(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0016】
尚、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。また、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るフィルムの製造装置1を示す側面図である。
図1において、符号Sf1はフィルムFの上面であり、第1フィルムF1側の面である。符号Sf2はフィルムFの下面であり、第2フィルムF2側の面である。
【0018】
以下の説明においては、必要に応じてXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。本実施形態においては、帯状のフィルムの搬送方向をX方向としており、フィルムの面内においてX方向に直交する方向(長尺のフィルムの幅方向)をY方向、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向としている。
【0019】
図1に示すように、フィルムの製造装置1は、第1フィルムF1を供給する第1供給部7と、第2フィルムF2を供給する第2供給部8と、フィルムFの有無の欠陥の有無を検査する欠陥検査システム2と、フィルムFの搬送経路を形成する複数のロール(例えば、本実施形態では、第1ガイドロール10、第2ガイドロール11及び第3ガイドロール12)と、フィルムFを巻き取る巻き取り部9と、を備えている。
【0020】
尚、本実施形態では、フィルムFの搬送経路を形成する複数のロールとして、第1ガイドロール10、第2ガイドロール11及び第3ガイドロール12の3つのガイドロールが設けられているが、これに限らない。例えば、フィルムFの搬送経路を形成する複数のロールとして、4つ以上のガイドレールが設けられていてもよいし、ガイドロールの他にもニップロールやダンサロールが設けられていてもよい。また、このような接触ロール以外に、エアーバー等の非接触ロールが設けられていてもよい。
【0021】
フィルムFは、第1フィルムF1と、第1フィルムF1に剥離可能に積層された第2フィルムF2と、を有する帯状のフィルムである。本実施形態で使用されるフィルムFは、例えば、最終製品として使用されるフィルムである第1フィルムF1の一面が、セパレータフィルムである第2フィルムF2によって覆われた構造である。
【0022】
第1フィルムF1としては、例えば、TAC(Triacetylcellulose)フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、視野角拡大フィルムなどのフィルムが用いられる。第2フィルムF2としては、例えば、離型フィルム付き粘着材フィルムが用いられる。
尚、フィルムFは、第1フィルムF1の他面に、位相差フィルムや輝度向上フィルム等の複数の光学フィルムを積層したものでもよい。
【0023】
また、フィルムFにおいて第2フィルムF2を第1フィルムF1から剥離する場合には、第2フィルムF2全体を第1フィルムF1から剥離するのではない。例えば、フィルムFのうちの第2フィルムF2の一部(離型フィルム)を剥離して、剥離後のフィルム(第1フィルムF1及び粘着材)が粘着材の側からパネル等に貼合される。すなわち、第2フィルムF2の一部を剥離した後、第1フィルムF1の一面には第2フィルムF2の残りの部分(粘着材)が配置されている。
【0024】
第1供給部7は、帯状の第1フィルムF1を巻回した原反ロールR1を保持すると共に第1フィルムF1をその長手方向に沿って繰り出す。第1供給部7は、フィルムFの供給経路の一方側(
図1に示す+Z方向側)に配置されている。
【0025】
第2供給部8は、帯状の第2フィルムF2を巻回した原反ロールR2を保持すると共に第2フィルムF2をその長手方向に沿って繰り出す。第2供給部8は、フィルムFの供給経路の他方側(
図1に示す−Z方向側)に配置されている。
【0026】
尚、第1供給部7及び第2供給部8の配置構成は、これに限らない。例えば、第1供給部7がフィルムFの供給経路の他方側(
図1に示す−Z方向側)に配置され、且つ、第2供給部8がフィルムFの供給経路の一方側(
図1に示す+Z方向側)に配置されていてもよい。
【0027】
欠陥検査システム2は、第1フィルムF1及び第2フィルムF2の2枚のフィルムを貼合して1枚のフィルムFを形成する貼合ロール3と、貼合ロール3の下流側においてフィルムFが搬送される搬送ライン4と、搬送ライン4に設けられた欠陥検査装置5と、欠陥検査装置5よりも下流側の搬送ライン4に設けられた記録装置6と、を備えている。
【0028】
貼合ロール3は、互いに軸方向を平行にして配置された一対のニップロール3a,3bを有する。一対のニップロール3a,3bの間には所定の間隙が形成され、この間隙内が第1フィルムF1と第2フィルムF2との貼合位置となる。間隙内には、第1フィルムF1と第2フィルムF2とが重なり合って導入される。第1フィルムF1と第2フィルムF2とが、ニップロール3a,3bによって挟圧されつつ下流側に送り出される。これにより、第1フィルムF1の一方の面に第2フィルムF2が貼合される。
【0029】
貼合ロール3により、第1フィルムF1と第2フィルムF2とが貼合され、1枚のフィルムFが形成される。フィルムFは、欠陥検査装置5に向けて搬送される。
【0030】
欠陥検査装置5は、フィルムFの第1フィルムF1の側(
図1に示す+Z方向側)に配置された光源20と、フィルムFの第2フィルムF2の側(
図1に示す−Z方向側)に配置された撮像装置22と、光源20とフィルムFとの間の光路上に配置された第1偏光フィルター21と、撮像装置22とフィルムFとの間の光路上に配置された第2偏光フィルター23と、を備えている。
【0031】
欠陥検査装置5は、貼合ロール3以外で、第2フィルムF2の第1フィルムF1とは反対側の面Sf2に最初に接するロールよりも上流側の搬送ライン4に配置されている。本実施形態に係る欠陥検査装置5は、貼合ロール3の下流側であって第1ガイドロール10よりも上流側の搬送ライン4に配置されている。
【0032】
光源20の光射出面20aの中心と撮像装置22の受光面22aの中心とは、同軸(光軸CL上)に配置されている。
【0033】
図2は、第1偏光フィルター21の第1の吸収軸V1と第2偏光フィルター23の第2の吸収軸V2との配置関係を説明するための図である。
【0034】
図2に示すように、第1偏光フィルター21は、第1の吸収軸V1を有する。第2偏光フィルター23は、第1の吸収軸V1と直交する第2の吸収軸V2を有する。第1偏光フィルター21は、光源20と撮像装置22との間の光路上において、第1偏光フィルター21の第1の吸収軸V1と第2偏光フィルター23の第2の吸収軸V2とが互いに直交して配置(クロスニコル配置)される。
【0035】
本実施形態の場合、フィルムF(
図1参照)は、第1偏光フィルター21を透過した光に対して位相差を付与しないフィルムとなっている。そのため、第1偏光フィルター21の第1の吸収軸V1と第2偏光フィルター23の第2の吸収軸V2とをクロスニコル配置させると、第1偏光フィルター21と第2偏光フィルター23との重なり部分SVにおいては光を透過しない。そのため、撮像装置22によって重なり部分SVを撮像すると、第1偏光フィルター21と第2偏光フィルター23との間に位相差を有する欠陥等の偏光状態を乱すものが配置されていない限り、暗視野に見える。
【0036】
なお、フィルムFが、第1偏光フィルター21を透過した光に対して位相差を付与するフィルムである場合には、その位相差を相殺するような位相補償フィルムを第1偏光フィルター21と第2偏光フィルター23との間に配置してもよい。位相補償フィルムを配置しない場合には、第1偏光フィルター21の透過軸と第2偏光フィルター23の透過軸とを90°から所定角度ずれた角度に配置し、異物欠陥等の欠陥がない状態で、撮像装置22における受光強度が最小(暗視野)となるようにしてもよい。
【0037】
図3は、欠陥検査装置5の平面図である。
図3では、便宜上、フィルムFを図示している。
【0038】
図3に示すように、欠陥検査装置5を構成する光源20の光射出面20aは、長方形であり、Y方向に沿って長手を有している。本実施形態において、光源20の光射出面20aは、フィルムFの搬送方向と直交する幅方向に沿って長手を有している。光源20の光射出面20aは、フィルムFに対して幅方向に跨って形成されている。例えば、光源20としては、LEDライン光源を用いることができる。
【0039】
第1偏光フィルター21は、光源20の光射出面20aの外周部と重なるように配置されている。第1偏光フィルター21は、光源20の光射出面20aと同様に、Y方向に沿って長手を有している。第1偏光フィルター21は、X方向及びY方向の各々において光源20の光射出面20aよりも長くなっている。
【0040】
これにより、第1偏光フィルター21が光源20とフィルムFとの間の光路上に配置された場合において、光源20から射出された光はすべて第1偏光フィルター21に入射する。
【0041】
撮像装置22も、光源20の光射出面20aと同様に、Y方向に沿って長手を有している。例えば、撮像装置22としては、ラインカメラを用いることができる。
【0042】
第2偏光フィルター23は、撮像装置22の受光面22aの外周部と重なるように配置されている。第2偏光フィルター23は、撮像装置22の受光面22aと同様に、Y方向に沿って長手を有している。第2偏光フィルター23は、X方向及びY方向の各々において撮像装置22の受光面22aよりも長くなっている。
【0043】
図1に戻り、記録装置6は、第3ガイドロール12よりも下流側の搬送ライン4に設けられている。記録装置6は、欠陥検査装置5によって検出された欠陥に関する欠陥情報をフィルムF(例えば本実施形態では第1フィルムF1)に記録する。欠陥情報には、欠陥の位置や種類に関する情報等が含まれる。
【0044】
記録装置6は、例えば、欠陥情報を識別コード(一次元バーコード、二次元バーコード、QRコード(登録商標)など)の形式で第1フィルムF1の幅方向端部に記録する。識別コードには、例えば、欠陥検査装置5によって検出された欠陥が、バーコードが付された位置からフィルム幅方向に沿ってどれだけの距離だけ離れた位置に存在するかを示す情報(欠陥の位置に関する情報)が含まれる。識別コードには、検出された欠陥の種類に関する情報が含まれていてもよい。
【0045】
記録装置6は、第1フィルムF1の欠陥箇所に、欠陥を包含するような大きさのドット状、ライン状もしくは枠状のマークを付すことによって、欠陥の位置を第1フィルムF1上に直接表示(マーキング)してもよい。この際、前記マークとともに欠陥の種類を示す記号や模様を欠陥箇所に付すことによって、欠陥の種類に関する情報を記録してもよい。
【0046】
記録装置6によって欠陥情報が記録されたフィルムFは、巻き取り部9に向けて搬送される。そして、巻き取り部9においてロール状に巻き取られ、フィルムFのロール原反Rが製造される。
【0047】
ところで、欠陥検査装置は、通常、搬送ラインの下流側に設けられる。欠陥検査装置を搬送ラインの上流側に設けるよりも搬送ラインの下流側に設けたほうが、搬送中にフィルムに生じるキズ等の欠陥をまとめて検査することができるからである。例えば、欠陥検査装置は、フィルムが10〜20のロールに接した後に、フィルムの欠陥の有無を検査する。
【0048】
一方、最終製品において第2フィルムが第1フィルムから剥離される場合には、第2フィルムの表面のキズは問題とはならない。例えば、第2フィルムの表面にキズが生じていても、第1フィルムと第2フィルムとの間に異物欠陥等が存在しない場合には、フィルムを最終製品として問題無く使用することができる。
【0049】
しかしながら、フィルムの搬送中に第2フィルムの表面にキズが生じていると、本来問題とはならない第2フィルムの表面のキズが欠陥として誤検出される場合がある。この場合、最終製品として使用可能なフィルムが欠陥品として認識されてしまう。
【0050】
そこで本発明は、このような問題を解消するために、以下の構成を採用している。
本発明の第1実施形態に係る欠陥検査システム2は、第1フィルムF1と、第1フィルムF1に剥離可能に積層された第2フィルムF2と、を有する帯状のフィルムFの欠陥検査システムであって、第1フィルムF1と第2フィルムF2とを貼合してフィルムFを形成する貼合ロール3と、貼合ロール3の下流側においてフィルムFが搬送される搬送ライン4と、搬送ライン4に設けられた欠陥検査装置5と、欠陥検査装置5よりも下流側の搬送ライン4に設けられ、欠陥検査装置5によって検出された欠陥に関する欠陥情報をフィルムFに記録する記録装置6と、を含み、欠陥検査装置5は、貼合ロール3以外で、第2フィルムF2の第1フィルムF1とは反対側の面Sf2に最初に接するロール10よりも上流側の搬送ライン4に配置されていることを特徴とする。
【0051】
以下、
図4及び
図5を用いて本実施形態に係る欠陥検査システム2の作用効果について説明する。
【0052】
図4は、比較例1に係る欠陥検査システムによるフィルムFの欠陥検査を説明するための図である。
比較例1に係る欠陥検査システムにおいては、欠陥検査装置5が、貼合ロール3以外で、第2フィルムF2の第1フィルムF1とは反対側の面Sf2に接するロール(例えば複数のガイドロールのうち面Sf2に最後に接するガイドロール)よりも下流側の搬送ライン4に配置されている。
図4は、第1フィルムF1と第2フィルムF2とを貼合する際の気泡等の噛み込み等によりフィルムFに欠陥E1が存在しており、且つ、フィルムFの搬送中における第2フィルムF2とガイドロールとの摩擦により第2フィルムF2の表面にキズE2が生じている場合の図である。
【0053】
図4に示すように、光源20からフィルムFに向けて射出された光L1は、第1偏光フィルター21によって直線偏光L2とされる。第1偏光フィルター21により得られた直線偏光L2は、第1フィルムF1に入射する。すると、第1フィルムF1と第2フィルムF2との間に存在する欠陥E1により直線偏光L2の偏光状態が乱され、偏光状態が乱された光の一部(光L3)が第2偏光フィルター23を透過する。
【0054】
一方、第2フィルムF2の表面に存在するキズE2によっても直線偏光L2の偏光状態が乱され、偏光状態が乱された光の一部(光L4)が第2偏光フィルタ−23を透過する。
【0055】
その結果、第2偏光フィルター23を透過した光L3と光L4とが撮像装置22に入射し、撮像装置22によって欠陥E1と欠陥E2とが輝点として明るく撮像される。
【0056】
また、第1フィルムF1と第2フィルムF2との間に欠陥E1が存在しなくても、第2フィルムF2の表面にキズE2が存在する場合には、第2偏光フィルター23を透過した光L4が撮像装置22に入射し、撮像装置22によって欠陥E2が輝点として明るく撮像される。
【0057】
このように、比較例1においては、フィルムFの搬送中におけるガイドロールとの摩擦により第2フィルムF2の表面にキズE2が生じていると、最終製品において第2フィルムF2が第1フィルムF1から剥離される場合に本来問題とはならない第2フィルムF2の表面のキズが欠陥として誤検出されてしまう。
【0058】
図5は、本実施形態に係る欠陥検査システム2によるフィルムFの欠陥検査を説明するための図である。
本実施形態に係る欠陥検査システム2においては、欠陥検査装置5が、貼合ロール3以外で、第2フィルムF2の第1フィルムF1とは反対側の面Sf2に最初に接するロール(例えば本実施形態では第1ガイドロール10)よりも上流側の搬送ライン4に配置されている。
図5は、第1フィルムF1と第2フィルムF2とを貼合する際の気泡等の噛み込み等によりフィルムFに欠陥E1が存在している場合の図である。尚、第2フィルムF2にキズが付く前にフィルムFの欠陥が検査されるため、第2フィルムF2の表面にキズは生じていない。
【0059】
図5に示すように、光源20からフィルムFに向けて射出された光L1は、第1偏光フィルター21によって直線偏光L2とされる。第1偏光フィルター21により得られた直線偏光L2は、第1フィルムF1に入射する。すると、第1フィルムF1と第2フィルムF2との間に存在する欠陥E1により直線偏光L2の偏光状態が乱され、偏光状態が乱された光の一部(光L3)が第2偏光フィルター23を透過する。その結果、第2偏光フィルター23を透過した光L3が撮像装置22に入射し、撮像装置22によって欠陥E1が輝点として明るく撮像される。
【0060】
一方、第1フィルムF1と第2フィルムF2との間に欠陥E1が存在しない場合には、直線偏光L2は第2偏光フィルター23を透過することができない。その結果、撮像装置22には光が入射しないため、撮像装置22では黒い画像が撮像される。
【0061】
このように、本実施形態においては、第2フィルムF2の表面にキズが生じていないため、第2フィルムF2の表面のキズが欠陥として誤検出されることがない。
【0062】
以上説明したように、本実施形態によれば、欠陥検査装置5が、貼合ロール3以外で、第2フィルムF2の第1フィルムF1とは反対側の面Sf2に最初に接するロール(例えば本実施形態では第1ガイドロール10)よりも上流側の搬送ライン4に配置されているため、第2フィルムF2にキズが付く前にフィルムFの欠陥が検査される。すなわち、フィルムFの搬送中に、第2フィルムF2とガイドロールとの摩擦が生じないため、第2フィルムF2の表面にキズが生じない。従って、キズの検出による虚報欠陥を抑制することができる。
【0063】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図6〜
図9を用いて説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係るフィルムの製造装置101を示す側面図である。
図6に示すように、本実施形態に係るフィルムの製造装置101は、第1フィルムF1aが偏光子であり、欠陥検査装置105が、フィルムFaの偏光子F1aの側に配置された光源20と、フィルムFaの第2フィルムF2の側に配置された撮像装置22と、撮像装置22とフィルムFaとの間の光路上に配置された偏光フィルター123と、を備えている点で、第1実施形態に係るフィルムの製造装置1と異なる。その他の第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、詳細説明は省略する。
【0064】
フィルムFaは、偏光子F1aと、偏光子F1aに剥離可能に積層された第2フィルムF2と、を有する帯状のフィルムである。本実施形態で使用されるフィルムFは、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)等からなる偏光子F1aの一面が、セパレータフィルムである第2フィルムF2によって覆われた構造である。
【0065】
尚、フィルムFaは、偏光子F1aの他面に、位相差フィルムや輝度向上フィルム等の複数の光学フィルムを積層したものでもよい。
【0066】
本実施形態の場合、フィルムFaは、偏光子F1aを透過した光に対して位相差を付与しないフィルムとなっているが、フィルムFaが、偏光子F1aを透過した光に対して位相差を付与するフィルムである場合には、その位相差を相殺するような位相補償フィルムをフィルムFaと偏光フィルター123との間に配置してもよい。位相補償フィルムを配置しない場合には、偏光子F1aの透過軸と偏光フィルター123の透過軸とを90°から所定角度ずれた角度に配置し、異物欠陥等の欠陥がない状態で、撮像装置22における受光強度が最小(暗視野)となるようにしてもよい。
【0067】
欠陥検査装置105は、貼合ロール3以外で、第2フィルムF2の偏光子F1aとは反対側の面Sf2に最初に接するロールよりも上流側の搬送ライン4に配置されている。本実施形態に係る欠陥検査装置105は、貼合ロール3の下流側であって第1ガイドロール10よりも上流側の搬送ライン4に配置されている。
【0068】
図7は、偏光子F1aの吸収軸Vaと偏光フィルター123の吸収軸Vとの配置関係を説明するための図である。
【0069】
図7に示すように、偏光子F1aは、吸収軸Vaを有する。偏光フィルター123は、吸収軸Vaと直交する吸収軸Vを有する。偏光フィルター123は、光源20と撮像装置22との間の光路上において、偏光子F1aの吸収軸Vaと偏光フィルター123の吸収軸Vとが互いに直交して配置(クロスニコル配置)される。
【0070】
偏光子F1aの吸収軸Vaと偏光フィルター123の吸収軸Vとをクロスニコル配置させると、偏光子F1aと偏光フィルター123との重なり部分SVにおいては光を透過しない。そのため、撮像装置22によって重なり部分SVを撮像すると、偏光子F1aと偏光フィルター123との間に位相差を有する欠陥等の偏光状態を乱すものが配置されていない限り、暗視野に見える。
【0071】
以下、
図8及び
図9を用いて本実施形態に係る欠陥検査システム102の作用効果について説明する。
【0072】
図8は、比較例2に係る欠陥検査システムによるフィルムFaの欠陥検査を説明するための図である。
比較例2に係る欠陥検査システムにおいては、欠陥検査装置105が、貼合ロール3以外で、第2フィルムF2の偏光子F1aとは反対側の面Sf2に接するロール(例えば複数のガイドロールのうち面Sf2に最後に接するガイドロール)よりも下流側の搬送ライン4に配置されている。
図8は、偏光子F1aと第2フィルムF2とを貼合する際の気泡等の噛み込み等によりフィルムFaに欠陥E1が存在しており、且つ、フィルムFaの搬送中における第2フィルムF2とガイドロールとの摩擦により第2フィルムF2の表面にキズE2が生じている場合の図である。
【0073】
図8に示すように、光源20からフィルムFaに向けて射出された光L1は、偏光子F1aによって直線偏光L2とされる。偏光子F1aにより得られた直線偏光L2は、第2フィルムF2に入射する。すると、偏光子F1aと第2フィルムF2との間に存在する欠陥E1により直線偏光L2の偏光状態が乱され、偏光状態が乱された光の一部(光L3)が偏光フィルター123を透過する。
【0074】
一方、第2フィルムF2の表面に存在するキズE2によっても直線偏光L2の偏光状態が乱され、偏光状態が乱された光の一部(光L4)が偏光フィルタ−123を透過する。
【0075】
その結果、偏光フィルター123を透過した光L3と光L4とが撮像装置22に入射し、撮像装置22によって欠陥E1と欠陥E2とが輝点として明るく撮像される。
【0076】
また、偏光子F1aと第2フィルムF2との間に欠陥E1が存在しなくても、第2フィルムF2の表面にキズE2が存在する場合には、偏光フィルター123を透過した光L4が撮像装置22に入射し、撮像装置22によって欠陥E2が輝点として明るく撮像される。
【0077】
このように、比較例2においては、フィルムFaの搬送中におけるガイドロールとの摩擦により第2フィルムF2の表面にキズE2が生じていると、最終製品において第2フィルムF2が偏光子F1aから剥離される場合に本来問題とはならない第2フィルムF2の表面のキズが欠陥として誤検出されてしまう。
【0078】
図9は、本実施形態に係る欠陥検査システム102によるフィルムFaの欠陥検査を説明するための図である。
本実施形態に係る欠陥検査システム102においては、欠陥検査装置105が、貼合ロール3以外で、第2フィルムF2の偏光子F1aとは反対側の面Sf2に最初に接するロール(例えば本実施形態では第1ガイドロール10)よりも上流側の搬送ライン4に配置されている。
図9は、偏光子F1aと第2フィルムF2とを貼合する際の気泡等の噛み込み等によりフィルムFaに欠陥E1が存在している場合の図である。尚、第2フィルムF2にキズが付く前にフィルムFaの欠陥が検査されるため、第2フィルムF2の表面にキズは生じていない。
【0079】
図9に示すように、光源20からフィルムFaに向けて射出された光L1は、偏光子F1aによって直線偏光L2とされる。偏光子F1aにより得られた直線偏光L2は、第2フィルムF2に入射する。すると、偏光子F1aと第2フィルムF2との間に存在する欠陥E1により直線偏光L2の偏光状態が乱され、偏光状態が乱された光の一部(光L3)が偏光フィルター123を透過する。
【0080】
その結果、偏光フィルター123を透過した光L3が撮像装置22に入射し、撮像装置22によって欠陥E1が輝点として明るく撮像される。
【0081】
一方、偏光子F1aと第2フィルムF2との間に欠陥E1が存在しない場合には、直線偏光L2は偏光フィルター123を透過することができない。その結果、撮像装置22には光が入射しないため、撮像装置22では黒い画像が撮像される。
【0082】
このように、本実施形態においては、第2フィルムF2の表面にキズが生じていないため、第2フィルムF2の表面のキズが欠陥として誤検出されることがない。
【0083】
以上説明したように、本実施形態によれば、欠陥検査装置105が、貼合ロール3以外で、第2フィルムF2の偏光子F1aとは反対側の面Sf2に最初に接するロール(例えば本実施形態では第1ガイドロール10)よりも上流側の搬送ライン4に配置されているため、第2フィルムF2にキズが付く前にフィルムFaの欠陥が検査される。すなわち、フィルムFaの搬送中に、第2フィルムF2とガイドロールとの摩擦が生じないため、第2フィルムF2の表面にキズが生じない。従って、キズの検出による虚報欠陥を抑制することができる。
【0084】
以上、添付図面を参照しながら本実施形態に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。