特許第6181428号(P6181428)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181428
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】ウェーハ研磨装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20170807BHJP
   B24B 37/04 20120101ALI20170807BHJP
【FI】
   H01L21/304 622H
   H01L21/304 622L
   B24B37/04
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-110113(P2013-110113)
(22)【出願日】2013年5月24日
(65)【公開番号】特開2014-229828(P2014-229828A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2015年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(74)【代理人】
【識別番号】100060575
【弁理士】
【氏名又は名称】林 孝吉
(72)【発明者】
【氏名】金澤 雅喜
【審査官】 川原 光司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0270080(US,A1)
【文献】 特開2012−069677(JP,A)
【文献】 特開平11−262854(JP,A)
【文献】 特開2009−076720(JP,A)
【文献】 特開2001−313326(JP,A)
【文献】 特開平03−120718(JP,A)
【文献】 特開平11−170169(JP,A)
【文献】 特開2004−114184(JP,A)
【文献】 特開2012−020374(JP,A)
【文献】 特開平09−225768(JP,A)
【文献】 特開2001−060617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 3/00−7/30
B24B 21/00−39/06
H01L 21/304
H01L 21/463
H01L 21/67−21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハの研磨装置であって、
該研磨装置は、ウェーハを吸着保持するロータリチャックテーブルを有し、該ロータリチックテーブルに、ウェーハの外周部に近接して該ウェーハを収容する外周リングを嵌入できる凹部を設け、該凹部に前記外周リングを嵌入して、該外周リング内にウェーハの上面が突出する程度にして該ウェーハを該外周リング内に収容するとともに、該外周リング内に注水し、且つ、該ウェーハの下面と前記ロータリチャックテーブルとの間に水を介在させた状態で前記下面より該ウェーハを真空引きし、このとき、注水された水の表面張力により、ウェーハと前記外周リング間が封止されて真空圧が保持されるように形成し、この状態でウェーハ表面を平坦に研磨できるように構成されていることを特徴とするウェーハ研磨装置。
【請求項2】
上記外周リング内に収容されたウェーハが、ロータリチャックテーブルに真空圧にて吸着保持されるとき、該真空圧は、所定圧に調整されて、管路をブロックできるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のウェーハ表面の研磨装置。
【請求項3】
上記ロータチャックテーブルに配設されている外周リング内に収容されたウェーハは、上記注水された水が真空圧にて圧縮されたとき、該圧縮水と共に平坦面に形成されることができるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のウェーハ研磨装置。
【請求項4】
上記ロータリチャックテーブルに吸着されているウェーハ下面に水を供給して該ウェーハを該ロータリチャックテーブルから離脱できるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のウェーハ研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウェーハ研磨装置に関するものであり、特にサファイア基板やSic基板の半導体インゴットを切断してスライスウェーハを形成する際、該ウェーハの表裏両面にうねり(凸凹面)が発生している。そこで、該ウェーハの片面を基準面として他面を平坦に切削するとき、該うねり面の影響を抑制して該ウェーハ表面を平坦面に研磨できるようにしたウェーハ研磨装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ウェーハ表面を研磨する際には、一般的に研削盤やラップ盤が用いられている。而も、上記のようにウェーハ表面にうねりがあると、該研削盤やラップ盤で用いられているウェーハのアルミナチャックではウェーハの下面から真空引きして該ウェーハを該アルミナチャックに吸着しようとしても、前記うねりによって真空圧がリークし、該ウェーハの確実な吸着ができないことがある。
【0003】
又、吸着ができたとしても、吸着時に発生するうねり形状に倣った応力を抱えた状態でウェーハ表面の研磨を実施するため該切削加工を終了し、前記吸着状態を脱した際に該うねりが復元化するという問題が生じる。
【0004】
上記事情に鑑み、上記うねりの影響を受けないようにウェーハを上記アルミナチャックに吸着する手段として、ウェーハの片面にワックス、フェノール系樹脂等の経時硬化性の膜部材を塗布し、然る後、該ウェーハを真空容器内に入れ、該真空容器内で押圧具、スキージ等の押圧手段によって前記膜部材を押圧し、押圧された該膜部材の表面を平坦化して基準面を形成する。このとき、真空容器内で膜部材が押圧され、該膜部材内の気泡が完全に膜部材外に放出されるので、該膜部材は均一平坦面を形成することになる。更に、該ウェーハを前記真空容器外に取り出して加熱し、前記基準面を形成する膜部材を硬化させるのである。
【0005】
次に、基準面が形成されたウェーハを該基準面を研削装置のロータリチャックテーブルに当該ウェーハの下面より真空引きして該ウェーハを該ロータリチャックテーブルに真空吸着させ、該ロータリチャックテーブルに該ウェーハを保持させて研磨する。然るときは、該ウェーハは真空吸着により強力に吸引され、ウェーハに大きな応力が負荷されるが、ウェーハの前記基準面がロータリチャックテーブルに密着しているので、ウェーハに応力が均一に負荷されて該ウェーハは弾性変形が生じない。該ウェーハがこのような状態で保持された前記ロータリチャックテーブルを回転させ、上方からダイアモンドホイールを高速回転させながら降下させ、該ウェーハが所定厚になるまで該ウェーハ表面を研磨する。
【0006】
ウェーハの片面の研磨が完了し、そして、上記ウェーハ表面が平坦面に均一に研磨された時は、該平坦面を基準面として、ロータリチャックテーブルに密着させ、前記研削を実施することにより、うねりによって生じる弾性変形を抑制し、他面も平坦面に均一に研磨されることになる。(例えば特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−111653
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したようにうねり面にワックスを塗布してワックス膜を形成し、ウェーハ研磨の基準面を形成している従来例(特許文献1)は、ワックスの塗布工程、ウェーハの貼り付け工程、ウェーハからの剥離工程、洗浄工程等が必要となり、作業工程が極めて複雑になるばかりでなく、ワックスを均等に塗布することが困難となる。又、研磨加工後のウェーハの厚み制御も難しい。
【0009】
そこで、本発明は、上記欠陥に鑑み、之を克服するためにワックスを用いることなく、且つ、簡易な構成によってうねりを有するウェーハをロータリチャックテーブルに確実に真空圧にて吸着保持させ、且つ、該真空圧が確実に保持されて、該ウェーハが該ロータリチャックテーブルから離脱することなく確実に保持され、該ウェーハの他面が均一なる平坦面に研削できるようにするために解決すべき技術的課題が生じるのであり、本発明は該課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、ウェーハの研磨装置であって、該研磨装置は、ウェーハを吸着保持するロータリチャックテーブルを有し、該ロータリチックテーブルに、ウェーハの外周部に近接して該ウェーハを収容する外周リングを嵌入できる凹部を設け、該凹部に前記外周リングを嵌入して、該外周リング内にウェーハの上面が突出する程度にして該ウェーハを該外周リング内に収容するとともに、該外周リング内に注水し、且つ、該ウェーハの下面と前記ロータリチャックテーブルとの間に水を介在させた状態で前記下面より該ウェーハを真空引きし、このとき、注水された水の表面張力により、ウェーハと前記外周リング間が封止されて真空圧が保持されるように形成し、この状態でウェーハ表面を平坦に研磨できるように構成されていることを特徴とするウェーハ研磨装置を提供する。
【0011】
この構成によれば、ロータリチャックテーブルに設けた外周リング内にウェーハを収容するとき、該ウェーハの上面は外周リングよりやや上方へ突出されている。而も、この外周リングと該外周リング内に収容されるウェーハ外周とは微細な間隙を有しているので、該ウェーハ上面より注水するとき、該注水された水の表面張力によりウェーハと外周リング間が封止される。そこで、ウェーハの下面より真空引きして該ウェーハをロータリチャックテーブルに保持して、ウェーハ表面を平坦に研磨する。
【0012】
請求項2記載の発明は上記外周リング内に収容されたウェーハが、ロータリチャックテーブルに真空圧にて吸着保持されるとき、該真空圧は、所定圧に調整されて、管路をブロックできるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のウェーハ表面の研磨装置を提供する。
【0013】
この構成によれば、ウェーハをロータリチャックテーブルに真空圧にて吸着保持するとき、該真空圧が減圧弁等の手段により所定圧に保持される。
【0014】
請求3記載の発明は、上記ロータリチャックテーブルに配設されている外周リング内に収容されたウェーハは、上記注水された水が真空圧にて圧縮されたとき、該圧縮水と共に平坦面に形成されることができるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のウェーハ研磨装置を提供する。
【0015】
この構成によれば、ロータリチャックテーブルに配設されている外周リング内に収容されたウェーハの裏面は注水された水が真空圧によって圧縮され、該圧縮水と共に平坦面を形成する。
【0016】
請求項4記載の発明は、上記ロータリチャックテーブルに吸着されているウェーハ下面に水を供給して該ウェーハを該ロータリチャックテーブルから離脱できるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のウェーハ研磨装置を提供する。
【0017】
この構成によれば、ウェーハがロータリチャックテーブルに吸着され、該ウェーハの研磨作業が終了したとき、該ウェーハの下面に水が供給されて、ウェーハの前記吸着状態を解除することになる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明は、ロータリチャックテーブルに保持されているウェーハが、該ウェーハを収容した外周リング内に注水した水の表面張力により、該ウェーハ下面より真空引きして該ウェーハを吸着する際、前記水の表面張力により、該ウェーハと外周リング間が封止されて真空圧が適当に保持され、またウェーハとロータリチャックテーブルの間に水が介在することで研磨時の応力がウェーハ全面に働き、ウェーハのうねり形状に影響されることなく、該ウェーハ表面が研磨盤等により平坦に、且つ、均一、確実に研磨されることになる。而も、前述したように、前記真空圧にてウェーハをロータリチャックテーブルに水を浸した状態でウェーハを吸着し、所定の真空圧にてウェーハを該ロータリチャックテーブルに吸着させるのであるから、簡易な構成でウェーハの確実な吸着状態が保持されることになり、経済的にも有利であり、従来例に比し、極めてコストダウンに寄与するが可能となる。
【0019】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記真空圧は減圧弁等により適正な所定圧に保持されるので、ウェーハの上記吸着状態は確実に維持され、ウェーハの研磨作業が順当に実施されることが可能となる。
【0020】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、ロータリチャックテーブルに配設された外周リング内にウェーハが収容され、そして、該外周リング内に注水し、注水された水は上記真空引きにて圧縮される。そこで、該ウェーハの裏面のうねり面は該圧縮水と共に平坦面を形成することになり、ロータリチャックテーブルに保持されているウェーハ裏面がウェーハ表面の研磨作業時の平坦な基準面を形成し、ウェーハの該うねり面に影響されることなく確実なウェーハ表面の研磨作業が実施されることになる。
【0021】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、ロータリチャックテーブルに吸着保持されているウェーハ表面の研磨作業が終了した後、該ウェーハは該ウェーハ下面より水を供給することにより、該水の押圧力にて吸着されているウェーハは該ロータリチャックテーブルから簡易に取り出すことができる。このとき、当然真空圧は解除される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明においてロータリチャックテーブルにウェーハを保持した状態を示す平面図。(但し、図において下部にはウェーハは吸着されていない。)
図2】ロータリチャックテーブル内に設けた凹部内に配設され、且つ、ウェーハを吸着する外周リングの斜視図。
図3図1のA−A線断面図
図4図1のB−B線断面図であって、ロータリチャックテーブルの下部に真空ポンプ及び給水管並びに切換弁を配設した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、ワックスを用いることなく、簡易な構成により、ウェーハをロータリチャックテーブルに確実に真空圧にて吸着保持させ、ウェーハのうねり面に影響されることなく、ウェーハ表面を平坦面に均一に研磨することができるウェーハ研磨装置を提供するという目的を達成するために、ウェーハの研削装置であって、該研削装置は、ウェーハを吸着保持するロータリチックテーブルを有し、該ロータリチェックテーブルに、ウェーハの外周部に近接して該ウェーハを収容する外周リングを嵌入できる凹部を設け、該凹部に前記外周リングを嵌入して、該外周リング内にウェーハの上面が突出する程度にして該ウェーハを該外周リング内に収容するとともに、該外周リング内に注水し、且つ、該ウェーハの下面と前記ロータリチャックテーブルとの間に水を介在させた状態で前記下面より該ウェーハを真空引きし、このとき、注水された水の表面張力により、ウェーハと前記外周リング間が封止されて真空圧が保持されるように形成し、この状態でウェーハ表面を平坦に研削できるように構成されていることを特徴とするウェーハ研削装置。
【実施例】
【0024】
以下、本発明に係るウェーハ研磨装置を添付図面に従って詳細に説明する。
【0025】
図1乃至図3において、符号1はロータリチャックテーブルである。該ロータリチャックテーブル1は図に示す形状に限定されず、様々の形状のものであってもよい。図におけるロータリチャックテーブル1は、平面円形に形成された前後左右(図において上下左右)に矩形状の溝部2が設けられている。該溝部2には、該溝部2の内周面に近接する避面によって形成された上下面開放の外周リング3が配設されている。而も、該外周リング3には本々ウェーハWの外周部が近接すると共に該ウェーハWの上面が夫々の外周リング3の上面よりやや突出するようにして該外周リング3内にウェーハWを夫々収容している。該ウェーハの両面にはうねり(凹凸面)がある。図3において、W1はウェーハWの裏面に生じている微細な凸面であり、W2は該ウェーハ裏面に生じている微細な凹面を示す。これ等微細な凹凸面によってウェーハ両面にうねり面が形成されている。
【0026】
又、該ロータリチャックテーブル1は、図4に示すように、該ロータリチャックテーブル1に保持されるウェーハWの下部に凹部4が夫々設けられて、夫々の凹部4が該ロータリチャックテーブル1に配設されている主管路5A及び該主管路5Aから分岐されている分岐回路5B、5Bに連通されている。該主管路5Aは真空ポンプ6からの真空管6A及び、水供給源7からの給水管路7Aと連通している。
【0027】
そこで、図4について詳述すれば、前記ロータリチャックテーブル1の下部中心部に前記主管路5Aが配設され、そして、該主管路5Aから前記各凹部4に連通する分岐管路5Bが設けられて、真空圧及び水の供給を夫々可能にしている。
【0028】
又、同図において、8A、8Bは夫々第一及び第二切換弁を示す。該第一切換弁8Aは主として真空ポンプ6からの真空圧の真空回路6A及び水供給源7及び給水管7Aの切換弁を構成している。又、該第一切換弁8Aの上部に該第一切換弁8Aと直列に第二切換弁8Bが配設されている。該第二切換弁8Bは、該第二切換弁8Bを右側に切り換えることにより、真空圧をロータリチャックテーブル1に設けられている主管路5A及び分岐管路5B内に封止できるように構成されている。すなわち、符号9は、真空圧の封止ポートを形成する。
【0029】
又、前記第一切換弁8A及び第二切換弁8Bの左側は、該真空圧並びに給排水のセンターバイパス10A、10Bが設けられて夫々連通され、且つ、前記ロータリチャックテーブル1に設けられている主管路5Aと連通している。
【0030】
又、該第一切換弁8Aの右側は前記水供給源7からの水の給排を為す給排水ポートを有し、前記第二切換弁8Bの右側のセンターバイパス10Bと連通して水の給排が行われる。
【0031】
而して、本実施例においては、前記切換弁8A、8Bはパイロット弁にて構成されているが、之に限定されることなく、他の切換弁に代えることも自由である。
【0032】
本実施例においては、前述したように切換弁としてパイロット弁を採択しており、そして、該パイロット弁を切り換えるために第一リモコン弁11A及び第二リモコン弁11Bを設け、第一リモコン弁11Aの操作レバー12A及び第二リモコン弁11Bの換作レバー12Bを有する該リモコン弁11A、11Bの夫々の二次側ポートは図4に示すように各パイロット回路13A、13B、13C並びに13Dを介して、前記第一及び第二切換弁8A、8Bの夫々対応するパイロットポートP1、P2、P3、P4に接続されている。斯くして、真空圧の給排並びに水の給排操作が前記第一操作レバー11A及び第二操作レバー12Bの操作により円滑に実施される。
【0033】
又、図3に示すように、ロータリチャックテーブル1の凹部2に配設された外周リング3には前述したようにウェーハWが夫々収容され、且つ、該ウェーハWの上面は外周リング3の上面よりやや突出するように収容されている。そこで、該ウェーハWを夫々収容した外周リング3の上面より水をかける。かけられた水は、外周リング3とウェーハWの微細な間隙を通過しながらウェーハWの裏面まで及ぶ。このとき、各ウェーハWの下面から真空引きするとき、該ウェーハWの夫々の裏面に形成されているうねりの微細凹面に水の毛細管現象の作用により水が浸入する。更に、上面からかけられた水は外周リング3の内周とウェーハWの上面間に水の表面張力によりウェーハWと外周リング3間が封止されて真空圧が保持されることになる。
【0034】
斯くして、外周リング3内に収容されているウェーハWは該真空圧によって確実保持されることになる。
【0035】
本発明は前述したように、ロータリチャックテーブルに真空圧にて保持されているウェーハWの裏面においては、該真空圧により、ウェーハWの上面からかけられる水がウェーハWの裏面において圧縮され、該圧縮水は更にウェーハ裏面のうねり面に浸入して該圧縮水と共にウェーハのうねり面が平坦面を形成する。そこで、該真空圧にて適正に吸着保持されるウェーハWの裏面に形成される前記平坦面をウェーハ研磨作業の基準面として該ウェーハWをロータリチャックテーブル1に保持し、該ウェーハWの表面を研磨すれば、ウェーハWの裏面のうねり面はウェーハ研磨に影響することなく、ウェーハ表面を均一平坦面、且つ、統一された厚みに研磨することが可能となるのである。
【0036】
又、前記真空圧は、減圧弁14によって適正に調整され、且つ、前記第二切換弁8Bの封止ポート9を介して、該真空圧は封止される。依って、所定圧に調整保持された真空圧によって、ウェーハWは確実にロータリチェックテーブル1に吸着保持されて、適正なるウェーハWの研磨が実行されることになる。
【0037】
而して、該ウェーハWの研磨作業が終了すれば、該ウェーハWは該ロータリチャックテーブル1から取り出すことになるが、この取り出し作業を実施するに当っては、前記水供給源7から前記給水管7Aを介し、且つ、前記第一切換弁8Aを右側の水の給排ポートの供給側に切替えることにより、該水は供給側のポートを介して切替弁8Bの前記センターバイパス10Bから前記ロータリチャックテーブル1に設けた主管路5Aを介し、夫々の分岐回路5B、5Bを介して、該分岐回路5B、5Bに連通している凹部4、4内に水が供給され、そして、供給される水圧により、該ロータリチャックテーブル1に吸着保持されている研磨済の各ウェーハWが該ロータリチャックテーブル1から容易に離脱されることになる。このとき、前記真空圧はセンターバイパス10A、10Bを介して解除されることになる。
【0038】
尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上説明したように、本発明はウェーハ研磨以外の研削操作にも応用できる。
【符号の説明】
【0040】
1 ・・・ ロータリチャックテーブル
2 ・・・ 溝部
3 ・・・ 外周リング
4 ・・・ 凹部
5A・・・ 主管路
5B・・・ 分岐回路
6 ・・・ 真空ポンプ
6A・・・ 真空回路
7 ・・・ 水供給源
7A・・・ 給水管
8A、8B ・・・ 第一及び第二切換弁
9 ・・・ 封止ポート
10A、10B ・・・ センターバイパス
11A、11B ・・・ リモコン弁
12A、12B ・・・ 接続レバー
13A、13B、13C、13D ・・・ パイロット回路
P1、P2、P3、P4 ・・・ パイロットポート
14・・・ 減圧弁
W ・・・ ウェーハ
W1・・・ 微細凸部
W2・・・ 微細凹部


図1
図2
図3
図4