(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤は、硫酸キニーネ、ナリンジン、サッカロースオクタアセテート、塩酸キニーネ、およびそれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の水溶性パッケージ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔水溶性パッケージ〕
本発明の主題は、剤および水溶性包装材料を含有する水溶性パッケージに関する。該水溶性包装材料は、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤を、少なくとも部分的に含有する。
【0013】
水溶性パッケージは、水溶性包装材料を含有し、これは、その内部に1種以上の剤を収容するための1つ以上のチャンバーを有する密閉構造を形成する。水溶性包装材料は、好ましくは水溶性フィルム材料で形成される。
【0014】
水溶性パッケージは、寸法安定性の、または、変形可能なデザインを有し得る。
【0015】
水溶性パッケージは、寸法安定性容器(例えばカプセル、ボックス、缶または容器の形態)として設計され得る。
【0016】
しかし、原則として、非寸法安定性容器として、例えばパウチとして、水溶性パッケージを形成することも可能であり、好ましい。水溶性パッケージのこの種の形状は、広い範囲の使用条件に採用され得る。種々の形状、例えばチューブ、クッション、円筒、ボトルまたはディスクが適当である。
【0017】
水溶性パッケージは、1種以上の剤を貯蔵するための1つ以上のチャンバーを有し得る。水溶性パッケージは、2〜5つのチャンバーを好ましくは有する。
【0018】
〔水溶性包装材料〕
水溶性包装材料は、好ましくは、ポリマーまたはポリマー混合物を含む群から選択される水溶性フィルム材料から形成される。包装材料は、1つ、2つ、またはそれ以上の水溶性フィルム材料の層から形成され得る。存在する場合、第1の層の水溶性フィルム材料と追加の層の水溶性フィルム材料は、同一または異なっていてよい。例えばフィルムに剤を充填後、貼付けまたはシールされ、チューブまたはクッションなどの包装を形成し得るフィルムは、特に好ましい。
【0019】
水溶性包装材料は、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールコポリマーを含有することが好ましい。ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールコポリマーを含有する水溶性包装材料は、水中での十分に高い溶解性、特に冷水中での溶解性と共に良好な安定性を有する。
【0020】
水溶性包装材料の製造に適当な水溶性フィルムは、好ましくは、10,000〜1,000,000gmol
−1、好ましくは20,000〜500,000gmol
−1、特に好ましくは30,000〜100,000gmol
−1、特に40,000〜80,000gmol
−1の範囲の分子量を有するポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールコポリマーに基づく。
【0021】
ポリビニルアルコールは、通常、直接の合成ルートは不可能であるためポリビニルアセテートの加水分解により製造される。このことは、ポリビニルアセテートコポリマーから同様にして製造されるポリビニルアルコールコポリマーにもあてはまる。水溶性包装材料の少なくとも1つの層が、70〜100mol-%、好ましくは80〜90mol-%、特に好ましくは81〜89mol-%、特に82〜88mol-%の加水分解度を有するポリビニルアルコールを含有する場合、好ましい。
【0022】
さらに、(メタ)アクリル酸含有(コ)ポリマー、ポリアクリルアミド、オキサゾリンポリマー、ポリスチレンスルホネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ乳酸またはこれらポリマーの混合物を含む群から選択されるポリマーを、水溶性包装材料の製造に適当なポリビニルアルコール含有フィルム材料に添加してよい。ポリ乳酸は、好ましい追加のポリマーである。
【0023】
ビニルアルコールに加えて、好ましいポリビニルアルコールコポリマーは、追加のモノマーとしてジカルボン酸を含む。適当なジカルボン酸は、イタコン酸、マロン酸、コハク酸およびそれらの混合物であり、イタコン酸が好ましい。
【0024】
同様に好ましいポリビニルアルコールコポリマーは、ビニルアルコールに加えて、エチレン性不飽和カルボン酸、その塩またはそのエステルを含む。ビニルアルコールに加えて、このようなポリビニルアルコールコポリマーは、特に好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、またはこれらの混合物を含有する。
【0025】
フィルム材料がさらなる添加剤を含有することが好ましくあり得る。フィルム材料は、例えば、柔軟剤、例えばジプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、またはこれらの混合物を含有し得る。さらなる添加剤の例としては、剥離助剤、充填剤、架橋剤、界面活性剤、酸化防止剤、UV吸収剤、アンチブロッキング剤、非粘着剤、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0026】
本発明の水溶性パッケージの水溶性包装材料において使用するのに適当な水溶性フィルムは、例えば、MonoSol LLCより、M8630、C8400またはM8900の商品名のもとで市販されているフィルムである。他の適当なフィルムとしては、Solublon(登録商標)PT、Solublon(登録商標)GA、Solublon(登録商標)KC、またはSolublon(登録商標)KLの商品名を有するAicello Chemical Europe GmbHのフィルム、または、クラレ製のVF-HPフィルムが挙げられる。
【0027】
水溶性包装材料は、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤を、少なくとも部分的に含有する。
【0028】
1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤を、例えば、水溶性包装材料の外表面に適用してよく、または、水溶性包装材料中に含有させてよい。
【0029】
本発明の好ましい一態様において、水溶性包装材料の外表面は、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤で、少なくとも部分的に被覆されている。これに関して、水溶性包装材料が少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、きわめて好ましくは少なくとも90%において、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤で被覆されていることが特に好ましい。
【0030】
1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤は、例えば印刷、スプレーまたは塗布により適用され得る。
【0031】
原則として、水溶性包装材料の印刷に任意の印刷形態を用いてよく、例えばグラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、エアーブラシ、インクジェット印刷またはパッド印刷、あるいはこれら印刷技術の任意の所定の組合せを用いてよい。印刷は、好ましくはインクジェット印刷を用いて行われ、これは、この印刷技術を用いると機械的接触がなく、そのため、水溶性包装材料上に機械的応力が生じないためである。ピエゾ技術も同様に接触なしに行われるため、ピエゾ技術を用いる直接印刷にも同様のことがあてはまる。
【0032】
原則として、水溶性包装材料に適用される印刷媒体は、さらなる原料(例えば着色物質)を含有し得る。
【0033】
あるいは、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤は、ブラシ、ローラーなどを用いて外包装上に広げられ得る。
【0034】
別の代替法において、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤は、噴霧器を用いてスプレーされる。
【0035】
1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤を表面の形態で適用してよいため、水溶性包装材料は、少なくともその表面の一部において、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤で被覆される。あるいは、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤を、文字、数、記号、装飾図柄などの形態で適用してもよい。後者は、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤を印刷により適用し、印刷媒体が1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤に加えて着色物質を含有する場合に、特に好ましい。
【0036】
あるいは、水溶性包装材料の外表面への適用のために、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤が水溶性包装材料のフィルム材料中に組み込まれていてもよい。
【0037】
苦味を有するあらゆる化合物が、苦味剤とされる。
【0038】
苦味剤は、1,000〜200,000の苦味値を有する。苦味値は、まさに苦味を有する物質、液体または抽出物の希釈の相互値(reciprocal value)である。
【0039】
苦味値の測定に、ヨーロッパ薬局方(第5版、Main Volume、Stuttgart 2005、第1巻、General Part、Monograph Groups、2.8.15 苦味値、第278頁)に記載される標準方法が使用される。
【0040】
苦味値が200,000である塩酸キニーネの水溶液が比較として使用される。これは、1グラムの塩酸キニーネが200リットルの水を苦くすることを意味する。苦味の官能検査における個人間の味の違いは、この方法での補正因子により補正される。
【0041】
水溶性包装材料の製造用フィルム材料中に含有され得る、または、水溶性包装材料の該表面に適用され得る、1,000〜200,000の苦味値を有する適当な苦味剤は、好ましくは、1,000〜200,000の苦味値を有する天然苦味剤である。1,000〜200,000の苦味値を有する天然苦味剤は、特に好ましくは、グリコシド、イソプレノイド、アルカロイド、アミノ酸、およびそれらの混合物を含む群から選択される。
【0042】
グリコシドは、一般式:ROZを有する有機化合物であり、式中、アルコール(ROH)が糖部分(Z)にグリコシド結合を介して接続されている。
【0043】
適当なグリコシドの例は、フラボノイド、例えばクエルセチンまたはナリンジン、イリドイドグリコシド、例えばアウクビン、特にセコイリドイドグリコシド、例えばアマロゲンチン、ジヒドロフォリアメンチン、ゲンチオピクロシド、ゲンチオピクリン、スウェルチアマリン、スウェロシド、ゲンチオフラボシド、センタウロシド、メタフォリン、ハルパゴシド、およびセンタピクリン、サリシンまたはコンジュランジン(condurangin)である。
【0044】
イソプレノイドは、イソプレンから形式上誘導される化合物である。その例は、特にテルペンおよびテルペノイドである。
【0045】
適当なイソプレノイドの例としては、以下が挙げられる:セスキテルペンラクトン、例えばアブシンチン、アルタブシン、クニシン、ラクチュシン、ラクチュコピクリン、またはサロニテノリド(salonitenolid)、モノテルペンケトン(ツジョン)、例えばα-ツジョンまたはβ-ツジョン、テトラノルトリテルペン(リモノイド)、例えばデオキシリモネン、デオキシリモネン酸、リモネン、イカンギン、イソオバクノン酸、オバクノン、オバクノン酸、ノミリン、またはノミリン酸、およびテルペン、例えばマルビン(marrubin)、プレマルビン(premarrubin)、カルノソール、カルノソール酸(carnosolic acid)、またはクアシン。
【0046】
アルカロイドは、天然に生じる化学的ヘテロジニアスを表し、通常、動物または人体に作用する二次代謝のアルカリ性窒素含有有機化合物を表す。
【0047】
適当なアルカロイドの例としては、塩酸キニーネ、硫酸水素キニーネ、2塩酸キニーネ、硫酸キニーネ、コルンビンおよびカフェインが挙げられる。
【0048】
適当なアミノ酸の例としては、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、アルギニン、ヒスチジン、バリン、およびアスパラギン酸が挙げられる。
【0049】
1,000〜200,000の苦味値を有する特に好ましい苦味剤は、硫酸キニーネ(苦味値=10,000)、ナリンジン(苦味値=10,000)、サッカロースオクタアセテート(苦味値=100,000)、塩酸キニーネ、およびそれらの混合物である。
【0050】
人は、舌上に可変数の味細胞を有するため、苦味剤の混合物を使用することが有利であり得る。いわゆる超味利き人(supertaster)および通常の味利き人(normal taster)に加えて、個々の苦味剤に対してほとんどまたは全く味覚を有さない、いわゆる非味利き人(nontaster)も存在する。少なくとも2種の1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤の混合物を用いることにより、苦味剤の意図される抑止が味覚に作用しないことのリスクが低減され得る。
【0051】
1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤の量は、特に所望される苦味の強度によって決まる。水溶性包装材料中に苦味剤が含有される場合、苦味剤の量は、水溶性包装材料の表面1m
2あたり1〜30gである。苦味剤が水溶性包装材料の外表面に適用される場合、苦味剤の量は、水溶性包装材料の被覆表面1m
2あたり1〜30gである。
【0052】
本発明の範囲内において、用語「水溶性包装材料の内面」は、水溶性包装材料で囲まれた剤と接触する表面を意味する。同様に、用語「水溶性包装材料の外表面」は、水溶性包装材料で囲まれた剤から反対を向いた表面を意味する。
【0053】
〔水溶性パッケージ中に貯蔵するための剤、特に液体、ゲルまたは固体の洗浄または清浄剤〕
水溶性包装材料に加えて、本発明の水溶性パッケージは剤を含有する。この剤は固形剤であってよく、例えば、粉末、顆粒またはタブレットが挙げられ得る。あるいは、該剤は液状剤であってよく、ゲルまたは液体が挙げられ得る。該剤は、特に好ましくは液状または固形状の洗浄または清浄剤であり、液状の洗浄または清浄剤が特に好ましい。
【0054】
一態様において、本発明の水溶性パッケージは該剤を収容するためのチャンバーを有する。この態様において、該剤は好ましくは粉末、顆粒、ゲル、または液体を含み得る。
【0055】
別の態様において、本発明の水溶性パッケージは2つのチャンバーを有する。この態様において、第1チャンバーは好ましくは液状剤を含有し、第2チャンバーは好ましくは固形剤または液状剤を含有する。あるいは、両方のチャンバーが固形剤を含有してよい。
【0056】
本発明の水溶性パッケージが3つのチャンバーを有する場合、これらチャンバーの全てが、それぞれの場合に液状または固形剤を含有してよい。しかし、1つのチャンバーが固形剤を含有し、2つのチャンバーが液状剤を含有することも可能である。さらに、2つのチャンバーが固形剤を含有し、1つのチャンバーが液状剤を含有することも可能である。
【0057】
4つまたはそれ以上のチャンバーを有する水溶性パッケージについて、同様に、固形状剤または液状剤を含有するチャンバーの数に関して、考えられるより多くの組合せが存在する。
【0058】
水溶性パッケージの種々のチャンバー中に含有される剤は、同一の組成を有してよい。少なくとも2つのチャンバーを有する水溶性パッケージにおいて、該剤は、少なくとも1つの原料に関して、または、1つの原料の含量に少なくとも関して異なる組成を好ましくは有する。
【0059】
該剤は、水溶性包装材料の構造的一体性を破壊しない原料を含有する。使用される剤が液状または固体状の洗浄または清浄剤である場合、界面活性剤、ビルダー、漂白剤、漂白アクチベーター、漂白触媒、酵素、酵素安定化剤、電解質、pH調整剤、香料、香料担体、蛍光剤、染料、ヒドロトロープ、発泡防止剤、シリコーン油、再付着防止剤、灰色化防止剤、縮み防止剤、防しわ剤、染料移り防止剤、抗菌活性物質、非水性溶媒、殺菌剤、防かび剤、酸化防止剤、防腐剤、腐食防止剤、帯電防止剤、苦味剤、アイロンがけ助剤、防虫剤および含浸剤、乳白剤、スキンケア活性物質、膨潤剤および滑り止め剤、柔軟化成分、充填剤、およびUV吸収剤の群から選択される1種またはそれ以上の物質を含有し得る。
【0060】
液状の洗浄または清浄剤は水を含有してよく、水の含量は、それぞれの場合において液状の洗浄または清浄剤の合計に基づいて、14重量%より低く、より好ましくは9重量%より低い。
【0061】
〔水溶性パッケージの製造方法〕
本発明の水溶性パッケージを製造するためにいくつかの選択肢が存在する。垂直フォーム・フィル・シール法に加えて、特に、水平フォーム・フィル・シール法を使用することも可能である。
【0062】
水溶性パッケージの製造は、次のステップを含み得る:
a)第1の水溶性フィルムウェブに少なくとも1つの空洞を形成するステップ、
b)少なくとも1つの空洞に剤を充填するステップ、および
c)第2の水溶性フィルムウェブで前記空洞を閉じるステップ。
【0063】
第1の態様において、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤が、第1の水溶性フィルム(ウェブ)中に、少なくとも部分的に含有され得る。あるいは、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤が、第2の水溶性フィルム(ウェブ)中に、少なくとも部分的に含有され得る。別の態様において、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤が、両方の水溶性フィルム(ウェブ)中に、少なくとも部分的に含有されることも可能である。1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤が両方の水溶性フィルム(ウェブ)中に含有される場合、第1フィルム(ウェブ)中の1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤は、第2フィルム(ウェブ)中の1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0064】
したがって、本特許出願のさらなる主題は、剤、および、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤を少なくとも部分的に含有する水溶性包装材料を含有する、水溶性パッケージの製造方法であって、次のステップ:
a)第1の水溶性フィルムウェブに少なくとも1つの空洞を形成するステップ、
b)前記少なくとも1つの空洞に生成物を充填するステップ、および
c)第2の水溶性フィルムウェブで前記空洞を閉じるステップ、ここで、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤が前記第1および/または第2のフィルムウェブ中に含有される
を含む製造方法に関する。
【0065】
水溶性パッケージの製造方法の別の一態様において、ステップc)にさらなる方法ステップd)が続き、該ステップは、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤を含有する媒体を用いる、水溶性包装材料の外表面の少なくとも部分的な被覆を含む。ステップd)は、所望する回数繰り返してよいため、水溶性包装材料の外表面に同一または異なる複数の被覆領域がもたらされ得る。該被覆を、例えば印刷、噴霧または塗布により適用してよい。
【0066】
したがって、本発明のさらなる主題は、剤、および、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤を少なくとも部分的に含有する水溶性包装材料を含有する、水溶性パッケージの製造方法であって、次のステップ:
a)第1の水溶性フィルムウェブに少なくとも1つの空洞を形成するステップ、
b)少なくとも1つの空洞に生成物を充填するステップ、および
c)第2の水溶性フィルムウェブで前記空洞を閉じ、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤を含有する媒体で水溶性包装材料の外表面を少なくとも部分的に被覆するステップ
を含む製造方法に関する。
【0067】
この態様において、使用されるフィルム(ウェブ)は、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤を含有しなくてもよいし、または、1,000〜200,000の苦味値を有する1種またはそれ以上の苦味剤を含有してもよい。
【0068】
水溶性パッケージの製造方法の別の取り得る態様において、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤を用いる第1の水溶性フィルムの被覆を、空洞を形成する前に行う。水溶性パッケージの製造方法のさらなる別の取り得る態様において、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤を用いる第2の水溶性フィルムの被覆を、剤で充填された空洞を閉じる前に行う。
【0069】
したがって、本発明のさらなる主題は、剤、および、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤を少なくとも部分的に含有する水溶性包装材料を含有する、水溶性パッケージの製造方法であって、次のステップ:
a)第1の水溶性フィルムウェブを提供するステップ、
b)1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤を含有する媒体で、前記第1の水溶性フィルムウェブを被覆するステップ、
c)前記第1の水溶性フィルムウェブに少なくとも1つの空洞を形成するステップ、
d)前記少なくとも1つの空洞に生成物を充填するステップ、および
e)第2の水溶性フィルムウェブで前記空洞を閉じるステップ
を含む製造方法に関する。
【0070】
さらに、本発明のさらなる主題は、剤、および、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤を少なくとも部分的に含有する水溶性包装材料を含有する、水溶性パッケージの製造方法であって、次のステップ:
a)第1の水溶性フィルムウェブに少なくとも1つの空洞を形成するステップ、
b)少なくとも1つの前記空洞に生成物を充填するステップ、
c)第2の水溶性フィルムウェブを提供するステップ、
d)1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤を含有する媒体で、前記第2の水溶性フィルムウェブを被覆するステップ、および
e)前記第2の水溶性フィルムウェブで前記空洞を閉じるステップ
を含む製造方法に関する。
【0071】
水溶性パッケージの製造中の水溶性フィルムウェブの被覆は、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤が水溶性包装材料の外表面上に存在するような方法で行われる。
【0072】
水溶性パッケージの製造中または製造後の被覆の1つの利点は、個々の方法で、すなわち、例えばその時点で製造される特定の水溶性パッケージの形態および含量に関する、要求/事情によって、被覆を行ってよいことである。
【0073】
被覆操作に続いて、場合により乾燥工程を行ってよく、ここで、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤を含有する媒体中の溶媒が、温度制御された気体を吹付けるまたは吹き流すことにより、または、赤外線を照射することにより、蒸発/除去される。
【0074】
少なくとも部分的に、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤を含有する水溶性包装材料を製造するために、フィルム材料に、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤が添加される。
【0075】
これは、例えば、(a)好ましくはポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールコポリマーを、単独で含有するか、または、少なくとも1種の追加の水溶性ポリマーと組み合わせて含有する水溶性ポリマーと、溶媒、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤および任意にさらなる添加剤とを合わせて、マトリックスを形成させ、(b)該マトリックスからフィルムを形成し、(c)該フィルムを乾燥し、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤を少なくとも部分的に含有する水溶性フィルムを形成させることにより行ってよい。
【0076】
該フィルムは、例えば注入(pouring)およびリバースローラーコーティングにより形成してよい。
【0077】
あるいは、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤を少なくとも部分的に含有するフィルムを、(a)好ましくは、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールコポリマーを、単独で含有するかまたは少なくとも1種の追加の水溶性ポリマーと組み合わせて含有する水溶性ポリマーと、溶媒、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤および場合によりさらなる添加剤とを合わせて、マトリックスを形成させ、(b)少なくとも部分的に、1,000〜200,000の苦味値を有する苦味剤を含有する水溶性フィルムを、該マトリックスの押し出しにより得ることにより得てよい。
【実施例】
【0078】
以下において2つの例示的態様を参照し、本発明をより詳細に説明する。
【0079】
液状の洗浄または清浄剤が充填されたチャンバーを有する水溶性パッケージを製造するために、まず、既知の常套の方法および工程を用いて、液状の洗浄または清浄剤を製造した。表1に、液状の洗浄または清浄剤E1の組成を示す。
【0080】
【表1】
【0081】
例示的態様1
液状の洗浄または清浄剤E1を含有する水溶性パッケージを製造するために、76μmの厚みを有するタイプM 8630(Monosol製)のフィルムを真空により空洞中に引いて、突出部を形成した。続いて、該突出部を30mLの液状の洗浄または清浄剤E1で充填した。剤を充填した該突出部をポリビニルアルコール、ポリ乳酸、1,2-プロパンジオール、およびグリセリンを含有し、76μmの厚みを有するフィルムの第2の層で覆った後、第1および第2の層を共にシールした。シーリング温度は150℃であり、シーリング持続は1.1秒であった。
【0082】
次いで、水溶性パッケージの外表面全体に、両面に均一に、サッカロースオクタアセテートを含有する水性媒体を噴霧器を用いてスプレーした。水溶性パッケージあたりのサッカロースオクタアセテートの量は、2000ppmであった。該液体は、5秒以内に水溶性包装材料に吸収された。
【0083】
例示的態様2
液状の洗浄または清浄剤E1を含有する水溶性パッケージV2を製造するために、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、サッカロースオクタアセテート、1,2-プロパンジオール、およびグリセリンを含有し、76μmの厚みを有するフィルムの第1の層を真空により空洞中に引いて、突出部を形成した。続いて、該突出部を30mLの液状の洗浄または清浄剤E1で充填した。剤を充填した該突出部をポリビニルアルコール、ポリ乳酸、サッカロースオクタアセテート、1,2 プロパンジオール、およびグリセリンを含有し、76μmの厚みを有するフィルムの第2の層で覆った後、第1および第2の層を共にシールした。シーリング温度は150℃であり、シーリング持続は1.1秒であった。該第1および第2のフィルムウェブはそれぞれ、2000ppmのサッカロースオクタアセテートを含有した。
【0084】
両方の場合において、迅速に認識できる水溶性包装材料の不快な苦みが、10名のパネルにより確認された。
【0085】
洗浄または清浄剤E1を含有する水溶性パッケージV1およびV2を、種々の気候条件下で4、8および12週間貯蔵後、水溶性包装材料の可溶化または溶解は観察されなかった。さらに、同様に生成物のはみ出しまたは漏出をもたらし得る孔または穴は見られなかった。
【0086】
洗浄または清浄剤E1を含有する水溶性パッケージV1およびV2は、20〜95℃の範囲の温度での洗浄操作において残留物なく溶解した。
【0087】
さらに、水溶性パッケージの皮膚への接触における、特に乾燥またはわずかに湿った手との接触における、持続性のおよび/または不快な、苦味剤の皮膚への転移は確認できなかった。
【0088】
持続性のおよび/または不快な、苦味剤の転移が存在したかどうかの決定は、10人の被験者の補助を用いて、水溶性パッケージを手に5秒間しっかりと握り、続いてその手を舌に5秒間接触させることにより行った。水溶性パッケージV1およびV2の両方について、全ての被験者が苦味を知覚しないか、または、最大で1分間持続するのみである僅かな不快な苦みを知覚した。