(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の部分及び前記第2の部分を互いに押し付けて、前記少なくとも1つのOリングが圧縮されていない厚さの約75%の厚さに圧縮されるようにするステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【発明の概要】
【0004】
本発明の1つ又はそれ以上の実施形態は、真空プロセス・チャンバ内で用いるための構成部品に向けられる。この構成部品は、第1の部分(first piece)と、第2の部分(second piece)と、第1の部分と第2の部分の間で圧縮される少なくとも1つのOリングとを含む。この少なくとも1つのOリングは、構成部品の外側半径方向部分及び内側半径方向部分を定める。はんだ接合部が第1の部分を第2の部分に接合して第1の部分と第2の部分との間に気密シールをもたらし、その結果、外側部分及び内側部分のうちの一方が真空下にあり、外側部分及び内側部分のうちの他方が大気圧下にあるとき、気密シールが外側部分と内側部分との間の漏れを防ぐ。詳細な実施形態において、はんだ接合部は、電気的に点火される箔材料を用いて形成される。
【0005】
付加的な実施形態が、第1の部分と第2の部分との間に少なくとも1つのOリングを含む構成部品に向けられる。この構成部品は、圧入されて少なくとも1つのOリングを圧縮し、はんだ接合部により相互接合されて、それらの間に気密シールをもたらす。詳細な実施形態において、少なくとも1つのOリングは、構成部品の外側部分及び内側部分を定め、はんだ接合部は第1の部分と第2の部分との間に気密シールをもたらし、その結果、外側部分及び内側部分のうちの一方が真空下にあり、外側部分及び内側部分のうちの他方が大気圧下にあるとき、気密シールが外側部分と内側部分との間の漏れを防止する。
【0006】
第1の部分及び第2の部分は種々の材料で作製することができる。詳細な実施形態において、第1の部分及び第2の部分の両方とも金属である。幾つかの実施形態において、第1の部分及び第2の部分のうちの一方は金属であり、第1の部分及び第2の部分のうちの他方はセラミックである。
【0007】
1つ又はそれ以上の実施形態において、少なくとも1つのOリングは、第1の部分及び第2の部分の1つ又はそれ以上の中の溝内に配置される。詳細な実施形態において、少なくとも1つのOリングは圧縮可能である。特定の実施形態において、少なくとも1つのOリングは、ペルフルオロポリマーで作製される。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのOリングは、軟質金属で作製される。幾つかの実施形態において、圧縮状態にある少なくとも1つのOリングは、圧縮されていない状態にあるときの厚さの約75%の厚さを有する。
【0008】
幾つかの実施形態において、第1の部分はセラミック・ボディを含む静電パックであり、第2の部分は金属ボディを含むベースプレートである。詳細な実施形態において、本装置は、ベースプレートを通って静電パック内に延びる少なくとも1つの電気的接続部をさらに含み、少なくとも1つの電気的接続部は、少なくとも1つのOリングで囲まれる。
【0009】
本発明の付加的な実施形態は、真空チャンバ構成部品を作製する方法に向けられる。第1の部分及び第2の部分を準備する。第1の部分と第2の部分との間に反応性箔及び少なくとも1つのOリングを配置する。少なくとも1つのOリングは、外側部分及び内側部分を定める。反応性箔を点火して箔を局所的に加熱し、それらの間にOリングを有する第1の部分と第2の部分との間に低温はんだ接合部を形成し、第1の部分と第2の部分との間に気密シールをもたらし、その結果、外側部分及び内側部分のうちの一方が真空下にあり、外側部分及び内側部分のうちの他方が大気圧下にあるとき、気密シールが外側部分と内側部分との間の漏れを防止する。
【0010】
詳細な実施形態において、反応性箔を点火する前に、第1の部分及び第2の部分のうちの一方又は両方の上にはんだ濡れ薄層を提供する。はんだ濡れ薄層は、反応性箔及び少なくとも1つのOリングに隣接する。
【0011】
幾つかの実施形態において、第1の部分及び第2の部分を互いに押し付けて、それにより、少なくとも1つのOリングが圧縮されていない厚さの約75%の厚さに圧縮されるようになる。
【0012】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第1の部分と第2の部分との間のはんだ接合部は、第1の部分又は第2の部分の温度を上げずに形成される。詳細な実施形態において、反応性箔の点火は約50℃未満の温度で行われる。特定の実施形態において、はんだ接合部は、約2秒より短い時間で形成される。詳細な実施形態において、ある電位により反応性箔が点火される。特定の実施形態において、その電位は、約9V DCである。
【0013】
本発明のこれらの特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び、本発明の例を示す添付図面からより良く理解されるであろう。しかしながら、各々の特徴は、特定の図面との関連においてだけではなく、一般的に本発明において用いることができ、本発明は、これらの特徴のいずれかの組み合わせを含むことを理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態は、真空チャンバ内で用いるための構成部品に向けられる。
図1は、本発明の1つ又はそれ以上の実施形態による構成部品10の部分断面図を示す。構成部品10は、いずれかの適切な形状にすることができる。構成部品10は、第1の部分11と、第2の部分12と、第1の部分11と第2の部分12との間で圧縮される少なくとも1つのOリング13とを含む。少なくとも1つのOリング13は、構成部品10の外側半径方向部分14及び内側半径方向部分15を定める。はんだ接合部16が、第1の部分11を第2の部分12に接合して第1の部分11と第2の部分12との間に気密シールをもたらし、その結果、外側半径方向部分14及び内側半径方向部分15のうちの一方が真空下にあり、外側半径方向部分14及び内側半径方向部分15のうちの他方が大気圧下にあるとき、気密シールが外側半径方向部分14と内側半径方向部分15との間の漏れを防止する。説明に役立つ実例として、構成部品10は、プロセス・チャンバ内で用いられる静電チャックとすることができ、外側部分をプロセス・チャンバ内の真空に曝し、内側部分を大気圧下におくことができる。しかしながら、幾つかの実施形態においては、内側部分を真空下におき、外側部分を大気圧下におくことができる。
【0016】
図1に示されるように、はんだ接合部16の内側部分とOリング13とを分離する間隙19が存在する。以下により詳細に論じるように、第1の部分11と第2の部分12の組み立て中、反応性箔を用いてはんだ接合部を形成するとき、接合プロセス中のOリングの加熱を防止するために、この間隙は、例えば約2mm又は3mmなど、約1mmから5mmまでの範囲にあることが望ましい。
【0017】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられる場合、「はんだ接合部(solder bond)」とは、接合される2つの構成部品間の材料を溶融することによって生成される接合部を言う。はんだ接合部は、接合される材料間の原子レベルでの接合部の形成によって作製される「拡散接合部(diffusion bond」とは区別される。
【0018】
第1の部分11及び第2の部分12は、これらに限定されるものではないが、セラミック及び金属を含むいずれかの適切な材料とすることができる。詳細な実施形態において、第1の部分11及び第2の部分12の両方とも金属である。幾つかの実施形態においては、第1の部分11及び第2の部分12のうちの一方は金属であり、第1の部分11及び第2の部分12のうちの他方はセラミックである。
【0019】
少なくとも1つのOリング13は、いずれかの適切な材料で作製することができる。詳細な実施形態においては、少なくとも1つのOリング13は、圧縮可能な材料から作製することができる。構成部品10の組み立て中、第1の部分11及び第2の部分12が互い圧入され、又は互いに押し付けられ、Oリング13が圧縮されるようになる。特定の実施形態においては、少なくとも1つのOリング13は、ペルフルオロポリマー及び軟質金属のうちの少なくとも1つから選択される材料から作製される。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つのOリング13は、第1の部分11及び第2の部分12の1つ又はそれ以上の中の溝17内に配置される。
【0020】
Oリング13の所望の特性に基づいて、適切な材料の硬度を選択することができる。特定の実施形態において、硬度は、約70デュロ(duro)から約75デュロまでの範囲である。特定の実施形態において、Oリング13は、圧縮されていないときの厚さの約75%に圧縮される。幾つかの実施形態において、Oリング13は、圧縮されていない厚さの約50%から約75%までの範囲の厚さに圧縮される。
【0021】
幾つかの詳細な実施形態において、セラミック及び金属の表面は、約100ミクロンのはんだ18で前もって濡らされ(prewet)、熱源を与えるために、反応性箔73が用いられる。特定の実施形態において、約0.5ミクロン未満の厚さを有するチタン又はモリブデン含有合金を1つ又はそれ以上の表面に適用して、はんだの接着強度を向上させる。
【0022】
反応性箔73は、これらに限定されるものではないが、ニッケルとアルミニウムなどの交互する材料の多層を含むことができる。電気的手段又は熱的手段によってエネルギー付与すると、これらの交互層が発熱反応し、大きな自発的突発熱が生成される。反応は非常に速く、通常、約2秒で終了し、生成される熱は極めて局所的であり、反応性箔73の層を原子的に融合させる。はんだ18が反応性箔73に隣接して配置されている場合、反応による熱によってはんだ18が溶け、隣接する構成部品を接合する。特定の実施形態においては、数ミクロン程の薄さのスズとすることができるはんだ18の薄層を、反応性箔73の両側にもたらし、接合反応を向上させることができる。
図1に関して上述したように、接合部16の内側部分は、例えば約2mm又は約3mmなど約1mm乃至約5mmだけ、Oリングから離間配置されているので、接合中、接合プロセスからの熱がOリングに悪影響を与えることはない。
【0023】
はんだ接合部16は、低温で非常に迅速に形成される。特定の実施形態において、はんだ接合部16は、第1の部分11又は第2の部分12の温度を上げずに形成される。反応性箔73を形成する個々の層を調整することによって、反応性箔73の特性を制御することができる。従って、点火時に生じる熱の量を、接合されるバルク部品の温度に影響を与えずに、はんだ18が溶融するように制御することができる。
【0024】
詳細な実施形態において、静電パック27及び金属製ベースプレート42の温度を上げずに、静電パック27(
図2に示される)とベースプレート42との間にはんだ接合部16が形成される。このことは、バルク静電パック27及びバルク・ベースプレート42の温度が増大しないことを意味する。加熱される反応性箔73に隣接するこれらの材料の小領域がある。詳細な実施形態において、静電パック27と金属ベースプレート42との間に、反応性箔73及び少なくとも1つのはんだ18が配置される。特定の実施形態において、はんだ18の層が反応性箔73の両側に配置される。
【0025】
反応性箔73は、これらに限定されるものではないが、熱及び電気を含むいずれかの適切な方法によって点火される。電気又は電位を用いるとき、反応性箔73の点火は低温で行うことができる。低温とは、点火前の反応性箔73の周囲の環境が70℃未満であることを意味する。種々の実施形態において、反応性箔73の点火は、約60℃、50℃若しくは40℃未満の温度、又は室温で行われる。幾つかの実施形態において、電位を用いて反応性箔73を点火し、はんだ接合部を形成する。特定の実施形態の電位は、約9V DCである。
【0026】
この技術によって形成されるはんだ接合部は、多くの場合数秒未満の非常に短い時間枠で完了することができる。詳細な実施形態において、はんだ接合部は、約2秒未満で形成される。1つ又はそれ以上の実施形態において、はんだ接合部は、約5秒、4秒、3秒、若しくは1秒未満、約500ミリ秒未満、約250ミリ秒未満、約100ミリ秒未満、又は約50ミリ秒未満で形成される。
【0027】
本発明の付加的な実施形態は、構成部品10を作製する方法に向けられる。第1の部分11及び第2の部分12を準備する。第1の部分11と第2の部分12との間に、反応性箔及び少なくとも1つのOリング13を配置する。反応性箔に点火して箔を局所的に加熱し、第1の部分11と第2の部分12との間に低温はんだ接合部16、並びに、気密シールを形成し、その結果、外側部分14及び内側部分15のうちの一方が真空下にあり、外側部分14及び内側部分15のうちの他方が大気圧下にあるとき、気密シールが外側部分14と内側部分15との間の漏れを防止する。
【0028】
幾つかの実施形態において、反応性箔の点火前に、第1の部分11及び第2の部分12の一方又は両方をはんだ18の薄層で前もって濡らす。はんだ18の薄層は、反応性箔の点火前に付加され、反応性箔及び少なくとも1つのOリング13に隣接して配置される。反応性箔の点火によりはんだ18が溶融し、第1の部分11が第2の部分12に融合される。
図1に示されるように、反応性箔は、構成部品10の外側部分14内に配置され、その結果、点火時にはんだ接合部16が外側部分14内にのみ形成された。内側部分15内のはんだ18の量は、溶融せずに残った。
【0029】
本発明のさらに別の実施形態は、第1の部分11と第2の部分12との間に少なくともと1つのOリング13を含む構成部品10に向けられる。構成部品10の第1の部分11及び第2の部分12は、圧入されて少なくとも1つのOリング13を圧縮し、はんだ接合部16により相互接合されて、それらの間に気密シールをもたらす。
【0030】
図2乃至
図4に示されるように、本発明の詳細な実施形態は、基板22を保持することができ、かつ、静電チャック24及び台座26を含む基板支持部20に向けられる。静電チャック24は、チャック上に保持される基板22の形状及びサイズに合致する円盤形状を有し且つ外方に延びる環状フランジ29を有する静電パック27を含む。
図2に示すように、パック27は、誘電体30内に埋め込むことができる又はこれで覆うことができる充電可能な電極32を少なくとも部分的に覆う誘電体30を含む。誘電体30は、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、及び酸化チタンなどのうちの少なくとも1つといった、電磁エネルギーに透過性のある材料を含むことが望ましく、窒化アルミニウムを含むことが好ましい。しかしながら、誘電体30はまた、例えばポリイミドなどの、ポリマー層のような他の層を含むこともできる。
【0031】
典型的には、パック27の誘電体30内に埋め込まれる電極32は、金属層を含む。電極金属は、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、又はさらにモリブデン若しくはタングステンなどの高温金属とすることができる。
図2に示されるバージョンにおいて、静電パック27のセラミック・ボディは、モリブデンのワイヤグリッド又はプレートを含む埋め込み電極32を伴う窒化アルミニウムを含む。電極32には、チャックの受け面34上に基板22を静電的に保持するように電気的にバイアスをかけることができる。例えば、電極32は、
図5に示すように、1つ又はそれ以上の電気コネクタ76を介して、双極DC電圧を出力する電極電源160に接続することができる。双極電極32は、各々が異なる電圧に維持される2つの側を有し、基板22内に静電荷を生成し、これにより基板がチャックに固定される。
【0032】
静電パック27は、静電チャック24上に基板22を受ける働きをする基板受け面34をさらに含む。
図4にされるバージョンにおいて、受け面34は、交差するガス溝37によって形成される複数の隆起したくさび形メサ36を含む。ガス溝37は、ガス・ポート38を通して受け面34上に供給される、ヘリウム又はアルゴンなどの熱伝導ガスを保持するように設けられる。図示したバージョンにおいて、ガス溝37は、約5°から約10°だけ互いから離れて広がり、内側円形溝39a及び外側円形溝39bにおいて終端する放射状ラインである。本明細書では、静電パック27の基板受け面34の例示的な実施形態が示されるが、他のバージョンを用いることもできること、及び、本明細書で示される例示的なバージョンに本発明を限定すべきではないことを理解すべきである。
【0033】
静電チャック24は、静電パック27に接合され、静電パック27をチャンバ内の台座26に取り付けるために使用されるベースプレート42をさらに含む。ベースプレート42は、パック27の直下の上面43と、上面43を超えて外方に延びる周辺レッジ46とを含む。周辺レッジ46は、パック27の環状フランジ29を超えて延び、誘電体30で覆われていない露出されたベースプレート部分をもたらし、この部分をチャンバ内の下にある台座26に取り付けることができる。
【0034】
1つのバージョンにおいて、ベースプレート42は、静電パック27の上にある誘電体30に適切に適合される熱特性を有する材料を含む。特定の実施形態において、ベースプレート42は、セラミックと金属の複合ベースを含み、これがセラミック単独よりも優れた強度及び耐久性をもたらし、良好な熱伝導特性も有する。複合ベースは、誘電体30に適合する熱膨張係数を有し、熱膨張の不一致を減らすことができる。しかしながら、はんだ接合部は非常に異なる熱膨張係数を有する2つの材料を接合することが可能なように迅速に発生するので、必ずしも適合した材料を使用する必要はない。例えば、はんだ接合部は、室温において約1秒未満で形成されるので、セラミック(CTEが約5ppm/℃)をアルミニウム(CTEが約23ppm/℃)と接合することが可能である。
【0035】
幾つかの実施形態において、複合ベースは、金属が浸潤した孔を有するセラミックを含み、ここで金属は孔を少なくとも部分的に充填し、複合材料を形成する。セラミックは、例えば、炭化シリコン、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム又はコーディエライトのうちの少なくとも1つを含むことができ、かつ、炭化シリコンであることが好ましい。セラミックは、総容積の約20容積%から約80容積%までの細孔容積を含むことができ、残りの容積は浸潤した金属の容積である。別のバージョンにおいて、複合ベースプレート42は、分散したセラミック粒子を有する金属などの、セラミックと金属との異なる組成物を含むことができ、又は、ベースプレート42は、ステンレス鋼若しくはアルミニウムなどの金属のみから作製することができる。浸潤される金属は、シリコン及び銅が加えられたアルミニウムを含むことができる。1つのバージョンにおいて、ベースプレート42は、アルミニウム、シリコン及び微量の銅を含む金属合金が浸潤された炭化シリコンなどの、セラミックと金属とから成る複合ベースを含む。特定の実施形態において、ベースプレート42はアルミニウム製である。
【0036】
幾つかの実施形態は、ベースプレート42を通って静電パック27内に延びる少なくとも1つの電気接続部76をさらに含み、この少なくとも1つの電気接続部76は、少なくとも1つのOリング13で囲まれる。
【0037】
静電チャック24は、静電パック27をベースプレート42の表面43に接合することによって形成される。幾つかの実施形態においては、
図4に示すように、ベースプレート42は、静電パック27とベースプレート42との間に少なくとも1つのOリング75が配置される溝78を有する。はんだ接合部を用いて、静電パック27をベースプレート42に接合することができる。このはんだ接合部は、構成部品間の気密シールを形成するのに役立つ。特定の実施形態において、はんだ接合部は、静電パック27とベースプレート42との間に反応性箔73を挿入することによって形成される。反応性箔73は、少なくとも1つのOリング75のための間隙をもたらす1つ又はそれ以上の切り欠き部を有することができるので、構成部品間を互いにシールする際、はんだ接合されない、Oリング75の周囲及び内部の領域が存在する。
【0038】
特定の実施形態の静電チャック24は取り外し可能であり、静電パック27又はその下のベースプレート42の1つ又はそれ以上の置換又は改修が必要とされる際、台座26から容易に取り外すことができる。
【0039】
幾つかの実施形態において、静電チャック24のベースプレート42の裏面47は、例えば
図3に示されるように、環状トラフ53で囲まれた隆起した中央突起部52を含む。示される隆起した中央突起部52はD形状であるが、他の形状も禁止されていない。隆起した中央突起部52は、平坦な縁部で接合された端部を有する半円周により形成された輪郭を有する。図示したバージョンにおいて、半円の輪郭は4分の3円を含むが、半円又は他の非対称形状にすることもできる。
図4に示すように、突起部52は、台座26内の対応するキャビティ55に適合するような形状及びサイズを有する。このバージョンにおいて、キャビティ55もまた、D形状の突起部52と嵌合するようにD形状にされ、位置合せキーを形成する。このことにより、チャック24がチャンバ内の台座26上に配置されたときに、突起部52とキャビティ55が位置合せキーとして働くことが可能になる。位置合せキーは、製造施設においてチャック24をチャンバから取り外す又は置換するとき、チャック24を下にある台座26の上に不適切に位置決め又は配置することによりチャック24を損傷する可能性を減らす。
【0040】
さらに、隆起した中央突起部はまた、互いから離間配置された3つの開口部54a−cも有する。この開口部54は、台座26のキャビティ55内に取り付けられた電極端子柱49を受ける。開口部54a−cはまた、台座26の上へのチャック24の位置決めの位置決め精度をさらに保証する二次位置合わせガイドとしても働く。非対称的にオフセットされた開口部54a−cは、チャック24が台座26の上で1つの配向にのみ位置決めできることを保証する。1つのバージョンにおいて、オフセット角は、例えば125°など、約115°から約135°までである。2つの開口部54a、bは、電圧バイアスを供給給する電極柱49を双極電極32に接続して電極内に静電荷を維持するために用いられる。第3の開口部54cは、別の端子(図示せず)に接続され、これが、チャック24を、柱49を通して印加される電圧を調整するために用いられる浮遊電位に接触させる。
【0041】
さらに、突起部52は、キャビティ55から外に延びるガス管を受けるための、中央に配置されたガス・カプラー74を有する。ガス管は、アルゴン又はヘリウムなどの熱伝導がスをガス・ポート38に供給し、このガス・ポートが、ガスを溝37、39a、39bを供給して、処理中に基板22の下への熱伝導ガスの供給を維持する。
図5に示すように、熱伝導ガスは、上にある基板22とチャック24との間の熱交換を助ける。さらに、熱電対33、典型的にはk型の熱電対33を挿入し、パック27に接触させるのを可能にするために、別の孔92が設けられる。
【0042】
チャック24は支持台座26のレッジ46に固定され、ベースプレートの周辺レッジ46の縁部に沿った孔50内に挿入されるコネクタ44a、44bを締め付けることによって、静電チャック24と台座26の間に気密シールが形成される。
【0043】
ベースプレート42の露出した周辺レッジ46は誘電体30で覆われていないので、比較的丈夫なレッジを台座フランジ40に取り外し可能に接続し、チャンバ内の台座26からパック27及びベースプレート42を含む静電チャック24を容易に取り外すのを可能にすることができる。この接続は、コネクタ44を、レッジ46の複合材料を通して台座26のフランジ40内に挿入することによって達成することができる。取り外し可能な静電チャック24は、パック27又はベースプレート42がプロセス残留物で過度に腐食した又は汚れたとき、コネクタ44を取り外すことによって台座26から取り外すことができる。「取り外し可能な」静電チャック24は、静電チャック24全体の置換を必要とすることなく、必要に応じて、静電パック27及び/又はベースプレート42を置換又は改修することを可能にすることにより、静電チャック24を有する基板の処理と関連したコストを削減する。
【0044】
ベースプレート42を台座26に接続するために、周辺レッジ46は、コネクタ44がそこを通って通過し、台座フランジ40(
図4)に接続するのを可能にするようなサイズ及び形状にされた複数の孔50を含む。例えば、孔50は、周辺レッジ46の厚さを垂直方向に貫通して上面59から下面60まで延びることができる。孔50はまた、台座フランジ40の少なくとも一部分を通って延び、レッジ46をフランジ40に固定することができる。孔50を介してベースプレートレッジ46を台座フランジ40に接続するのに適したコネクタ44は、例えば、ピン、ブラケット、ボルト又はネジのうちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、コネクタ44は、周辺レッジ46の上面59上に保持されたヘッド62と、ねじ孔50内に嵌り、ベースプレート42を台座26に固定するためのねじ切られた下端部63とを有するねじ付きピンを含むことができる。ベースプレート42は、これを容易に機械加工して成形することを可能にするのに十分に強く、実質的に亀裂又は破損なしに孔50を介して台座26に固定することができる材料を含むことが望ましい。
【0045】
図5に示すように、基板処理装置100は、台座26上に取り外し可能に取付けられた静電チャック24を含む基板支持部20を備えたチャンバ102を含む。台座26は、プロセス環境から静電チャック24の部分を保護するように適合されたハウジング80を含む。ハウジング80は、例えば電気コネクタ、ガス管及び流体管などの、エンクロージャ内の構成部品を保護する。台座26は、ハウジング80の上部から外方に延びて静電チャック24に対する突出支持部をもたらす台座フランジ40をさらに含む。台座ハウジング80は、例えば、ステンレス鋼又はチタンのような、基板処理環境における耐腐食性の金属を含むことができる。台座26はまた、ハウジング80とチャンバ102との間を延びる台座支柱を含むこともできる。図示したバージョンにおいて、台座支柱は、ベローズ84と、モータ付き可動柱82とを含む。台座ハウジング80は、可動柱82に取り付けられ、モータ(図示せず)は、プロセス・チャンバ102内で、可動柱82を上げ下げし、それにより基板支持部20を上げ下げするために使用される。1つのバージョンにおいて、ベローズ84は、縁溶接されたステンレス鋼のベローズを含む。ベローズ84の上縁部は台座ハウジング80に溶接され、ベローズ84の下縁部はチャンバの底壁部110に固定される。Oリングが、底壁部110とベローズ84との間の界面に取り付けられる。電気コネクタ、ガス導管、及び流体管を、ベローズ84を通し、これらを処理環境から保護することができる。
【0046】
図2に示すように、静電チャック24は、例えば静電パック27内に埋め込まれた温度検知端を有する熱電対33などの、基板処理を改善する他の要素をさらに含むことができる。熱電対33は、チャンバ・コントローラ200などの温度モニタに接続して、処理中に静電チャック24及び基板22の温度を監視することができる。静電チャック24はまた、アルゴンなどの熱伝導ガスを基板22の裏面に送出するための、静電パック27の受け面34上の熱伝導ガス・ポート38を含むこともできる。熱伝導ガス・ポート38は、支持受け面34上に形成されたチャネルに供給することができ、ガス管72を介して熱伝導ガス源(図示せず)に接続することができる。ガス・カプラー74を静電パック27内に挿入して、パック27を通る熱伝導ガスについての経路を定め、熱伝導ガスの所望の流れを支持受け面34に与えることができる。
【0047】
1つのバージョンにおいて、台座26は、チャック24の裏面47に接触し、チャック24と上にある基板22との間で熱を伝え、所望の基板温度を維持する熱伝導板56をさらに含む。例えば、熱伝導板56は、加熱板又は冷却板を含むことができる。1つのバージョンにおいて、熱伝導板56は、熱伝導板56の温度を制御するために熱伝導流体を流すことができる少なくとも1つの流体チャネル58を含むことができる。熱伝導流体は、台座26の支柱51を通る1つ又はそれ以上の導管61を介して流体チャネル58に接続された流体供給部57によって供給される。熱伝導板56は、例えば、基板受け面34の少なくとも約25%から約85%までといった、基板受け面34の相当な部分の下に延びて、基板22との良好な熱交換をもたらすことが望ましい。熱伝導板56は、例えば、銅、ステンレス鋼又はアルミニウムのうちの少なくとも1つなどの金属のような熱伝導性材料で作製される。熱導体86をベースプレート42と熱伝導板56の間に設けて、それらの間の熱交換を強化することができる。熱導体86は、熱伝導板56の上面65及びベースプレート42の底面47に従う。1つのバージョンにおいて熱導体86は、グラファイトなどの間隙物質層を含む。1つのバージョンにおいて、熱伝導板56は、ばね83を介して台座26に取り付けられ、このばねが、熱伝導板56をベースプレート42の底面47に押し付け、これにより熱接触が確実になる。
【0048】
基板22を処理するのに適した基板処理チャンバ102を含む装置100の実施形態を
図5に示す。本明細書で示される装置100の特定の実施形態は、半導体ウェハのような基板22を処理するのに適しており、当業者により、フラット・パネル・ディスプレイ、ポリマー・パネル、又は他の電気回路収容構造体のような他の基板22の処理のために適合させることができる。装置100は、基板22上の、エッチ耐性層、シリコン含有層、金属含有層、誘電体層、及び/又は導体層のような層を処理するのに特に適している。装置100はまた、装置100に対して電気的機能、配管(plumbling)機能、及び他の支持機能を含み且つ提供するプラットホーム(図示せず)に取り付けることもでき、またマルチチャンバ・システム(同じく図示せず)の一部とすることができる。
【0049】
一般に、プロセス・チャンバ102は、プロセス区域112を囲む天井106、側壁108、及び底壁110を含むエンクロージャ壁104を含む。動作において、プロセス・ガスは、プロセス・ガス源122及びガス分配器124を含むガス供給部120を通してチャンバ102内に導入される。ガス分配器124は、1つ又はそれ以上のガス流量弁128を有する1つ又はそれ以上の導管126と、静電チャック24のプロセス区域112内に保持される基板22の周辺部の周りの1つ又はそれ以上のガス出口とを含むことができる。代替的に、ガス分配器124は、シャワーヘッド・ガス分配器(図示せず)を含むことができる。使用済みプロセス・ガス及びプロセス副生成物は、プロセス区域112から使用済みプロセス・ガスを受け取り、ガスを排気導管に運ぶ排気ポート144と、チャンバ102内のプロセス・ガスの圧力を制御するための絞り弁148と、1つ又はそれ以上の排気ポンプ150とを含むことができる排気部140を通して、チャンバ140から排出される。
【0050】
プロセス・ガスは、基板22を処理するために、チャンバ102のプロセス区域112内のプロセス・ガスにエネルギーを結合させるガス・エナジャイザ154によってエネルギー付与することができる。例えば、ガス・エナジャイザ154は、プロセス・ガスにエネルギー付与するように電気的にバイアスをかけることができるプロセス電極を含むことができる。プロセス電極は、チャンバ102の側壁108などの壁104である電極を含むことができ、この電極は、チャンバ102内の天井106又はターゲット170などの他の電極に容量結合することができる。ターゲット170は、壁104に対して電気的にバイアスをかけられてチャンバ102内のプロセス・ガスにエネルギーを付与し、ターゲット170から基板22の上に材料をスパッタする。電極は、DC電圧、無線周波(RF)電圧などの高周波電圧、又は両方の組み合わせによってバイアスをかけられる。
【0051】
代替的に又は付加的に、ガス・エナジャイザ154はまた、チャンバ102の中心の周りに円対称性を有するインダクタ・コイル164を含むアンテナを含むこともできる。インダクタ・コイル164は、コイルをチャンバ側壁108から分離するスタンドオフ166によって支持される。さらに別のバージョンにおいて、ガス・エナジャイザ154は、チャンバ102から上流の遠隔区域(図示せず)におけるマイクロ波エネルギーによりプロセス・ガスを活性化するための、マイクロ波源及び導波管を含むことができる。付加的なインダクタ・コイル又は電磁コイル(図示せず)を、例えば、チャンバの天井の上又は側壁108の周りなど、チャンバ102の周りに配置することもできる。
【0052】
1つのバージョンにおいて、チャンバ102は、基板22上に材料をスパッタ堆積させることができる物理気相堆積チャンバを含む。このバージョンにおいて、チャンバは、基板上に堆積される材料を有するスパッタリング・ターゲット170を有する天井106を含む。ターゲット170には、プロセス・ガスにエネルギー付与してターゲット170から基板22の上に材料をスパッタするガス・エナジャイザ154によって、プロセス・シールドのような、チャンバ内の別の構成部品に対して電気的にバイアスをかけることができる。ターゲット170が用いられる場合、チャンバはまた、プロセス堆積物を捕獲するために基板22の周囲を囲むL形状シールド174を含む。さらに、堆積リング176及びカバー・リング178を用いて、チャック24の縁部及び台座フランジ40を保護することもできる。
【0053】
基板22を処理するために、プロセス・チャンバ102を排気し、所定の大気圧より低い圧力に維持する。次に、基板22を支持する、チャンバ側壁108内のスリット186を通過するロボットアーム184を操作する基板搬送部180によって、基板支持部20の静電チャック24上に基板22を準備する。リフトピン45を含むリフトピン・システム190が、基板22を受けるために、基板支持部20内の孔41を通って上昇される。リフトピンは同じ孔41を通って下降し、基板22を基板支持受け面34上に置く。ガス分配器124は、プロセス・ガスをチャンバ102に供給し、ガス・エナジャイザ154は、エネルギーをプロセス・ガスに結合してガスにエネルギー付与し、例えば、基板上の材料をエッチングすること、又はPVD若しくはCVDにより基板22上に材料を堆積させることによって、基板22を処理する。必要に応じて、基板22の処理後にチャンバを洗浄するために、ガス分配器124が、洗浄用ガスを含むプロセス・ガスをチャンバに供給し、ガス・エナジャイザ154が洗浄用ガスにエネルギー付与する。
【0054】
チャンバ102は、チャンバ102内で基板22を処理するために、チャンバ102の構成部品を動作させるための命令セットを有するプログラム・コードを含むコントローラ200によって制御される。例えば、コントローラ200は、静電チャック24、リフトピン45、及び基板搬送部180のうちの1つ又はそれ以上を動作させてチャンバ102内で基板22を配置し、かつ、基板22を静電チャック24上に保持するように電極電源160によって印加されるチャック電圧を設定するための基板位置決め命令セットと;流量制御弁134を動作させてチャンバ102へのガス流を設定するためのガス流量制御命令セットと;排気絞り弁148を動作させてチャンバ102内の圧力を維持するためのガス圧制御命令セットと;ガス・エナジャイザ154を動作させてガス・エネルギー付与の電力レベルを設定するためのガス・エナジャイザ制御命令セットと;例えば熱伝導板56に供給される熱伝導流体の供給、及び、支持受け面34への熱伝導ガスの供給を制御することによって、チャンバ102内の温度を制御するための温度制御命令セットと;例えば熱電対33を介して温度を監視することにより、チャンバ102内のプロセスを監視するためのプロセス監視命令セットと、を含む。
【0055】
本発明の例示的な実施形態を示し説明したが、当業者であれば、本発明を組み込んだ他の実施形態を考案することができ、それらもまた本発明の範囲に入る。例えば、静電チャック24は、例えば、電極として機能する金属板を覆うポリマー誘電体層など、他のタイプのものとすることができる。さらに、チャック24は、例えばチャックの裏面上のねじ切り部などの、周辺レッジ46及び台座フランジ40以外の手段によって台座に取り付けることができる。さらに、例示的な実施形態に関連して示される相対的な用語又は位置の用語は交換可能である。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明を説明するために本明細書で説明される好ましいバージョン、材料、又は空間的配置の説明に限定されるべきではない。