特許第6181154号(P6181154)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6181154極端紫外光又は深紫外光の被曝により劣化した撮像センサを修復するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181154
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】極端紫外光又は深紫外光の被曝により劣化した撮像センサを修復するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/144 20060101AFI20170807BHJP
   H01L 27/148 20060101ALI20170807BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20170807BHJP
   H04N 5/367 20110101ALI20170807BHJP
【FI】
   H01L27/144 Z
   H01L27/148 B
   H01L27/148 H
   H01L21/30 502V
   H04N5/367
【請求項の数】24
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-505936(P2015-505936)
(86)(22)【出願日】2013年4月12日
(65)【公表番号】特表2015-521367(P2015-521367A)
(43)【公表日】2015年7月27日
(86)【国際出願番号】US2013036335
(87)【国際公開番号】WO2013155391
(87)【国際公開日】20131017
【審査請求日】2016年4月8日
(31)【優先権主張番号】61/623,557
(32)【優先日】2012年4月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/860,230
(32)【優先日】2013年4月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー−テンカー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デルガド ギルダルド
(72)【発明者】
【氏名】ジャニク ギャリー
【審査官】 鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−014710(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0203326(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
H01L 21/30
H01L 21/339
H01L 21/46
H01L 27/14 −27/148
H01L 29/762
H04N 5/30 −5/378
G03F 1/00 −1/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
極端紫外光又は深紫外光により劣化した撮像センサを修復する装置であって、
極端紫外光又は深紫外光の少なくとも一方の被曝により劣化した撮像センサを、少なくとも部分的に修復するのに適した照射で撮像システムの撮像センサの一部を選択的に照射できる修復照射システムと、
前記修復照射システムに通信可能状態で接続し、一周期以上の照射サイクルで前記撮像センサを照射するように前記修復照射システムを管理する制御装置と、
を備えた装置。
【請求項2】
前記撮像センサは、半導体撮像センサを備えた請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記撮像センサは、電荷結合素子(CCD)センサ又は時間遅延積分(TDI)センサの少なくとも一つを備えた請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記修復照射システムは、極端紫外光及び深紫外光の少なくとも一方の被曝により劣化した撮像センサを、少なくとも部分的に修復するのに適した光を発生可能な一つ以上の照射光源を含む請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記修復照射システムは、前記撮像センサの基板による吸収に適した波長の光を発生可能な一つ以上の照射光源を含む請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記修復照射システムは、前記撮像センサの劣化を大幅に避けるのに十分に大きい波長の光を発生可能な一つ以上の照射光源を含む請求項4記載の装置。
【請求項7】
前記修復照射システムは、近赤外領域内、可視領域内、及び近紫外領域内の少なくとも一つの領域内の波長の光を発生可能な一つ以上の照射光源を含む請求項4記載の装置。
【請求項8】
前記修復照射システムは、350nmと900nmとの間の波長の光を発生可能な一つ以上の照射光源を含む請求項4記載の装置。
【請求項9】
前記修復照射システムは、修復温度の閾値を超えて基板を加熱できる光を照射可能な一つ以上の照射光源を含む請求項4記載の装置。
【請求項10】
前記修復温度の閾値は、60℃である請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記修復照射システムは、修復温度の閾値より高く、及び劣化閾値より低く基板を加熱できる光を照射する一つ以上の照射光源を含む請求項9記載の装置。
【請求項12】
前記修復照射システムは、基板を60℃と80℃との間で加熱できる光を照射する一つ以上の照射光源を含む請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記修復照射システムは、前記撮像センサを選定された時間間隔で連続的に照射する一つ以上の照射光源を含む請求項4記載の装置。
【請求項14】
前記修復照射システムは、前記撮像センサを選定された時間間隔で照射する一つ以上の照射光源を含み、
前記照射光源は、露光時間が選定されている二つ以上の露光間隔で前記撮像センサを照射する請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記修復照射システムは、選定されたパルス持続時間及び周波数とを有する周期的な波形で前記撮像センサを照射する一つ以上のパルス照射光源を含む請求項4記載の装置。
【請求項16】
前記修復照射システムは、一つ以上の照射光源を含み、前記一つ以上の照射光源は、発光ダイオード、広帯域ランプ及びレーザの少なくとも一つを含む請求項4記載の装置。
【請求項17】
前記修復照射システムは、
一つ以上の照射光源と、
一つ以上の照射光源の出力と一つ以上の撮像センサとの間に一時的な照射光路を選択して設けることができる作動可能ミラーと、
を備えた請求項1記載の装置。
【請求項18】
前記修復照射システムの一つ以上の照射光源は、前記撮像システムの照射光路から外れた軸に沿って、一つ以上の前記撮像センサを照射する請求項1記載の装置。
【請求項19】
前記撮像センサの一部に設けた熱監視装置をさらに備え、前記熱監視装置は前記制御装置に通信可能状態で接続している請求項1記載の装置。
【請求項20】
前記制御装置は、前記熱監視装置に応答して一つ以上の照射光源によって前記撮像センサの選定された温度を設定する請求項19記載の装置。
【請求項21】
前記制御装置は、前記熱監視装置に応答して一つ以上の照射光源によって前記撮像センサの選定された温度を保持する請求項19記載の装置。
【請求項22】
極端紫外光又は深紫外光により劣化した撮像センサを修復する方法であって、
極端紫外光又は深紫外光の少なくとも一方の被曝により劣化した撮像センサを少なくとも部分的に修復するのに適した照射で撮像システムの前記撮像センサの一部を照射する工程と、
前記撮像センサの温度を監視する工程と、
前記撮像センサの監視温度に応答して、前記撮像センサに照射する光の出力レベルを調整することにより前記撮像センサの前記温度を設定する工程又は保持する工程と、
を備えた方法。
【請求項23】
前記制御装置は、前記撮像センサが非撮影状態の間に一周期以上の照射サイクルで前記撮像センサを照射するように前記修復照射システムを管理する
請求項1記載の装置。
【請求項24】
前記極端紫外光又は深紫外光の少なくとも一方の被曝により劣化した撮像センサを少なくとも部分的に修復するのに適した照射で撮像システムの前記撮像センサの一部を照射する工程は、極端紫外光又は深紫外光の少なくとも一方の被曝により劣化した撮像センサを少なくとも部分的に修復するのに適した照射で前記撮像センサが非撮影状態の間に撮像システムの前記撮像センサの一部を照射する工程を含む
請求項22記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、以下のリストの出願(“関連出願”)に関連し、その中の最も早く入手できる有効な出願日の利益を主張する(例えば、米国特許法第119条(e)に基づき、仮出願以外の最も早く入手できる優先日を主張し又は、関連出願の仮特許出願、任意の及び全ての親出願、原出願、原原出願などの出願ために利益を主張する。
関連出願:
米国特許商標庁の非法的要件の目的で、Gary Janik及びGildardo Delgadoを発明者として命名し、2012年4月12日に出願された出願番号61/623,557の“劣化したCCDセンサの修復方法”と題する米国仮特許出願の通常の(非仮)出願を構成している。
【0002】
本発明は、一般に、高エネルギー光の被曝により劣化した撮像センサを修復又は回復する方法及びシステムに関し、特に、極端紫外光又は深紫外光の被曝により劣化したマスク又はウェーハ検査ツールの撮像センサを修復又は回復する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
検査ツール及び手順は、一般に半導体デバイスの製造中に通常実施されている。検査ツールは、半導体ウェーハ上にパターンを形成するため使われる半導体ウェーハ及びリソグラフィ・マスクを撮像するために、半導体デバイス製造プロセスのさまざまな段階で使用されている。ロジック及びメモリ・デバイスのような半導体デバイスの製造には、半導体デバイスのさまざまな特徴や複数のレベルを形成するために多くの半導体製造プロセスを使用する半導体ウェーハのような基板を処理する工程を一般的に含む。いくつの事例では、極端紫外(EUV)光及び/又は深紫外(DUV)光がマスク又はウェーハのさまざまな特徴を撮像するのに使用される。検査ツールの撮像センサ(例えば、CCD撮像センサ)がEUV光やDUV光に被曝すると撮像センサが劣化する。検査ツールの1つ以上の撮像センサの劣化は、処理及び解析処理能力を低下させる。
【0004】
EUV光又はDUV光により生じた撮像センサの劣化を軽減するために使われる多くの一般的に実行される手順がある。ある事例では、以前の方法では、極低温度(例えば、100K以下)においてCCDのような撮像センサ動作させる操作があった。しかし、撮像センサの冷却は、一般に商業用途で使用される大面積、高速撮像センサにとって問題である。大面積、高速センサの操作は10Wを超える熱を発生する。この発生した熱は極低温冷却システムに大きな熱負荷を与える。この欠点は、極低温冷却システムは、通常、高価、大型及び扱いにくいという事実によってさらに悪化する。
【0005】
別の事例では、撮像センサの劣化は、一般に、撮像センサが選定された劣化レベル、又は予測された劣化に基づいて事前に選定された使用レベルに到達した時に撮像センサを単に交換することにより解消される。しかし、この方法は検査ツールの中断時間を増加させ、効率及び処理能力を減少させることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0158348号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
その結果、EUV光又はDUV光を被曝することにより生じた撮像センサの劣化の影響を緩和するために改良されたシステム及び方法が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
EUV光又はDUV光の被曝により劣化した撮像センサを修復する装置が開示されている。一態様では、一つの装置は、極端紫外光又は深紫外光の少なくとも一方の被曝により劣化した撮像センサを少なくとも部分的に修復するのに適した光源を有する撮像システムの撮像センサの一部を選定的に照射するように構成された修復照射システム;及び、通信可能状態で修復照射システムに接続して、撮像センサが非撮像状態の間に一周期以上の照射サイクルで修復照射システムに撮像センサを照射するように構成された制御装置とを含むが、これに限定されるものではない。
【0009】
EUV光又はDUV光の被曝により劣化した撮像センサを修復する方法が開示されている。一態様では、一つの方法は、極端紫外光又は深紫外光の少なくとも一方の被曝により劣化した撮像センサを少なくとも部分的に修復するのに適した光源を有し、撮像センサが非動作状態の間に撮像システムの撮像センサの一部を照射すること;撮像センサの温度を監視すること;及び撮像センサの監視温度に応答して、撮像センサに照射する光源の出力レベルを調整することにより撮像センサの温度を設定又は保持することとを含むが、これに限定されるものでない。
【0010】
前述の一般的説明及び以下の詳細な説明は、例示及び説明のみ記載され必ずしも本発明を限定するものではない。添付図面は本発明に盛り込まれてその一部をなすと共に本発明の一実施形態を示し、その記載内容と共に本発明の原理を説明する際に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
当業者は添付の図面を参照することにより、本開示の多くの利点をより良く理解することができる。
図1A】本発明の一実施形態に係る劣化した撮像センサを修復するシステムのブロック図を例示する。
図1B】本発明の一実施形態に係る劣化した撮像センサを修復するシステムのブロック図を例示する。
図1C】本発明の一実施形態に係る劣化した撮像センサを修復するシステムのブロック図を例示する。
図2】本発明の一実施形態に係る劣化した撮像センサを修復する方法のプロセスフロー図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
参考添付図面に図示されて開示される主題を詳細に説明する。
【0013】
図1A図2を概観すると、極端紫外(EUV)光又は深紫外(DUV)光の被曝により劣化した撮像センサを修復するためのシステム及び方法が本発明に従って記載されている。本開示は、EUV光又はDUV光の被曝により劣化した、半導体ウェーハとマスク測定システム(例えば、検査システム)の撮像センサ(例えば、CCDセンサ)を照射するための実施形態を記載している。この点に関して、本発明のシステムは、所定の撮像システム又は測定システムの非作動中に劣化した撮像センサを選択的に照射することができる。なお、本発明のさまざまな実施形態は、測定システム又は撮像システムから撮像センサを取りはずすことなく修復(すなわち、高エネルギーの光照射による劣化の反転)するために使用されることが本明細書に記載されている。この点において、撮像センサの修復は、そのシステム内又はシステム外で行われてもよい。本発明のシステム及び方法は、測定又は撮像システムの撮像センサの基板を加熱するために十分な強度を有する近赤外光、可視光又は近紫外光を選択的に照射し、撮像センサの基板温度を上昇させ、その結果撮像センサの修復プロセスを加速させる。
【0014】
図1Aは、本発明の一実施形態に係わる修復システム100のブロック図を示す。一態様において、システム100は、撮像システム106の一つ以上の撮像センサ104を選択的に照射する修復照射システム102を含むことができる。この点において、照射システム102は、EUV光又はDUV光の被曝により劣化した撮像センサを少なくとも部分的に修復することに適している。別の態様では、システムは制御装置108を含むことができる。一実施形態では、制御装置108は、修復照射システム102に通信可能状態で接続されている(例えば、有線又は無線接続)。さらなる実施形態において、制御装置108は一周期以上の照射サイクルで撮像システム106の一つ以上の撮像センサ104を照射するために修復照射システム102を管理、又は制御するように構成されている。別の態様では、制御装置108は、修復照射システム102がセンサ104を少なくとも部分的に修復するために適した照射(すなわち、光)を一周期以上のサイクルで撮像センサ104に照射するように構成されている。別の態様では、制御装置108は、修復照射システム102が撮像センサ104の一回以上の非撮像状態(すなわち、撮像センサが動作していない)中に一つ以上の撮像センサ104を照射するように構成されている。この点において、制御装置108は、画像検知のための撮像システム106が撮像センサ104を使用していない時に、修復照射システム102が撮像センサ104を照射するように構成されている。
【0015】
本発明の一実施形態では、撮像センサ104は半導体ベースの撮像センサを含む。一実施形態では、撮像センサ104は電荷結合素子(CCD)画像センサを含む。さらなる実施形態では、撮像センサ104は、シリコンベースのCCDセンサを含む。
【0016】
本発明の別の実施形態では、修復照射システム102は、EUV光やDUV光などの高エネルギーの光の被曝により劣化した撮像センサ104の少なくとも一部修復するのに適した光を発生するように構成された一つ以上の照明光源110を含んでもよい。一実施形態では、修復照射システム102は、撮像センサ104の基板による吸収に適した波長を有する光を発生するように構成された一つ以上の照射光源104を含んでもよい。例えば、シリコン基板を有するCCD検出器の場合には、照射光源110からの照射がセンサ104を十分に加熱できるように、照射システム102の照射光源110から発生し照射される光はシリコン基板によって効率的に吸収される光を含んでもよい。例えば、900nmより大きな波長の光は一般的にCCD検出器のシリコン基板によって効率的に吸収されない。しかし、本発明の特定の実施のための固有の吸収閾値はセンサ104の特定の吸収特性を決定する。
【0017】
別の実施形態では、修復照射システム102は、撮像センサ104の劣化を大幅に避けるために十分低いエネルギー(すなわち、十分大きな波長)を発生するように構成された一つ以上の照射光源110を含んでも良い。例えば、シリコン基板を有するCCD検出器の場合には、照射システム102の照射光源110によって発生し、照射する光は、撮像センサ104に更なる損傷の発生を回避するのに十分な約350nmより大きい波長の光を有することができる。例えば、修復照射システム102の照射光源110は近赤外光源、可視光源又は近紫外光源のいずれか一つを含むが、これに限定されない。
【0018】
撮像センサ104が効率的に光を吸収するために、撮像センサ104の更なる劣化を回避しつつ、修復照射システム102の一つ以上の照射光源110は、吸収閾値と撮像センサ104の材料特性によって定義される損傷閾値との間の光を照射するように構成されることが本明細書に記載されている。例えば、シリコン基板を有するCCDセンサの場合、修復照射システム102の一つ以上の照射光源110は、350nmと900nmとの間の波長の光を照射するように構成される。この値はシリコンベースCCD検出器においてそれぞれ損傷閾値と吸収閾値として定義される。
【0019】
本発明の別の実施形態では、修復照射系102は、修復温度の閾値を超えて基板を加熱することができる出力レベル(例えば、1ワット)を有する光を照射するように構成された一つ以上の照射光源110を含む。この点で、修復温度の閾値は、劣化した撮像センサ104では劣化が反転(すなわち、修復)するレベルに到達するのに必要な温度と解釈される。例えば、シリコン基板を有するCCD撮像センサの場合、最低閾値温度は約60℃である。別の実施形態では、修復照射システム102は、基板の温度が選定された劣化閾値を超えないように撮像センサ104の基板の加熱を制限することができる光を照射するように構成された一つ以上の照射光源110を含む。例えば、シリコン基板を有するCCD撮像センサの場合には、最低閾値温度は約80℃である。さらなる実施形態では、修復照射システム102の一つ以上の照射光源110は、吸収閾値と劣化閾値との間の温度に撮像センサ104の基板を加熱するように構成することができる。例えば、シリコン基板を有するCCD撮像センサの場合には、照射光源110は60℃と80℃との間の温度にシリコン基板を加熱するように構成してもよい。
【0020】
別の実施形態では、修復照射システム102は、選定された時間間隔で連続的に撮像センサ104を照射するように構成された一つ以上の照射光源110を含んでもよい。例えば、選定された時間間隔は1時間を含んでもよいが、それに限定されるものではない。別の実施形態では、時間間隔が大幅に1時間を超えてもよいとされる。さらに、本発明により実施される修復照射プロセスに続く平衡化時間は、撮像センサ104が次の撮像/測定値取得の前に通常の動作温度に戻ることができるようにすべきであることが本明細書に記載されている。例えば、修復の後の撮像センサ104の平衡化に必要な時間は1分を含んでもよいが、それに限定されるものではない。
【0021】
別の実施形態では、1つ以上の照射光源102は、一連の露光間隔で撮像センサ104を照射するように構成されている。この点において、撮像センサの各被曝は、選定された露光間隔時間続く。また、露光間隔(すなわち、ON状態)は一連の“OFF”状態により時間が分断される。ここで“OFF”状態の継続時間も選定される。なお、露光の積算時間は1時間以上を含むが、これらに限定されないことが本明細書に記載されている。
【0022】
本発明の別の実施形態では、修復照射システム102の一つ以上の照射光源110は、一つ以上のパルスレーザを含むことができる。この点で、シリコンベースのCCD撮像センサの場合には、高強度の短レーザーパルスは、撮像センサにおけるシリコンとシリコンの最表面に設けた透明薄膜との界面近傍のシリコンだけを十分に加熱することができる。350nmと550nmとの間の波長のパルスレーザは、一般的にシリコン中に約1μmを超えて侵入せず、シリコンの界面、膜、及び表層を加熱することが本明細書に記載されている。さらに、劣化は界面及び透明膜中での効果により生じるため、本発明では、熱が効果的に使用される撮像センサ構造体に熱を供給するように作用することが本明細書に記載されている。さらに、下地のシリコンや検出器パッケージの温度を極端に上昇させることなく、撮像センサの露光領域を局所的に高温(例えば、約300℃)に加熱することが可能であることが本明細書に記載されている。さらに、本明細書に記載されたパルス光源の場合、CCD撮像センサのシリコンは熱を効率的に横方向に拡散することが本明細書で認識されている。このように、撮像センサ104の完全な活性領域を修復するために、パルスとパルスとの間又はパルス照射中にビームを移動することが必要かもしれない。さらに、本発明のこの実施形態の利点は、本開示全体を通して記載されている連続波の場合よりはるかに高い温度を達成できることと記載されている。同様に、達成温度が高いほど、より少ない時間で撮像センサをより完全に修復でき、より頻繁に修復でき、撮像システムの中断時間をより短くできる。
【0023】
本発明の一実施形態では、修復照射システム102の一つ以上の照射光源110は、発光ダイオードを含む。本発明の別の実施形態では、修復照射システム102の一つ以上の照射光源110はレーザのような狭帯域光源を含むことができるが、これに限定されない。本発明の一実施形態では、修復照射システム102の一つ以上の照射光源110は、広帯域ランプのような広帯域光源を含むことができるが、これに限定されない。
【0024】
図1A〜1Cは、本発明の実施形態に従って、撮像センサ104の一つ以上の部分を選択的に照射するために適したシステム100のさまざまな構成の高レベルのブロック図を示している。
【0025】
一実施形態では、図1Aに示したように、修復照射システム102は、検査/撮像システム106の垂直の照射経路106に対して軸外に整列した一つ以上の照射光源110を含んでもよい。修復照射システム102の照射光源110から伝搬する光は、ステージ109上に設けたサンプル105(又はマスク)上の撮像センサ104によって実行される通常の撮像プロセスと干渉しない。これに関して、照射光源110と撮像センサ104とによって定義される光路に沿って伝搬する光は、撮像/検査システム106の光路107(例えば、集光経路)に沿って伝搬する光と干渉しない。追加の実施形態では、システム100は、一つ以上の照射光源110から照射する光を制御、集光又はフィルターに通すために使用される一つ以上の光学素子を含むことができる。例えば、システム100は、照射光源110からの光を撮像センサ104上に集光するように構成された一つ以上のレンズ103を含むことができる。なお、図1Aに図示された構成は、多くの等価な実施形態も本発明の範囲以内にあるので、限定的なものではない。さらに、図1Aに示された実施形態に関して、撮像/検査システム106の照射システムの光路から外れた軸に沿って、一つ以上の照射光源110によって照射された光がセンサ104を照射するように、照射光源110が撮像センサ104に対して多数の位置に設けられることが記載されている。
【0026】
別の実施形態では、図1Bに示すように、修復照射システム102は、一つ以上の照射光源110及び、一つ以上の照射光源110と撮像センサ104の一部との間に一時的な光路116を選定的に形成するように構成された一つ以上の作動可能な(例えば、並進又は回転)ミラー112とを含んでもよい。例えば、図1Bに示されるように、ミラー112は、センサ104が非撮像状態の間に一つ以上の照射光源102と撮像センサ104との間に照射光路116を選定的に設定できるように、選定的に移動できる可動ステージ114(例えば、平行移動可能ステージ又は回転可能ステージ)上に設けてもよい。一実施形態では、可動ステージは手動で移動可能なステージ114であってもよい。別の実施形態では、可動ステージ114は通信可能状態で制御装置108に接続している。さらなる実施形態では、制御装置は上述した一時的な照射光路116を設定するために可動ステージ114がミラーを移動させるように構成されている。
【0027】
図1A及び1Bに関して、追加の実施形態では、システム100は、撮像センサ104からの反射光が撮像/検査システム106へ入射することを抑制するのに適した一つ以上の装置を含むことができる。反射光が撮像システム106内に入った場合、撮像センサ104及びその関連するセンサパッケージからの反射光は、損傷又は加熱の原因となることが本明細書に記載されている。このように、一実施形態では撮像センサ104はゼロ以外の入射角で照射光源110によって照射される。更なる実施形態では、システム100は、撮像センサ104の一つ以上の部分からの反射光を遮断するように構成された非反射ビームストップを含んでもよい。
【0028】
図1Cは、本発明の一実施形態に従って、熱監視機能を備えた修復システム100のブロック図を示す。一実施形態では、熱監視装置(例えば、熱電対など)は撮像センサ104の中又は上に設けることができる。また別の実施形態では、熱監視装置116は通信可能な状態で制御装置108に接続している。更なる実施態様では、制御装置108は撮像センサ104の一つ以上の部分の温度を測定して制御装置108に測定した温度を送信する。測定温度に応答して、制御装置108は一つ以上の照射光源110の出力を制御して撮像センサ104の温度を設定及び保持することができる。例えば、LED照射光源の場合には、制御装置108は照射光源110の出力を制御して撮像センサ104の温度を設定及び保持するために、LED照明光源の電流を制御することができる。
【0029】
本発明の好ましい実施形態では、撮像システム106は、撮像センサ104(例えば、CCD又はTDI)にEUV光又はDUV光を照射する通常の動作モードで使用される。一定の累積露光時間後(例えば、所定時間の劣化の予想レベルに基づいて設定される)に撮像プロセスが完了すると、ミラー112が所定位置に移動し、修復システム100の一つ以上の照射光源110(例えば、レーザー、ランプ又はLED)が動作する。ミラーは、修復照射光路116を一時的に設定する位置に移動し、一つ以上の照射光源110が均一な光(例えば、近紫外光、可視光又は近赤外光)で撮像センサ104の少なくとも一部を照射する。修復照射の被曝により、撮像センサ104は加熱され、撮像センサ104の基板に組み込まれた温度センサ118(例えば、熱電対)を用いて温度が監視される。制御装置108はその測温結果を収集する。さらに、温度センサ118の測定温度に応答して、一つ以上の照射光源110の出力は、撮像センサ104を選定温度(例えば、80℃)で安定させるために制御装置108によって制御される。そして、撮像センサ104の温度は、その選定温度で選定された時間(例えば、15分間)保持される。一実施形態では、修復中に新たなサンプルがサンプルステージ109上に載せられる。修復照射システム102を用いる撮像センサ104の加熱サイクルの後、照射光源はオフにされ、撮像センサ104は冷却される。通常の動作温度(例えば、35℃)に達すると、ミラー112は一時的な修復光路116を終了するように移動し、撮像センサ104及び光路107とを用いた通常の撮像プロセスが実行される。
【0030】
図2は、本発明の一実施形態による、極端紫外光又は深紫外光によって劣化した撮像センサを修復するプロセスフロー200を示している。ステップ202では、撮像センサの非撮像状態の間に極端紫外光又は深紫外光の少なくとも一つの被曝により劣化した撮像センサを少なくとも部分的に修復する照射により撮像システムの撮像センサの一部が被曝する。ステップ204では、撮像センサの温度が監視される。ステップ206では撮像センサの監視温度に応答して、撮像センサに照射する出力レベルを調整することにより撮像センサの温度を設定又は保持することができる。
【0031】
さらに、上述の方法の各実施形態は、本明細書に記載される他の任意の方法の他の任意のステップを含み得ることが考えられる。さらに、上述の方法の各実施形態は、本明細書に記載されるいずれのシステムにおいても実施できる。
【0032】
本開示全体を通して説明されたシステム100の構成に関連する各種制御ステップは、制御装置108によって実施され、一つのコンピュータシステム又は、代替的に、複数のコンピュータシステムを含むと認識されるべきである。さらに、システム100の異なるサブシステムは、上述のステップの少なくとも一部を実施するのに適したコンピュータシステムを含むことができる。さらに、一つ以上のコンピュータシステムは、本明細書に記載の任意の方法の実施形態の任意の他のステップを実行できるように構成されている。
【0033】
制御装置108はパーソナル・コンピュータシステム、メインフレーム・コンピュータ・システム、ワークステーション、イメージ・コンピュータ、パラレル・プロセッサ又は当技術分野で公知の任意の他の装置を含んでもよいが、これらに限定されない。一般に、用語“コンピュータ・システム”、“コンピューティング・システム”、又は“コンピュータ制御システム”は、メモリ媒体からの命令を実行する一つ以上のプロセッサを有する任意のデバイスを包含するように広く定義することができる。本明細書に記載された方法を実施するプログラム命令は、キャリア媒体を介して送信される、又はキャリア媒体上に格納できる。キャリア媒体は、ワイヤー、ケーブル又は無線伝送リンクなどの伝送媒体であってもよい。キャリア媒体はまた、読み出し専用メモリ、ランダム・アクセス・メモリ、磁気ディスク若しくは光ディスク、又は磁気テープなどの記憶媒体を含んでもよい。
【0034】
本明細書に記載の本主題の特定の態様を図示及び説明してきたが、本明細書の教示に基づき、変更及び修正は本明細書に記載される主題及びそのより広い態様から逸脱することなくなされることは、当業者には明らかであろう。従って添付の特許請求の範囲は、本明細書に記載の主題の真の精神及び範囲内にあるように、それらの範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を包含できる。
図1A
図1B
図1C
図2