特許第6181749号(P6181749)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6181749スルホンアミド基を有する接着促進剤を有する接着剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181749
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】スルホンアミド基を有する接着促進剤を有する接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/04 20060101AFI20170807BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20170807BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   C09J175/04
   C09J11/06
   C09J5/00
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-514529(P2015-514529)
(86)(22)【出願日】2013年5月31日
(65)【公表番号】特表2015-521227(P2015-521227A)
(43)【公表日】2015年7月27日
(86)【国際出願番号】EP2013061288
(87)【国際公開番号】WO2013178796
(87)【国際公開日】20131205
【審査請求日】2016年2月23日
(31)【優先権主張番号】102012209268.4
(32)【優先日】2012年6月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】デニス・バンクマン
(72)【発明者】
【氏名】ニーナ・ユングホルト
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・トムケ
【審査官】 小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】 再公表特許第00/077110(JP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0084091(US,A1)
【文献】 米国特許第06676795(US,B1)
【文献】 中国特許出願公開第1226589(CN,A)
【文献】 特表2003−533581(JP,A)
【文献】 特開2000−016985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック基材および/または金属基材を接合するための、ポリマー鎖中にウレタン基を含む液体または熱可塑性プラスチック接着剤から選択される接着剤であって、NCO反応性接着剤、シラン反応性接着剤または熱可塑性ポリウレタン(TPU)から選択され、およびSO−NH−C(O)構造を有する少なくとも1つのスルホンイミド基または少なくとも1つのアミドスルホネート基を含む500g/mol未満の分子量を有する少なくとも1つの化合物(H)0.01〜10wt%を構成成分として含有することを特徴とする接着剤。
【請求項2】
化合物(H)は、イソチアゾール−3(2H)−オン−1,1−ジオキシド基または3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシド基を環状構造として含むことを特徴とする、請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
化合物(H)は塩として存在することを特徴とする、請求項1または2に記載の接着剤。
【請求項4】
接着剤は、溶媒含有接着剤または溶媒不含接着剤であるか、または分散体接着剤であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の接着剤。
【請求項5】
接着剤は、NCO基含有一成分または二成分ポリウレタン接着剤であることを特徴とする、請求項4に記載の接着剤。
【請求項6】
2枚の基材を接着的に結合するための方法であって、基材に前処理を任意に施し、次いで請求項1〜5のいずれかに記載の接着剤を少なくとも1つの基材上へ塗布し、次いで2枚の基材を圧力下で接合する、方法。
【請求項7】
少なくとも1つの基材は金属表面または印刷表面を含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
接着剤をフィルム状基材上へ塗布し、フィルム状第2基材へ結合することを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
接着剤を1〜100g/mの量で塗布することを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
イソチアゾール−3−オン−1,1−ジオキシド誘導体または3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシド誘導体の接着促進剤としての、請求項1に記載の接着剤における使用。
【請求項11】
接着促進剤としての、食品産業または製薬産業のための多層フィルムを結合するための請求項10に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルホンアミド基を含有する接着促進剤を含有するプラスチックまたは金属基材を結合するための接着剤に関連する。本発明は、スルホンアミド基を有する接着促進剤を含有する接着剤でのフィルム状基材を接着的に結合する方法にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤が種々の基材に関して異なった接着特性を示すことが知られている。基材に応じて特別に適合させた接着剤を使用することによりこの問題は回避することができる。しかしながら、これは非常に手間のかかることである。基材表面の前処理により接着を改善することができることは更に知られている。しかしながら、そのような前処理、例えばプラズマまたはコロナ処理または火炎処理を行うための既知の系も同様に手間がかかる。他方では、接着促進剤を接着剤に添加することも知られている。その例は、アルコキシシランに基づく反応性接着促進剤である。工業設備においてフィルム基材を処理することが多いが、固体基材への接着結合は、個々の接着工程として行うことを必要とする。前処理はここでは実施するのがより難しい。ここでは同様に、既知の接着促進剤を使用する。
【0003】
WO2011/042267は、フィルムを接着的に接合するための方法を記載する。種々の基材への良好な接着を可能にする特別な接着促進剤を有する二成分ポリウレタン接着剤がここで提供される。これらの接着促進剤は構造特徴としてカルボキシル基、α−ヒドロキシケト基またはβ−ジケト基を含まなければならない。種々のカルボン酸、エステル、ケトンあるいはジヒドロキシ化合物が記載される。
【0004】
US3,046,262は、ポリエーテルを含むアクリレート基を含有する嫌気的架橋性組成物を記載する。更にスルフィミドが触媒組成物の構成成分として記載される。アクリレートに基づく嫌気的架橋性系のみが記載されている。
【0005】
EP1013735B1は、ウレタンアクリレートプレポリマーを有する嫌気的硬化性封止組成物を記載する。硬化性促進剤としてサッカリンを使用する。組成物は封止状に金属表面を接続すると言われる。プラスチック表面のような不活性物質は、還元剤を含有するプライマーを用いることによりのみ短期間のうちに金属表面へ接続することができる。一般に嫌気性接着剤あるいは封止組成物での場合であるように、硬化は空気または酸素の存在下で弱められる。酸素の存在下での、すなわち好気的条件下での封止剤の硬化は、還元剤での表面のさらなる下塗りによってのみ成功する。
【0006】
US2009/0277356A1は嫌気硬化性(メタ)アクリレート系接着性組成物を開示する。他の化合物に加えて、硬化性促進剤としてサッカリンもまた挙げられている。接着性組成物に含有される(メタ)アクリレート系は、官能基としてウレタン基、例えばイソシアネート化合物とヒドロキシル化合物との可能性のある接着性組成物の1つの製造において反応させることから生じるものを含むこともできる。不完全な反応は、NCO官能基化化合物の残存量を生じさせる場合がある。しかしながら、これらはNCO反応性接着剤ではないが、これは、その硬化性がNCO基の架橋反応に基づくことについて注目すべきである。
【0007】
US6,958,368B1は、スルフィンイミド、スルホンイミド、およびスルホンアミドならびに対応する酸素および硫黄誘導体の群からの嫌気的硬化性組成物についての硬化性促進剤を開示する。嫌気性接着剤組成物は、特に、更なる官能基としてウレタン基を含有することもできる(メタ)アクリレートに基づく。これらは好気性条件下で硬化する接着性組成物ではない。
【0008】
DE19940261A1は、接着剤を例えば噴霧することにより塗布することができる、紙の接着接合のための水溶性ホットメルト接着剤を開示する。ポリウレタンは、ホットメルト接着剤、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアルキルエングリコールと並んでホットメルト接着剤としてポリウレタンを列挙する。スプレーパターンの視覚的評価を可能にするために、ホットメルト接着剤へUV活性蛍光染料が混合される。これらの染料の中でも、特にスルファミドフェニル化合物またはアミドスルホニルフェニル化合物である。これらの化合物はPh−SO−NH基を有し、接着促進に特に適したスルホンイミドやアミドスルホン酸/アミドスルホネート基を含まない。
【0009】
US2001/0031367A1は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、マレイミド樹脂、アクリル樹脂またはポリウレタンに基づいた電気的放出性接着剤組成物を開示する。組成物はさらに電解質を含有する。接着剤組成物に溶解した電解質は、接着剤中でイオンイオン電導体を生じ、および電気的電圧の適用により、粘着的接合導電性基材の表面において、接着強度の損失を最終的に生じさせるレドックス反応が起こることができることが確保される。適当な電解質として、特にリチウムトリフルオロメタンスルホンイミドを挙げられる。この化合物は、接着促進に適したスルホンイミドまたはアミドスルホン酸/アミドスルホネート基を含まず、さらに皮膚との接着および飲み込んだときにさらに有毒である。
【0010】
接着促進剤は、固体基材の接着結合にしばしば用いられることが知られている。これにより手間のかかる前処理を部分的に避けることが可能である。これはまた金属表面用について特に重要である。
【0011】
多層フィルムは一般に、軟質基材として包装産業において知られている。これは、2以上の層から構成されてよく、各層はそれぞれフィルムとして互いに接合する。これらのフィルムは、ポリマー、例えば熱可塑性ポリマーから構成されてよく、紙層は金属箔と同様に含まれてもよい。金属化フィルムを用いてもよい。しばしば印刷されたフィルムもまた接着接合する。この種の接着用接着剤は種々の形態、例えば水系接着剤、ホットメルト接着剤または反応性接着剤系においてで知られている。
【0012】
食品産業または製薬産業用フィルムの結合のためにそのような接着剤をしばしば使用することが知られている。そのような応用分野では使用される初期材料が可能な限り内容物へ移行することがなく、健康について問題のないことが特に重要である。移行は、例えば高分子量により低減することができる。均質かつ耐久性のある接合を達成するために、接着剤の全ての構成成分は、硬化後に表面への移行することがないことが意図される。
【0013】
金属表面およびプラスチック製フィルムの複合材料のために存在する更なる問題は、金属表面への接着が不十分であることである。接着剤構成成分で着色された複合体は、さらに透明フィルムに接合されたときに損なわれる外観をもたらしながら金属性基材上で形成することもできる。しかしながら、印刷表面は、接合の際の問題を生じることがあることが知られている。
【0014】
嫌気性接着剤あるいは封孔剤は典型的には(メタ)アクリレート化合物、過酸化物、阻害剤および硬化性促進剤を含有する。過酸化物の開裂は、(メタ)アクリレート化合物の重合を開始し、このように硬化をもたらすラジカルを放出する。この方法は、今度は、適当な硬化性促進剤、とりわけ、例えばスルフィミド、スルファミドまたはスルホンイミドにより制御することができるレドックス法によって影響を受ける。ここで、過酸化物は、金属イオンでのレドックス反応により還元的にまた酸化的に開裂される。金属イオンはこの触媒作用サイクルにおいて異なった酸化状態より通過する。サッカリンのような促進剤の硬化促進剤は、接合する表面からの触媒有効金属イオンを放出し、接着剤の硬化に可能とし、したがって、反応を加速する役割を果たす。硬化は、還元剤または酸化剤により影響を受け、大気中酸素の存在下でより困難になる。反対に、大気中の酸素の存在は、阻害剤との相互作用において、組成物に長い保存性を保証する。硬化は、酸素の不存在下で、および接合すれる金属基材から由来する金属イオンの存在下で起こる。嫌気性接着剤を使用するプラスチック表面の接着は、さらなる前処理なしでは一般に可能ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第2011/042267号パンフレット
【特許文献2】米国特許第3,046,262号明細書
【特許文献3】欧州特許第1013735号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2009/0277356号明細書
【特許文献5】米国特許第6,958,368号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第19940261号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2001/0031367号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、本発明の目的は、接着促進剤を含み、無色生成物を製造し、および健康に関して問題のない接着剤を利用可能とすることである。この接着促進剤は、接着剤中へ保存安定的に組み込むことができることが意図され、さらに接着剤の移行が低いことが意図される。この接着剤は、種々の基材上で良好な接着を確保することが意図され、特に非金属表面の接着接合を可能とすることを確保することが意図される。この接着剤は、更に好気性および嫌気性条件の両方の下で硬化することができることが意図される。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的は、プラスチック基材および/または金属基材を接合するための、ポリマー鎖中にウレタン基を含む液体または熱可塑性プラスチック接着剤から選択される接着剤により達成され、この接着剤は、NCO反応性接着剤、シラン反応性接着剤または熱可塑性ポリウレタン(TPU)から選択され、および構成成分としてSO−NH−C(O)構造を有する少なくとも1つのスルホンイミド基または少なくとも1つのアミドスルホネート基を含む500g/mol未満の分子量を有する少なくとも1つの化合物(H)0.01〜10wt%を含有することを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0018】
物質を、塩のイオン構成成分として脱プロトン化またはプロトン化形態で用いる場合には、分子量は、そのイオン性構成成分の各プロトン化あるいは脱プロトン化により得ることができる対応する天然形態のことである。アミドスルホネート基は特に、アミドスルホン酸基としてプロトン化形態で、またはアニオン基として脱プロトン化形態で陽子に加えた形態で存在し得る。
【0019】
本発明はさらに、化合物(H)を含有する対応する接着剤を用いる、基材を接着的に接合するための方法に関する。本発明はさらに、対応する接着剤を用いて接着的に接合する多層フィルムに関する。
【0020】
固体またはフィルム状基材を粘着的に接合するための方法は一般に知られている。異なった接着剤をここでは使用することができる。本発明に従えば、ポリウレタンに基づいた接着剤を使用する;これらは処理することが容易であり、接合した基材への良好な接着を生じる。本発明に従って用いる接着促進性化合物との良好な相溶性は、含まれるウレタン基によりもたらされる。
【0021】
プラスチックおよび/または金属から構成される既知の基材を、本発明による方法において基材として使用することができる。これらは、硬質、固体、または軟質基材であってよい。表面は、前処理、例えば被覆または印刷してもよい。同一または異なった基材を接合することができる。基材の1つの表面は、異なった材料、例えばセラミックまたは石から構成することも可能である。実施態様では、2つの固体または1つの固体および1つのフレキシブル基材を、互いに接着的に接合することができる。特に、1つの基材は金属表面を含む。
【0022】
特定の実施態様において、それ自体既知の軟質フィルム状基材、例えばプラスチック製フィルム、金属箔、紙フィルムまたは厚紙などは互いに接着的に接合される。これらは、1以上の層において多層フィルムへ接着的に接合される。
【0023】
本発明による方法に従ってそのような多層フィルムの製造のためのフィルム材料として既知の軟質フィルムを使用することができる。これらは、例えばフィルム状の熱可塑性プラスチック、例えばポリオレフィン〔例えばポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP、CPP、OPP)、塩化ポリビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)など〕、ポリエステル〔例えばPET〕、ポリアミド、天然ポリマー〔例えばセロハンまたは紙〕などからなる基材である。このフィルム材は、例えばポリマーを官能基で修飾することにより表面で変性することもでき、例えば顔料や染料などのさらなる成分をフィルムに含有させるか、または発泡層をフィルムに含有させることもできる。このフィルムは、着色、印刷、無色または透明であってよい。更にフィルムに表面処理(例えばコロナまたはプラズマ処理、火炎処理)を施すことができる。
【0024】
特定の実施態様では、本発明による接着剤は、1つの基材が金属表面、特にアルミニウム表面を含むフィルム材料の接着接合に適当である。これらは金属箔、特にアルミホイルであってよく、あるいはアルミニウム被覆表面を含むプラスチック製フィルムであってよい。
【0025】
本発明による接着剤と共に、対応する軟質フィルム材料から多層フィルムを製造することができる。
【0026】
本発明による適当な接着剤は、二成分ポリウレタン接着剤、一成分ポリウレタン接着剤、熱可塑性ポリウレタン接着剤またはそれ自体既知のシラン架橋性接着剤から選択することができる。本発明によるこれらの接着剤は、ウレタン基をポリマー鎖中に、例えばプレポリマー中に、および/または架橋後にポリマーネットワーク中に含有する。これらの接着剤は、さらなる構成成分として、スルホンイミド基またはアミドスルホネート基を含む化合物(H)を含有することが意図される。
【0027】
熱可塑性接着剤(特に熱可塑性ポリウレタン接着剤)は適当な接着剤の群である。これらは、結合剤として一以上のポリオールおよびポリイソシアネートを反応させることにより製造されたポリウレタンポリマーを含有する非反応性ホットメルト接着剤である。これらの熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)は、さらに、水素結合を形成することができる多くのウレタン基を含む。TPUは、主に直鎖構造であり、これらは反応性NCO基を含有しないことが意図される。TPUの分子量、粘度および溶融挙動は、ポリオールとイソシアネートの選択により影響を受けることがある。TPUは室温において固体であり、通常100℃を超える温度にて溶融および塗布することができる。接着接合は、冷却により凝固によって生じる。熱可塑性接着剤は、これらの熱可塑性ポリウレタンを20wt%を超え、好ましくは50wt%を超え、さらに好ましくは80wt%を超え、特に90〜99.99wt%の量で含有する。
【0028】
シラン基によって架橋することができる反応型接着剤は適当な接着剤の別の群である。さらに、それらを「シラン反応性」接着剤と呼ぶ。これらは、架橋性構成成分としてウレタン基を含有するポリマーを含有する。ポリマーの骨格は、特にポリエーテル、または加水分解性シラン基をポリマー鎖上に含有するポリ(メタ)アクリレートから構成されてよい。適当なシラン基は、加水分解性残基を有するシラン基、例えばC1〜C4アルコキシ基を有するジ−またはトリアルコキシシラン基である。これらの加水分解性官能基により、接着剤は適用後に架橋することができる。シラン反応性接着剤は、これらのポリマーを20wt%を超え、好ましくは50wt%を超え、さらに好ましくは80wt%を超え、特に90〜99.99wt%の量で含有する。
【0029】
適当なポリマーの例は、少なくとも2つの加水分解性シラン基を有するポリオキシアルキレンプレポリマーである。これらのシラン含有プレポリマーは、例えば反応によりポリエーテルジオールから得られる。OH基は、シラン基がポリマー上で反応することとなるようにイソシアナトシランと反応させることができる。ポリエーテルポリオールはまた、NCO末端プレポリマーが生じるようにイソシアネートと反応させることもできる。遊離NCOは、その後、シラン化合物と反応させることができる。
【0030】
他の適当なプレポリマーはポリ(メタ)アクリレートに基づいたものであり、これは同様に、ポリマー鎖上で少なくとも2つの加水分解性シラン基を含む。これらは、OH基をなお含有するアルキル(メタ)アクリレートエステルの重合生成物である。既に記載した通り、これらは、イソシアナトシランと反応させてもよく、またはまずイソシアネートと反応させ、次いでシラン基含有化合物と反応させてもよい。このようなポリマーは、当業者に既知であり、市販されている。
【0031】
一成分ポリウレタン接着剤は適当な接着剤の好適な群である。これらは、主要な構成成分として、遊離NCO基をなお含むポリウレタンプレポリマーを含有する。一成分ポリウレタン接着剤は、ポリウレタンプレポリマーを20wt%を超え、好ましくは50wt%を超え、さらに好ましくは80wt%を超え、特に90〜99.99wt%の量で含有する。プレポリマーは、OH基を有するかまたはNH基を有する化合物と過剰のポリイソシアネートとの反応生成物である。ポリウレタンプレポリマーの製造に有用なポリオールおよびポリイソシアネートは、当業者に既知である。これらは、接着剤利用に既知のポリオールまたは第2級および/または第1級アミノ基を有する対応する化合物、ならびに好ましくはジイソシアネートである。ポリオールは、例えばポリエーテル、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリレートあるいはアルキレンポリオールに基づいたものであってよい。OH基を含有する開始化合物は好ましい。20,000g/molまで、特に100〜10,000g/molの分子量(GPCにより決定される数平均分子量M)を有するポリオールは、これらのプレポリマーの合成に特に適している。ポリウレタンプレポリマーのNCO基、分子量および粘度の数は、ポリオール比較してポリイソシアネートの量により影響を受けることがある。
【0032】
二成分ポリウレタン接着剤は好適である接着剤の別の好適な群である。これらは、例えばポリイソシアネートまたはNCO含有プレポリマーの群からの少なくとも1つのNCO基含有化合物を有する成分A、および少なくとも1つの架橋剤として働く化合物を有する第2成分Bを含有し、この化合物は、NCO基と反応する少なくとも2つの官能基、例えばOH基、COOH基、SH基またはNH基を含む。さらに、アジュバントおよび添加剤を接着剤にさらに含有させることができる。全NCO含有化合物の合計は、成分A中に20wt%を超え、好ましくは50wt%を超え、さらに好ましくは80wt%を超える量で含まれる。架橋剤として働く化合物の合計は、成分B中に20wt%を超え、好ましくは50wt%を超え、さらに好ましくは80wt%を超える量で含まれる。
【0033】
これらの一成分および二成分ポリウレタン接着剤は、接着剤の架橋、したがって硬化がNCO基の反応により生じるということについて注目すべきであり、「NCO反応性」接着剤と呼ぶ。
【0034】
二成分ポリウレタン接着剤の成分Aのために使用することができるポリイソシアネートはそれ自体既知の2以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートである。適当なポリイソシアネートは、芳香族イソシアネート、例えば1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルイレンジイソシアネート(TDI)の異性体、メチレントリフェニルトリイソシアネート(MIT)、または脂肪族イソシアネート、例えば水素化MDI(H12MDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、1−イソシアナトメチル−3−イソシアナト−1,5,5−トリメチルシクロヘキサン(IPDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等である。少なくとも三官能性イソシアネート(それらはジイソシアネートの三量化あるいはオリゴマー化によって生産することができる)を使用することができる。
【0035】
成分Aを構成する適当なNCO含有プレポリマーは、OH基含有および/またはNH基含有化合物と過剰のポリイソシアネートとの反応生成物である。ポリウレタンプレポリマーの合成において使用可能なポリマーおよびポリイソシアネートは当業者に知られている。上記一成分ポリウレタンプレポリマーを用いてもよいが、但しこれらは適当な粘度を有する。
【0036】
ポリオール成分は、低分子量、例えば約60g/mol〜1500g/molであってよいが、高分子量ポリマー、例えば1500〜50000g/mol、特に1500〜25000g/molの分子量(GPCにより決定される数平均分子量M)を有するものを反応させてもよい。平均で、ポリオール、例えばジオール上に存在する2つの反応性基が意図される。さらに、多数のOH基を有する化合物を反応させることも可能である。
【0037】
反応方法は、イソシアネートの量により影響を受けることがある。大過剰のイソシアネートを用いる場合には、未反応ジイソシアネートを含有してもよいポリウレタンプレポリマー混合物が製造される。分子量の僅かな増加だけが観察される。より小量のイソシアネートを使用する場合あるいは反応を段階的に行なう場合、初期化合物と比較して、プレポリマーの分子量を増加することが知られている。概して、この場合には、全反応に関して過剰のイソシアネートを用いることが確保することが必要である。ポリオール化合物は、既知の方法でイソシアネートと反応させることができる。
【0038】
ジイソシアネートとの反応によって、ポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールに基づいて製造されたポリウレタンプレポリマーは、成分Aとして特に好ましい。本発明において使用されるポリウレタンプレポリマーは通常、500〜約30000g/mol、好ましくは15000g/molまで、特に1000〜5000g/molの分子量(GPCによって決定される数平均分子量M)を有する。別の好ましい実施態様は、成分Aとして脂肪族イソシアネートおよびそのオリゴマーを使用する。
【0039】
好ましい二成分ポリウレタン接着剤の成分Bは、イソシアネート基ついて反応性の少なくとも2つの基を含む少なくとも1つの化合物を含有しなければならない。これらは例えばCOOH、SH、NHあるいはOH基出会ってよく、ポリオールは特にポリオールを好ましく、これらは、異なった化学構造または異なった分子量を有するポリオールの混合物であってよい。これらの化合物は架橋剤として働く。
【0040】
少なくとも2つの反応性基を含む適当な化合物を個々にあるいは混合物として使用することができる。粘度は、成分Bの構成成分の選択により影響を受けることがある。ポリマーポリオールを使用する場合、Bはより高い粘度を示す。低分子量のポリオールを一部使用する場合、粘度はより低い。
【0041】
一成分ポリウレタンおよび二成分ポリウレタン接着剤、シラン架橋性接着剤のための、あるいはウレタン基を含有するTPUとして、適当なポリマーは当業者に原則として知られている。それらは、さらに市販されている。これらのポリマーはさらに任意に添加剤を含有することができ、次に、接着剤を形成することができる。
【0042】
本発明による接着剤には、少なくとも1つの低分子量の化合物(H)を含有させなければならない。前記化合物は、接着促進剤として働くことが意図される。化合物(H)は少なくとも1つのスルホンイミド基あるいはアミドスルホネート基を含む。両方の基を化合物中に含有させることができる。スルホンイミド基を有する化合物(H)は、SO−NH−C(O)構造を含有する化合物である。化合物は、500g/mol未満、特に400g/mol未満の分子量を有することが意図される。これらは質量変化のない低分子量化合物である。分子量は、分子構造に基づいて計算し、質量分析によって実験的に決定することができる。化合物(H)はさらなる官能基を含んでもよいが、但しそれらは粘着剤系の硬化をもたらさず、および接着剤は保存安定性のままである。これらはNH酸性水素原子を含むことが意図される。これらは直鎖状化合物であってよいが、スルホンイミドまたはアミドスルホネート基が好ましくは環状構造として、一般に5員環または6員環として存在する。化合物は中性であってよいが、塩様化合物で存在してもよい。任意に5および/または6個の炭素原子で置換された1,2,3−オキサチアジン−4(3H)−オン−2,2−ジオキシド(1,2,3−oxathiazin−4(3H)−one−2,2−dioxide)または任意に4および/または5個の炭素原子で置換されたイソチアゾール−3(2H)−オン−1,1−ジオキシド(isothiazol−3(2H)−one−1,1−dioxide)は、特に環状構造として存在することが意図される。例えば一以上の同一または異なった直鎖、分枝、環状あるいはC1〜C12アルキル置換基を含有させることができる。
【0043】
スルホンイミド構造またはアミドスルホネート構造を有する適当な化合物は、例えば式I、II、III、IV、V、VIで示される化合物である。
【0044】
I) R−NH−SOHおよびその塩
〔式中、R=C2n+1(n=1〜10)、シクロヘキシル、フェニル、アルキル置換シクロヘキシルまたはフェニル〕
【0045】
II) R’−SO−NH−C(O)−R
〔式中、R、R’=C2n+1(n=1〜10)、シクロヘキシル、フェニル、アルキル置換シクロヘキシルまたはフェニル、またはRおよびR’を、共通の任意にアルキル置換されたCまたはCブリッジを脂肪族または芳香族5員環または6員環の構成成分として形成するように有し、ここでR、R’は同一または異なっていてよい〕
【0046】
III) R’−O−SO−NH−C(O)−R
〔式中、R、R’=C2n+1(n=1〜10)、シクロヘキシル、フェニル、アルキル置換シクロヘキシルまたはフェニル、またはRおよびR’を、共通の任意にアルキル置換されたCブリッジを脂肪族または芳香族6員環の構成成分として形成するように有し、ここでR、R’は同一または異なっていてよい〕
【0047】
【化1】
〔I)に定義のRを、式Iで示される化合物の好適である態様として有する〕
【0048】
【化2】
〔式中、R、R’=C2n+1(n=1〜10)、シクロヘキシル、フェニル、アルキル置換シクロヘキシルまたはフェニル、またはRおよびR’を、共通の任意にアルキル置換されたCまたはCブリッジを脂肪族または芳香族5員環または6員環の構成成分として形成するように有し、ここでR、R’は同一または異なっていてよい〕
【0049】
【化3】
〔式中、R、R’=C2n+1(n=1〜10)、シクロヘキシル、フェニル、アルキル置換シクロヘキシルまたはフェニル、またはRおよびR’を、共通の任意にアルキル置換されたCまたはCブリッジを脂肪族または芳香族5員環または6員環の構成成分として形成するように有し、ここでR、R’は同一または異なっていてよい〕
【0050】
置換アミドスルホネート、例えばシクロヘキシルアミドスルホネート、置換または非置換ベンゾスルフィミド(安息香酸スルフィミド)、例えば1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オン−1,1−ジオキシド、またはアルキル置換3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシド(1,2,3−オキサチアジン−4(3H)−オン−2,2−ジオキシド)、例えば6−メチル−3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドである。この種の化合物は、さらに市販されている。
【0051】
本発明の接着剤は、全接着剤を基準に0.01〜10wt%、特に0.1〜5wt%の量で化合物(H)を含有するように意図される。特定の実施態様において、毒物学上問題のないこれらの化合物(H)を用いる。異なった化合物(H)の混合物を使用する場合、示された制限は前記化合物(H)の全量を参照する。
【0052】
さらなる構成要素および添加剤、例えば溶媒、可塑剤、触媒、樹脂、安定化剤、顔料、充填剤を、任意に本発明による接着剤に含有させることは有用である。
【0053】
一実施態様では、適当な接着剤は少なくとも1つの粘着付与樹脂を含有することができる。樹脂はさらなる粘着性を生じる。適合するすべての樹脂、即ち、ほとんど均一な混合物を形成する樹脂を、原則として使用することができる。可塑剤、例えばホワイト鉱油、ナフテン鉱物油、パラフィン系炭化水素油、ポリプロピレンオリゴマー、ポリブテンオリゴマー、ポリイソプレンオリゴマー、水素化ポリイソプレンおよび/またはポリブタジエンオリゴマー、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、安息香酸エステル、植物油または動物油およびそれらの誘導体を含有することもできる。食品規制の意義において安全である可塑剤が特に適している。
【0054】
高分子量の立体障害型フェノール、多官能性フェノール、イオウ含有フェノールおよびリン含有フェノールまたはアミンが、任意に使用する安定化剤若しくは酸化防止剤として適している。
【0055】
さらに、接着剤にシラン化合物を任意に添加することができる。公知の有機官能性シラン、例えば(メタ)アクリルオキシ官能性、エポキシ官能性、アミン官能性または非反応性置換シランを添加することができる。健康を危険にさらす低いポテンシャルだけを示すシランは特に選択される。量は10wt%までであってよい。
【0056】
反応性接着剤はまた、任意にさらに存在する添加剤として触媒を含有してもよい。例えばOH基およびNCO基の間での反応を触媒することができる全ての既知の化合物、例えばSn、Ti、Fe、Zn、Bi、Hg、Pbの金属化合物あるいは第3級アミンを用いることができる。触媒は、接着剤の全量を基準に0〜5wt%、特に0.05〜約1wt%、特に0%の量で用いることができる。
【0057】
特定の実施態様はまた、被覆剤に顔料を添加する。これらは例えば微細に<5μmの粒度を有する微粒子顔料である。本発明の実施態様は、結合剤の1つの成分において分散することができる、フレーク形状顔料で働く。別のアプローチはナノ粒子を使用する。これらは、通常<500nm、特に100nm未満の粒度を有する。そのようなナノ顔料は、TiO、SiO、Feあるいは同様のオキシドあるいはオキシ水和物に基づくものであってよい。このような顔料は当業者に既知である。
【0058】
接着剤に溶媒を含有させることが可能である。これらは120℃までの温度で蒸発することができる通常の溶媒である。溶媒は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ケトンあるいはエステルの群から選択することができる。別の実施態様において、接着剤は溶媒を含有せず、さらなる実施態様は、水に基づいた接着剤分散体を使用する。
【0059】
接着剤では、既知のアジュバントおよび添加剤および/または化合物(H)を一方または両方の成分に含有させることができるが、但し成分は前記添加物により保存安定性である。溶媒は、例えば溶媒含有反応性一成分または二成分接着剤として含有することができるが、本発明の特定の実施態様は、溶媒不含で、例えばTPUまたは一成分ポリウレタンホットメルト接着剤として、または一成分または二成分反応性接着剤として操作する。一成分接着剤の場合には、後者は直接添加することができる。二成分接着剤を使用する場合、塗布直前にそれらを混合する。
【0060】
既知の装置を使用しながら、接着剤の塗布を達成することができる。これらは当業者に既知であり、噴霧塗布、ブレード塗布、圧力塗布、ローラー塗布またはノズルおよび他の塗布を含むことができる。
【0061】
反応性接着剤を適用する場合、それらはその後架橋する。架橋により、非常に高い分子量あるいはネットワークが生成され、OH基またはNH基を含む添加剤が任意にネットワークへ化学上組み込まれ、次に、さらに移行することができない。
【0062】
フィルム基材を接着的に接合するための積層接着剤としての特定の実施態様では、低粘性接着剤を使用することが有用である。接着剤は、大面積を覆うのに特に適当であり、これらは、約10〜75℃、ホットメルト接着剤については110℃までの塗布温度にて低粘性を有することが意図される。構成成分の混合直後にまたは一成分接着剤として測定された本発明の接着剤の粘度は、塗布温度にて200〜10000mPas、好ましくは500〜3000mPas(10〜60℃にて、ブルックフィールド粘度計、EN ISO 2555による)である。
【0063】
本発明のさらなる対象は、本発明によって接着剤を使用しながら、基材を接着的に接合する方法であり、後のものは、0.05〜10wt%のスルホンイミド基またはアミドスルホネート基を含有する化合物(H)を含有する。本発明による方法に従って、基材上に層として適当な接着剤を適用する。基材は清浄にされ、および/または前処理されていてよい。接着剤は、1g/m〜100g/m、好ましくは2〜35g/m(固体)の層厚みにて塗布する。低い塗布粘度は例えば200〜10,000mPasで存在することである。被覆を促進するために、接着剤を高温に、特に25〜60℃、TPUの場合には110℃まで加熱することが可能である。接着剤を片方の基材上へ塗布することができるが、両方の基材を接着剤でさらに被覆することもできる。方法の一実施態様では、片方の基材は金属あるいは金属化された表面のいずれかとして、金属表面を有する。本発明による接着剤は、特に金属表面上に適用することができる。その後、基材をまとめる。
【0064】
方法の好適な実施態様は、2つのフィルム基材を互いに接着的に接合し、これらは上記のフィルム基材でありえる。金属表面を有する基材を好ましくはもう一度使用することができ、別の好適な形態は印刷フィルム表面を接着的に接合する。接合後に、反応性接着剤を使用する場合、硬化を高温により任意に促進することができる。第2フィルム層へ結合した直後に加工を継続することができる。多層フィルムを接着の急速な構築により素早く処理されおよび/または包装することができる。上記フィルム基材間の接着は非常に良好である。
【0065】
本発明のさらなる対象は、本発明による接着剤で接着的に接合したフィルム基材である。片方の基材表面は金属の表面あるいは印刷プラスチック表面を有する。この場合、これらのフィルムは、多層フィルムを生ずる他のフィルム材料へ接合している。接着剤層は大部分は無色であり、即ち、視覚的印象を害することなく無色フィルムさえ接合することができる。多層基材の接着は良好であり、接合するのが難しい印刷表面上でさえ良好な接合が得られる。
【0066】
本発明による接着剤および方法は、2つの基材の接着を改善することを可能にする。金属性基材の接着を特に改善する。接着結合は良好な安定性を示し、基材の手間のかかる前処理を省略することができる。
【0067】
フィルム状軟質基材の接着接合の特定の場合には、接着の急速な構築が観察される。接着層は表面との接触により変色しない。透明フィルム材あるいは金属化表面を使用することができる。印刷フィルム表面への接着を改善する。接着剤は、接合直後に対応する接着強度に素早く発展する。これは、多層フィルムの急速な更なる処理が可能であることを確保する。さらなる処理後、接着結合をさらなるフィルムに供給することができ、対応するフィルムは印刷することができるか、あるいは梱包作用を行なう。
【0068】
さらなる利点は、接着を改善するために化合物(H)として健康について問題のない物質を選択する可能性によるものである。したがって、本発明によって得られた多層基材は、食品産業または製薬産業のための包装における利用に特に適当である。さらに、接着的に接合した基材が、例えば紫外線照射、乾熱滅菌あるいは蒸気減菌で殺菌の後にさえ改善された接着を示すことも見出された。
【実施例】
【0069】
実施例系例I
【0070】
接着剤:
成分Bは、イソフタル酸、アジピン酸、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオールおよびグリセロールから製造された市販のポリエステルプレポリマー(ヒドロキシル価は13mgKOH/g、DIN 標準 53240:1971−12により決定)を含有する。成分Bでは、ポリエステルポリマーを66wt%の固体割合で酢酸エチル中に溶解する。
【0071】
〔粘度〕
20℃にて約3500mPas(ブルックフィールド、EN ISO 2555によりLVT)。
【0072】
2成分積層接着剤は、成分Bと、イソシアネート硬化剤(Desmodur L75およびDesmodur N3300、約2:1の重量比にて、5wt%のシラン接着促進剤を含有する酢酸エチル中に90%(成分Aを基準にwt%)として)から構成される成分AとをB:A比=7.4:1(重量)にて混合することにより得られる。
【0073】
接着剤を、機械(50m/分)により3.5g/mの単位面積(固体)当たり重量にて45℃にて印刷ポリエチレンテレフタレートフィルム上へ塗布した。このように被覆したフィルム上にアルミホイルを積層した。第2工程において、この複合材料のアルミニウム側上に同一の方法でCPPフィルムを積層した。
【0074】
積層体を巻き上げて、室温で貯蔵した。
【0075】
実施例1(比較):
系列Iの二成分接着剤を塗布した。
【0076】
実施例2(本発明):
1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オン−1,1−ジオキシドを成分Bを基準に1.2wt%の量で、75〜80℃にて撹拌および溶解することにより実施例1の接着剤の成分Bへさらに添加した。手順は実施例1の通りであった。
【0077】
【表1】
【0078】
接合接着値は、DIN標準EN1895を基準に確認され、100mm/分の引張速度および15mmのサンプル幅を選択した。
【0079】
接合接着値は、熱水(90℃)中でDIN 標準 EN 11339を基準に確認され、100mm/分の引張速度および15mmのサンプル幅を選択した。試験片は、90℃での熱水でチャンバー中にマウントされた回転装置を用いて整列した。
【0080】
実施例2は、試験した全ての局面において実施例1の参考より著しく良好な値を有することが明白である。接着的に接合した層は変色しない。
【0081】
実施例系例II
【0082】
2成分積層接着剤は、成分Bと、イソシアネート硬化剤(Desmodur L75およびDesmodur N3300、約2:1の重量比にて、酢酸エチル中に90%(成分Aを基準にwt%)として)から構成される成分AとをB:A比=2.7:1(重量)にて混合することにより得られる。
【0083】
接着剤を、23℃にて、15μmハンドヘルドブレードを用いて約8g/mの単位面積当たり重量にて印刷ポリエチレンテレフタレートフィルム上へ塗布した。溶媒を、フィルムから約5分間、90℃にて乾燥キャビネット中で除去した。このように被覆したフィルム上にアルミホイルを積層した。第2工程において、この複合材料のアルミニウム側上に同一の方法でCPPフィルムを積層した。積層体を巻き上げて、室温で貯蔵した。
【0084】
実施例3(比較):
系列Iの二成分接着剤を塗布した。
【0085】
実施例4(本発明):
1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オン−1,1−ジオキシドを成分Bを基準に2.5wt%の量で、75〜80℃にて撹拌および溶解することにより実施例3の接着剤の成分Bへさらに添加した。手順は実施例3の通りであった。
【0086】
【表2】
【0087】
実施例4は、試験した全ての局面において実施例3の参考と同等であるかまたは良好な値を有することが明白である。特に、印刷PETフィルムへの接着は、特に殺菌後にかなり増加した。