(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181504
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】マヨネーズ様調味料
(51)【国際特許分類】
A23L 27/60 20160101AFI20170807BHJP
【FI】
A23L27/60 A
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-211723(P2013-211723)
(22)【出願日】2013年10月9日
(65)【公開番号】特開2015-73476(P2015-73476A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年4月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001421
【氏名又は名称】キユーピー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 聡
【審査官】
松岡 徹
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−317004(JP,A)
【文献】
特開平10−286083(JP,A)
【文献】
特開平05−023133(JP,A)
【文献】
特開2001−017119(JP,A)
【文献】
特開2005−192407(JP,A)
【文献】
特開昭60−118164(JP,A)
【文献】
特開2000−004825(JP,A)
【文献】
特開2002−017292(JP,A)
【文献】
特開平08−154625(JP,A)
【文献】
特開平10−174566(JP,A)
【文献】
特開昭55−108260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 27/00−40;27/60
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
WPIDS/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘度が50Pa・s以上である卵及び卵由来原料を配合していないマヨネーズ様調味料に
おいて、
辛子粉と、
グルコン酸塩とを含み、
グルコン酸塩の含有量が0.1%以上1%以下であり、
グルコン酸塩1部に対する辛子粉の含有質量比が0.01部以上1部以下である、
マヨネーズ様調味料。
【請求項2】
粘度が50Pa・s以上である卵及び卵由来原料を配合していないマヨネーズ様調味料の製造方法において、
グルコン酸塩を0.05%以上1%以下添加する工程と、
辛子粉を添加する工程を含み、
前記グルコン酸塩1部に対する前記辛子粉の含有質量比が0.01部以上3部以下である、
マヨネーズ様調味料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管後においても卵風味の感じられる卵及び卵由来原料を使用していないマヨネーズ様調味料に関する。
【背景技術】
【0002】
マヨネーズ等の酸性水中油型乳化調味料は野菜や魚肉等の調味料として広く利用されている。
マヨネーズの美味しさの一つが、卵の風味であるが、卵アレルギーの患者は卵を使用したマヨネーズを食することができない。
そのため、卵アレルギーの人のために、卵を使用していないマヨネーズ様調味料が市販されているが、物性や食感はマヨネーズに近いものの、マヨネーズ特有の卵の風味が感じられず、満足いくものではなかった。
【0003】
そのような問題を解決するため、香辛料又は香辛料抽出物を食酢に浸潤し、熟成させることで、卵風味を増加させる方法が提案されている。(特許文献1)
しかし、浸潤期間が長くなると卵風味が減少する問題があり、マヨネーズ様調味料を店頭や家庭で保管した際に、卵風味が徐々に減少する懸念があった。
また、マヨネーズ様調味料は、保管後に油や澱粉等の劣化臭が発生し、卵の風味を感じにくくなる問題もあり、保管後まで卵の風味を維持したマヨネーズ様調味料を開発することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−153955
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、保管後においても、卵の風味を感じることができる卵及び卵由来原料を使用していないマヨネーズ様調味料を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた。その結果、卵及び卵由来原料を使用していないマヨネーズ様調味料において、辛子粉とグルコン酸塩を併用することによって、保存後においても卵の風味が感じられるマヨネーズ様調味料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)粘度が50Pa・s以上である卵及び卵由来原料を使用していないマヨネーズ様調味料において、
辛子粉と、
グルコン酸塩とを含む、
マヨネーズ様調味料、
(2)(1)記載のマヨネーズ様調味料において、
グルコン酸塩1部に対する辛子粉の含有質量比が0.01部以上3部以下である、
マヨネーズ様調味料、
(3)(1)又は(2)に記載のマヨネーズ様調味料において、
グルコン酸塩の含有量が0.01%以上1%以下である、
マヨネーズ様調味料、
である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、卵及び卵由来原料を使用していないにもかかわらず、保管後においても卵の風味が感じられるマヨネーズ様調味料を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
【0010】
<本発明の特徴>
本発明は、卵及び卵由来原料を使用していないにもかかわらず、保管後においても卵の風味が感じられるマヨネーズ様調味料を提供できることに特徴を有する。
具体的には、前記マヨネーズ様調味料が、粘度が50Pa・s以上である。
辛子粉を含む。
グルコン酸塩を含む。
【0011】
<卵及び卵由来原料を配合していないマヨネーズ様調味料>
本発明において、マヨネーズ様調味料とは、食用油脂が油滴として水相中に略均一に分散して水中油型の乳化状態が維持され、常温流通を可能にするためにpHを4.6以下に調整した調味料をいう。
このような本発明のマヨネーズ様調味料としては、一般的に半固体状乳化ドレッシング等と称されるものを含む。
【0012】
また、本発明のマヨネーズ様調味料は卵及び卵使用原料を配合せずに製したものである。
卵及び卵由来原料とは、例えば、生全卵、生卵黄、生卵白をはじめ、それらを殺菌処理、冷凍処理、スプレードライ又はフリーズドライ等の乾燥処理、ホスフォリパーゼA1、ホスフォリパーゼA2、ホスフォリパーゼC、ホスフォリパーゼD又はプロテアーゼ等による酵素処理、酵母又はグルコースオキシダーゼ等による脱糖処理、超臨界二酸化炭素処理等の脱コレステロール処理、食塩又は糖類等の混合処理、有機溶媒等による抽出処理等の1種又は2種以上の処理を施したものが挙げられる。
【0013】
<マヨネーズ様調味料の粘度>
本発明のマヨネーズ様調味料の粘度は、マヨネーズらしい食感、物性であるために、50Pa・s以上であり、さらに70Pa・s以上であるとよい。
なお、容器からの出しやすさの観点から前記粘度は500Pa・s以下であるとよい。
ここで、本発明における前記粘度は、BH型粘度計を用い、回転数:2rpm、ローター:No.6、品温:20℃の測定条件で、2回転後の示度から換算した値である。
【0014】
<マヨネーズ様調味料に用いる辛子粉>
本発明のマヨネーズ様調味料に用いる辛子粉としては、食用のものであればいずれのものでも良い。
例えば、洋がらし(イエローマスタード)、和がらし(オリエンタルマスタード)等を粉末状にしたものを用いることができる。
本発明の乳化調味料は、辛子粉を0.01%以上1%以下含むことができ、さらに0.05%以上1%以下含むことができ、さらに0.1%以上1%以下含むことができる。
辛子粉の含有量が前記範囲であることにより、保管後においても卵の風味を感じやすくなる。
【0015】
<マヨネーズ様調味料に用いるグルコン酸塩>
本発明のマヨネーズ様調味料は、グルコン酸塩を含むものである。
グルコン酸塩としては、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸カルシウム等が挙げられる。
グルコン酸塩を含有させる方法としては、精製したグルコン酸塩を添加してもよいし、食品としてグルコン酸塩を含有させてもよい。
本発明の乳化調味料は、前記グルコン酸塩を0.01%以上1%以下含むことができ、さらに0.05%以上1%以下含むことができ、さらに0.1%以上1%以下含むことができる。
グルコン酸塩の含有量が前記範囲であることにより、保管後においても卵の風味を感じやすくなる。
【0016】
<グルコン酸塩と辛子粉の割合>
本発明のマヨネーズ様調味料は、グルコン酸塩1部に対する辛子粉の含有質量比が、0.01部以上3部以下であるとよく、さらに0.05部以上2部以下であるとよく、さらに0.1部以上1部以下であるとよい。
グルコン酸塩1部に対する辛子粉の含有質量比が前記範囲であることより、保管後においても卵の風味を感じやすくなる。
【0017】
<その他原料>
本発明の乳化調味料には、本発明の効果を損なわない範囲でマヨネーズ様調味料に一般的に使用されている原料を適宜選択し配合することができる。
このような原料としては、例えば、食酢、食塩、醤油、味噌、核酸系旨味調味料、柑橘果汁等の各種調味料、乳糖、シロップ、オリゴ糖、糖アルコール等の甘味料、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン等の乳化材、アスコルビン酸、ビタミンE 等の酸化防止剤、色素、各種具材等が挙げられる。
【0018】
<マヨネーズ様調味料の製造方法>
本発明のマヨネーズ様調味料の製造は、一般的なマヨネーズ様調味料の製造方法に準じて行うことができる。
例えば、一般的にマヨネーズ様調味料の原料として使用されている、食酢、ショ糖、食塩、各種エキス、清水、乳化材、増粘剤等から本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択し、これらに辛子粉、グルコン酸塩を加えて常法に準じて水相原料液を調製した後、この水相原料液と食用油脂とを乳化処理して製造すればよい。
【0019】
以下、本発明を実施例、比較例及び試験例に基づき、更に説明する。
【実施例】
【0020】
[実施例1]
下記に示す配合割合で仕上がり100kgのマヨネーズ様調味料を製した。つまり、食酢、食塩、グルタミン酸ナトリウム、澱粉、キサンタンガム、ショ糖、辛子粉、グルコン酸ナトリウム及び清水をミキサーで均一に混合し水相原料混合液を調製した後、当該水相原料混合液を撹拌させながら食用油脂を徐々に注加して粗乳化物を製した。
次いで、得られた粗乳化物をコロイドミルで仕上げ乳化することにより本発明のマヨネーズ様調味料を製した。
得られたマヨネーズ様調味料は粘度が100Pa・sであった。
【0021】
食用油脂 70%
食酢(酸度5%) 10%
食塩 3%
グルタミン酸ナトリウム 1%
澱粉 3%
キサンタンガム 1%
ショ糖 1%
グルコン酸ナトリウム 0.5%
辛子粉 0.1%
清水で 100%
【0022】
[試験例1:卵の風味に及ぼす辛子粉及びグルコン酸塩の影響]
辛子粉及びグルコン酸塩が、卵の風味に与える影響を検討するため、辛子粉、グルコン酸ナトリウムを表1に示す割合にて配合した以外は実施例1と同様の方法で、実施例2乃至5、比較例1乃至3のマヨネーズ様調味料を製した。
得られたマヨネーズ様調味料の粘度はどれも70Pa・s以上であった。
【0023】
各マヨネーズ様調味料を35℃で4週間保管したものを試食し、卵の風味の強さを下記3段階で評価を行った。
【0024】
<風味の評価基準>
○ 卵の風味がとても感じられる。
△ 卵の風味がやや感じられる。
× 卵の風味が感じられない。
【0025】
[表1]
【0026】
表1より、グルコン酸塩を0.01%以上1%以下(実施例1乃至4)、特に0.05%以上1%以下(実施例1乃至4)配合した場合、特に0.1%以上1%以下(実施例1及び3)配合した場合、保管後においても卵の風味がとても感じられることがわかる。
【0027】
さらに、グルコン酸塩1部に対する辛子粉の含有質量比が、0.01部以上3部以下(実施例1乃至4)、特に0.05部以上2部以下(実施例1乃至4)、特に0.1部以上1部以下(実施例1及び3)である場合、保管後においても卵の風味がとても感じられることがわかる。