特許第6181873号(P6181873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6181873ラックを含む電池パックのラック電圧バランシング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181873
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】ラックを含む電池パックのラック電圧バランシング方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20170807BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20170807BHJP
   B60L 3/00 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   H02J7/02 H
   H02J7/02 J
   B60L11/18 A
   B60L3/00 S
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-533257(P2016-533257)
(86)(22)【出願日】2014年8月12日
(65)【公表番号】特表2016-527868(P2016-527868A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】KR2014007476
(87)【国際公開番号】WO2015030392
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2016年2月5日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0102565
(32)【優先日】2013年8月28日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジョングク・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヒュンチョル・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジョンミン・パク
【審査官】 田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−520179(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/052044(WO,A1)
【文献】 特開2007−060792(JP,A)
【文献】 特開2008−118777(JP,A)
【文献】 特開2010−166721(JP,A)
【文献】 特開2009−159672(JP,A)
【文献】 特開2009−165206(JP,A)
【文献】 特表2011−501640(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0106360(US,A1)
【文献】 特開2014−171369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00− 7/12
7/34− 7/36
B60L 3/00
B60L 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位モジュールが直列に接続されているそれぞれのラックが直列又は並列に接続されている電池パックにおいて、各ラックの充電電圧をバランシングする方法であって、
(a)前記ラックの電圧を測定する電圧測定ステップと、
(b)前記ラックの電圧値に応じて昇順に整列する整列ステップと、
(c)前記電圧値の最大値及び最小値の差が設定電圧よりも大きいか否かを比較する比較ステップと、
(d)前記ラックの電圧値と基準電圧とを比較して、前記ラックの電圧値が前記基準電圧よりも小さい場合、充電カウンターを加算し、前記ラックの電圧値が前記基準電圧よりも大きい場合、放電カウンターを加算する充/放電カウントステップと、
(e)前記充電カウンターのカウント値と前記放電カウンターのカウント値との差に基づいて、全てのラックを充電又は放電させる充/放電ステップと、
を含み、
前記基準電圧は、前記最大値と前記最小値との中間値であり、
前記ステップ(c)において、
前記最大値及び前記最小値の差が前記設定電圧よりも小さい場合、前記ステップ(d)及び(e)なしに前記電圧値の最大値で充電を行い、
前記最大値及び前記最小値の差が前記設定電圧よりも大きい場合、前記ステップ(d)及び(e)を行うことを特徴とする、ラック電圧バランシング方法。
【請求項2】
前記ステップ(b)の電圧値による整列は、前記最小値のラック(i=0)から前記最大値のラック(i=総ラックの数−1)まで整列することを特徴とする、請求項1に記載のラック電圧バランシング方法。
【請求項3】
前記ステップ(c)の前記設定電圧は、SOC(State of Charge)の20%であることを特徴とする、請求項1に記載のラック電圧バランシング方法。
【請求項4】
前記ステップ(d)の基準電圧Aは、(電圧範囲値/2+最小電圧値)で表現され、
前記ステップ(d)の電圧範囲値Bは、(最大電圧値−最小電圧値)で表現されることを特徴とする、請求項1に記載のラック電圧バランシング方法。
【請求項5】
前記ステップ(d)の充/放電カウントステップは、i=0からi=総ラックの数−1まで順次カウントすることを特徴とする、請求項1に記載のラック電圧バランシング方法。
【請求項6】
前記ステップ(e)の前記放電カウンターのカウント値が前記充電カウンターのカウント値よりも大きく、かつ前記小値前記設定電圧よりも高い場合、前記大値のラックから前記最小値のラックまで順次放電させることを特徴とする、請求項1に記載のラック電圧バランシング方法。
【請求項7】
前記放電過程で現在放電するラックよりも低い電圧を有するラックと同一の電圧に到達した時、並列に接続して同時に放電させることを特徴とする、請求項に記載のラック電圧バランシング方法。
【請求項8】
前記ステップ(e)の前記放電カウンターのカウント値が前記充電カウンターのカウント値よりも大きく、かつ前記小値前記設定電圧よりも低い場合、前記小値のラックから前記大値のラックまで順次充電させることを特徴とする、請求項1に記載のラック電圧バランシング方法。
【請求項9】
前記充電過程で現在充電するラックよりも高い電圧を有するラックと同一の電圧に到達した時、並列に接続して同時に充電させることを特徴とする、請求項に記載のラック電圧バランシング方法。
【請求項10】
前記ステップ(e)の前記充電カウンターのカウント値が前記放電カウンターのカウント値よりも大きい場合、前記小値のラックから前記大値のラックまで順次充電させることを特徴とする、請求項1に記載のラック電圧バランシング方法。
【請求項11】
前記充電過程で現在充電するラックよりも高い電圧を有するラックと同一の電圧に到達した時、並列に接続して同時に充電させることを特徴とする、請求項10に記載のラック電圧バランシング方法。
【請求項12】
前記ステップ(e)の前記充電カウンターのカウント値と前記放電カウンターのカウント値とが同一である場合、前記大値のラックから前記小値のラックまで順次放電させることを特徴とする、請求項1に記載のラック電圧バランシング方法。
【請求項13】
前記放電過程で現在放電するラックよりも低い電圧を有するラックと同一の電圧に到達した時、並列に接続して同時に放電させることを特徴とする、請求項12に記載のラック電圧バランシング方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法で電圧バランシングされることを特徴とする、電池パック。
【請求項15】
請求項14に記載の電池パックを含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項16】
電動工具、
電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、及びプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)からなる群から選択された電気自動車、
電動バイク、
電動スクーター、
電動ゴルフカート、及び
電力貯蔵装置
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項15に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラックを含む電池パックのラック電圧バランシング方法に係り、より詳細には、複数の単位モジュールが直列に接続されているそれぞれのラックが直列又は並列に接続されている電池パックにおいて、各ラックの充電電圧をバランシングする方法であって、前記ラックの電圧を測定する電圧測定ステップ、前記ラックの電圧値に応じて昇順に整列する整列ステップ、前記電圧値の最大値及び最小値の差が設定電圧よりも大きいか否かを比較する比較ステップ、前記ラックの電圧値と基準電圧とを比較して、充電又は放電カウンターを加算する充/放電カウントステップ、及び前記充/放電カウントに応じて各ラックを充電又は放電させる充/放電ステップを含み、前記比較ステップにおいて、電圧値の最大値及び最小値の差が設定電圧よりも小さい場合、充/放電カウントステップなしに最大値で充電を行い、設定電圧よりも大きい場合、充/放電カウントステップ及び充/放電ステップを行う、ラック電圧バランシング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、充放電可能な二次電池は、ワイヤレスモバイル機器のエネルギー源または補助電力装置などとして広範囲に使用されている。また、二次電池は、化石燃料を使用する既存のガソリン車両、ディーゼル車両などの大気汚染などを解決するための方案として提示されている電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(Plug−In HEV)などの動力源としても注目されている。
【0003】
このような二次電池は、高出力が要求される各種移動性装置に使用されるものであって、そのために、上記のような、電気自動車やハイブリッド電気自動車などに使用される電池は、多数の電池セルが直列に接続された電池パックから出力される電気を電源として用いている。
【0004】
このように、多数の電池セル(単位電池)を含んでいる中大型二次電池モジュールは、特に、高出力の提供のために、構成電池セルの全体または少なくとも一部が直列に接続されており、同一の容量及び電圧規格の電池で構成される。
【0005】
また、電気自動車などには、複数の電池セルで構成される電池パックが車両の仕様に応じて複数個装着され、別途の装置と電池管理システム(Battery Management System)が備えられて、電池パックの各電池セルを充電又は放電しながら、各電池セルの電圧を適正なレベルに維持させる。
【0006】
しかし、このような同一規格にもかかわらず、様々な要素に起因する製造工程上の限界により、実際には電池セルは電圧差を示すのが一般的であり、電池モジュールを構成する電池セルがこのように電圧差を有する場合、電池モジュールの性能は低下する。
【0007】
また、このような充電装置や電池管理システムは、各電池セルの特性の差に関係なく、一括的に充電電流を供給して充電が行われるように設計されているので、このような一括充電方式では、電池セル間の容量の差や内部抵抗の差などに対する考慮なしに一括的に充電が行われるため、過充電される電池セルが発生したり、完全に充電されていない状態で充電が中断される電池セルが存在したりするようになるなどの問題を内包する。
【0008】
さらに、複数の電池セルを直列接続して構成した電池パックを長期間使用する場合、充放電サイクルが増加するようになると、それぞれの電池セルが有する特性因子が互いに同一でなくなり、これによって、電池セルの充電電圧が不均衡な状態となり、各電池セルの相互間の電圧偏差がひどくなる場合には、爆発のような危険な状況が発生することがある。
【0009】
したがって、このような問題点を根本的に解決できるように、セルを安定的に初期化させ、制御することができる電池パックのバランシング(Balancing)方法に対する必要性が非常に高い実情がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような従来技術の問題点及び過去から要請されてきた技術的課題を解決することを目的とする。
【0011】
本発明の目的は、複数のラックが直列又は並列に接続されている電池パックにおいて、各ラックの電圧を測定して充電又は放電するラックを判別し、判別結果に応じて自動でラックバランシングを行うことによって、一般的なラックバランシング作業時に追加的な装備、人力、及び時間の消費なしに簡便且つ安定的に電池セルの充電不均衡を解決して、電池の性能、容量、及び寿命を向上させることができるラック電圧バランシング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するための本発明に係るラック電圧バランシング方法は、
【0013】
複数の単位モジュールが直列に接続されているそれぞれのラックが直列又は並列に接続されている電池パックにおいて各ラックの充電電圧をバランシングする方法であって、
【0014】
(a)前記ラックの電圧を測定する電圧測定ステップと、
【0015】
(b)前記ラックの電圧値に応じて昇順に整列する整列ステップと、
【0016】
(c)前記電圧値の最大値及び最小値の差が設定電圧よりも大きいか否かを比較する比較ステップと、
【0017】
(d)前記ラックの電圧値と基準電圧とを比較して、充電又は放電カウンターを加算する充/放電カウントステップと、
【0018】
(e)前記充電及び放電カウンターのカウント値に応じて各ラックを充電又は放電させる充/放電ステップと、
【0019】
を含み、
【0020】
前記ステップ(c)において、電圧値の最大値及び最小値の差が設定電圧よりも小さい場合、ステップ(d)及び(e)なしに最大値で充電を行い、設定電圧よりも大きい場合、ステップ(d)及び(e)を行う構造で構成されている。
【0021】
したがって、本発明に係るラック電圧バランシング方法は、複数のラックが直列又は並列に接続されている電池パックにおいて、各ラックの電圧を測定して充電又は放電するラックを判別し、判別結果に応じて自動でラックバランシングを行うことによって、一般的なラックバランシング作業時に追加的な装備、人力、及び時間の消費なしに簡便且つ安定的に電池セルの充電不均衡を解決して、電池の性能、容量、及び寿命を向上させることができる効果を提供できる。
【0022】
一具体例において、前記ステップ(b)の電圧値による整列は、選択整列、クイック整列(quick sort)などの様々な整列アルゴリズムから選択された1つであってもよく、具体的には、最小値のラック(i=0)から最大値のラック(i=総ラックの数−1)まで昇順に整列する形態であり得る。
【0023】
一方、上述したように、複数の電池セルを直列接続して構成した電池パックを長期間使用する場合、充放電サイクルが増加するようになると、それぞれの電池セルが有する特性因子が互いに同一でなくなり、これによって、電池セルの充電電圧が不均衡な状態となり、これによって、過充電される電池セルが発生したり、完全に充電されていない状態で充電が中断される電池セルが存在したりするようになるなどの問題が発生することがあり、各電池セルの相互間の電圧偏差がひどくなる場合、例えば、電圧偏差が20V以上である場合には、爆発のような危険な状況が発生することがある。
【0024】
したがって、上記のように、ステップ(c)において、セル性能の低下及び爆発などの危険がある電圧偏差を判別するために、一定電圧を設定する必要があり、このような設定電圧値は、電池の種類、容量などに応じて多様に設定することが可能であり、例えば、SOC(State of Charge)の10%〜30%の範囲であってもよく、具体的には、SOCの20%であることが好ましい。
【0025】
また、ステップ(d)において、基準電圧として、各ラックの平均電圧を設定することができ、前記基準電圧は、具体的には、(電圧範囲値/2+最小電圧値)で表現することができ、前記電圧範囲値は、(最大電圧値−最小電圧値)で表現することができる。
【0026】
一具体例において、前記ステップ(d)の各ラックの電圧値が基準電圧よりも低い場合、放電カウンターを加算する過程を行い、各ラックの電圧値が基準電圧よりも高い場合、充電カウンターを加算する過程を行うことができる。
【0027】
このような充電又は放電カウントステップは、電圧値に応じて整列されたi値によって、i=0からi=総ラックの数−1まで順次カウントする過程を経、最大値の電圧を有するラックまでカウントした後、充電又は放電カウントに応じて前記ステップ(e)でのように各ラックを充電するかまたは放電するかを決定することができる。
【0028】
具体的には、前記ステップ(e)の放電カウンターのカウント値が充電カウンターのカウント値よりも大きく、かつ最小電圧値が基準電圧よりも高い場合、最大電圧値のラックから最小電圧値のラックまで順次放電させてラック電圧バランシングを行うことができ、例外的に放電カウンターのカウント値が充電カウンターのカウント値よりも大きい場合でも、最小電圧値が基準電圧よりも低い場合、放電させる過程を経る代わりに、充電する過程を経ることができる。
【0029】
また、前記ステップ(e)の充電カウンターのカウント値が放電カウンターのカウント値よりも大きい場合、最小電圧値のラックから最大電圧値のラックまで順次充電させる過程を経ることができ、前記ステップ(e)の充電カウンターのカウント値及び放電カウンターのカウント値が同一である場合、グリッド(grid)から受け取るエネルギーを最小化するために、最大電圧値のラックから最小電圧値のラックまで順次放電させる過程を経ることができ、このような充/放電ステップを経ることによって、各ラックの電圧偏差を減少させて電池パックを安定的に初期化することができる。
【0030】
別の具体例において、前記ステップ(e)の充電又は放電ステップにおいて、各ラックを充電する場合、前記充電過程で現在充電するラックよりも高い電圧を有するラックと同一の電圧に到達した時、並列に接続して同時に充電させる過程を行うことができ、具体的には、最初の充電を行う最小電圧値のラックの電圧が、2番目に小さい値のラックの電圧に到達した時、最小値のラック及び2番目に小さい値のラックを並列接続して同時に充電を行い、続けて同じ方式で最大電圧値のラックまで充電を行う構造で構成することができる。
【0031】
逆に、前記ステップ(e)において、各ラックを放電する場合、前記放電過程で現在放電するラックよりも低い電圧を有するラックと同一の電圧に到達した時、並列に接続して同時に放電させる過程を行うことができ、具体的には、最初の放電を行う最大電圧値のラックの電圧が、2番目に大きい値のラックの電圧に到達した時、最大電圧値のラック及び2番目に大きい値のラックを並列接続して同時に放電を行い、続けて同じ方式で最小電圧値のラックまで放電を行う構造で構成することができる。
【0032】
本発明はまた、上記のラック電圧バランシング方法で電圧バランシングされたことを特徴とする電池パックを提供する。
【0033】
また、前記電池パックを電源として含むデバイスを提供し、前記デバイスは、例えば、電動工具(power tool);電気自動車(Electric Vehicle:EV)、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle:HEV)、及びプラグインハイブリッド電気自動車(Plug−in Hybrid Electric Vehicle:PHEV)からなる群から選択された電気自動車;電動バイク(E−bike);電動スクーター(E−scooter);電動ゴルフカート(Electric golf cart);及び電力貯蔵装置として好ましく使用され得るが、適用範囲がこれらのみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態に係るラック電圧バランシング方法に関するフローチャートである。
図2図1のS4ステップによるラック電圧バランシング方法に関するフローチャートである。
図3図1のS5ステップによるラック電圧バランシング方法に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下では、本発明の実施形態に係る図面を参照して説明するが、これは、本発明のより容易な理解のためのものであり、本発明の範囲がそれによって限定されるものではない。
【0036】
図1には、本発明の一実施形態に係るラック電圧バランシング方法に関するフローチャートが模式的に示されている。
【0037】
図1を参照すると、本発明に係るラック電圧バランシング方法は、各ラックの電圧を測定する電圧測定ステップ(S1ステップ)を経るようになり、電圧測定ステップ(S1ステップ)で測定された電圧値に応じて各ラックを昇順に整列する整列ステップ(S2ステップ)を経るようになる。すなわち、最小値のラック(i=0)から最大値のラック(i=総ラックの数−1)まで昇順に整列するステップを経るようになる。
【0038】
次いで、それぞれのラックで測定された電圧に基づいて、最大電圧値と最小電圧値との差を予め設定された設定電圧値と比較する比較ステップ(S3ステップ)を経るようになり、具体的には、SOCの20%の範囲の電圧値と比較して、電圧バランシングを行うか否かを決定するようになり、最大電圧値と最小電圧値との差が設定電圧値よりも小さい場合、各ラックの電圧偏差が電池セルに影響をあまり及ぼさない範囲にあると判断して、最大電圧値で充電する過程を経るようになる。
【0039】
一方、最大電圧値と最小電圧値との差が設定電圧値よりも大きい場合、各ラックの電圧偏差が電池セルに影響を及ぼす範囲にあると判断して、ラックバランシングのための次のステップを行うようになる。
【0040】
次いで、各ラックの電圧値と基準電圧とを比較して、それぞれのラックに対して充電又は放電カウンターを加算する充/放電カウントステップ(S4ステップ)を経るようになり、充/放電カウントステップでのカウントに基づいて、ラックに対して充電を行うかまたは放電を行うかを決定し、充/放電ステップ(S5ステップ)を行うことによって、各ラックのバランシングを達成するようになる。
【0041】
以下では、充/放電カウントステップ(S4ステップ)及び充/放電ステップ(S5ステップ)について具体的に説明する。
【0042】
図2には、図1のS4ステップによるラック電圧バランシング方法に関するフローチャートが模式的に示されている。
【0043】
図2図1と共に参照すると、S1ステップで測定電圧値に基づいて基準電圧を設定するようになり、具体的には、基準電圧Aは、(電圧範囲値B/2+最小電圧値)で表現され、電圧範囲値Bは、(最大電圧値−最小電圧値)で表現される。
【0044】
S1ステップで得られた基準電圧値に基づいて各ラックの電圧値と比較して充/放電カウントを加算する過程を行うようになり、具体的には、最小電圧値のラック(i=0)から最大電圧値のラック(i=総ラックの数−1)まで整列されたラックをi=0から基準電圧と比較して、基準電圧−i番目のラックの値が0よりも大きい場合、放電カウンターを1つ加算し、逆に、基準電圧−i番目のラックの値が0よりも小さい場合、充電カウンターを加算する方式で、総ラックの数だけ繰り返して充電又は放電カウンターを測定してS5ステップを行う。
【0045】
図3には、図1のS5ステップによるラック電圧バランシング方法に関するフローチャートが模式的に示されている。
【0046】
図3図1及び図2と共に参照すると、S4ステップにおいて放電カウンターのカウント値が充電カウンターのカウント値と同一または大きい場合、最小電圧値が予め設定しておいた設定電圧SOCの20%の範囲よりも高いかを比較し、設定電圧よりも高い場合、放電を行うための放電ステップを行い、逆に、設定電圧よりも低い場合、充電を行うための充電ステップを行う。また、S4ステップにおいて充電カウンターのカウント値が放電カウンターのカウント値よりも大きい場合、充電を行うための充電ステップに進む。
【0047】
まず、放電ステップは、最大電圧値のラック(i=総ラックの数−1)から最小電圧値のラック(i=0)まで順次繰り返して放電を行うようになり、現在放電を行っているi番目のラックの電圧が、次に小さい電圧値を有するi−1番目のラックの電圧に到達するまで放電を行い、上記の値に到達する場合、ラックカウントを追加的に行う過程を通じて同時に放電されるラックの数を把握し、並列に接続して上記の過程を繰り返し行うようになり、最終的に各ラックの電圧が最小電圧値のラック電圧に到達した時、ラック電圧バランシングが終了する。
【0048】
一方、充電ステップは、最小電圧値のラック(i=0)から最大電圧値のラック(i=総ラックの数−1)まで順次繰り返して充電を行うようになり、現在充電を行っているi番目のラックの電圧が、次に大きい電圧値を有するi+1番目のラックの電圧に到達するまで充電を行い、上記の値に到達する場合、ラックカウントを追加的に行う過程を通じて同時に充電されるラックの数を把握し、並列に接続して上記の過程を繰り返し行うようになり、最終的に各ラックの電圧が最大電圧値のラック電圧に到達した時、ラック電圧バランシングが終了する。
【0049】
本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、上記内容に基づいて本発明の範囲内で様々な応用及び変形を行うことが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上で説明したように、本発明に係るラック電圧バランシング方法は、複数のラックが直列又は並列に接続されている電池パックにおいて、各ラックの電圧を測定して充電又は放電が必要なラックを判別し、判別結果に応じて自動でラック電圧バランシングを行うことによって、一般的なラック電圧バランシング作業時に追加的な装備、人力、及び時間の消費なしに簡便且つ安定的に電池セルの充電不均衡を解決して、電池の性能、容量、及び寿命を向上させることができるという効果がある。
図1
図2
図3