(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記チタン前駆体が、チタン酸化物粉末(powder)またはチタン酸化物コロイド溶液であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の固体電解質粒子の製造方法。
前記混合が、ロールミル(roll-mill)、ボールミル(ball-mill)またはジェットミル(jet-mill)を利用して行われることを特徴とする、請求項1〜6の何れか一項に記載の固体電解質粒子の製造方法。
前記ランタン前駆体が、ランタンを含むアルコキシド、塩化物、酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩及びシュウ酸塩からなる群より選択される何れか一種又は二種以上の混合物であることを特徴とする、請求項1〜8の何れか一項に記載の固体電解質粒子の製造方法。
前記化学式(1)で表される固体電解質粒子が、X線回折分析(XRD)により収得されたデータグラフで単一相を有することを特徴とする、請求項11〜13の何れか一項に記載の固体電解質粒子粉末。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に対する理解を助けるため、本発明をさらに詳しく説明する。
【0016】
本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的や辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するため、用語の概念を適宜定義することができるとの原則に即し、本発明の技術的思想に符合する意味と概念として解釈されなければならない。
【0017】
本発明の一実施形態による下記化学式(1)(LLTO)の固体電解質粒子の製造方法は、水系または有機溶媒下でチタン前駆体、ランタン前駆体、リチウム前駆体を混合して前駆体溶液を製造する段階;及び前記前駆体溶液を熱処理する段階を含むことができる。
Li
3xLa
(2/3-x)TiO
3(0<x<0.16) (1)
【0018】
前記チタン前駆体は、平均粒径(D
50)が0.5nmから10nm、好ましくは0.5nmから5nm、さらに好ましくは0.5nmから3nmであるチタン酸化物粒子を含むことができる。
【0019】
本発明の一実施形態による前記固体電解質粒子の製造方法によれば、前記平均粒径を有するチタン酸化物粒子を含むチタン前駆体を用いることにより、低温で短時間の間、固体電解質粒子を容易に製造することができる。それだけでなく、前記平均粒径を有するチタン酸化物粒子を含むチタン前駆体を用いることにより、平均粒径が100nm以下で、均一な粒径分布を有する前記化学式(1)の固体電解質粒子を得ることができる。
【0020】
具体的に検討してみれば、本発明の一実施形態による前記化学式(1)の固体電解質粒子の製造方法は、水系または有機溶媒下でチタン前駆体、ランタン前駆体、リチウム前駆体を混合して前駆体溶液を製造する段階を含むことができる(段階(i))。
【0021】
本発明の一実施形態により使用可能な前記チタン前駆体は、平均粒径(D
50)が0.5nmから10nmを有するチタン酸化物粒子を含むチタン酸化物粉末(powder)を用いるか、またはチタン酸化物コロイド溶液の形態で用いることができる。
【0022】
前記チタン酸化物コロイド溶液の製造は、当分野に通常用いられる方法により製造されるか市販されているものを利用することができ、本発明がこれに限られるものではない。
【0023】
前記チタン酸化物コロイド溶液を用いる場合、例えば、アルコールにチタンアルコキシドと安定化剤を順に添加して溶かして反応させた後、蒸留水及び塩基性溶液を添加し、この混合溶液を中和反応させることで得ることができる。
本発明の一実施形態によれば、前記チタン前駆体は、前駆体溶液の総重量を基準に30重量%から50重量%の量で用いることができる。
【0024】
また、本発明の一実施形態により使用可能な前記ランタン前駆体は、ランタンを含むアルコキシド、塩化物、酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩及びシュウ酸塩からなる群より選択されるいずれか一つ、またはこれらのうち2種以上の混合物であり得る。さらに具体的には、ランタンナイトレートヘキサハイドレート(La(NO
3)
3・6H
2O)、ランタンカーボネート(La
2(CO
3)
3)及び酸化ランタン(La
2O
3)からなる群より選択されるいずれか一つ、またはこれらのうち2種以上の混合物であり得る。
前記ランタン前駆体は、前駆体混合物の総重量を基準に40重量%から80重量%の量で用いることができる。
【0025】
また、本発明の一実施形態によって使用可能な前記リチウム前駆体は、塩化リチウム(LiCl)、炭酸リチウム(Li
2CO
3)、水酸化リチウム(LiOH)、リン酸リチウム(Li
3PO
4)及び硝酸リチウム(LiNO
3)からなる群より選択されるいずれか一つ、またはこれらのうち2種以上の混合物であり得る。
前記リチウム前駆体は、前駆体混合物の総重量を基準に5重量%から10重量%を用いることができる。
【0026】
一方、前記有機溶媒は、アセトンまたはメチルエチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールまたはブタノールなどのアルコール類;酢酸エチルなどのエステル類;またはジクロロメタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素などを挙げることができる。
【0027】
前記水系または有機溶媒下で、チタン前駆体、ランタン前駆体及びリチウム前駆体の混合は、均一な混合及び均一な粒径分布を有する固体電解質粒子を製造するため、機械的ミーリングを利用することができる。前記機械的ミーリングは、例えば、ロールミル(roll-mill)、ボールミル(ball-mill)またはジェットミル(jet-mill)などを利用することができる。前記混合は、1時間から8時間の間、好ましくは1時間から6時間の間行うことができる。
また、本発明の一実施形態による前記化学式(1)の固体電解質粒子の製造方法は、前記前駆体溶液を熱処理する段階を含むことができる(段階(ii))。
【0028】
前記熱処理は、例えば、電気炉を利用して700℃から1000℃の温度範囲で、約1分から60分間、具体的には1分から30分、さらに具体的には1分から10分間維持した方がよい。
前記熱処理温度及び維持時間に従い、本発明の固体電解質粒子の平均粒径が制御され得る。
【0029】
前記熱処理温度が700℃未満の場合、前記化学式(1)の固体電解質粒子の製造自体が難しくなることがあり、1000℃を超過する場合、固体電解質粒子の粒径が大きくなることがあり、これによりイオン伝導度及び二次電池の性能特性が低下され得る。
【0030】
また、本発明の一実施形態によれば、前記電気炉で前記温度範囲までの昇温速度は、例えば、30℃から100℃/minであってよく、700℃から1000℃で約1分から30分間維持した後、速やかな速度で冷却(quenching)させることが好ましい。
【0031】
従来は、前記化学式(1)の固体電解質粒子を製造するため、1200℃以上の高温で長時間の間熱処理を行い、数百nmから数十μmの平均粒径を有する固体電解質粒子を得ていた。このような大きい平均粒径を有する固体電解質粒子が数十nmの平均粒径を有するようにするため、固体電解質粒子を粉砕して用いていた。しかし、前記粉砕工程により平均粒径は減少することができるものの、平均粒径100nm未満の均一な粒径分布を具現するには限界がある。
【0032】
しかし、本発明の一実施形態による前記固体電解質粒子の製造方法によれば、10nm以下の平均粒径を有するチタン酸化物粒子を含むチタン前駆体を用い、低温熱処理を行うことにより、平均粒径(D
50)が20nmから100nmで、均一な粒径分布を有する固体電解質粒子を得ることができる。
【0033】
つまり、本発明の一実施形態による固体電解質粒子は、平均粒径(D
50)が20nmから100nm、好ましくは20nmから50nmであるペロブスカイト(perovskite)結晶構造を有する前記化学式(1)を有することができる。
【0034】
前記平均粒径が20nm未満の場合、前記平均粒径未満の固体電解質粒子を製造する工程自体に困難さがあり得、100nmを超過する場合、比表面積の増加による電極−電解質の接触面積の増加が不十分なので、界面でリチウムイオン等の移動が容易でないことがあり得る。
【0035】
本発明において、平均粒径(D
50)は、例えば、レーザ回折法(laser diffraction method)または走査電子顕微鏡(SEM)写真を利用して測定することができる。前記レーザ回折法は、一般に、サブミクロン(submicron)領域から数mm程度の粒径の測定が可能であり、高再現性及び高分解性の結果を得ることができる。固体電解質粒子の平均粒径(D
50)は、粒径分布の50%基準での粒径で定義することができる。
【0036】
本発明の一実施形態による前記固体電解質粒子は、粒径分布が非常に均一であり、例えば、前記20nm≦D
50≦40nmである固体電解質粒子の固体電解質粒子の総重量に対する割合は40から60重量%であり得る。
【0037】
本発明の一実施形態による前記化学式(1)の固体電解質粒子は、用いられる前駆体の種類と大きさ、及び反応時間と温度により平均粒径を制御することができる。
【0038】
本発明の一実施形態による前記固体電解質粒子は、単一相を有することができる。つまり、本発明の一実施形態による固体電解質粒子は、X線回折分析(XRD)により収得されたデータグラフで、例えば、La
2Ti
2O
7またはLi
2TiO
3の二次相(second phase)が殆ど存在せず、LLTOの単一相を得ることができる。
【0039】
具体的に、本発明の一実施形態による固体電解質粒子は、XRDにより収得されたデータグラフで、
図3に示す通り、La
2Ti
2O
7またはLi
2TiO
3の主要ピークがXRD上で殆ど観測されないことがあり得る。
本発明の一実施形態による固体電解質粒子は、固体電解質粒子の総重量に対し2重量%以下の不純物(二次相)を含むことができる。
【0040】
前記La
2Ti
2O
7とLi
2TiO
3の不純物混合の含有量は、固体電解質粒子の全体重量%に対し約2重量%以下であってよく、具体的にLa
2Ti
2O
7とLi
2TiO
3の含量はそれぞれ約1重量%以下、さらに具体的にはLa
2Ti
2O
7は1重量%以下であり、Li
2TiO
3は約1重量%以下、約0.5重量%以下または約0重量%であってよい。
【0041】
本発明の一実施形態による固体電解質粒子は、二次相であるLa
2Ti
2O
7とLi
2TiO
3がそれぞれ1重量%以下で存在するため、LLTOの純度が非常に高く、イオン伝導度が著しく向上され得る。
【0042】
本発明の一実施形態による前記固体電解質粒子は、イオン伝導度(ionic conductivity)(S/cm)が、室温で測定したとき、9.0×10
-4 S/cmから4.0×10
-3 S/cm、具体的には1.0×10
-3 S/cmから4.0×10
-3 S/cmであり、さらに具体的には2.0×10
-3 S/cmから4.0×10
-3 S/cmであってよい。
【0043】
また、本発明は、正極活物質層を含む正極、負極活物質層を含む負極、及び前記正極と負極との間に介在された固体電解質層を含むリチウム二次電池であって、前記固体電解質層は、前記化学式(1)の固体電解質粒子を含むリチウム二次電池を提供することができる。
本発明の一実施形態によれば、前記固体電解質層をなす固体電解質粒子の比表面積は200m
2/gから400m
2/gであることが好ましい。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、前記固体電解質粒子の比表面積はBET(Brunauer-Emmett-Teller;BET)法で測定することができる。例えば、気孔分布測定器(Porosimetry analyzer;Bell Japan Inc、Belsorp-II mini)を用いて窒素ガス吸着流通法によりBET6点法で測定することができる。
【0045】
前記リチウム二次電池は、イオン伝導度が向上した固体電解質粒子を用いるので、二次電池に固体電解質として適用する場合、容量の増加及び寿命特性の向上などの優れた充放電特性を有することができる。特に、平均粒径が小さく粒径分布が均一なので、リチウム二次電池の工程上、活物質との接触面積を広げるに容易であり、これはイオンの伝達経路を拡大して充放電に有利な条件となり得る。
【0046】
前記固体電解質層の形成は、当分野に通常用いられる方法で形成され得る。例えば、前記固体電解質粒子をバインダー及び有機溶媒と混合した後、例えば、基板上にコーティングまたはスクリーン印刷などを利用して厚膜形態に製造した後、基板を除去して固体電解質層を製造することができる。
前記固体電解質層の厚さは10μmから20μmであってよい。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、前記固体電解質層は平均粒径が小さい固体電解質粒子を含むため、既存の固体電解質層に比べて厚さが30%から50%減少した固体電解質層を具現することができる。
【0048】
本発明のリチウム二次電池の電極は、当分野に公知の通常の方法で製造することができる。例えば、電極活物質に溶媒、必要に応じてバインダー、導電剤、分散剤を混合及び撹拌してスラリーを製造した後、これを金属材料の集電体に塗布(コーティング)し圧縮してから、乾燥して電極を製造することができる。
電極活物質は、正極活物質または負極活物質を用いることができる。
【0049】
正極活物質は、例えば、LiCoO
2、LiNiO
2、LiMnO
2、LiMn
2O
4、LiNi
1-yCo
yO
2、LiCo
1-yMn
yO
2、LiNi
1-yMn
yO
2(O≦y<1)、Li(Ni
aCo
bMn
c)O
4(0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn
2-zNi
zO
4、LiMn
2-zCo
zO
4(0<z<2)、LiCoPO
4及びLiFePO
4からなる群より選択されるいずれか一つ、またはこれらのうち2種以上の混合物を用いることができ、これらに限られるものではない。また、このような酸化物(oxide)以外に硫化物(sulfide)、セレン化物(selenide)及びハロゲン化物(halide)なども用いられ得る。
【0050】
負極活物質としては、通常、リチウムイオンが吸蔵及び放出可能な炭素材、リチウム金属、ケイ素または錫などを用いることができる。好ましくは炭素材を用いることができ、炭素材としては、低結晶性炭素及び高結晶性炭素などが全て用いられ得る。低結晶性炭素としては軟化炭素(soft carbon)及び硬化炭素(hard carbon)が代表的であり、高結晶性炭素としては天然黒鉛、キッシュ黒鉛(Kish graphite)、熱分解炭素(pyrolytic carbon)、液晶ピッチ系炭素繊維(mesophase pitch based carbon fiber)、炭素微小球体(meso-carbon microbeads)、液晶ピッチ(Mesophase pitches)、及び石油と石炭系コークス(petroleum or coal tar pitch derived cokes)などの高温焼成炭素が代表的である。
【0051】
前記正極及び/または負極は、バインダーと溶媒、必要に応じて通常用いられ得る導電剤と分散剤を混合及び撹拌してスラリーを製造した後、これを集電体に塗布して圧縮し、負極を製造することができる。
本発明のリチウム二次電池の外形には特別な制限がないが、缶を用いた円筒状、角形またはパウチ(pouch)型またはコイン(coin)型などとなり得る。
【0052】
本発明による二次電池は、小型デバイスの電源として用いられる電池セルに用いられ得るだけでなく、多数の電池セルを含む中大型電池モジュールに単位電池としても好ましく用いられ得る。前記中大型デバイスの好ましい例としては、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電力貯蔵用システムなどを挙げることができるが、これらだけに限られるものではない。
【実施例】
【0053】
以下、本発明を具体的に説明するため、実施例を挙げて詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は幾多の他の形態に変形可能であり、本発明の範囲が下記で詳述する実施例に限定されるものと解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
以下、実施例及び実験例を挙げてさらに説明するが、本発明がこれらの実施例及び実験例により制限されるものではない。
【0054】
<Li
0.33La
0.557TiO
3固体電解質粒子の製造>
実施例1
エタノール200mlの中に平均粒径が約3nmであるTiO
2を固形分濃度50mg/ml水準で含むTiO
2水系コロイド溶液87.14ml、La
2O
3 4.977g及びLi
2CO
3 0.665gを添加した後、これを最大限よく混合するため、ボールミル(ball mill)を利用して6時間の間混合し、前駆体溶液を製造した。前記前駆体溶液を100℃で乾燥させて液体を全て除去した後、アルミナるつぼに盛ってこれを電気炉に入れ、昇温速度50℃/minで850℃まで昇温した後、850℃に温度が維持された状態で10分間(反応時間)維持した。その後、50℃/minで常温まで速やかに冷却させてLi
0.33La
0.557TiO
3固体電解質粒子を得た。
【0055】
実施例2
実施例1で反応時間が30分であることを除いては、実施例1と同一の方法を行ってLi
0.33La
0.557TiO
3固体電解質粒子を得た。
【0056】
実施例3
実施例1でLi
2CO
3の代わりにLiOHを用いたことを除いては、実施例1と同一の方法を行ってLi
0.33La
0.557TiO
3固体電解質粒子を得た。
【0057】
比較例1
平均粒径が15nmであるTiO
2を含むTiO
2水系コロイド溶液を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法を行ってLi
0.33La
0.557TiO
3固体電解質粒子を得た。
【0058】
比較例2
平均粒径が100nmであるTiO
2を含むTiO
2水系コロイド溶液を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法を行ってLi
0.33La
0.557TiO
3固体電解質粒子を得た。
【0059】
前記実施例1、比較例1と2で製造された固体電解質粒子の平均粒径及び粒径分布は、下記表1の通りである。
【表1】
【0060】
<固体電解質層の製造>
実施例3
前記実施例1で得たLi
0.33La
0.557TiO
3固体電解質粒子、エチルセルロースをブチルカルビトールに溶かしたバインダー溶液、テルピネオールと混合した後、これをITOが蒸着されている硝子基板上にスクリーンプリンティングしてから、220℃で十分乾燥した後、450℃でバインダーを熱的除去して固体電解質層を得た。
【0061】
実施例4及び5
前記実施例2と3から得たLi
0.33La
0.557TiO
3固体電解質粒子を用いたことを除いては、実施例3と同一の方法で固体電解質層を得た。
【0062】
比較例3及び4
前記比較例1と2から得たLi
0.33La
0.557TiO
3固体電解質粒子を用いたことを除いては、実施例3と同一の方法で固体電解質層を得た。
【0063】
実験例1:電子顕微鏡(SEM)写真の測定
前記実施例1、及び比較例1と2から得たLi
0.33La
0.557TiO
3固体電解質粒子の電子顕微鏡(SEM)写真を測定し、測定の結果をそれぞれ
図1から
図3に示した。
【0064】
図1を検討してみれば、実施例1で製造されたLi
0.33La
0.557TiO
3固体電解質粒子の平均粒径は100nm以下であり、粒子の大きさが非常に均一であることを確認することができる。
【0065】
これに反し、
図2を検討してみれば、比較例1で製造されたLi
0.33La
0.557TiO
3固体電解質粒子の平均粒径は1μmを超過し、各粒子間の平均粒径の偏差が実施例1に比べて大きいとのことを肉眼で確認することができる。
【0066】
したがって、前記
図1及び
図2から分かるように、平均粒径3nmであるTiO
2粒子を含むチタン前駆体を用いることにより、1000℃以下の低温でも固体電解質粒子の合成が可能であり、前記方法によって得られたLi
0.33La
0.557TiO
3固体電解質粒子もまた均一な平均粒径を有するので、均一な固体電解質層が具現できることを予測することができる。
【0067】
また、前記固体電解質粒子の反応条件に伴う平均粒径の変化を下記表2に示した。
【表2】
【0068】
前記表2に示す通り、Li
0.33La
0.557TiO
3固体電解質粒子の平均粒径は、前駆体の種類及び反応時間に従い変わることが分かる。
具体的に、本発明の実施例1から3のように約3nmのTiO
2を用いた固体電解質粒子の場合、平均粒径が50nm以下であった。
【0069】
これに反し、比較例1のように約15nmのTiO
2を用いた固体電解質粒子の場合、平均粒径が150nmであり、約100nmのTiO
2を用いた比較例2の固体電解質粒子の場合、平均粒径が2000nmであった。
【0070】
それだけでなく、実施例1と3を検討してみれば、同一の反応条件でリチウム前駆体の種類、すなわち、Li
2CO
3及びLiOHの使用に従い固体電解質粒子の平均粒径に差を見せた。つまり、リチウム前駆体としてLi
2CO
3を用いた実施例1の場合、LiOHを用いた実施例3に比べて平均粒径が約30%程度の差を見せた。
【0071】
また、実施例1と2を検討してみれば、反応時間に従い固体電解質粒子の平均粒径に差を見せた。つまり、850℃で維持する反応時間を10分行った実施例1の場合、反応時間を30分行った実施例2に比べて平均粒径が約60%程度の差を見せた。
【0072】
したがって、本発明によれば、前記表2に示す通り、固体電解質粒子の平均粒径は、チタン前駆体の大きさ、リチウム前駆体の種類、反応時間などによって平均粒径の制御が可能であることが分かる。
【0073】
実験例2:XRDの測定
本発明により製造された実施例1、及び比較例1で製造された固体電解質に対し、X線回折分析(XRD)を行って結晶性を確認した。その結果を
図3に示した。
【0074】
− ターゲット:Cu(Kα−線)黒鉛単色化装置
- スリット(slit):発散スリット=0.5度、受信スリット=9.55mm、散乱スリット=5.89度
− 測定区域及びステップ角度/測定時間:
− 10.0度<2θ<90度、0.5秒、0.024度、ここで2θは回折角度を表す。
【0075】
図3に示した通り、実施例1の固体電解質粒子はLi
0.33La
0.557TiO
3の結晶相のみ表れる反面、比較例1の固体電解質粒子は、Li
0.33La
0.557TiO
3だけでなくLa
2Ti
2O
7の二次相が共に存在することが分かる。つまり、平均粒径が約2nmから3nmであるTiO
2粒子からなる前駆体を用いることにより、1000℃以下の低温でLi
0.33La
0.557TiO
3の単一相を合成することができる。
【0076】
実験例3:二次相の割合及びイオン伝導度
本発明により製造された実施例1から3、及び比較例1と2の固体電解質粒子のXRD分析を通じた二次相の含量分析及びイオン伝導度の測定結果を下記表3に示した。
【0077】
本実験例3でのイオン伝導度の測定は、次のように測定した。
前記実施例1から3、及び比較例1と2の固体電解質粒子の粉末をステンレスモールドに入れて圧着し、ペレット(pellet)形態に作った後、電気炉を利用して約1250℃で12時間の間熱処理し焼結体を製造した。製造された焼結体の直径は16mmであり、前記固体電解質の上部及び下部にハードマスクを用いて金(Au)を100W、アルゴン(Ar)雰囲気で100nmの厚さに蒸着することによりセルを完成した。インピーダンス分析器(Zahner、IM6)を利用し、二つの遮断電極を挟んで交流を加えて得られた応答から25℃でのイオン伝導度を測定した。
【0078】
【表3】
【0079】
前記表3で分かるところのように、本発明の実施例により平均粒径が10nm以下のチタン前駆体を用いて製造された実施例1から3で製造されたLLTOは、固体電解質粒子の総重量%に対して98重量%以上であり、不純物(二次相)であるLa
2Ti
2O
7及びLi
2TiO
3の含量は、それぞれ1重量%以下であることが分かる。
【0080】
これに反し、平均粒径が大きいチタン前駆体を用いて製造された比較例1と2の場合、不純物(二次相)であるLa
2Ti
2O
7及びLi
2TiO
3の含量が、実施例1から3に比べて10倍以上増加したことが分かる。また、比較例1と2のように不純物(二次相)が多く生成されてLLTOの純度が低くなる場合、固体電解質のイオン伝導度が減少することが分かる。
【0081】
具体的に、実施例1から3のように98重量%以上のLLTOを含む固体電解質粒子の場合、イオン伝導度が2.3×10
-3以上である反面、比較例1と2のように不純物(二次相)が多く生成されてLLTOの純度が低い場合、イオン伝導度が1.2×10
-4以上であった。