(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
接地と出力中点との間に接続されるローサイド出力トランジスタと、第1の電源端子と前記出力中点との間に接続されるハイサイド出力トランジスタと、前記ローサイド出力トランジスタを駆動するローサイド出力駆動回路と、前記ハイサイド出力トランジスタを前記ローサイド出力トランジスタと相補的に駆動するハイサイド出力駆動回路と、前記第1の電源端子又は別の第2の電源端子と前記出力中点との間に接続されるブートストラップ回路とを備え、該ブートストラップ回路は、前記第1の電源端子又は前記第2の電源端子にアノードが接続されたブートストラップダイオードおよび該ブートストラップダイオードのカソードと前記出力中点との間に接続されたブートストラップキャパシタとからなり、前記ブートストラップダイオードと前記ブートストラップキャパシタの共通接続点に生成されるブートストラップ電圧を前記ハイサイド出力駆動回路に電源電圧として供給するようにした出力回路において、
前記ブートストラップ電圧が所定値以下になると検出信号を出力し、所定値を超えると検出信号の出力を停止するブートストラップ電圧検出回路と、
前記ブートストラップ電圧検出回路が前記検出信号を出力するとクロック発生動作を開始するクロック発生回路と、
前記クロック発生回路から出力するクロックによって動作して電圧を発生し前記ブートストラップキャパシタに補助充電を行うチャージポンプ回路とを備え、
前記ブートストラップ電圧検出回路は、動作開始時の前記ブートストラップ電圧を保持する正規電圧保持回路と、該正規電圧保持回路で保持された正規電圧に対して現在のブートストラップ電圧が所定値以上低くなると前記検出信号を出力する比較回路とを有し、
前記動作開始時は、前記ローサイド出力トランジスタを駆動するPWM信号のデューティ比が前記ハイサイド出力トランジスタを駆動するPWM信号のデューティ比よりも大きくなるよう制御されることを特徴とする出力回路。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1で提案されている負荷駆動制御回路の出力回路では、ハイサイド出力駆動回路の電源電圧用にブートストラップ回路でブートストラップ電圧を発生させ、ハイサイド出力トランジスタがオンする際のゲート電圧がドレイン電圧よりも高くなるようにして、そのハイサイド出力トランジスタのオン状態を確実にする手法が採用されている。
【0003】
この負荷駆動制御回路では、ハイサイド出力トランジスタを駆動するPWM信号のデューティ比が100%近くなると、ブートストラップ回路のブートストラップキャパシタの充電時間(ローサイド出力トランジスタのオン時間)が極めて少なくなるので、そのブートストラップキャパシタの充電電圧が低下して、ハイサイド出力トランジスタを十分オンさせるために必要なゲート電圧を確保することができなくなる。
【0004】
そこで、別にチャージポンプ回路を用意しておいて、ハイサイド出力トランジスタを駆動するPWM信号のデューティ比が所定の値を超えると、そのチャージポンプ回路を駆動して、ブートストラップキャパシタに補助充電を行うようにしている。また、複数のチャージポンプ回路を用意してそのキャパシタの耐圧を互いに異ならせておき、電源電圧の変化に応じてそのチャージポンプ回路を切り替えることも行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記負荷駆動制御回路は、ブートストラップキャパシタの実際の充電状態を見ることなく、ハイサイド出力トランジスタを駆動するPWM信号のデューティ比が所定値を超えるとチャージポンプ回路を駆動するので、必要以上にチャージポンプ回路が駆動され、ノイズ発生が懸念される。また、複数のチャージポンプ回路を使用する例では、複数のキャパシタを必要とするので、ICチップの面積増大が懸念される。
【0007】
本発明の目的は、ノイズ発生を極力抑制でき、ICチップ面積の増大も抑制でき、ハイサイド出力トランジスタを駆動すべきPWM信号のデューティ比が100%近くになっても必要なブートストラップ電圧を十分確保することができるようにした出力回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明の出力回路は、接地と出力中点との間に接続されるローサイド出力トランジスタと、第1の電源端子と前記出力中点との間に接続されるハイサイド出力トランジスタと、前記ローサイド出力トランジスタを駆動するローサイド出力駆動回路と、前記ハイサイド出力トランジスタを前記ローサイド出力トランジスタと相補的に駆動するハイサイド出力駆動回路と、前記第1の電源端子又は別の第2の電源端子と前記出力中点との間に接続されるブートストラップ回路とを備え、該ブートストラップ回路は、前記第1の電源端子又は前記第2の電源端子に
アノードが接続されたブートストラップダイオードおよび該ブートストラップダイオードの
カソードと前記出力中点との間に接続されたブートストラップキャパシタとからなり、前記ブートストラップダイオードと前記ブートストラップキャパシタの共通接続点に生成されるブートストラップ電圧を前記ハイサイド出力駆動回路に電源電圧として供給するようにした出力回路において、前記ブートストラップ電圧が所定値以下になると検出信号を出力し、所定値を超えると検出信号の出力を停止するブートストラップ電圧検出回路と、前記ブートストラップ電圧検出回路が前記検出信号を出力するとクロック発生動作を開始するクロック発生回路と、前記クロック発生回路から出力するクロックによって動作して電圧を発生し前記ブートストラップキャパシタに補助充電を行うチャージポンプ回路とを備え
、前記ブートストラップ電圧検出回路は、動作開始時の前記ブートストラップ電圧を保持する正規電圧保持回路と、該正規電圧保持回路で保持された正規電圧に対して現在のブートストラップ電圧が所定値以上低くなると前記検出信号を出力する比較回路とを有し、前記動作開始時は、前記ローサイド出力トランジスタを駆動するPWM信号のデューティ比が前記ハイサイド出力トランジスタを駆動するPWM信号のデューティ比よりも大きくなるよう制御されることを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の出力回路において、
前記正規電圧保持回路は、前記ブートストラップ電圧が第2のダイオードを介してエミッタに入力するPNPトランジスタと、該PNPトランジスタのベースと接地との間に接続された第3のキャパシタと、前記PNPトランジスタのコレクタと接地との間に接続された第4のキャパシタとを備え、前記比較回路は、ドレインに前記ブートストラップ電圧が入力しゲートが前記PNPトランジスタのコレクタに接続された第2のNMOSトランジスタと、該第2のNMOSトランジスタのソースにソースが接続された第1のPMOSトランジスタと、前記ブートストラップ電圧が前記第2のダイオードを介しソースに入力しゲートが前記第1のPMOSトランジスタのゲートに接続された第2のPMOSトランジスタと、前記第1のPMOSトランジスタのゲートとドレインに接続された第1の電流源と、前記第2のPMOSトランジスタのドレインに接続された第2の電流源とを備え、該第2の電流源と前記第2のPMOSトランジスタのドレインとの共通接続点から前記検出信号を出力することを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、請求項2に記載の出力回路において、
前記正規電圧保持回路を、ブートストラップ電圧が第2のダイオードを介してエミッタに入力するPNPトランジスタと、該PNPトランジスタのベースと前記第1又は前記第2の電源端子との間に接続された第3のキャパシタと、前記PNPトランジスタのコレクタと前記第1又は前記第2の電源端子との間に接続された第4のキャパシタとを備える正規電圧保持回路に置き換えたことを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、請求項
1乃至3のいずれか1つに記載の出力回路において、
前記第2の電源端子は、前記第1の電源端子の電圧を降圧又は昇圧して生成した電源電圧を出力するブートストラップ用電源回路の出力端子であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ブートストラップ電圧が所定値以下に低下したときにそれを直接検出してブートストラップキャパシタに対する補助充電を行い、所定値を超えるとその補助充電を停止するので、現実のブートストラップ電圧に応じて補助充電が行われ、補助充電の過不足が発生しないので、チャージポンプ動作に伴うノイズ増大を防ぐことができる。また、複数のチャージポンプを使用する必要が無くICチップの面積増大を抑制できる。さらに、上記した所定値は動作開始時のブートストラップ電圧に応じて設定できるので、特別な基準電圧を設定する必要はない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に本発明の1つの実施例のモータ駆動回路を示す。10は1チップIC化されるモータ駆動回路、20はダイオードD1とキャパシタC1の直列回路でなる外付けのブートストラップ回路、30はモータ駆動回路10で駆動される3相モータ、40は電圧がVCCの電源である。
【0012】
モータ駆動回路10において、11はブートストラップ電源回路であり、電源40の電圧VCCを入力してブートストラップ用の電源電圧VCPを生成しその電圧VCPをキャパシタC2に保持する。12はブートストラップ補助充電回路であり、ブートストラップ回路20で生成されたブートストラップ電圧VTCPのレベルを検出し、そのレベルが所定値以下のときにブートストラップ回路20のキャパシタC1に対して補助充電を行う。13はクロック発生回路であり、そのブートストラップ補助充電回路12から出力するブートストラップ電圧VTCPのレベル低下の検出信号を入力するとクロックを出力して、ブートストラップ補助充電回路12内のチャージポンプ回路を駆動する。14はモータ30を回転駆動するPWM信号を出力する制御回路である。
【0013】
制御回路14のU相側出力は、NMOSのハイサイド出力トランジスタMN1UHのオン/オフを制御するハイサイド出力駆動回路15UHと、NMOSのローサイド出力トランジスタMN1ULのオン/オフを制御するローサイド出力駆動回路15ULを、相補関係にあるPWM信号で制御する。
【0014】
制御回路14のV相側出力は、NMOSのハイサイド出力トランジスタMN1VHのオン/オフを制御するハイサイド出力駆動回路15VHと、NMOSのローサイド出力トランジスタMN1VLのオン/オフを制御するローサイド出力駆動回路15VLを、相補関係にあるPWM信号で制御する。
【0015】
制御回路14のW相側出力は、NMOSのハイサイド出力トランジスタMN1WHのオン/オフを制御するハイサイド出力駆動回路15WHと、NMOSのローサイド出力トランジスタMN1WLのオン/オフを制御するローサイド出力駆動回路15WLを、相補関係にあるPWM信号で制御する。
【0016】
U相のハイサイド出力トランジスタMN1UHのドレインは電源40に接続され、そのハイサイド出力トランジスタMN1UHとローサイド出力トランジスタMN1ULの共通接続点であるU相出力中点UPは、ブートストラップ回路20のキャパシタC1とモータ30のU相端子に接続されている。
【0017】
V相のハイサイド出力トランジスタMN1VHのドレインは電源40に接続され、そのハイサイド出力トランジスタMN1VHとローサイド出力トランジスタMN1VLの共通接続点であるV相出力中点VPは、ブートストラップ回路20のキャパシタC1とモータ30のV相端子に接続されている。
【0018】
W相のハイサイド出力トランジスタMN1WHのドレインは電源40に接続され、そのハイサイド出力トランジスタMN1WHとローサイド出力トランジスタMN1WLの共通接続点であるW相出力中点WPは、ブートストラップ回路20のキャパシタC1とモータ30のW相端子に接続されている。
【0019】
ブートストラップ回路20のダイオードD1とキャパシタC1の共通接続点に生成されるブートストラップ電圧VTCPは、被検出電圧としてブートストラップ補助充電回路12に入力するとともに、U,V,W相のハイサイド出力駆動回路15UH,15VH,15WHのそれぞれに、電源電圧として供給されている。
【0020】
さて、U相において、ハイサイド出力駆動回路15UHの出力が“L”、ローサイド出力駆動回路15ULの出力が“H”になったときは、ハイサイド出力トランジスタMN1UHがオフ、ローサイド出力トランジスタMN1ULがオンとなって、U相出力中点UPが接地電位となる。このため、ブートストラップ電源回路11の出力電圧VCPの端子から、ブートストラップ回路20のダイオードD1→キャパシタC1→出力中点UP→ローサイド出力トランジスタMN1ULを経由して接地に電流が流れてキャパシタC1に充電が行われ、ブートストラップ電圧VTCPが生成される。この電圧VTCPは「VCP−Vf1」となる。Vf1はダイオードD1の順方向電圧である。
【0021】
次のタイミングで、U相において、ハイサイド出力駆動回路15UHの出力が“H”、ローサイド出力駆動回路15ULの出力が“L”になると、ハイサイド出力トランジスタMN1UHがオン、ローサイド出力トランジスタMN1ULがオフとなって、一瞬、U相出力中点UPがフローティングとなり、そのU相出力中点UPが接地電圧よりも高い電圧(ほぼVCC/2程度)に持ち上げられる。このため、ブートストラップ電圧VTCPが前記した電圧(=VCP−Vf1)よりも高い電圧に持ち上げられ、この持ち上げられた電圧VTCPがハイサイド出力駆動回路15UHに電源電圧として供給される。このため、そのハイサイド出力駆動回路15UHの“H”の電圧はブートストラップ電圧VTCPとなって、ハイサイド出力トランジスタMN1UHにゲート電圧として印加する。よって、ハイサイド出力トランジスタMN1UHは深いオン状態となる。
【0022】
ハイサイド出力トランジスタMN1UHがオン状態になると、U相出力中点UPがほぼ電源電圧VCCとなるので、ブートストラップ電圧VTCPはさらに高い電圧(=VCC+VCP−Vf1)となり、ハイサイド出力トランジスタMN1UHはより深いオン状態となる。
【0023】
このように、ハイサイド出力トランジスタMN1UHは、それがオンした際に、ブートストラップ回路20によって、そのオン状態が確実になる。
【0024】
以上の動作において、U相の駆動PWM信号のデューティ比が高くなり、
図7に示したように、ローサイド出力トランジスタMN1ULのオン時間T1に比べてハイサイド出力トランジスタMN1UHのオン時間T2が長くなると、ブートストラップ回路20のキャパシタC1への充電時間が相対的に短くなる。このため、そのキャパシタC1に対する充電量が不足してきて、ブートストラップ電圧VTCPが低下し、ハイサイド出力トランジスタMN1UHのゲート電圧が低下し、そのハイサイド出力トランジスタMN1UHのオン状態が十分ではなくなる。
【0025】
この状態を改善してブートストラップ電圧VTCPを一定の電圧以上に保持するために、前記した特許文献1では、PWM信号のデューティ比が所定値以上になると、チャージポンプ回路を駆動して補助充電を行っていたが、これは実際のブートストラップ電圧VTCPを検出するものではないので、過剰充電によるノイズ増大や充電不足が生じる問題がある。
【0026】
これに対して、本発明では、
図6に示すように、ブートストラップ電圧VTCPが所定値V1を下回ると、これをブートストラップ補助充電回路12が検出し、その検出信号によってクロック発生回路13でクロックを発生させ、このクロックによってブートストラップ補助充電回路12内のチャージポンプ回路の昇圧動作が開始するようにしている。これにより、このチャージポンプ回路で発生した昇圧電圧によって、ブートストラップ回路20のキャパシタC1に補助充電が開始される。この補助充電は、ブートストラップ電圧VTCPが前記した所定値V1を超えるまで継続すると停止し、これが繰り返される。
図6ではU相駆動のPWM信号のデューティ比が途中から100%で連続しているが、ブートストラップ電圧VTCPはほぼ所定値V1の電圧に保持されている。このように本発明では、ブートストラップ回路20のキャパシタC1が適宜補助充電されることによって、U相駆動のPWM信号のデューティ比が100%であっても、ブートストラップ電圧VTCPは所定電圧V1以上に保持され、しかも必要以上の補助充電は行われない。
【0027】
以上の動作はU相についてである。V相やW相についても同様な動作が行われるので、その詳しい説明は省略する。
【0028】
図2にブートストラップ補助充電回路12の詳細を示す。このブートストラップ補助充電回路12は、ブートストラップ電圧検出回路121とチャージポンプ回路122とにより構成されている。ブートストラップ電圧検出回路121は、ダイオードD2、PMOSトランジスタMP1,MP2、NMOSトランジスタMN2〜MN5、PNPトランジスタQ1、およびキャパシタC3,C4により構成されている。トランジスタMP1,MP2はトランジスタMP1を基準側とするカレントミラー回路を構成し、トランジスタMN3〜MN5はトランジスタMN2を基準側とするカレントミラー回路を構成している。また、チャージポンプ回路122は、PMOSトランジスタMP3,NMOSトランジスタMN6、キャパシタC5、およびダイオードD3,D4により構成されている。
【0029】
ブートストラップ電圧検出回路121において、ダイオードD2、トランジスタQ1、キャパシタC3,C4は請求項記載の正規電圧保持回路を構成する。また、ダイオードD2、トランジスタMP1,MP2,MN2〜MN5は請求項記載の比較回路を構成する。
【0030】
このブートストラップ電圧検出回路121では、動作開始時に、ローサイド出力トランジスタMN1ULをハイサイド出力トランジスタMN1UHよりも長い時間オンさせるPWM信号(例えばU相駆動PWM信号のデューティ比が0%近い信号)を制御回路14から出力することによって、必要十分なブートストラップ電圧VTCPがキャパシタC1に充電される。このブートストラップ電圧VTCPにより、ダイオードD2→トランジスタQ1→キャパシタC3を経由して流れるベース電流によりトランジスタQ1がオンし、これによりそのトランジスタQ1のコレクタに接続されたキャパシタC4が充電される。
【0031】
キャパシタC3への充電によりトランジスタQ1のベース電圧が上昇して、そのトランジスタQ1がオフした時点では、ブートストラップ電圧VTCPからダイオードD2の順方向電圧Vf2を減じた電圧(=VTCP−Vf2)がキャパシタC4に保持され、これが正規電圧となる。
【0032】
このとき、トランジスタMN2はキャパシタC4の電圧によりオンしており、そのソースはトランジスタMN4で定電流バイアスされているので、トランジスタMP1のソースはトランジスタMN2のゲート電圧からそのゲート・ソース間電圧Vgsnm2だけ低い電圧(=VTCP―Vf2−Vgsnm2)にバイアスされる。一方、トランジスタMP2のソースは、ブートストラップ電圧VTCPからダイオードD2の順方向電圧Vf2を差し引いた電圧(=VTCP−Vf2)にバイアスされ、ドレインはトランジスタMN5で定電流バイアスされている。
【0033】
よって、トランジスタMP2のソース電圧はトランジスタMP1のソース電圧に対してVgsmn2だけ高くなっている。このため、トランジスタMP2のドレイン電流がトランジスタMP1のドレイン電流よりも大きくなる。このとき、両トランジスタMP1,MP2のサイズを同一にしておきトランジスタMN4,MN5の吸い込み電流能力(同一)を設定しておけば、トランジスタMP2とMN5の共通ドレインに現れる検出電圧Vsは“H”の状態となり、クロック発生回路13は動作を停止している。
【0034】
その後、キャパシタC1の放電によってブートストラップ電圧VTCPが低下し、その低下量がトランジスタMN2のゲート・ソース間電圧Vgsmn2よりも大きくなると、上記と反対に、トランジスタMP2のドレイン電流がトランジスタMP1のドレイン電流よりも小さくなり、反転する。これにより、トランジスタMP2とMN5の共通ドレインに現れる検出電圧Vsは“L”の状態となり、クロック発生回路13が動作を開始する。
【0035】
クロック発生回路13からのクロックCK(デューティ比50%)が出力されると、チャージポンプ回路122のトランジスタMP3,MN6が交互にオン/オフを繰り返す。トランジスタMP3がオフしトランジスタMN6がオンしたときは、ダイオードD3を経由して電圧(=VCC−Vf3)がキャパシタC5に充電される。Vf3はダイオードD3の順方向電圧である。また、トランジスタMP3がオンしトランジスタMN6がオフしたときは、ブートストラップ電源回路11の出力電圧VCPがキャパシタC5に充電される。よって、チャージポンプ回路122から出力されてブートストラップ回路20のキャパシタC1に補助充電する電圧は、「VCC+VCP−(Vf3+Vf4)」となる。この電圧は前記した
図6の電圧V1に等しい。Vf4はダイオードD4の順方向電圧である。なお、ブートストラップ電圧VTCPの最大値は、ハイサイド出力トランジスタMN1UHがオンしたときの前記した電圧「VCC+VCP−Vf1」である。
【0036】
図3にブートストラップ電源回路11の詳細を示す。このブートストラップ電源回路11は、NMOSトランジスタMN8、非反転入力端子に基準電圧Vrefが入力したオペアンプOP1、および抵抗R1,R2により構成されている。
【0037】
ここでは、オペアンプOP1の反転入力端子の電圧が基準電圧Vrefに一致するようにトランジスタMN8が制御されるので、出力するブートストラップ電源電圧VCPは、
VCP=Vref×(1+(R1/R2))
となる。
【0038】
図4に別の例のブートストラップ電源回路11Aの詳細を示す。ここでは、
図3で説明したブートストラップ電源回路11に加えて、電圧保持用キャパシタC6と昇圧用キャパシタC7、およびPMOSトランジスタMP5〜MP8を追加している。
【0039】
その動作は、まずトランジスタMP6,MP8がオンし、トランジスタMP5,MP7がオフすることにより、経路A1経由でキャパシタC7にキャパシタC6の電圧VCP1が充電される。次に、トランジスタMP6,MP8がオフし、トランジスタMP5,MP7がオンすることにより、経路A2経由でキャパシタC7にキャパシタC6の電圧VCP1が重畳される。そしてこの動作が繰り返される。よって、出力するブートストラップ電源電圧VCPは、電圧保持用キャパシタC6の電圧VCP1を2倍昇圧した電圧になる。つまり、
図4のブートストラップ電源回路11Aでは、
図3のブートストラップ電源回路11で得られる電圧の2倍の電圧を生成することができる。
【0040】
図5にブートストラップ補助充電回路12Aの別の例を示す。ここでは、キャパシタC3,C4の
図2で示した接地側の端子を、電圧VCCの電源40に直接接続している。正常なときのブートストラップ電圧VTCPは電圧VCCを超える電圧(=VCC+VCP−Vf1)となるので、キャパシタC3,C4の接地側の端子を接地から切り離して電源40に接続しても、キャパシタC4に電圧「VTCP−Vf2」を充電することができ、前記した
図2のブートストラップ補助充電回路12と同様に、ブートストラップ回路20のキャパシタC1に対して補助充電を行わせることができる。なお、キャパシタC3,C4の
図2に示した接地側の端子を、ブートストラップ電源回路11の出力側に接続しても、同様の動作が行われる。
【0041】
以上説明した実施例において、ブートストラップ電源電圧VCPとしては、電源40の電圧VCCをそのまま使用してもよい。この場合でも、ブートストラップ電圧VCTPは最大で「2VCC−Vf1」にまで高くできる。また、クロック発生回路13で発生するクロックの周波数を高くしておけば、チャージポンプ122のキャパシタC5の容量を小さくできる。また、本発明の出力回路は、モータ駆動回路の出力回路に限らず、スイッチング電源装置やその他の装置の出力回路に適用することもできる。