(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記柱状部を立設する工程では、底面に傾斜面を有する第1の凹部を下面に形成した第1の上型で金属部材を加圧し、前記金属部材の上面に前記第1の凹部に対応する形状の柱状部を形成し、
前記発光素子実装部を形成する工程では、底面に傾斜面を有し前記第1の凹部よりも浅い第2の凹部を下面に形成した第2の上型で前記柱状部の上面を加圧し、前記柱状部の根元部分を湾曲させる請求項4記載の半導体パッケージ用ステムの製造方法。
前記発光素子実装部を形成する工程では、前記柱状部の前記第1の面と前記第1の面に対応する前記第2の凹部の第1の内側面との隙間が、前記柱状部の前記第2の面と前記第2の面に対応する前記第2の凹部の第2の内側面との隙間よりも大きくなるように前記第2の上型を配置する請求項5記載の半導体パッケージ用ステムの製造方法。
前記発光素子実装部を形成する工程では、前記素子付面と前記素子付面の反対面とをつなぐ側面が球面状となる請求項4乃至7の何れか一項記載の半導体パッケージ用ステムの製造方法。
下型上に配置した前記金属部材の上面を第3の上型で加圧し、前記金属部材の上面に凹部である前記受光素子実装部を形成する工程を有する請求項4乃至8の何れか一項記載の半導体パッケージ用ステムの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る半導体パッケージ用ステムの構造]
まず、第1の実施の形態に係る半導体パッケージ用ステムの構造について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る半導体パッケージ用ステムを例示する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
図2は、第1の実施の形態に係る半導体パッケージ用ステムを例示する斜視図である。
【0011】
なお、本実施の形態では、平面視とは対象物を基体部20の上面20aの法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を基体部20の上面20aの法線方向から視た形状を指すものとする。又、基体部20の上面20aの法線方向をZ方向、素子付面30aの法線方向をX方向、平面視においてX方向と直交する方向をY方向とする。又、便宜上、基体部20の発光素子実装部30側を上、リード53が突起する側を下として以下の説明をする。但し、半導体パッケージ用ステム1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。
【0012】
図1及び
図2を参照するに、第1の実施の形態に係る半導体パッケージ用ステム1は、アイレット10と、リード51〜53と、封止部60とを有する。アイレット10は、基体部20と、発光素子実装部30と、受光素子実装部40とを有する。基体部20、発光素子実装部30、及び受光素子実装部40は、例えば、銅や鉄等の金属材料から一体に形成することができる。基体部20、発光素子実装部30、及び受光素子実装部40の表面にめっきを施してもよい。
【0013】
基体部20は、発光素子実装部30や受光素子実装部40が形成される略円板状の部材である。基体部20の直径は、例えば、φ5.6mm程度とすることができる。基体部20の厚さT
1は、例えば、1.0〜2.0mm程度とすることができる。なお、本願において、円板状とは、平面形状が略円形で所定の厚さを有するものを指す。直径に対する厚さの大小は問わない。又、部分的に凹部や凸部等が形成されているものも含むものとする。
【0014】
発光素子実装部30は、基体部20の上面20aに立設している。発光素子実装部30の上側部分には素子付面30aが設けられている。素子付面30aは、基体部20の上面20aに対して略垂直(YZ平面に平行)に設けられた平坦面であって、半導体レーザチップ等の発光素子を実装する面である。なお、平坦面とは、Rmax≦10μm以下の面を指すものとする。ここで、Rmaxとは、断面曲線から基準長さだけ抜き取った部分の平均線に平行な2直線で抜き取り部分をはさんだとき、この2直線の間隔を断面曲線の縦倍率の方向に計測し、その値をマイクロメートル単位(μm)で表したものである。
【0015】
発光素子実装部30の上面30bは、基体部20の上面20aに対して素子付面30a側が素子付面30aの反対面である背面30c側よりも高くなるように傾斜する平面状の傾斜面である。つまり、発光素子実装部30の上面30bは、基体部20の上面20aに対して所定の傾斜角度で素子付面30a側から背面30c側に向かって下り傾斜する平面状の傾斜面である。所定の傾斜角度は、例えば、20°程度とすることができる。
【0016】
発光素子実装部30の側面30dは、素子付面30aと背面30cとをつなぐ面であって、XZ平面に略平行な互いに対向する2つの面である。本実施の形態では、各側面30dは平面状とされている。なお、平面状とは、曲面を有さない形状を指すが、実質的に平面とみなし得る形状であることを意味しており、例えば表面に微少な凹凸等が形成されていても構わない。
【0017】
発光素子実装部30は、根元部分(基体部20の上面20a側の部分)が湾曲し、上側部分(素子付面30aが形成されている部分)が根元部分に対して受光素子実装部40側に張り出した形状とされている。言い換えれば、発光素子実装部30の素子付面30a側の根元部分には、素子付面30aに対して受光素子実装部40が形成されている側とは反対側(背面30c側)にへこんだ括れ部31が形成されている。括れ部31は、側面視において、発光素子実装部30が立設する方向(Z方向)に凹型に湾曲している。
【0018】
又、発光素子実装部30の背面30cの根元部分には、背面30cに対して受光素子実装部40が形成されている側とは反対側に突起した突起部32が形成されている。突起部32は、側面視において、発光素子実装部30が立設する方向(Z方向)に凸型に湾曲している。なお、側面視とは、対象物を基体部20の上面20a及び発光素子実装部30の素子付面30aに平行な方向であるY方向から視ることを指す。
【0019】
受光素子実装部40は、基体部20の上面20aにおいて、発光素子実装部30の素子付面30a側に設けられている。受光素子実装部40は、基体部20の上面20aに設けられた凹部であり、受光素子実装部40の底面は発光素子実装部30の素子付面30a側から基体部20の外縁側に向かって下り傾斜する平面状の傾斜面とされている。受光素子実装部40の傾斜面(底面)には、フォトダイオード等の受光素子を実装することができる。
【0020】
リード51及び52は、基体部20を厚さ方向(Z方向)に貫通する貫通孔に、長手方向を厚さ方向(Z方向)に向けて挿入され、周囲を封止部60に封止されている。リード51及び52の一部は、基体部20の下面20bから下側に突起している。リード51及び52の基体部20の下面20bからの突起量は、例えば、6〜7mm程度とすることができる。
【0021】
リード51及び52は、例えば、銅等の金属から形成されており、封止部60は、例えば、ガラス材等の絶縁材料から形成されている。リード51及び52は、半導体パッケージ用ステム1に実装される発光素子や受光素子と電気的に接続される。なお、発光素子や受光素子と接続されるリードの数を更に増やしてもよい。
【0022】
リード53は、長手方向を厚さ方向(Z方向)に向けて基体部20の下面20bから下側に突起するように、基体部20の下面20bに溶接等により接合されている。リード53は、例えば、銅等の金属から形成されており、例えば、接地用として用いられる。なお、リード53は基体部20と導通するように接合されており、リード53が接地されると基体部20も接地される。
【0023】
基体部20の外縁部には、外側面側から中心側に向かって窪んだ形状の切り欠き部20x及び20yが形成されている。切り欠き部20xは、例えば、平面形状が略Vの字状に形成されて対向配置されており、例えば、半導体パッケージ用ステム1が発光素子を搭載する際の素子付面30aの位置出しに用いることができる。
【0024】
切り欠き部20yは、例えば、平面形状が略コの字状に形成されており、例えば、半導体パッケージ用ステム1の回転方向の位置出しに用いることができる。但し、切り欠き部20x及び20yは、必要に応じて設ければよい。
【0025】
次に、第1の実施の形態に係る半導体パッケージの構造について説明する。
図3は、第1の実施の形態に係る半導体パッケージを例示する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。なお、便宜上、
図3(a)において、キャップ130、接着剤140、及び透明部材150の図示を省略している。
【0026】
図3を参照するに、半導体パッケージ100は、半導体パッケージ用ステム1(アイレット10、リード51〜53、及び封止部60)と、発光素子110と、受光素子120と、キャップ130と、接着剤140と、透明部材150とを有する。
【0027】
発光素子110は、例えば、波長が780nmの半導体レーザチップであり、一方の端面が上側(透明部材150側)を向き、他方の端面が下側(基体部20側)を向くように、発光素子実装部30の素子付面30aに実装されている。なお、半導体パッケージ100では、平面視において、発光素子110の発光点位置が基体部20の中心と略一致するように、発光素子110が搭載されている。発光素子110の電極(図示せず)及び受光素子120の電極(図示せず)は、例えば、ボンディングワイヤ等によりリード51及び52と接続されている。
【0028】
キャップ130は、例えば、鉄や銅等の金属から形成され、平面視において略中央部に開口部130x(窓)が設けられている。透明部材150は、例えば、ガラス等から形成され、開口部130xを塞ぐように、低融点ガラス等からなる接着剤140によりキャップ130のアイレット10側の面(内側の面)に接着されている。透明部材150が接着剤140により接着されたキャップ130は、例えば溶接等により、基体部20の上面20aの外縁部に接合されており、発光素子110及び受光素子120を気密封止している。
【0029】
発光素子110の一方の端面側から出射された光(例えば、レーザ光)は、開口部130x内を透過してZ方向に出射される。発光素子110の他方の端面側から出射された光は、受光素子120(例えば、フォトダイオード)で受光される。発光素子110の出射光量を受光素子120でモニタし、受光素子120での受光量が一定になるように、半導体パッケージ100の外部に配置された回路で制御することにより、環境温度等によらず、半導体パッケージ100の出射光量を一定にできる。
【0030】
ここで、比較例を示しながら、第1の実施の形態に係る半導体パッケージ100の有する特有の効果について説明する。
図4は、ノイズ光の影響について説明する図である。
図4(a)は比較例に係る半導体パッケージを、
図4(b)は第1の実施の形態に係る半導体パッケージを示しており、何れも
図3(b)に対応する断面図である。但し、便宜上、
図4において、リード53、キャップ130、接着剤140、及び透明部材150の図示を省略している。
【0031】
比較例に係る半導体パッケージ500において、四角柱状の発光素子実装部530が基体部20の上面20aに立設している。発光素子実装部530には、平坦面である素子付面530aが基体部20の上面20aに対して略垂直に設けられており、素子付面530aには発光素子110が実装されている。発光素子実装部530には括れ部31に相当する部位は設けられていない。
【0032】
半導体パッケージ500において、発光素子110の他方の端面側から出射された光L
1は、素子付面530aの下側、受光素子実装部40の底面、受光素子120の端面等で乱反射される。乱反射された光L
1の一部は、発光素子110の一方の端面側から出射された光の発光エリア190内に入り込む。光L
1は本来出射されるべき光ではないためノイズとなり、光ディスク等の読取性能に悪影響を与える。
【0033】
一方、第1の実施の形態に係る半導体パッケージ100において、発光素子110の他方の端面側から出射された光L
2は、基体部20の上面20aや括れ部31の湾曲面等で乱反射される。しかしながら、括れ部31の湾曲面は発光エリア190とは異なる方向を向いているため、括れ部31の湾曲面で乱反射された光L
2は、発光エリア190とは異なる方向に進行する。そのため、光L
2はノイズとはならず、光ディスク等の読取性能に悪影響を与えることを回避できる。
【0034】
このように、第1の実施の形態に係る半導体パッケージ100では、発光素子実装部30の素子付面30a側の根元部分に括れ部31を形成している。これにより、発光素子110の他方の端面側から出射された光が乱反射して発光素子110の一方の端面側から出射された光にノイズとして混入し、光ディスク等の読取性能に悪影響を与えることを回避できる。
【0035】
又、背面30cには、Z方向に凸型に湾曲して突出する突起部32を設けている。例えば、発光素子実装部30の上側(上面30b側の部分)における素子付面30aから背面30cのX方向の厚さと、根元部分(基体部20の上面20a側の部分)における括れ部31から突起部32のX方向の厚さは、ほぼ同じ厚さで形成される。背面が平坦面の場合、括れ部31を形成することで根元部分でのX方向の厚さが薄くなり、放熱性を低下させる。しかし、突起部32を設けることで、根元部分でのX方向の厚さを確保し、又、Z方向に凸型に湾曲させることで表面積を増加させ、放熱性を向上させることができる。
【0036】
[第1の実施の形態に係る半導体パッケージ用ステムの製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る半導体パッケージ用ステムの製造方法について、アイレット10の加工工程(コイニング工程)を中心に説明する。
図5〜
図7は、第1の実施の形態に係る半導体パッケージ用ステムの製造工程を例示する図である。
【0037】
まず、
図5(a)に示す工程では、銅や鉄等からなる略円板状の金属部材200を準備する。そして、下型であるコイニングダイ900の上面900aに形成された凹部901内に、金属部材200の外側面と凹部901の内側面との間に平面形状が略円環状の間隙を形成するように金属部材200を配置する。そして、第1の上型であるコイニングポンチ910をコイニングダイ900の凹部901内に配置された金属部材200上に配置する。コイニングポンチ910の下面910aには凹部911(第1の凹部)が形成されている。凹部911の平面形状は例えば矩形状であり、凹部911の底面911aはコイニングポンチ910の下面910aに対して所定の傾斜角度を有する傾斜面とされている。所定の傾斜角度は、例えば、20°程度とすることができる。
【0038】
次に、
図5(b)に示す工程では、コイニングポンチ910を下降させ、コイニングダイ900の凹部901内に配置された金属部材200を加圧(プレス)する。これにより、金属部材200の一部が凹部911内に押し出され、金属部材200の上面200aに、凹部911に対応する形状の柱状部300が立設する。柱状部300は、平面形状が略矩形状であり、最終的に素子付面30aとなる領域を含む正面300a(第1の面)、その反対面である背面300c(第2の面)、及び傾斜面である上面300bを備えている。なお、金属部材200の上面200aに対して、正面300a(第1の面)側が背面300c(第2の面)側よりも高くなるように傾斜した上面300bが形成される。
【0039】
又、金属部材200の一部が凹部901の内側面との間に形成されていた間隙を埋めて更にコイニングダイ900の上面900aとコイニングポンチ910の下面910aとの間に押し出される。これにより、金属部材200の外側面の上部側に、平面視で外側に略円環状に突起する突起部250が形成される。
【0040】
なお、柱状部300は、最終的には発光素子実装部30となる部分であるが、後工程で更に加圧(プレス)されるため、その際の押し代を見込んで、この工程では最終的な発光素子実装部30の高さよりも高くなるように成形する。又、金属部材200は、最終的には基体部20となる部分であるが、後工程で更に加圧(プレス)されるため、その際の押し代を見込んで、この工程では最終的な基体部20の厚さよりも厚くなるように成形する。金属部材200の上面200aに対する柱状部300の最大高さは、最終的な基体部20の上面20aに対する発光素子実装部30の最大高さに対して、例えば、0.5mm程度高くしておくことができる。金属部材200の厚さT
2は、最終的な基体部20の厚さT
1に対して、例えば、0.5mm程度厚くしておくことができる。
【0041】
次に、
図6(a)に示す工程では、コイニングポンチ910を上昇させ、更に、金属部材200が配置されたコイニングダイ900上から移動させる。そして、コイニングダイ900の凹部901内に配置された突起部250及び柱状部300を有する金属部材200上に、第2の上型であるコイニングポンチ920を配置する。
【0042】
コイニングポンチ920の下面920aには凹部921(第2の凹部)が形成されている。凹部921の平面形状は凹部911よりも一回り大きな矩形状であり、凹部921の底面921aはコイニングポンチ920の下面920aに対して所定の傾斜角度を有する傾斜面とされている。所定の傾斜角度は、例えば、20°程度とすることができる。又、コイニングポンチ920の下面920aに対する凹部921の最大深さは、コイニングポンチ910の下面910aに対する凹部911の最大深さよりも0.5mm程度浅く設定されている。つまり、コイニングポンチ920の下面920aに対する凹部921の最大深さは、金属部材200の上面200aに対する柱状部300の最大高さよりも0.5mm程度小さく設定されている。
【0043】
又、コイニングポンチ920は、柱状部300の正面300aとそれに対応する凹部921の内側面(第1の内側面)との隙間S
1が、柱状部300の背面300cとそれに対応する凹部921の内側面(第2の内側面)との隙間S
2よりも大きくなるように配置する。隙間S
1は例えば、0.2mm程度、隙間S
2は例えば、0.07mm程度とすることができる。隙間S
1を隙間S
2よりも大きくすることにより、後工程で金属部材200を加圧(プレス)する際に、柱状部300の根元をS
1側に湾曲させることができる。なお、本実施の形態では、柱状部300の側面とそれに対応する凹部921の内側面との隙間も隙間S
2と同程度の値(例えば、0.07mm程度)に設定している。ここで、柱状部300の側面とは、正面300a及び背面300cと略垂直であって互いに対向する2つの面を指す。
【0044】
次に、
図6(b)に示す工程では、コイニングポンチ920を下降させ、コイニングダイ900の凹部901内に配置された金属部材200を加圧(プレス)する。なお、加圧(プレス)は、柱状部300の上面300bに対して行うと共に、金属部材200の上面200aに対しても行う。前述のように、コイニングポンチ920の下面920aに対する凹部921の最大深さは、金属部材200の上面200aに対する柱状部300の最大高さよりも0.5mm程度小さく設定されている。又、前述のように、コイニングポンチ920は、隙間S
1が隙間S
2よりも大きくなるように配置されている。
【0045】
そのため、凹部921の底面921aが柱状部300の上面300bを下側に押すと、柱状部300の上側部分には隙間S
1を埋める方向に力がかかる。これにより、柱状部300の根元部分が湾曲し、柱状部300の上側部分が隙間S
1を埋めて正面300aに対応する凹部921の内側面と接する。凹部921の内側面は平坦面とされているため、柱状部300の上側部分に金属部材200の上面200aに対して略垂直に設けられた平坦面である素子付面30aが形成される。
【0046】
すなわち、柱状部300の正面300aの上側部分が根元部分よりも受光素子実装部40を形成する側に張り出すように柱状部300を湾曲させ、正面300aの上側部分から素子付面30aを形成する。又、同時に、柱状部300の正面300aの根元部分に、素子付面30aに対して受光素子実装部40を形成する側とは反対側にへこみ、側面視において、発光素子実装部30が立設する方向(Z方向)に凹型に湾曲する括れ部31を形成する。又、同時に、柱状部300の背面300cの根元部分に、背面300cに対して受光素子実装部40を形成する側とは反対側に突起し、側面視において、発光素子実装部30が立設する方向(Z方向)に凸型に湾曲する突起部32を形成する。これにより、柱状部300から、素子付面30a、上面30b、背面30c、括れ部31、及び突起部32を備えた発光素子実装部30が形成される。
【0047】
次に、
図7(a)に示す工程では、コイニングポンチ920を上昇させ、更に、金属部材200が配置されたコイニングダイ900上から移動させる。そして、コイニングダイ900の凹部901内に配置された発光素子実装部30及び突起部250を有する金属部材200上に、第3の上型であるコイニングポンチ930を配置する。
【0048】
コイニングポンチ930の下面930aには凹部931及び凸部932が形成されている。凹部931は発光素子実装部30に対する逃げであり、金属部材200の加工には寄与しない。凸部932は、金属部材200の上面200aに底面が傾斜面とされた凹部である受光素子実装部40を形成するための部位であり、受光素子実装部40に対応する凸形状とされている。
【0049】
次に、
図7(b)に示す工程では、コイニングポンチ930を下降させ、コイニングダイ900の凹部901内に配置された金属部材200を加圧(プレス)する。これにより、金属部材200の上面200aの素子形成面30a側に、底面が傾斜面とされた凹部である受光素子実装部40が形成される。その後、コイニングポンチ930を上昇させ、コイニングダイ900の凹部901内に、発光素子実装部30、受光素子実装部40、及び突起部250を有する金属部材200が配置された状態にする。
【0050】
次に、金属部材200をプレス加工し、金属部材200にリード51及び52を挿入する貫通孔を形成すると共に、突起部250を除去し、金属部材200の外縁部に、外側面側から中心側に向かって窪んだ形状の切り欠き部20x及び20yを形成する(図示せず)。これにより、金属部材200から基体部20が形成される。なお、切り欠き部20x及び20yの形状は、
図1に示したとおりである。
【0051】
次に、基体部20に形成した貫通孔にリード51及び52を挿入し、封止部60で固定する。又、基体部20の下面20bにリード53を溶接等によって固定する。以上で、
図1及び
図2に示す半導体パッケージ用ステム1が製造される。
【0052】
このように、第1の実施の形態に係る半導体パッケージ用ステム1の製造方法によれば、まず、金属部材200を第1の上型で加圧して、金属部材200に上面300bが傾斜面である柱状部300を形成する。次に、柱状部300の上面300bを第2の上型で加圧して柱状部300の根元を湾曲させる。この際、柱状部300の正面300aとそれに対応する凹部921の内側面との隙間S
1が、背面300cとそれに対応する凹部921の内側面との隙間S
2よりも大きくなるように第2の上型を配置し、傾斜面である柱状部300の上面300bを加圧する。
【0053】
これにより、柱状部300の上側部分に隙間S
1を埋める方向に力が加わるため、柱状部300の根元部分が湾曲して括れ部31を形成できる。又、この際、柱状部300の正面300aが対応する凹部921の内側面側に押されるため、凹部921の内側面を平坦面としておけば、柱状部300の正面300aの凹部921の内側面に接する部分を平坦面とすることができる。すなわち、モニタ光の乱反射に起因するノイズの発生を抑制するための括れ部31を形成すると同時に、発光素子を実装するための平坦面である素子付面30aを形成できる。
【0054】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、発光素子実装部の形状が第1の実施の形態とは異なる半導体パッケージ用ステムの例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する。
【0055】
図8は、第1の実施の形態の変形例1に係る半導体パッケージ用ステムを例示する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
図9は、第1の実施の形態の変形例1に係る半導体パッケージ用ステムを例示する正面図である。
【0056】
図8及び
図9を参照するに、半導体パッケージ用ステム1Aは、アイレット10がアイレット10Aに置換された点が、半導体パッケージ用ステム1(
図1及び
図2参照)と相違する。アイレット10Aは発光素子実装部30Aを有する。発光素子実装部30Aは、側面30eが球面状である点が側面30dが平面状である発光素子実装部30と相違し、その他の構造は発光素子実装部30と同様である。なお、球面状とは、球の表面を含む一部分を切り出した形状には限定されず、少なくともX方向及びZ方向に丸みを帯びた任意の形状を含むものとする。
【0057】
発光素子実装部30Aの側面30eを球面状とするには、第1の実施の形態の
図6(a)に示す工程において、柱状部300の側面とそれに対応する凹部921の内側面との隙間を第1の実施の形態の値(例えば、0.07mm程度)よりも大きくすればよい。柱状部300の側面とそれに対応する凹部921の内側面との隙間(クリアランス)は、例えば、0.2mm程度とすることができる。これにより、第1の実施の形態の
図6(b)に示す工程において、金属部材200を加圧(プレス)すると、柱状部300の側面がクリアランス内で膨らみ球面状となる。その他の工程は、第1の実施の形態と同様である。なお、柱状部300の根元がX方向に湾曲する形状は、第1の実施の形態と同様となる。
【0058】
このように、
図6(a)に示す工程において、柱状部300の側面とそれに対応する凹部921の内側面との隙間(クリアランス)を多少大きくしても(例えば、0.2mm程度)、第1の実施の形態と同様に、柱状部300の根元が湾曲する形状を形成できる。その結果、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0059】
又、第1の実施の形態の効果に加えて、更に以下の効果を奏する。すなわち、突起部32を含め、背面30c、側面30eにおいて、X方向及びZ方向に球面状に湾曲することで、X、Y、Z方向の厚さを確保し、表面積を増加させ、放熱性を向上させることができる。
【0060】
〈第1の実施の形態の変形例2〉
第1の実施の形態の変形例2では、発光素子実装部の形状が第1の実施の形態とは異なる半導体パッケージ用ステムの他の例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する。
【0061】
図10は、第1の実施の形態の変形例2に係る半導体パッケージ用ステムを例示する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
図11は、第1の実施の形態の変形例2に係る半導体パッケージ用ステムを例示する斜視図である。
【0062】
図10及び
図11を参照するに、半導体パッケージ用ステム1Bは、アイレット10がアイレット10Bに置換された点が、半導体パッケージ用ステム1(
図1及び
図2参照)と相違する。アイレット10Bは発光素子実装部30Bを有する。発光素子実装部30Bは、基体部20の上面20aに立設している。
【0063】
発光素子実装部30Bの上面は、傾斜面30f及び30gを有する。傾斜面30fは、基体部20の上面20aに対して素子付面30a側が背面30h側よりも高くなるように所定の傾斜角度でX方向に傾斜する平面状の傾斜面である。傾斜面30gは、基体部20の上面20aに対して素子付面30a側が背面30h側よりも低くなるように所定の傾斜角度でX方向に傾斜する平面状の傾斜面である。傾斜面30fと傾斜面30gとは発光素子実装部30Bの上部の中央部近傍で接し、全体としては側面視で略Vの字状とされている。傾斜面30f及び30gの所定の傾斜角度は、例えば、20°程度とすることができる。発光素子実装部30Bの側面30iは、XZ平面に略平行であって互いに対向する2つの面である。本実施の形態では、各側面30iは平面状とされている。
【0064】
発光素子実装部30Bは、素子付面30a側の根元部分が湾曲し、素子付面30aが形成されている部分が根元部分に対して受光素子実装部40側に張り出した形状とされている。言い換えれば、発光素子実装部30Bの素子付面30a側の根元部分には、素子付面30aに対して受光素子実装部40が形成されている側とは反対側にへこんだ括れ部31が形成されている。括れ部31は、側面視において、発光素子実装部30Bが立設する方向(Z方向)に凹型に湾曲している。
【0065】
又、素子付面30aの反対面である背面30h側の根元部分が湾曲し、背面30hが形成されている部分が根元部分に対して受光素子実装部40側とは反対側に張り出した形状とされている。言い換えれば、発光素子実装部30Bの背面30h側の根元部分には、背面30hに対して受光素子実装部40が形成されている側にへこんだ括れ部33が形成されている。括れ部33は、側面視において、発光素子実装部30Bが立設する方向(Z方向)に凹型に湾曲している。なお、括れ部33の括れ量(背面30hに対するへこみ量)は、括れ部31の括れ量(素子付面30aに対するへこみ量)よりも小さい。
【0066】
発光素子実装部30Bを形成するには、第1の実施の形態の
図6(a)に示す工程において、コイニングポンチ920に代えて
図12(a)に示すコイニングポンチ940を用いればよい。コイニングポンチ940の下面940aには凹部941が形成されている。凹部941の平面形状は凹部911よりも一回り大きな矩形状であり、凹部941の底面に傾斜面941f及び941gを有する。
【0067】
傾斜面941fは、コイニングポンチ940の下面940aに対して素子付面30aに対応する側が背面30hに対応する側よりも高くなるように所定の傾斜角度でX方向に傾斜する平面状の傾斜面である。傾斜面941gは、コイニングポンチ940の下面940aに対して素子付面30aに対応する側が背面30hに対応する側よりも低くなるように所定の傾斜角度でX方向に傾斜する平面状の傾斜面である。傾斜面941fと傾斜面941gとはコイニングポンチ940の底部の中央部近傍で接し、全体としては側面視で発光素子実装部30Bの傾斜面30f及び30gが形成する略Vの字状(
図10(b)参照)に対応する山型の突起とされている。傾斜面941f及び941gの所定の傾斜角度は、例えば、20°程度とすることができる。
【0068】
又、コイニングポンチ940の下面940aに対する凹部941の傾斜面941fが形成されている領域の最大深さは、コイニングポンチ910の下面910aに対する凹部911の最大深さよりも0.5mm程度浅く設定されている。つまり、コイニングポンチ940の下面940aに対する凹部941の傾斜面941fが形成されている領域の最大深さは、金属部材200の上面200aに対する柱状部300の最大高さよりも0.5mm程度小さく設定されている。
【0069】
次に、
図12(b)に示す工程において、コイニングポンチ940を下降させ、コイニングダイ900の凹部901内に配置された金属部材200を加圧(プレス)する。なお、加圧(プレス)は、柱状部300に対して行うと共に、金属部材200の上面200aに対しても行う。前述のように、コイニングポンチ940の下面940aに対する凹部941の傾斜面941fが形成されている領域の最大深さは、金属部材200の上面200aに対する柱状部300の最大高さよりも0.5mm程度小さく設定されている。又、コイニングポンチ920と同様に、柱状部300の正面300aとそれに対応する凹部941の内側面との隙間S
1が、柱状部300の背面300cとそれに対応する凹部941の内側面との隙間S
2よりも大きくなるように配置されている。
【0070】
そのため、凹部941の底面の傾斜面941fが柱状部300の上面300bを下側に押すと、柱状部300の上側の傾斜面941fに対応する部分には隙間S
1を埋める方向に力がかかる。これにより、柱状部300の根元部分が湾曲し、柱状部300の上側部分が隙間S
1を埋めて正面300aに対応する凹部941の内側面と接する。凹部941の内側面は平坦面とされているため、柱状部300の上側部分に金属部材200の上面200aに対して略垂直に設けられた平坦面である素子付面30aが形成される。又、同時に、素子付面30a側の根元部分に、素子付面30aに対して受光素子実装部40を形成する側とは反対側にへこみ、側面視において、発光素子実装部30が立設する方向(Z方向)に凹型に湾曲する括れ部31が形成される。
【0071】
一方、傾斜面941gと柱状部300の上面300bとは傾斜する方向が反対であり、加圧(プレス)時に柱状部300の背面300c側に隙間ができるが、凹部941の底面の傾斜面941gの一部により柱状部300の上面300bが下側に押される。これにより、柱状部300の根元部分が湾曲し、柱状部300の上側部分が隙間S
2を埋めて背面300cに対応する凹部941の内側面と接する。凹部941の内側面は平坦面とされているため、柱状部300の背面300cの上側部分に金属部材200の上面200aに対して略垂直に設けられた平坦面である背面30hが形成される。又、同時に、背面30h側の根元部分に、背面30hに対して受光素子実装部40を形成する側にへこみ、側面視において、発光素子実装部30が立設する方向(Z方向)に凹型に湾曲する括れ部33が形成される。なお、前述のように、隙間S
2は隙間S
1よりも小さいので、括れ部33の括れ量(背面30hに対するへこみ量)は括れ部31の括れ量(素子付面30aに対するへこみ量)よりも小さくなる。
【0072】
このようにして、素子付面30a、傾斜面30f及び30g、背面30h、及び括れ部31及び33が形成され、柱状部300は発光素子実装部30Bとなる。
【0073】
このように、
図6(a)に示す工程において、
図12(a)に示す底面に山型の突起が形成されたコイニングポンチ940を用いることで、
図10及び
図11に示す形状の発光素子実装部30Bが形成される。発光素子実装部30Bには、発光素子実装部30の突起部32に相当する部位が形成されていないが、括れ部31は形成されているため、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0074】
又、第1の実施の形態の効果に加えて、更に以下の効果を奏する。すなわち、根元部分において括れ部33が形成されるが、発光素子実装部30の上面に形成された傾斜面30f及び30gにより、表面積を増加させ、放熱性を向上させることができる。
【0075】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0076】
例えば、発光素子110は、波長が780nmの半導体レーザチップには限定されず、波長が405nmや650nm等の半導体レーザチップとしてもよい。或いは、複数の波長を出射可能な半導体レーザチップとしてもよい。
【0077】
又、第1の実施の形態の変形例1と変形例2とを組合わせることもできる。
【0078】
又、製造工程において、例えば、
図6に示す工程の前に、
図7に示す工程を行ってもよい。受光素子実装部40を形成した後に、素子付面30aの位置出しを行うことで、コイニングポンチ920の位置を受光素子実装部40の形成位置と対比させることができる。このため、受光素子実装部40に対する素子付面30aの位置出し精度を向上させることができる。