子44が収容される構成としてもよい。
【0029】
チャックテーブル11に保持された板状ワーク60を図1に示した研削手段12を用いて研削する際には、チャックテーブル11を回転させるとともに、回転する研削砥石21を板状ワーク60に接触させる。かかる研削中は、板状ワーク60の上面の高さを高さ測定器14aによって測定するとともに、冷却水がバルブ32を介して第2のケース15に供給される。バルブ32を介して供給された冷却水は、供給口54から第2のケース15の中に取り入れられ、散水部55によって、第2のケース15のなかに満遍なく散水される。したがって、第2のケース15内の温度を一定にすることができる。
【0030】
散水された冷却水が高さ測定器14a,14bにかかることにより、高さ測定器14a,14bが冷却され、一定の温度に保たれる。散水された冷却水は、第2のケース15の中に滞留する。第2のケース15のなかの水位がスリット561に達すると、スリット561とアーム43との間の隙間から冷却水が溢水管56のなかに流れ込むが、その量はわずかであるため、更に水位が上昇する。溢水管56の上端にまで水位が達すると、溢水管56の中に冷却水が流れ込むため、水位はそれ以上上昇せず、一定に保たれる。溢水管56の上端は、少なくともアーム43が完全に水没する位置に設け、第1のケース41がほぼ水没する位置に設けることが望ましい。高さ測定器14a,14bを水没させることにより、冷却効果が高まり、高さ測定器14a,14bが一定の温度に保たれる。なお、スリット561から冷却水が流れ出さないようにするために、開口411と同じようにパッキンで塞ぐ構成としてもよい。
【0031】
第1のケース41の外に配設されているアーム43の突出部431や測定子44は、常に水没しているため、冷却水によって直接冷却され、一定の温度に保たれる。
【0032】
一方、第1のケース41は、パッキン412により密閉されているため、第1のケース41を水没させても、第1のケース41のなかに冷却水が侵入することはない。このため、センサー45が濡れて誤動作するなどの不具合を防ぐことができる。
【0033】
センサー45など第1のケース41の中に配設されている部分には、冷却水がかからないので、直接は冷却されないが、第1のケース41が水没しているので、加工熱が冷却水で遮られ、第1のケース41のなかの温度が一定になる。このため、センサー45の温度特性などの影響による測定誤差の発生を防ぐことができる。このように、高さ測定器14a,14bにおける測定誤差の発生を防ぐことができるので、研削装置10の研削精度を高めることができる。
【0034】
溢水管56の中に流れ込んだ冷却水は、通過口531から第2のケース15の外に排出される。第2のケース15の外に排出された冷却水は、板状ワーク60の上面61に、接触部441を中心として外側に向かう放射状の水流を作る。この水流により、研削屑などの異物が測定子44に近づくことができなくなるため、測定子44に異物が付着するのを防ぐことができる。また、仮に、測定子44に異物が付着したとしても、測定子44は、冷却水によって常に清掃されるので、すぐに異物が洗い流される。したがって、接触部441や板状ワーク60の上面61が傷付くのを防ぐことができる。また、接触部441が傷付くことによる測定誤差が発生するのを防ぐことができるので、研削装置10の研削精度を高めることができる。更に、高さ測定器14a,14bの冷却に使用した冷却水を利用するので、洗浄水を別途供給する必要がない。このため、研削装置10の構造を簡略化できるとともに、水の使用量を抑えることができ、コストを削減することができる。
【0035】
図3に示した研削装置10Aは、第2のケース15Aに溢水管56が設けられていない点と、第2のケース15の天板52に冷却水を排出する排出口521が設けられている点とが、図2に示した研削装置10と異なる。
【0036】
研削装置10Aの第2のケース15Aには、通過口531から排出される冷却水の量よりも多い量の冷却水が、バルブ32を介して供給口54から供給される。このため、溢水管56がなくても、第2のケース15Aの中の水位が上昇し、第2のケース15Aの中が冷却水で満たされる。第2のケース15Aの中が冷却水で満たされ、排出口521から冷却水が溢れ出す。
【0037】
このように、第2のケース15Aの中が冷却水で完全に満たされ、高さ測定器14a,14bが完全に水没するので、冷却効果が高くなる。また、第2のケース15Aに供給する冷却水の量が多いので、高さ測定器14a,14bを冷却して温められた冷却水がどんどん排出され、新鮮な冷たい冷却水が次から次へと供給される。これにより、冷却効果を更に高めることができる。
【0038】
また、溢水管56がないため、研削が終了して冷却水の供給を停止すると、冷却水が通過口531から第2のケース15Aの外に排出される。次に研削を開始するとき、古くなって温まった冷却水が第2のケース15Aのなかに滞留していないため、高さ測定器14a,14bを効率よく冷やすことができ、冷却効果を高めることができる。
【0039】
高さ測定器14a,14bが一定の温度に保たれるため、アーム43や測定子44が熱膨張することによる測定誤差や、センサー45の温度特性による測定誤差の発生を防ぐことができる。これにより、研削装置10の研削精度を高めることができる。
【0040】
なお、排出口521は、天板52ではなく、側壁51に設けられていてもよいが、第2のケース15の中が冷却水で満たされるよう、なるべく高い位置に設けることが望ましい。また、天板52全体を開口して排出口521としてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10 研削装置、11 チャックテーブル、111 保持面、
12 研削手段、121 スピンドル、122 マウント、
13 研削送り手段、
131 ねじ軸、132 モータ、133 移動部、134 ガイド、
14a,14b 高さ測定器、
41 第1のケース、411 開口、412 パッキン、
42 支持部、421 支点、43 アーム、431 突出部、
44 測定子、441 接触部、45 センサー、451 コイル、452 コア、
46 上下駆動部、461 シリンダ、462 ピストン、
15,15A 第2のケース、
51 側壁、52 天板、521 排出口、53 底板、531 通過口、
54 供給口、55 散水部、551 取入口、 552 散水穴、
56 溢水管、561 スリット、
16 支柱、17 記憶部、
20 研削ホイール、21 研削砥石、
30 流体供給手段、31 冷却水供給源、32 バルブ、321 双方向弁、
322 可変絞り弁、
60 板状ワーク、61 上面
図1
図2
図3