特許第6180905号(P6180905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180905
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】水質検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20170807BHJP
   C02F 1/00 20060101ALN20170807BHJP
【FI】
   G01N21/27 Z
   !C02F1/00 V
   !C02F1/00 J
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-250508(P2013-250508)
(22)【出願日】2013年12月3日
(65)【公開番号】特開2015-108525(P2015-108525A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2016年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】吉田 幹
【審査官】 伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−254528(JP,A)
【文献】 特開2012−192363(JP,A)
【文献】 特開2006−162385(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0213868(US,A1)
【文献】 特開2007−203220(JP,A)
【文献】 特開2009−156692(JP,A)
【文献】 特開2006−317163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/01
G01N 21/17−21/61
G01N 1/00−1/34
C02F 1/00
B01D 53/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の水質を検査するための水質検査装置であって、
水の主流から分岐した検査用分岐経路内に配設された逆浸透膜手段と、流水中の色検出の有無により流水中の含有イオンを検出するイオン検査手段と、から構成され、
該イオン検査手段は、白色光を発光する発光部と、該発光部から発光され流水中を透過した光により含有イオンの色成分を検出する色センサ部と、該色センサ部で検出された色成分を表示する表示部と、から構成され、
該逆浸透膜手段により濃縮された濃縮水の流水経路には、白色光を透過する第一の透過窓及び該第一の透過窓と流水経路の流水を挟んで対向して形成され白色光を透過する第二の透過窓が形成され、
該発光部は該第一の透過窓を介して流水中に白色光を発光し、該色センサ部は、該第二の透過窓を介して該発光部から発光された光を受光すること、を特徴とする水質検査装置。
【請求項2】
該逆浸透膜手段を透過した透過水の流水経路には、白色光を透過する第三の透過窓及び該第三の透過窓と流水経路の流水を挟んで対向して形成され白色光を透過する第四の透過窓が形成され、該発光部は該第三の透過窓を介して透過水の流水経路中の流水中に白色光を発光し、該色センサ部は、該第四の透過窓を介して該発光部から発光された光を受光し、
該イオン検査手段は、該発光部及び該色センサ部を、該濃縮水の流水経路内の該第一の透過窓及び該第二の透過窓と該透過水の流水経路内の第三の透過窓及び該第四の透過窓とに所定時間毎に選択的に位置付ける位置付け手段を備え、
該所定時間毎に該透過水の流水経路の色成分を基準に該濃縮水の流水径路の色成分の検出を行うことを特徴とする請求項1記載の水質検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の水質を検査可能な水質検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、化学工業、機械工業における機器や原材料、製品の洗浄には、不純物が取り除かれた純水が使用される。洗浄に市水(上水)を使用すると、市水に含まれる微量の不純物が洗浄対象物に付着して残ってしまうためである。特に、半導体デバイスの製造プロセスにおいては、ごく微量の不純物がデバイス上に残っていても品質に重大な影響を及ぼすために、純水より更に純度の高い超純水が用いられている。ここで、純水とは比抵抗値が約1〜10MΩ・cmの水を指し、超純水とは比抵抗値が約10MΩ・cm以上の水を指す。
【0003】
例えば、純水は市水をフィルタ、活性炭フィルタ、イオン交換樹脂や逆浸透膜に通過させることで生成される(特許文献1参照)。一般に、半導体デバイス製造工場などでは、これらの純水精製装置を工場施設内に設けて、市水、工業用水、時には地下水等を引き入れて純水精製装置で生成することで、工場全体の純水・超純水をまかなっている。
【0004】
そのため、工場内に供給される市水、工業用水、地下水等は定期的にサンプリングを行い、その成分分析等を行い水質検査を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−189760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、供給される市水、工業用水、地下水は、その時々の気象状況やその他工場の外部環境の変化により不純物の含有状態も変化するものである。このために、従来のサンプリングによる水質検査において例えば半導体デバイスに悪影響を与える重金属などの成分が増大している結果が出たとしても、いつの時点で半導体デバイスに悪影響を与える重金属などの成分が増大したかを把握することは困難であった。即ち、従来のサンプリングによる水質検査では、市水、工業用水、地下水などの含有イオン濃度変化を直ちに把握することが困難であった。
【0007】
本発明は、上記問題にかんがみなされたもので、その目的は、自動で継続的に流水中の含有イオン濃度変化を検出することができる水質検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の水質検査装置は、水の水質を検査するための水質検査装置であって、水の主流から分岐した検査用分岐経路内に配設された逆浸透膜手段と、流水中の色検出の有無により流水中の含有イオンを検出するイオン検査手段と、から構成され、該イオン検査手段は、白色光を発光する発光部と、該発光部から発光され流水中を透過した光により含有イオンの色成分を検出する色センサ部と、該色センサ部で検出された色成分を表示する表示部と、から構成され、該逆浸透膜手段により濃縮された濃縮水の流水経路には、白色光を透過する第一の透過窓及び該第一の透過窓と流水経路の流水を挟んで対向して形成され白色光を透過する第二の透過窓が形成され、該発光部は該第一の透過窓を介して流水中に白色光を発光し、該色センサ部は、該第二の透過窓を介して該発光部から発光された光を受光することを特徴とする。
【0009】
また、上記水質検査装置は、該逆浸透膜手段を透過した透過水の流水経路には、白色光を透過する第三の透過窓及び該第三の透過窓と流水経路の流水を挟んで対向して形成され白色光を透過する第四の透過窓が形成され、該発光部は該第三の透過窓を介して透過水の流水経路中の流水中に白色光を発光し、該色センサ部は、該第四の透過窓を介して該発光部から発光された光を受光し、該イオン検査手段は、該発光部及び該色センサ部を、該濃縮水の流水経路内の該第一の透過窓及び該第二の透過窓と該透過水の流水経路内の第三の透過窓及び該第四の透過窓とに所定時間毎に選択的に位置付ける位置付け手段を備え、該所定時間毎に該透過水の流水経路の色成分を基準に該濃縮水の流水径路の色成分の検出を行うことが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水質検査装置は、逆浸透膜手段により水のイオンの濃度を数十倍に濃縮させ、その濃縮水の色成分を色センサ部で検出するので、試薬を使わずに簡易な構成で継続的に含有イオン濃度の変化の検出を直ちに行うことができる。
【0011】
また、透過水の色成分を基準として濃縮水の色成分の変化を同一の色センサ部で検査する構成としたので、色センサ部の校正を行う必要がなく継続的な検査が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る水質検査装置が用いられる工場設備の構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る水質検査装置の構成例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る水質検査装置の透過水流水経路内の透過水のイオンを検出する状態を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る水質検査装置の濃縮水流水経路内の濃縮水のイオンを検出する状態を示す図である。
図5図5(a)は、実施形態に係る水質検査装置の透過水流水経路内の透過水の検出結果の一例を示す図であり、図5(b)は、実施形態に係る水質検査装置の濃縮水流水経路内の濃縮水の検出結果の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る水質検査装置の制御手段のフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0014】
〔実施形態〕
実施形態に係る水質検査装置を、図1から図6に基づいて説明する。図1は、実施形態に係る水質検査装置が用いられる工場設備の構成の一例を示す図である。図2は、実施形態に係る水質検査装置の構成例を示す図である。図3は、実施形態に係る水質検査装置の透過水流水経路内の透過水のイオンを検出する状態を示す図である。図4は、実施形態に係る水質検査装置の濃縮水流水経路内の濃縮水のイオンを検出する状態を示す図である。図5(a)は、実施形態に係る水質検査装置の透過水流水経路内の透過水の検出結果の一例を示す図であり、図5(b)は、実施形態に係る水質検査装置の濃縮水流水経路内の濃縮水の検出結果の一例を示す図である。図6は、実施形態に係る水質検査装置の制御手段のフローチャートの一例である。
【0015】
実施形態に係る水質検査装置1は、不純物を除去された上水(特許請求の範囲の水に相当)内の銅イオンや銀イオンなどのイオンの濃度の変化を検出する装置である。水質検査装置1は、例えば、図1に示される工場設備100に設置される。工場設備100は、上水道などの市水供給源101から供給された上水を純水または超純水に精製した後、研削装置、切削装置や研磨装置などの各種の加工装置102に供給する設備である。なお、上水とは、水から異物を除去したものをいい、例えば、水道水、工業用水、地下水などをいう。
【0016】
工場設備100は、図1に示すように、市水供給源101から供給経路103(水の主流に相当)を通して上水が供給される純水精製装置104と、純水精製装置104からの純水または超純水を加工に用いる加工装置102と、水質検査装置1とを備えている。純水精製装置104は、上水を純水または超純水に精製するものであって、精製用のフィルタなどを備えている。フィルタは、純水または超純水の精製により上水の含有イオンなどからなる堆積物が堆積する。フィルタは、許容できる堆積物の量などに応じた寿命が予め設定されている。純水精製装置104は、精製した純水または超純水を加工装置102に供給する。加工装置102は、純水精製装置104からの純水または超純水を用いて、被加工物を研削加工などの加工するものである。なお、加工装置102の加工対象としての被加工物は、純水、超純水を用いて加工されることが要求される半導体デバイスなどである。加工装置102は、純水精製装置104からの純水または超純水を加工に用い、加工中に発生した研削屑などを含んだ加工水を再度、純水精製装置104に供給する。また、純水精製装置104は、加工装置102から供給された加工水を再度純水または超純水に精製して、加工装置102に供給する。
【0017】
水質検査装置1は、上水の水質を検査するためのものであって、図1に示すように、市水供給源101から純水精製装置104に上水を供給する供給経路103から分岐した検査用分岐経路2を通して上水が供給される。なお、検査用分岐経路2には、図示しない開閉バルブが設けられている。水質検査装置1は、図2に示すように、検査用分岐経路2内に配設された逆浸透膜手段3と、上水の流水中の色検出の有無により流水中の含有イオンを検出するイオン検査手段4とから構成されている。
【0018】
逆浸透膜手段3は、上水を透過させる逆浸透膜31(所謂RO膜)を備えている。逆浸透膜手段3は、逆浸透膜31を透過できなかった含有イオンの濃度が濃縮させた濃縮水と、逆浸透膜31を透過した上水からなる透過水と、に上水を分離する。このために、濃縮水は、上水のイオン濃度が濃縮されたものであり、透過水は、上水からイオンがほとんど除去されたものである。なお、逆浸透膜手段3は、上水の含有イオン濃度を数十倍に濃縮して、濃縮水を得るのが望ましい。
【0019】
イオン検査手段4は、図2に示すように、濃縮水を流す濃縮水の流水経路41と、透過水を流す透過水の流水経路42と、白色光を発光する発光部43と、色センサ部44と、位置付け手段45と、表示部46と、制御手段47などから構成されている。なお、本発明でいう白色光とは、波長が360nm〜830nmであり、かつ赤色光と緑色光と青色光を含んだ可視光線をいう。即ち、発光部43は、波長が360nm〜830nmまでの可視光線を発光する。
【0020】
濃縮水の流水経路41は、逆浸透膜手段3により濃縮された濃縮水が供給される。濃縮水の流水経路41には、図3及び図4に示すように、白色光を透過する第一の透過窓41a及び第一の透過窓41aと流水経路41内の流水としての濃縮水を挟んで対向して形成されかつ白色光を透過する第二の透過窓41bが形成されている。第一の透過窓41a及び第二の透過窓41bは、透光性を有する石英ガラスで構成されている。また、濃縮水の流水経路41を通された濃縮水は、外部に排水される。
【0021】
透過水の流水経路42は、逆浸透膜手段3を透過した透過水が供給される。透過水の流水経路42には、図3及び図4に示すように、白色光を透過する第三の透過窓42a及び第三の透過窓42aと流水経路42内の流水としての透過水を挟んで対向して形成されかつ白色光を透過する第四の透過窓42bが形成されている。第三の透過窓42a及び第四の透過窓42bは、透光性を有する石英ガラスで構成されている。また、透過水の流水経路42を通された透過水は、外部に排水される。
【0022】
発光部43は、位置付け手段45により、第一の透過窓41aに対向する位置に位置付けられると、第一の透過窓41aを介して濃縮水の流水経路41内の流水としての濃縮水中に白色光を発光する。また、発光部43は、位置付け手段45により、第三の透過窓42aに対向する位置に位置付けられると、第三の透過窓42aを介して透過水の流水経路42内の流水としての透過水中に白色光を発光する。
【0023】
色センサ部44は、発光部43から発光されかつ流水としての濃縮水、透過水中を透過した光により濃縮水、透過水の含有イオンのR(赤色光)とG(緑色光)とB(青色光)などの色成分を検出するものである。色センサ部44は、位置付け手段45により、第二の透過窓41bを透過した光を受光する位置に位置付けられると、第二の透過窓41bを介して発光部43から発光された光を受光する。また、色センサ部44は、位置付け手段45により、第四の透過窓42bを透過した光を受光する位置に位置付けられると、第四の透過窓42bを介して発光部43から発光された光を受光する。
【0024】
色センサ部44は、濃縮水、透過水中を透過した光のR(赤色光)とG(緑色光)とB(青色光)それぞれの強さを検出する。色センサ部44は、濃縮水、透過水中を透過した光のR(赤色光)とG(緑色光)とB(青色光)それぞれの強さを検出することで、R(赤色光)とG(緑色光)とB(青色光)それぞれを吸収する含有イオンの濃度に応じた色成分を検出する。色センサ部44は、濃縮水、透過水中を透過した光をR(赤色光)とG(緑色光)とB(青色光)に分光するフィルタやプリズムなどの分光手段と、分光手段により分光されたR(赤色光)とG(緑色光)とB(青色光)それぞれを受光して強さを検出する受光素子などで構成される。色センサ部44は、検出結果を表示部46及び制御手段47に出力する。
【0025】
位置付け手段45は、発光部43及び色センサ部44を、濃縮水の流水経路41内の第一の透過窓41a及び第二の透過窓41bと、透過水の流水経路42内の第三の透過窓42a及び第四の透過窓42bとに所定時間毎に選択的に位置付けるものである。位置付け手段45は、発光部43が第一の透過窓41aに対向しかつ色センサ部44が第二の透過窓41bに対向する位置と、発光部43が第三の透過窓42aに対向しかつ色センサ部44が第四の透過窓42bに対向する位置とに亘って、発光部43及び色センサ部44を移動させることができる。位置付け手段45は、発光部43が第一の透過窓41aに対向しかつ色センサ部44が第二の透過窓41bに対向する位置と、発光部43が第三の透過窓42aに対向しかつ色センサ部44が第四の透過窓42bに対向する位置とを所定時間毎に切り替える。
【0026】
表示部46は、図5(a)及び図5(b)に示すように、色センサ部44で検出されたR(赤色光)とG(緑色光)とB(青色光)それぞれの色成分を表示するものである。表示部46は、色センサ部44で検出されたR(赤色光)とG(緑色光)とB(青色光)それぞれの強さを表示する。本実施形態では、表示部46は、色センサ部44で検出されたR(赤色光)とG(緑色光)とB(青色光)それぞれの強さを0〜255の256段階で表示する。表示部46は、0から255に向かって数字が大きくなるのにしたがって強い光であることを示す。表示部46は、透過水を透過した光から色センサ部44で検出されたR(赤色光)とG(緑色光)とB(青色光)それぞれの強さを基準として、濃縮水を透過した光から色センサ部44で検出されたR(赤色光)とG(緑色光)とB(青色光)それぞれの強さを示す。具体的には、表示部46は、透過水を透過した光から色センサ部44で検出されたR(赤色光)とG(緑色光)とB(青色光)それぞれの強さを255とし、受光する光がまったくないときを0として、濃縮水を透過した光から色センサ部44で検出されたR(赤色光)とG(緑色光)とB(青色光)それぞれの強さを0〜255の間の数字で表示する。なお、表示部46には、位置付け手段45、制御手段47などから発光部43及び色センサ部44の位置を示す情報が入力する。
【0027】
制御手段47は、水質検査装置1を構成する上述した構成要素をそれぞれ制御して、水質検査装置1に上水の含有イオンの濃度の変化を検査させるものである。なお、制御手段47は、例えばCPU等で構成された演算処理装置やROM、RAM等を備える図示しないマイクロプロセッサを主体として構成されており、オペレータが検査内容情報などを登録する際に用いる図示しない操作手段と接続されている。
【0028】
次に、実施形態に係る水質検査装置1の上水の水質を検査する方法を図6を参照して説明する。水質検査装置1は、オペレータが検査内容情報を制御手段47に登録し、オペレータから検査動作の開始指示があった場合に、水質検査装置1が検査動作を開始する。すると、検査用分岐経路2を通して上水が逆浸透膜手段3に供給され、逆浸透膜手段3が上水を透過水と濃縮水とに分離して、透過水を透過水の流水経路42に供給し、濃縮水を濃縮水の流水経路41に供給する。
【0029】
そして、制御手段47は、図3に示すように、位置付け手段45に発光部43及び色センサ部44を第三の透過窓42a及び第四の透過窓42bに対向させて、発光部43から白色光を発光させ、色センサ部44で発光部43から発光された光を受光する。制御手段47は、透過水を透過した光のR(赤色光)とG(緑色光)とB(青色光)それぞれの強さを検出する(ステップST1)。さらに、表示部46は、図5(a)に示すように、透過水を透過した光のR(赤色光)とG(緑色光)とB(青色光)それぞれの強さが255であると表示する。
【0030】
制御手段47は、所定時間経過すると、図4に示すように、位置付け手段45に発光部43及び色センサ部44を第一の透過窓41a及び第二の透過窓41bに対向させて、発光部43から白色光を発光させ、色センサ部44で発光部43から発光された光を受光する。制御手段47は、濃縮水を透過した光のR(赤色光)とG(緑色光)とB(青色光)それぞれの強さを検出する(ステップST2)。さらに、表示部46は、図5(b)に示すように、濃縮水を透過した光のR(赤色光)とG(緑色光)とB(青色光)それぞれの強さを、透過水を透過した光のR(赤色光)とG(緑色光)とB(青色光)それぞれの強さを基準にして表示する。
【0031】
制御手段47は、透過水を透過した光のR(赤色光)とG(緑色光)とB(青色光)それぞれの強さと濃縮水を透過した光のR(赤色光)とG(緑色光)とB(青色光)それぞれの強さとの差を求め、この差が所定値よりも大きいか否かを判定する(ステップST3)。制御手段47は、所定値よりも大きくないと判定する(ステップST3:No)と、ステップST1に戻る。なお、所定値は、フィルタの寿命に影響を与える値即ちフィルタに堆積する堆積物が存在する値であることが望ましい。また、前述した差が所定値よりも大きくない即ち上水に含有イオンが非常に少ないまたは全くないと、ステップST1からステップST3を繰りかえすこととなる。
【0032】
制御手段47は、所定値よりも大きいと判定する(ステップST3:Yes)と、前述した差の値及び時刻を記録して、ステップST1に戻る(ステップST4)。このように、制御手段47即ち水質検査装置1は、所定時間毎に透過水の流水経路42の色成分(R(赤色光)とG(緑色光)とB(青色光)それぞれの強さ)を基準に、濃縮水の流水経路41の色成分(R(赤色光)とG(緑色光)とB(青色光)それぞれの強さ)の検出を行う。
【0033】
また、制御手段47は、所定値よりも大きいと判定した(ステップST3:Yes)場合には、表示部46は、例えば、図5(b)に示すように、透過水を透過した光のR(赤色光)とG(緑色光)とB(青色光)それぞれの強さを255よりも小さな数字で表示する。なお、図5(b)に示された場合では、主にR(赤色光)が濃縮水に吸収されているために、濃縮水は、例えば銅イオンなどのR(赤色光)を吸収するイオンを含有していることを示している。そして、制御手段47が所定値よりも大きいと判定した(ステップST3:Yes)場合には、前述した差が所定値を超えた時点の上水を別途サンプリングして、上水内の含有イオンの濃度及び物質名の特定を行う。また、本発明では、制御手段47は、記録した差の値及び時刻の情報に基づいて、純水精製装置104のフィルタの寿命のデフォルト値の補正、フィルタの寿命のデフォルト値の推定、上水内の含有イオンの濃度などを推定してもよい。
【0034】
以上のように、実施形態に係る水質検査装置1によれば、逆浸透膜手段3により上水の含有イオン濃度を数十倍に濃縮した濃縮水を濃縮水の流水経路41に流しながら色センサ部44で発光部43からの光を受光する。このように、水質検査装置1は、逆浸透膜手段3により上水の含有イオン濃度を数十倍に濃縮した濃縮水を透過した光を受光するので、上水の含有イオンの濃度の変化を直ちに検出することができる。
【0035】
また、水質検査装置1は、濃縮水を濃縮水の流水経路41に流しながら透過した光を受光することができるので、濃縮水即ち上水を流しながらの含有イオンの濃度が変化したことを検出でき、自動で継続的に流水としての上水中の含有イオン濃度変化を検出することができる。
【0036】
さらに、水質検査装置1は、逆浸透膜手段3により上水の含有イオン濃度を数十倍に濃縮した濃縮水を透過した光を受光するので、上水の含有イオンの濃度の変化を検出するために、試薬を用いる必要がない。したがって、水質検査装置1は、簡易な構成で継続的に含有イオン濃度の変化の検出を直ちに行うことができる。
【0037】
また、水質検査装置1は、色センサ部44が透過水を透過した光と濃縮水を透過した光とを交互に所定時間毎に受光して、透過水の色成分を基準として濃縮水の色成分を検出する。このために、水質検査装置1は、色センサ部44の受光する光の強さに対する色センサ部44から出力する信号の調整、即ち、色センサ部44の校正を行う必要がなく継続的な検査が可能となる。また、水質検査装置1は、色センサ部44が透過水の色成分を基準として濃縮水の色成分を検出するために、色センサ部44に異物等が付着した際の誤検出を抑制できる。さらに、水質検査装置1は、色センサ部44が透過水の色成分を基準として濃縮水の色成分を検出するために、逆浸透膜31の破損を検出することもできる。
【0038】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 水質検査装置
2 検査用分岐経路
3 逆浸透膜手段
4 イオン検査手段
41 濃縮水の流水経路
41a 第一の透過窓
41b 第二の透過窓
42 透過水の流水経路
42a 第三の透過窓
42b 第四の透過窓
43 発光部
44 色センサ部
45 位置付け手段
46 表示部
103 供給経路(水の主流)
図1
図2
図3
図4
図5
図6