特許第6181978号(P6181978)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181978
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】干渉式間隔測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/14 20060101AFI20170807BHJP
   G01D 5/38 20060101ALI20170807BHJP
   G01B 9/02 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   G01B11/14 G
   G01D5/38 G
   G01B9/02
【請求項の数】15
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-111986(P2013-111986)
(22)【出願日】2013年5月28日
(65)【公開番号】特開2014-2139(P2014-2139A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2016年1月8日
(31)【優先権主張番号】10 2012 210 079.2
(32)【優先日】2012年6月15日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】10 2013 203 211.0
(32)【優先日】2013年2月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390014281
【氏名又は名称】ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルター・フーバー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ・イェルガー
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング・ホルツアプフェル
【審査官】 神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特表平11−502628(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0235051(US,A1)
【文献】 特表2007−506070(JP,A)
【文献】 特開平02−035304(JP,A)
【文献】 特開2011−203245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 9/00−11/30
G01D 5/26− 5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定反射体と、
光源と、
光源から放出された光ビームを少なくとも一つの測定光ビームと少なくとも一つの基準光ビームに分割して、この測定光ビームが、更なる光路において、少なくとも二回測定反射体に当たるようにする分割部品と、
測定光ビームと基準光ビームが到来したら、それらを重畳させて干渉させるための結合部品と、
干渉した測定光ビームと基準光ビームから測定反射体と本装置の一つ以上の別のコンポーネントの間の測定方向(z)に沿った間隔に関する少なくとも一つの間隔信号を生成することが可能な検出器配列と、
を備えた干渉式間隔測定装置において、
この分割部品が、分割格子(11;111;211)として構成され、この光源(16;116;216)が測定反射体(1;100;200)の表面に対して平行分割格子(11;111;211)の方向に向けて光ビームを放出し、この分割格子(11;111;211)が、測定反射体(1;100;200)の表面に対して垂直に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
光源(16;116;216)、分割格子(11;111;211)、結合部品及び検出器配列(18;118;218)が、別のコンポーネントと一緒に、少なくとも測定反射体(1;100;200)に対する測定方向(z)に沿った間隔を変更可能な形で配置された走査ユニット(10;110;210)内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
分割格子(11;111;211)が板形状の支持部品(12A,12B;112A,112B;212A,212B)の上に配置されており、この支持部品(12A,12B;112A,112B;212A,212B)が測定反射体(1;100;200)の表面に対して垂直な方向を向いて配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
分割格子(11;111;211)と結合部品の間の基準光ビーム(R)と測定光ビーム(M)の光路内には、それぞれ少なくとも二つの偏向部品(13.1,13.2,14.1,14.2;113.1a,113.1b,113.2a,113.2b,114.1a,114.1b,114.2a.114.2b;213.1,213.2,214.1,214.2)が配置されており、各偏向部品(13.1,13.2,14.1,14.2;113.1a,113.1b,113.2a,113.2b,114.1a,114.1b,114.2a.114.2b;213.1,213.2,214.1,214.2)が、そこに入射する光ビームに対して、測定方向(z)に沿った偏向作用又は測定方向(z)に沿った偏向作用と測定方向(z)に対して垂直な方向の偏向作用を及ぼすことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
偏向部品(13.1,13.2,14.1,14.2;113.1a,113.1b,113.2a,113.2b,114.1a,114.1b,114.2a.114.2b;213.1,213.2,214.1,214.2)が、
そこに入射するコリメートされた光ビームに対して、更に、線焦点(L)に集束させる作用を及ぼして、この線焦点(L)が測定方向(z)に沿って延びており、並びに
そこに入射する拡散する光ビームに対して、更に、コリメート作用を及ぼす、
ことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
当該の偏向部品が、測定反射体(1;100;200)に対して垂直に設置された支持部品(12A,12B;112A,112B;212A,212B)上に配置された回折構造を有することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項7】
当該の偏向部品(13.1,13.2,14.1,14.2)が反射型フレネル円柱レンズとして構成され、これらの反射型フレネル円柱レンズが、そこに入射する光ビームに対して、集束作用の外に、更に、測定方向(z)に沿った偏向作用を及ぼすことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項8】
当該の偏向部品(13.1,13.2,14.1,14.2)の中の二つが、そこに入射する光ビームに対して、線焦点(L)に集束させる作用を及ぼすことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
偏向部品(113.1a,113.1b,113.2a,113.2b,114.1a,114.1b,114.2a,114.2b)が、それぞれ反射体(120,121)と一緒に二つの支持部品(112A,112B)に配置された透過型フレネル円柱レンズとして構成されており、
これらの透過型フレネル円柱レンズが、支持部品(112A,112B)の互いに対向する側に配置されており、
これらの反射体(120,121)が、それぞれ支持部品(112A,112B)の前記の側と対向する側に配置されるとともに、その反射する側が、透過型フレネル円柱レンズの方向を向いており、並びに
これらの透過型フレネル円柱レンズが、そこに入射するコリメートされた光ビームに対して、反射体(120,121)の反射する側に直線状に集束させる作用を及ぼす、
ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項10】
当該の偏向部品(213.1,213.2,214.1,214.2)が、二つの支持部品(212A,212B)の互いに対向する側に配置された反射型光軸外フレネル円柱レンズとして構成されていることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項11】
基準光ビーム(R)が、専ら走査ユニット(110,210)内の分割格子(11;111;211)と結合部品の間を進行することを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項12】
分割格子(11;111;211)と結合部品の間の測定光ビーム(M)と基準光ビーム(R)の光路が、それぞれ測定反射体(1;100;200)の表面に対して垂直な方向を向いた対称面(S)に対して鏡面対称に延びていることを特徴とする請求項1から11までの少なくとも一つに記載の装置。
【請求項13】
当該の偏向部品(330.1,330.2)が、分割格子(311)と結合部品を上に配置した外側の二つの板形状の支持部品(312A,312.B)の間に設置された板形状の支持部品(330)の対向する側に配置された透過型フレネル円柱レンズとして構成さていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項14】
走査ユニット(310)内のコンポーネントは、
測定光ビーム(M)が、分割格子(311)から測定反射体(300)の方向に進行して、そこの第一の入射位置(A1)で走査ユニット(310)内の第一の偏向部品(330.1)の方向への一回目の反射を起こし、
次に、測定光ビーム(M)が、第一の偏向部品(330.1)で第二の偏向部品(330.2)の方向への偏向を起こし、
次に、測定光ビーム(M)が、第二の偏向部品(330.2)で測定反射体(300)の方向への偏向を起こして、そこの第二の入射位置(A2)で結合部品の方向への二回目の反射を起こし、
基準光ビーム(R)が、分割格子(311)から第一の偏向部品(330.1)の方向に進行して、そこで第二の偏向部品(330.2)の方向への偏向を起こし、
基準光ビーム(R)が、第二の偏向部品(330.2)で結合部品の方向への偏向を起こす、
ように配置、構成されていることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
当該の結合部品が、結合格子(15;115;215)として構成されるとともに、測定反射体(1;100;200)の表面に対して垂直に配置されていることを特徴とする請求項1から14までのいずれか一つに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に基づく干渉式間隔測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
横方向に互いに移動する二つの物体の位置の変化を検出する外に、専ら、或いは場合によっては、更に横方向に対して直交する垂直方向における、それらの物体の間隔を計測することが必要であるとの測定課題が存在する。そのような測定方向に沿った高精度な間隔測定のために、例えば、特許文献1又は2に開示されている通りの干渉式方法が提案されている。
【0003】
特許文献1により周知の干渉式間隔測定装置は、物体から検出すべき間隔を開けた位置に有る、ガラス板上に配置された放射器・受信器ユニットを備えており、その物体には、ミラーが配置されている。ガラス板上には、光源から放出された光ビームを少なくとも一つの測定光ビームと少なくとも一つの基準光ビームに分割する分割格子が配置されている。この測定光ビームは、物体上のミラーの方向に進行して、更に、放射器・受信器ユニットの方向に反射されて戻り、この基準光ビームは、専らガラス板内に進行して、複数回の反射後に、放射器・受信器ユニットに到達して、測定光ビームと重畳して干渉している。そのようにして得られた干渉信号から、ガラス板と物体の間の間隔又はそれらのコンポーネントの間の間隔の変化が検出可能となっている。そのような装置の欠点は、一方では、ガラス板とミラーの間に傾きが生じた場合に、誤った間隔信号が発生することである。他方では、測定結果が使用する光源の波長に依存することがそのような装置の欠点であることが分かっている。その波長は、周囲の環境条件の変動により変化し、そのため間隔測定時に誤差を生じさせる可能性が有る。
【0004】
特許文献2により周知の装置は、測定光ビーム及び基準光ビームの好適なビーム誘導によって、特許文献1の前記の問題を解決している。その場合、少なくとも所定の目標間隔では、間隔測定が場合によっては生じる波長変化に作用されないこと、並びに傾きに強いことが保証されている。
【0005】
それに対して一層最適化された干渉式間隔測定装置が、非特許文献1により周知であり、本発明の請求項1の上位概念を規定する際に、その装置を出発点とした。その装置は、測定反射体、光源、立方体型ビームスプリッタの形の分割部品、結合部品及び検出器配列を備えている。この分割部品によって、光源から放出された光ビームを少なくとも一つ測定光ビームと少なくとも一つ基準光ビームに分割している。この測定光ビームは、更なるビームの進行中に四回測定反射体に当たった後、結合部品に到達して、基準光ビームと重畳して干渉している。検出器配列によって、干渉する測定光ビームと基準光ビームから、測定反射体とこの装置の一つ以上の別のコンポーネントの間の測定方向に沿った間隔に関する少なくとも一つ間隔信号を生成している。
【0006】
そこで提案されている装置の欠点は、実際の波長と前提とする公称波長の間に偏差が有った場合、測定反射体が傾くと、間隔計測時に測定誤差が発生することである。それに関しては、前記の非特許文献1の装置の光路を簡略化した部分図を図示した図1を参照されたい。その図面では、測定光ビームMが左上方から入射角α=45°で測定反射体MRの入射位置A1に入射した後、格子Gに到達し、次に、新たに測定反射体MRの入射位置A2に到達している。図示されていない逆反射体での逆方向への反射後に、測定光ビームMは、その行程で二回逆方向に進行して、全体として四回測定反射体MRに当たった後、図示されていない基準光ビームと干渉して重畳している。その結果得られた干渉信号は、図1に表示された測定方向zに沿った測定反射体MRとそれ以外のコンポーネントの間隔が変化した場合の計測すべき間隔信号である。
【0007】
詳しく述べられていない進行した行程の推移における測定光ビームMのkベクトルを観察して、測定反射体MRが所定のy軸の周りを傾いている場合、その結果生じる測定光ビームMの位相シフトΦを次の式1の通り提示している。
Φ=8*√2*π*Ry*Δx*(1/λ−1/λ) (式1)
【0008】
ここで、
Φ:測定反射体MRがy軸の周りを傾いており、測定光ビームと測定反射体の間の相互作用が四回、α=45°の場合の位相シフト、
:y軸の周りの回転角、
Δx:x方向における入射点A1,A2と傾斜軸の距離、
λ:実際の波長、
λ:公称波長。
【0009】
式1から明らかな通り、そのような傾斜と実際の波長λと公称波長λの間に偏差が有る場合、測定光ビームMの側に位相シフトΦ≠0が生じる。そのような位相シフトΦは、λ≠λの場合、格子Gでの波長に応じた偏向とそれと関連した入射位置A2のシフトによって起こる。それは、測定方向zに沿った測定すべき間隔に関して何も変化が無かったにも関わらず、生成された間隔信号に間隔の変化を引き起こしている。式1から、パラメータR=5ミリラジアン、Δx=5mm、λ=780nm、λ=λ+5nmの場合に、測定光ビームMに位相シフトΦ=1.15*2πが生じ、それは、間隔計測時に重大な誤差を引き起こしている。
【0010】
従って、前記の特許文献に提案されている装置は、全ての条件において、場合によっては生じる波長の変化に左右されない訳ではなく、そのような波長の変化は、例えば、周囲の環境条件の変化によって生じたり、測定反射体が傾いている場合に、計測すべき間隔に関して誤った測定を引き起こす可能性が有る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】ドイツ特許公開第102007016774号明細書
【特許文献2】ドイツ特許公開第102010003157号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】“Non−contact displacement meter for pm resolution”, Hideaki Tamiya, Precision Engineering Society of Japan, Spring Meeting March 2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、測定した間隔が使用する光源の波長に全く左右されない高精度の干渉式間隔測定装置を提供することである。特に、場合によっては測定反射体の傾斜が生じても、実際の波長と公称波長の偏差が有る場合に測定誤差を生じさせないものとする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本課題は、本発明による請求項1の特徴を有する装置によって解決される。
【0015】
本発明による装置の有利な実施形態は、従属請求項における措置から明らかである。
【0016】
本発明による干渉式間隔測定装置は、測定反射体、光源、分割部品、結合部品及び検出器配列を備えている。光源から放出された光ビームは、分割部品によって、少なくとも一つの測定光ビームと少なくとも一つの基準光ビームに分割され、この測定光ビームは、更なるビームの進行中に少なくとも二回測定反射体に当たる。測定光ビームと基準光ビームは、結合部品に到達して、重畳し干渉する。検出器配列を用いて、干渉する測定光ビームと基準光ビームから、測定反射体と本装置の一つ以上の別のコンポーネントの間の測定方向に沿った間隔に関する少なくとも一つの間隔信号を生成できる。この場合、分割部品は、分割格子として構成される。光源は、測定反射体の表面に対して平行に分割格子の方向に光ビームを放出する。分割格子は、測定反射体の表面に対して垂直に配置される。
【0017】
光源、分割格子、結合部品及び検出器配列は、それ以外のコンポーネントと一緒に、少なくとも測定方向に沿って測定反射体に対する間隔を変化させることが可能な形で設置した走査ユニット内に配置することが可能である。
【0018】
分割格子が板形状の支持部品上に配置され、その支持部品が測定反射体の表面に対して垂直な方向を向いた形で配置されるものと規定できる。
【0019】
有利には、分割格子と結合部品の間の基準光ビームと測定光ビームの光路内には、それぞれ少なくとも二つの偏向部品が配置され、各偏向部品によって、そこに入射する光ビームに対して、測定方向zに沿った偏向作用、或いは測定方向zに沿った偏向作用と測定方向zに対して垂直な偏向作用を生じさせる。
【0020】
この場合、これらの偏向部品によって、
そこに入射するコリメートされた光ビームが、更に、線焦点に集束する作用を受けて、その線焦点は、測定方向に沿って延び、並びに
そこに入射する拡散する光ビームが、更に、コリメートする作用を受ける、
ものと規定できる。
【0021】
これらの偏向部品は、測定反射体に対して垂直に設置かれた支持部品上に配置された回折構造を有することが可能である。
【0022】
例えば、これらの偏向部品は、反射型フレネル円柱レンズとして構成することができ、これらの反射型フレネル円柱レンズによって、そこに入射する光ビームに対して、集束作用の外に、更に、測定方向に沿った偏向作用が生じる。
【0023】
更に、これらの偏向部品の中の二つによって、そこに入射する光ビームに対して、線焦点に集束する作用を生じさせることが可能である。
【0024】
更に、これらの偏向部品は、それぞれ反射体と一緒に二つの支持部品上に配置された透過型フレネル円柱レンズとして構成することが可能であり、その場合、
これらの透過型フレネル円柱レンズは、支持部品の互いに対向する側に配置され、
これらの反射体は、それぞれ支持部品の対向する側に配置され、それらの反射する側が、透過型フレネル円柱レンズの方向を向いており、
これらの透過型フレネル円柱レンズは、そこに入射するコリメートされた光ビームを反射体の反射する側に線状に集束させるように構成される。
【0025】
それに代わって、これらの偏向部品は、二つの支持部品の互いに対向する側に配置された反射型光軸外フレネル円柱レンズとして構成することもできる。
【0026】
有利には、基準光ビームが専ら走査ユニット内の分割格子と結合部品の間を進行するものと規定する。
【0027】
更に、考え得る実施形態では、分割格子と結合部品の間の測定光ビームと基準光ビームの光路がそれぞれ測定反射体の表面に対して垂直な方向を向いた対称面に対して鏡面対称に延びるものと規定する。
【0028】
更に、これらの偏向部品は、分割格子と結合部品を上に配置した外側の二つの板形状の支持部品の間に設置された、板形状の支持部品の互いに対向する側に配置された透過型フレネル円柱レンズとして構成することが可能である。
【0029】
この場合、これらのコンポーネントは、
測定光ビームが、分割格子から測定反射体の方向に進行して、そこの第一の入射位置で、走査ユニット内の第一の偏向部品の方向への一回目の反射を起こし、
次に、この測定光ビームが、第一の偏向部品で、第二の偏向部品の方向への偏向を起こし、
次に、この測定光ビームは、第二の偏向部品で、測定反射体の方向への偏向を起こして、そこの第二の入射位置で、結合部品の方向への二回目の反射を起こし、
この基準光ビームが、分割格子から第一の偏向部品の方向に進行して、そこで、第二の偏向部品の方向への偏向を起こし、
この基準光ビームが、第二の偏向部品で、結合部品の方向への偏向を起こす、
ように、走査ユニット内に配置、構成されるものと規定できる。
【0030】
一つの考え得る実施構成では、この結合部品は、結合格子として構成されて、測定反射体の表面に対して垂直に配置されるものと規定する。
【0031】
本発明による解決策の重要な利点として、間隔測定が場合によっては生じる波長の変化に全く左右されないとの結果が得られる。それは、干渉する測定光ビームと基準光ビームの進む光路長が測定反射体の如何なる間隔に対しても同じであることに起因する。従って、場合によっては生じる波長の変動が、通常の動作でも、場合によっては測定反射体が傾斜した場合でも本発明による装置の間隔測定に影響を及ぼさない。
【0032】
更に、有利には、本発明による装置では、光の進路が対称的であるため、間隔が変化した場合でも、測定反射体上の実効的な測定点の位置がシフトせず、常に測定反射体上の測定光ビームの入射点の間の真中に有ることが分かっている。
【0033】
最後に、本発明による装置の利点として、例えば、LEDなどの広帯域の光源を本装置で使用できることも挙げられる。
【0034】
以下における図面と関連した本発明による装置の実施例の記述に基づき、本発明の更なる詳細及び利点を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】従来技術により周知の装置を説明するための模式図
図2】本発明による装置を説明するための図1と同様の模式図
図3】本発明による装置の第一の実施例の光路の第一の模式図
図4】本発明による装置の第一の実施例の光路の断面図
図5】第一の実施例の支持部品とその上に配置された偏向部品の平面図
図6】測定反射体が傾いている場合の第一の実施例の光路の模式図
図7】本発明による装置の第一の実施例の変化形態の光路の模式図
図8】本発明による装置の第二の実施例の光路の第一の模式図
図9a】本発明による装置の第二の実施例の光路の第二の模式図
図9b図9aの図面の光路の別の模式図
図10】第二の実施例の支持部品とそこに配置された様々な偏向部品の平面図
図11】第二の実施例の測定反射体と測定光ビームの異なる入射位置の平面図
図12】本発明による装置の第三の実施例の光路の第一の模式図
図13a】本発明による装置の第三の実施例の光路の第二の模式図
図13b図13aの図面の光路の別の模式図
図14】第三の実施例の支持部品とそこに配置された様々な偏向部品の平面図
図15】第三の実施例の測定反射体と測定光ビームの異なる入射位置の平面図
図16】本発明による装置の第四の実施例の光路の第一の模式図
図17】本発明による装置の第四の実施例の光路の断面図
図18】第四の実施例の異なる部品の多くの平面図
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下において、本発明による干渉式間隔測定装置の個々の実施例を詳しく説明する前に、先ずは、本発明による装置に関する幾つかの基本的な考えを図2に基づき説明する。
【0037】
この場合、図2は、図1と同様の本発明による装置の考え得る実施構成の測定光ビームMの進路の部分図を図示している。上方から分割格子AGに垂直に入射した光ビームSBは、そこで、測定光ビームMと、図示されていない基準光ビームに分割される。測定光ビームMは、この変化形態では、入射位置A1,A2で二回測定反射体MRに当たり、測定反射体MRに対して垂直な偏向部品又は格子により複数回偏向されて、最終的に基準光ビームと重畳して干渉する。
【0038】
入射する光ビームSBのkベクトルkは、次の式で与えられる。
=2π/λ (式2.1)
【0039】
ここで、λ:波長
分割格子AGの格子ベクトルkは、次の式で与えられる。
=2π/d (式2.2)
【0040】
ここで、d:分割格子AGの格子周期
測定反射体MRに入射する測定光ビームMのkベクトルのz成分kは、次の式で与えられる。
=2π/d (式3.1)
【0041】
測定反射体MRで反射された後の測定光ビームMのkベクトルのz成分の変化Δkは、次の式で与えられる。
Δk=4π/d (式3.2)
【0042】
測定反射体MRがy軸の周りをシフト及び/又は傾斜した場合、入射位置A1,A2における測定光ビームMに関する位相シフトΦ,Φは、次の式の通り生じる。
Φ=Δk*Δz=4π/d(Δz−R*Δx) (式4.1)
Φ=Δk*Δz=4π/d(Δz+R*Δx) (式4.2)
【0043】
ここで、
Φ,Φ:入射位置A1,A2での測定光ビームの位相シフトΦ,Φ
Δk,Δk:測定反射体の入射位置A1,A2での測定光ビームのkベクトルのz成分の変化、
Δz,Δz:入射位置A1,A2でのz方向における測定反射体の位置の変位、
Δz:z軸に沿ってシフトした場合のz方向における測定反射体の位置の変位、
:点MPを通りy軸に対して平行に延びる傾斜軸の周りの測定反射体の回転角、
Δx:x軸に沿った入射位置A1,A2と測定反射体の傾斜軸の間の間隔。
【0044】
そして、全体として発生する位相シフトΦは、次の式で与えられる。
Φ=Φ+Φ=(4π/d)*2Δz=8π/d*Δz (式5)
【0045】
従って、式5には、冒頭で考察した従来技術(式1)と異なり、実際の波長λが入っていない。この場合、間隔計測の波長λへの非依存性が、特に、測定反射体MRがy軸の周りに傾いている場合でも得られている、即ち、その場合にΔz=0が成り立つと、位相シフトΦとΦが加算されて、傾斜角に依存する項R*Δxが消去されるので、式4.1、4.2及び5から、Φ=0となる。それとは逆に、傾斜角に依存する項は、冒頭で考察した従来技術では、式1で規定されている。
【0046】
従って、本発明による装置では、場合によっては生じるy軸の周りの測定反射体MRの傾斜は、測定光ビームMの側に位相シフトΦを発生させない。そのため、本発明による装置による間隔測定は、如何なる場合でも、場合によっては生じる波長の変化に左右されない。
【0047】
本発明による装置では、分割格子AGに入射する光ビームSBが測定反射体MRに対して平行に進行して、測定反射体MRの方向への全ての光の更なる偏向が、同様に、各格子の測定反射体MRに対して垂直な偏向部品によって引き起こされることが、そのような非依存性に関して決定的に重要である。それによって、一方では、光源の波長が変化した場合に、両方の入射点A1,A2が、測定点MPに対して、常に反対側、即ち、対称的にシフトする。他方では、測定反射体MRに入射する毎の測定光ビームMのkベクトルのz成分kが、専ら分割格子と様々な偏向部品の別の格子の格子定数によって与えられ、そのため、波長に依存しなくなる。従って、式4.1と4.2の変化Δk,Δkが、そのため、変位Δz,Δzをそれに対応する位相シフトΦ,Φに変換した値も、それぞれ波長に依存しなくなる。
【0048】
以下では、図3,4及び5に基づき、本発明による干渉式間隔測定装置の第一の実施例を詳しく説明する。図3は、この実施例の光路を模式的に示した第一の側面図を図示し、図4は、光路の一部の第二の図面を図示し、図5は、本装置の支持部品とその上に配置された偏向部品の平面図を図示している。
【0049】
本発明による装置は、測定反射体1と、この実施例では、模式的に示された走査ユニット10内に配置された一連の別のコンポーネント11〜18とを備えている。走査ユニット10内に配備されたコンポーネント11〜18には、光源16と、コリメータレンズ17と、検出器配列18と、光学機能を有する更に別のコンポーネントを配置した二つの支持部品12A,12Bとが有り、そのコンポーネントには、例えば、分割格子11、支持部品12A上の偏向部品14.1,14.2、結合格子15として構成された結合部品及び支持部品12B上の別の偏向部品13.1,13.2が有る。
【0050】
測定反射体1は、走査ユニット又は別のコンポーネント11〜18の少なくとも一部に対して、測定方向に沿って間隔を変化させることが可能な形で配置されており、測定方向は、図面では、それぞれ座標zで表されている。例えば、一方の測定反射体1と他方の走査ユニット10は、測定方向zに沿って互いに移動可能な図示されていない機械部品と連結することができる。本発明による干渉式間隔測定装置によって、測定反射体1と走査ユニット又は別のコンポーネント11〜18の少なくとも一部の間の測定方向zに沿った間隔又は間隔の変化に関する間隔信号を生成している。そして、これらの間隔信号は、同じく図示されていない後置の機械制御部によって更に処理できる。
【0051】
本発明の範囲内では、全てのコンポーネント11〜18を共通の走査ユニット10内に配置する代わりに、例えば、光源及び/又は検出器配列を走査ユニットと分離した場所に配置し、光ファイバを介して、別のコンポーネントを配置した走査ユニットと接続するなどと規定することもできる。
【0052】
本発明による装置では、測定方向zに沿った間隔に応じて間隔信号を生成するために、光学干渉方式を使用している。以下では、そのために規定された第一の実施例の走査光路を詳しく説明する。
【0053】
例えば、点状又はほぼ点状の半導体レーザとして構成された光源16は、光ビームを放出して、その光ビームは、コリメータレンズ17によってコリメートされ、それに代わる光源として、その代わりにLEDも設置できる。次に、コリメートされた光ビームは、透過型位相格子の形の分割格子11として構成された分割部品に当たる。図3から明らかな通り、この分割格子は、測定反射体1に対して垂直に配置されている、即ち、分割格子の格子面は、測定反射体1の表面に対して垂直である。光源16は、所定の光ビームを測定反射体1の表面に対して平行に分割格子11の方向に放出する。この方向は、図面ではx方向として表されており、この場合、以下において、光の入射方向xとも称する。
【0054】
分割格子11において、光源16から入射して来るコリメートされた光ビームは、測定光ビームMと基準光ビームRに分割される。そのため、分割格子11は、そこに入射する光ビームを+1次と−1次の回折次数の光ビームに分割し、この−1次の回折次数の光ビームは、後で測定光ビームMとして動作し、+1次の回折次数の光ビームは、基準光ビームRとして動作する。図示されている実施例では、分割格子11によって、0次の回折次数の光ビームは、出来る限り完全に抑制されている。
【0055】
その後、測定光ビームMは、分割格子11から測定反射体1の方向に進行して、そこの第一の入射位置A1で、走査ユニット10内の第一の偏向部品13.1の方向への一回目の反射を起こす。支持部品12Bに配置された第一の偏向部品13.1は、測定方向zへの偏向機能を更に有する反射型フレネル円柱レンズとして構成されており、そこに入射する測定光ビームMに所定の光学作用を及ぼす。
【0056】
即ち、第一の偏向部品13.1に入射した測定光ビームMは、この場合、測定方向zに沿った偏向作用を受ける。それは、xz平面において、斜め左下方から第一の偏向部品13.1に入射した測定光ビームMが、再び分割格子11に入射する照明光ビームに対して平行な方向に向くことを意味する。従って、第一の偏向部品13.1によって偏向又は反射された測定光ビームMは、測定反射体1の表面に対して平行に、光の入射方向xに対して逆向きに、対向する支持部品12Aの第二の偏向部品14.1の方向に進行する。
【0057】
第一の偏向部品13.1は、そこに入射するコリメートされた測定光ビームMに対して、測定方向zに沿った偏向作用の外に、更に別の光学作用も及ぼす。即ち、このコリメートされた測定光ビームMは、第一の偏向部品13.1によって、更に、線焦点Lに集束する作用を受ける、即ち、コリメートされた測定光ビームMは、第一の偏向部品13.1によって、直線状に集束される。この場合、その結果得られた線焦点Lは、特に、図4から明らかな通り、測定方向zに沿って延びており、二つの支持部品12A,12Bの間のちょうど真中に位置する。
【0058】
この実施例では、測定反射体1に対して垂直な方向を向いた二つの支持部品12A,12Bは、ガラス板として構成されている。そのため、二つの支持部品12A,12Bの向きのために、その上に配置された全ての部品、即ち、様々な偏向部品13.1,13.2,14.1,14.2、分割格子及び結合格子11,15は、同じく測定反射体1の表面に対して垂直に配置されている。
【0059】
そして、図3から明らかな通り、測定光ビームMは、光の入射方向xと逆向きに、対向する支持部品12Aに配置された第二の偏向部品14.1にまで進行する。この実施例では、第二の偏向部品14.1は、同じく第一の偏向部品13.1のフレネル円柱レンズと同形である、z方向に沿った偏向機能を更に有するフレネル円柱レンズとして構成されている。
【0060】
一方において、第二の偏向部品14.1によって、又もや、そこに入射する測定光ビームMに対するxz平面内での測定方向zに沿った偏向作用が引き起こされる。この場合、右から第二の偏向部品14.2に入射する測定光ビームは、第二の偏向部品14.2によって、右下方の測定反射体1の方向に偏向され、そこで、測定反射体1上の第二の入射位置A2に新たに当たる。測定反射体1上の測定光ビームMの第一と第二の入射位置A1,A2は、光の入射方向xに対して互いに間隔を開けて位置に有る。
【0061】
そのような偏向作用の外に、第二の偏向部品14.2によって、そこに入射する測定光ビームMに対して別の光学作用も引き起こされる。図4から明らかな通り、線焦点Lから拡散する測定光ビームMは、第二の偏向部品14.1の方向に進行する。この第二の偏向部品14.1は、そこに入射する拡散する測定光ビームMに対して、前記の偏向作用の外に、更に、コリメート作用を及ぼす、即ち、コリメートされた測定光ビームMは、再び測定反射体1上の第二の入射位置A2の方向に進行する。
【0062】
測定反射体1の第二の入射位置A2では、測定光ビームMは、二回目の反射を起こして、最終的に走査ユニット10内の結合格子15の方向に進行する。
【0063】
分割格子11で+1次の回折次数の光ビームとして得られた基準光ビームRは、先ずは、支持部品12Bにおいて測定方向zに対して第一の偏向部品13.1の上方に配置された第三の偏向部品13.2の方向に進行する。この第三の偏向部品13.2は、又もや第一及び第二の偏向部品13.1,14.1のフレネル円柱レンズと同形である、同じくz方向に沿った偏向機能を更に有するフレネル円柱レンズとして構成されている。第三の偏向部品13.2は、第一の偏向部品13.1と同じ構成であるために、並びに第三の偏向部品13.2への基準光ビームRと第一の偏向部品13.1への測定光ビームMの入射角が同じであるために、入射する測定光ビームMに対する第一の偏向部品13.1の光学作用と同じ光学作用を入射する基準光ビームRに及ぼす。従って、測定方向zに沿った偏向作用の外に、前述した支持部品12A,12Bの間の真中での線焦点への集束作用が、更に基準光ビームRに対しても生じる。
【0064】
その後、そのような影響を受けた基準光ビームRは、第三の偏向部品13.2から、支持部品12A上の測定方向zに対して第二の偏向部品14.1の上方に配置された第四の偏向部品14.2にまで進行する。第四の偏向部品14.2としては、それ以外の三つの偏向部品13.1,13.2,14.1の場合と同様に、それら三つの偏向部品13.1,13.2,14.1と同様に構成された、z方向に沿った偏向機能を更に有する反射型フレネル円柱レンズが使用される。従って、第四の偏向部品14.2では、そこに光の入射方向xと逆向きに入射する基準光ビームRは、右下方の結合格子15の方向への偏向作用を受ける。更に、第四の偏向部品14.2に入射する拡散する基準光ビームRは、その偏向部品によってコリメートされる、即ち、コリメートされた基準光ビームRは、結合格子15の方向に進行する。
【0065】
この実施例では、基準光ビームRの光路の説明とそれに対応する図面から明らかな通り、基準光ビームRは、専ら走査ユニット10内の分割格子11と結合格子15の間を進行する。
【0066】
基準光ビームRと測定光ビームMは、前述した偏向部品13.1,13.2,14.1,14.2の同様の構成とそれらの走査ユニット10内の所定の配置構成のために、互いに逆の対称的な入射角で結合格子15に当たり、そこで、重畳して干渉する。
【0067】
測定反射体1と走査ユニット10の間の測定方向zに沿った間隔が変化した場合、結合格子15の後に配置された検出器配列18によって、周期的な間隔信号を検出して、再処理のために提供する。この場合、間隔が変化する方向に関する情報も入手可能とするためには、複数の位相のずれた間隔信号を生成するのが有利である。即ち、例えば、それぞれ互いに120°位相のずれた三つの間隔信号、さもなければそれぞれ互いに90°位相のずれた四つの間隔信号を生成できる。基本的に、位相のずれた間隔信号を生成するために、それぞれ本発明による装置に採用できる様々な周知の手法が入手可能である。
【0068】
即ち、例えば、結合格子15の格子幅対格子間隔比率、エッチングの深さ又は位相偏移を好適に選定することによって、120°位相のずれた三つの間隔信号を生成できる。
【0069】
90°位相のずれた四つの間隔信号の生成は、検出面内にバーニャ縞模様を発生させるとともに、所謂構造を持った検出器を検出器配列18に配置することによって可能である。その場合、結合格子15の格子周期は、分割格子11の格子周期と僅かに異なるように選定される。
【0070】
最後に、90°位相のずれた四つの間隔信号の生成は、偏光光学方式により実現することも可能である。そのために、好適な偏光光学部品が測定光ビームMと基準光ビームRの光路内に配置される。
【0071】
ここで、前述した本発明による装置で複数の位相のずれた間隔信号を生成する三つの手法に関しては、明らかに特許文献2を参照されたい。そこに記載された措置は、位相のずれた間隔信号の生成に関して、本発明でも使用できる。
【0072】
本発明による装置の前述した走査光路のために、測定反射体1と走査ユニット10の如何なる間隔に対しても、測定光ビームMと基準光ビームRの進行する光路長が同じであるので、間隔測定が光源の波長に全く左右されないことが保証される。場合によっては生じる波長の変化は、特に、測定反射体1が場合により傾斜した場合でも、得られた間隔信号から生成される位置の値に影響を与えない。
【0073】
更に、xz平面内の走査光路が二つの支持部品12A,12Bの間の真中の対称面Sに対して鏡面対称であるために、測定反射体1上の実効的な測定点MPは、測定方向zに沿って間隔が変化した場合にシフトしない。この対称面Sは、図3の通り、支持部品12A,12Bと同様に、測定反射体1に対して垂直な方向を向いている。更に、図3から明らかな通り、実効的な測定点MPは、光の入射方向xに関して、測定反射体1上の測定光ビームMの二つの入射位置A1,A2の間の真中に位置する。
【0074】
本発明による装置の第一の実施例の考え得る具体的な実施形態では、波長λ=850nmの光を放出する光源16が使用され、分割格子11と結合格子15の格子周期は、それぞれ960nmである。z方向における偏向部品13.1,13.2,14.1,14.2、即ち、偏向機能を有する集束部品の実効的な偏向も、各位置において、960nmの格子周期を有する格子と同じである。x方向における二つの支持部品12A,12Bの間隔は、12mmに選定される。周期的な間隔信号に関して、測定反射体1と走査ユニット10の間の間隔が変化した場合、得られる間隔信号の信号周期は240nmである。
【0075】
この第一の実施例でも、本発明による装置の後の実施例でも、各偏向部品は、それぞれ測定反射体1に対して垂直に配置された回折構造又は格子パターンを有するものと規定する。詳細には、以下において更に詳しく説明する通り、それぞれ規定された様々な変化形態の回折構造を区別できる。
【0076】
以下では、図6に基づき、本発明による装置の第一の実施例の場合に、測定反射体MRがy軸の周りに傾いた場合に、基準光ビームRに対する測定光ビームMの向きが如何に変化するのかを更に図解して説明する。この場合、測定反射体MRが傾斜角αだけ傾いた場合の測定光ビームと基準光ビームの光路が模式的な形で図示されている。
【0077】
図6では、β、α及びδは、次のパラメータを表す。
β:偏向部品又はそのために使用される回折構造の回折角、
α:y軸の周りに傾斜した場合の測定反射体の傾斜角、
δ:結合格子後の測定光ビームMと基準光ビームRの間の角度。
【0078】
この場合、角度δに関して、次の式が得られる。
δ=2*N*sinβ*α (式6)
【0079】
ここで、α,β,δは、前に定義した通りであり、
N:測定光ビームと測定反射体の相互作用の回数(第一の実施例では、N=2、第二及び第三の実施例では、N=4)。
【0080】
式6によると、測定光ビームMと基準光ビームRの間の光方向の差は、より大きな次数で、y軸の周りの測定反射体MRの傾斜に左右される。それは、本発明による装置の本実施例では、そのようなy軸の周りの測定反射体MRの傾斜が、生成される間隔信号の変調度と振幅に僅かな作用しか及ぼさないことを意味する。従って、場合によっては起こるy軸の周りの測定反射体MRの傾斜は、測定光ビームMの光路内の結像光学部品を用いて補償する必要がなく、そのことは、この実施例では、場合によっては起こるx軸の周りの測定反射体MRの傾斜に関してのみ必要である。
【0081】
本発明による干渉式間隔測定装置の第一の実施例を僅かに修正した変化形態が、図7に模式的に図示されている。以下では、第一の実施例との主な相違点だけを説明する。
【0082】
即ち、この場合、一方において、破線で示した走査ユニット10’内には、光源16’と検出器配列18’の間にシェード19が配置されている。このシェード19は、場合によっては分割格子11’で発生する結合格子15’の方向への0次の光ビームがそこに到達して、それによって起こる同一光成分により、間隔信号の変調度が悪化することを防止している。
【0083】
更に、測定反射体1’の方を向いた、走査ユニット10’の下側には、カバーガラス21が配備され、走査ユニット10’の逆側には、裏面反射体20が配備されている。第一の実施例と同様に、専ら走査ユニット10’内を進行する基準光ビームRは、分割格子11’で分割された後、先ずは裏面反射体20で一回目の反射を起こした後、第三の偏向部品13.2’に当たる。更に、第四の偏向部品14.2’と結合格子15’の間で、裏面反射体20での基準光ビームRの再度の偏向が生じている。
【0084】
そのような本発明による装置の第一の実施例の変化形態の利点として、結像部品を用いたx軸の周りの傾斜の補正だけが必要なことが挙げられる。そして、間隔信号の変調度と振幅は、測定反射体1’の場合によっては起こる傾斜R,Rにより僅かしか左右されない。
【0085】
本発明による干渉式間隔測定装置の第二の実施例が図8,9a,9b,10及び11に図示されている。図8,9a及び9bは、それぞれこの実施例の光路の異なる視点からの模式図を図示している。図10は、支持部品、その上に配置された透過型フレネル円柱レンズ及びそこに入射する測定光ビームM又は基準光ビームRの平面図であり、図11は、測定反射体と測定光ビームの異なる入射位置の平面図である。
【0086】
以下において、又もや基本的に第一の実施例との主な相違点だけを説明する。
【0087】
以下では、測定光ビームMと基準光ビームRの光路を詳しく述べる代わりに、第二の実施例において、測定光ビームMと基準光ビームRが分割格子111と結合格子115の間で如何なる順序で本発明による装置の様々な部品に当たるのかを説明する。それに関しては、更に図8,9a,9b,10及び11も参照されたい。
【0088】
測定光ビームMの光路:
分割格子111→測定反射体100の入射位置A1→偏向部品113.1a→反射体120→偏向部品113.1b→測定反射体100の入射位置A2→偏向部品123→偏向部品125→測定反射体100の入射位置A3→偏向部品114.1a→反射体121→偏向部品114.1b→測定反射体100の入射位置A4→結合格子115
【0089】
基準光ビームRの光路:
分割格子111→偏向部品113.2a→反射体120→偏向部品113.2b→偏向部品122→偏向部品124→偏向部品114.2a→反射体121→偏向部品114.2b→結合格子115
この光路の特性とそれに対応する図面から明らかな通り、特に、第二の実施例で測定光ビームMと基準光ビームRの光路内に使用される偏向部品は、第一の実施例の偏向部品と異なる。
【0090】
この場合、偏向部品113.1a,113.1b,113.2a,113.2b,114.1a,114.1b,114.2a,114.2bとしては、一方において、それぞれ反射体120,121と一緒に支持部品112A,112Bに配置された透過型フレネル円柱レンズが使用される。この場合、これらの透過型フレネル円柱レンズとして構成された偏向部品113.1a,113.1b,113.2a,113.2b,114.1a,114.1b,114.2a,114.2bは、支持部品112A,112Bの互いに対向する側に配置され、反射体120,121は、それぞれ支持部品112A,112Bのそれと対向する側に配置されている。反射体120,121の反射する側は、それぞれ透過型フレネル円柱レンズとして構成された偏向部品113.1a,113.1b,113.2a,113.2b,114.1a,114.1b,114.2a,114.2bの方向を向いている。
【0091】
これらの第二の実施例の偏向部品113.1a,113.1b,113.2a,113.2b,114.1a,114.1b,114.2a,114.2bは、一方において、又もや、そこに入射する光ビーム(測定光ビームM,基準光ビームR)に対して所定の偏向作用を及ぼす。しかし、前記の実施例と異なり、この場合には、偏向部品113.1a,113.1b,113.2a,113.2b,114.1a,114.1b,114.2a,114.2bは、そこに入射する光ビームをy方向と測定方向zの両方に偏向する作用を及ぼす。即ち、測定方向zに沿っても、測定方向zに対して垂直な方向に沿っても偏向作用を生じさせる。
【0092】
それと同様に、基準光ビームRの光路内の偏向部品113.2a,113.2b,114.2a,114.2bも、それと同様にz方向とy方向への偏向作用を生じさせる。
【0093】
第二の実施例の偏向部品113.1a,113.1b,113.2a,113.2b,114.1a,114.1b,114.2a,114.2bは、光学的な偏向作用の外に、前述した通り、そこに入射する光ビームに対して、集束作用又はコリメート作用を及ぼす。即ち、例えば、偏向部品113.1a,113.2a,114.1a,114.2aに入射する光ビームは、コリメートされて、それぞれ対応する反射体120,121上に直線状に集束され、この場合、その線焦点は、又もや測定方向zに沿って延びている。更に、偏向部品113.1b,113.2b,114.1b,114.2bに入射する拡散する光ビームもコリメートされる。
【0094】
更に、第一の実施例と比べて、支持部品112A,112B上には、反射格子として構成された、測定光ビームMと基準光ビームRが図示された通り当たる別の偏向部品122,123又は124,125も配置されている。この実施例では、これらの偏向部品122,123又は124,125は、そこに入射する光ビーム(測定光ビームM,基準光ビームR)をxz平面内において、即ち、測定方向zに沿って偏向させる作用だけを有し、これらの偏向部品122〜125は、そこに入射する光ビームに対して、集束又はコリメートする光学作用を及ぼさない。
【0095】
そのため、全体として、測定光ビームMは、この実施例で規定された分割格子111と結合格子111の間の光路のために、測定反射体100の入射位置A1〜A4にも、四つの偏向部品113.1a,113.1b,114.1a,114.1bにも四回当たる。その結果、第一の実施例と比べて、得られる間隔信号の信号周期は半分になる、即ち、選定された光路のために、より高い測定分解能が得られる。
【0096】
以下において、本発明による干渉式間隔測定装置の第三の実施例を図12,13a,13b,14及び15に基づき説明する。図12,13a及び13bは、前記の実施例と同様に、又もや、この実施例の光路の模式的な図面を異なる視点から図示している。図14は、支持部品、その上に配置された偏向部品及びその上に入射する測定光ビームM又は基準光ビームRの平面図を図示し、図15は、測定反射体と測定反射体上の測定光ビームの入射位置の平面図を図示している。
【0097】
前記の実施例と同様に、この第三の実施例でも、以下において、測定光ビームMと基準光ビームRの光路に関して、測定光ビームMと基準光ビームRが分割格子211と結合格子215の間で如何なる順序で本発明による装置の様々な部品に当たるのかを説明する。これに関しては、更に、図12,13a,13b,14及び15を参照されたい。
【0098】
測定光ビームMの光路:
分割格子211→測定反射体200の入射位置A1→偏向部品213.1→測定反射体200の入射位置A2→偏向部品223→偏向部品224→測定反射体200の入射位置A3→偏向部品214.1→測定反射体200の入射位置A4→結合格子215
【0099】
基準光ビームRの光路:
分割格子211→偏向部品213.2→偏向部品222→偏向部品225→偏向部品214.2→結合格子215
【0100】
第三の実施例は、基本的にここで規定された偏向部品213.1,213.2,214.1,214.2,222,223,224,225に関して、前記の二つの実施例と異なる。
【0101】
この場合、偏向部品213.1,213.2,214.1,214は、格子の線が斜めに走る線形反射位相格子として構成されている。そこに入射する光ビーム(測定光ビームM,基準光ビームR)は、例えば、図12と13aの図面から明らかな通り、これらの偏向部品213.1,213.2,214.1,214.2によって、xy平面内において測定方向zに対して垂直な偏向作用とxz平面内において測定方向zに沿った偏向作用とを受ける。例えば、入射位置A1から到来して偏向部品213.1に当たる測定光ビームMは、斜め下方に測定反射体200上の入射点A2の方向に偏向される。そこに入射する光ビームの集束又はコリメート作用は、偏向部品213.1,213.2,214.1,214.2によっては生じない。
【0102】
この実施例では、更に別に規定された偏向部品222,223,224,225は、反射型光軸外フレネル円柱レンズとして構成されている。それらによって、そこに入射する光ビームは、測定方向zに沿った偏向作用とy方向の偏向作用を受ける。例えば、偏向部品222によって、偏向部品213.2から入射する基準光ビームRが対向する偏向部品225の方向に偏向される。
【0103】
他方では、偏向部品222,223,224,225は、そこにコリメートされた、或いは散乱する光ビームが入射した場合、集束又はコリメート作用を及ぼす。即ち、例えば、偏向部品222に入射するコリメートされた基準光ビームRは、支持部品212A,212Bの間の真中に直線状に集束され、この線焦点Lは、図13bから明らかな通り、又もや測定方向zに沿って延びている。それに続いて偏向部品225に入射する拡散する基準光ビームRは、それによってコリメートされて、y方向及びz方向に対して偏向部品214.2の方向に偏向される。
【0104】
第二の実施例の通り、測定光ビームMは、分割格子211と結合格子215の間の所定の光路のために、又もや測定反射体200に四回当たる。そのため、第一の実施例と比べて、又もや間隔信号の信号周期が半分となる。
【0105】
最後に、本発明による干渉式間隔測定装置の第四の実施例を図16,17及び18に基づき説明する。図16と17は、又もや、それぞれこの実施例の光路の模式図を異なる視点から図示し、図18は、この実施例の複数の部品の異なる平面図を図示している。
【0106】
前に説明した実施例との大きな相違点としては、走査ユニット310の真中に配置された第三の板形状の支持部品330が挙げられ、この場合、この部品には、二つの偏向部品330.1,330.2が配置されている。これらの偏向部品330.1,330.2は、これまでの実施例と異なり、そこに入射する光ビームに対して所定の光学作用を及ぼす透過格子の形の回折構造として構成されている。有利には、第三の支持部品330として、透明なガラス板が配備され、第一の支持部分312Aの方を向いた側には、第一の偏向部品330.1が配置され、第二の支持部分312Bの方を向いた側には、第二の偏向部品330.2が配置されている。
【0107】
走査ユニット310は、測定反射体300の方向に向かっては透明なガラス板340によって閉鎖され、走査ユニット310の逆側には、別のガラス板342が配置されている。図16から明らかな通り、真中の第三の支持部品330と外側の二つの支持部分312A,312Bの間には、更に補償部品341.1,341.2が配置されており、それらの補償部品は、同じく所定の厚さのガラス板として構成されるとともに、それぞれ真中の第三の支持部品330と隣接する支持部分312A,312Bの間を延びており、この実施例の走査光路を以下で説明する時に、その機能に言及する。
【0108】
光源316から放出された光ビームは、これ以外の実施例と同様に、コリメータレンズ317によってコリメートされた後、又もや透過型位相格子の形の分割格子311として構成されるとともに、これ以外の実施例と同様に第一の支持部分312Aに配置された分割部品に当たる。
【0109】
この分割格子311によって、光源316から入射するコリメートされた光ビームの測定光ビームMと基準光ビームRへの分割が行なわれ、そのために、又もや+1次と−1次の回折次数の光ビームへの分割が行なわれ、この−1次の回折次数の光ビームは、後で測定光ビームMとして機能し、+1次の回折次数の光ビームは、基準光ビームRとして機能する。図示されている実施例では、分割格子311によって、0次の回折次数の光ビームを出来る限り完全に抑制しているが、それでも場合によっては生じる0次の回折次数の光ビームが不必要に干渉コントラストを劣化させないこと、そのため走査信号の信号品質を劣化させないことを保証するために、走査ユニット310には、分割格子311に隣接してシェード350が配置されている。
【0110】
そして、測定光ビームMは、分割格子311から測定反射体300の方向に進行して、そこの第一の入射位置A1で、走査ユニット310内の第一の偏向部品330.1の方向への一回目の反射を起こす。真中の支持部品330に配置された第一の偏向部品330.1は、前述した通り、透過型フレネル円柱レンズとして構成されており、そこに入射する測定光ビームMに対して所定の光学作用を及ぼす。
【0111】
即ち、この場合、第一の偏向部品330.1に入射する測定光ビームMは、測定方向zに沿った偏向作用を受ける。それは、xz平面内において、斜め左下方から第一の偏向部品330.1に入射する測定光ビームMが、又もや分割格子311に入射する照明光ビームに対して平行な方向を向くことを意味する。従って、第一の偏向部品330.1によって偏向された、或いはそこを透過した測定光ビームMは、測定反射体300の表面に対して平行な光の入射方向xに、真中の支持部品330の対向する側に有る第二の偏向部品330.2の方向に進行する。
【0112】
この実施例でも、第一の偏向部品330.1は、測定方向zに沿った偏向作用の外に、そこに入射するコリメートされた測定光ビームMに対して別の光学作用も及ぼす。言い換えると、コリメートされた測定光ビームMは、第一の偏向部品330.1によって、更に、線焦点Lに集束する作用を受ける、即ち、コリメートされた測定光ビームMは、第一の偏向部品330.1によって、直線状に集束される。この場合、その結果得られた線焦点Lは、図17から明らかな通り、測定方向zに沿って延びており、外側の二つの支持部分312A,312Bの間のちょうど真中に位置する。
【0113】
そして、図16から明らかな通り、測定光ビームMは、光の入射方向xに対して平行に、第三の支持部品330の対向する側に配置された第二の偏向部品330.2にまで進行する。この実施例では、第二の偏向部品330.2は、第一の偏向部品330.1のフレネル円柱レンズと同様に、同じくz方向に沿った偏向機能を更に有する透過型フレネル円柱レンズとして構成されている。
【0114】
第二の偏向部品330.2は、一方では、又もやそこに入射する測定光ビームMに対してxz平面内での測定方向zに沿った偏向作用を及ぼす。この場合、左から第二の偏向部品330.2に入射する測定光ビームMは、第二の偏向部品330.2によって、右下方の測定反射体300の方向に偏向されて、そこで、新たに測定反射体300上の第二の入射位置A2に当たる。測定反射体300上の測定光ビームMの第一と第二の入射位置A1,A2は、光の入射方向xにおいて互いに間隔を開けた位置に有る。
【0115】
第二の偏向部品330.2は、そのような偏向作用の外に、そこに入射する測定光ビームMに対して、又もや別の光学作用も及ぼす。図17から明らかな通り、拡散する測定光ビームMは、線焦点Lから第二の偏向部品330.2の方向に進行する。第二の偏向部品330.2は、入射して来た拡散する測定光ビームMに対して、前述した偏向作用の外に、更にコリメート作用を及ぼす、即ち、コリメートされた測定光ビームMは、又もや測定反射体300上の第二の入射位置A2の方向に進行する。
【0116】
測定光ビームMは、測定反射体300の第二の入射位置A2において、二回目の反射を起こし、次に、走査ユニット310内を結合格子315として構成された結合部品の方向に進行する。この結合格子315は、前の実施例と同様に、第二の支持部分312B上に配置されている。
【0117】
測定反射体300に対して垂直な方向を向いた二つの支持部分312A,312Bは、前述した実施例と同様に、ガラス板として構成され、そこには、更に第三の支持部品330が配備されている。そのため、支持部分312A,312B及び330の向きのために、そこに配置された全ての部品、即ち、様々な偏向部品330.1,330.2と分割及び結合格子311,315は、同じく測定反射体300の表面に対して垂直に配置されている。
【0118】
分割格子311で+1次の回折次数の光ビームとして得られた基準光ビームRは、先ずは真中の支持部品330に配置された第一の偏向部品330.1の方向に進行する。第一の偏向部品330.1は、測定光ビームMと基準光ビームRの入射角が同じであるために、入射する基準光ビームRに対して、前述した通りのそこに入射する測定光ビームMと同じ光学作用を及ぼす。従って、測定方向zに沿った偏向作用の外に、更に、前述した第三の支持部品330の真中の線焦点Lに集束させる作用が得られる。
【0119】
その後、そのような影響を受けた基準光ビームRは、第一の偏向部品330.1から、第三の支持部品330の対向する側に配置された第二の偏向部品330.2にまで進行する。従って、そこに光の入射方向xに対して平行に入射する基準光ビームRに対して、又もや右下方の結合格子315の方向への偏向作用が生じる。更に、第二の偏向部品330.2に入射する拡散する基準光ビームRは、それによってコリメートされる、即ち、コリメートされた基準光ビームRは、結合格子315の方向に進行する。
【0120】
前に説明した実施例と同様に、この実施例でも、基準光ビームRは、専ら走査ユニット310内の分割格子311と結合格子315の間を進行する。
【0121】
基準光ビームRと測定光ビームMは、逆向きの対称的な入射角で結合格子315に当たり、そこで重畳して干渉する。
【0122】
測定反射体300と走査ユニット310の間の測定方向zに沿った間隔が変化した場合、結合格子315の後に配置された検出器配列318によって、周期的な間隔信号を検出して、再処理のために提供できる。この場合、間隔が変化する方向に関する情報も提供可能とするためには、複数の位相のずれた間隔信号を生成するのが有利である。即ち、既に前に述べた通り、例えば、それぞれ120°位相のずれた三つの間隔信号、さもなければそれぞれ90°位相のずれた四つの間隔信号を生成することができ、それに関しては、前の説明を参照されたい。
【0123】
図16から明らかな通り、測定光ビームMは、分割格子311と結合格子315の間で、測定反射体300の方向に対して走査ユニット310を閉鎖するガラス板340を四回通過する。この場合に起こる測定光ビームMの変化する光行程を補償するために、走査ユニット内の基準光ビームRの光路には、同じくガラス板の形の二つの補償部品341.1,341.2が配置されている。基準光ビームRは、補償部品341.1をちょうど一回通過し、補償部品341.2を同じくちょうど一回通過するので、補償部品341.1,341.2は、それぞれガラス板340の二倍の厚さを有する。そのようにして、測定光ビームMと基準光ビームRは、走査ユニット310内を同じガラス行程だけ通り、この場合、測定光ビームMは、偏向部品330.1,330.2に対して相対的にシフトするので、光ビームM,Rの位相差は、専ら測定反射体300と走査ユニット310の間の間隔が変化するために生じる。
【0124】
前述した実施構成に代わって、修正した変化形態では、第一と第二の偏向部品330.1,330.2をそれぞれ二つに分けて、即ち、z方向に延びる単一の透過格子としてではなく、それぞれ測定光ビームMと基準光ビームRの入射点の領域に局所的にのみ配備された二つの透過格子の形で構成することも可能である。
【0125】
同様に、偏向部品330.1,330.2を、本構成の対称の中心から左右に測定反射体300に対して垂直な方向を向いて設置された二つの薄いガラス板に分けて配置することが考えられる。そして、これら二つのガラス板の間隔は、第一と第二の偏向部品330.1,330.2の間の光ビームの光行程が前述した厚いガラス板330による実施構成の場合と同じになるように選定される。
【0126】
本発明による装置の第四の実施構成の利点として、前記の変化形態と比べて、z方向に対して著しくコンパクトな走査ユニットが得られることが挙げられる。そのため、測定反射体300が場合によって傾いた場合に、干渉する位置での測定光ビームMと基準光ビームRの相対的なシフト量が小さくなるので、場合によっては生じる測定反射体300の傾斜に対して、より大きい耐性が得られる。
【0127】
ここで説明した具体的な実施例の外に、当然のことながら、それらに代わる本発明による干渉式間隔測定装置の更に別の実施形態も存在する。
【0128】
前述した全ての実施例では、基準光ビームの光路における対称性の理由から、測定光ビームの場合と同じ結像作用の光学部品又は偏向部品の光学機能を規定するものとする。別の考え得る実施構成では、測定反射体の傾斜が基準光ビームに影響を与えないので、基準光ビームの光路内の偏向部品を追加の光学機能を持たない純粋な偏向部品として構成することもできる。
【0129】
更に、結合部品は、様々な実施例に図示されている通り、結合格子として構成する必要はない。本発明の範囲内では、基本的に結合部品として、その代わりに、例えば、好適な光ファイバを配備することも考えられる。
【0130】
最後に、ここで説明した解決策と同じ光路として、光源と格子がここで述べた実施例と同じ位置に仮想的に存在する光路を実現することが可能である。それは、例えば、光路内の追加の鏡映部品などによって実現できる。
【符号の説明】
【0131】
1,1’,100,200,300 測定反射体
10,10’,110,210,310 走査ユニット
11,11’,111,211,311 分割部品(格子)
12A,12B,12A’,12B’,112A,112B,212A,212B,312A,312B 支持部品
13.1,13.2,14.1,14.2,13.1’,13.2’,14.1’,14.2’,113.1a,113.1b,113.2a,113.2b,114.1a,114.1b,114.2a.114.2b,122,123,124,125,213.1,213.2,214.1,214.2,330.1,330.2 偏向部品
15,15’,115,215,315 結合部品(格子)
16,16’,116,216,316 光源
17,17’,117,217,317 コリメータレンズ
18,18’,118,218,318 検出器配列
19 シェード
20 裏面反射体
21 カバーガラス
120,121 反射体
330 支持部品(ガラス板)
340 ガラス板
341.1,341.2 補償部品
342 ガラス板
350 シェード
A1,A2,A1’,A2’,A3,A4 入射点(位置)
G 格子
AG 分割格子
L 線焦点
M 測定光ビーム
MP 実効的な測定点
R 基準光ビーム
S 対称面
SB 光ビーム
x 座標軸(光の入射方向)
y 座標軸(傾斜軸)
z 座標軸(測定方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図10
図11
図12
図13a
図13b
図14
図15
図16
図17
図18