(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記測定されたトルクまたはひずみの量の変化を検出することに基づいて、研磨プロセスの1つまたは複数のステージを検出することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
前記トルクの量を測定することが、屈曲部を変位することと、印加される前記トルクの表示として相対的な回転または直線変位を測定することとを含む、請求項10に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
研磨ヘッド内に保持される基板に対して研磨パッドを回転させるために必要なトルクの量を推定するために、研磨パッド支持プラテンを駆動するために使用されるモータから取られる電気信号(例えば、電流、電圧、電力など)を使用する既存の基板研磨システム(例えば、化学機械平坦化(CMP)システム)は、いくつかの誤差源に起因していくつかの環境では不正確となる可能性がある。これらの誤差源のいくつかとしては、アクチュエータ固有特性ばらつき(例えば、巻線および磁石内のばらつき)、伝動構成要素許容差(例えば、ギヤボックス、ベルト、プーリなど)、ベアリング摩擦、および温度ばらつきが挙げられる。
【0014】
本発明は、研磨システムの研磨ヘッド内に保持される基板に対して研磨パッドを回転させるときに遭遇する摩擦を正確に決定するための、改善された方法および装置を提供する。本発明は、研磨パッドを支持するプラテンに沿って、かつ/または隣接して、直接トルクおよび/またはひずみ測定器具を加えることにより、上記の誤差源を最小化または回避する方法を提供する。インライントルク/ひずみ測定器具は、研磨ヘッド内に保持される基板に対して研磨パッドを回転させるのに必要な物理量(例えば、回転力またはひずみの量)を直接測定する。研磨パッド支持プラテンに沿って、かつ/または隣接して、直接測定点を動かすことによって、駆動トレーン内の構成要素からの誤差を最小化する。
【0015】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の支持体が追加され、下部プラテン(例えば、アクチュエータに堅固に結合された駆動構成要素)と上部プラテン(例えば、研磨パッドを保持する被駆動構成要素)とを結合する。これらの支持体は、上部プラテンを駆動するために下部プラテンを回転させることにより生み出される、推力荷重、径方向荷重、およびモーメント荷重を担持し、しかも、上部プラテンが下部プラテンに対して動くただ1つの自由度(例えば、回転)を可能にするように適合される。アクチュエータの駆動トルクは、トルク/ひずみ測定器具を介して(下部プラテンを駆動することから)上部プラテンに渡される。研磨ヘッドの荷重が上部プラテン上に保持される研磨パッドに印加されるとき、トルク/ひずみ測定器具を使用して、研磨ヘッド荷重を克服するのに必要な追加トルクを測定し、上部プラテンの回転を維持することができる。
【0016】
支持体は、上部プラテンおよび下部プラテンに印加される可能性があるトルクの差の量を制限することにより、ひずみ測定デバイスへの保護としての役割も果たす。いくつかの実施形態では、支持体は、例えば、以下のタイプのベアリング、すなわち空気ベアリング、流体ベアリング、磁気ベアリング、深溝ベアリング、アンギュラコンタクトベアリング、ローラベアリング、および/またはテーパクロスローラベアリングの任意の組合せであってよい。いくつかの実施形態では、支持体は、代替的に、例えば屈曲部でできたピボットであってよい。いくつかの実施形態では、ひずみ測定デバイスは、例えば、トルクセンサ、インラインロッドエンドロードセル、またはピボット/屈曲部上のひずみゲージであってよい。一般的に、任意の好適で実際的な支持体および/またはひずみ測定デバイスを使用することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、研磨パッドを支持するプラテンに沿って、かつ/または隣接して、トルクおよび/またはひずみを測定することの代わりに、本発明は、研磨ヘッド内の基板に印加される横力を測定する方法および装置を提供する。横力測定器具は、研磨ヘッドを支持する上部キャリッジと下部キャリッジとの間に配設することができる。研磨パッドが研磨ヘッド内の基板を押すとき、横力測定器具は、基板と研磨パッドとの間の摩擦に比例する力を直接測定することができる。前の実施形態のように、1つの方向への限られた動きだけが可能な支持体を使用して、基板を回転する研磨パッドに押すことにより生み出される推力荷重、径方向荷重、およびモーメント荷重を担持することができる。支持体は、横への動きの量を制限することにより、横力測定器具を保護することもできる。
【0018】
前の実施形態のように、横力測定の実施形態のための支持体は、例えば、以下のタイプのベアリング、すなわち空気ベアリング、流体ベアリング、磁気ベアリング、深溝ベアリング、アンギュラコンタクトベアリング、ローラベアリング、および/またはテーパクロスローラベアリングの任意の組合せであってよい。いくつかの実施形態では、支持体は、代替的に、例えば屈曲部でできたピボットであってよい。いくつかの実施形態では、ひずみ測定デバイスは、例えば、トルクセンサ、インラインロッドエンドロードセル、またはピボット/屈曲部上のひずみゲージであってよい。一般的に、任意の好適で実際的な支持体および/またはひずみ測定デバイスを使用することができる。
【0019】
摩擦の相対的な量の変化に基づいて、研磨ヘッド内の基板上の横力を測定し監視して、研磨終点を決定することは、研磨パッドを支持するプラテンのトルクを監視すること以上に有利な可能性がある。例えば、1つの研磨パッドを使用して異なる研磨ヘッド内の2つ以上の基板を同時に研磨するCMPシステムでは、各基板上の横力を監視することによって、研磨終点に到達したときの独立した決定が可能となる。
【0020】
図1を参照すると、基板研磨システム100のプラテン回転部が示される。上部プラテン102は、研磨パッド101を支持する一方CMP処理の期間回転されるように適合される。上部プラテン102は、処理の期間に研磨パッド101をしっかりと保持するために、チャック、接着剤、または他の機構を含むことができる。上部プラテン102は、ベースプレート106により支持される下部プラテン104にフレキシブルに結合されて駆動される。ベースプレート106は、下で議論されるシステム100の他の部分も支持する。プーリ108Aは、下部プラテン104に結合され、ベルト110を介してプーリ108Bに結合される。プーリ108Bはギヤボックス112に結合され、ギヤボックス112はブラケット114により支持され、ブラケット114はベースプレート106に結合されて支持される。アクチュエータ116(例えばモータ)も、ギヤボックス112に結合される。アクチュエータ116は、コントローラ118に電気的に結合される。したがって、下部プラテン104は、ギヤボックス112、プーリ108A、108B、およびベルト110を介してアクチュエータ116に結合され、そのため、アクチュエータ116は、コントローラ118の制御の下でシステム100を駆動することができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータ116および基板122を保持する研磨ヘッド120(想像線で示す)は、プログラムされた汎用コンピュータプロセッサおよび/または専用組込コントローラであってよい、コントローラ118の制御下で、動作および機能の両方を行うことができる。
【0021】
アクチュエータ116と下部プラテン104との間に示されるリンケージは単に例示であることに、当業者なら留意するであろう。示される構成要素について、多くの異なる配置を代用することができる。例えば、アクチュエータ116は、下部プラテン104に直接結合された直接駆動モータであってよい。ギヤボックス112は、プーリ108Bがアクチュエータ116により回転される速度(例えば、毎分回転数(RPM))を、CMPプロセスにとって好適な速度に調整するのに有益であるが、いくつかの実施形態では、アクチュエータは、好適な速度で動作するように適合済みのものを選択することができる。したがって、下部プラテン104を駆動する任意の実際的な手段を採用することができる。
【0022】
動作において、アクチュエータ116は、システムマネージャ(例えば、ソフトウェア命令を実行するコントローラ118、コンピュータプロセッサなど)の制御下で、下部プラテン104を駆動して、CMPプロセスに好適な所望の速度で回転させる。下により詳細に記載されるように、下部プラテン104の回転によって、2つのプラテン間のフレキシブルな結合に起因して、上部プラテン102の回転を引き起こす。上部プラテン102上の研磨パッド101は、研磨パッド101上に下向きの力を印加する研磨ヘッド120(点線で示す)に保持される基板122に対して回転される。研磨ヘッド120の下向きの力は、上部プラテン102の回転に対し抵抗を生じる。抵抗は、下部プラテン104を回転させるアクチュエータ116により克服される。研磨ヘッド120により引き起こされる抵抗を克服するのに必要なトルクの量は、トルク/ひずみ測定器具(
図1では見えず、
図2を参照)を使用して測定される。基板122が研磨され材料が除去されると、回転に対する抵抗の量が変わる。異なる材料は異なる摩擦係数を有する可能性があり、研磨される材料層に依存して、プラテン102、104を回転させるのに必要なトルクの量が変化する可能性がある。研磨が止められる終点は、トルク/ひずみ測定器具で測定される、所定の量のトルクまたはトルクの変化に対応することができる。いくつかの実施形態では、プラテン102、104を回転させるのに必要なトルクの量の変化の閾値の量が、研磨プロセスの終点を表すことができる。材料に依存して、終点閾値変化量は、必要なトルクの量の増加またはトルクの量の減少のいずれかとなる可能性があることに留意されたい。時間の関数としてのトルク変化の例が、
図8を参照して下で記載される。
【0023】
図2Aを参照すると、基板研磨システム200Aの実施形態の部分の断面図が示される。上部プラテン102は、支持体202により下部プラテン104の上に支持される。上部プラテン102は、また、
図2Aの実施形態でトルク/ひずみ測定器具として働くトルクセンサ206に、結合部204を介して結合される。下部プラテン104は、ベースプレート106上で、ベアリング208に支持され、ベアリング208上で回転するように適合される。プーリ108Aは、ベースプレート106を通って延びるシャフト210を介して下部プラテン104に結合される。いくつかの実施形態では、支持体202およびベアリング208は、空気ベアリング、流体ベアリング、磁気ベアリング、深溝ベアリング、アンギュラコンタクトベアリング、ローラベアリング、および/またはクロスローラベアリングの任意の実際的な組合せとして実装することができる。例えば、日本、東京のTHK Co.,LTD.により製造されるRBシリーズのクロスローラタイプベアリングを使用することができる。ミシガン州、Ann ArborのNSK Corporationは、使用することができる、ダブルテーパローラベアリングを製造する。ブランド名INAにおいて、ドイツ、HerzogenaurachのSchaeffler Technologies GmbH&Co.KGにより製造されるXSUシリーズのクロスローラタイプベアリングを使用することができる。任意の好適で実際的なベアリングを採用することができる。
【0024】
動作において、支持体202は、基板/キャリアとパッド/上部プラテンとの間のダイナミックな相互作用により生み出される、推力荷重、径方向荷重、およびオーバハングしているモーメント荷重を担持し、しかも、上部プラテン102が下部プラテン104に対して動くただ1つの自由度(例えば、回転)を可能にするように適合される。アクチュエータ116(
図1)の駆動トルクは、トルク/ひずみ測定器具(この場合、トルクセンサ206)を介して、上部プラテン102に渡される。研磨ヘッドの荷重が上部プラテン102上の研磨パッドに印加されると、トルクセンサ206は、研磨ヘッド荷重を克服するのに必要な追加トルクを測定し、上部プラテン102を駆動させるように適合される。
【0025】
図2Bを参照すると、基板研磨システム200Bの、第2の実施形態の部分の断面図が示される。この実施形態は、結合部204およびトルクセンサ206の代わりにロードセル212が使用されて、上部プラテン102と下部プラテン104とを連結させること、およびトルク/ひずみ測定器具として働くことの両方以外は、
図2Aのシステム200Aと同様である。市販されていて、いくつかの実施形態で使用することが可能なロードセル212の例は、オハイオ州ColumbusのHoneywell Inc.によって製造されるIn−Line Load Cellモデルである。他の実際的なロードセルを使用することができる。例えば、ロードセルアレイを、いくつかの実施形態で使用することができる。いくつかの実施形態では、プラテン102とプラテン104との間に配設された複数のロードセル212を使用することができる。
【0026】
図3Aを参照すると、基板研磨システム300Aの、第3の代替実施形態のプラテン回転部の断面図が図示される。上部プラテン102は、支持体
(例えば屈曲部302
)により下部プラテン104の上に支持される。上部プラテン102は、また、下部プラテン104に結合されて
図3Aの実施形態でトルク/ひずみ測定器具として働くトルクセンサ206に、結合部204を介して結合される。いくつかの実施形態では、支持
体は、例えば屈曲部
302でできたピボットとして実装することができる。本発明の実施形態にしたがう屈曲部
302は、
図4および
図5に関して下で詳細に記載される。
【0027】
図3Bを参照すると、基板研磨システム300Bの、第4の代替実施形態のプラテン回転部の断面図が図示される。上部プラテン102は、支持体
(例えば屈曲部302
)により、下部プラテン104の上に支持され、結合される。しかし、トルクセンサ206の代わりに、支持体
(例えば屈曲部302
)に結合されたひずみゲージ304が、
図3Bの実施形態でトルク/ひずみ測定器具として働く。いくつかの実施形態で使用することができる、市販されているひずみゲージ304の例は、コネチカット州、StamfordのOmegaにより製造されるKFGシリーズひずみゲージである。他の実際的なひずみゲージを使用することができる。
図3Aの実施形態のように、いくつかの実施形態では、支持
体は、例えば屈曲部
302でできたピボットとして実装することができる。本発明の実施形態にしたがう屈曲部
302は、
図4および
図5に関して下で詳細に記載される。
【0028】
図3Cを参照すると、基板研磨システム300Cの、第5の代替実施形態のプラテン回転部の断面図が図示される。上部プラテン102は、支持体
(例えば屈曲部302
)により、下部プラテン104の上に支持され、結合される。しかし、ひずみゲージ304の代わりに、プラテン102、104に結合されたロードセル212が、
図3Cの実施形態でトルク/ひずみ測定器具として働く。上記のように、いくつかの実施形態で使用することが可能な市販されているロードセル212の例は、オハイオ州ColumbusのHoneywell Inc.によって製造されるIn−Line Load Cellである。いくつかの実施形態では、ロードセルアレイを使用することができる。他の実際的なロードセルを使用することができる。
図3Aの実施形態のように、いくつかの実施形態では、支持
体は、例えば屈曲部
302でできたピボットとして実装することができる。本発明の実施形態にしたがう屈曲部
302は、
図4および
図5に関して下で詳細に記載される。
【0029】
図4を参照すると、上部プラテン102の上面図が示されており、下から上部プラテン102を支持するのは、想像線で示される4つの屈曲部302の例示的な配置である。屈曲部は、それぞれ、その長手軸が位置合わせされて配設され、上部プラテン102の回転中心で交差することに留意されたい。4つの屈曲部302が図示されているが、より少ない数(例えば、3)またはより多い数(例えば、5、6、7など)を使用することができることにさらに留意されたい。
【0030】
図5を参照すると、屈曲部302の例示的な実施形態が、斜視図で示される。例示的な屈曲部302の断面は、Iビーム形状を有する。屈曲部302の比較的広い(X次元)頂部および底部は、それぞれ、上部プラテン102および下部プラテン104への取り付けのためのクランプ機構または締結機構を含むことができる。より一般的には、本発明で使用するために好適な屈曲部は、1つの方向または次元にはフレキシブルであるが、他の全ての方向または次元には剛性である長さの材料を含むことができる。例えば、
図5において図示されたIビーム形状の屈曲部302は、より広い頂部領域と底部領域との間の細い高さの次元(Z次元)に沿って曲げられるが、他の全ての次元ではフレキシブルでなくてよい。言い換えると、屈曲部は、(カルテシアン基準フレームにより表されると)X方向および−X方向には曲げられるが、Y方向、−Y方向、Z方向、または−Z方向には曲げられない。
【0031】
各屈曲部302は、フレキシブルな次元が、プラテン102、104の回転方向に対し接線方向に(すなわち、半径に垂直に)位置合わせされるように配設することができる。言い換えると、屈曲部302の(例えば、Y軸に沿った)長手次元は、
図5に示されるように、プラテン102、104の回転軸で交差するように位置合わせされる。したがって、プラテン102、104を一緒に結合する屈曲部302は、屈曲部302が曲がる範囲で、プラテン102、104が互いに対してわずかに動くことを可能にする。
【0032】
いくつかの実施形態では、屈曲部302は、ステンレス鋼、または塑性的に変形することなく撓曲することができる任意の実際的な材料から作ることができる。好適な屈曲部302の例示的な寸法は、高さ(Z次元)で約0.2cmから約10cm、長さ(Y次元)で約1cmから約30cm、ならびに中央の細い領域では幅(X次元)で約0.1cmから約2cm、および頂部および底部の広い領域では幅(X次元)で約0.1cmから約5cmであってよい。いくつかの実施形態では、屈曲部302は、
図5に示されるように、屈曲部の広い寸法と狭い寸法との間に、丸みをつけられたまたは丸くされた継
手305を含むことができる。これらの丸みをつけられた継手305は、屈曲部302が、継手305において疲労から故障することを回避することができる。いくつかの実施形態では、継手305の半径は、約0.1cmから約2cmであってよい。他の屈曲材料および/または寸法を使用することができる。
【0033】
上に示されたように、いくつかの実施形態では、ひずみゲージ304を屈曲部302のうちの1つまたは複数の上に配置することができ、プラテン102とプラテン104との間のトルク荷重は、トルクセンサ/ロードセル構成を介することに加えて、またはその代わりに屈曲部302を使用して測定することができる。そのような実施形態では、上部プラテン102と下部プラテン104との間の結合のみが屈曲部302であってよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、ピボットは、代替的に、上部プラテン102と下部プラテン104とを一緒に結合する、弾性発泡体または接着剤を使用して実装することができる。
【0035】
図3A〜
図3Cに戻って参照すると、動作では、屈曲部
302を支持
体として使用して、屈曲部302が、上部プラテン102を駆動するために下部プラテン104を回転することにより生み出される推力荷重、径方向荷重、およびモーメント荷重を担持し、しかも、上部プラテン102が下部プラテン104に対して動くただ1つの自由度(例えば、回転)を可能にするように適合される。上で説明したように、1つの自由度は、屈曲部302により制限できることに留意されたい。アクチュエータ
116(
図1)の駆動トルクは、トルク/ひずみ測定器具(
図3Aではトルクセンサ206、
図3Bではひずみゲージ304、
図3Cではロードセル212)を介して上部プラテン102に渡される。研磨ヘッドの荷重が上部プラテン102上の研磨パッドに印加されるとき、トルク/ひずみ測定器具(
図3Aではトルクセンサ206、
図3Bではひずみゲージ304、
図3Cではロードセル212)は、研磨ヘッド荷重を克服するのに必要な追加トルクを測定し、上部プラテン102の回転を維持するように適合される。
【0036】
図6を参照すると、本発明のいくつかの実施形態にしたがう、基板を研磨する例示的な方法600を図示する流れ図が提供される。下で記載される例示的な方法600は、コンピュータプロセッサまたはコントローラ118の制御の下で、上に記載されたCMPシステムの実施形態のいずれかを使用して実装することができる。いくつかの実施形態では、コントローラまたは一般的なコンピュータプロセッサ上で実行するソフトウェア命令を使用して、以下の方法600で記載される論理を実装することができる。いくつかの実施形態では、方法600の論理は、完全にハードウェアに実装することができる。
【0037】
ステップ602では、アクチュエータ116は、基板を研磨するために、下部プラテン104を回転させ、研磨パッドを保持している上部プラテン102を駆動する。ステップ604では、基板を保持している研磨ヘッドが、上部プラテン102上の研磨パッドに適用される。研磨パッドを用いた材料除去の期間に、基板を保持している研磨ヘッドの下向きの力が、プラテン102、104の回転に対し抵抗を生じる。ステップ606では、アクチュエータ116は、追加トルクを印加して抵抗を克服し、プラテン102、104は、互いに対して定常状態の回転に達する。ステップ608では、追加トルクが、トルク/ひずみ測定器具を使用して測定される。いくつかの実施形態では、例えば屈曲部302が支持体として使用される場合、相対的な回転または直線変位を、印加される追加トルクの表示として測定することができる。この実施形態では、相対的な回転または直線変位測定と組み合わせた屈曲部302は、印加されるトルクの表示を提供することができる。決定ステップ610では、トルク変化閾値が測定されたトルクと比較される。経時的に測定されたトルクの量がトルク変化閾値よりも少なく変化する場合、システム100は研磨/材料除去を継続し、フローは、トルクが再び測定されるステップ608に戻る。経時的に測定されたトルク変化の量がトルク変化閾値以上である場合、システム100は研磨終点に到達したと決定する。他の実施形態では、ひずみまたは変位を測定し、1つまたは複数の閾値に対して比較することができる。したがって、いくつかの実施形態では、経時的なトルク、ひずみ、または変位の測定量の変化を検出することに基づいて、研磨プロセスの1つまたは複数のステージを検出することができる。いくつかの実施形態では、研磨ヘッド内の基板は、上部プラテン102上の研磨パッドから持ち上げられる。いくつかの実施形態では、検出された終点は、単に、1つの材料の層から第2の材料の層への移行を表し、ステップ612で最終的な終点に到達するまで研磨が継続することができる。
【0038】
図7を参照すると、研磨プロセス期間の、時間の関数としてプロットされたトルクの例示的なグラフ700が提供される。グラフは、本発明の実施形態を使用して達成された実験結果を図示する。特定の形状が示されるが、形状は、単に例示であり、任意のやり方に発明の範囲を制限する意図はない。
【0039】
例示的な研磨プロセスの期間に、研磨ヘッド荷重が上部プラテン102上の研磨パッドに印加される。下部プラテン104は、上部プラテン102を駆動して荷重の抵抗を克服する。第1の材料は、研磨期間に基板から定常的に除去され、プラテン104を駆動するトルクの傾向は、比較的一定のままとなる。第1の材料がなくなり、第1の材料の下にある第2の材料の研磨が始まると、上部プラテンを回転させるのに必要なトルクの傾向に、比較的急激な変化702が検出される。第1の材料を取り除く期間のトルクの傾向における変化の大きさは、第1の材料および第2の材料の相対的な堅さおよび/もしくは密度、ならびに/またはスラリとの化学反応などのいくつかの要因に依存することになり、第2の材料の研磨期間に必要なトルクは、第1の材料の研磨期間に必要なトルクよりも小さい、または大きい可能性がある。システム100は、基板上の第1の材料と第2の材料との間の移行のときの、上部プラテン104を回転させるのに必要なトルクの変化702を識別することができ、(第1の材料を除去し、第2の材料を残すことが目的なら)研磨を止めることができる。いくつかの実施形態では、異なる材料層間で取り除く期間の例示的なトルクの値または変化のデータベースが、テスト基板で測定され、製造処理期間に参照するためコントローラ118内に記憶することができる。
【0040】
ここで
図8Aおよび
図8Bを参照すると、本発明の代替実施形態にしたがう基板研磨システム800の、例示的な研磨ヘッドアセンブリが示される。
図8Bは、パッド101の回転812および基板122上の横力814を示す、研磨期間に研磨パッド101上に位置する基板122の上面図である。
図8Aに見られるように、研磨パッド101は、基板122を保持する研磨ヘッド120の下のプラテン102、104により支持および回転される。研磨ヘッド120は、下部キャリッジ804に結合されたスピンドル802により支持される。下部キャリッジ804は、支持体808により上部キャリッジ806に結合される。
【0041】
いくつかの実施形態では、支持体808は、屈曲部302(
図5)または様々なタイプのベアリング(例えば、転動体ベアリングなどの線形ベアリング、流体ベアリング、磁気ベアリングなど)を使用して実装することができる。下部キャリッジ804および上部キャリッジ806は、横力測定器具810、例えばロードセルまたはフィードバック回路を備えたアクチュエータとも一緒に結合することができる。いくつかの実施形態では、変位測定器具を、横力測定器具810の代わりに(または横力測定器具810に加えて)使用することができる。変位測定器具としては、容量性距離センサ、誘導性距離センサ、渦電流距離センサ、レーザ距離センサなど、任意のタイプの距離センサが挙げられる。したがって、下部キャリッジ804および上部キャリッジ806は、フレキシブルに結合されて、1つの方向(例えば、1つの自由度)で互いに対し相対的に動くことを可能にする。例えば、支持体808は、基板122が研磨パッド101に対して押し下げられると、
図8B内の
横力814の向きにわずかに動くことが可能となるように配置することができる。したがって、基板122が研磨パッド101に対して押されるときに研磨パッド101の回転812によって研磨ヘッド
120内に保持される基板122に印加される力は、横力測定器具810によって測定すること(または、変位測定器具を使用して決定すること)ができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、上部キャリッジ806および下部キャリッジ804に結合されたアクチュエータ(例えば、線形アクチュエータ)は、研磨パッド101に対して基板122を押し下げることにより生成される横力を相殺するように適合することができる。上に議論されたセンサからの、変位、荷重、またはひずみ信号を監視するフィードバック回路を使用して、キャリッジ806、804の相対位置を維持するためアクチュエータによって費やされるエネルギを使用して、任意の所与の瞬間に印加される横力の量を決定することができる。パッドと基板との間の摩擦が変化すると、キャリッジの相対位置を維持するのに必要なエネルギが変化する。アクチュエータからのフィードバック信号(例えば、キャリッジの相対位置を維持するために引き込まれる電流の量)を使用して、費やされたエネルギを決定することができる。したがって、いくつかの実施形態では、横力測定器具810または変位測定器具の代わりに、フィードバック回路および基本的なセンサを備えるアクチュエータを使用して、基板と研磨パッドとの間の摩擦の量を決定することができる。
【0043】
上部プラテンと下部プラテンとの間のトルクを測定する実施形態(例えば、
図2A〜
図3C)では、プラテン間に結合された、フィードバック回路を備えるアクチュエータ(例えば、回転アクチュエータ)が、トルク測定デバイスの代わりに使用できることにも留意されたい。アクチュエータおよびフィードバック回路を使用して、プラテンの相対位置を維持することができ、そうするために費やされるエネルギを使用して、基板と研磨パッドとの間の摩擦の量を決定することができる。
【0044】
同様に、上部プラテンと下部プラテンとの間のトルクを測定する実施形態(例えば、
図2A〜
図3C)では、トルク測定の代わりまたはトルクを測定に加えて、相対的な変位を測定することができる。キャリッジ間変位測定の実施形態と同様に、プラテン間変位測定器具としては、容量性距離センサ、誘導性距離センサ、渦電流距離センサ、レーザ距離センサなど、任意のタイプの距離センサが挙げられる。
【0045】
いくつかの実施形態では、緩衝モジュールを使用して振動を減少させることができる。緩衝モジュールは、本発明の、(キャリッジ間の)横力測定の実施形態および(プラテン間の)トルク測定の実施形態の両方で使用することができる。いくつかの実施形態では、キャリッジ間(およびプラテン間)の相対運動の範囲を制限する堅い留め具を採用して、検知/測定器具を保護し、構造的な安全性を可能にすることができる。
【0046】
研磨ヘッド120上の横力814の変化を監視することにより、研磨終点を決定することは、プラテン102、104上のトルクの変化を測定することの、望ましい代替となることができる。このことは、
図9Aおよび
図9Bに図示されるような、同じ研磨パッド101に同時に2つ以上の研磨ヘッドを使用するCMPシステム800’に関して、特に当てはまる。例えば、同時に研磨される2つの基板122、122’は異なる場合があり、したがって同じCMPシステム800’上でさえ異なる速度で研磨される場合があるので、各基板122、122’の研磨の進行を(例えば、摩擦変化の観点で)別個に監視できることが望ましい。
【0047】
ここで
図10A、
図10B、および
図10Cを参照すると、横力測定を使用する、研磨ヘッドアセンブリ1000、1010、1020の、3つの追加の代替実施形態が図示される。各実施形態では、横力測定器具の代わりに、変位測定器具を使用することができる。
図10Aでは、支持体は、
図5に図示されたものと同様の3つの屈曲部302を使用して実装される。より多いまたはより少ない屈曲部302を使用することができる。この実施形態では、横力測定器具は、屈曲部302上に取り付けられるひずみゲージ1002を使用して実装される。
図10Aでは、3つのひずみゲージ1002が、各屈曲部302に1つずつ使用される。より少ないひずみゲージ1002を使用できることに留意されたい。
【0048】
図10Bでは、支持体は、3つのベアリング1004(例えば、ロッド上の線形ボールブッシュベアリング)を使用して実装される。より多いまたはより少ないベアリング1004を使用することができる。この実施形態では、横力測定器具は、ベアリング1004上に取り付けられるひずみゲージ1002を使用して実装される。
図10Bでは、3つのひずみゲージ1002が、各ベアリング1004に1つずつ使用される。より少ないひずみゲージ1002を使用できることに留意されたい。
【0049】
図10Cでは、支持体は、3つのベアリング1004(例えば、ロッド上の線形ボールブッシュベアリング)を使用して実装される。より多いまたはより少ないベアリング1004を使用することができる。この実施形態では、横力測定器具は、上部キャリッジ806と下部キャリッジ804との間に取り付けられるロードセル1006を使用して実装される。
図10Cの実施形態では、1つのロードセル1006が使用される。より多くのロードセル1006を使用できることに留意されたい。市販されていて、いくつかの実施形態で使用することが可能なロードセル1006の例は、オハイオ州ColumbusのHoneywell Inc.によって製造されるIn−Line Load Cellモデルである。他の実際的なロードセルを使用することができる。例えば、ロードセルアレイを、いくつかの実施形態で使用することができる。いくつかの実施形態では、キャリッジ804とキャリッジ806との間に複数のロードセル1006を配設することができる。上の実施形態では、以下のタイプのベアリング、すなわち空気ベアリング、流体ベアリング、磁気ベアリング、深溝ベアリング、アンギュラコンタクトベアリング、ローラベアリング、線形ベアリング、および/またはテーパクロスローラベアリングの任意の組合せを使用できることに留意されたい。任意の他の実際的なタイプのベアリングを、追加で、または代替的に使用することができる。
【0050】
図11を参照すると、本発明のいくつかの実施形態にしたがった、基板を研磨する例示的な方法1100を図示する流れ図が提供される。下で記載される例示的な方法1100は、コンピュータプロセッサまたはコントローラ118の制御の下で、上に記載されたCMPシステムの実施形態のいずれかを使用して実装することができる。いくつかの実施形態では、コントローラまたは一般的なコンピュータプロセッサ上で実行するソフトウェア命令を使用して、以下の方法1100で記載される論理を実装することができる。他の実施形態では、方法1100の論理は、完全にハードウェアに実装することができる。
【0051】
ステップ1102では、アクチュエータは、基板を研磨するために、研磨パッドを保持しているプラテンを回転させる。ステップ1104では、基板を保持している研磨ヘッドが、プラテン上の研磨パッドに適用される。研磨パッドを用いた材料除去の期間に、基板を保持している研磨ヘッドの下向きの力が、プラテンの回転に対し抵抗(例えば、摩擦)を生じる。ステップ1106では、アクチュエータは、追加トルクを印加して抵抗を克服し、システムは、定常状態の回転に達する。ステップ1108では、上部キャリッジと下部キャリッジとの間に配設された横力測定器具を使用して、摩擦が横力の観点から測定される。いくつかの実施形態では、例えば屈曲部が支持体として使用される場合、相対的な変位を、印加される横力の表示として測定することができる。決定ステップ1110では、横力変化閾値が測定された横力と比較される。経時的に測定された横力の量が横力変化閾値よりも少なく変化する場合、システムは研磨/材料除去を継続し、フローは、横力が再び測定されるステップ1108に戻る。経時的に測定された横力変化の量が横力変化閾値以上である場合、システムは、ステップ1112で、研磨終点に到達したと決定する。
【0052】
いくつかの実施形態では、ステップ1112で一度終点に到達したら、研磨ヘッド内の基板は、プラテン上の研磨パッドから持ち上げられる。いくつかの実施形態では、検出された終点は、単に、1つの材料の層から第2の材料の層への移行を表し、最終的な終点に到達するまで研磨が継続することができる。複数の研磨ヘッドを備えるいくつかの実施形態では、上に記載したステップ(1104〜1112)は、異なる研磨ヘッドによって同時に、しかし独立に実行することができる。言い換えると、第1の研磨ヘッドが終点に到達し新しい基板をロードすることができる一方、第2の研磨ヘッドは、変化閾値に到達するのを待って横力の監視を継続する。
【0053】
したがって、本発明は、その好ましい実施形態に関連して開示されたが、他の実施形態が、以下の請求項に規定されるような、発明の趣旨および範囲に入る場合があることを理解されたい。