(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ステップ(a)において、位置情報を含む複数の信号は、各マークについて取得され、各信号は、同じ形式を有するが、異なる特性を有する放射を用いて取得されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
前記ステップ(a)において、位置情報を含む複数の信号は、各マークについて取得され、各信号は、単一の検出器により得られる位置依存信号の異なるスペクトル成分を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
前記ステップ(b)における計算は、一つの信号に含まれる位置情報と一つのマークの位置オフセットとの関係性が、前記複数の信号のそれぞれについて同じ数学的形式を有するという仮定に少なくとも部分的に基づくことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の方法。
前記付されるパターンは、前記未知のオフセットを持たない前記構造の位置を基準とするのではなく、前記未知のオフセットを含む前記サブ構造の位置を基準とした位置測定結果を参照して位置決めされることを特徴とする請求項7に記載の方法。
複数のマークを備える基板であって、各マークは、少なくとも第1方向の空間的周期を繰り返すように配置される構造を備え、前記構造の少なくともいくつかは、前記空間的周期よりも数倍小さいサイズのサブ構造を備え、各マークは、前記サブ構造と前記構造の間の位置オフセットとともに形成され、前記位置オフセットは、既知の成分と未知の成分の双方の組み合わせであり、前記既知の成分は、異なるマークについて異なることを特徴とする基板。
異なる既知のオフセットを有する二以上のマークが複合マークを形成するように近接して形成される一方、別のこのような複合マークが基板にわたって分布することを特徴とする請求項9に記載の基板。
リソグラフィプロセスに用いられるパターニングデバイスであって、基板にパターンが付される場合に、請求項9または10に記載の基板を生成するパターンを規定することを特徴とするパターニングデバイス。
前記照明手段は、波長と偏光の複数の組み合わせの放射を前記構造に照明するよう構成され、前記検出手段は、前記複数の組み合わせの放射を別々に検出するよう構成され、前記処理手段により得られる前記複数の結果は、異なる組み合わせの放射を用いて得られる複数の結果を含むことを特徴とする請求項13に記載の装置。
一以上のマークの測定位置を得るために請求項1から8のいずれかに記載の方法の前記ステップ(b)の計算を処理装置に実行させるための機械に読み取り可能な指示を備えるコンピュータプログラム製品。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一実施の形態に係るリソグラフィ装置を模式的に示す図である。この装置は、
放射ビームB(例えばUV放射またはEUV放射)を調整するよう構成されている照明系(イルミネータ)ILと;
パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するよう構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするよう構成されている第1の位置決めデバイスPMに接続されているマスク支持構造(例えばマスクテーブル)MTと;
基板(例えばレジストでコーティングされたウェハ)Wを保持するよう構成され、いくつかのパラメータに従って基板を正確に位置決めするよう構成されている第2の位置決めデバイスPWに接続されている基板テーブル(例えばウェハテーブル)WTaまたはWTbと;
パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば一つまたは複数のダイからなる)目標部分Cに投影するよう構成されている投影系(例えば屈折投影レンズ系)PSと;を備える。
【0020】
照明系は、放射の方向や形状の調整またはその他の制御用に、各種の光学素子、例えば屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子または他の各種光学部品を含んでもよく、あるいはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0021】
支持構造は、パターニングデバイスを支持すなわちその重量を支える。支持構造は、パターニングデバイスの向きやリソグラフィ装置の構成、あるいはパターニングデバイスが真空環境下で保持されるか否かなどの他の条件に応じた方式でパターニングデバイスを保持する。支持構造は、機械的固定、真空固定、またはパターニングデバイスを保持するその他の固定用技術を用いてもよい。支持構造は、例えばフレームまたはテーブルであってよく、必要に応じて固定されていてもよいし移動可能であってもよい。支持構造は、パターニングデバイスを例えば投影系に対して所望の位置に位置決めできるようにしてもよい。本明細書では「レチクル」または「マスク」という用語を用いた場合には、より一般的な用語である「パターニングデバイス」に同義であるとみなされるものとする。
【0022】
本明細書では「パターニングデバイス」という用語は、例えば基板の目標部分にパターンを形成すべく放射ビームの断面にパターンを付与するために使用されうるいかなるデバイスをも指し示すよう広く解釈されるべきである。放射ビームに与えられるパターンは、基板の目標部分に所望されるパターンと厳密に対応していなくてもよい。このような場合には例えば、放射ビームのパターンが位相シフトフィーチャあるいはいわゆるアシストフィーチャを含む場合がある。一般には、放射ビームに付与されるパターンは、目標部分に形成される集積回路などのデバイスの特定の機能層に対応する。
【0023】
パターニングデバイスは透過型であっても反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、例えばマスクやプログラマブルミラーアレイ、プログラマブルLCDパネルなどがある。マスクはリソグラフィの分野では周知であり、バイナリマスクやレベンソン型位相シフトマスク、ハーフトーン型位相シフトマスク、さらに各種のハイブリッド型マスクが含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例としては、小型のミラーがマトリックス状に配列され、各ミラーが入射してくる放射ビームを異なる方向に反射するように個別に傾斜されるというものがある。これらの傾斜ミラーにより、マトリックス状ミラーで反射された放射ビームにパターンが付与されることになる。
【0024】
本明細書では「投影系」という用語は、使用される露光放射あるいは液浸や真空の利用などの他の要因に関して適切とされるいかなる投影系をも包含するよう広く解釈されるべきである。投影系には例えば屈折光学系、反射光学系、反射屈折光学系、磁気的光学系、電磁気的光学系、静電的光学系、またはこれらの任意の組み合わせなどが含まれる。以下では「投影レンズ」という用語は、より一般的な用語である「投影系」と同義に用いられうる。
【0025】
ここに図示されるのは、(例えば透過型マスクを用いる)透過型のリソグラフィ装置である。これに代えて、(例えば上述のようなプログラマブルミラーアレイまたは反射型マスクを用いる)反射型のリソグラフィ装置を用いることもできる。
【0026】
リソグラフィ装置は、二つ以上(二つの場合にはデュアルステージと呼ばれる)の基板テーブル(及び/または二つ以上のマスクテーブル)を備えてもよい。このような多重ステージ型の装置においては追加されたテーブルまたはサポートが並行して使用されるか、あるいは一以上のテーブルまたはサポートで露光が行われている間に他の一以上のテーブルまたはサポートで準備工程を実行するようにしてもよい。
図1の例における二つの基板テーブルWTaおよびWTbは、これを図示する。本明細書に開示される発明は、独立した態様(スタンドアローン)で用いることができるが、特に、単一または多重ステージ装置のいずれかの事前露光測定ステージにて追加の機能を提供することができる。
【0027】
リソグラフィ装置は、基板の少なくとも一部が、比較的高い屈折率を有する例えば水などの液体で覆われて投影系と基板との間の空間を満たすものであってもよい。液浸液は、例えばマスクと投影系の間などのリソグラフィ装置の他の空間に適用されるものであってもよい。液浸技術は、投影系の開口数を増大させるために使用することができる。本明細書では「液浸」という用語は、基板等の構造体が液体に完全に浸されているということを意味するのではなく、露光中に投影系と基板の間に液体が存在するということを意味するに過ぎない。
【0028】
図1に示されるように、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受け取る。例えば光源がエキシマレーザである場合には、光源とリソグラフィ装置とは別体であってもよい。この場合、光源はリソグラフィ装置の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームは光源SOからイルミネータILへとビーム搬送系BDを介して受け渡される。ビーム搬送系BDは、例えば、適当な方向変更用のミラー及び/またはビームエキスパンダを含んで構成される。あるいは光源が例えば水銀ランプである場合には、光源はリソグラフィ装置に一体に構成されていてもよい。光源SOとイルミネータILとは、またビーム搬送系BDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射系または放射システムと総称される。
【0029】
イルミネータILは放射ビームの角強度分布を調整するように構成されたアジャスタADを備えてもよい。一般には、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも半径方向外径及び/または内径の大きさ(通常それぞれシグマ−アウタ(σ−outer)、シグマ−インナ(σ−inner)と称される)が調整される。加えてイルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の要素を備えてもよい。イルミネータはビーム断面における所望の均一性及び強度分布を得るべく放射ビームを調整するために用いられる。
【0030】
放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブルMT)に保持されるパターニングデバイス(例えばマスクMA)に入射して、当該パターニングデバイスによりパターンが付与される。マスクMAを通過した放射ビームBは投影系PSに進入する。投影系PSはビームを基板Wの目標部分Cに投影する。第2の位置決めデバイスPWと位置センサIF(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)により基板テーブルWTを正確に移動させることができる。基板テーブルWTa/WTbは例えば放射ビームBの経路に異なる目標部分Cを順次位置決めするように移動される。同様に、第1の位置決めデバイスPMと他の位置センサ(
図1には明示せず)により放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めすることができる。この位置決めは例えばマスクライブラリからのマスクの機械的交換後や露光走査中に行われる。一般に、マスクテーブルMTの移動は、第1の位置決めデバイスPMの一部を構成するロングストロークモジュール(粗い位置決め用)及びショートストロークモジュール(精細な位置決め用)により実現される。同様に、基板テーブルWTa/WTbの移動は、第2位置決めデバイスPWの一部を構成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現される。ステッパでは(スキャナとは異なり)、マスクテーブルMTはショートストロークのアクチュエータにのみ接続されているか、あるいは固定されていてもよい。マスクMAと基板Wとは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いてアライメントされてもよい。図においては基板アライメントマークが専用の目標部分を占拠しているが、アライメントマークは目標部分間のスペースに配置されてもよい(これはスクライブライン・アライメントマークとして知られている)。同様に、例えばマスクMAに複数のダイがある場合にはマスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0031】
図示の装置は例えば次のうちの少なくとも一つのモードで使用されうる。
1.ステップモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンの全体が1回の照射(すなわち単一静的露光)で目標部分Cに投影される間、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTa/WTbは実質的に静止状態とされる。そして基板テーブルWTa/WTbがx方向及び/またはy方向に移動されて、異なる目標部分Cが露光される。ステップモードでは露光フィールドの最大サイズが単一静的露光で転写される目標部分Cのサイズを制限することになる。
2.スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンが目標部分Cに投影される間(すなわち単一動的露光の間)、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTa/WTbは同期して走査される。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTa/WTbの速度及び方向は、投影系PSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められる。スキャンモードでは露光フィールドの最大サイズが単一動的露光での目標部分の(非走査方向の)幅を制限し、走査移動距離が目標部分の(走査方向の)長さを決定する。
3.別のモードにおいては、マスクテーブルMTがプログラム可能パターニングデバイスを保持して実質的に静止状態とされ、放射ビームに付与されたパターンが目標部分Cに投影される間、基板テーブルWTa/WTbが移動または走査される。このモードではパルス放射源が通常用いられ、プログラム可能パターニングデバイスは、基板テーブルWTa/WTbの毎回の移動後、または走査中の連続放射パルス間に必要に応じて更新される。この動作モードは、上述のプログラマブルミラーアレイ等のプログラム可能パターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0032】
上記で記載したモードの組み合わせおよび/または変形例を使用してもよいし、全く別のモードを使用してもよい。
【0033】
リソグラフィ装置LAは、二つの基板テーブルWTaおよびWTbと、二つのステーションを有するいわゆるデュアルステージ型の装置である。二つのステーションは、露光ステーションと測定ステーションであり、これらの間で基板テーブルが交換できる。露光ステーションにて一方の基板テーブル上の一方の基板に露光がなされている間、別の基板は測定ステーションにて他方の基板テーブル上に装着されて様々な準備ステップが実行されてもよい。この準備ステップは、レベルセンサLSを用いて基板表面をマッピングすることと、アライメントセンサASを用いて基板上のアライメントマーカーの位置を測定することとを含んでもよい。これにより、装置のスループットを実質的に向上させることができる。仮に位置センサIFが測定ステーションまたは露光ステーションにて基板テーブルの位置を測定できない場合、第2の位置決めセンサは、両方のステーションにて基板テーブルの位置を追跡できるように設けられてもよい。
【0034】
装置は、説明される様々なアクチュエータおよびセンサの動作および測定の全てを制御するリソグラフィ装置制御ユニット(LACU)をさらに含む。LACUはまた、装置の動作に関連する所望の計算を実行するための信号処理能力およびデータ処理能力を含む。実際のところ、制御ユニットLACUは多くのサブユニットからなるシステムとして実現され、装置内のサブシステムまたは構成要素について、それぞれがリアルタイムデータの取得、処理および制御を取り扱う。例えば一つの処理サブシステムは、基板位置決めデバイスPWのサーボ制御に専念してもよい。個別のユニットが、粗いアクチュエータおよび精細アクチュエータを取り扱ってもよいし、異なる軸を扱ってもよい。別のユニットは、位置センサIFの読み出しに専念してもよい。装置の全般的な制御は、中央処理ユニットにより制御されてもよい。中央処理ユニットは、これらサブシステムの処理ユニット、オペレータ及びリソグラフィ製造工程に含まれる他の装置と通信する。
【0035】
図2(a)は、それぞれがX位置およびY位置の測定のために基板Wに設けられるアライメントマーク202,204を例示する。この例における各マークは、基板に付与またはエッチングされる製品層または他の層に形成された連続するバーを備える。このバーは、規則正しく間隔を空けて配置され、グレーティングラインとして機能する。そのため、このマークは、十分によく知られた空間的周期(ピッチ)を持つ回折格子と見なすことができる。X方向マーク202のバーは、Y軸に平行で、X方向に周期的に設けられる。一方、Y方向マーク204のバーは、X軸に平行で、Y方向に周期的に設けられる。アライメントセンサAS(
図1に示される)は、各マークを放射のスポット206(X方向),208(Y方向)を用いて光学的にスキャンし、正弦波といった周期的変化のある信号を取得する。この信号の位相は、装置の基準フレームRFに対して固定されるアライメントセンサに対するマーク位置、つまり、基板Wの位置を測定するために解析される。スキャン動作は、幅広の矢印によって、破線の輪郭により示されるスポット206または208の進行する位置とともに模式的に示される。アライメントパターンにおけるバー(グレーティングライン)のピッチは、典型的に基板上に形成されるべき製品フィーチャのピッチより非常に大きく、アライメントセンサASは、基板上にパターンを付すために用いる露光放射よりも非常に長い放射波長(通常、複数の波長)を用いる。しかしながら、多数のバーが繰り返し信号の位相の正確な測定を可能にするため、精細な位置情報を得ることができる。
【0036】
アライメントセンサが周期信号の異なるサイクルを区別するとともにサイクル内の正確な位置(位相)を区別できるように、粗いマークおよび精細なマークが設けられてもよい。異なるピッチのマークは、この目的のためにも用いることができる。これらの技術は当業者にとって周知であり、本明細書において詳述しない。このようなセンサの設計および動作は周知であり、各リソグラフィ装置はセンサの特有の設計を有してもよい。本記載の目的のために、アライメントセンサASが概してUS6961116(den Boef他)に記載された形式のセンサであると仮定する。
図2(b)は、同様のアライメントシステムとともに用いる変形されたマークを示し、照明スポット206または208の単一光学スキャンを通じてXおよびY位置が取得できる。マーク210は、XおよびY軸の双方に対して45度に配置されたバーを有する。この複合的なXおよびY測定は、公開済み特許出願US2009/195768A(Bijnen他)に記載される技術を用いて実行することができ、この内容は参照により本明細書に援用される。
【0037】
図3は、既知のアライメントセンサASを概略的に示すブロック図である。照明源220は一以上の波長の放射ビーム222を提供し、ビームはスポットミラー223により方向転換され、対物レンズ224を通じて基板W上に位置するマーク202などのマークに向かう。
図2に概略的に示したように、US6961116に基づく現在のアライメントセンサの例では、上述したように、マーク202を照明する照明スポット206の直径がマーク自身の幅よりもわずかに小さくてもよい。
【0038】
マークにより散乱される放射は対物レンズ224により捕捉され、情報搬送ビーム226にコリメートされる。自己参照干渉計228は、上述のUS’116に開示される種類のものであり、ビーム226を処理して(各波長に対して)分離されたビームをセンサアレイ230に向けて出力する。スポットミラー223は都合良くこの場所で0次の遮蔽物(ストップ)として機能するため、情報搬送ビーム226はマーク202からの高次の回折放射のみを含む(これは測定に必須ではないが信号対雑音比を改善する)。センサグリッド230の個々のセンサからの強度信号232は、処理ユニットPUに与えられる。ブロック228での光学的処理とユニットPUでの計算処理を組み合わせることにより、基準フレームRFに対する基板上のXおよびY位置の値が出力される。処理ユニットPUは、設計上の選択や利便性に応じて
図1に示す制御ユニットLACUから分離されてもよいし、同じ処理ハードウェアを共有してもよい。ユニットPUが分離される場合、信号処理の一部はユニットPUで実行され、別の一部がユニットLACUで実行されてもよい。
【0039】
既述のように、図示される種類の単一測定は、マークの一つのピッチに対応する特定範囲内のマークの位置を決めるだけである。より粗い測定技術は、これと併用して用いられて正弦波のどの周期がマークされた位置を含む一つであるかを特定する。同じ処理は、正確性を高めるために、そしてマークを構成する材料、マークに接する材料および/またはマークの下に位置する材料に関わりなくマークを安定して検出するために、より粗い及び/又はより細かいレベルにて異なる波長で繰り返されることができる。波長は、同時に処理されるよう光学的に多重化および逆多重化されることができ、および/または、時分割または周波数分割により多重化されてもよい。本開示の例では、複数の波長での測定を利用し、マークの非対称性に対する感度を低減させつつ、実用的かつ安定した測定装置(アライメントセンサ)を提供する。
【0040】
測定プロセスをより詳細に参照すると、
図3の符号v
Wの矢印は、マーク202の長さLをスポット206が通過する際のスキャン速度を示す。この例において、アライメントセンサASおよびスポット206は実際には静止したままであり、速度v
Wで移動するのは基板Wである。したがって、基板Wの移動方向と反対方向にマーク202が有効にスキャンされる間、アライメントセンサは基準フレームRF(
図1)に対して堅固かつ正確に取り付けられることができる。基板テーブルWTおよび基板位置決めシステムPWに基板を取り付けることにより、基板のこの動きが制御される。図示される全ての動きはX軸に平行である。スポット208でマーク204をY方向にスキャンするために同様の動作が適用されてもよい。これは、詳述されないであろう。
【0041】
公開済み特許出願US2012−0212749A1にて議論されるように、リソグラフィ装置に要求される高い生産性の要件は、アライメントマスクの測定が多数の位置で可能な限り迅速に実行されることを求める。これはスキャン速度v
Wが高速であり、各マーク位置の取得のために利用可能な時間T
ACQが相応に短いことを意味する。単純化した表現すると、T
ACQ=L/v
Wの式が適用される。先行出願US2012−0212749A1は、取得時間を長くするためにスポットの逆スキャン動作を与える技術を記載する。必要に応じて、本明細書にて新たに開示する種類のセンサおよび方法に同じスキャンスポット技術を適用することができる。
【0042】
ここで、より小さいグレーティングピッチを持つマークのアライニングに注目する。実際の製品にて測定されるオーバレイは、制御されたテスト条件下と比べて一般に顕著に大きい。調査研究は、プロセス中の変化の度合いに対して製品ウェハ上のアライメントマークが非対称となることがこの原因であると提案する。アライメントマークのピッチを縮小させると、測定されるアライメント位置における非対称性のいくつかの種類の影響を低減させる。
【0043】
当業者であれば、アライメントグレーティングのピッチを縮小可能にするいくつかの選択肢として、(i)用いる放射の波長を短くする、(ii)アライメントセンサの光学系のNAを大きくする、(iii)軸外照明を用いる、があることが理解されよう。より短い波長は、アライメントグレーティングがしばしば吸収性フィルム(例えばアモルファスカーボンのハードマスク)の直下に位置するため、常に利用可能ではない。NAの増大は一般的に可能ではあるが、ウェハからの安全距離を有する小型の対物レンズが必要となるため、好ましくない。したがって、軸外照明の利用は魅力的である。
【0044】
(多重波長および偏光を用いる位置測定)
図4は、新規なアライメントセンサの光学系を示し、上述の先行公開US6,961,116およびUS2009/195768に記載される形態の変形バージョンである。これは、軸外照明モードの選択を導入する。これは、数ある中で、より高い正確性のためにアライメントマークの縮小されたピッチを可能にする。光学系は、別々の散乱計装置を用いるのではなく、むしろアライメントセンサを用いた散乱型の測定の実行を可能にする。
図4では単純化のため、照明の軸外モードおよび軸内モードを与えるための詳細内容は省略されている。本開示において、多重波長および偏光の詳細を示すことがより興味深い。
【0045】
複数の分岐を有する光軸Oは、光学系400にわたって延びる破線により示される。
図3の概略構成との比較を容易にするため、光学系400のいくつかの部分は、
図3に用いた参照符号と同様のものが付される。しかし、頭文字「2」の代わりに頭文字「4」を用いる。したがって、光源420、照明ビーム422、対物レンズ422、情報搬送ビーム426、自己参照干渉計428および検出手段430が示される。検出手段からの信号は、処理ユニットPUにより処理される。処理ユニットは、後述する新規な特徴を実現するように、かつ、各マークについて(改善された)位置測定結果POSを出力するように変形される。
【0046】
後述するように、追加の構成要素がこのより詳細な概略図に示される。照明サブシステム440において、光源420からの放射は、光ファイバ442を介して照明プロファイリング光学系446に送られる。これは、入力ビーム422をビームスプリッタ454を介して瞳面Pを有する対物レンズに送る。対物レンズ422は、ウェハWのアライメントマーク202/204/210の上にスポット406を形成する。情報搬送ビーム426は、マークにより回折され、ビームスプリッタ454を通過して干渉計428に向かう。干渉計428は、放射電磁場を直交偏光を持つ二つの部分に分割し、これら二つの部分を互いに対して光軸周りに180度回転させ、これらを出力ビーム482にまとめる。このビームは、より詳細が後述されるように検出手段430に入射する。
【0047】
この例には、非対称性測定手段460が含まれる。手段460は、干渉計の前に位置する第2ビームスプリッタ462を通じて、情報搬送ビーム426の一部464を受ける。本出願の優先日にて公開されていない別の特許出願US61/722,671は、検出器430を通じて得られる位置情報を用いて非対称性を測定するための新規な技術を記載する。原理上、専用の非対称性測定手段460は削除できる。
【0048】
照明プロファイリング光学系446は、様々な形態を取ることができ、そのいくつかは、我々の米国特許出願61/623,391(本出願の優先日において公開されていない)に詳細が開示されている[出願人整理番号P−3996]。これに開示される例では、アライメントセンサ(より一般的には、位置測定装置)が示され、これは検出器側の空間分解能に対する要求なしに縮小したグレーティングピッチを用いることが可能となる。この新規な照明モードを用いることにより、これら装置は、広い範囲の異なるピッチを持つマーク位置について、例えば1μm未満から20μmのピッチまで、現行検出器の設計を変えることなく測定することが可能となる。先行出願61/632,391に記載される例に共通する具体的な特徴は、限定された入射角の範囲(瞳面内の限定された径方向の広がり)にて軸外照明を用いるための選択である。軸外照明により、放射の光源領域は瞳面の周縁部に限定され、つまり光軸からいくらかの距離離れる。瞳面の最周縁部に照明を限定することで、アライメントマークの可能な最小ピッチを実質的にλ/NAから実質的にλ/2NAに縮小できる。ここで、λは用いる放射の波長であり、NAは機器(例えば、アライメントセンサまたはより一般的に位置測定装置)の対物レンズの開口数である。先行出願61/623,391に記載される例は、装置のビームスプリッタにスポットミラーの特有な分布を用いる。これは、所望の照明を提供できるとともに、0次回折放射のフィールドストップとして機能できる。これは、必然的に性能面でのいくつかの妥協および/または装置のいくらかの複雑化を招くが、X,YおよびXYマークのいずれについても照明モードを変えることなくアライニングが可能となる「ユニバーサル」な照明プロファイルを設計できる。これに代えて、異なるマーク種類を用いるために選択可能となるように専用モードを設計して作ることができる。
【0049】
全体としての装置は、これら特有の軸外照明プロファイルを提供することに限定される必要はない。装置は異なるプロファイルの使用に好ましい既知または未開発の他のモードを用いてもよい。例えば、装置は、
図2(a)および(b)に示す異なるマーク種類のために、軸内および軸外照明モードの選択を提供してもよい。軸外照明はより精細なグレーティングの使用に関心がある一方で、軸内照明プロファイルは既存のマークおよび測定方法との互換性のために有用であるかもしれない。まず軸内照明の例を参照すると、
図3の既知のセンサに用いられるように、瞳面内で中央の明るいスポットを有しそれ以外が暗い軸内照明プロファイルにより基板に垂直な照明が提供される。このプロファイルは、新規な装置の照明ビーム422における選択的な設定である。この例において、光軸に沿って戻る0次ビームは、干渉計428に入射する前に遮蔽されることが望ましいが、非対称性測定手段460に送られることが望ましい(非対称性測定手段460がある場合)。干渉計428に入射する前に0次を遮蔽することは必須ではないが、位置信号の信号対雑音比を改善させる。したがって、この実施の形態において、スポットミラーは第2ビームスプリッタ462に含まれてもよい。第1スプリッタ454は銀めっきではなく、マークに送られる中央スポット強度の50%程度を引き受ける。別の実施の形態では、手段460が取り除かれ、このプロファイルが照明プロファイラ446により直接生成され、第1ビームスプリッタ454内のスポットミラーによりフル強度で対物レンズ424に送られてもよい。所望のプロファイルを得るために様々な種類の代替構成を考えることができる。
【0050】
軸外照明プロファイルは、実用的な機器を形成するために多数の方法で生成されることができる。所望の信号を生成するために、反対側のセグメントが干渉計428に対してコヒーレントであるべきであることが留意されよう。具体的には、広帯域光源が組み込まれるとき、光源放射のコヒーレンス長/時間は非常に短い。単色性のレーザ光源でさえも、例えば望まない多重反射からの干渉を除去するため、短いコヒーレンス時間が好ましいことをUS’116が教示する。その結果、光源から各セグメントまでの光路長は非常に厳密に整合されるべきである。所望のプロファイルに直結するアパチャは、幅広い平行ビーム中に配置することができるが、比較的大きな光損失を招くであろう。この光損失を避けるため、上述の先行出願61/623,391における様々な代替的解決策を提案する。
【0051】
照明源422から生じる照明は単色性であってよいが、実際には典型的に広帯域であり、例えば白色光または多色光である。ビームにおける波長の多様性は、知られているように測定の安定性を高める。既知のセンサは、例えば、緑、赤、近赤外および遠赤外の名称の四波長の組み合わせを用いる。本発明を実現する新しいセンサにおいて、同じ四波長を用いることができるが、異なる四波長または四波長より多いもしくは少ない波長を用いてもい。
【0052】
図4を再び参照して、放射の多重波長を用いる測定および偏光効果の操作に関係する装置の態様をこれから説明する。照明サブシステム440にて、光源420は、緑(G)、赤(R)、近赤外(N)および遠赤外(F)の名称の四波長の放射を生成するように設けられる四つの別個の光源を備える。以下での議論の便宜を目的として、これら四つの異なる波長の放射を四色の光というが、これらが電磁波スペクトルの可視部分または非可視部分のいずれであるかは本目的と無関係である。全ての光源は直線偏光であり、GとNの放射は互いに同じ向きであり、RとFの放射はGおよびFの偏光と直交する偏光である。
【0053】
この四色は偏光保持ファイバによりマルチプレクサ502MUXに送られ、単一の四色ビームに混合される。マルチプレクサは、矢印504に示すように直線偏光を維持する。矢印504および同様の矢印は、図において一貫して緑および赤成分の偏光を示すためにGおよびRの符号が付される。NおよびF成分は、それぞれGおよびR成分と同じ向きである。
【0054】
混合ビームは、適切な伝送光学系506を通じてビームスプリッタ454に入る。既述のように、その後、ビームスプリッタの内部にある部分的または完全な反射面(例えば0.5mm直径のスポットミラー)に反射する。対物レンズ424はそのビームをウェハ上のアライメントマーク202により形成されるグレーティングにより反射および回折される細いビームに集束させる。光は、例えば開口数NA=0.6の対物レンズにより集められる。このNA値は、各色について16μmピッチのグレーティングから少なくとも10次の回折を集めることを可能にする。
【0055】
反射および回折された光は情報搬送ビーム526を形成し、次に自己参照干渉計428に送られる。この例では、既述のように、ビームが分割462され、情報搬送ビームの一部464が非対称性測定手段460に供給される(非対称性測定手段460がある場合)。非対称性測定情報を伝える信号は手段460から処理ユニットPUに送られる。干渉計の直前で、半波長板510により偏光が45度回転する。この地点から、明確性のために一つの色についてのみ偏光の矢印を示す。干渉計は、上述および特許US’116に記載されるように偏光ビームスプリッタで構成され、各色の半分が透過し各色の半分が反射する。各半分はその後、干渉計内で三回反射する。干渉計は、放射電磁場を+90度および−90度回転させ、180度の相対的な回転を与える。二つの電磁場はその後、互いのピークにて重畳されて干渉することができる。位相補償子512は−90度と90度のイメージの光路差を補償するために存在する。偏光はその後、別の半波長板514(XまたはY軸に対して主軸が22.5度に設定される)により45度回転する。半波長板510,514は、波長感受性がないため、四波長全ての偏光を45度回転させる。
【0056】
さらに別のビームスプリッタ516は、AおよびBと命名された二つの経路に光信号を分割する。一方の経路は二つの回転された電磁場の合計を含み、他方の経路は差を含む。最初の偏光方向に依存して、この合計は経路Aまたは経路Bに行き着く。この例では、緑および近赤外信号の合計信号が一方の経路に、赤および遠赤外信号が他方に行き着く。各色について、対応する差の信号が残りの経路に行き着く。
【0057】
この構成が各色の照明について一つの偏光の使用を選択することに留意される。読み取り値の間で偏光を変えることにより(または読み取り中の時分割多重により)、色ごとに二つの偏光を用いる測定をなすことができる。しかしながら、色および偏光についてのいくつかの多様性から利益を得る間に高いスループットを維持するために、単一であるが異なる偏光を持つ異なる色の組み合わせは、多様性と測定スループットの間で優れた歩み寄りを示す。スループットに影響を及ぼすことなく多様性を高めるために、混合された偏光を持つ複数色、例えば8色または16色を用いて、本明細書に記載される四波長スキームと同様の機器を考えることができる。
【0058】
各経路AおよびBの光は、それぞれの収集レンズアセンブリ484Aおよび484Bにより集められる。次に基板上のスポットの外側からの光の大半を除去するアパチャ518Aまたは518Bを通過する。二つのマルチモードファイバ520Aおよび520Bは、各経路の集められた光をそれぞれのデマルチプレクサ522Aおよび522Bに送る。デマルチプレクサは、各経路を元の四色に分離し、合計8個の光学信号が検出手段430内の検出器430Aおよび430Bに送られるようにする。一つの実用的な実施の形態において、ファイバがデマルチプレクサから検出器回路基板上の8個の検出素子に延びる。この例における検出器は、空間分解能を提供しないが、装置が基板W上のマーク202などをスキャンする際の時間変化強度信号I
AおよびI
Bを各色について提供する。この信号は、実際には位置依存信号であるが、装置とマーク(
図3参照)の間の物理的なスキャン移動に伴う時間変化信号(波形)として受信される。
【0059】
処理ユニットPUは8個の検出器から強度波形を受信し、これらを既知の装置と同様に処理して位置測定結果POSを提供する。異なる波長および入射偏光に基づく8個の信号が選択候補としてあるため、装置は幅広い状況にて利用可能な測定結果を得ることができる。この点について、異なる材料および構造の多数層の下にマーク202が埋もれているかもしれないことを思い出すべきである。いくつかの波長は、他の波長よりも好ましく異なる材料および構造に入り込むであろう。PUは、従来と同じように波形を処理し、最高強度の位置信号を与える一つに基づく位置測定結果を提供する。残りの波形は無視されてもよい。単純な機器において、各測定タスクの「レシピ」は、ターゲット構造の詳細な知見や実験的研究に基づいてどの信号を用いるかを特定してもよい。さらに先進的なシステムにおいて、例えば、導入部にて言及したHuijbregtse他らによる論文に記載されるように、「カラーダイナミクス」または「スムーズ・カラー・ダイナミクス」アルゴリズムを用いて、事前知識なしに最適な信号を特定するよう自動選択がなされるようにできる。
【0060】
各レンズ484A,484Bは電磁界の全体を各検出器430A,430Bの各素子に集束させる。これは、
図3の既知のアライメントセンサと同様の構成である。この例の検出器および既知のアライメントセンサは、事実上単一フォトダイオードであり、既述のスキャン動作によるもの以外のいかなる空間的情報も提供しない。必要であれば、空間分解能を有する検出器を対をなす瞳面内に追加することもできる。これは、例えばアライメントセンサハードウェアを用いて角度分解散乱法の実行を可能にする。
【0061】
例えば二つの異なる偏光を用いて位置を測定するために望ましければ、マークは二回以上スキャンされる必要があるかもしれない。また、XYマークのスキャンの途中で照明モードの切り替えが必要かもしれない。しかしながら、我々は、二つの測定が同時にできるよう光信号の多重化を使用する。同様に、照明モードを切り替えることなくXYマークの異なる部分をスキャンおよび測定できるように多重化を適用できる。このような多重化を実行するシンプルな方法は周波数分割多重による。この技術において、スポットの各ペアからの放射および/または偏光が特有の周波数で変調される。変調周波数は、位置情報を搬送する時間変化信号の周波数よりはるかに高くなるように選択される。各検出器430A,430Bに到達する回折および処理された光信号は、二つの信号の混合となるが、光源放射の各周波数に同調させたフィルタを用いて電気的に分離できる。時分割多重を利用することもできるが、これは光源と検出器の正確な同期が必要となるであろう。各周波数での変調は、例えば単純な正弦波または方形波であることができる。
【0062】
仮に円偏光でマークを照明することが望ましいのであれば、位置検出であるか他の形態の計測であるかによらず、1/4波長板(不図示)をビームスプリッタ454と対物レンズ525の間に挿入することができる。これは、直線偏光を円偏光に変換する(さらに、マークによる回折後に元に戻す)作用を有する。円偏光の方向(時計回り/反時計回り)は、照明光源420、ファイバ422または照明プロファイリング光学系446の異なる直線偏光の選択により変えることができる。
【0063】
Huijbregtse他による論文には、複合ターゲットに多重グレーティングを用いることも記載されている。各グレーティングは、例えばより高次の回折次数(3次、5次、7次)を増強する異なるプロファイルを有する。位置測定結果は、個々のグレーティング上の異なる色信号から得るときと同様に、これらグレーティングの異なる一つから得ることができる。本開示において、単純なバーパターンを持つ単一グレーティングがある場合を仮定しているが、セグメント化されたフィーチャを有しててもよい。当業者であれば、本開示を拡張して、異なるパターンを含む多重グレーティングを有する実施の形態をただちに想到することができる。
【0064】
(解像度上フィーチャのミスマッチが補正された位置測定)
図5を参照して、粗いアライメントグレーティングと精細な「解像度上」フィーチャの位置のミスマッチ現象を紹介する。これらは、実用的な「サブセグメント」アライメントマークを一緒に形成する。
図5(a)は、
図2(a)のX方向アライメントマーク202と同様のアライメントマークのほんの一部分の断面を示す。具体的には、既知の周期性で繰り返され、アライメントマーク全体を形成するマーク−スペースパターンを構成する一つの繰り返しユニットが概略的に見られる。マークは、異なる屈折率を有する材料600,602に形成され、周期的なパターンで構成される。パターンの繰り返しユニットは、「マーク」領域603と「スペース」領域604を備える。このマーク−スペースパターンは、具体的には、
図1のリソグラフィ装置または同様の装置を用いて基板に付されるパターンをエッチングすることにより形成されてよい。このようなパターンにおける「マーク」および「スペース」の名称はかなり恣意的である。実際のところ、マークの各「スペース」領域604は、材料600が均一に欠けるようにではなく、より小さいマーク606およびスペース608を備える細かいピッチのグレーティングパターンが存在するように形成されることに留意される。同様に、各「マーク」領域603は、材料600が均一に存在するようにではなく、同様の細かいピッチのグレーティングパターンに存在するように形成される。この細かいピッチパターンは、紙面に直交するY方向の周期性を有し、したがって、
図5に示される断面では見えない。これらのより細かいマークおよびスペースは、本明細書において「解像度上(at-resolution)」フィーチャと称することとし、用いるリソグラフィシステムの投影系の限界解像度とほぼ同じであるか近い。これらは、
図1および4に示すアライメントセンサASを考慮する限りにおいて「サブ解像度(sub-resolution)」フィーチャとも称されうる。サブセグメントマークは、アライメントマークの処理効果を最小化し、エンドユーザにより課されるパターン密度要件にしたがうために現在のところ使われている。
図5に示された直交する方向にサブセグメント化されたマーク領域およびスペース領域を有するマークの形状は、導入部にて上述したMegen他の論文に記載されているものに類似する例である。
【0065】
理想的には、マーク606により形成される精細なグレーティングは、粗いグレーティングと同じ地点610に中心が合わせられるであろう。この地点610は、グレーティング中の全てのマークにわたって平均化されており、マーク全体の中心基準位置を規定する。サブセグメントマークは、レンズ収差に敏感であるが、収差にしたがったプロセスにてマークが形成される。この収差は、解像度上フィーチャとアライメントグレーティングピッチの間でシフトを生じさせ、これらは通常桁違いに大きい。
【0066】
図5(b)は、このようなサブセグメントグレーティングの形状を示す。これは、理想的形状(a)と同様ではあるが、粗いアライメントグレーティングピッチと解像度上フィーチャの間のシフトまたはミスマッチを示している。このグレーティングは、より大きいアライメントグレーティングピッチと解像度上フィーチャの間のシフトに起因して非対称となっている。領域604の一端におけるスペース620、つまり、サブセグメントスペース部は、他端のスペース622よりも少しだけ狭くなっている。したがって、解像度上グレーティングは、粗いアライメントグレーティングの中心位置X
0とは厳密に一致しない位置X
ARに中心地点を有する。ミスマッチまたはシフトΔdは、X
0とX
ARの差を表し、例えばナノメートルで測定されうる。
【0067】
ここで
図6を参照すると、計算結果のグラフ(a)および(b)は、サブセグメントアライメントグレーティングの非対称特性がアライメントセンサに色依存のアライメント信号を測定させていることを示す。アライメントセンサの別の種類の設計が異なってもよいが、一般にマークの測定位置は異なる波長および照明条件に対して異なるであろう。これらグラフは、既知のミスマッチΔd=0.5nmを持つパターンについてシミュレーションされたセンサから得た測定位置を示す。粗いグレーティングの中心X
0を基準としたアライメント位置誤差Xが縦軸に規定される(この位置は、我々がシミュレーション結果を示しているために既知であり、未知のターゲットの実際の測定結果ではない)。この例のためにシミュレーションでは、粗いピッチ=3μm、解像度上ピッチ=200nm、深さ=256nmを有するマークを仮定した。材料600はシリコンであり、材料602は空気である。グラフ(a)において照明はY偏光(X方向マークのためにグレーティングラインに平行)を有する一方、グラフ(b)ではX偏光を用いた結果を示す。グラフから、X方向に周期的なマーク202についてX偏光がY偏光よりも高い回折効率を有するということは明らかでない。
【0068】
各グラフから読み取れることは、シミュレーション測定結果により報告される位置が波長および偏光に強く依存する態様でかなり幅広く変化するということである。変化の範囲は、変化を生じさせたミスマッチΔdの大きさよりもはるかに大きい。グラフ(b)では、610nm付近にて極端な測定誤差を生じさせる非常に強い共鳴効果を見ることができる。
【0069】
図7は、
図6(a)に対応するグラフであるが、−1から+1nmの範囲で変化させた5個の異なるミスマッチの値Δdに対して波長の関数としてアライメント位置誤差X−X
0をプロットしている。発明者は、色に依存するアライメント位置が解像度上フィーチャとアライメントグレーティングピッチのミスマッチの線形関数に良く近似することに気づいた。アライメント位置のオフセットと色の双方の色に対する線形性の知見は、サブセグメントマークにおける(未知の)ミスマッチについて補正された位置測定を得るために我々が利用しようとするものである。
【0070】
図8は、(a)Y偏光および(b)X偏光をそれぞれ用いて異なる三波長λにてなされた測定について、異なるシフトを持つ位置誤差の線形性をさらに示す。この場合の横軸は、シミュレーションしたマーク構造に意図的に導入されたシフトまたはオフセットdの値を示す。オフセットdは、シミュレーションしたミスマッチΔd=0.5nmに対して、d1,d2,d3などで示される異なる値を加えたものである。各波長および偏光について、測定位置がオフセットdとともに線形に変化することに注目される。さらに、加えたオフセットd=−0.5nmがモデル化された未知のミスマッチΔd=0.5nmを完全に相殺するときに、測定位置が粗いグレーティングの位置(X−X
0=0)と正確に一致することに注目される。この条件下において、さらに言えば、波長または偏光に拘わらず測定される位置誤差はゼロである。
【0071】
ここで、
図8に示されるシミュレーション測定結果においてミスマッチは既知であるが、実際の測定状況ではそうではない。
図9は、異なる波長および/または偏光での位置測定を組み合わせ、必要に応じてX
0、X
ARおよびΔdの全てを決定するために、ミスマッチと位置誤差の間の既知の関係性(線形性)がどのように利用できるかを示す。
【0072】
図9(a)において、波長λ
1を用いて測定される位置X
1と波長λ
2を用いて測定される位置X
2の間の差ΔXが異なる値のλ
1およびλ
2についてプロットされる。
図9(a)では、ミスマッチΔd=0nmかつ異なるオフセットdを用いて測定結果がシミュレーションされる。どのような波長を選択したとしても、
図8に示されるような線形性のため、オフセットdがゼロのときに差分値ΔXはゼロになるであろう。
図8(b)に見られるように、ミスマッチが建前上未知であると仮定する。ここで、0.75nmのミスマッチをシミュレーションに用いたが実際上は未知である。報告された位置の差は、オフセットdが−0.75nmのとき、つまり、未知のミスマッチΔdを完全に相殺するときにゼロになることが観察される。もちろん、対処すべき問題において、ミスマッチは分からず、ミスマッチに対する位置測定結果の依存性は分からない。しかしながら、仮に既知の異なるオフセットを持つ部分を有するように設計されたマークが生成できれば、線形なグラフ上の二点を得ることができ、内挿法または外挿法によりミスマッチΔdを発見するためのゼロ位置を計算できる。
【0073】
図10は、上述した原理を利用する際に用いるための変形されたアライメントマーク702の構造を示す。新規なマークは、シンプルマーク202の位置に用いることができる。Y方向およびXY方向を持つバージョンもまた容易に考えることができる。マーク702は、実際には二つのセグメント702−1および702−2を有する複合マークである。各セグメント自体は、
図5に示される一般的な形状のサブセグメントグレーティングを備えるマークである。近くにはより粗い構造が設けられるだろう。これにより、事前ステップにてセンサにより「捕捉」できる。この詳細は、当業者にとって周知である。第1セグメント702−1の概略的な断面が図面の上部に示される一方、第2セグメント702−2の断面が下部に示される。断面において、
図5のように、パターン全体の繰り返しユニットの一つのみが示され、スペース領域に中心が合わせられている。解像度上マークが三つだけ示され、明確性のためにシフトが誇張されている。実際のマークは、より大きいパターンの各スペース領域内に10個から20個の解像度上マークとスペースの領域を有するであろう。各セグメントにおいて、マスク形成中の収差などにより生じる未知のミスマッチΔdと既知のオフセットdの双方がある。未知のミスマッチは、二つのセグメントについて等しい(または等しいと仮定される)一方で、マークは、セグメント702−2に付されるオフセットd
2と異なる既知のオフセットd
1を第1セグメントが有するように設計される。実際には、オフセットd
1,d
2は、意図的なオフセットdがゼロの両側でバランスを保つように、絶対値の等しいの正および負の値となるように選択されるだろう(つまり、d
1=−d
2)。しかしながら、記載されるべき方法は、絶対値の等しくない及び双方が同じ向きとなるオフセットを用いて機能する。同様に、オフセットは、未知のミスマッチよりも大きい必要もなく小さい必要もない。
図10に示される例は、反対方向のオフセットを有するが、(未知の)ミスマッチΔdよりも絶対値が小さい。したがって、オフセットの合計は、双方のセグメントで同じ方向である。
【0074】
図11のフローチャートを参照して、セグメントおよびオフセットdを持つ新しいマークを用いてより詳細な位置測定結果を得るための方法の一実施形態について説明する。測定は
図1のリソグラフィ装置のアライメント工程の一部として実行されることを仮定するが、言うまでもなく他の目的の位置測定の実行にもこの方法を適用できる。
図10に示される種類の二つのセグメントおよび二つの波長/偏光の組み合わせのみを用いて一方向の位置を測定する単純な例が示される。必要に応じて、実際の機器により複雑な構成を加えることもでき、本方法のいくつかの拡張機能が簡単に後述される。この方法のステップは、同じマークを用いる他の測定の動作と組み合わせることができる。例えば一つの特定の結果のみ出力されることが望ましいことを理由に、必要に応じて、より少ないステップを適用することができる。最初に方法の全体が記載され、その次に基礎となる数学的計算が説明される。本明細書に記載される技術は、これら具体的な例、または、いかなる特定の形態もしくは数式表現に限定されることを意図するものではない。ここに説明される概念は、多くの異なる表記法またはアルゴリズムにより表現することができるが、ここに開示される基本的原則を依然として適用する。
【0075】
ステップS1にて、基板は、基板上に形成され位置測定マーク(アライメントマーク)として機能する一以上のマークをリソグラフィ工程において有する。典型的に、基板にわたって多数のマークが形成される。各マークは、リソグラフィ工程により形成されるサブセグメントグレーティングを備える。この工程にて、光学収差などにより、粗いアライメントグレーティングと解像度上フィーチャの位置の間に未知のミスマッチΔdがグレーティングのマーク領域またはスペース領域内に導入される。本明細書に含まれる新たな教示によれば、各マークは、未知のミスマッチに加えて、異なる既知のオフセットdを有する二以上のセグメントとともに形成される。
【0076】
その後、場合によっては多数の中途の処理ステップの後、デバイスパターンを付与する(この例における)目的のため、基板がリソグラフィ装置に装填される。ステップS2にて、装置のアライメントセンサASが用いられ、波長および偏光(λ,p)の異なる組み合わせを用いて第1マークセグメント702−1の位置の二以上の測定結果X
1を取得する。ステップS3にて、波長および偏光(λ,p)の同じ組み合わせを用いて、第2マークセグメント702−2の位置の二以上の測定結果X
2を取得する。
【0077】
ステップS4にて、第1セグメントについてステップS2にて測定された異なる位置の差を比較することにより、少なくとも一つの位置の差ΔXが計算される。ステップS5にて、ステップS3にて測定された対応する位置のペアを用いて、第2セグメントについて測定された異なる位置を比較することにより、位置の差ΔXが計算される。それぞれのΔXは、同じ波長および/または偏光のペアに対応する。
図4の装置により多重測定がなされる場合、所定のレシピにしたがって、および/または、測定時になされる品質評価にしたがって、用いる最適なペアが選択されてもよい。なお、各セグメントについて多重のΔXの値を取得するために二以上のペアが用いられることを妨げるものはない。
【0078】
ステップS6にて、二つのセグメントについてのΔXの値が既知のオフセットdの値と組み合わせられ、(i)未知のミスマッチΔd、(ii)粗いアライメントグレーティングの正確な中心位置X
0、および、(iii)解像度上グレーティングの正確な中心位置X
ARのいずれか又は全てが計算される。これら計算の詳細および基礎となる論理的根拠は、以下に与えられる。
【0079】
図10に示されるマークの例を再び参照すると、第1マークの複合シフト−d
1+Δdよりも絶対値の大きい第2セグメントの複合シフト−d
2+Δdが示される。ステップS3の第2セグメントにて異なる色および偏光についてセンサにより報告されるマーク位置Xの測定結果は、ステップS2の第1セグメントについて報告される位置と比べて、より広く間隔が空いており、粗いグレーティングまたは解像度上グレーティングのいずれの正確な位置からもより離れている。計算の観点では、ステップS5にて第2セグメントについて計算される位置の差ΔXは、ステップS4にて第1セグメントについて計算されるΔXよりも大きい。
図8および9のグラフにて既に示したように、仮にオフセットの一つが実際にミスマッチを正確に相殺したとすると、報告される位置の全ては同じとなり、そのセグメントについてのΔXはゼロになるであろう。
【0080】
ステップS7にて、必要なマークの全てを測定し、レベルセンサなどを動作させた後、リソグラフィ装置の投影系PSを用いて、基板W(
図1)の目標部分Cに製品またはデバイスパターンを付与する。ミスマッチが測定され座標値が適切に補正されているため、製品フィーチャの配置は、所望の位置に対して、および、先のリソグラフィ工程により作られた下層フィーチャに対してより正確に調整される。測定された粗いグレーティングの位置X
0は従来の方法よりも既に正確であるが、これらフィーチャがアライメントセンサの解像力をはるかに下回るにも拘わらず、解像度上の位置X
ARもそのまま利用可能であることに注目される。これは、付与されるパターン配置における解像度上の位置X
ARの利用可能性を提起する。解像度上フィーチャは、付与されるパターンの製品フィーチャにむしろ近いため、この位置測定を用いることにより、粗いグレーティングの位置X
0と比べてこれら製品フィーチャのより正確な配置を提供しうる(リソグラフィ工程の収差がマークを形成した工程における収差と同等であると仮定した場合)。さらなるリソグラフィ工程の後、最終的な半導体デバイスまたは他の製品が基板上に形成される。
【0081】
本方法のステップは、任意の所望の順序で実行できる。S4−S6の計算ステップは、個別のステップとして実行されてもよいし、単一のより大きな計算に統合されてもよい。検出器の信号は、全てのマークについて記憶され、後段にて位置測定結果を得るために処理されてもよい。位置測定結果が全てのマークについて最初に計算されてもよいし、各マークのスキャンに際して補正された測定結果が即時に計算されてもよい。
【0082】
この例でのマークセグメントは、より大きな基板上で実質的に同じ場所に位置するように、かつ、センサの1回の通過で測定されるようにごく近接して図示される。したがって、複合的な位置測定結果は、従来のマークと同様の方法で用いられるように出力できる。原理上、二つのセグメントはより幅広く離れることができる。このようなステップの魅力の一つは、基板上でマークが占める領域の全体的な著しい増加を防ぐことができる点にある。しかしながら、結果の品質は、ミスマッチΔdが全ての場所で同じであることが重要であるか、もしくは、局所的に測定される必要性が重要であるかに依存する。測定後に、測定結果を処理すること及びアライメントまたは他の目的で結果を用いることは、より複雑であろう。
【0083】
(ミスマッチおよび補正位置の計算)
ここで、様々な結果の数学的計算を詳細に説明する。上述のように、これは、用いられる任意の所与の波長/偏光について、測定位置が粗いフィーチャと解像度上フィーチャの間のオフセットdに線形的に依存することに基づく。単純化のために偏光を無視して波長に専念すると、この線形依存性についての係数としての値K(λ)を割り当てる。したがって、サブセグメントアライメントグレーティングについて、以下の関係性が保持される。
【数1】
【0084】
K(λ)は、未知であり、マークおよびその上層もしくは下層スタックについての多くの特性に依存する。我々の要求は、測定されたアライメント位置X(λ)(これは、マークの形成に用いる波長および収差に依存する)を粗いグレーティングの中心を正確に表す位置X
0に対し波長および収差に無関係な方法で補正することを目的として、K(λ)およびΔdについての式を見つけることである。K(λ)は、サブセグメントのシフトに対して調整された位置の感度と見ることができる。上述のように、二つのセグメントを用いて、未知のミスマッチに加えて既知のオフセットを有する異なるマークセグメントからの位置を測定することによりK(λ)およびΔdを得ることができる。セグメント1はd
1だけ変位させたサブセグメンテーションを有し、セグメント2はd
2だけ変位させたサブセグメンテーションを有する。したがって、以下のように記述できる。
【数2】
【0085】
二つの異なる波長λ
1およびλ
2について二つのセグメントを検査することにより、Δdについての式を見つけることができる。セグメント1について、これは以下を意味する。
【0087】
また、セグメント2について以下になる。
【数4】
【0088】
双方のセグメントについて減算すると(ステップS4,S5)、各セグメントについてのこれら二色間の位置の差ΔXを得る。これは、以下で与えられる。
【数5】
両式を割ると、以下のようになる。
【数6】
【0089】
したがって、ステップS6において、Δdについて以下の式を得ることができる。
【数7】
【0090】
これを用いて、粗いアライメントグレーティングの正確な中心位置X
0を以下により計算できる。
【数8】
【0091】
解像度上グレーティングの中心位置X
ARは、以下により独立して計算できる。
【数9】
【0092】
したがって、異なるセグメントマークのアライメント戦略は、マークセグメント(d
1,d
2)の既知の異なるオフセットと測定可能なパラメータ(このケースでは、セグメント1で測定される色同士の差およびセグメント2で測定される色同士の差)との組み合わせに基づいて解像度上構造の位置を補償できる。既述のように、この計算の実行のためにスタック情報は不要であり、新規なマークを用いて実行できるが、典型的なアライメントセンサで既に与えられる位置情報のみを用いる。この技術はさらに、用いるアライメントセンサの具体的な種類に依存せず、他のセンサに適用可能であり、
図3および4に示される自己参照干渉計に基づくセンサのみに限定されない。
【0093】
(シミュレーションした測定結果)
本方法の成功を示すために、
図12は、ちょうど説明した方法を用いて計算した補正ありと補正なしの測定結果を比較する。グレーティングのパラメータは、
図6について記載したものと同じである。測定は、グラフ(a)と(b)で異なる偏光にてなされた。マークは、(未知の)ミスマッチΔd=0.5nm、セグメントオフセットが−1nmと+1nmを用いてモデル化した。シミュレーションした測定の計算の目的では、セグメントオフセットd1,d2のみが既知である。グラフは、上述の方法により、解像度上フィーチャのアライメント位置X
ARが非常に正確に測定でき、波長に依存しないことを示す。
【0094】
既述のように、図示される技術は、異なる波長を用いた位置測定結果の比較に限られない。異なる偏光を用いてもよいし、および/または、異なる偏光と波長の組み合わせを用いてもよい。さらに、異なる照明プロファイルを用いて同様の結果により、同じマークの位置測定結果を得ることもできる。波長、偏光および照明プロファイルの単一の組み合わせであったとしても、検出器430aまたは430bから得られる位置依存信号はいくつかのスペクトル成分を含むであろう。また、粗いグレーティングピッチに対応する純粋な正弦波のみに限られない。上述した係属中の出願[整理番号P−4099]において、アライメントセンサで検出される位置依存信号から単一の位置依存光信号の異なる空間周波数成分がどのように抽出できるかについて詳述している。簡単に言うと、これらの異なるスペクトル成分は周期的グレーティングの空間周波数の基本波および高調波を表し、これらの振幅および位相はフーリエ解析により抽出できる。これらスペクトル成分のそれぞれは、位置測定結果を得るために処理されることができる。これらの異なる位置測定結果は、異なる態様でオフセットによる影響を受け、上述した方法でミスマッチおよび位置の測定に用いることができる。
【0095】
当業者であれば、差異が一つのみのパラメータ(波長、偏光、照明プロファイルおよび特有の周波数スペクトル成分)である位置測定結果のペアを利用できることが理解されよう。同様に、同時にこれらのパラメータの一以上が異なる位置測定結果のペアを利用できる。係属中の出願[P−4099]の内容は、参照により本明細書に援用される。
【0096】
説明した技術は、線形補間法に限られず、必要に応じて高次(二次、三次など)の項の補正のためにただちに拡張できる。これらの例で考えられるマークおよびリソグラフィプロセスで、グラフに見られるように、線形的な関係が非常に強く保持されるということが起こる。システムの対称性に起因して、典型的に二次の成分は全く存在しない。この線形性は、アライメントセンサASにより見られる周期的な位置依存信号のピッチと比べて解像度上フィーチャおよびオフセットが非常に小さいという事実から直感的に理解できるであろう。しかしながら、補正されうる小さな三次の項があり、別の状況ではより高次の項が顕著となりうる。これら高次の項を補正するためには、応答曲線上のより多くの点が必要となり、すなわち、三次の項を補正するために4点が必要となり、4個の異なる既知のオフセットを持つ4個のマークセグメントが設けられる。改善された情報が追加の複雑性および追加のセグメントが占める「不動産」を正当化するかを決めなければならない。線形補間の正確性を簡単に向上させるために、オフセットに対する位置の差のグラフ上により多くの点を探すこともできる。この技術が2個のサンプルのみを用いて非常に良く機能するという事実は、それが何らかの理由で拡張された実施の形態を除外するものと解釈されるべきではない。
【0097】
(結論)
上記開示から、マーク内の粗いフィーチャおよび解像度上フィーチャの正確な位置を、これら位置の間に未知のミスマッチがあったとしても、直接的または間接的に測定する位置測定がどのようになされるを見た。この改善された測定は、新規な異なるマークパターンを用いて得ることができるが、アライメントセンサに存在する位置依存信号を用いる。これら信号のいくつかは、例えばアライメントセンサにて検出される位置依存光信号の異なる色および/または偏光を用いて生成される位置測定結果であってもよい。これらは、代替的または追加的に、異なる照明プロファイルおよび/または同じ位置依存信号の異なるスペクトル成分を用いてなされる位置測定結果であってもよい。
【0098】
アライメントセンサを制御し、それにより検出された信号を処理し、これら信号からリソグラフィパターニングプロセスの制御に用いるのに適した位置測定結果を計算する処理ユニットPUは、詳述していないいくつかの種類のコンピュータアセンブリを典型的に含んでもよい。このコンピュータアセンブリは、装置外の専用コンピュータであってもよいし、アライメントセンサに特化した処理ユニットであってもよいし、代わりに、リソグラフィ装置全体を制御する中央制御ユニットLACUであってもよい。コンピュータアセンブリは、コンピュータに実行可能なコードを備えるコンピュータプログラム製品を読み込むように構成されてもよい。これは、コンピュータプログラム製品がダウンロードされたときに、アライメントセンサASを持つリソグラフィ装置の前述の使用をコンピュータアセンブリが制御することを可能にしてもよい。
【0099】
IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について本文書において特に言及をしてきたが、本明細書で述べたリソグラフィ装置は、他の応用形態も有していることを理解すべきである。例えば、集積された光学システム、磁気領域メモリ用の誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造といった応用である。当業者は、このような代替的な応用形態の文脈において、本明細書における「ウェハ」または「ダイ」という用語のいかなる使用も、それぞれより一般的な用語である「基板」または「目標部分」と同義とみなすことができることを認められよう。本明細書で参照された基板は、例えばトラック(通常、レジスト層を基板に付加し、露光されたレジストを現像するツール)、計測ツール及び/または検査ツールで露光の前後に加工されてもよい。適用可能であれば、本明細書の開示は、そのような基板処理工具または他の工具に対しても適用することができる。さらに、例えば多層ICを作製するために二回以上基板が加工されてもよく、その結果、本明細書で使用された基板という用語は、複数回処理された層を既に含む基板のことも指してもよい。
【0100】
光学的リソグラフィの文脈における本発明の実施の形態の使用についてに特定の言及をしてきたが、本発明は、例えばインプリントリソグラフィなどの他の応用形態にも使用可能であり、文脈が許す限り光学的リソグラフィに限定されないことは理解されるだろう。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスのトポグラフィーが基板に生成されるパターンを定める。パターニングデバイスのトポグラフィーが基板に塗布されているレジスト層に押し付けられ、電磁放射、熱、圧力、またはこれらの組み合わせによってレジストが硬化される。レジストが硬化した後、パターニングデバイスがレジストから外されてパターンが残る。
【0101】
本明細書で使用される「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、365,248,193,157,または126nmの波長を有する)、極端紫外線(EUV)放射(例えば、5−20nmの範囲の波長を有する)、並びにイオンビームまたは電子ビームなどの粒子ビームを含む、あらゆるタイプの電磁気的放射を包含する。
【0102】
「レンズ」という用語は、文脈の許す限り、屈折光学部品、反射光学部品、磁気光学部品、電磁光学部品および静電光学部品を含む様々なタイプの光学部品のうちの任意の一つまたはその組み合わせを指す場合もある。
【0103】
本発明の特定の実施形態が上述されたが、説明したもの以外の態様で本発明が実施されてもよい。例えば、本発明は、上述の方法を記述する機械で読み取り可能な命令の一つまたは複数のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形式をとってもよいし、そのコンピュータプログラムを記録したデータ記録媒体(例えば半導体メモリ、磁気ディスク、または光ディスク)であってもよい。
【0104】
上述の説明は例示であり限定することを意図していない。よって、当業者であれば以下に述べる請求項の範囲から逸脱することなく本発明の変形例を実施することが可能であろう。