【文献】
Langmuir,2001年,vol. 17,pp. 4367-4371
【文献】
Organic & biomolecular chemistry,2008年,vol. 6, no. 13,pp. 2400-2404
【文献】
LIQUID CRYSTALS,1997年,vol. 23, no. 2,pp. 217-225
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、前記式(1)で表される化合物(以下、場合により「化合物(1)」という。)、化合物(1)を有効成分とする二色性色素(以下、場合により「二色性色素(1)」という。)、該二色性色素と重合性液晶化合物とを含有する組成物(以下、場合により「偏光膜形成用組成物」という)、偏光膜形成用組成物から形成される偏光膜(以下、場合により「本偏光膜」という。)を提供するものである。本偏光膜は、液晶表示装置に好適に用いられるのみならず、有機EL表示装置に好適な円偏光板(以下、場合により「本円偏光板」という。)を製造することを可能にする。まず、化合物(1)について説明する。
【0009】
<化合物(1)>
化合物(1)は、前記式(1)で表されるものである。
化合物(1)の好適な態様を、前記式(1)の各基などを挙げることで説明する。
【0010】
式(1)のアゾベンゼン部位の幾何異性は、トランスが好ましい。
【0011】
式(1)におけるYは前記の式(Y1)又は式(Y2)で表される基であり、好ましくは式(Y1)で表される基である。式(Y1)及び式(Y2)において、両端の直線は結合手を表し、左側の結合手はアゾ基を有するフェニレン基と結合しており、右側の結合手はR
2を有するフェニレン基と結合している。Lは酸素原子又は−NR−であり、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。該アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基及びt−ブチル基などが挙げられる。中でも、Lは酸素原子又は−NH−であると好ましく、酸素原子であるとさらに好ましい。
【0012】
R
1は前記式(R
1−1)、式(R
1−2)又は式(R
1−3)で表される基であり、好ましくは式(R
1−2)及び式(R
1−3)で表される基である。式(R
1−2)で表される基における2つのmaはそれぞれ同一でも異なっていてもよいが、同一であると好ましい。maは0〜5の整数であるとさらに好ましい。
【0013】
R
2は、前記式(R
2−1)、式(R
2−2)、式(R
2−3)、式(R
2−4)、式(R
2−5)又は式(R
2−6)で表される基であり、式(R
2−2)、式(R
2−5)又は式(R
2−6)で表される基であるとより好ましく、式(R
2−6)で表される基であるとさらに好ましい。R
2が式(R
2−1)、式(R
2−2)、式(R
2−3)、式(R
2−5)又は式(R
2−6)で表される基である場合、当該基に含まれるmbは0〜5の整数であると好ましく、0〜3の整数であるとさらに好ましい。
【0014】
好ましい化合物(1)としては、以下の、式(1−1)〜式(1−8)で表される化合物などが挙げられる。
【0015】
中でも、式(1−1)、式(1−2)、式(1−3)、式(1−5)、式(1−7)及び式(1−8)で表される化合物が好ましく、式(1−1)、式(1−2)、式(1−3)及び式(1−7)で表される化合物が特に好ましい。
【0016】
ここで、化合物(1)の製造方法について説明する。化合物(1)は例えば、式(1X)で表される化合物[化合物(1X)]と、式(1Y)で表される化合物[化合物(1Y)]とから、下記図式で示す反応により製造することができる。
前記図式において、R
1、R
2及びYは前記と同じ意味であり、Re
1及びRe
2は、互いに反応してYで表される基となる基である。Re
1及びRe
2の組み合わせとしては例えば、カルボキシ基及び水酸基の組み合わせ、カルボキシ基及びアミノ基(かかるアミノ基はRで置換されていてもよい)の組み合わせ、カルボニルハライド基及び水酸基の組み合わせ、カルボニルハライド基及びアミノ基(かかるアミノ基はRで置換されていてもよい)の組み合わせ、カルボニルオキシアルキル基及び水酸基の組み合わせ、カルボニルオキシアルキル基及びアミノ基(かかるアミノ基はRで置換されていてもよい)の組み合わせなどが挙げられる。また、ここでは、R
1を有する化合物(1X)及びR
2を有する化合物(1Y)で説明するが、R
1を適当な保護基で保護した化合物や、R
2を適当な保護基で保護した化合物互いに反応して、その後、適当な脱保護反応を行うことで化合物(1)を製造することもできる。
【0017】
化合物(1X)及び化合物(1Y)を反応する際の反応条件は、用いる化合物(1X)及び化合物(1Y)の種類に応じて適宜、最適な公知の条件を選択できる。
例えば、Re
1がカルボキシ基であり、Re
2が水酸基であり、Yが−C(=O)−O−である場合の反応条件としては、例えば、溶媒中、エステル化縮合剤の存在下で縮合する条件が挙げられる。溶媒としては、クロロホルム等の、化合物(1X)及び化合物(1Y)をともに可溶な溶媒が挙げられる。エステル化縮合剤としては、ジイソプロピルカルボジイミド(IPC)などが挙げられる。ここでは、さらにジメチルアミノピリジン(DMAP)等の塩基を併用するが好ましい。反応温度は、化合物(1X)及び化合物(1Y)の種類に応じて選択されるが、例えば−15〜70℃の範囲が挙げられ、好ましくは0〜40℃の範囲である。反応時間は、例えば15分〜48時間の範囲が挙げられる。
【0018】
反応時間は、反応途中の反応混合物を適宜サンプリングし、液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段により、化合物(1X)及び化合物(1Y)の消失の度合いや、化合物(1)の生成の度合いを確認して、定めることもできる。
【0019】
反応後の反応混合物から、再結晶、再沈殿、抽出及び各種クロマトグラフィーといった公知の方法により、或いはこれらの操作を組み合わせることにより、化合物(1)を取り出すことができる。
【0020】
化合物(1)は偏光膜に用いる二色性色素として有用である。かかる二色性色素は、400〜520nmの範囲に吸収極大を有することを著しく損なわない程度であれば、化合物(1)以外の化合物を含んでいてもよいが、化合物(1)のみからなる二色性色素であると好ましい。二色性色素(1)は、その吸収極大が430〜520nmであるとさらに好ましく、440〜510nmであると特に好ましい。なお、二色性色素(1)が上記範囲の吸収極大を示すものであれば、該二色性色素(1)は複数種の化合物(1)を含んでいてもよい。
【0021】
<偏光膜形成用組成物>
次に、本発明の偏光膜形成用組成物について説明する。偏光膜形成用組成物は重合性液晶化合物を含む。
【0022】
偏光膜形成用組成物における二色性色素(1)の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、50質量部以下であると好ましく、0.1質量部以上10質量部以下の範囲がより好ましく、0.1質量部以上5質量部以下の範囲がさらに好ましい。上記範囲内であれば、二色性色素(1)の溶剤に対する溶解性が十分であり、欠陥の発生が無い本偏光膜が得られやすい。また、二色性色素(1)の含有量が上記範囲内であれば、偏光膜の形成において、重合性液晶化合物の配向が乱れ難く好ましい。
【0023】
本発明の偏光膜形成用組成物における二色性色素(1)以外の構成成分について説明する。
【0024】
<重合性液晶化合物>
二色性色素(1)と重合性液晶化合物とを含む偏光膜形成用組成物は、重合性液晶化合物を配向させた状態で重合することにより、本偏光膜となる。重合性液晶化合物とは、分子内に重合性基を有する液晶化合物であり、該重合性基はラジカル重合性基であると特に好ましい。ラジカル重合性基とは、ラジカル重合反応に関与する基を意味する。
【0025】
本発明の偏光膜形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物は、ネマチック液晶相を示すものであっても、スメクチック液晶相を示すものであっても、ネマチック液晶相及びスメクチック液晶相の両方を示すものであってもよいが、少なくともスメクチック液晶相を示す重合性スメクチック液晶化合物であると好ましい。重合性スメクチック液晶化合物を含む偏光膜形成用組成物は、より偏光性能に優れる本偏光膜が得られる点で好ましく、さらに二色性色素(1)は、重合性スメクチック液晶化合物から形成される、密な分子鎖間に分散された状態であっても、極めて二色比が高い本偏光膜が得られるため、当該二色性色素(1)の効果をより一層享受できる。
【0026】
重合性スメクチック液晶化合物が示すスメクチック液晶相としては、高次スメクチック液晶相が好ましい。ここでいう高次スメクチック液晶相とは、スメクチックB相、スメクチックD相、スメクチックE相、スメクチックF相、スメクチックG相、スメクチックH相、スメクチックI相、スメクチックJ相、スメクチックK相及びスメクチックL相であり、中でも、スメクチックB相、スメクチックF相及びスメクチックI相がより好ましい。重合性液晶化合物が示すスメクチック液晶相がこれらの高次スメクチック液晶相であると、配向秩序度のより高い本偏光膜を製造することができる。また、このように配向秩序度の高い高次スメクチック液晶相から作製した本偏光膜はX線回折測定においてヘキサチック相やクリスタル相といった高次構造由来のブラッグピークが得られるものである。当該ブラッグピークとは、分子配向の面周期構造に由来するピークであり、本発明の偏光膜形成用組成物によれば、周期間隔が3.0〜5.0Åである本偏光膜を得ることができる。
【0027】
偏光膜形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物が、ネマチック液晶性やスメクチック液晶性を示すか否かは例えば、以下のようにして確認できる。適当な基材を準備し、該基材に偏光膜形成用組成物を塗布して塗布膜を形成した後、重合性液晶化合物が重合しない条件で加熱処理又は減圧処理することで塗布膜に含有される溶剤を除去する。続いて、基材上に形成された塗布膜を等方相温度まで加熱し、徐々に冷却することで発現する液晶相を、偏光顕微鏡によるテクスチャー観察、X線回折測定又は示差走査熱量測定により検査する。この検査において、例えば、冷却することでネマチック液晶相を示し、さらに冷却することで、スメクチック液晶相を示す重合性液晶化合物が、特に好ましい。ネマチック液晶相及びスメクチック液晶相において、重合性液晶化合物と二色性色素(1)とが相分離していないことは、例えば、各種顕微鏡による表面観察やヘイズメーターによる散乱度測定により確認できる。
【0028】
以下、偏光膜形成用組成物に用いる重合性液晶化合物として好ましいものの具体例を挙げる。
好ましい重合性液晶化合物としては、例えば、式(2)で表される化合物(以下、場合により「化合物(2)」という)が挙げられる。
U
1−V
1−W
1−X
1−Y
1−X
2−Y
2−X
3−W
2−V
2−U
2 (2)
[式(2)中、
X
1、X
2及びX
3は、互いに独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基又は置換基を有していてもよいシクロヘキサン−1,4−ジイル基を表す。ただし、X
1、X
2及びX
3のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基である。置換基を有していてもよいシクロへキサン−1,4−ジイル基を構成する−CH
2−は、−O−、−S−又は−NR−に置き換わっていてもよい。Rは、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基である。
Y
1及びY
2は、互いに独立に、−CH
2CH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCOO−、単結合、−N=N−、−CR
a=CR
b−、−C≡C−又は−CR
a=N−を表す。R
a及びR
bは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
U
1は、水素原子又は重合性基を表す。
U
2は、重合性基を表す。
W
1及びW
2は、互いに独立に、単結合、−O−、−S−、−COO−又は−OCOO−を表す。
V
1及びV
2は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基を構成する−CH
2−は、−O−、−S−又は−NH−に置き換わっていてもよい。]
【0029】
化合物(2)において、X
1、X
2及びX
3のうち、少なくも2つが、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基であることが好ましい。
置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基は、無置換であることが好ましい。置換基を有していてもよいシクロへキサン−1,4−ジイル基は、置換基を有していてもよいトランス−シクロへキサン−1,4−ジイル基であることが好ましく、置換基を有していてもよいトランス−シクロへキサン−1,4−ジイル基は無置換であることがより好ましい。
【0030】
置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基又は置換基を有していてもよいシクロへキサン−1,4−ジイル基が任意に有する置換基としては、メチル基、エチル基及びブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基;シアノ基;ハロゲン原子などが挙げられる。
【0031】
化合物(2)のY
1は、−CH
2CH
2−、−COO−又は単結合であると好ましく、Y
2は、−CH
2CH
2−又は−CH
2O−であると好ましい。
【0032】
U
2は、重合性基である。U
1は、水素原子又は重合性基であり、好ましくは重合性基である。U
1及びU
2は、ともに重合性基であると好ましく、ともに光重合性基であるとさらに好ましい。ここで、光重合性基とは、後述する光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸などによって重合反応に関与し得る基をいう。光重合性基を有する重合性液晶化合物は、より低温条件下で重合できる点で有利である。
【0033】
化合物(2)において、U
1及びU
2の重合性基は互いに異なっていてもよいが、同じ種類の基であることが好ましい。重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1−クロロビニル基、イソプロペニル基、4−ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。
【0034】
V
1及びV
2が表す置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルカンジイル基における炭素数1〜20のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基及びイコサン−1,20−ジイル基などが挙げられる。V
1及びV
2は、好ましくは炭素数2〜12のアルカンジイル基であり、より好ましくは炭素数6〜12のアルカンジイル基である。
置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルカンジイル基が任意に有する置換基としては、シアノ基及びハロゲン原子などを挙げることができるが、該アルカンジイル基は、無置換であると好ましく、無置換且つ直鎖状であるとより好ましい。
【0035】
W
1及びW
2は、互いに独立に、好ましくは単結合又は−O−である。
【0036】
化合物(2)としては、式(2−1)〜式(2−43)で表される化合物などが挙げられる。かかる化合物(2)の具体例が、シクロヘキサン−1,4−ジイル基を有する場合、かかるシクロヘキサン−1,4−ジイル基は、トランス体であることが好ましい。
【0041】
重合性液晶化合物は、単独又は2種以上を混合して、偏光膜形成用組成物に用いることができる。また、2種以上を混合する場合、少なくとも1種が化合物(2)であると好ましい。重合性液晶化合物を2種混合する場合の混合比としては、通常、1:99〜50:50であり、好ましくは5:95〜50:50であり、より好ましくは10:90〜50:50である。
【0042】
例示した化合物(2)の中でも、式(2−5)、式(2−6)、式(2−7)、式(2−8)、式(2−9)、式(2−10)、式(2−11)、式(2−12)、式(2−13)、式(2−14)、式(2−15)、式(2−22)、式(2−24)、式(2−25)、式(2−26)、式(2−27)、式(2−28)及び式(2−29)で表される化合物が好ましい。これらの化合物は、その他の重合性液晶化合物との相互作用により、容易に結晶相転移温度を下回る温度条件下で、すなわち高次のスメクチック相の液晶状態を十分に保持したままで、重合することができる。具体的には、これらの化合物は、70℃以下、好ましくは60℃以下の温度条件下で、高次のスメクチック相の液晶状態を十分に保持したまま重合することができる。
【0043】
偏光膜形成用組成物における重合性液晶化合物の含有割合は、偏光膜形成用組成物の固形分に対して、50〜99.9質量%が好ましく、80〜99.9質量%がより好ましい。重合性液晶化合物の含有割合が上記範囲内であれば、重合性液晶化合物の配向性が高くなる傾向があり好ましい。ここで、固形分とは、偏光膜形成用組成物から溶剤を除いた成分の合計量のことをいう。
【0044】
重合性液晶化合物は、例えば、Lub et al. Recl.Trav.Chim.Pays−Bas,115, 321−328(1996)、又は特許第4719156号などに記載の公知方法で製造される。
【0045】
<溶剤>
本発明における偏光膜形成用組成物は、溶剤を含むことが好ましい。溶剤としては、重合性液晶化合物及び二色性色素(1)を完全に溶解し得る溶剤が好ましい。また、偏光膜形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物の重合反応に不活性な溶剤であることが好ましい。
【0046】
溶剤としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン又はプロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び乳酸エチルなどのエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン及びメチルイソブチルケトンなどのケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン及びヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶剤;トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素溶剤;アセトニトリルなどのニトリル溶剤;テトラヒドロフラン及びジメトキシエタンなどのエーテル溶剤;クロロホルム及びクロロベンゼンなどの塩素含有溶剤;などが挙げられる。これら溶剤は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
溶剤の含有割合は、偏光膜形成用組成物の総量に対して50〜98質量%が好ましい。
換言すると、偏光膜形成用組成物における固形分は、2〜50質量%が好ましい。固形分が2質量%以上であると、薄型の本偏光膜が得られやすい傾向があり好ましい。又、該固形分が50質量%以下であると、偏光膜形成用組成物の粘度が低くなることから、本偏光膜の厚みが略均一になることで、本偏光膜にムラが生じにくくなる傾向があり好ましい。また、かかる固形分は、偏光膜の厚みを考慮して定めることができる。
【0048】
<重合反応助剤>
本発明における偏光膜形成用組成物は、重合開始剤を含有すると好ましい。重合開始剤は、重合性液晶化合物の重合反応を開始し得る化合物である。重合開始剤としては、低温条件下で、当該重合反応を開始できる点で、光重合開始剤が好ましい。具体的には、光の作用により活性ラジカル又は酸を発生する化合物が光重合開始剤として用いられる。光重合開始剤の中でも、光の作用により活性ラジカルを発生するものがより好ましい。
【0049】
重合開始剤としては、例えばベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩などが挙げられる。
【0050】
ベンゾイン化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル及びベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0051】
ベンゾフェノン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン及び2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0052】
アルキルフェノン化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1,2−ジフェニル−2,2−ジメトキシエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられる。
【0053】
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
【0054】
トリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン及び2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0055】
重合開始剤は、市販のものを用いることもできる。市販の重合開始剤としては、”イルガキュア(Irgacure)907”、”イルガキュア184”、”イルガキュア651”、”イルガキュア819”、”イルガキュア250”、”イルガキュア369”(チバ・ジャパン(株));”セイクオールBZ”、”セイクオールZ”、”セイクオールBEE”(精工化学(株));”カヤキュアー(kayacure)BP100”(日本化薬(株));”カヤキュアーUVI−6992”(ダウ社製);”アデカオプトマーSP−152”、”アデカオプトマーSP−170”((株)ADEKA);”TAZ−A”、”TAZ−PP”(日本シイベルヘグナー社);及び”TAZ−104”(三和ケミカル社)などが挙げられる。
【0056】
偏光膜形成用組成物が重合開始剤を含有する場合、その含有量は、偏光膜形成用組成物に含有される重合性液晶化合物の種類及びその量に応じて適宜調節できるが、通常、重合性液晶化合物の含有量100質量部に対する重合開始剤の含有量は、0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜10質量部であり、より好ましくは0.5〜8質量部である。重合開始剤の含有量が、上記範囲内であれば、重合性液晶化合物の配向を乱すことなく重合させることができるため好ましい。
【0057】
偏光膜形成用組成物が光重合開始剤を含有する場合、偏光膜形成用組成物は光増感剤を含有してもよい。光増感剤としては例えば、キサントン及びチオキサントンなどのキサントン化合物(例えば、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなど);アントラセン及びアルコキシ基含有アントラセン(例えば、ジブトキシアントラセンなど)などのアントラセン化合物;フェノチアジン及びルブレンなどが挙げられる。
【0058】
偏光膜形成用組成物が光重合開始剤及び光増感剤を含有する場合、偏光膜形成用組成物に含有される重合性液晶化合物の重合反応がより促進される。
かかる光増感剤の含有量は、併用する光重合開始剤及び重合性液晶化合物の種類及びその量に応じて適宜調節できるが、通常、重合性液晶化合物の含有量100質量部に対して0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜10質量部であり、より好ましくは0.5〜8質量部である。
【0059】
偏光膜形成用組成物は、重合性液晶化合物の重合反応を安定的に進行させるために、重合禁止剤を含んでいてもよい。重合禁止剤により、重合性液晶化合物の重合反応の進行度合いをコントロールすることができる。
【0060】
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、アルコキシ基含有ハイドロキノン、アルコキシ基含有カテコール(例えば、ブチルカテコールなど)、ピロガロール、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカルなどのラジカル補足剤;チオフェノール類;β−ナフチルアミン類及びβ−ナフトール類などが挙げられる。
【0061】
偏光膜形成用組成物が重合禁止剤を含む場合、その含有量は、用いる重合性液晶化合物の種類及びその量、並びに光増感剤の含有量などに応じて適宜調節されるが、通常、重合性液晶化合物の含有量100質量部に対して、0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜10質量部であり、より好ましくは0.5〜8質量部である。重合禁止剤の含有量が、上記範囲内であれば、偏光膜形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物の配向を乱すことなく重合させることができるため好ましい。
【0062】
<レベリング剤>
偏光膜形成用組成物は、レベリング剤を含むと好ましい。レベリング剤とは、偏光膜形成用組成物の流動性を調整し、偏光膜形成用組成物を塗布して得られる塗布膜をより平坦にする機能を有するものであり、界面活性剤などを挙げることができる。好ましいレベリング剤としては、ポリアクリレート化合物を主成分とするレベリング剤及びフッ素原子含有化合物を主成分とするレベリング剤等が挙げられる。
【0063】
ポリアクリレート化合物を主成分とするレベリング剤としては、”BYK−350”、”BYK−352”、”BYK−353”、”BYK−354”、”BYK−355”、”BYK−358N”、”BYK−361N”、”BYK−380”、”BYK−381”及び”BYK−392”[BYK Chemie社]などが挙げられる。
【0064】
フッ素原子含有化合物を主成分とするレベリング剤としては、”メガファックR−08”、同”R−30”、同”R−90”、同”F−410”、同”F−411”、同”F−443”、同”F−445”、同”F−470”、同”F−471”、同”F−477”、同”F−479”、同”F−482”及び同”F−483”[DIC(株)];”サーフロンS−381”、同”S−382”、同”S−383”、同”S−393”、同”SC−101”、同”SC−105”、”KH−40”及び”SA−100”[AGCセイミケミカル(株)];”E1830”、”E5844”[(株)ダイキンファインケミカル研究所];”エフトップEF301”、同”EF303”、同”EF351”及び同”EF352”[三菱マテリアル電子化成(株)]などが挙げられる。
【0065】
偏光膜形成用組成物がレベリング剤を含む場合、その含有量は、通常、重合性液晶化合物の含有量100質量部に対して、0.3質量部以上5質量部以下であり、が好ましくは0.5質量部以上3質量部以下である。レベリング剤の含有量が前記の範囲内であると、重合性液晶化合物を水平配向させることが容易であり、かつ得られる偏光膜がより平滑となる傾向があるため好ましい。重合性液晶化合物に対するレベリング剤の含有量が前記の範囲を超えると、得られる本偏光膜にムラが生じやすい傾向がある。なお、偏光膜形成用組成物は、レベリング剤を2種類以上含有していてもよい。
【0066】
<本偏光膜の形成方法>
次に、偏光膜形成用組成物から本偏光膜を形成する方法について説明する。かかる方法では、偏光膜形成用組成物を基材に、好ましくは透明基材に塗布することにより本偏光膜を形成する。以下、透明基材について説明する。
【0067】
<透明基材>
透明基材とは光、特に可視光を透過し得る程度の透明性を有する基材である。該透明性とは、波長380〜780nmに渡る光線に対しての透過率が80%以上となる特性をいう。具体的に、透明基材としては、ガラス基材及びプラスチック基材等を挙げることができる。プラスチック基材を構成するプラスチックとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマーなどのポリオレフィン;環状オレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート;ポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸エステル;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース及びセルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィド及びポリフェニレンオキシドなどのプラスチックが挙げられる。中でも、市場から容易に入手できたり、透明性に優れていたりする点から、とりわけ好ましくは、セルロースエステル、環状オレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート又はポリメタクリル酸エステルである。かかる透明基材を用いて、本偏光膜を製造するに当たり、該透明基材を運搬したり、保管したりする際に破れなどの破損を起こすことなく容易に取り扱える点で、該透明基材に支持基材などを貼り付けておいてもよい。また、後述するが、本偏光膜から円偏光板を製造する際に、プラスチック基材に位相差性を付与することがある。この場合には、プラスチック基材に延伸処理などにより位相差性を付与すればよい。
【0068】
プラスチック基材に位相差性を付与する場合、その位相差値をコントロールし易いという点で、セルロースエステル又は環状オレフィン系樹脂からなるプラスチック基材が好ましい。
セルロースエステルは、セルロースに含まれる水酸基の少なくとも一部が、酢酸エステル化されたものである。このようなセルロースエステルからなるセルロースエステルフィルムは市場から容易に入手することができる。市販のトリアセチルセルロースフィルムとしては、例えば、“フジタックフィルム”(富士写真フイルム(株));“KC8UX2M”、“KC8UY”及び“KC4UY”(コニカミノルタオプト(株))などがある。このような市販トリアセチルセルロースフィルムは、そのまま又は必要に応じて位相差性を付与してから透明基材として用いることができる。また、準備した透明基材の表面に、防眩処理、ハードコート処理、帯電防止処理又は反射防止処理などの表面処理を施してから、透明基材として使用することができる。
【0069】
プラスチック基材に位相差性を付与するには、上述のとおり、プラスチック基材を延伸するなどの方法による。熱可塑性樹脂からなるプラスチック基材は、いずれも延伸処理が可能であるが、位相差性を制御し易いという点で、環状オレフィン系樹脂からなるプラスチック基材がより好ましい。環状オレフィン系樹脂とは例えば、ノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマーなどの環状オレフィンの重合体又は共重合体から構成されるものであり、当該環状オレフィン系樹脂は部分的に、開環部を含んでいてもよい。また、開環部を含む環状オレフィン系樹脂を水素添加したものでもよい。また、当該環状オレフィン系樹脂は、透明性を著しく損なわない点や、著しく吸湿性を増大させない点で、例えば、環状オレフィンと、鎖状オレフィンやビニル化芳香族化合物(スチレンなど)等との共重合体であってもよい。また、該環状オレフィン系樹脂は、その分子内に極性基が導入されていてもよい。
【0070】
環状オレフィン系樹脂が、環状オレフィンと、鎖状オレフィンやビニル基を有する芳香族化合物との共重合体である場合、当該鎖状オレフィンとしては、エチレンやプロピレンなどであり、また、ビニル化芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン及びアルキル置換スチレンなどである。このような共重合体において、環状オレフィンに由来する構造単位の含有割合は、環状オレフィン系樹脂の全構造単位に対して、50モル%以下、例えば、15〜50モル%程度の範囲である。環状オレフィン系樹脂が、環状オレフィンと、鎖状オレフィンと、ビニル化芳香族化合物とから得られる三元共重合体である場合、例えば、鎖状オレフィン由来の構造単位の含有割合は、該環状オレフィン系樹脂の全構造単位に対して5〜80モル%程度であり、ビニル化芳香族化合物由来の構造単位の含有割合は5〜80モル%程度である。このような三元共重合体の環状オレフィン系樹脂は、該環状オレフィン系樹脂を製造する際に、高価な環状オレフィンの使用量を比較的少なくすることができるという利点がある。
【0071】
環状オレフィン系樹脂は、市場から容易に入手できる。市販の環状オレフィン系樹脂としては、“Topas”[Ticona社(独)];“アートン”[JSR(株)];“ゼオノア(ZEONOR)”及び“ゼオネックス(ZEONEX)”[日本ゼオン(株)];“アペル”[三井化学(株)製]などが挙げられる。このような環状オレフィン系樹脂を例えば、溶剤キャスト法や溶融押出法などの公知の製膜手段により製膜して、フィルム(環状オレフィン系樹脂フィルム)とすることができる。また、すでにフィルムの形態で市販されている環状オレフィン系樹脂フィルムも用いることができる。このような市販の環状オレフィン系樹脂フィルムとしては例えば、“エスシーナ”及び“SCA40”[積水化学工業(株)];“ゼオノアフィルム”[オプテス(株)];“アートンフィルム”[JSR(株)]などが挙げられる。
【0072】
続いて、プラスチック基材に位相差性を付与する方法について説明する。プラスチック基材は、公知の延伸方法により位相差性を付与することができる。例えば、プラスチック基材がロールに巻き取られているロール(巻き取り体)を準備し、かかる巻き取り体から、プラスチック基材を連続的に巻き出し、巻き出されたプラスチック基材を加熱炉へと搬送する。加熱炉の設定温度は、プラスチック基材のガラス転移温度近傍(℃)〜[ガラス転移温度+100](℃)の範囲、好ましくは、ガラス転移温度近傍(℃)〜[ガラス転移温度+50](℃)の範囲とする。当該加熱炉においては、プラスチック基材の進行方向へ、又は進行方向と直交する方向へ延伸する際に、搬送方向や張力を調整し任意の角度に傾斜をつけて一軸又は二軸の熱延伸処理を行う。延伸の倍率は、通常1.1〜6倍程度の範囲であり、好ましくは1.1〜3.5倍程度の範囲である。また、斜め方向に延伸する方法としては、連続的に配向軸を所望の角度に傾斜させることができるものであれば、特に限定されず、公知の延伸方法が採用できる。このような延伸方法は例えば、特開昭50−83482号公報や特開平2−113920号公報に記載された方法を挙げることができる。
【0073】
透明基材の厚みは、実用的な取扱いができる程度の重量である点、及び、十分な透明性が確保できる点では、薄い方が好ましいが、薄すぎると強度が低下し、加工性に劣る傾向がある。ガラス基材の適当な厚みは、例えば、100〜3000μm程度であり、好ましくは100〜1000μm程度である。プラスチック基材の適当な厚みは、例えば、5〜300μm程度であり、好ましくは20〜200μm程度である。本偏光膜を、後述する円偏光板として使用する場合、特にモバイル機器用途の円偏光板として使用する場合の透明基材の厚みは20〜100μm程度が好ましい。なお、延伸することでフィルムに位相差性を付与する場合、延伸後の厚みは、延伸前の厚みや延伸倍率によって決定される。
【0074】
<配向膜>
本偏光膜の製造に用いる基材には、配向膜が形成されていることが好ましい。その場合、偏光膜形成用組成物は配向膜上に塗布することとなる。このため該配向膜は、偏光膜形成用組成物の塗布などにより溶解しない程度の溶剤耐性を有することが好ましい。また、溶剤の除去や液晶の配向のための加熱処理における耐熱性を有することが好ましい。かかる配向膜の形成には、配向性ポリマーを用いることができる。
【0075】
前記配向性ポリマーとしては、例えば分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミド及びその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸又はポリアクリル酸エステル類等のポリマーを挙げることができる。これらの中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。配向膜を形成するこれらの配向性ポリマーは、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0076】
前記配向性ポリマーは、溶剤に溶解した配向性ポリマー組成物(配向性ポリマーを含む溶液)として、基材上に塗布することにより、該基材上に配向膜を形成することができる。該溶剤としては、水;メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び乳酸エチルなどのエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン及びヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶媒;テトラヒドロフラン及びはジメトキシエタン等のエーテル溶媒;クロロホルム及びクロロベンゼン等の塩素置換炭化水素溶媒などが挙げられる。これら有機溶剤は、単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0077】
また配向膜を形成するための配向性ポリマー組成物として、市販の配向膜材料をそのまま使用してもよい。市販の配向膜材料としては、サンエバー(登録商標、日産化学工業(株)製)及びオプトマー(登録商標、JSR(株)製)などが挙げられる。
【0078】
上記基材に配向膜を形成する方法としては、例えば基材に、上記配向性ポリマー組成物や市販の配向膜材料を塗布し、アニールする方法等が挙げられる。このようにして得られる配向膜の厚さは、通常、10〜10000nmの範囲であり、好ましくは10〜1000nmの範囲である。
【0079】
前記配向膜に対して配向規制力を付与するために、必要に応じてラビングを行うこと(ラビング法)が好ましい。配向規制力を付与することにより重合性液晶化合物を所望の方向に配向させることができる。
【0080】
ラビング法により配向規制力を付与する方法としては、例えばラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールを準備し、基材上に配向膜形成用の塗布膜が形成された積層体をステージに載せて、回転しているラビングロールに向けて搬送することで、該配向膜形成用塗布膜と、回転しているラビングロールとを接触させる方法が挙げられる。
【0081】
また、いわゆる光配向膜も利用することができる。光配向膜とは、光反応性基を有するポリマー又はモノマーと溶剤とを含む組成物(以下、場合により「光配向層形成用組成物」という)を基材に塗布し、偏光(好ましくは、偏光UV)を照射することによって配向規制力を付与した配向膜のことをいう。光反応性基とは、光を照射すること(光照射)により液晶配向能を生じる基をいう。具体的には、光を照射することで生じる分子の配向誘起又は異性化反応、二量化反応、光架橋反応、あるいは光分解反応のような、液晶配向能の起源となる光反応を生じるものである。当該光反応性基の中でも、二量化反応又は光架橋反応を起こすものが、配向性に優れ、偏光膜形成時のスメクチック液晶状態を保持する点で好ましい。以上のような反応を生じうる光反応性基としては、不飽和結合、特に二重結合であると好ましく、炭素−炭素二重結合(C=C結合)、炭素−窒素二重結合(C=N結合)、窒素−窒素二重結合(N=N結合)、及び炭素−酸素二重結合(C=O結合)からなる群より選ばれる少なくとも一つを有する基が特に好ましい。
【0082】
C=C結合を有する光反応性基としては例えば、ビニル基、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾ−ル基、スチルバゾリウム基、カルコン基及びシンナモイル基などが挙げられる。C=N結合を有する光反応性基としては、芳香族シッフ塩基及び芳香族ヒドラゾンなどの構造を有する基が挙げられる。N=N結合を有する光反応性基としては、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環アゾ基、ビスアゾ基及びホルマザン基などや、アゾキシベンゼンを基本構造とするものが挙げられる。C=O結合を有する光反応性基としては、ベンゾフェノン基、クマリン基、アントラキノン基及びマレイミド基などが挙げられる。これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アリ−ル基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基及びハロゲン化アルキル基などの置換基を有していてもよい。
中でも、光二量化反応を起こしうる光反応性基が好ましく、シンナモイル基及びカルコン基が、光配向に必要な偏光照射量が比較的少なく、かつ、熱安定性や経時安定性に優れる光配向膜が得られやすいため好ましい。さらにいえば、光反応性基を有するポリマーとしては、当該ポリマー側鎖の末端部が桂皮酸構造となるようなシンナモイル基を有するものが特に好ましい。
【0083】
光配向層形成用組成物の溶剤としては、光反応性基を有するポリマー及びモノマーを溶解するものが好ましく、該溶剤としては、例えば、上述の配向性ポリマー組成物に用いた溶剤が挙げられる。
【0084】
光配向層形成用組成物に対する、光反応性基を有するポリマー又はモノマーの濃度は、当該光反応性基を有するポリマー又はモノマーの種類や製造しようとする光配向膜の厚みによって適宜調節できるが、固形分濃度で表して、少なくとも0.2質量%とすることが好ましく、0.3〜10質量%の範囲が特に好ましい。また、光配向膜の特性が著しく損なわれない範囲で、該配向層形成用組成物は、ポリビニルアルコ−ルやポリイミドなどの高分子材料や光増感剤が含まれていてもよい。
【0085】
前記配向性ポリマー組成物又は光配向層形成用組成物を基材に塗布する方法としては、スピンコ−ティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法及びアプリケータ法などの塗布法や、フレキソ法などの印刷法などの公知の方法が採用される。なお、本偏光膜製造を、後述するRolltoRoll形式の連続的製造方法により実施する場合、当該塗布方法は通常、グラビアコーティング法、ダイコーティング法又はフレキソ法などの印刷法が採用される。
【0086】
なお、ラビング又は偏光照射を行う時に、マスキングを行えば、配向方向が異なる複数の領域(パターン)を形成することもできる。
【0087】
<本偏光膜の製造方法>
前記基材又は基材に形成された配向膜上に、偏光膜形成用組成物を塗布して塗布膜を得る。塗布する方法としては例えば、配向性ポリマー組成物又は光配向層形成用組成物を基材に塗布する方法として例示したものと同じ方法が挙げられる。
【0088】
次に、該塗布膜中に含まれる重合性液晶化合物が重合しない条件で溶剤を乾燥除去することにより、乾燥被膜が形成される。乾燥方法としては、例えば自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥及び減圧乾燥法などが挙げられる。
続いて、好ましい形態としては、一旦、当該乾燥被膜に含まれる重合性液晶化合物の液晶状態をネマチック液晶相にした後、当該ネマチック液晶相をスメクチック液晶相に転移させる。
このようにネマチック液晶相を経由してスメクチック液晶相を形成するためには、例えば、乾燥被膜に含まれる重合性液晶化合物がネマチック液晶相を示す温度以上に加熱し、次いで該重合性液晶化合物がスメクチック液晶相を示す温度まで冷却するといった方法が採用される。
【0089】
前記乾燥被膜中の重合性液晶化合物をスメクチック液晶相としたり、該重合性液晶化合物を、ネマチック液晶相を経由してスメクチック液晶相としたりする場合、用いる重合性液晶化合物の相転移温度を測定することで、液晶状態を制御する条件(加熱条件)を求めることができる。この相転移温度の測定条件は本願の実施例で説明する。
【0090】
次に、重合性液晶化合物の重合工程について説明する。ここでは、偏光膜形成用組成物に光重合開始剤を含有させ、乾燥被膜中の重合性液晶化合物の液晶状態をスメクチック液晶相にした後、このスメクチック液晶相の液晶状態を保持したまま、該重合性液晶化合物を光重合させる方法について詳述する。光重合において、乾燥被膜に照射する光としては、当該乾燥被膜に含まれる光重合開始剤の種類、又は重合性液晶化合物の種類(特に、該重合性液晶化合物が有する重合性基の種類)及びその量に応じて適宜、可視光、紫外光及びレーザー光からなる群より選択される光や活性電子線によって行うことができる。これらのうち、重合反応の進行をコントロールし易い点や、光重合に係る装置として当分野で広範に用いられているものが使用できるという点で、紫外光が好ましい。よって、紫外光によって、光重合できるように、偏光膜形成用組成物に含有される重合性液晶化合物や光重合開始剤の種類を選択しておくと好ましい。また、重合させる際には、紫外光照射とともに適当な冷却手段により、乾燥被膜を冷却することで重合温度をコントロールすることもできる。このような冷却手段の採用により、より低温で重合性液晶化合物の重合を実施できれば、上述の基材に比較的耐熱性が低いものを用いたとしても、適切に本偏光膜を形成できるという利点もある。なお、光重合の際、マスキングや現像を行うなどによって、パターニングされた本偏光膜を得ることもできる。
【0091】
以上のような光重合を行うことにより、重合性液晶化合物は、ネマチック液晶相、スメクチック液晶相、好ましくは、すでに例示したような高次のスメクチック液晶相を保持したまま重合し、本偏光膜が形成される。重合性液晶化合物がスメクチック液晶相の液晶状態を保持したまま重合して得られる本偏光膜は、二色性色素(1)の作用にも伴い、従来のホストゲスト型偏光膜、すなわち、ネマチック相の液晶状態を保持したままで重合性液晶化合物などを重合させて得られる偏光膜と比較して偏光性能が高いという利点がある。さらに、リオトロピック性二色性色素のみを塗布したものと比較して、強度に優れるという利点がある。
【0092】
かくして形成された本偏光膜の厚みは、0.5μm以上10μm以下の範囲が好ましく、1μm以上5μm以下がさらに好ましい。したがって、本偏光膜形成用の塗布膜の厚みは、得られる本偏光膜の厚みを考慮して定められる。なお、本偏光膜の厚みは、干渉膜厚計やレーザー顕微鏡あるいは触針式膜厚計の測定で求められるものである。
【0093】
また、かくして形成された本偏光膜は上述のとおり、X線回折測定においてブラッグピークが得られるものであると特に好ましい。このようなブラッグピークが得られる本偏光膜としては、例えば、ヘキサチック相又はクリスタル相に由来する回折ピークを示す本偏光膜を挙げることができる。
【0094】
本偏光膜は、その吸収極大波長(λmax1)が400〜520nmに存在するものである。この吸収極大波長(λmax1)は、430〜520nmの範囲に存在すると好ましく、440〜510nmの範囲に存在するとさらに好ましい。また、本偏光膜の吸収極大波長(λmax1)は、本偏光膜の製造に用いた二色性色素の吸収極大波長(λmax2)よりも長波長シフトしていると好ましい。この吸収極大波長(λmax2)は、二色性色素を適用な溶媒に溶解した溶液を準備し、この溶液の状態で測定したものである。二色性色素を溶解する溶媒は、当該二色性色素を十分溶解することが可能で、350〜550nmの波長光に吸収のないものが選ばれる。かかる長波長シフトの発現は、本偏光膜中で、重合性液晶化合物から形成された分子鎖間に、二色性色素(1)が分散したとき、該二色性色素(1)が該分子鎖に強く相互作用していることを示している。なお、長波長シフトとは、吸収極大波長の差分(λmax1−λmax2)が正の値となることを意味するが、その差分は20nm以上であると好ましく、30nm以上であるとさらに好ましい。
【0095】
また、本偏光膜はその二色比が高く、偏光性能に極めて優れたものである。具体的には、通常、二色比が15以上であり、好ましくは25以上である。
【0096】
<本偏光膜の連続的製造方法>
以上、本偏光膜の製造方法の概要を説明したが、商業的に本偏光膜を製造する際には、連続的に本偏光膜を製造できる方法が求められる。このような連続的製造方法はRolltoRoll形式によるものであり、場合により、「本製造方法」という。なお、本製造方法では、基材が透明基材である場合を中心に説明する。基材が透明基材である場合は、最終的に得られるものが、透明基材と、本偏光膜とを有する偏光子(以下、場合により「本偏光子」という)となる。
【0097】
本製造方法は例えば、
透明基材が第1の巻芯に巻き取られている第1ロールを準備する工程と、
該第1ロールから、該透明基材を連続的に送り出す工程と、
該透明基材に配向膜を連続的に形成する工程と、
該配向膜上に、偏光膜形成用組成物を連続的に塗布する工程と
塗布された偏光膜形成用組成物を、重合性液晶化合物が重合しない条件で乾燥することにより、該配向膜上に乾燥被膜を連続的に形成する工程と、
該乾燥被膜中に含まれる重合性液晶化合物をネマチック液晶相、好ましくはスメクチック液晶相とした後、該スメクチック液晶相を保持したまま、該重合性液晶化合物を重合させることにより、偏光膜を連続的に得て偏光子とする工程と、
連続的に得られた本偏光子を第2の巻芯に巻き取り、第2ロールを得る工程と
を有する。ここで
図1を参照して、特に配向膜として光配向膜を用いた場合について本製造方法を説明する。
【0098】
透明基材が第1の巻芯210Aに巻き取られている第1ロール210は例えば、市場から容易に入手できる。このようなロールの形態で市場から入手できる透明基材としては、すでに例示した透明基材の中でも、セルロースエステル、環状オレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート又はポリメタクリル酸エステルからなるフィルムなどが挙げられる。また、本偏光膜を円偏光板として用いるに当たり、予め位相差性が付与された透明基材も、市場から容易に入手でき、例えば、セルロースエステル又は環状オレフィン系樹脂からなる位相差フィルムなどが挙げられる。
【0099】
続いて、前記第1ロール210から透明基材を巻き出す。透明基材を巻き出す方法は該第1ロール210の巻芯210Aに適当な回転手段を設置し、当該回転手段により第1ロール210を回転させることにより行われる。また、第1ロール210から透明基材を搬送する方向に、適当な補助ロール300を設置し、当該補助ロール300の回転手段で透明基材を巻き出す形式でもよい。さらに、第1の巻芯210A及び補助ロール300ともに回転手段を設置することで、透明基材に適度な張力を付与しながら、透明基材を巻き出す形式でもよい。
【0100】
前記第1ロール210から巻き出された透明基材は、塗布装置211Aを通過する際に、その表面上に当該塗布装置211Aにより光配向層形成用組成物が塗布される。このように連続的に光配向層形成用組成物を塗布するために上述のとおり、当該塗布装置211Aによって、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、フレキソ法などの印刷法が実施される。
【0101】
塗布装置211Aを経た透明基材は、乾燥炉212Aへと搬送され、この乾燥炉212Aにより加熱されて、透明基材上に第1乾燥被膜を連続的に形成する。乾燥炉212Aとしては例えば、熱風式乾燥炉などが用いられる。乾燥炉212Aの設定温度は、塗布装置211Aにより塗布された前記光配向層形成用組成物に含まれる溶剤の種類などに応じて定められる。また乾燥炉212Aは、複数のゾーンに区分し、区分された複数のゾーンごとに設定温度が異なる形式であってもよく、複数個の乾燥炉を直列に配置し、乾燥炉ごとに設定温度が異なる形式の乾燥炉でもよい。
【0102】
加熱炉212Aを通過することにより連続的に形成された第1乾燥被膜は、続いて、偏光UV照射装置213Aにより、第1乾燥被膜側の表面又は透明基材側の表面に偏光UVが照射され、該第1乾燥被膜は(光)配向膜を形成する。その際、透明基材の搬送方向D1と、形成される光配向膜の配向方向D2とがなす角度が交差するようにすることもできる。
図2は、偏光UV照射後に形成された光配向膜の配向方向D2と、透明基材の搬送方向D1との関係を表す模式図である。すなわち、
図2は偏光UV照射装置213A通過後の第1積層体の表面を、透明基材の搬送方向D1と、光配向膜の配向方向D2とを見たとき、それらのなす角度が略45°を示すことを表している。
【0103】
かくして連続的に光配向膜が形成された透明基材(第1積層体)は、続いて塗布装置211Bを通過することにより、光配向膜上に偏光膜形成用組成物が塗布された後、乾燥炉212Bを通過する。乾燥炉212Bを通過することにより、偏光膜形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物が、ネマチック液晶相、好ましくはスメクチック液晶相を形成し、第2乾燥皮膜が形成される。
【0104】
前記乾燥炉212Bを経た透明基材は、偏光膜形成用組成物に含まれていた溶剤が十分除去され、第2乾燥被膜中の重合性液晶化合物がネマチック液晶相、好ましくはスメクチック液晶相の液晶状態を保持したまま、光照射装置213Bへと搬送される。光照射装置213Bによる光照射により、該重合性液晶化合物は前記液晶状態を保持したまま、光重合し、本偏光膜が配向膜上に連続的に形成されて、本偏光子が得られる。
【0105】
かくして連続的に形成された本偏光子は、透明基材及び配向膜を含んだ積層体の形態であり、第2の巻芯220Aに巻き取られ、第2ロール220の形態が得られる。形成された本偏光膜を巻き取って第2ロールを得る際、適当なスペーサを用いた共巻きを行ってもよい。
【0106】
このように、透明基材が、第1ロール/塗布装置211A/乾燥炉212A/偏光UV照射装置213A/塗布装置211B/乾燥炉212B/光照射装置213Bの順で通過することで、透明基材上の光配向膜上に本偏光膜が連続的に形成されて、本偏光子が製造される。
【0107】
また、
図1に示す本製造方法では、透明基材から本偏光膜までを連続的に製造する方法を示したが、例えば、透明基材を、第1ロール/塗布装置211A/乾燥炉212A/偏光UV照射装置213Aの順で通過させることで、連続的に形成された第1積層体を巻芯に巻き取って、第1積層体をロールの形態で製造し、該ロールから第1積層体を巻き出し、巻き出された第1積層体を、塗布装置211B/乾燥炉212B/光照射装置213Bの順で通過させ、本偏光子を製造してもよい。
【0108】
本製造方法により得られる本偏光子は、その形状がフィルム状且つ長尺状のものである。この本偏光子は、後述する液晶表示装置などに用いる場合には、当該液晶表示装置のスケールなどに合わせ、所望の寸法になるように裁断されて用いられる。
【0109】
以上、透明基材/光配向膜/本偏光膜の積層体の形態である場合を中心に、本偏光子の構成及び製造方法を説明してきたが、上述のとおり、本偏光子から光配向膜や透明基材を剥離することで本偏光膜を単層で得ることもできる。また、本偏光子に、透明基材/光配向膜/本偏光膜以外の層又は膜を積層した形態にしてもよい。これらの層及び膜としては、すでに述べたように、位相差フィルムをさらに備えた形式にしてもよいし、反射防止層又は輝度向上フィルムをさらに備えた形式でもよい。
【0110】
また、透明基材自体を位相差フィルムとすることで、位相差フィルム/光配向膜/本偏光膜の形態の円偏光板あるいは楕円偏光板とすることもできる。例えば、位相差フィルムとして1軸延伸した1/4波長板を用いた場合、偏光UVの照射方向を透明基材の搬送方向に対して略45°となるように設定することで、RolltoRollで円偏光板を作製することが可能である。このように円偏光板を製造する際に用いられる1/4波長板は、可視光に対する面内位相差値が、波長が短くなるに従って小さくなる特性を有するものが好ましい。
【0111】
また、位相差フィルムとして1/2波長板を用いて、その遅相軸と偏光膜の吸収軸の角度をずらして設定したような直線偏光板ロールを作製し、該偏光膜を形成した面と反対側に1/4波長板をさらに形成することで広帯域の円偏光板とすることも可能である。
【0112】
<本偏光膜の用途>
本偏光膜は、さまざまな表示装置に用いることができる。表示装置とは、表示素子を有する装置であり、発光源として発光素子又は発光装置を含む。表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、電子放出表示装置(例えば電場放出表示装置(FED)、表面電界放出表示装置(SED))、電子ペーパー(電子インクや電気泳動素子を用いた表示装置、プラズマ表示装置、投射型表示装置(例えばグレーティングライトバルブ(GLV)表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を有する表示装置)及び圧電セラミックディスプレイなどが挙げられる。液晶表示装置は、透過型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置、直視型液晶表示装置及び投写型液晶表示装置などのいずれをも含む。これらの表示装置は、2次元画像を表示する表示装置であってもよいし、3次元画像を表示する立体表示装置であってもよい。
本偏光膜は、特に有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置又は無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置の表示装置に有効に用いることができる。
【0113】
図3は、本偏光膜を用いた液晶表示装置(以下、場合により「本液晶表示装置」という。)10の断面構成を表す模式図である。液晶層17は、2枚の基板14a及び基板14bで挟まれている。
図6及び
図10は、本偏光膜を用いたEL表示装置(以下、場合により「本EL表示装置」という。)の断面構成を表す模式図である。
図11は、本偏光膜を用いた投射型液晶表示装置の構成を表す模式図である。
【0114】
まずは、
図3に示す本液晶表示装置10について説明する。
基板14aの液晶層17側には、カラーフィルタ15が配置されている。カラーフィルタ15が、液晶層17をはさんで画素電極22に対向する位置に配置され、ブラックマトリクス20が画素電極間の境界に対向する位置に配置されている。透明電極16がカラーフィルタ15及びブラックマトリクス20を覆うように液晶層17側に配置されている。
なお、カラーフィルタ15と透明電極16との間にオーバーコート層(図示せず)を有していてもよい。
【0115】
基板14bの液晶層17側には、薄膜トランジスタ21と画素電極22とが規則正しく配置されている。画素電極22は、液晶層17をはさんでカラーフィルタ15に対向する位置に配置されている。薄膜トランジスタ21と画素電極22との間には、接続孔(図示せず)を有する層間絶縁膜18が配置されている。
【0116】
基板14a及び基板14bとしては、ガラス基板及びプラスチック基板が用いられる。
かかるガラス基板やプラスチック基板は、本偏光膜製造に用いる透明基材として例示したものと同じ材質のものが採用できる。また、本偏光膜の透明基板1が基板14a及び基板14bを兼ねていてもよい。基板上に形成されるカラーフィルタ15や薄膜トランジスタ21を製造する際、高温に加熱する工程が必要である場合は、ガラス基板や石英基板が好ましい。
【0117】
薄膜トランジスタは、基板14bの材質に応じて最適なものを採用できる。薄膜トランジスタ21としては、石英基板上に形成する高温ポリシリコントランジスタ、ガラス基板上に形成する低温ポリシリコントランジスタ、ガラス基板又はプラスチック基板上に形成するアモルファスシリコントランジスタが挙げられる。本液晶表示装置をより小型化するため、ドライバICが基板14b上に形成されていてもよい。
【0118】
透明電極16と、画素電極22との間には、液晶層17が配置されている。液晶層17には、基板14a及び基板14b間の距離を一定に保つために、スペーサ23が配置されている。なお、
図3では柱状のスペーサで図示するが、当該スペーサは柱状に限定されるものではなく、基板14a及び基板14b間の距離を一定に保つことができれば、その形状は任意である。
【0119】
各部材は、基板14a、カラーフィルタ15及びブラックマトリクス20、透明電極16、液晶層17、画素電極22、層間絶縁膜18及び薄膜トランジスタ21、並びに基板14bの順番で積層されている。
【0120】
このような液晶層17を挟んでいる基板14a及び基板14bのうち、基板14bの外側には、偏光子12a及び12bが設けられており、これらのうち、少なくとも1つに本偏光子が用いられる。
さらに、位相差層(例えば、1/4波長板や光学補償フィルム)13a及び13bが、積層されていると好ましい。偏光子12a及び12bのうち、本偏光子を偏光子12bに配置することで、入射光を直線偏光に変換する機能を本液晶表示装置10に付与することができる。なお、位相差フィルム13a及び13bは、液晶表示装置の構造や、液晶層17に含まれる液晶化合物の種類によっては、配置されていなくてもよく、透明基板が位相差フィルムであり、本偏光膜を含む円偏光板を用いた場合は、該位相差フィルムを位相差層とすることができるので、
図3の位相差層13a及び/又は13bを省略することもできる。本偏光膜を含む偏光子の光出射側(外側)にさらに偏光フィルムを設けてもよい。
また、本偏光膜を含む偏光子の外側に(本偏光膜にさらに偏光フィルムを設けた場合は、その外側に)、外光の反射を防ぐための反射防止膜が配置されていてもよい。
【0121】
上述のとおり、
図3の本液晶表示装置10の偏光子12a又は12bに、本偏光子を用いることができる。本偏光子を、偏光子12a及び/又は12bに用いることより、本液晶表示装置10の薄型化が達成できるという効果がある。
【0122】
本偏光子を偏光子12a又は12bに用いる場合、その積層順は特に限定されない。これを
図3の点線で囲まれたA及びBの部分の拡大図を参照して説明する。
【0123】
図4は、
図3のAの部分の拡大模式断面図である。
図4の(A1)は、本偏光子100を偏光子12aとして用いる場合、位相差層13a側から、本偏光膜3、光配向膜2及び透明基材1がこの順に配置されるように設けられていることを示す。また、
図4の(A2)は、位相差層13a側から、透明基材1、光配向膜2及び本偏光膜3がこの順に配置されるように設けられていることを示す。
【0124】
図5は、
図3のBの部分の拡大模式図である。
図5の(B1)は、本偏光子100を偏光子12bとして用いる場合、位相差フィルム13b側から、透明基材1、光配向膜2及び本偏光膜3がこの順に配置されるように設けられる。
図5の(B2)は、本偏光子100を偏光子12bとして用いる場合、位相差フィルム13b側から、本偏光膜3、光配向膜2及び透明基材1がこの順に配置されるように設けられる。
【0125】
偏光子12bの外側には、発光源であるバックライトユニット19が配置されている。
バックライトユニット19は、光源、導光体、反射板、拡散シート及び視野角調整シートを含む。光源としては、エレクトロルミネッセンス、冷陰極管、熱陰極管、発光ダイオード(LED)、レーザー光源及び水銀ランプなどが挙げられる。また、このような光源の特性に合わせて本偏光膜の種類を選択することができる。
【0126】
本液晶表示装置10が透過型液晶表示装置である場合、バックライトユニット19中の光源から発せられた白色光は導光体に入射し、反射板によって進路を変えられて拡散シートで拡散されている。拡散光は視野角調整シートによって所望の指向性を持つように調整されたのちにバックライトユニット19から偏光子12bに入射する。
【0127】
無偏光である入射光のうち、ある一方の直線偏光のみが液晶パネルの偏光子12bを透過する。この直線偏光は位相差層13bによって円偏光あるいは楕円偏光に変換され、基板14b、画素電極22などを順次透過して液晶層17に到る。
【0128】
ここで画素電極22と対向する透明電極16との間の電位差の有無により、液晶層17に含まれる液晶分子の配向状態が変化して、本液晶表示装置10から出射される光の輝度が制御される。液晶層17が、偏光を変換して透過させる配向状態である場合、その偏光は液晶層17、透明電極16を透過し、ある特定の波長範囲の光がカラーフィルタ15を透過して偏光子12aに到り、液晶表示装置は、カラーフィルタで決まる色を最も明るく表示する。
【0129】
逆に、液晶層17が、偏光をそのまま透過させる配向状態である場合、液晶層17、透明電極16及びカラーフィルタ15を透過した光は、偏光子12aに吸収される。このことにより、この画素は黒を表示する。これら2つの状態の中間の配向状態では、本液晶表示装置10から出射される光の輝度も上記両者の中間となるため、この画素は中間色を表示する。
【0130】
本液晶表示装置10が半透過型液晶表示装置の場合、本偏光子の本偏光膜側にさらに1/4波長板を積層させたもの(円偏光板)を用いることが好ましい。このとき、画素電極22は透明な材料で形成された透過部と、光を反射する材料で形成された反射部を有し、透過部では、前述の透過型液晶表示装置と同様にして画像が表示される。一方反射部では、外光が液晶表示装置に入射し、本偏光膜にさらに備えられた1/4波長板の作用により、本偏光膜を透過した円偏光が液晶層17を通過し、画素電極22によって反射されて表示に利用される。
【0131】
次に、本偏光膜を用いた、本EL表示装置30について、
図6を参照して説明する。本EL表示装置に、本偏光膜を用いる場合、本偏光膜を円偏光板(以下、場合により「本円偏光板」という。)にしてから用いることが好ましい。本円偏光板には2つの実施形態がある。そこで、本EL表示装置30の構成などを説明する前に、本円偏光板の2つの実施形態について、
図7を参照して説明する。
【0132】
図7の(A)は本円偏光板110の第1実施形態を模式的に表す断面図である。この第1実施形態は、本偏光子100中の本偏光膜3上にさらに位相差層(位相差フィルム)4を設けた本円偏光板110である。
図7の(B)は本円偏光板110の第2実施形態を表す模式図である。この第2実施形態は、本偏光子を製造する際に用いる透明基材1に、予め位相差性が付与されている透明基材1(位相差フィルム4)を用いることで、透明基材1自体が位相差層4としての機能を兼ね備えるものとした本円偏光板110である。
【0133】
本偏光膜を含む本円偏光板としては、上述の本円偏光板の第2実施形態であると構成が簡便であるため好ましく、この場合は、透明基材として1/4波長板を用いることが好ましく、さらには、透明基材として1/4波長板を用い、以下の(A1)及び(A2)の要件を満たすと好ましい。
(A1)前記偏光膜の吸収軸と、前記1/4波長板の遅相軸とのなす角度が、略45°であること;
(A2)波長550nmの光で測定した、前記1/4波長板の正面リタデーションの値が100〜150nmの範囲であること
【0134】
ここで、本円偏光板110の製造方法に関して説明しておく。本円偏光板110の第2実施形態はすでに説明したとおり、本偏光子100を製造する本製造方法において、透明基材1として予め位相差性を付与された透明基材1、すなわち位相差フィルムを用いることで製造できる。本円偏光板110の第1実施形態は、本製造方法Bにより製造された本偏光膜3上に、位相差フィルムを貼合することで位相差層4を形成すればよい。なお、本製造方法Bにより第2ロール220の形態で、本偏光100を製造した場合には、該第2ロール220から本偏光子100を巻き出し、所定の寸法に裁断してから、裁断された本偏光子100に位相差フィルムを貼合する形態でもよいが、位相差フィルムが巻芯に巻き取られている第3ロールを準備することで、形状がフィルム状且つ長尺状である本円偏光板110を連続的に製造することもできる。
【0135】
本円偏光板110の第1実施形態を連続的に製造する方法について、
図8を参照して説明する。かかる製造方法は、
前記第2ロール220から連続的に本偏光子100を巻き出すとともに、位相差フィルムが巻き取られている第3ロール230から連続的に前記位相差フィルムを巻き出す工程と、
前記第2ロール220から巻き出された本偏光子100に設けられた偏光膜と、前記第3ロールから巻き出された前記位相差フィルムとを連続的に貼合して本円偏光板110を形成する工程と、
形成された本円偏光板110を第4の巻芯240Aに巻き取り、第4ロール240を得る工程とからなる。
【0136】
以上、本円偏光板110の第1実施形態の製造方法を説明したが、偏光子100中の本偏光膜3と、位相差フィルムとを貼合する際には、適当な粘着剤を用い、該粘着剤から形成される粘着層を介して、本偏光膜3と、位相差フィルムとを貼合してもよい。
【0137】
続いて、本円偏光板110を備えた本EL表示装置を、再び
図6を参照して説明する。
本EL表示装置30は、画素電極35が形成された基板33上に、発光源である有機機能層36、及びカソード電極37が積層されたものである。基板33を挟んで有機機能層36と反対側に、円偏光板31が配置され、かかる円偏光板31として本円偏光板110が用いられる。画素電極35にプラスの電圧、カソード電極37にマイナスの電圧を加え、画素電極35及びカソード電極37間に直流電流を印加することにより、有機機能層36が発光する。発光源である有機機能層36は、電子輸送層、発光層及び正孔輸送層などからなる。有機機能層36から出射した光は、画素電極35、層間絶縁膜34、基板33、円偏光板31(本円偏光板110)を通過する。有機機能層36を有する有機EL表示装置について説明するが、無機機能層を有する無機EL表示装置にも適用してもよい。
【0138】
本EL表示装置30を製造するには、まず、基板33上に薄膜トランジスタ40を所望の形状に形成する。そして層間絶縁膜34を成膜し、次いで画素電極35をスパッタ法で成膜し、パターニングする。その後、有機機能層36を積層する。
【0139】
次いで、基板33の薄膜トランジスタ40が設けられている面の反対の面に、円偏光板31(本円偏光板110)を設ける。
【0140】
本円偏光板110を円偏光板31として用いる場合、その積層順を
図6の点線で囲まれたCの部分の拡大図を参照して説明する。本円偏光板110を円偏光板31として用いる場合、該本円偏光板110にある位相差層4が、基板33側に配置される。
図9の(C1)は、本円偏光板110の第1実施形態を円偏光板31として用いた拡大図であり、
図9の(C2)は、本円偏光板110の第2実施形態を円偏光板31として用いた拡大図である。
【0141】
次に、本EL表示装置30の円偏光板31(本円偏光板110)以外の部材について説明する。
【0142】
基板33としては、サファイアガラス基板、石英ガラス基板、ソーダガラス基板及びアルミナなどのセラミック基板;銅などの金属基板;プラスチック基板などが挙げられる。
図示はしないが、基板33上に熱伝導性膜を形成してもよい。熱伝導性膜としては、ダイヤモンド薄膜(DLCなど)などが挙げられる。画素電極35を反射型とする場合は、基板33とは反対方向へ光が出射する。したがって、透明材料だけでなく、ステンレスなどの非透過材料を用いることができる。基板は単一で形成されていてもよく、複数の基板を接着剤で貼り合わせて積層基板として形成されていていてもよい。また、これらの基板は、板状のものに限定するものではなく、フィルムであってもよい。
【0143】
薄膜トランジスタ40としては例えば、多結晶シリコントランジスタなどを用いればよい。薄膜トランジスタ40は、画素電極35の端部に設けられ、その大きさは10〜30μm程度である。なお、画素電極35の大きさは20μm×20μm〜300μm×300μm程度である。
【0144】
基板33上には、薄膜トランジスタ40の配線電極が設けられている。配線電極は抵抗が低く、画素電極35と電気的に接続して抵抗値を低く抑える機能があり、一般的にはその配線電極は、Al、Al及び遷移金属(ただしTiを除く)、Ti又は窒化チタン(TiN)のいずれか1種又は2種以上を含有するものが使われる。
【0145】
薄膜トランジスタ40と画素電極35との間には層間絶縁膜34が設けられる。層間絶縁膜34は、SiO
2などの酸化ケイ素、窒化ケイ素などの無機系材料をスパッタや真空蒸着で成膜したもの、SOG(スピン・オン・グラス)で形成した酸化ケイ素層、フォトレジスト、ポリイミド及びアクリル樹脂などの樹脂系材料の塗膜など、絶縁性を有するものであればいずれであってもよい。
【0146】
層間絶縁膜34上に、リブ41を形成する。リブ41は、画素電極35の周辺部(隣接画素間)に配置されている。リブ41の材料としては、アクリル樹脂及びポリイミド樹脂などが挙げられる。リブ41の厚みは、好ましくは1.0μm以上3.5μm以下であり、より好ましくは1.5μm以上2.5μm以下である。
【0147】
次に、透明電極である画素電極35と、発光源である有機機能層36と、カソード電極37とからなるEL素子について説明する。有機機能層36は、それぞれ少なくとも1層のホール輸送層及び発光層を有し、例えば、電子注入輸送層、発光層、正孔輸送層及び正孔注入層を順次有する。
【0148】
画素電極35としては、例えば、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、IZO(亜鉛ドープ酸化インジウム)、IGZO、ZnO、SnO
2及びIn
2O
3などが挙げられるが、特にITOやIZOが好ましい。画素電極35の厚さは、ホール注入を十分行える一定以上の厚さを有すればよく、10〜500nm程度とすることが好ましい。
画素電極35は、蒸着法(好ましくはスパッタ法)により形成することができる。スパッタガスとしては、特に制限するものではなく、Ar、He、Ne、Kr及びXeなどの不活性ガス、あるいはこれらの混合ガスを用いればよい。
【0149】
カソード電極37の構成材料としては例えば、K、Li、Na、Mg、La、Ce、Ca、Sr、Ba、Al、Ag、In、Sn、Zn及びZrなどの金属元素が用いられればよいが、電極の作動安定性を向上させるためには、例示した金属元素から選ばれる2成分又は3成分の合金系を用いることが好ましい。合金系としては、例えばAg・Mg(Ag:1〜20at%)、Al・Li(Li:0.3〜14at%)、In・Mg(Mg:50〜80at%)及びAl・Ca(Ca:5〜20at%)などが好ましい。
カソード電極37は、蒸着法及びスパッタ法などにより形成される。カソード電極37の厚さは、0.1nm以上、好ましくは1〜500nmであることが好ましい。
【0150】
正孔注入層は、画素電極35からの正孔の注入を容易にする機能を有し、正孔輸送層は、正孔を輸送する機能及び電子を妨げる機能を有し、電荷注入層や電荷輸送層とも称される。
発光層の厚さ、正孔注入層と正孔輸送層とを併せた厚さ、及び電子注入輸送層の厚さは特に限定されず、形成方法によっても異なるが、5〜100nm程度とすることが好ましい。正孔注入層や正孔輸送層には、各種有機化合物を用いることができる。正孔注入輸送層、発光層及び電子注入輸送層の形成には、均質な薄膜が形成できる点で真空蒸着法を用いることができる。
【0151】
発光源である有機機能層36としては、1重項励起子からの発光(蛍光)を利用するもの、3重項励起子からの発光(燐光)を利用するもの、1重項励起子からの発光(蛍光)を利用するものと3重項励起子からの発光(燐光)を利用するものとを含むもの、有機物によって形成されたもの、有機物によって形成されたものと無機物によって形成されたものとを含むもの、高分子の材料、低分子の材料、高分子の材料と低分子の材料とを含むものなどを用いることができる。ただし、これに限定されず、EL素子用として公知の様々なものを用いた有機機能層36を、本EL表示装置30に用いることができる。
【0152】
カソード電極37と封止フタ39との空間には乾燥剤38を配置する。これは、有機機能層36は湿度に弱いためである。乾燥剤38により水分を吸収し有機機能層36の劣化を防止する。
【0153】
図10は、本EL表示装置30の別態様の断面構成を表す概略図である。この本EL表示装置30は、薄膜封止膜42を用いた封止構造を有し、アレイ基板の反対面からも出射光を得ることができる。
薄膜封止膜42としては電解コンデンサのフィルムにDLC(ダイヤモンドライクカーボン)を蒸着したDLC膜を用いることが好ましい。DLC膜は水分浸透性が極めて悪いという特性があり、防湿性能が高い。また、DLC膜などをカソード電極37の表面に直接蒸着して形成してもよい。また、樹脂薄膜と金属薄膜とを多層に積層して、薄膜封止膜42を形成してもよい。
【0154】
以上のようにして、本偏光膜、本偏光子、本円偏光板及び本偏光膜を備えた新規な表示装置(本液晶表示装置及び本EL表示装置)が提供される。
【0155】
最後に、本偏光膜を用いた投射型液晶表示装置について説明する。
図11は、本偏光膜を用いた投射型液晶表示装置を示す概略図である。
この投射型液晶表示装置の偏光子142及び/又は偏光子143として、本偏光膜は用いられる。
【0156】
発光源である光源(例えば、高圧水銀ランプ)111から出射された光線束は、まずは第1のレンズアレイ112、第2のレンズアレイ113、偏光変換素子114、重畳レンズ115を通過することにより、反光線束断面での輝度の均一化と偏光化が行われる。
【0157】
具体的には光源111から出射された光線束は、微小なレンズ112aがマトリクス状に形成された第1のレンズアレイ112によって多数の微小な光線束に分割される。第2のレンズアレイ113及び重畳レンズ115は、分割された光線束のそれぞれが、照明対象である3つの液晶パネル140R,140G,140Bの全体を照射するように備えられており、このため、各液晶パネル入射側表面は全体がほぼ均一な照度となる。
【0158】
偏光変換素子114は、偏光ビームスプリッタアレイにより構成され、第2のレンズアレイ113と重畳レンズ115との間に配置される。これにより光源からのランダム偏光をあらかじめ特定の偏光方向を有する偏光に変換し、後述する入射側偏光子での光量損失を低減して、画面の輝度を向上させる役割を果たしている。
【0159】
上記のように輝度均一化および偏光化された光は、反射ミラー122を経由してRGBの3原色に分離するためのダイクロイックミラー121,123,132により順次、レッドチャンネル、グリーンチャンネル、ブルーチャンネルに分離され、それぞれ液晶パネル140R,140G,140Bに入射する。
【0160】
液晶パネル140R,140G,140Bには、その入射側には偏光子142が配置され、出射側には偏光子143がそれぞれ配置されている。この偏光子142、偏光子143に本偏光膜を用いることができる。
【0161】
RGB各光路に配置される偏光子142及び偏光子143は、それぞれの吸収軸が直交するように配置されている。各光路に配置される各液晶パネル140R,140G,140Bは、画像信号により画素ごとに制御された偏光状態を光量に変換する機能を有する。
【0162】
本偏光子100は、対応するチャンネルに適した二色性色素の種類を選択することで、ブルーチャンネル、グリーンチャンネル及びレッドチャンネルなどの光路においても耐久性の優れた偏光子として有用である。
【0163】
液晶パネル140R,140G,140Bの画像データに応じて、画素毎に異なる透過率で入射光を透過させることによって作成された光学像は、クロスダイクロイックプリズム150により合成され、投写レンズ170によって、スクリーン180に拡大投写される。
【0164】
電子ペーパーとしては、光学異方性と染料分子配向のような分子により表示されるもの、電気泳動、粒子移動、粒子回転、相変化のような粒子により表示されるもの、フィルムの一端が移動することにより表示されるもの、分子の発色/相変化により表示されるもの、分子の光吸収により表示されるもの、電子とホールが結合して自発光により表示されるものなどが挙げられる。より具体的には、マイクロカプセル型電気泳動、水平移動型電気泳動、垂直移動型電気泳動、球状ツイストボール、磁気ツイストボール、円柱ツイストボール方式、帯電トナー、電子粉流体、磁気泳動型、磁気感熱式、エレクトロウェッテイング、光散乱(透明/白濁変化)、コレステリック液晶/光導電層、コレステリック液晶、双安定性ネマチック液晶、強誘電性液晶、2色性色素・液晶分散型、可動フィルム、ロイコ染料による発消色、フォトクロミック、エレクトロクロミック、エレクトロデポジション、フレキシブル有機ELなどが挙げられる。電子ペーパーは、テキストや画像を個人的に利用するものだけでなく、広告表示(サイネージ)などに利用されるものであってもよい。本偏光膜によれば、電子ペーパーの厚みを薄くすることができる。
【0165】
立体表示装置としては、例えばマイクロポール方式のように交互に異なる位相差フィルムを配列させる方法が提案(特開2002−185983号公報)されているが、本偏光膜を用いると、印刷、インクジェット、フォトリソグラフィー等によりパターニングが容易であるため、表示装置の製造工程を短くすることができ、かつ位相差フィルムが不要となる。
【実施例】
【0166】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
【0167】
実施例1[化合物(1A)(下記(1A)で表される化合物)の製造]
【0168】
化合物(1A)は下記スキームによって合成した。
式(1B)で表される化合物[化合物(1B)]5.00g、4−ヒドロキシ安息香酸エチル4.63g、ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.23g及びクロロホルム25gを混合し、遮光・窒素雰囲気下、5℃で10分間攪拌した。得られた混合液に、ジイソプロピルカルボジイミド(IPC)2.58gを5分間かけて滴下し、さらに4時間攪拌した。得られた反応液にメタノール75g加えて晶析し結晶を濾取した。結晶をさらに同量のメタノールで洗浄後、真空乾燥することにより、化合物(1A)を6.78g得た。収率は、化合物(1B)基準で87%であった。
【0169】
化合物(1A)の
1H−NMR(CDCl
3):δ(ppm)1.41(t、3H)、3.12(s、6H)、4.40(m、2H)、6.76(m、2H)、7.33(m、2H)、7.93(dd、4H)、8.15(m、2H)、8.30(m、2H)。
【0170】
実施例2[化合物(1D)(下記(1D)で表される化合物)]
【0171】
化合物(1D)は下記スキームによって合成した。
化合物(1B)5.00g、4−ブチルオキシフェノール4.63g、DMAP0.23g及びクロロホルム25gを混合し、遮光・窒素雰囲気下、5℃で10分間攪拌した。
得られた混合液に、IPC2.58gを5分間かけて滴下し、さらに4時間攪拌した。得られた反応液にメタノール75g加えて晶析し結晶を濾取した。結晶を50gのジメチルアセトアミドに溶解させ、不溶物をセライト濾過した。濾液を回収して水で晶析した。得られた結晶をさらに50gのテトラヒドロフランに溶解し不溶物を濾過で除去後、ヘプタンを加えて晶析し、真空乾燥することにより、化合物(1D)を4.66g得た。収率は、化合物(1B)基準で60%であった。
【0172】
化合物(1D)の
1H−NMR(CDCl
3):δ(ppm) 0.99(t、3H)、1.45(m、2H)、1.78(m、2H)、3.12(s、6H)、3.98(t、2H)、6.77(m、2H)、6.93(m、2H)、7.15(m、2H)、7.92(dd、4H)、8.29(dd、2H)。
【0173】
実施例(本偏光膜などの製造)及び参考例
[重合性液晶化合物]
偏光膜形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物として、下記式(2−6)で表される化合物[化合物(2−6)]、下記式(2−8)で表される化合物[化合物(2−8)]、下記式(2−22)で表される化合物[化合物(2−22)]及び、下記式(2−25)で表される化合物[化合物(2−25)]を用いた。
なお、化合物(2−6)は、Lub et al. Recl.Trav.Chim.Pays−Bas,115, 321−328(1996)記載の方法で合成した。また、この方法に準拠して、化合物(2−8)を製造した。
化合物(2−22)及び化合物(2−25)は、特許第4719156号記載の方法をに準拠して製造した
【0174】
化合物(2−6):
【0175】
〔相転移温度の測定〕
化合物(2−6)の相転移温度は、化合物(2−6)からなる膜の相転移温度を求めることで確認した。その操作は以下のとおりである。
配向膜を形成したガラス基板上に、化合物(2−6)からなる膜を形成し、加熱しながら、偏光顕微鏡(BX−51、オリンパス社製)によるテクスチャー観察によって相転移温度を確認した。化合物(2−6)からなる膜は、120℃まで昇温後、降温時において、112℃でネマチック相に相転移し、110℃でスメクチックA相に相転移し、94℃でスメクチックB相へ相転移した。
【0176】
化合物(2−8):
【0177】
〔相転移温度の測定〕
化合物(2−6)の相転移温度測定と同様にして、化合物(2−8)の相転移温度を確認した。化合物(2−8)は、140℃まで昇温後、降温時において、131℃でネマチック相に相転移し80℃でスメクチックA相に相転移し、68℃でスメクチックB相へ相転移したことを確認した。
【0178】
化合物(2−22):
【0179】
〔相転移温度の測定〕
化合物(2−6)の相転移温度測定と同様にして、化合物(2−22)の相転移温度を確認した。化合物(2−22)は、140℃まで昇温後、降温時において、106℃でネマチック相に相転移し103℃でスメクチックA相に相転移し、86℃でスメクチックB相へ相転移した。
【0180】
化合物(2−25):
【0181】
〔相転移温度の測定〕
化合物(2−6)の相転移温度測定と同様にして、化合物(2−25)の相転移温度を確認した。化合物(2−25)は、140℃まで昇温後、降温時において、119℃でネマチック相に相転移し100℃でスメクチックA相に相転移し、77℃でスメクチックB相へ相転移した。
【0182】
実施例3
〔偏光膜形成用組成物の調製〕
下記の成分を混合し、80℃で1時間攪拌することで、偏光膜形成用組成物(G)を得た。
重合性液晶化合物;化合物(2−6) 75部
化合物(2−8) 25部
二色性色素; 化合物(1A) 2.5部
重合開始剤;
2−ジメチルアミノ−2−ベンジル−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン(イルガキュア369;チバ スペシャルティケミカルズ社製) 6部
レベリング剤;
ポリアクリレート化合物(BYK−361N;BYK−Chemie社製)
1.5部
溶剤;トルエン 250部
【0183】
〔相転移温度の測定〕
化合物(2−6)及び化合物(2−8)の場合と同様に、偏光膜形成用組成物(G)に含まれる重合性液晶化合物の相転移温度を求めた。この重合性液晶化合物は、140℃まで昇温後、降温時において、115℃でネマチック相に相転移し105℃でスメクチックA相に相転移し、75℃でスメクチックB相へ相転移した。
【0184】
〔本偏光膜の製造及び評価〕
1.配向膜の形成
透明基材としてガラス基板を用いた。
ガラス基板上に、ポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業株式会社製)の2質量%水溶液(配向性ポリマー組成物)をスピンコート法により塗布し、乾燥後、厚さ100nmの膜を形成した。続いて、得られた膜の表面にラビング処理を施すことにより配向膜を形成した。ラビング処理は、半自動ラビング装置(商品名:LQ−008型、常陽工学株式会社製)を用いて、布(商品名:YA−20−RW、吉川化工株式会社製)によって、押し込み量0.15mm、回転数500rpm、16.7mm/sの条件で行った。かかるラビング処理により、ガラス基板上に配向膜が形成された積層体1を得た。
【0185】
2.偏光膜の形成
積層体1の配向膜上に、偏光膜形成用組成物(G)をスピンコート法により塗布し、120℃のホットプレート上で1分間加熱乾燥した後、速やかに室温まで冷却して、前記配向膜上に乾燥被膜を形成した。次いで、UV照射装置(SPOT CURE SP−7;ウシオ電機株式会社製)を用い、紫外線を、露光量2000mJ/cm
2(365nm基準)で乾燥被膜に照射することにより、該乾燥被膜に含まれる重合性液晶化合物を、前記重合性液晶化合物の液晶状態を保持したまま重合させ、該乾燥被膜から偏光膜を形成し、積層体2を得た。
この際の偏光膜の厚みをレーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製 OLS3000)により測定したところ、1.7μmであった。
【0186】
3.X線回折測定
得られた積層体2の本偏光膜に対して、X線回折装置X’Pert PRO MPD(スペクトリス株式会社製)を用いてX線回折測定を行った。ターゲットとしてCuを用いてX線管電流40mA、X線管電圧45kVの条件で発生したX線を固定発散スリット1/2°を介してラビング方向(予め、偏光膜下にある配向膜のラビング方向を求めておく。)から入射させ、走査範囲2θ=4.0〜40.0°の範囲で2θ=0.01671°ステップで走査して測定を行った結果、2θ=20.1°付近にピーク半価幅(FWHM)=約0.31°のシャープな回折ピーク(ブラッグピーク)が得られた。また、ラビング垂直方向からの入射でも同等な結果を得た。ピーク位置から求めた秩序周期(d)は約4.4Åであり、高次スメクチック相を反映した構造を形成していることがわかった。
【0187】
4.二色比の測定
本偏光子の有用性を確認するため、以下のようにして二色比を測定した。
吸収極大波長における透過軸方向の吸光度(A
1)及び吸収軸方向の吸光度(A
2)を、分光光度計(島津製作所株式会社製 UV−3150)に偏光子付フォルダーをセットした装置を用いてダブルビーム法で測定した。該フォルダーは、リファレンス側は光量を50%カットするメッシュを設置した。測定された透過軸方向の吸光度(A
1)及び吸収軸方向の吸光度(A
2)の値から、比(A
2/A
1)を算出し、二色比とした。吸収極大波長(λmax1)は506nmであり、この波長での二色比は30と高い値を示した。
二色比が高いほど、偏光膜として有用であるといえる。また、この偏光膜形成用組成物に用いた二色性色素を溶液として測定した吸収極大波長(λmax2)は450nmであり、長波長シフトしていることが判明した。この長波長シフトの結果は、本偏光膜中において、重合性液晶化合物が重合してなる密な分子鎖間に、化合物(1A)が分散しているとき、該化合物(1A)がその分子鎖と強く相互作用していることを示すものである。
【0188】
実施例4
化合物(1A)の代わりに化合物(1B)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、本偏光膜を作製した。同様に吸収極大波長ならびに二色比を測定したところ、吸収極大波長(λmax1)は494nmであり、二色比は30と高い値を示した。二色性色素溶液を測定した吸収極大波長(λmax2)は446nmであり、長波長シフトしていることが判明した。この結果は、本偏光膜中において、重合性液晶化合物が重合してなる密な分子鎖間に、化合物(1A)が分散しているとき、該化合物(1A)がその分子鎖と強く相互作用していることを示すものである。
【0189】
実施例5
化合物(2−6)の代わりに化合物(2−22)を、化合物(2−8)の代わりに化合物(2−25)をそれぞれ用いた以外は、実施例3と同様にして偏光膜を作製した。同様に吸収極大波長ならびに二色比を測定したところ、吸収極大波長(λmax1)は500nmであり、二色比は27と高い値を示した。二色性色素溶液を測定した吸収極大波長(λmax2)は450nmであり、長波長シフトしていることが判明した。
【0190】
実施例6
化合物(2−6)の代わりに化合物(2−22)を、化合物(2−8)の代わりに化合物(2−25)をそれぞれ用いた以外は、実施例4と同様にして偏光膜を作製した。同様に吸収極大波長ならびに二色比を測定したところ、吸収極大波長(λmax1)は492nmであり、二色比は28と高い値を示した。二色性色素溶液を測定した吸収極大波長(λmax2)は446nmであり、長波長シフトしていることが判明した。
【0191】
実施例7
(参考)
化合物(2−6)及び(2−8)の代わりに、重合性ネマチック液晶化合物(BASF社製商品名LC242)を100部用いた以外は、実施例3と同様にして偏光膜を作製した。同様に吸収極大波長ならびに二色比を測定したところ、吸収極大波長(λmax1)は464nmであり、二色比は10であった。二色性色素溶液を測定した吸収極大波長(λmax2)は450nmであった。
【0192】
実施例8
(参考)
化合物(2−6)ならびに(2−8)の代わりに重合性ネマチック液晶(BASF社製商品名LC242)を100部用いた以外は実施例4と同様にして偏光膜を作製した。同様に吸収極大波長ならびに二色比を測定したところ、吸収極大波長は462nmであり、二色比は10であった。二色性色素溶液を測定した吸収極大波長(λmax2)は446nmであった。
【0193】
比較例1
化合物(1A)の代わりに、特許1454637記載の「色素番号5」の化合物を用いた以外は、実施例3と同様にして偏光膜を作製した。同様に吸収極大波長ならびに二色比を測定したところ、吸収極大波長(λmax1)は398nmであり、二色比は20であった。二色性色素溶液を測定した吸収極大波長(λmax2)は386nmであった。該二色性色素の吸収極大波長は400nm以下であり、また、長波長シフト量は小さかった。
「色素番号5」の化合物
【0194】
比較例2
化合物(1A)の代わりに、特許1454637記載の「色素番号1」の化合物を用いた以外は、実施例3と同様にして偏光膜を作製した。同様に吸収極大波長ならびに二色比を測定したところ、吸収極大波長は446nmであり、二色比は4であった。二色性色素溶液を測定した吸収極大波長(λmax2)は436nmであった。二色比は低く、長波長シフト量は小さかった。
「色素番号1」の化合物