(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
互いに直交する前後方向及び幅方向と、
着用者の股下に配置される中央域と、
前記中央域の後側に位置する後側域と、
前記中央域及び前記後側域に配置される吸収体と、
前記前後方向に伸縮する弾性部材と、
吸収性物品の非肌対向面に設けられ、下着に接合するための接合部と、
前記幅方向に延び、かつ前記吸収性物品の肌対向面同士が対向するように折り畳むための折り線と、を有する吸収性物品であって、
前記吸収体は、前記中央域と前記後側域の境界に設けられ、かつ前記幅方向に延びる低目付部を有し、
前記低目付部の目付は、前記中央域の前記前後方向の中心部の目付よりも低く、
前記接合部は、前記低目付部よりも前方に位置する第1接合部と、前記低目付部よりも後方に位置する第2接合部と、を有し、
前記弾性部材は、前記低目付部又は前記低目付部から前記幅方向の外側に延びる領域を跨いでおり、
前記折り線は、前記吸収性物品が展開された展開状態において前記弾性部材の収縮によって前記低目付部が着用者側に隆起するように、前記低目付部に設けられる、吸収性物品。
【0011】
低目付部は、中央域の前後方向の中心部よりも目付が低く、変形し易い。低目付部又は低目付部から幅方向の外側に延びる領域を弾性部材が跨いでいるため、展開状態において弾性部材が収縮することにより、低目付部の前後方向の長さが短くなるように変形し、低目付部が前後方向に縮んだ状態となる。
【0012】
装着時に吸収性物品は、低目付部が縮んだ状態で第1接合部及び第2接合部を介して下着に固定された後に、下着と共に引き上げられる。このとき、下着の伸長に伴って低目付部の縮んだ領域が延び、下着の変形に追従して吸収性物品が変形する。よって、第1接合部及び第2接合部は、装着時に下着から離れ難く、下着を引き上げる前に固定された位置を維持し易い。装着時に吸収性物品が意図せずに折れ曲がったり、位置がずれたりすることを抑制し、着用時の違和感や排泄物の漏れを抑制することができる。特に、着用者が下着の腰周りを把持して下着を引き上げた際に、製品後方に位置する第2接合部にせん断力が生じた場合であっても、第2接合部の接合状態を維持でき、装着時に吸収性物品の後端縁が肌対向面側に折れ曲がったり、吸収性物品の後側域の位置が幅方向においてずれたりする不具合を抑制し、着用時の違和感や排泄物の漏れを抑制できる。
【0013】
また、展開状態において低目付部が着用者側に隆起するように低目付部に折り線が設けられているため、低目付部が下着と接合部の接合を阻害せず、吸収性物品の接合位置を維持して、着用時の違和感や排泄物の漏れを抑制することができる。
【0014】
かかる吸収性物品であって、
前記折り線の少なくとも一部は、前記低目付部の前後方向の中心と一致しない位置に設けられることが望ましい。
【0015】
このような吸収性物品によれば、折り線が着用者に対して谷折りであるため、低目付部内の折り線に隣接する隣接領域は、展開状態において折り線を基点にして着用者側に隆起する。折り線は、低目付部の前後方向の中心と一致せずに、低目付部の前後方向の中心に対して前後方向にずれて設けられる。低目付部の前端縁と低目付部の後端縁のうち折り線と離れて配置される側に位置する隣接領域は、吸収性物品の展開状態で、隆起する前後方向の長さが長くなり、着用者側により隆起し易くなる。低目付部が下着と接合部の接合を阻害せず、吸収性物品の接合位置を維持して、着用時の違和感や排泄物の漏れを更に抑制することができる。
【0016】
かかる吸収性物品であって、
前記吸収体よりも肌対向面側に設けられた肌面シートと、
前記肌面シートは、前記低目付部と重なる領域において、前記肌面シートよりも非肌対向面側に設けられた部材と接合されていないことが望ましい。
【0017】
このような吸収性物品によれば、低目付部において肌面シートが肌面シートよりも非肌対向面側に設けられた部材と接合されていないため、弾性部材によって低目付部が縮むように変形する際に、肌面シートが着用者側に膨らむように変形し易くなる。肌面シートが着用者側に隆起するように変形することにより、下着の引き上げ時に下着の伸長に伴って肌面シートが伸長し、接合部に生じするせん断力を抑制できる。
【0018】
かかる吸収性物品であって、
前記吸収体よりも非肌対向面側に設けられた非肌面シートと、を有し、
前記肌面シートは、前記低目付部と重なる領域において、前記吸収体と接合されてなく、
前記非肌面シートは、前記低目付部と重なる領域において、前記吸収体と接合されていることが望ましい。
【0019】
このような吸収性物品によれば、肌面シートと吸収体が接合されておらず、かつ非肌面シートと吸収体とが接合されているため、吸収体の非肌対向面側よりも吸収体の肌対向面側の剛性が低くなる。そのため、弾性部材によって低目付部が縮むように変形する際に低目付部が肌対向面側に隆起し易くなる。前後方向に縮んだ状態の低目付部が下着と接合部の接合を阻害せず、吸収性物品の接合位置を維持して、着用時の違和感や排泄物の漏れを更に抑制することができる。
【0020】
かかる吸収性物品であって、
前記低目付部は、前記接合部に重ならない領域に配置されることが望ましい。
【0021】
このような吸収性物品によれば、低目付部が縮んだ際に、接合部同士がくっつくことを抑制し、接合部を介して吸収性物品と下着との接合状態を維持できる。装着時に吸収性物品が意図せずに折れ曲がったり、位置がずれたりすることを抑制し、着用時の違和感や排泄物の漏れを更に抑制することができる。
【0022】
かかる吸収性物品であって、
前記第2接合部の後端縁は、前記弾性部材によって前後方向に収縮する収縮領域よりも後方に配置されることが望ましい。
【0023】
このような吸収性物品によれば、収縮領域よりも後方に位置する第2接合部は、展開状態において弾性部材の収縮によって縮み難く、下着に対する接合状態を維持し易い。また、下着が引き上げられた際に、下着の変形に伴って収縮領域が伸長し、収縮領域よりも後方に位置する第2接合部と下着との接合状態を維持し易い。よって、吸収性物品の接合位置を維持して、着用時の違和感や排泄物の漏れを更に抑制することができる。
【0024】
かかる吸収性物品であって、
前記後側域において前記幅方向の外側に膨らむヒップフラップを有し、
前記接合部は、前記ヒップフラップに設けられた第3接合部を有し、
前記第3接合部は、前記弾性部材によって前後方向に収縮する収縮領域よりも後方に配置されることが望ましい。
【0025】
このような吸収性物品によれば、収縮領域よりも後方に位置する第3接合部は、展開状態において弾性部材の収縮によって縮み難く、下着に対する接合状態を維持し易い。また、下着が引き上げられた際に、下着の変形に伴って収縮領域が伸長し、収縮領域よりも後方に位置する第3接合部と下着との接合状態を維持し易い。ヒップフラップの折り返しや皺の発生を抑制し、着用時の違和感や排泄物の漏れを更に抑制することができる。
【0026】
かかる吸収性物品であって、
前記後側域において前記幅方向の外側に膨らむヒップフラップと、
前記ヒップフラップに隣接し、かつ前記中央域において前記幅方向の外側に膨らむウイングと、を有し、
前記低目付部は、前記ヒップフラップの外縁及び前記ウイングの外縁が幅方向の内側に括れた括れ部、又は前記括れ部から前記幅方向の外側に延びる領域に設けられていることが望ましい。
【0027】
中央域は、着用者の脚によって挟まれ、幅方向の外側から幅方向の内側に向かう力等がかかり変形し易い。低目付部が括れ部又は括れ部から幅方向の外側に延びる領域に設けられているため、低目付部によって中央域の変形がヒップフラップに伝播することを抑制できる。よって、ヒップフラップのよれや皺を抑制し、着用時の違和感や排泄物の漏れを抑制することができる。
【0028】
かかる吸収性物品であって、
前記後側域において前記幅方向の外側に膨らむヒップフラップを有し、
前記ヒップフラップの外縁は、前記幅方向の内側に凹む凹部を有し、
前記低目付部の後端縁よりも後方の領域に、前記凹部が配置されることが望ましい。
【0029】
このような吸収性物品によれば、低目付部の後端縁よりも後方の領域に凹部が配置されるため、低目付部の変形を凹部よりも後方に伝播することを抑制し、ヒップフラップ全体に折れや皺が発生することを抑制できる。よって、ヒップフラップのよれや皺を更に抑制し、着用時の違和感や排泄物の漏れを抑制することができる。
【0030】
===本実施の形態に係る吸収性物品について===
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品ついて説明する。吸収性物品は、パンティーライナー(おりものシート)や生理用ナプキンや失禁パッド等の任意の吸収性物品であってよい。以下の実施形態では、吸収性物品の一例として使い捨ての生理用ナプキンについて説明する。
【0031】
なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0032】
(1)吸収性物品の全体的構成
図1は、実施の形態に係る吸収性物品の平面図である。
図2は、
図1に示す吸収性物品の背面図である。
図3は、
図1のA−A線に沿った吸収性物品の断面図である。
図4は、
図1のB−B線に沿った吸収性物品の断面図である。
図5は、
図1のC−C線に沿った吸収性物品の断面図である。
【0033】
吸収性物品1は、前後方向Lと幅方向Wと厚み方向Tとを有する。前後方向Lは、着用者の前側(腹側)から後側(背側)に延びる方向、又は着用者の後側から前側に延びる方向である。幅方向Wは、前後方向Lと直交する方向である。厚み方向Tは、着用者の肌対向面側T1から非肌対向面側T2へ延びる方向であり、前後方向L及び幅方向Wに直交する方向である。肌対向面側T1は、使用時に、着用者の肌に面する側に相当する。非肌対向面側T2は、使用時に、肌対向面側T1とは反対側、すなわち着用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。
【0034】
吸収性物品1は、中央域S1、前側域S2及び後側域S3を有する。中央域S1は、着用者の排泄口(例えば膣口)に対向する領域である。吸収性物品1が下着に装着されたときに、中央域S1は、下着の股下部に位置する。つまり、中央域S1は、着用者の股下、すなわち着用者の両足の間に配置される領域である。
【0035】
前側域S2は、中央域S1よりも前側に位置する。前側域S2の前端縁は吸収性物品1の前端縁を規定する。後側域S3は、中央域S1よりも後側に位置する。後側域S3の後端縁は吸収性物品1の後端縁を規定する。後側域S3の前後方向Lの長さは、中央域S1の前後方向Lの長さよりも長い。
【0036】
中央域S1には、幅方向の外側に膨らむウイング3が設けられている。また、後側域S3には、幅方向Wの外側に膨らむヒップフラップ4が設けられていている。ウイング3とヒップフラップ4は、前後方向において隣接している。ウイング3及びヒップフラップ4は、中央域S1における吸収コア31の外側縁よりも幅方向Wの外側に延出している。
【0037】
ウイングの付け根は、ウイングの外縁が幅方向の内側に括れた括れ部を構成する。括れ部は、ウイングの外縁が最も幅方向Wの内側に窪んだ2つの部分であり、ウイングの前端縁とウイングの後端縁とに設けられる。ウイング3の前端縁は、中央域S1と前側域S2との境界を規定する。ウイング3の後端縁は、中央域S1と後側域S3との境界を規定する。ヒップフラップの前端縁は、ウイングの後端縁と一致し、ヒップフラップの外縁及びウイングの外縁が幅方向の内側に括れた括れ部を構成する。また、ヒップフラップ4の外縁4Eは、幅方向の内側に凹む複数の凹部4Cを有する波形形状である。
【0038】
吸収性物品1は、肌面シート10、非肌面シート20及び吸収体30を有する。肌面シート10は、吸収体30よりも肌対向面側T1に設けられる。肌面シート10は、表面シート11及びサイドシート12を有する。非肌面シート20は、吸収体30よりも非肌対向面側T2に設けられる。吸収体30は、肌面シート10と非肌面シート20との間に設けられる。サイドシート12は、幅方向Wにおける表面シート11の外側縁を覆い、表面シート11よりも幅方向Wの外側へ延びている。サイドシート12は、幅方向Wにおける吸収体30の外側縁、ウイング3及びヒップフラップ4に配置されていている。
【0039】
吸収体30は、少なくとも中央域S1及び後側域S3に配置される。また、吸収体30は、中央域S1から前側域S2まで延びていてもよい。吸収体30は、液体を吸収する吸収材料を含む吸収コア31と、吸収コア31を包むコアラップ32と、を有する。コアラップ32は、少なくとも吸収コア31よりも肌対向面側で吸収コア31を覆っていればよい。
【0040】
図2に示すように、非肌面シート20の非肌対向面には、吸収性物品を下着Sに接合するため接合部60が設けられている。接合部60は、粘着剤を有する。接合部60は、後述する低目付部41よりも前方に位置する第1接合部61と、低目付部41よりも後方に位置する第2接合部62と、ヒップフラップに設けられた第3接合部63と、ウイングに設けられた第4接合部64と、を有する。第1接合部61及び第2接合部62は、吸収体30と重なる領域に設けられている。第1接合部61と第2接合部62とは前後方向に離間している。接合部60については、後述にて詳細に説明する。
【0041】
また、本明細書における「吸収体の目付」の測定は、以下の測定方法によって行われるものとする。
【0042】
吸収性物品1がパッケージなどに封入されている場合には、パッケージから取り出し、その状態にて20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において12時間放置したサンプルを用いる。包装体によって包装された吸収性物品においては包装体を開封し、折り畳まれた吸収性物品を展開して、目付及び密度を測定する部分の厚み及び面積を測定する。次いで、目付及び密度を測定する部分を吸収性物品から切り出し、切り出した部分の重量を測定する。次いで、切り出した部分から表面シート及び裏面シート等、吸収体以外の部分を取り除き、吸収体の重量を測定する。吸収体の重量と、目付及び密度を測定する部分の面積とに基づいて目付を算出する。
【0043】
本明細書における「吸収体の厚さ」の測定は、以下の測定方法によって行われるものとする。吸収性物品1がパッケージなどに封入されている場合には、パッケージから取り出し、その状態にて20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において12時間放置したサンプルを用いる。測定する際は、吸収性物品が縮んだ状態ではなく、吸収性物品の伸縮性部材を伸張させた状態として測定する。また、吸収体以外の肌面シート及び非肌面シート等、吸収体以外の部分を取り除く。尾崎製作所(株)製のダイアルゲージ PEACOCKを使用し、測定子には直径10mmのものを採用し、大きさが30mm×30mmの試片を用意して、当該試片の厚みを測定する。測定器は、試片に対する測定圧が3g/cm
2となるように調整する。ここで、10サンプルに対して、それぞれの状態で上述の測定を行い、その平均値を、厚さとした。
【0044】
また、本明細書における「長さ」の測定は、以下の測定方法によって行われるものとする。吸収性物品1がパッケージなどに封入されている場合には、パッケージから取り出し、その状態にて20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において12時間放置したサンプルを用いる。次いで、シンワ測定株式会社製のスプリングメジャー(テープ:ガラス繊維入塩ビ被覆)を用いて、測定対象部位に沿わせるようにして、測定対象部位のこの状態の長さを測定する。ここで、10サンプルに対して、それぞれの状態で上述の測定を行い、その平均値を、長さとした。
【0045】
(2)吸収体の詳細構成
吸収体30は、低目付部41を有する。低目付部41の吸収材料の目付は、中央域の前後方向の中心部における吸収材料の目付よりも低い。「低目付部」は、中央域の前後方向の中心に位置する吸収コア31よりも低い目付を有する吸収コア31からなる領域、又は吸収コア31を有していない領域を意味する。このように、「低目付部」は、吸収コア31の目付が零である領域を含む概念である。「低目付部41」が吸収コア31を有していない領域である場合でも、コアラップ32は、低目付部41を跨いで吸収コア31全体を包んでいてよい。この場合、吸収コア31が複数の領域に分断されていたとしても、吸収体30は、コアラップ32によって一体的に形成される。
【0046】
低目付部41は、吸収体30の剛性が変化する境目となる。したがって、低目付部41は、吸収体30が変形し易い領域に相当する。低目付部41は、幅方向Wに延びており、吸収性物品1が厚み方向Tに曲がることができるように構成されている。低目付部41は、幅方向Wにおいて、吸収体30の一端から他端まで延びている。
【0047】
本実施形態では、低目付部41は、低目付部41の幅方向Wの中央が後方に突出した曲線形状である。より詳細には、低目付部41の幅方向Wの中心は、低目付部41の外側縁よりも後方に位置する。低目付部41の前後方向Lにおける長さは、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。本実施の形態の低目付部41は、幅方向において前後方向の位置が変化しており、低目付部41の前後方向の中心41CLを繋いだ線も、幅方向において前後方向の位置が変化し、幅方向Wの中央が後方に突出した曲線形状である。低目付部41の前端縁41Fは、低目付部全体の前端縁であり、低目付部41の外側縁41Eにおける低目付部の前端縁である。低目付部41の後端縁41Rは、低目付部全体の後端縁であり、低目付部41の幅方向Wの中心における低目付部41の後端縁である。
【0048】
低目付部41は、前後方向Lにおける中央域S1(ウイング3)の中心よりも後側かつ吸収体30の後側縁よりも前側に設けられていている。低目付部41の少なくとも一部は、中央域S1と後側域S3との境界に設けられている。低目付部41は、中央域S1と後側域S3との境界の少なくとも一部に設けられていればよく、境界の全域に設けられていなくてよい。低目付部41の少なくとも一部は、ヒップフラップ4の外縁及びウイングの外縁が幅方向の内側に括れた括れ部5であるウイング3の後端縁(ヒップフラップ4の前端縁)又は括れ部5から幅方向の外側に延びる領域に設けられている。中央域S1は、着用者の脚によって挟まれ、幅方向Wの外側から幅方向の内側に向かう力等がかかり変形し易い。括れ部5又は括れ部5から幅方向の外側に延びる領域に低目付部41が設けられているため、低目付部41によって中央域S1の変形を吸収し、当該変形がヒップフラップ4に伝播することを抑制できる。よって、ヒップフラップ4のよれや皺の発生を抑制し、着用時の違和感や排泄物の漏れを抑制することができる。
【0049】
低目付部41の後端縁41Rよりも後方の領域には、ヒップフラップ4の複数の凹部4Cのうち、少なくとも一部の凹部4Cが配置されている。低目付部41の後端縁41Rよりも後方の領域に凹部4Cが配置されるため、低目付部41の変形を凹部4Cによって分断し、当該変形が凹部4Cよりも後方に伝播することを抑制し、ヒップフラップ4全体に折れや皺が発生することを抑制できる。よって、ヒップフラップ4のよれや皺の発生を抑制し、着用時の違和感や排泄物の漏れを抑制することができる。
【0050】
(3)吸収性物品の折り畳み
吸収性物品1は、使用前には折り線FL1を基点に折り畳まれている。折り線FL1は、吸収性物品1の肌対向面同士が対向するように折り畳むための線であり、当該折り畳まれた状態で形成される。折り線FL1は、着用者に対して谷折りとなる折り癖を形成する。
【0051】
図6は、折り線を基点に折り畳まれた吸収性物品1を展開した展開状態の吸収性物品1の模式的斜視図である。
図6に示す吸収性物品は、防漏カフを構成する弾性部材91の収縮によって、低目付部41及び低目付部41と重なる領域が着用者側に隆起している。
図7は、
図5に示す低目付部41の模式的拡大図である。
図7(a)は、吸収性物品が展開し、かつ弾性部材91が伸長した伸長状態であり、
図7(b)は、吸収性物品が展開し、かつ弾性部材91が収縮した収縮状態である。
【0052】
折り線FL1は、吸収性物品が展開された展開状態において弾性部材91の収縮によって低目付部41が着用者側に隆起するように設けられている。展開状態において低目付部41が着用者側に隆起するように低目付部41に折り線が設けられているため、第1接合部61及び第2接合部62等の接合部60を下着に接合する際に、低目付部41が下着Sと接合部60の間に配置され難い。よって、低目付部41が下着Sと接合部60の接合を阻害せず、接合部60が意図しない位置に接合したり、接合部60が折れ曲がったりする不具合を抑制し、接合部60による接合状態を維持し易い。よって、吸収性物品1の接合位置を維持して、着用時の違和感や排泄物の漏れを抑制することができる。
【0053】
折り線FL1は、幅方向Wに延びている。折り線FL1は、低目付部と、低目付部に隣接する吸収コアと、を跨いで設けられている。折り線FL1は、低目付部41の前後方向の中心41CLと前後方向において離間している。折り線FL1の少なくとも一部は、低目付部41の前後方向の中心41CLと一致しない位置に設けられる。折り線FL1は、少なくとも一部において低目付部41の前後方向の中心41CLと離間して設けられていればよく、部分的に前後方向の中心41CLと重なるように設けられていてもよい。低目付部41内には、折り線FL1と、前後方向Lにおいて折り線に隣接した隣接領域と、が形成されている。隣接領域は、低目付部41よりも前側に位置する吸収コア31と折り線FL1との間の前側隣接領域411と、低目付部41よりも後側に位置する吸収コア31と折り線FL1との間の後側隣接領域412と、が設けられる。
【0054】
折り線FL1が着用者に対して谷折りであるため、折り線FL1に隣接する隣接領域は、
図6及び
図7(b)に示す状態において折り線FL1を基点にして着用者側に隆起する。折り線FL1の少なくとも一部は、低目付部41の前後方向の中心41CLと一致せずに、低目付部41の前後方向の中心に対して前後方向にずれている。折り線FL1が低目付部の前後方向の中心に対してずれた領域では、隣接領域のうち一方(本実施の形態における後側隣接領域412)の前後方向Lの長さが、他方(本実施の形態における前側隣接領域411)の前後方向Lの長さよりも長い。一方の隣接領域は、他方の隣接領域よりも吸収性物品の展開状態で隆起する前後方向の長さが長くなり、着用者側により隆起し易くなる。
【0055】
(4)吸収性物品の装着態様
次いで、このように構成された吸収性物品の下着Sへの装着態様について説明する。着用者は、吸収性物品を下着に装着する際に、まず折り畳まれた折り畳み状態の吸収性物品1を展開する。
図6に示すように展開状態において、低目付部41は、弾性部材91の収縮によって前後方向Lに縮んだ状態となる。次いで、着用者は、展開状態の吸収性物品の接合部を下着に接合する。このとき、下着Sは、身体から離された状態であり、具体的には、着用者の股下の下方に配置されている。
図8は、装着状態の吸収性物品の、
図1のC−C線に沿った模式的断面図である。
図8(a)は、展開状態の吸収性物品1を下着に接合し、下着を引き上げる前の状態である。引き上げ前の状態において、吸収性物品1は、第1接合部61及び第2接合部62を介して下着に接合され、第1接合部61と第2接合部62の間の低目付部41が前後方向Lに収縮している。次いで、着用者は、
図8(a)に示す吸収性物品を引き上げ、着用者の腰周りに下着S及び吸収性物品1を配置する。
図8(b)は、下着を引き上げ後の状態である。
【0056】
着用者の腰周りに下着S及び吸収性物品1が配置される際に、下着Sは、着用者の身体に馴染むように伸長する。このとき、下着Sの伸長に伴って低目付部41の縮んだ領域が延び、下着の変形に追従して吸収性物品1が変形する。装着後の状態における第1接合部61と第2接合部62との前後方向Lの距離は、装着前の状態における第1接合部61と第2接合部62との距離よりも長い。第1接合部61及び第2接合部62は、装着時に下着から離れ難く、下着を引き上げる前に固定された位置を維持し易い。装着時に吸収性物品1が意図せずに折れ曲がったり、位置がずれたりすることを抑制し、着用時の違和感や排泄物の漏れを抑制することができる。
【0057】
(5)防漏カフ
吸収性物品1は、一対の防漏カフを有する。防漏カフは、着用者側に立ち上がり可能な起立性のギャザーである。防漏カフは、サイドシート12と、弾性部材91と、によって構成されている。サイドシート12の内側縁12Eは、前後方向Lに沿って幅方向Wの外側に折り返されている。当該折り返されたサイドシート12間に、前後方向Lに伸縮する弾性部材91が配置されている。サイドシート12の内側縁12Eは、表面シート11に接合されていない。サイドシート12の内側縁12E及び弾性部材91は、起立性の防漏カフを構成する。吸収性物品は、弾性部材91によって前後方向に収縮する収縮領域を有する。収縮領域とは、弾性部材91が伸長状態で配置された領域であり、弾性部材によって前後方向に収縮する力がかかる領域である。収縮領域は、弾性部材が非伸長状態で配置された領域を除く概念である。
図1における弾性部材91は、収縮領域のみを示しており、非伸長状態で弾性部材が配置された領域を示していない。そのため、
図1における弾性部材91の範囲は、収縮領域の範囲と一致する。収縮領域は、前後方向Lにおいて中央域S1を跨って配置されている。
【0058】
防漏カフを構成する弾性部材91は、前後方向Lにおいて低目付部41又は低目付部41から幅方向の外側に延びる領域を跨いで配置される。より詳細には、弾性部材91の前端縁91Fは、低目付部41の前端縁41Fよりも前方に位置し、弾性部材91の後端縁91Rは、低目付部41の後端縁41Rよりも後方に位置する。低目付部41から幅方向の外側に延びる領域とは、低目付部41の前端縁41Fと低目付部41の後端縁41Rとの間の領域から幅方向に延びる領域である。低目付部41は、中央域の前後方向の中心よりも目付が低く、変形し易い。また、低目付部41は、隣接する中央域S1(又は後側域S3)の吸収コア31と目付が異なり、剛性が変化する境界である。よって、低目付部41と隣接する吸収コアとの境界を基点に変形し易い。加えて、弾性部材91が低目付部41又は低目付部41から幅方向の外側に延びる領域を跨いでいる。このような構成により、弾性部材91の収縮に伴い、低目付部41の前後方向の長さが短くなるように変形し、低目付部41が前後方向に縮んだ状態となる。よって、装着時の下着Sの伸長に伴って低目付部41の縮んだ領域が延び、下着の変形に追従して吸収性物品1が変形できる。第1接合部61及び第2接合部62は、装着時に下着から離れ難く、下着を引き上げる前に固定された位置を維持し易い。装着時に吸収性物品1が意図せずに折れ曲がったり、位置がずれたりすることを抑制し、着用時の違和感や排泄物の漏れを抑制することができる。
【0059】
(6)肌面シートと吸収体との間の非接合領域及び非肌面シートと吸収体との間の接合領域
肌面シート10は、低目付部41と重なる領域において、肌面シート10よりも非肌対向面側に設けられた部材と接合されていない。肌面シート10よりも非肌対向面側に設けられた部材とは、吸収体及びセカンドシートを例示できる。より具体的には、
図1に示す非接合領域46において、肌面シート10と吸収体30を構成するコアラップ32とは、接合されていない。非接合領域46は、
図1において、破線で囲まれた領域によって示されている。非接合領域46は、少なくとも、幅方向Wにおける低目付部41の一端から他端まで延びていてよい。この代わりに、非接合領域46は、幅方向Wにおいて低目付部41の両端部まで延びていなくてもよい。低目付部41において肌面シートが肌面シートよりも非肌対向面側に設けられた部材と接合されていないため、弾性部材によって低目付部41が縮むように変形する際に、肌面シートが着用者側に膨らむように変形し易くなる。
【0060】
非肌面シート20は、低目付部41と重なる領域において、非肌面シート20よりも肌対向面側に設けられた部材と接合されている。より、具体的には、非肌面シート20と吸収体を構成するコアラップとは、接合されている。肌面シート10と吸収体30が接合されておらず、かつ非肌面シート20と吸収体30とが接合されているため、吸収性物品の非肌対向面側よりも肌対向面側の剛性が低くなり、弾性部材によって低目付部41が縮むように変形する際に低目付部41が肌対向面側に隆起し易くなる。低目付部41が下着と接合部の接合を阻害せず、吸収性物品の接合位置を維持して、着用時の違和感や排泄物の漏れを更に抑制することができる。
【0061】
(7)接合部
第1接合部61は、第2接合部62よりも前方、かつ低目付部41よりも前方に配置されている。第2接合部62は、前後方向Lにおいて第1接合部61と離間して配置されている。第2接合部62は、低目付部41よりも後方に配置されている。第1接合部61と第2接合部62とが低目付部41を挟んで配置されているため、引き上げ前の状態から引き上げ後の状態に変化する際に、下着の伸長に伴って第1接合部61と第2接合部62との距離が離れるように引っ張られても、低目付部41が伸長し、第1接合部61と第2接合部62の接合を維持することができる。後側域S3に位置する第2接合部が下着から離れることを抑制し、装着時に吸収性物品の後端縁が肌対向面側に折れ曲がったり、吸収性物品の後側域の位置が幅方向においてずれてしまったりする不具合を抑制できる。これにより、着用時の違和感や排泄物の漏れを抑制できる。
【0062】
低目付部41は、接合部60に重ならない領域に配置される。このような構成によれば、弾性部材91の収縮によって低目付部41が縮んだ際に、接合部60同士がくっつくことを抑制できる。接合部60が位置しない箇所に接合することを防止し、接合部60を介して吸収性物品1と下着Sとの接合状態を維持できる。装着時に吸収性物品が意図せずに折れ曲がったり、位置がずれたりすることを抑制し、着用時の違和感や排泄物の漏れを更に抑制することができる。
【0063】
第3接合部63と第4接合部64の間には、低目付部41から幅方向に延びる領域の少なくとも一部が配置される。そのため、下着の伸長に伴って第3接合部63と第4接合部64との距離が離れるように引っ張られても、低目付部41が伸長し、第3接合部63と第4接合部64の接合を維持することができる。吸収性物品の後側域に位置する第3接合部63が下着から離れることを抑制し、装着時にヒップフラップ4が肌対向面側に折れ曲がったり、ヒップフラップ4の位置が幅方向においてずれてしまったりする不具合を抑制できる。これにより、着用時の違和感や排泄物の漏れを抑制できる。
【0064】
第2接合部62の後端縁は、弾性部材91によって前後方向に収縮する収縮領域よりも後方に配置される。収縮領域よりも後方に位置する第2接合部62は、展開状態において弾性部材91の収縮によって縮まり難く、下着に対する接合状態を維持し易い。また、下着が引き上げられた際に、下着の変形に伴って収縮領域が伸長し、収縮領域よりも後方に位置する第2接合部62と下着との接合状態を維持し易い。よって、吸収性物品の接合位置を維持して、着用時の違和感や排泄物の漏れを更に抑制することができる。
【0065】
第3接合部63の前端縁63F及び第3接合部63の後端縁63Rは、弾性部材によって前後方向に収縮する収縮領域よりも後方に配置される。収縮領域よりも後方に位置する第3接合部は、展開状態において弾性部材の収縮によって縮まり難く、下着に対する接合状態を維持し易い。また、収縮領域と第3接合部が前後方向に離間しているため、下着の変形に伴って収縮領域が伸長した際に、第3接合部と下着との接合状態を維持し易い。ヒップフラップの折り返しや皺の発生を抑制し、着用時の違和感や排泄物の漏れを更に抑制することができる。
【0066】
第4接合部64は、低目付部41と離間しており、低目付部41の前端縁41Fとよりも前方に配置される。第4接合部64は、装着された状態で下着のクロッチ部に接合する。下着のクロッチ部は、二重布等で構成されており、下着の臀部に当てられる領域よりも剛性が高く伸長し難い。また、下着のクロッチ部は、吸収性物品1の第1接合部61と第4接合部64が接合し、厚み方向Tにおいて吸収性物品1に挟まれており、下着の臀部に当てられる領域と比較して伸長し難い。すなわち、第4接合部64が接合する領域は、伸長し難い領域である。これに対して、下着の臀部に当てられる領域は、下着のクロッチ部よりも伸長し易い領域である。第4接合部64よりも後方に低目付部41が配置されているため、下着の臀部に当てられる領域の伸長に伴って低目付部41が前後方向に伸長し易くなり、下着の変形に追従して吸収性物品がより変形し易くなる。
【0067】
(8)圧搾部
吸収性物品1は、少なくとも吸収コア31が厚み方向に圧縮されることによって形成された圧搾部を有する。圧搾部は、前側圧搾部81と後側圧搾部82を有する。前側圧搾部81と後側圧搾部82は、前後方向において離間している。前側圧搾部81の少なくとも一部及び後側圧搾部82の少なくとも一部は、弾性部材91の収縮領域の前後方向の範囲内に設けられる。前側圧搾部81は、低目付部41を前後方向に跨って配置されていない。また、後側圧搾部82は、低目付部41内に設けられていない。このような構成によれば、低目付部41よりも前側の領域は、前側圧搾部によって剛性が高くなり、弾性部材の収縮力に対して変形し難く、フラットな状態で吸収体が維持され易い。同様に、低目付部41よりも後側の領域は、後側圧搾部によって剛性が高くなり、弾性部材の収縮力に対して変形し難く、フラットな状態で吸収体が維持され易い。吸収体がフラットな状態で維持され易いため、着用者の肌に対して平滑な面で当接し、装着時の違和感の発生を抑制できる。一方、低目付部41は、前後方向の全域にわたって圧搾部が形成されないため、弾性部材の収縮によって縮むように変形し易く、下着の伸長に伴って伸長するように変形できる。弾性部材の収縮力が高く、低目付部41の収縮量が大きい構成であっても、吸収体の型崩れを抑制し、良好な使用感を維持できる。吸収性物品の下着に対する追従性能を高めることができる。
【0068】
(9)変形例
次いで、
図9及び10に基づいて変形例に係る実施形態について説明する。なお、変形例の実施形態の説明において、上述の実施形態と同様の構成については同符号を用いて説明を省略する。
図9は、変形例に係る吸収性物品の平面図であり、
図10は、変形例に係る吸収性物品の背面図である。変形例に係る吸収性物品1Aは、複数の低目付部41が設けられている。複数の低目付部41は、前後方向に間隔を空けて配置されている。複数の低目付部41を有する構成にあっては、折り線FL1は、少なくとも一部の低目付部に設けられていればよく、変形例に係る吸収性物品1Aは、最も前側に位置する低目付部41に折り線FL1が設けられている。
【0069】
後側域S3に設けられた第2接合部62は、前後方向Lに分断されている。各第2接合部62は、低目付部41に重ならない領域に配置されている。複数の低目付部41は、弾性部材91の収縮領域の範囲内に設けられており、弾性部材91の収縮によって縮んだ状態となる。弾性部材91の収縮領域の範囲内に複数の低目付部41が設けられているため、低目付部41の縮む量(前後方向の長さ)が大きくなり、下着に対する追従性を高めることができる。また、低目付部41が複数設けられているため、複数の箇所で低目付部41による縮んだ部分を設けることができ、下着の複数の箇所に対応して吸収性物品が追従でき、下着から接合部60がより剥がれ難くなる。
【0070】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【解決手段】吸収性物品1は、吸収性物品の肌対向面同士が対向するように折り畳むための折り線FL1を有する。吸収体は、中央域と後側域の境界に設けられ、かつ幅方向に延びる低目付部41を有する。吸収性物品は、低目付部よりも前方に位置する第1接合部61と、低目付部よりも後方に位置する第2接合部62と、を有する。弾性部材91は、低目付部又は低目付部から幅方向の外側に延びる領域を跨いでいる。折り線は、吸収性物品が展開された展開状態において弾性部材の収縮によって低目付部が着用者側に隆起するように低目付部に設けられる。