【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した従来の複合酸化物に貴金属を固溶した触媒組成物における問題の要因は、母相となるペロブスカイト構造の複合酸化物で生じる変化が局所的であることにある。但し、常温から1000℃付近の温度域で使用される排ガス浄化用の触媒組成物にとって、苛酷な環境下であっても構造変化のない強固な複合酸化物を適用する従来技術の傾向は理にかなっているといえる。貴金属を固溶する母相に対して、不測の構造変化・崩壊が生じると、触媒本来の機能が発揮されないおそれがあるからである。
【0012】
本発明者等は、高温下でも強固な複合酸化物を適用する従来技術の傾向を見直し、それとは逆に、貴金属を固溶させる母相として構造変化が生じうる複合酸化物を適用することとした。ここで、複合酸化物の結晶構造としては、ペロブスカイト構造の他、スピネル構造、コランダム構造、デラフォサイト構造、ルチル構造等が知られている。本発明者等によれば、これら各種構造の複合酸化物は、その化学組成(構成金属の種類や構成割合)を調整することで、温度や雰囲気に対応した構造変化を引き起こす可能性を有する。本発明者等は、これらの複合酸化物の構造変化を適切に利用することで、これまでにない自己再生作用を有する触媒組成物を製造できると考察した。
【0013】
そして、本発明者等は、排ガス浄化用途の動作環境(温度範囲、酸素分圧、空燃比等)を考慮し、その環境下で好適な構造変化を生じさせることができる複合酸化物としてスピネル構造の複合酸化物に着目した。
【0014】
この本発明者等の着想に関し、スピネル構造の複合酸化物として、Mnの酸化物をその好適な例として説明する。Mn酸化物は、常温から1000℃付近の温度域において、正方晶系のスピネル構造を有するMn
3O
4と、立方晶系のビックスバイト構造を有するMn
2O
3の2つが知られている。Mn酸化物は、置かれた温度・酸素分圧に応じて、それぞれの構造に相転移することができる。即ち、常温域ではビックスバイト構造(Mn
2O
3)であったものが、高温域ではスピネル構造(Mn
3O
4)に相転移する。この相転移は可逆的であり、雰囲気温度の低下に伴いスピネルからビックスバイトへの相転移も生じ得る。この相転移が生じる条件は、温度、酸素濃度(酸素分圧)に応じて変化するが、排ガス浄化触媒が動作する温度と雰囲気の範囲は、このMn酸化物が相転移する条件とオーバーラップしている。従って、Mn酸化物は、排ガス浄化触媒の動作域において、Mn
3O
4(スピネル構造)とMn
2O
3(ビックスバイト構造)に可逆的に相転移できる。この相転移は、結晶構造そのものの変化であり、結晶相全体の構造変化を引き起こすこととなる。
【0015】
本発明者等は、上記のMn酸化物のようなスピネル型酸化物の相転移現象を利用することで、従来技術では見られない自己再生作用を有する触媒組成物を形成できると考察した。即ち、貴金属を固溶する母相としてスピネル型酸化物を適用し、その相転移によるドラスティックな構造変化を活用することで、固溶した貴金属を有効に浄化反応に寄与させつつ、自己再生による耐久性の確保も達成できると考えた。
【0016】
ここで、スピネル型酸化物の作用について、従来技術で適用されたペロブスカイト型組成物粒子と対比しつつ説明する。
図1は、母相としてペロブスカイト構造の複合酸化物を適用する触媒組成物の挙動(
図1(a))と、母相としてスピネル構造の酸化物を適用する触媒組成物の挙動(
図1(b−1)(b−2))とを説明するための模式図である。ペロブスカイト構造もスピネル構造も高温下における安定相である。いずれの複合酸化物においても、貴金属は母相となる複合酸化物中に固溶している。ここでの高温とは、800℃以上の高温環境を想定している。排ガス浄化触媒にとって、800℃を超える環境は、触媒金属の劣化(粗大化)が生じる温度域だからである。そして、この貴金属は、ペロブスカイト構造の複合酸化物に原子レベルで固溶することで粗大化を免れている。
【0017】
そして、置かれた温度・雰囲気が変化すると、それぞれの複合酸化物で変化が生じる。ペロブスカイト型複合酸化物においては、結晶格子内の貴金属が析出するが、結晶構造自体は変化することなく、触媒組成物全体の構造にも変化はない(
図1(a))。この局所的な変化によっては触媒組成物内部の貴金属は析出できない。また、内部でも部分的な変化が生じる可能性はあるが、組成物全体の構造が変化するわけではないので、貴金属を表面まで拡散させることは困難である。従って、ペロブスカイト型複合酸化物では、固溶した貴金属の一部の利用にとどまり排ガス浄化を非効率なものとする。
【0018】
一方、スピネル型酸化物で生じる相転移は、結晶構造そのものの変化である(
図1(b−1))。この構造変化とは、上記Mn酸化物で見られる酸化・還元(Mn
3O
4+1/4O
2⇔3/2Mn
2O
3)によって進行する結晶格子の構造変化(正方晶→立方晶)が挙げられる。この構造変化においては、酸化・還元反応によって、複合酸化物の構成金属のイオンに価数変動と位置変動が生じ、これによって固溶していた貴金属の位置変動も促される。そして、位置変動する貴金属が放出されて析出することになる。スピネル型複合酸化物のこのような構造変化は、触媒組成物全体で生じるので、内部の貴金属が析出して触媒反応に寄与し高い浄化性能を発揮することができる。
【0019】
また、本発明者等によれば、スピネル型複合酸化物はその組成によっては、上記の酸化・還元による相転移とは異なる相転移を示すことがある。この特異な相転移として、擬スピノーダル分解による相分離が挙げられる(
図1(b−2)))。擬スピノーダル分解とは、2成分系又は多成分系の固溶体において、核形成及び結晶成長の過程を経ることなく生じる相分離の現象の意義である。擬スピノーダル分解を発現するスピネル型複合酸化物では、濃度差を有する複数の相に分離するので、この場合も触媒組成物全体で構造変化が生じ、効果的に貴金属を析出させる可能性を有する。
【0020】
そして、上記のような過程で析出した貴金属を有する複合酸化物は、高温雰囲気で上記とは逆の相転移をして単一のスピネル構造の複合酸化物になる。このとき、構成金属の移動と共に貴金属が結晶内部に固溶する。以上のような母相の構造変化により、貴金属は自己再生しながら固溶と析出を繰り返すことができる。
【0021】
以上のような考察のもと、本発明者等は、貴金属を固溶する母相となるスピネル型酸化物の構成を検討した。そして、その結果、上記したMnに加えて、Feのいずれかの元素を必須の構成金属としたスピネル構造を有する複合酸化物に、貴金属を固溶してなるスピネル型複合酸化物を適用することで、排ガス浄化の際により高活性な触媒組成物を得ることができるとして本発明に想到した。
【0022】
上記課題を解決する本発明は、貴金属を固溶させた複合酸化物を含む排ガス浄化用の触媒組成物であって、下記式で表される平均組成を有し、スピネル構造を有する複合酸化物を含む排ガス浄化用の触媒組成物である。
【0023】
【化1】
上記の組成式において、M
1、M
2、M
3の意義は以下の通りである。また、0<x<0.75であり、0≦δ<0.5、0<z≦0.1である。
M
1:Mn、Feのいずれかの元素である。
M
2:Fe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Geから選択される少なくとも1種の元素である。但し、Feは、前記触媒組成物がMnを含むときにのみ、M
2となることができる。
M
3:少なくとも1種の貴金属元素である。
【0024】
本発明に係る触媒組成物について、更に詳細に説明する。以上の通り、本発明に係る触媒組成物は、貴金属を固溶したスピネル構造を有する複合酸化物である。母相となるスピネル構造を有する複合酸化物は、M
1、M
2の少なくとも2種の金属の複合酸化物である。
【0025】
金属M
1は、Mn、Feのいずれかである。これらを必須の金属M
1とするのは、上記の通り、スピネル構造の酸化物を形成することができ、かつ、その酸化物が排ガス浄化触媒の動作条件において相転移が発現し得ることから重要な金属である。
【0026】
Mnは、ヤーン・テラー効果を発現する金属イオンであることから、とりわけ有用な元素である。Mn
3+イオンは、結晶の対象性を低下させることでエネルギー的に安定となる金属イオンである。一般的なスピネル構造が通常とる結晶構造は立方晶であるが、Mn
3+イオンのようなヤーン・テラーイオンを導入することで、正方晶又は斜方晶のスピネル構造の複合酸化物を得ることができる。そして、Mnを含むスピネル構造の複合酸化物は、擬スピノーダル分解を比較的容易に発現することができる。このとき擬スピノーダル分解によって生成する分離相は、Mnを含む正方晶又は斜方晶のスピネル構造の相と、Mnを含まない、若しくはMn濃度の低い立方晶のスピネル構造の相となる。このように、Mnは、本発明が意図するスピネル構造の複合酸化物の相転移を検討する上で有用な金属元素である。
【0027】
そして、本発明に係る触媒組成物は、貴金属を固溶するための母相として、上記した金属M
1と金属M
2とで構成された複合酸化物を適用するものである。上記の通り、Mn
3O
4等の単一金属のスピネルでも酸化・還元による相転移は生じるので、その複合酸化物でも貴金属の析出と固溶のサイクルは発現すると考えられる。但し、貴金属を析出させる際には、結晶相全体をより大きく構造変化させることが好ましい。本発明者等によれば、金属M
1と異なる金属M
2を複合化することで、より大きな構造変化を生じさせ、排ガス浄化反応に寄与する貴金属の析出を促すことができる。また、上記した擬スピノーダル分解を生じさせるためには、複数の金属元素を含むスピネルが必要である。
【0028】
この金属M
2については、金属M
1(Mn、Fe)との組合わせにおいてスピネル構造をとることができる金属であれば、限定されることはない。具体的には、金属M
2は、Fe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V,Cr、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Geから選択される少なくとも1種の元素である。尚、Feについては、金属M
1として機能し得る金属であるが、金属M
1がMnであるときには、金属M
2として作用しスピネルを構成することができる。
【0029】
また、Cuイオン(Cu
2+)は、Mnイオンと同様にヤーン・テラー効果を発現する金属イオンである。従って、金属M
2としてCuを含むスピネル構造の複合酸化物も、擬スピノーダル分解を比較的容易に発現することができる。この場合、擬スピノーダル分解によって、Cuを含む正方晶又は斜方晶のスピネル構造の相と、Cuを含まない若しくはCu濃度の低い立方晶のスピネル構造の相とを生成し得る。
【0030】
そして、本発明に係る触媒組成物は、母相としてスピネル構造の酸化物に金属M
3として貴金属元素が固溶して構成される。スピネル構造を有する複合酸化物に貴金属を原子レベルで固溶することで、相転移による析出・固溶のサイクルが生じる。本発明の貴金属の状態は、スピネル構造を有する複合酸化物の表面上に貴金属粒子を吸着(担持)する場合とは根本的に相違する。単純な吸着・担持では、本発明は意図する貴金属の析出・固溶のサイクルが生じず、自己再生機能も発揮しない。
【0031】
本発明では、触媒金属となる貴金属(金属M
3)は、Pd、Pt、Rhの少なくともいずれかが好ましい。また、複数の貴金属を複合酸化物に固溶しても良い。
【0032】
本発明に係る触媒組成物である複合酸化物の平均組成を規定する、xの範囲について、xは0<x<0.75であることを要する。本発明に係る触媒組成物は、スピネル構造を有する複合酸化物を含んでなるが、これはスピネルからなる単一相、若しくは、スピネルを主相とする混合物を形成している。平均組成式のxの範囲は、この触媒組成物の構成に関連する。xが0.75を超えると、触媒組成物中でスピネルが熱力学的安定相として存在しない可能性がある。また、x=0となると金属M
2含まない金属M
1のみからなるスピネルとなる。よって、xは0<x<0.75とした。
【0033】
また、本発明に係る触媒組成物においては、スピネルを構成する金属M
1、M
2の組み合わせによって酸素不定比性を生じ得る。そこで、組成式中の酸素不定比量δについては、0≦δ<0.5と仮定される。尚、この酸素不定比性がスピネルの分解挙動に大きな影響を与えるものではない。
【0034】
そして、複合酸化物に対する貴金属の固溶量については、母相である複合酸化物の遷移金属サイトの10%以下とする。つまり、zの範囲は0<z≦0.1とする。貴金属は、酸素6配位の結晶サイト(酸素八面体の中心サイト)で安定化するのが難しく、固溶しない貴金属が複合酸化物の焼成時に凝集してしまう。また、スピネル構造中への固溶量が多いと、超高圧等の特殊条件下での合成が必要となるからである。貴金属の固溶量は、複合酸化物の遷移金属サイトの5%以下(0<z≦0.05)とするのが好ましい。zの下限値としては、触媒活性を考慮して0.01とするのが好ましい。
【0035】
ところで、本発明に係るスピネル構造の複合酸化物からなる触媒組成物は、製造後の取扱い過程及び使用過程において様々な熱履歴を受ける。具体的には、本発明に係る触媒組成物は、後述する高温の焼成処理によってスピネル構造の複合酸化物として製造される。そして、この触媒組成物を排ガス浄化用触媒の形態にするためには、後述のようにセラミック担体に担持し、支持体に焼付けて固定するのが一般的である。この排ガス浄化用触媒の製造過程における焼付け処理は、300℃以上700℃以下の温度域で実施されることが多い。更に、そのようにして製造された排ガス浄化用触媒は、常温から1000℃付近の温度域で使用される
【0036】
ここで、スピネル構造は、高温域おける安定相であるので、本発明に係る触媒組成物は、低温で構造変化(相転移)が生じる。即ち、本発明に係る触媒組成物は、上記の取扱い過程における焼付け処理や、触媒使用過程で触媒が700℃以下にあるときには、スピネル構造から相転移し、固溶していた貴金属M
3が析出し得る。そして、触媒組成物は、スピネルを構成していた金属M
1とM
2で構成される酸化物と、貴金属元素M
3及び/又は貴金属元素M
3の酸化物の混合体となる。
【0037】
このスピネルが相転移したときの触媒組成物の構成を具体的に説明すると、M
42O、M
4O、M
42O
3、M
4O
2、M
42O
5、M
4O
3の化学式で示される金属M
4の金属酸化物から選択される少なくとも1種の金属酸化物と、少なくとも1種の貴金属元素M
3及び/又は貴金属元素M
3の酸化物とからなっている。
【0038】
金属M
4とは金属M
1と金属M
2であって、その意義は上記の通りである。金属M
1は、Mn、Feのいずれかである。また、金属M
2は、Fe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Geから選択される少なくとも1種である。Feは、触媒組成物がMnを含むときにのみ、M
2とみなすことができる。
【0039】
また、この触媒組成物中のM
1、M
2、M
3の比率(原子比)は、スピネルの状態のものが維持される。即ち、M
1:M
2:M
3=1−x−z:x:zで表され、0<x<0.75であり、0≦δ<0.5、0<z≦0.1である。尚、好ましい貴金属M
3の範囲、及び、xの範囲はスピネルと同じ内容が適用できる。
【0040】
尚、この金属M
4の酸化物(M
42O、M
4O、M
42O
3、M
4O
2、M
42O
5、M
4O
3)を含む触媒組成物においては、スピネル状態において固溶していた貴金属M
3の極く一部が、析出することなく酸化物中に固溶するおそれがある。このような未析出の貴金属は、触媒活性に寄与しないことからできるだけ少ないことが好ましい。具体的には、未析出の貴金属は、触媒組成物中の貴金属M
3の量(M
1:M
2:M
3=1−x−z:x:zとしたときのzの値)に対して、5%以下の貴金属が許容される。
【0041】
以上説明したように、本発明に係る触媒組成物は、高温安定相であるスピネル構造の相転移を活用するものである。そのため、上記した相転移後の金属酸化物(M
42O、M
4O、M
42O
3、M
4O
2、M
42O
5、M
4O
3)と貴金属又はその酸化物との混合体も本発明の範囲に含まれる。そして、この複合酸化物の低温安定相と貴金属との混合物の状態の触媒組成物を排ガス浄化に供しても、スピネルと同等の作用が期待される。スピネル構造の相転移は可逆的だからである。この低温安定相と貴金属との混合物の状態の触媒組成物は、具体的には500℃以上1000℃以下で相転移して、化1のスピネル構造の酸化物を含む触媒組成物となる。
【0042】
次に、本発明に係る触媒組成物の製造方法について説明する。本発明に係る触媒組成物は、基本的に、従来から知られているスピネル型複合酸化物の製造方法を適用することで製造可能である。スピネル型複合酸化物の製造方法としては、錯体重合法、共沈法、ゾル−ゲル法、アルコキシド法、単純酸化物・炭酸塩等を用いた固相反応法等を挙げることができる。本発明に対しては、これらの方法の中から特に限定されるものはないが、製造方法の一例として錯体重合法を用いた方法を説明する。
【0043】
本発明に係る触媒組成物を錯体重合法により製造する工程としては、まず、原料となる金属化合物である金属M
1、金属M
2、及び、貴金属M
3の塩と、錯形成のための多座配位子となる化合物とを、適宜の溶媒に溶解した混合塩溶液を作製する。この混合塩溶液を作製する工程において、使用した金属M
1、金属M
2、及び、貴金属M
3の塩の使用量が製造される複合酸化物の組成及び貴金属の固溶量となる。
【0044】
ここで、金属M
1、M
2及び貴金属M
3の金属化合物としては、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩等を任意に選択して使用することができる。また、多座配位子となる化合物は、クエン酸が良く知られているが、この他、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸、サリチル酸等も適用できる。多座配位子は、1種又は2種以上を使用できる。そして、溶媒は、各金属塩と多座配位子を溶解させることができる適宜の溶媒が使用されるが、水(蒸留水、イオン交換水、純水)が使用されることが多い。
【0045】
次に、この混合塩溶液を加熱等により乾固して、金属M
1、金属M
2及び貴金属M
3の錯体(クエン酸錯体等)を形成する。そして、得られた錯体を焼成することで金属M
1、金属M
2及び貴金属M
3のスピネル型の複合酸化物を形成することができる。この焼成の工程は、800℃以上1200℃以下で2時間以上12時間以下とするのが好ましい。また、この焼成を本焼成とし、本焼成の前に仮焼を行っても良い。仮焼する場合、その温度は550℃以上800℃以下で2時間以上12時間以下とするのが好ましい。
【0046】
本発明に係る触媒組成物は、一例として上記のようにして製造されるが、その形状・寸法は特に制限されるものではない。そして、製造後、その利用形態によって適宜に調整することができる。
【0047】
ここで、本発明に係る触媒組成物を排ガス浄化触媒として利用する場合、触媒組成物をセラミックスからなる担体に担持して排ガス浄化触媒とするのが好ましい。排ガス浄化触媒とするための担体としては、アルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、もしくはこれらの混合物、複合酸化物(セリア−ジルコニア等)等が適用できる。このような担体を用いて排ガス浄化用触媒とするとき、担体の粒度分布としては0.1〜20μmの範囲であることが好ましく、その様な担体に本発明の触媒組成物の粒径を20μm以下とした状態で担持させるのが好ましい。本発明に係る触媒組成物を適用する排ガス浄化触媒において、触媒組成物の使用量(担持量)は、担体であるセラミックスのモル数に対して3%以上10%以下とするのが好ましい。
【0048】
また、本発明に係る触媒組成物を適用する排ガス浄化触媒は、上記のように触媒組成物を担持したセラミックス担体を、更に、適宜の支持体の表面に結合した形態であっても良い。この支持体とは、セラミックハニカム、メタルハニカム、不織布等の構造体が挙げられる。支持体に上記担体と同じセラミックス層を形成していても良い。支持体を適用して本発明に係る触媒組成物を排ガス浄化触媒とするとき、触媒組成物の担持量は、支持体の体積を基準として1g/L以上20g/L以下とするのが好ましい。
【0049】
尚、上記のように、アルミナやセリアージルコニア等のセラミックスを含む排ガス浄化用の触媒に対して、本発明に係る触媒組成物の構成や状態等を分析する場合には、透過電子顕微鏡を用いた電子線回折法等によって、触媒中の複合酸化物を特定することが可能である。