特許第6181312号(P6181312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181312
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】イソプロピルアルコールの精製方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 29/80 20060101AFI20170807BHJP
   C07C 31/10 20060101ALI20170807BHJP
   C07C 29/76 20060101ALI20170807BHJP
   B01D 61/36 20060101ALI20170807BHJP
   B01D 3/14 20060101ALI20170807BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20170807BHJP
【FI】
   C07C29/80
   C07C31/10
   C07C29/76
   B01D61/36
   B01D3/14 A
   !C07B61/00 C
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-536031(P2016-536031)
(86)(22)【出願日】2014年8月20日
(65)【公表番号】特表2016-534112(P2016-534112A)
(43)【公表日】2016年11月4日
(86)【国際出願番号】KR2014007736
(87)【国際公開番号】WO2015026160
(87)【国際公開日】20150226
【審査請求日】2016年4月14日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0098665
(32)【優先日】2013年8月20日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0108602
(32)【優先日】2014年8月20日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・スー・パク
(72)【発明者】
【氏名】スン・キュ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ホ・シン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ク・イ
【審査官】 水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表平11−506431(JP,A)
【文献】 化学工学便覧,日本,丸善出版株式会社,2011年,改訂七版,426−428頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 29/76
C07C 31/10
B01D 3/14
B01D 61/36
B01D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソプロピルアルコールおよび水を含むフィードをメンブレンシステムに供給して水を除去する段階;および
前記メンブレンシステムで水を除去して含水量が調節されたフィードを分離壁型蒸留塔に供給して精製を遂行する段階を含み、
フィードの含水量はメンブレンシステムによって1200ppm以下に調節され、
精製を遂行する段階が、メンブレンシステムで水を除去して含水量が1,200ppm以下に調節されたフィードを分離壁型蒸留塔に供給し、含水量を120ppm以下に調節することを含む、イソプロピルアルコールの精製方法。
【請求項2】
メンブレンシステムは透過蒸発システムまたは、蒸気透過システムである、請求項1に記載のイソプロピルアルコールの精製方法。
【請求項3】
水を除去する段階が、含水量が1,200ppm〜5,000ppmであるフィードをメンブレンシステムに供給し、前記メンブレンシステムでフィードの含水量を1,200ppm以下に調節することを含む、請求項1に記載のイソプロピルアルコールの精製方法。
【請求項4】
分離壁型蒸留塔は、原料供給領域、塔頂領域、塔底領域および生成物流出領域に区分され、前記生成物流出領域は上部生成物流出領域および下部生成物流出領域に区分され、
精製を遂行する段階が、メンブレンシステムで水を除去して含水量が1,200ppm以下に調節されたフィードを前記分離壁型蒸留塔の前記原料供給領域に供給し、前記分離壁型蒸留塔で精製を遂行し、精製されたイソプロピルアルコールを含み、含水量が150ppm以下である排出物を前記分離壁型蒸留塔の下部生成物流出領域で収得することを含む、請求項1に記載のイソプロピルアルコールの精製方法。
【請求項5】
精製されたイソプロピルアルコールを含み、含水量が120ppm以下である排出物を前記分離壁型蒸留塔の塔頂を基準として算出された理論段数の50%〜90%の段の位置で収得する、請求項に記載のイソプロピルアルコールの精製方法。
【請求項6】
分離壁型蒸留塔の塔頂領域の温度を40℃〜120℃に調節することを含む、請求項に記載のイソプロピルアルコールの精製方法。
【請求項7】
分離壁型蒸留塔の塔頂領域の圧力を0.1〜10.0Kg/cmに調節することを含む、請求項に記載のイソプロピルアルコールの精製方法。
【請求項8】
分離壁型蒸留塔の下部生成物流出領域から流出される流れの温度が60℃〜130℃である、請求項に記載のイソプロピルアルコールの精製方法。
【請求項9】
分離壁型蒸留塔の下部生成物流出領域の圧力は0.3〜6.0Kg/cmである、請求項に記載のイソプロピルアルコールの精製方法。
【請求項10】
分離壁型蒸留塔の塔底領域の温度が80℃〜160℃である、請求項に記載のイソプロピルアルコールの精製方法。
【請求項11】
分離壁型蒸留塔の塔底領域の圧力は0.3〜6.0Kg/cmである、請求項に記載のイソプロピルアルコールの精製方法。
【請求項12】
イソプロピルアルコールおよび水を含むフィードが供給され、前記フィードの含水量を調節して排出するメンブレンシステム;および
前記メンブレンシステムを経たフィードが導入されて精製工程が進行される分離壁型蒸留塔を含み、
フィードの含水量はメンブレンシステムによって1200ppm以下に調節され、
精製を遂行する段階が、メンブレンシステムで水を除去して含水量が1,200ppm以下に調節されたフィードを分離壁型蒸留塔に供給し、含水量を120ppm以下に調節することを含む、イソプロピルアルコールの精製装置。
【請求項13】
メンブレンシステムは透過蒸発システムまたは、蒸気透過システムである、請求項12に記載のイソプロピルアルコールの精製装置。
【請求項14】
分離壁型蒸留塔は、原料供給領域、塔頂領域、塔底領域および生成物流出領域に区分され、前記生成物流出領域は上部生成物流出領域および下部生成物流出領域に区分され、
メンブレンシステムで水を除去して含水量が1,200ppm以下に調節されたフィードが前記分離壁型蒸留塔の前記原料供給領域に供給され、精製されたイソプロピルアルコールを含み、含水量が120ppm以下である排出物が前記分離壁型蒸留塔の下部生成物流出領域から流出される、請求項12に記載のイソプロピルアルコールの精製装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願はイソプロピルアルコールの精製方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol、以下、「IPA」)は、例えば、半導体やLCD(Liquid crystal display)製造などの電子産業において洗浄剤などの用途を含めて多様な用途に用いられている。
【0003】
IPAは、例えば、プロピレン(propylene)または、アセトン(acetone)等を原料にして製造することができる。多くの場合、IPAの製造過程で多量の水を含むIPA反応物が得られ、前記反応物は水を共に含む共沸混合物(azeotrope)を形成している。すなわち、常圧での沸点が約100℃程度である水と約82.5℃であるIPAは共沸温度80.4℃でIPA 87.9wt%の共沸を形成することになるが、これに伴い、前記フィードから水を除去して高純度のIPAを効率的に製造することが要求され、単純な蒸留工程で前記水を除去するためには多くのエネルギーが消耗される。前記共沸混合物から高純度のIPAを得るための方法としては抽出または、共沸物を形成する物質であるアゾトロピックエージェント(azeotropic agent)を添加する蒸留方法などが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願はIPAの精製方法および装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願はIPAの精製方法に関するものである。例示的な精製方法は、図1のようにフィードを脱水手段(D)に供給して水を除去する工程(以下、「脱水工程」と称する。)と脱水手段(D)を経由して水が除去された前記フィードを精製手段(P)に導入して精製する工程(以下、「精製工程」と称する。)を含むことができる。本出願の精製方法によれば、脱水手段(D)および分離壁型蒸留塔200を使ったIPAの精製工程の時、IPA生成物内の水分含量を最小化するための前記分離壁型蒸留塔の最適な運転条件を導き出すことができ、これによって、IPAを高純度に精製することができるだけでなく、1基の分離壁型蒸留塔を通じて精製を遂行するので、2基の一般型蒸留塔が連結された精製手段(P)を用いる場合と比べて、優秀な効率でIPAを精製することができる。
【0006】
前記において、用語「水を除去」とは、フィードに含まれた水を100%除去することを意味するのではなく、前記フィードを脱水手段(D)に供給して水を除去する工程を経たり精製工程を経て、IPAの含量が濃厚な流れにすることを意味する。前記において、用語「濃厚な流れ」とは、前記脱水手段(D)に供給される前のフィードに含まれたIPAの含量より前記脱水手段(D)または、精製手段(P)を経由した流れに含まれるIPAの含量がさらに高い流れを意味し、例えば、前記脱水手段(D)または、精製手段(P)を経由した流れに含まれるIPAの含量が50重量%以上、80重量%以上、90重量%以上、95重量%以上または、99重量%以上である流れを意味し得る。
【0007】
一つの例示において、前記脱水工程で前記脱水手段(D)に供給されるフィードは、IPAおよび水を含むことができる。前記フィードの含水量、すなわちフィード内の水の含量が5,000ppm以下、例えば、3,000ppm以下、2,500ppm以下または、2,200ppm以下であり得る。また、前記フィード内の含水量の下限は例えば、1,200ppmであり得る。フィード内の含水量は、前記方法の効率などに非常に重要な要因として作用し、したがって、フィードの含水量が前記範囲内に調節される必要がある。前記フィードは、IPAと水を含み、含水量が前記範囲内に調節される限り具体的な組成は特に制限されない。通常的にIPAを含むフィードがいかなる方式で製造されたものであるかによって、フィード内には多様な種類の不純物が含まれ得、前記不純物は前記方法によって効率的に除去され得る。
【0008】
前記方法でフィードが導入される脱水手段(D)は、例えば、メンブレンシステム(Membrane System)であり得る。メンブレンシステム100を含む前記脱水手段(D)は、例えば、含水量が3,000ppmであるフィードが導入されれば、脱水工程を通じて前記フィード内の含水量を1,200ppm以下、例えば、1000ppm以下、700ppm以下、500ppm以下または、300ppm以下に下げて排出することができるように設置されていることもあり得る。したがって、前記脱水工程では、脱水手段(D)に供給したフィードから水を除去してフィードの含水量を1,200ppm以下、例えば、1000ppm以下、700ppm以下、500ppm以下または、300ppm以下に調節することを含むことができる。脱水手段(D)を通じて含水量を前記範囲に調節することによって続く精製工程の効率を上げることができる。本明細書で用いられる用語「メンブレンシステム」とは、分離膜を利用して流体を分離するシステムまたは、装置を意味する
【0009】
前記脱水手段(D)のメンブレンシステム100としては、分離膜を利用したシステムであれば、特に制限されないが、例えば、透過蒸発(pervaporation)システムまたは、蒸気透過(vapor permeation)システムなどを利用することができる。
【0010】
前記において、「透過蒸発」とは、液相のフィードを透過蒸発膜に供給して膜に親和力のある物質を選択的に透過させることによって、前記フィードの純度を高める方法を意味し、前記透過蒸発膜を通過した物質は一定の真空状態で気化して排出され、冷却器で冷却されて捕集される。前記透過蒸発システムは、本出願の精製方法ではフィードが液体状態の場合に好ましく適用することができる。前記透過蒸発システムを利用して脱水工程を進行する場合、分離壁型蒸留塔200にフィードを流入させる前に、前記脱水工程で水を選択的に除去することによって、単純な蒸留工程によって水を除去する場合に比べて、高純度のIPAを経済的に得ることができる。
【0011】
一つの例示において、前記脱水手段(D)が透過蒸発システムを含む場合、前記脱水工程で液相フィードの透過蒸発システムへの導入は、例えば、40〜120℃、70〜110℃または、80〜100℃の温度で遂行され得るが、特にこれに制限されるものではない。また、前記透過蒸発システムへの液相フィードの導入は、例えば、1.0Kg/cm〜10.0Kg/cm、2.0Kg/cm〜8.0Kg/cm、2.5Kg/cm〜6.0Kg/cmまたは、3.0Kg/cm〜5.0Kg/cmの圧力で遂行され得る。前記のような温度および/または圧力範囲で液相フィードの脱水工程を効率的に進行することができる。ところが、前記温度および/または圧力の範囲は目標とする脱水量および用いられる分離膜の種類を考慮して適宜変更できる。例えば、一般的に温度および圧力が高いほど分離膜の透過率は高くなり得るが、温度および圧力の上限値は分離膜の種類および工程条件により異なり得、また、温度と圧力を高くするほど透過速度および透過流量を高くすることができるが、用いられる分離膜の材質の種類および分離膜の耐久性により、上限値が特定範囲内に調節されることもある。
【0012】
前記において、「蒸気透過」はフィードを気化させて気体と分離膜を接触させて、膜を通じて所望の気体を分離させる膜分離法を意味し、前記精製方法では、フィードが気体状態の場合に好ましく適用することができる。前記蒸気透過システムを利用して脱水工程を進行する場合、共沸点が現れないので蒸留方式によって脱水工程を進行する場合より効率的に水を除去することができ、高純度のIPAを経済的に得ることができる。
【0013】
一つの例示において、前記脱水手段(D)の蒸気透過システムに流入されるフィードは、水とIPAの混合組成物の沸点以上の温度条件で蒸気透過システムに流入することができる。前記脱水工程で気相フィードの蒸気透過システムへの導入は、例えば、90℃以上、100℃以上、110℃以上、120℃以上または、150℃以上の温度で遂行され得、前記気相フィードの導入温度の上限値は用いられる分離膜の熱的または、化学的特性により変更され得るので、特に制限されないが、例えば約180℃程度の温度で遂行され得る。また、前記蒸気透過システムへの気相フィードの導入は、例えば、1.0Kg/cm〜10.0Kg/cm、2.0Kg/cm〜8.0Kg/cmまたは、3.0Kg/cm〜6.0Kg/cmの圧力で遂行され得る。前記のような温度および/または圧力範囲で気相フィードの脱水工程を効率的に進行することができる。ところが、前記温度および/または圧力の範囲は目標とする脱水量および用いられる分離膜の種類を考慮して適宜変更できる。
【0014】
前記透過蒸発システムまたは、蒸気透過システムに用いることができる分離膜は用いられる素材の種類によって、ポリマーメンブレンなどの有機分離膜、無機分離膜、有機物と無機物を混合して製造される有無機分離膜などが挙げられ、本出願の脱水手段(D)においては、技術分野で公知された多様な分離膜を目的とする分離成分に応じて多様に利用することができる。例えば、親水性分離膜として、シリカゲルからなる分離膜、PVAまたはポリイミドのようなポリマーからなる分離膜およびゼオライト分離膜などを利用することができるが、目的とする脱水量およびフィードの組成を考慮して適宜変更できる。前記ゼオライト分離膜としては、Pervatech社のゼオライト膜、i3nanotec社のゼオライトA分離膜、ゼオライトNaA分離膜などを利用することができるが、これに制限されるものではない。分離膜の強度を維持するために、ポリマー分離膜に無機物をコーティングして使うこともできる。
【0015】
また、前記透過蒸発システムまたは、蒸気透過システムは真空装置を含むことができる。前記真空装置はフィードのうち、分離したい成分が分離膜と接触した後、前記膜から容易に分離できるように、真空を形成する装置を意味し、真空貯蔵タンクおよび真空ポンプで構成された装置などが挙げられる。
【0016】
例示的な前記脱水手段(D)は、前記メンブレンシステム100の他に、吸着剤が充填されたカラムをさらに含むことができる。例えば、吸着剤が充填されたカラムは、例えば、前述したメンブレンシステム100を通過して含水量が1,200ppm以下に調節されたフィードが導入されれば、第2脱水工程を通じて前記フィード内の含水量を50ppm〜500ppm、例えば、100ppm〜500ppmまたは、150ppm〜500ppmに調節して排出することができるように設置されていることもあり得る。前記カラムを通じて含水量を前記範囲に調節することによって続く精製工程の効率を上げることができる。
【0017】
一つの例示において、前記吸着剤は技術分野で公知された多様な吸着剤を用いることができ、例えば、分子篩(molecular sieve)、シリカゲル、活性アルミナ、活性炭または、イオン交換樹脂を用いることができるが、これに制限されるものではない。
【0018】
例えば、前記脱水手段(D)の分子篩としては、前記のような脱水能力を有するように設置される限り特に制限されず、公知の分子篩を用いることができる。例えば、分子篩としては、ゼオライト系列の分子篩、シリカ系列の分子篩、アルミナ系列の分子篩、シリカ−アルミナ系列の分子篩または、シリケート−アルミナ系列の分子篩などを用いることができる。
【0019】
分子篩としては、例えば、細孔の平均大きさが1.0Å〜5.0Åまたは、2.0Å〜4.0Å程度である分子篩を用いることができる。また、前記分子篩の比表面積は、例えば、100m/g〜1,500m/g程度であり得る。このような範囲の細孔の大きさおよび比表面積を有する分子篩の使用を通じて脱水手段(D)の脱水能力を適切に調節することができる。
【0020】
一つの例示において、脱水手段(D)は、分子篩が充填されているカラムを2個以上含むことができる。2個以上のカラムを脱水手段(D)に含ませて、前記複数のカラムにフィードを交互に供給するなどの方式を採用する場合、工程の効率をより高めることができる。
【0021】
前記方法は、脱水過程で分子篩に吸着された水を脱着して分子篩を再生するのをさらに含むことができる。前記分子篩の脱着工程は、例えば、脱水工程に続く精製工程の進行過程で遂行することができ、または、前記のように複数のカラムが用いられる場合、いずれか一つのカラムが脱水工程を進行する間、他のカラムに対して遂行することができる。
【0022】
前記再生は、例えば、アルゴン、二酸化炭素または、窒素などやメタン、エタン、プロパンまたはブタンなどのような低級アルカンなどを用いて遂行できる。一つの例示において、前記再生工程は窒素ガスを用いて遂行できる。窒素ガスを用いる場合に再生工程は175℃〜320℃または、180℃〜310℃程度の温度で遂行できる。また、脱着のために供給される窒素ガスの流量は、例えば、約1,100Nm/hr〜1,500Nm/hr程度に調節することができる。前記範囲内で再生ないしは脱着工程が効率的に遂行され得る。ところが、前記温度および流量などは具体的な分子篩の種類や使用量などによって異なり得る。
【0023】
前記脱水工程を経て含水量が1,200ppm以下に調節されたフィードは精製手段(P)に供給されて精製工程が進行され得る。一つの例示において、前記精製手段(P)は分離壁型蒸留塔(Divided Wall Column,DWC)であり得る。
【0024】
前記において、分離壁型蒸留塔200は、いわゆる低沸点、中沸点および高沸点の3成分を含むフィードの蒸留のために考案された装置である。分離壁型蒸留塔200は、いわゆる熱複合蒸留カラム(Petlyuk column)と熱力学的な観点で類似の装置である。熱複合蒸留カラムの場合は、予備分離器と主分離器を熱的に統合した構造を有する。前記カラムは低沸点および高沸点物質を一次的に予備分離器で分離し、予備分離器の塔頂および塔底部分が主分離器の供給段にそれぞれ流入され主分離器で低沸点、中沸点および高沸点物質をそれぞれ分離するように考案されている。これに対して、分離壁型蒸留塔の場合は、塔内に分離壁201を設置して予備分離器を主分離器内部に統合させた形態である。
【0025】
分離壁型蒸留塔200は、例えば、図2に示したような構造を有することができる。図2は、例示的な分離壁型蒸留塔200を表す。図2に示した通り、例示的な蒸留塔は、内部が分離壁201により分割されていて、上部の凝縮器202および下部の再沸器203などを含む構造を有することができる。
【0026】
また、分離壁型蒸留塔200の内部は図面で点線にて仮想的に分割されているように、例えば、低沸点流れが排出される塔頂領域210、高沸点流れが排出される塔底領域220、フィードが流入される原料供給領域230および生成物が流出される生成物流出領域240に区分することができ、前記原料供給領域230は上部供給領域231および下部供給領域232に、前記生成物流出領域240は上部生成物流出領域241および下部生成物流出領域242に区分することができる。前記において、用語「上部および下部供給領域」は、それぞれ分離壁型蒸留塔200の構造で分離壁201によって分割される空間のうち、フィードが供給される側の空間、すなわち原料供給領域230を蒸留塔の長さ方向に二等分した時に上部および下部領域を意味し得る。また、「上部および下部生成物流出領域」は、それぞれ分離壁型蒸留塔200の内部の分離壁201により分割される空間のうち、生成物が流出される側の空間、すなわち、生成物流出領域240を蒸留塔の長さ方向に二等分した時に上部および下部領域を意味し得る。前記「低沸点流れ」とは低沸点、中沸点および高沸点成分の3成分を含むフィードの流れのうち相対的に沸点が低い成分が濃厚(rich)な流れを意味し、前記「高沸点流れ」とは低沸点、中沸点および高沸点成分の3成分を含むフィードの流れのうち相対的に沸点が高い成分が濃厚(rich)な流れを意味する。
【0027】
本出願の精製方法において、分離壁型蒸留塔200の原料供給領域230に流入されたフィードは前記分離壁型蒸留塔200の内部で精製される。また、前記原料供給領域230に流入されたフィード内で相対的に低い沸点を有する成分は塔頂領域210側に移動することになって、相対的に高い沸点を有する成分は塔底領域220側に移動することになる。前記塔底領域220に移動した成分のうち相対的に低い沸点を有する成分は生成物流出領域240に移動されて生成物の流れに流出されるかまたは、塔頂領域210に移動され、前記塔底領域220に移動した成分のうち相対的に高い沸点を有する成分は塔底領域220から高沸点流れに排出される。前記塔底領域220から流出した高沸点流れの一部は高沸点成分の流れに排出され、残りの一部は再沸器203で加熱された後、前記分離壁型蒸留塔200の塔底領域220に再流入され得る。一方、前記塔頂領域210では水分の含量が非常に濃厚な低沸点成分の流れが流出され、前記塔頂領域210から流出された流れは凝縮器202で凝縮され、凝縮された流れの一部は排出され、残りの一部は前記分離壁型蒸留塔200の塔頂領域210に再流入され得る。また、塔頂領域210で再流入される流れは再び分離壁型蒸留塔200で精製されることによって、塔頂領域210から流出されるIPAの含量を最小化し、塔頂領域210から流出される水の含量を最大化することができる。
【0028】
前記精製方法で使用できる分離壁型蒸留塔200の具体的な種類は特に制限されない。例えば、図2に示したような一般的な構造の分離壁型蒸留塔を用いたり、精製効率を考慮して蒸留塔内の分離壁の位置や形態が変更設計された蒸留塔を用いることも可能である。また、蒸留塔の段数および内径なども特に制限されず、例えば、フィードの組成を考慮した蒸留曲線から類推される理論段数などをベースに設定することができる。
【0029】
前記方法で精製工程を遂行する分離壁型蒸留塔200は、例えば、含水量が1,200ppm以下に調節されたフィードが導入されれば、精製工程を通じて前記フィード内の含水量を150ppm以下、例えば、120ppm以下、110ppm以下、100ppm以下、80ppm以下、60ppm以下、50ppm以下、30ppm以下または、10ppm以下に下げて排出することができるように設置されていることもあり得る。したがって、前記精製工程においては、分離壁型蒸留塔200に供給したフィードから水を除去してフィードの含水量を150ppm以下、例えば、120ppm以下、110ppm以下、100ppm以下、80ppm以下、60ppm以下、50ppm以下、30ppm以下または、10ppm以下に調節することを含むことができる。前記分離壁型蒸留塔200を通じて含水量を前記範囲に調節するのようにIPAを高純度に精製することができる。
【0030】
分離壁型蒸留塔200は、例えば、メンブレンシステム100を経たフィードが前記蒸留塔の原料供給領域230に供給されるように設置されていることもあり得る。したがって、前記精製工程では脱水工程を経た含水量が1,200ppm以下に調節されたフィードを蒸留塔の原料供給領域230に供給することができる。分離壁型蒸留塔200でフィードの供給時には前記フィードの組成を考慮する時、例えば図2に示したように、フィードを上部供給領域231に供給すれば、効率的な精製が可能であり得る。
【0031】
このような過程を経て分離壁型蒸留塔200では、精製されたIPAを含み、含水量が150ppm以下である生成物が下部生成物流出領域242、好ましくは前記下部生成物流出領域242の中間部で排出されるように設置され得る。すなわち、前記精製方法は精製されたIPAを含み、含水量が150ppm以下である生成物を分離壁型蒸留塔200の下部生成物流出領域242、好ましくは前記分離壁型蒸留塔200の塔頂を基準として算出された理論段数の50%〜90%、55%〜80%または、60〜75%の段から収得することを含むことができる。例えば、分離壁型蒸留塔200の理論段数が100段である場合、前記含水量が150ppm以下である生成物は50〜90段または、60〜75段で流出することができ、このように生成物の排出位置を調節して精製工程の効率をより増加させることができる。前記において、「下部生成物流出領域の中間部」という下部生成物流出領域242を分離壁型蒸留塔200の長さ方向に2等分した地点を意味する。
【0032】
前記のように含水量が1,200ppm以下に調節されたフィードの水分含量を150ppm以下に調節するために必要な前記分離壁型蒸留塔200の理論段数は70〜120段、80段〜110段または、85〜100段であり得るが、これに制限されず、流入されるフィードの流量および工程条件により適宜変更できる。
【0033】
一方、分離壁型蒸留塔200の場合、Petlyuk蒸留塔とは違って、設計が決まると内部循環の流れ量が調節できない構造的特性によって運転条件変動に対する柔軟性が劣るので、蒸留塔の初期設計段階で多様な外乱(disturbance)に対する正確な模写と容易な制御が可能な制御構造の決定が必要であり、ひいては分離壁型蒸留塔200で供給段の位置、分離壁区間設定、中沸点物質の生産段位置、総理論段数、蒸留温度および蒸留圧力などの蒸留塔の設計構造および運転条件に対する内容は非常に制限されているだけでなく、特に、蒸留しようとする対象化合物の性質により蒸留塔の段数、供給段および流出段の位置などの設計構造および蒸留温度、圧力および還流比などの運転条件が特別に変更されなければならない。本出願の精製方法では、前述した通り、エネルギーを節減し設備費を節減できるように、IPAの精製に適合に設計された分離壁型蒸留塔200の運転条件を提供することができる。
【0034】
一つの例示において、前記のように、含水量が1,200ppm以下に調節されたフィードが分離壁型蒸留塔200に導入され、前記分離壁型蒸留塔200で精製工程を通じて前記フィード内の含水量を150ppm以下に調節する場合、前記分離壁型蒸留塔200の塔頂領域210の還流比は30〜70、例えば、40〜60、または、45〜60の範囲に調節することができる。例えば、分離壁型蒸留塔200に導入されるフィード内の水の含量が高いほど前記フィード内の水を除去して高純度のIPAを得るための塔頂領域210の還流比を大きく調節する必要があるが、本出願の精製方法では、分離壁型蒸留塔200に導入されるフィード内の水の含量を1,200ppm以下に調節し、また、分離壁型蒸留塔200内の塔頂領域210の還流比を前記のように特定範囲に調節することによって、下部生成物流出領域242で収得するIPA内の水分の含量を非常に低く調節することができる。
【0035】
前記フィードは、例えば、5,000Kg/hr〜13,000Kg/hr程度の流量で分離壁型蒸留塔200に供給され得る。また、前記供給されるフィードの温度は、例えば、50℃〜135℃、60℃〜110℃または、80℃〜100℃程度に調節することができる。前記のような流量と温度でフィードを供給すれば適切な蒸留効率を達成することができる。
【0036】
前記のように、含水量が1,200ppm以下に調節されたフィードを分離壁型蒸留塔200に供給して進行される蒸留時に分離壁型蒸留塔200の塔頂領域210の運転温度は、40℃〜120℃、例えば、45℃〜110℃、50℃〜105℃、55℃〜100℃または、60℃〜100℃程度に調節することができる。この場合、前記分離壁型蒸留塔200の塔頂領域210の運転圧力は、0.1Kg/cm〜10.0Kg/cm例えば、0.2Kg/cm〜5.5Kg/cm、0.3Kg/cm〜4.5Kg/cm、0.6Kg/cm〜4.0Kg/cm、0.8Kg/cm〜3.5Kg/cmまたは、0.82Kg/cm〜3.2Kg/cm程度に調節することができる。このような運転温度および圧力でフィードの組成による効率的な蒸留が可能であり得る。本明細書で圧力は、特に断らない限り絶対圧力(absolute pressure)を意味する。
【0037】
前記分離壁型蒸留塔200内部の運転および圧力条件は前記塔頂領域210の温度および圧力条件により変更され得る。一つの例示において、前記分離壁型蒸留塔200の塔頂領域210の温度が40℃〜120℃に調節される場合、前記分離壁型蒸留塔200の下部生成物流出領域242から流出される流出の流れの温度は、60℃〜130℃、例えば、70℃〜120℃、75℃〜115℃または、78℃〜115℃であり得る。また、前記分離壁型蒸留塔200の塔頂領域210の圧力が0.2Kg/cm〜5.5Kg/cmに調節される場合、前記分離壁型蒸留塔200の下部生成物流出領域242の運転圧力は、0.3Kg/cm〜6.0Kg/cm、例えば、0.8Kg/cm〜3.8Kg/cm、0.9Kg/cm〜3.5Kg/cm、0.95Kg/cm〜3.3Kg/cmまたは、0.98Kg/cm〜3.27Kg/cmであり得る。このような運転温度および圧力でフィードの組成による効率的な蒸留が可能であり得る。
【0038】
また、前記分離壁型蒸留塔200の塔頂領域210の温度が40℃〜120℃に調節される場合、前記分離壁型蒸留塔200の塔底領域220の運転温度は、80℃〜160℃、例えば、90℃〜150℃、95℃〜140℃または、98℃〜138℃であり得る。また、前記分離壁型蒸留塔200の塔頂領域210の圧力が0.2Kg/cm〜5.5Kg/cmに調節される場合、前記分離壁型蒸留塔200の塔底領域220の運転圧力は、0.3Kg/cm〜6.0Kg/cm、例えば、0.8Kg/cm〜4.0Kg/cm、1.0Kg/cm〜3.5Kg/cmまたは、1.05Kg/cm〜3.4Kg/cm程度に調節することができる。このような運転温度および圧力でフィードの組成による効率的な蒸留が可能であり得る。
【0039】
前記において、分離壁型蒸留塔200の運転条件は、精製効率などを考慮して、必要に応じて追加的に調節することができる。
【0040】
前記精製工程が進行される分離壁型蒸留塔200の他の条件、例えば、各蒸留塔の段数または、内径などは特に制限されない。例えば、前記分離壁型蒸留塔200の理論段数はフィードの蒸留曲線などによって算出される理論段数に基づいて決定することができる。また、前記分離壁型蒸留塔200での上部および下部排出物の流量などは、例えば、前述した運転圧力および温度の達成ができるように設定され得る。
【0041】
本出願はまたIPAの精製装置に関するものである。例示的な精製装置は、前述した精製方法に適用されるための装置であり得る。
【0042】
したがって、前記精製装置は、例えば、前述したフィードが供給されれば、前記フィードの含水量を1,200ppm以下に下げて排出することができるように設置された脱水手段(D)および前記脱水手段(D)を経たフィードが導入されて精製工程が進行され得る精製手段(P)を含むことができる。
【0043】
前記精製装置と関連した具体的な内容は、例えば、すでに記述した事項が同一または類似に適用され得る。
【0044】
例えば、前記脱水手段(D)はメンブレンシステム100であり得る。前記脱水手段(D)のメンブレンシステム100としては、分離膜を利用したシステムであれば、特に制限されないが、例えば、透過蒸発(pervaporation)システムまたは、蒸気透過(vapor permeation)システムなどを利用することができる。
【0045】
前述した通り、前記透過蒸発システムまたは、蒸気透過システムに用いることができる分離膜は用いられる素材の種類によって、ポリマーメンブレンなどの有機分離膜、無機分離膜、有機物と無機物を混合して製造される有無機分離膜などが挙げられ、本出願の脱水手段(D)においては、技術分野で公知された多様な分離膜を目的とする分離成分に応じて多様に利用することができる。例えば、親水性分離膜として、シリカゲルからなる分離膜、PVAまたはポリイミドのようなポリマーからなる分離膜およびゼオライト分離膜などを利用することができるが、目的とする脱水量およびフィードの組成を考慮して適宜変更できる。例えば、前記ゼオライト分離膜としては、Pervatech社のゼオライト膜、i3nanotec社のゼオライトA分離膜、ゼオライトNaA分離膜などを利用することができるが、これに制限されるものではない。
【0046】
また、前記透過蒸発システムまたは、蒸気透過システムは真空装置を含むことができる。前記真空装置はフィードのうち、分離したい成分が分離膜と接触した後、前記膜から容易に分離できるように、真空を形成する装置を意味し、真空貯蔵タンクおよび真空ポンプで構成された装置などが挙げられる。
【0047】
例示的な前記脱水手段(D)には、前記メンブレンシステム100の他に、吸着剤が充填されたカラムをさらに含むことができる。
【0048】
一つの例示において、前記吸着剤は技術分野で公知された多様な吸着剤を用いることができ、例えば、分子篩、シリカゲル、活性アルミナ、活性炭または、イオン交換樹脂を用いることができるが、これに制限されるものではない。
【0049】
例えば、前記脱水手段(D)の分子篩としては、前記のような脱水能力を有するように設置される限り特に制限されず、公知の分子篩を用いることができる。例えば、分子篩としては、ゼオライト系列の分子篩、シリカ系列の分子篩、アルミナ系列の分子篩、シリカ−アルミナ系列の分子篩または、シリケート−アルミナ系列の分子篩などを用いることができる。
【0050】
分子篩としては、例えば、細孔の平均大きさが1.0Å〜5.0Åまたは、2.0Å〜4.0Å程度である分子篩を用いることができる。また、前記分子篩の比表面積は、例えば、100m/g〜1,500m/g程度であり得る。このような範囲の細孔の大きさおよび比表面積を有する分子篩の使用を通じて脱水手段(D)の脱水能力を適切に調節することができる。
【0051】
一つの例示において、脱水手段(D)は、分子篩が充填されているカラムを2個以上含むことができる。
【0052】
前記精製装置は、例えば、前記脱水手段(D)を経たフィードが導入されて精製工程が進行され得る精製手段(P)を含むことができ、前記精製手段(P)は分離壁型蒸留塔(Divided Wall Column,DWC)であり得る。
【0053】
前記において、分離壁型蒸留塔200は、例えば、脱水手段(D)を経たフィードが分離壁型蒸留塔200の原料供給領域230、例えば、上部供給領域231に供給されるように設置されていることもあり得る。また、前記分離壁型蒸留塔200は、IPAを含む生成物が下部生成物流出領域242、好ましく下部生成物流出領域242の中間部から排出されるように設置されていることもあり得る。
【0054】
前記分離壁型蒸留塔200と関連した具体的な説明は前述した精製方法で説明した内容と同一であるので省略する。
【発明の効果】
【0055】
本出願では、最小量のエネルギー消費で水とIPAを含むフィードからIPAを高純度に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】前記方法の進行を例示的に示している図面。
図2】前記方法で用いられる精製手段を例示的に示している図面。
図3】本出願の第1実施例に係る精製装置を例示的に示している図面。
図4】本出願の比較例に係る精製装置を例示的に示している図面。
図5】本出願の比較例に係る精製装置を例示的に示している図面。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、実施例および比較例を通じて前記方法を詳細に説明するが、前記方法および装置の範囲は下記に提示された実施例によって制限されるものではない。
【0058】
実施例1
図3のように配置されているメンブレンシステムおよび前記メンブレンシステムと連結された分離壁型蒸留塔を用いてIPAを精製した。具体的に、脱水手段としては、メンブレン(HybSi membrane、Pervatech社)装置および真空装置を含む透過蒸発システムを用いた。フィードとしては、IPA 98.6重量%、水約3,000ppmおよびその他不純物約1.1重量%を含む液相フィードを用いた。前記のようなフィードを前記メンブレンシステムに90℃の温度で供給してフィード内の含水量が約1,000ppmとなるように脱水工程を進めた。その後、脱水工程を経た含水量が約1,000ppmであるフィードを分離壁型蒸留塔の原料供給領域、具体的には塔頂を基準として算出された理論段数が90段である分離壁型蒸留塔の20段に導入して精製を進め、IPAを含む生成物は下部生成物流出領域、具体的には塔頂を基準として算出された理論段数が90段である分離壁型蒸留塔の60段で収得した。
【0059】
前記において、分離壁型蒸留塔の塔頂領域の還流比は57に調節し、塔頂領域の運転温度および圧力はそれぞれ約71℃および1.1Kg/cmに調節した。この場合、高純度のIPAが流出される下部生成物流出領域の運転温度および圧力はそれぞれ約98℃および1.34Kg/cmであり、塔底領域の運転温度および圧力はそれぞれ約109℃および1.37Kg/cmであった。
【0060】
この場合、下部生成物流出領域で収得したIPA内の高沸点成分の含量は約32ppmと測定された。
【0061】
実施例2
塔頂領域の還流比を54に調節したことを除いては、実施例1と同じ方式で工程を進めて精製を遂行した。
【0062】
実施例3
塔頂領域の還流比を46に調節したことを除いては、実施例1と同じ方式で工程を進めて精製を遂行した。
【0063】
実施例4
IPAを含む生成物を理論段数が90段である分離壁型蒸留塔の45段で収得したことを除いては、実施例1と同じ方式で工程を進めて精製を遂行した。
【0064】
実施例5
IPAを含む生成物を理論段数が90段である分離壁型蒸留塔の70段で収得したことを除いては、実施例1と同じ方式で工程を進めて精製を遂行した。
【0065】
この場合、下部生成物流出領域で収得したIPA内の高沸点成分の含量は約40ppmと測定された。
【0066】
実施例6
塔頂領域の運転温度および圧力をそれぞれ約60℃および0.82Kg/cmに調節したことを除いては、実施例1と同じ方式で工程を進めて精製を遂行した。
【0067】
この場合、下部生成物流出領域の運転温度および圧力はそれぞれ約78℃および0.98Kg/cmであり、塔底領域の運転温度および圧力はそれぞれ約98℃および1.05Kg/cmであった。
【0068】
実施例7
塔頂領域の運転温度および圧力をそれぞれ約100℃および3.2Kg/cmに調節し、最終的に収得したIPA内の水分含量が100ppmを維持するようにするための還流比を適用したことを除いては、実施例1と同じ方式で工程を進めて精製を遂行した。
【0069】
この場合、下部生成物流出領域の運転温度および圧力はそれぞれ約115℃および3.27Kg/cmであり、塔底領域の運転温度および圧力はそれぞれ約138℃および3.4Kg/cmであった。
【0070】
比較例1
IPA 98.6重量%、水約3,000ppmおよびその他不純物約1.1重量%を含む液相フィードを、図4のように脱水工程を経ずに2基の一般型蒸留塔が連結された精製装置に流入させて精製した。この場合、第1蒸留塔の塔頂運転温度および圧力はそれぞれ約76℃および1.12Kg/cmに調節し、塔底運転温度および圧力は約93℃および1.54Kg/cmに調節した。また、第2蒸留塔の塔頂運転温度および圧力はそれぞれ約83℃および1.04Kg/cmに調節し、下部運転温度および圧力は約110℃および1.18Kg/cmに調節した。
【0071】
比較例2
図5のように、メンブレンシステムを透過したフィードが分離壁型蒸留塔の代わりに2基の一般型蒸留塔が連結された精製装置に流入させて精製したことを除いては、実施例1と同じ方式で工程を進めた。この場合、第1蒸留塔の塔頂運転温度および圧力はそれぞれ約70℃および1.12Kg/cmに調節し、塔底運転温度および圧力は約93℃および1.54Kg/cmに調節した。また、第2蒸留塔の塔頂運転温度および圧力はそれぞれ約83℃および1.04Kg/cmに調節し、塔底運転温度および圧力は約110℃および1.18Kg/cmに調節した。
【0072】
比較例3
IPA 98.6重量%、水約3,000ppmおよびその他不純物約1.1重量%を含む液相フィードを脱水工程を経ずに、直接図2に示したような分離壁型蒸留塔に導入したことを除いては、実施例1と同じ方式で工程を進めた。この場合、分離壁型蒸留塔の塔頂領域の還流比は52に調節し、塔頂領域の運転温度および圧力はそれぞれ約78℃および1.12Kg/cmに調節し、塔底領域の運転温度および圧力はそれぞれ約111℃および1.37Kg/cmに調節した。
【0073】
比較例4
IPAを含む生成物を理論段数が90段である分離壁型蒸留塔の35段で収得したことを除いては、実施例1と同じ方式で工程を進めて精製を遂行した。
【0074】
比較例5
IPAを含む生成物を理論段数が90段である分離壁型蒸留塔の85段で収得したことを除いては、実施例1と同じ方式で工程を進めて精製を遂行した。
【0075】
この場合、下部生成物流出領域で収得したIPA内の高沸点成分の含量は約442ppmと測定された。
【0076】
比較例6
脱水手段を経て精製手段に導入されるフィード内の含水量を1,500ppm程度に調節したことを除いては、実施例1と同じ方式で工程を進めた。
【0077】
前記実施例および比較例で使われた全体エネルギー使用量およびIPA内の水分含量を下記の表1および表2に整理して記載した。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【符号の説明】
【0080】
100 メンブレンシステム
200 分離壁型蒸留塔
210 塔頂領域
220 塔底領域
230 原料供給領域
240 生成物流出領域
図1
図2
図3
図4
図5