特許第6182068号(P6182068)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182068
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】電子装置用組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20170807BHJP
   C08L 25/06 20060101ALI20170807BHJP
   C08K 5/10 20060101ALI20170807BHJP
   C08K 5/3415 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   H01L21/60 311S
   C08L25/06
   C08K5/10
   C08K5/3415
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-532685(P2013-532685)
(86)(22)【出願日】2012年9月7日
(86)【国際出願番号】JP2012072984
(87)【国際公開番号】WO2013035868
(87)【国際公開日】20130314
【審査請求日】2015年7月14日
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2011/070650
(32)【優先日】2011年9月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】堀口 有亮
(72)【発明者】
【氏名】佐野 美恵子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 憲一朗
【審査官】 工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−52109(JP,A)
【文献】 特開2001−237006(JP,A)
【文献】 特開平10−178065(JP,A)
【文献】 特開2001−302736(JP,A)
【文献】 特開2008−81713(JP,A)
【文献】 特表2015−503220(JP,A)
【文献】 特表2001−509532(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/098324(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/60−21/607
H01L23/29
H01L23/31
C08K5/10
C08K5/3415
C08L25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(メタ)アクリル化合物、
(b)マレイミド化合物、および
(c)カルボキシ基、アミン基、イミダゾール基、チオール基、チオウレア基、イミノジアセテート基、アミノメチルリン酸基、ベンジルアミン基、メルカプトフェニルアミノ基、アミノエチルアミノ基、イミダゾール−1−イルプロピルアミノ基、アミノプロピル基、メルカプトプロピル基、メチルチオウレア基、およびトリアミン基から成る群より選択される金属捕集機能のある官能基を有する多孔質ポリスチレン粒子と、
を含
前記マレイミド化合物は、ビスマレイミドを含む、電子装置用組成物。
【請求項2】
前記金属捕集機能のある官能基が、カルボキシ基、アミン基、およびイミダゾール基から成る群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
さらに、ラジカル開始剤を含む請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
アンダーフィル材として使用される請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
フリップチップ実装において半導体素子と回路基板との間隙を封止するために使用される請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物の硬化物を含む電子装置。
【請求項7】
請求項に記載の電子装置を含む電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置、特に半導体装置の製造に用いることができる組成物およびこれの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップの実装技術として、半導体チップをダイレクトに基板上に接続するフリップチップ技術が知られている。このフリップチップ実装においては、半導体チップの素子形成面側に形成された電極(バンプ)を介して、半導体チップと配線基板とが接続される。その際、接合部分の補強や接続信頼性の向上等のために、半導体チップと配線基板間に接着剤組成物であるアンダーフィル材を充填することが一般的に行われている。
【0003】
アンダーフィル用組成物として、エポキシ系化合物および/または(メタ)アクリル系化合物等を含む接着剤組成物が知られている(例えば特許文献1等)。これらのうち、(メタ)アクリル化合物のラジカル硬化反応を利用した組成物は、エポキシ系化合物を含む組成物に比べて反応速度が速く、電子装置製造の効率を向上できるというメリットがある。
【0004】
一方、アンダーフィル用組成物中には、必要に応じて、金属イオン結合剤、酸化防止剤等、様々な添加剤が混合される。これにより、例えば、配線からの金属イオンの析出によるマイグレーション発生を防ぐ等、電子装置の品質を高めることができる(特許文献2、3)。
【0005】
アンダーフィル材の充填方法として、配線基板上に液状の接着剤組成物を塗布した後、半導体チップを搭載し、電極結合と封止とを同時に行う方法、半導体チップ上の電極と基板との電気接続を行ってから、チップの一辺または複数辺に液状の接着剤組成物を塗布し、毛細管現象を利用して配線基板と半導体チップとの間隙を封止する方法(いわゆるキャピラリー方式)等が知られている。これらの方法においては、液状の接着剤組成物が配線基板上に満遍なく塗布されること、半導体チップと配線基板との間隙に均一に液状の接着剤組成物が充填されること等が求められる。そのため、必要に応じて、シリンジや基板等を室温以上に加熱することにより接着剤組成物の流動性を高めることもある。
【0006】
しかし、ラジカル硬化反応を利用するアンダーフィル材を用いると、封止を行う前にアンダーフィル用組成物の硬化反応が進行してしまうことがあり、電極結合が良好に行われなかったり、作業効率が悪くなったりするという問題があった。これら問題は、特に上記のように、接着剤組成物が室温以上の状態になっている場合や、電極部分等に含まれる銅などの金属やそのイオンに組成物が接触している場合におこりやすかった。この問題を解決するために、添加剤をアンダーフィル用組成物に混合したり、作業時の温度を下げたりすることが行われているが十分ではない。したがって、電子装置に用いる接着剤組成物の更なる改善が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−226098号公報
【特許文献2】特開2005−333085号公報
【特許文献3】特開2008−98646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の接着剤組成物を用いた場合の上記問題点を解決し、電子装置の生産性を向上させる組成物を提供することを目的とする。さらに、該組成物を含む電子装置や電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以下の事項に関する。
【0010】
1.(a)(メタ)アクリル化合物と、
(c)金属捕集機能のある官能基を有する粒子と、
を含む、電子装置用組成物。
【0011】
2.前記金属捕集機能のある官能基が、カルボキシ基、アミン基、イミダゾール基から成る群より選択される、上記1に記載の組成物。
【0012】
3.前記粒子が、金属捕集機能のある官能基を有する多孔質ポリスチレンおよび/またはシリカゲルである、上記1または2に記載の組成物。
【0013】
4.さらに(b)マレイミド化合物を含む、上記1〜3のいずれかに記載の組成物。
【0014】
5.前記マレイミド化合物が、ビスマレイミドを含む、上記4に記載の組成物。
【0015】
6.さらに、ラジカル開始剤を含む上記1〜5のいずれかに記載の組成物。
【0016】
7.アンダーフィル材として使用される上記1〜6のいずれかに記載の組成物。
【0017】
8.フリップチップ実装で使用される上記1〜7のいずれかに記載の組成物。
【0018】
9.上記1〜8のいずれかに記載の組成物の硬化物を含む電子装置。
【0019】
10.上記9に記載の電子装置を含む電子機器。
【発明の効果】
【0020】
本発明の組成物は、室温以上80℃以下における硬化反応の進行が十分に抑制される。したがって、半導体チップのフリップチップ実装において硬化反応の進行が十分に抑制され、電極結合の不良の原因とはならず、かつ、実装工程での十分な作業時間を確保できる。これにより、フリップチップ実装による電子装置の生産効率を低下させることなく、より高い品質の製品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の電子装置用組成物は、少なくとも
(a)(メタ)アクリル化合物と、
(c)金属捕集機能のある官能基を有する粒子と、
を含む。以下、各成分について説明する。
【0022】
<(a)(メタ)アクリル化合物>
本発明に用いる(メタ)アクリル化合物は、1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有していればよく、2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有していることが好ましい。通常、2つの(メタ)アクリロイル基を有している化合物に、必要により、1つの(メタ)アクリロイル基を有している化合物および/または3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有している化合物を加えて使用することが好ましい。また、(メタ)アクリル化合物は、モノマーであってもオリゴマーであってもよい。
【0023】
本発明に用いることができる(メタ)アクリル化合物としては、限定はされないが、例えば、単官能の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、フェニルフェノールアクリレート、メトキシポリエチレンアクリレート、アクリロイルオキシエチルサクシネート、脂肪酸アクリレート、メタクリロイルオキシエチルフタル酸、フェノキシエチレングリコールメタクリレート、脂肪酸メタクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソブチルアクリレート、ターシャリーブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ジヒドロシクロペンタジエチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ターシャリーブチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ターシャリーブチルアミノエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、
2以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、ヘキサンジオールジメタクリレート、ヒドロキシアクリロイロキシプロピルメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、変性エポキシアクリレート、脂肪酸変性エポキシアクリレート、アミン変性ビスフェノールAタイプエポキシアクリレート、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、9,9−ビス(4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)フルオレン、トリシクロデカンジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,12−ドデカンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリストールポリアクリレート、ジペンタエリストールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、ポリエーテルトリアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、モノペンタエリスリトールアクリレート、ジペンタエリスリトールアクリレート、トリペンタエリスリトールアクリレート、ポリペンタエリスリトールアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートが挙げられる。
【0024】
本発明に用いることができる(メタ)アクリル化合物の市販品としては、Sartomer社のSR&CDシリーズの機能性モノマー、CNシリーズの機能性エポキシアクリレートオリゴマー、機能性ウレタンアクリレートオリゴマー、共栄社化学株式会社のライトエステルシリーズ、ライトアクリレートシリーズ、新中村化学工業株式会社製のNKエステル類等が挙げられる。
【0025】
これら(メタ)アクリル化合物は1種類のみ使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0026】
本発明において、(メタ)アクリル化合物の含有量は、用途により調製できるが、組成物全重量に対して、10〜90重量%であることが好ましく、20〜60重量%であることがより好ましい。(メタ)アクリル化合物の含有量が該範囲内であると、組成物の硬化前の粘度が低く作業性に優れ、また硬化後の強度も優れる。
【0027】
<(c)金属捕集機能のある官能基を有する粒子>
本発明の電子装置用組成物は、金属捕集機能のある官能基を有する粒子を含む。本発明の組成物を半導体装置の製造に用いる場合、後述するように、該組成物は、例えば配線基板上に塗布される。その際、該組成物の流動性を高めるために、該組成物が室温以上の状態に置かれることもある。ここで、本発明の組成物は、金属捕集機能のある官能基を有する粒子を含有することにより、硬化反応の進行が十分に抑制され、その後の実装工程における作業の効率を低下させない。この理由として、電子装置の実装工程において本発明の組成物が接触する金属またはそのイオン、特には銅または銅イオンが、上記粒子により捕集されるためであろうと、発明者らは推定している。そして、金属またはそのイオンが捕集されるときも捕集された後も該粒子は安定であり、接着剤組成物の反応、接着性等にも問題を生じない。
【0028】
粒子を構成する材料としては、高分子材料、無機物材料が挙げられる。高分子材料としては、例えば、スチレン及び置換スチレン、ジビニルベンゼン、アクリル酸のエステル、メタクリル酸のエステル、モノオレフィン性不飽和ジカルボン酸のアルキルエステル、カルボン酸のビニルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド及びこれらの誘導体からなる群より選択される1種以上のモノマーの重合体が挙げられる。無機物材料としては、ガラス、シリカ、アルミナ、チタン酸塩及びこれらのハイブリッド酸化物、ならびにグラファイト等が挙げられる。上記粒子は多孔質であることが好ましい。上記材料から公知の方法により多孔質粒子を形成することができる。これら粒子は、1種類以上の金属捕集機能のある官能基を、その表面に有していることが好ましい。上記材料から得られる粒子、特には多孔質粒子の表面への官能基の導入は公知である(例えば、特表2008−502470号公報参照)。
【0029】
金属捕集機能のある官能基としては、特に限定はされないが、カルボキシ基、アミン基、イミダゾール基、チオール基およびこれらに由来する官能基が挙げられる。前記官能基に由来する官能基としては、例えば、チオウレア基、イミノジアセテート基、アミノメチルリン酸基、ベンジルアミン基、メルカプトフェニルアミノ基、アミノエチルアミノ基、イミダゾール−1−イルプロピルアミノ基、アミノプロピル基、メルカプトプロピル基、メチルチオウレア基、トリアミン基が挙げられる。1つの粒子が複数の金属捕集機能のある官能基を有するときは、これら官能基は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0030】
本発明に用いる金属捕集機能のある官能基を有する粒子の構造および使用量は、用途に応じて適宜調整でき、金属イオン等が十分に捕集される程度の官能基が組成物中に存在し、かつ、該組成物が接着剤等としての機能を問題なく発揮できればよい。本発明に用いる上記粒子は、特に限定はされないが、乾燥状態におけるその表面積は、例えば、0.1m/g以上が好ましく、0.1〜3000m/gがより好ましく、10〜3000m/gがさらに好ましく、10〜2000m/gがさらに好ましい。また、該粒子1g中に含まれる官能基数は、例えば、1.0×10−7mol/g以上であることが好ましく、1.0×10−5〜1.0×10−1mol/gであることがより好ましく、1.0×10−4〜1.0×10−2mol/gであることがさらに好ましい。また、本発明の組成物中、金属捕集機能のある官能基を有する粒子の含有量は、粒子中に含まれる官能基の数にもよるが、組成物全重量に対し、例えば、0.01〜20重量%であることが好ましく、0.1〜10重量%であることがより好ましい。粒子含有量が該範囲内であると、電子装置の製造工程において、作業に問題を生じない粘度の組成物を製造でき、金属イオン等が十分に捕集され、高品質の電子装置を製造することができる。
【0031】
本発明の組成物においては、上記粒子は、用途に応じて適当なサイズとすることが好ましい。上記粒子を電子装置のアンダーフィルとして用いる場合は、半導体チップの素子形成面と配線基板との間隙寸法より小さくなるようにすることが好ましく、例えば、平均粒子径が好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下、さらに好ましくは0.1〜10μmになるようにする。また、該粒子のサイズが大きすぎると電子装置の製造の際、該粒子が電極接続間にかみこみ、良好な電気的接続が得られないことがある。始めからこのようなサイズのものを合成してもよいし、また、粉砕し、必要により分級して所望のサイズとしてもよい。
【0032】
金属捕集機能のある官能基を有する粒子として使用できる市販品としては、例えば、ポリスチレンを含む化合物として、Reaxa社製のQuadraPure(登録商標)TU、QuadraPure(登録商標)IDA、QuadraPure(登録商標)BzA、QuadraPure(登録商標)EDA、QuadraPure(登録商標)BdZ、QuadraPure(登録商標)IMDAZ、QuadraPure(登録商標)AMPA、QuadraPure(登録商標)DET、QuadraPure(登録商標)MPA、QuadraPure(登録商標)AEA、シリカゲルを含む化合物として、QuadraSil(登録商標)AP、QuadraSil(登録商標)MTU、QuadraSil(登録商標)TA、QuadraSil(登録商標)MP、アルドリッチ社製のエチレンジアミン三酢酸アセトアミド,ポリマー結合型(Ethylenediaminetriacetic acid acetamide,polymer−bound)、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン,ポリマー結合型(N,N,N’−Trimethylethylenediamine,polymer−bound)等が挙げられる。これら化合物は、単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらのうち、特に銅捕集機能のある官能基を有する粒子を用いると、本発明の効果が得られやすい。
【0033】
<(b)マレイミド化合物>
本発明の組成物は、上記(a)(メタ)アクリル化合物と、(c)金属捕集機能のある官能基を有する粒子に加え、さらに(b)マレイミド化合物を含むことが好ましい。本発明の組成物に含まれるマレイミド化合物としては、特に限定はされないが、例えば以下の化合物が挙げられる。
【0034】
マレイミド化合物は、部分構造(I):
【0035】
【化1】
で表される部分構造を、分子中に1個以上、好ましくは1または2個有する。RおよびRは、H、炭素数1〜6のアルキル基、またはRおよびRが一緒になって炭素数2〜6のアルキレン基を表す。好ましくは、RおよびRが共にH、またはRおよびRが一緒になって1,4−ブチレン基を表す。
【0036】
マレイミド化合物は、好ましくは室温にて液状であり、部分構造(I)が結合する基は、マレイミド化合物が液状になるような基、例えばマレイミド化合物を液状にするのに十分な長さと分岐とを有する分岐のアルキル、アルキレン、アルキレンオキシド、アルキレンカルボキシルまたはアルキレンアミド構造等を含有する有機基である。マレイミド化合物は、部分構造(I)を1個または2個以上有することができる。この基を2個有する化合物は、ビスマレイミド化合物である。また、1つのマレイミド化合物が液状でなくても、他のマレイミド化合物と混合されたとき、または他の成分と混合されたときに、組成物が液状となるものであれば、使用可能である。
【0037】
部分構造(I)が、アルキル基またはアルキレン基(これらの基は、二重結合、飽和脂肪族環を含んでいてもよい。)と結合しているマレイミド化合物としては、次の化合物が挙げられる。
【0038】
【化2】
【0039】
【化3】
【0040】
【化4】
【0041】
【化5】
【0042】
特に好ましくは、ステアリルマレイミド、オレイルマレイミド、ベヘニルマレイミド、および10,11−ジオクチルエイコサンの1,20−ビスマレイミド誘導体等、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。10,11−ジオクチルエイコサンの1,20−ビスマレイミド誘導体は、ヘンケルコーポレイションからX−BMIの製品名で入手可能であり、1,20−ジアミノ−10,11−ジオクチル−エイコサンおよび/またはその環状異性体のジアミンから、米国特許第5973166に記載の方法に従って合成される(米国特許第5973166の開示は、参照することにより本明細書中に組み入れるものとする。)。X−BMIは、1,20−ビスマレイミド−10,11−ジオクチル−エイコサン{式(X−1)で示される化合物}、1−ヘプチレンマレイミド−2−オクチレンマレイミド−4−オクチル−5−ヘプチルシクロヘキサン{式(X−2)で示される化合物}、1,2−ジオクチレンマレイミド−3−オクチル−4−ヘキシルシクロヘキサン{式(X−3)で示される化合物}等の1種または2種以上を含む。式(X−1)〜(X−3)で示されるビスマレイミド化合物は、単独で用いることも好ましい。
【0043】
部分構造(I)が、アルキレンオキシド構造を含有する基と結合しているマレイミド化合物としては、次の化合物が挙げられる。
【0044】
【化6】
式中、Rは、アルキレン基であり、好ましくはエチレンまたは1,2−プロピレンであり、nは2〜40程度の整数であり、好ましくはこの化合物が液状を示す程度の整数、およびnの分布が選ばれる。この化合物は、大日本インキ化学工業(株)製LUMICURE(登録商標) MIA200として入手可能である。
【0045】
その他の使用可能なマレイミド化合物としては、次の式:
【0046】
【化7】
の化合物(3,4,5,6−テトラヒドロフタロイミドエチルアクリレート(tetrahydrophthaloimideethylacrylate))が挙げられる。
【0047】
上記マレイミド化合物は、単独で使用することもできるし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
本発明において、マレイミド化合物の含有量は、組成物全重量に対して、0〜50重量%であることが好ましく、0.1〜50重量%であることがより好ましく、1〜20重量%であることがさらに好ましい。マレイミド化合物の含有量が該範囲内であると、硬化速度に優れる。
【0049】
なお、本発明において、組成物がマレイミド化合物を含む場合、組成物中の上記(メタ)アクリル化合物およびマレイミド化合物は、所定の温度に加熱されることによりラジカル重合するが、その際、1種類の化合物のみで重合してホモ重合体を形成することもできるし、2種類以上の化合物が重合して共重合体を形成することもできる。
【0050】
<フィラー>
本発明の組成物はフィラーを含んでもよい。フィラーを配合することにより、線膨張係数が低くて寸法安定性に優れ、かつ、難燃性が改善された電子装置用組成物を得ることができる。フィラーは、用途に応じて絶縁性無機フィラーまたは導電性無機フィラーのいずれかを選択することができる。絶縁性無機フィラーとしては、シリカ、ケイ酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等が挙げられ、特にシリカが好ましい。導電性無機フィラーとしては、金属やカーボンブラックが挙げられる。
【0051】
また、フィラーは、必要に応じて表面改質を行ったものを使用してよい。市販品としては、例えば、三菱化学の「三菱カーボンブラック」ラインナップ、旭カーボンの「旭」シリーズ、河合石灰工業のケイ酸カルシウム「PCMライト」シリーズ、水酸化アルミニウム「ALH」シリーズ、アルミナ系「セラシュール」、堺化学工業の酸化チタン「STRシリーズ」、シリカ「Sciqusシリーズ」、酸化亜鉛「FINEEXシリーズ」、酸化マグネシウム「SMOシリーズ」、酸化ジルコニウム「STRシリーズ」、アドマッテクス社のシリカ、酸化アルミナ「アドマファイン」シリーズ、日産化学工業のシリカ「スノーテックス」シリーズ、シーアイ化成のシリカや酸化アルミニウムを含む金属酸化物「ナノッテック」シリーズ等が挙げられる。
【0052】
本発明の組成物が例えば半導体装置の製造に用いられる場合は、フィラーの平均粒径は半導体チップ素子形成面と配線基板との間隙寸法より小さいことが好ましい。フィラーの平均粒径が大きすぎると、半導体装置を製造する際、フィラーが金属接続間にかみこみ、良好な電気的信頼性が得られなくなったり、チップを破壊したりすることがある。
【0053】
フィラーの配合量は、用途に応じて調整可能であるが、例えば、接着剤組成物全重量に対し、1〜99重量%が好ましく、10〜80重量%がより好ましい。上記範囲内であると、フィラー添加による効果を十分に有し、かつ、ハンドリング性に問題のない粘度の組成物を得ることができる。
【0054】
<ラジカル開始剤>
本発明の組成物は、ラジカル開始剤を含むことが好ましい。本発明に用いるラジカル開始剤は、熱ラジカル開始剤が好ましく、熱ラジカル開始剤としては、有機過酸化物が好ましく、適当な温度でラジカルを発生するものを選択する。
【0055】
ラジカル開始剤としては、特に限定はされないが、例えば、ジイソブチルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカネート、ジ−n−プロピルパーオキシカルボネート、ジイソプロピルパーオキシカルボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシカルボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカルボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオヘプタネート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、ジコハク酸パーオキサイド、2,5−ジメチルー2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシー2−エチルヘキサネート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサネート、ジベンゾイルパーオキサイド、1,1ージ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1ージ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカルボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジ−メチルー2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)へキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヴァレレート、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチルー2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキサン−3、3,5−ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,3−ジメチルー2,3−ジフェニルブタン等が挙げられる。これらの有機過酸化物は、Akzo Nobel社、Gio specialities Chemical社、Arkema社、日油株式会社、化薬アクゾ株式会社等から購入できる。これらは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0056】
ラジカル開始剤の配合量は、組成物の全重量に対し、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.1〜5重量%であることがより好ましい。ラジカル開始剤の配合量が上記範囲内であると、組成物を塗布する際の安定性に問題がなく、また、硬化時間を長時間要するといった問題もない。
【0057】
上記成分のほか、本発明の組成物は、必要により、シランカップリング剤、ゴム成分、酸化防止剤、耐光安定剤、ラジカル安定化剤、界面活性剤等の添加剤を含むことができる。シランカップリング剤、ゴム成分により組成物接着性が向上し、さらに、応力が緩和されたり、反応硬化物の反りが少なくなったりする等の利点がある。また、酸化防止剤、ラジカル安定化剤は、ポットライフをさらに伸ばしたい場合に用いることができる。界面活性剤は、塗布時の消泡や塗布対象への濡れ性やレベリング性を改善する場合に添加することもできる。
【0058】
シランカップリング剤を組成物中に配合することにより、接着剤の接着性を向上させることができる。
【0059】
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、アミノシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤、ウレイドシランカップリング剤、イソシアネートシランカップリング剤、ビニルシランカップリング剤、(メタ)アクリルシランカップリング剤、ケチミンシランカップリング剤等が挙げられ、中でもイソシアネートシランカップリング剤、(メタ)アクリルシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤が好ましい。これらシランカップリング剤は、東レ・ダウコーニング社、信越シリコーン社、マツモトファインケミカル社や東京化成工業社等から購入することができる。
【0060】
シランカップリング剤の配合量は、適宜調整可能であるが、例えば、組成物全重量に対し、0〜10重量%であることが好ましく、0〜5重量%であることがより好ましい。シランカップリング剤の含有量が多すぎると、フリップチップ工法の加熱圧着接合の際、シランカップリング剤が気化することにより、ボイドが発生してしまう。
【0061】
ゴムとしては、特に限定はされないが、例えば、アクリルゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム等のゴム製品や低分子量のゴム用架橋剤が挙げられる。ゴム製品の市販品としては、例えば、根上工業社製「パラクロンRP」シリーズ、ガンツ化成社製「スタフィロイドIM」シリーズや「スタフィロイドAC」シリーズ、ゼオン化成社製「ゼオン」シリーズ、三菱レーヨン社製「メタブレンC/E/W/S/SX/SRX」が挙げられる。低分子量のゴム用架橋剤の市販品としては、例えば、SARTOMER社製「Ricon」シリーズ、出光社製「poly bd」、「poly ip」シリーズ、「エポール」シリーズ、「KRASOL」、日本曹達社製「NISSO−PB」等が挙げられる。これらは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0062】
また、予めゴム粒子を分散させたアクリル系樹脂の市販品を用いることもでき、例えば、根上工業社製のパラクロンSN−50、AS−3000、ME−2000、W−1163、W−248E、W−197C、プレコート200、パンロンS−2012が挙げられる。
【0063】
ゴムの配合量は、適宜調整可能であるが、例えば、接着剤組成物全重量に対し、0〜30重量%であることが好ましく、0〜20重量%であることがより好ましい。ゴムの含有量が多すぎると、接着剤組成物の粘度が増加しすぎてハンドリング性が悪くなったり、他の成分と混和しにくくなったり、接着剤の接着性が悪くなったりする等の問題がある。
【0064】
酸化防止剤、ラジカル安定化剤としては、例えば、ヒドロキノン類、ベンゾキノン類、ヒンダードフェノール類、耐光安定剤としてはベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ヒンダードアミン系紫外吸収剤等が挙げられる。界面活性剤は、目的に応じて市販のカタログから選択することができる。
【0065】
<電子装置用組成物の製造方法>
本発明の組成物は、上述の各成分と、必要により溶剤を加えて均一に混合して得ることができる。組成物は使用時にディスペンサー等の塗布装置で塗布できる粘度に調整されていればよく、無溶剤であってもよい。また、組成物中の化合物の選択および配合量を調整して粘度を調整することも可能である。本発明の組成物は、特に限定されないが、例えば、ホモディスパーサー、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、2本ロール、3本ロール、押出機等の公知の各種混練機を単独で用いるか又は併用して、所定量の各成分を均一に混練することにより製造できる。該混練は、常温下若しくは加熱下で、常圧下、減圧下、加圧下若しくは不活性ガス気流下等の条件下で行われる。
【0066】
本発明の電子装置用組成物は、特に限定はされないが、電子装置、特に半導体チップを含む装置においてアンダーフィル材(封止材)として用いることが好ましい。
【0067】
<電子装置とその製造方法>
次に、本発明の組成物を含む電子装置の製造方法について説明する。電子装置の製造方法としては、特に限定はされないが、フリップチップ工法を用いることが好ましい。フリップチップ工法において、本発明の組成物は、配線基板の回路面上に塗布されることが特に好ましい。電子装置の製造方法としては、例えば、
(1)本発明の組成物を配線基板の回路面上に塗布する塗布工程と、
(2)配線基板上に塗布された組成物の上に半導体チップを配置し、半導体チップと配線基板との電気的接続と、その間隙の封止とを行う接合・封止工程と、
を含む。以下各工程について説明する。
【0068】
<(1)塗布工程>
塗布工程では、本発明の組成物を配線基板の回路面上に塗布する。該組成物は、配線基板の表面上全体に塗布されてもよいし、半導体チップが搭載される部分のみに塗布されてもよい。塗布方法としては、スピンコーター、ディスペンサー、ローラ等で塗布する方法や、スクリーン印刷等が挙げられる。また、組成物の流動性を向上させるために、必要に応じて塗布工程に用いるシリンジや、基板等を室温以上の温度に加温してもよい。
【0069】
<(2)接合・封止工程>
接合・封止工程においては、半導体素子と配線基板との電気的接続を行うと同時に、半導体素子と回路基板との間隙を本発明の組成物で封止して、電子装置を製造する。まず、配線基板上の接着剤組成物が塗布された部分に半導体チップを配置する。その際、配線基板の回路面(すなわち、上記塗布工程において組成物が塗布された面)と半導体チップの素子形成面が対向するように位置合わせを行う。続いて加熱圧着接合する。加熱圧着接合後に、接着剤組成物を硬化させる目的で、更に加熱してもよい。加熱圧着接合する方法としては、一般的には、フリップチップボンダーを用いて位置合わせをした後、そのまま加熱圧着する方法、または位置合わせ、仮搭載が終わったものをリフロー炉などで加熱接続させる方法が用いられる。その際、パッケージや封止法に適した熱プロファイルが用いられる。また、チップ搭載にはフリップチップボンダーのみならず、ダイボンダーなど位置合わせが可能なもので代替することもできる。
【0070】
加熱圧着接合を行う際の温度は、特に限定はされないが、電極が半田バンプや半田装着バンプの場合、その融点より好ましくは10〜100℃高い温度であることが好ましく、200℃以上であることが好ましく、210〜300℃であることがより好ましい。加熱圧着接合を行う時間は、1〜20秒が好ましく、圧力は、0.1〜7MPaが好ましい。また、加熱圧着接合後に接着剤組成物の硬化を完了するためにさらに加熱するときは、例えば、150〜220℃で30〜180分が好ましい。
【0071】
上記により得られた電子装置は、携帯電話、パソコン、テレビ等の半導体チップを利用する多くの電子機器に用いることができる。
【実施例】
【0072】
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明する。但し、本発明は下記実施例により制限されるものではない。
【0073】
以下の実施例、参考例および比較例において用いた化合物について表1に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
以下の実施例、参考例および比較例で用いた装置等は下記のとおりである。
(1)回路基板:株式会社ウォルツ社製のWALTS−KIT MB50−0102JY_CR、パッドはCuOSP仕様。
(2)半導体チップ:株式会社ウォルツ社製のWALTS−TEG MB50−0101JY、Cuピラーとはんだからなるバンプを544個搭載している。
(上記(1)回路基板と(2)半導体チップとは両者の接続によりデイジーチェーンを構成し、チップ内の全てのバンプが接続されたときに導通可能となるものである。すなわち、544個のバンプの内1個でも接続できなければ導通試験で絶縁性を示す。)
【0076】
<アンダーフィル用接着剤組成物の調製>
以下の方法により、各成分を混合し、接着剤組成物を調製した。各実施例および比較例において配合した化合物とその配合量(重量%)は表2に示したとおりである。
【0077】
【表2】
【0078】
<実施例1>
(組成物の調製)
表2に示した化合物を各配合量となるように採取し、3本ロールで均一に混練した。これを真空で脱気して、接着剤組成物Aを調製した。
【0079】
回路基板を120℃のオーブンで1時間加熱した後、オートディスペンサーを用いて上記組成物Aを回路基板上に塗布し、接着剤組成物Aが塗布された回路基板Bを得た。
【0080】
(電子装置の実装)
回路基板Bを得た直後(放置時間0分)、または、80℃のホットプレート上で15分、30分、45分、60分、90分放置した後、パルスヒート機能を具備したフリップチップボンダーを用いて、半導体チップと回路基板Bとの位置合わせを行って圧接し、続いてパルスヒートにて240℃で熱圧着を行った。その後、オーブンにて150℃、1時間、組成物Aを硬化させ、電子装置Cを得た。
【0081】
(導通試験)
上記で得た電子装置Cの導通性を調べたところ、80℃のホットプレート上での放置時間がいずれの場合であっても導通性は良好であった(表3)。すなわち、半導体チップ上の544個のすべてのバンプが接続された。したがって、実施例1の組成物は、80℃のホットプレート上に放置されても作業可能な液状性を保っていることが示された。
【0082】
【表3】
【0083】
<実施例2〜6、10、11および参考例7〜9、12
組成物に配合する各成分を表2のように変えた以外は、実施例1と同様の方法により電子装置を製造した。実施例2〜6、10、11および参考例7〜9、12においても、組成物が塗布された回路基板を、80℃で、0分、15分、30分、45分、60分、90分放置した後、電子装置を製造して導通性を調べた。その結果、すべての場合において良好な導通性が得られた。したがって、実施例2〜6、10、11および参考例7〜9、12の組成物も、80℃のホットプレート上に放置されても作業可能な液状性を保っていることが示された。
【0084】
<比較例1>
組成物に配合する各成分を表2のように変え、マレイミド化合物と金属捕集剤を配合せずに、実施例1と同様の方法により電子装置を製造した。比較例1においても、組成物が塗布された回路基板を、80℃で、0分、15分、30分、45分、60分、90分放置した後、電子装置を製造して導通性を調べた。その結果、80℃に放置せずに(放置時間0分で)製造した電子装置の導通性は良好であったが、それ以外の場合はすべて、導通性が得られなかった(表4)。したがって、比較例1の組成物は、80℃に放置することにより組成物の硬化が進行してしまい、良好な導通性が得られないことが示された。
【0085】
【表4】
【0086】
<比較例2>
組成物に配合する各成分を表2のように変え、金属捕集剤を配合せずに、実施例1と同様の方法により電子装置を製造した。比較例2においても、実施例1と同様にして導通性を調べた。その結果、80℃に放置せずに(放置時間0分で)製造した電子装置の導通性は良好であったが、それ以外の場合(80℃に放置した場合)はすべて、導通性が得られなかった。比較例2の組成物も、80℃に放置することにより組成物の硬化が進行してしまい、良好な導通性が得られないことを確認した。
【0087】
<比較例3>
組成物に配合する各成分を表2のように変え、金属捕集剤としてIXEを用いて、実施例1と同様の方法により電子装置を製造した。比較例3においても、実施例1と同様にして導通性を調べた。その結果、80℃に放置せずに(放置時間0分で)製造した電子装置の導通性は良好であったが、それ以外の場合(80℃に放置した場合)はすべて、導通性が得られなかった。比較例3の組成物も、80℃に放置することにより組成物の硬化が進行してしまい、良好な導通性が得られないことを確認した。
【0088】
<比較例4>
組成物に配合する各成分を表2のように変え、金属捕集剤としてクエン酸を用いて、実施例1と同様の方法により電子装置を製造した。比較例4においても、実施例1と同様にして導通性を調べた。その結果、80℃に放置せずに(放置時間0分で)製造した電子装置の導通性は良好であったが、それ以外の場合(80℃に放置した場合)はすべて、導通性が得られなかった。比較例4の組成物も、80℃に放置することにより組成物の硬化が進行してしまい、良好な導通性が得られないことを確認した。