特許第6182974号(P6182974)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182974
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】基板検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/02 20060101AFI20170814BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   G01R31/02
   H05K3/00 T
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-105984(P2013-105984)
(22)【出願日】2013年5月20日
(65)【公開番号】特開2014-228301(P2014-228301A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】392019709
【氏名又は名称】日本電産リード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111866
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 秀明
(72)【発明者】
【氏名】山下 宗寛
【審査官】 山崎 仁之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−102079(JP,A)
【文献】 特開2008−281406(JP,A)
【文献】 特開2008−002823(JP,A)
【文献】 特開2010−133819(JP,A)
【文献】 特開2009−080061(JP,A)
【文献】 実開昭50−078269(JP,U)
【文献】 特表2002−504690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/02
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多端を有する配線パターンが複数形成される単位基板が複数連なるシート基板の該配線パターンを検査する際に、二つ以上の単位基板の配線パターンと電気検査を行う基板検査装置を接続して、該配線パターンの良否を判定する基板検査方法であって、
一の単位基板に形成される検査対象となる配線パターンと、該配線パターンと同じに形成される他の単位基板に形成される配線パターンを選出し、
前記一の配線パターンと前記他の配線パターンを短絡させるために、該一の配線パターンの任意の一端と、該他の配線パターンの任意の一端とを電気的に接続させ、
一の配線パターンの前記任意の一端以外の端子と、前記他の配線パターンの前記任意の一端以外の端子間の導通検査を実施することを特徴とする基板検査方法。
【請求項2】
前記一の配線パターンと前記他の配線パターンを短絡させるための短絡端子が、前記基板検査装置と前記シート基板を電気的に接続するための基板検査用治具に設けられていることを特徴とする請求項1記載の基板検査方法。
【請求項3】
前記一の配線パターンと前記他の配線パターンを短絡させるための短絡端子が、前記基板検査装置と前記シート基板を電気的に接続するための基板検査用治具と該基板検査装置とを電気的に接続するための接続部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の基板検査方法。
【請求項4】
多端を有する配線パターンが複数形成される単位基板が複数連なるシート基板の該配線パターンを検査する際に、二つ以上の単位基板の配線パターンと電気検査を行う場合に基板検査装置と該シート基板を電気的に接続する基板検査用治具であって、
一端が前記配線パターンの検査点と当接する複数の接触子と、
前記接触子の他端と当接する電極部を有する電極体と、
前記基板検査装置と電気的に接続される接続部と、
一の多端を有する配線パターンの任意の一の検査点と、該配線パターンとは異なる単位基板に形成されるとともに該配線パターンと同一の一の多端を有する配線パターンの任意の一の検査点とを接続する短絡部と、を含む基板検査用治具。
【請求項5】
前記異なる一の多端を有する配線パターンが、前記一の多端を有する配線パターンが形成される単位基板とは異なる単位基板に形成されている請求項4の基板検査用治具。
【請求項6】
前記電極部と前記接続部を接続する導線部とをさらに含み、
前記短絡部は、前記導線部に設けられている請求項4又は5に記載の基板検査用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の検査方法である基板検査方法に関し、より詳しくは、多面付されたICパッケージ基板の検査を行う場合に、検査タクトを向上させた基板検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上に形成される配線は、この基板に載置されるICや半導体部品又はその他の電子部品に電気信号を送受信するために用いられる。このような配線は、近年の電子部品の微細化に伴って、より微細に且つ複雑に形成されるようになるとともにより低抵抗に形成されている。このような基板の例として、ICパッケージ基板というものが存在する。
このICパッケージ基板は、ICチップとプリント配線板の電気的な接続や固定を行ったり、ICチップを外部の埃や塵等又は湿度から保護したりするために用いられる。
【0003】
このようなICパッケージ基板では、上記の如く、ICチップとプリント配線板を接続するインターポーザの役割を担うことになるため、ICパッケージ基板もICチップに対応した微細配線技術が求められている。このため、ICパッケージ基板に設けられる配線は極めて微細な配線として形成されることになる。
【0004】
このようなICパッケージ基板では、夫々の配線が電気信号を正確に伝達できることを保証するために、配線上に予め設定される検査点を利用して、所定の検査点間の抵抗値やリーク電流等の電気的特性を測定し、その測定結果に基づいて、その配線の良否を判断している。
【0005】
また、このようなICパッケージ基板は大量に製造されるが、製造工程では多数のICパッケージ基板が一枚のシートとして形成されている。このため、検査対象となる複数の単位基板の検査点に対応して複数の検査用治具を配置し、そのシート基板内の複数の単位基板に対して一度に検査を行うようにしているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1には、複数の単位基板が複数行で複数列に配置されたシート基板に対して、単位基板に対応する検査用治具ヘッドを複数組み合わせて検査用治具を形成し、この検査用治具で検査を行うことにより、一度の検査で複数の単位基板を同時に行うことで検査効率を向上させていた。
【0007】
また、特許文献1に示される基板検査用治具を用いた場合には、夫々の単位基板に対応する検査用治具ヘッドを複数備えているためだけであるため、検査自体は単位基板毎に電気検査が実施されている。特に、電源電圧又はグランドを供給するためやシールド用に用いられるVGネット(Voltage/Ground-net:所謂、電源層等)と呼ばれる多数端子を有するように形成される配線では、一の端子と他の端子を夫々総当たりの組み合わせ分だけ導通検査を行う必要がある。このため、例え、検査用治具ヘッドを複数備えていても、単位基板毎に電気検査を実施する必要があり、検査時間の短縮には至らなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−21867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、複数の単位基板を有するシート基板を検査する場合に、単位基板に対応する検査用治具ヘッドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、多端を有する配線パターンが複数形成される単位基板が複数連なるシート基板の該配線パターンを検査する際に、二つ以上の単位基板の配線パターンと電気検査を行う基板検査装置を接続して、該配線パターンの良否を判定する基板検査方法であって、一の単位基板に形成される検査対象となる配線パターンと、該配線パターンと同じに形成される他の単位基板に形成される配線パターンを選出し、前記一の配線パターンと前記他の配線パターンを短絡させるために、該一の配線パターンの任意の一端と、該他の配線パターンの任意の一端とを電気的に接続させ、一の配線パターンの前記任意の一端以外の端子と、前記他の配線パターンの前記任意の一端以外の端子間の導通検査を実施することを特徴とする基板検査方法を提供する。
請求項2の発明は、前記一の配線パターンと前記他の配線パターンを短絡させるための短絡端子が、前記基板検査装置と前記シート基板を電気的に接続するための基板検査用治具に設けられていることを特徴とする請求項1記載の基板検査方法を提供する。
請求項3記載の発明は、前記一の配線パターンと前記他の配線パターンを短絡させるための短絡端子が、前記基板検査装置と前記シート基板を電気的に接続するための基板検査用治具と該基板検査装置とを電気的に接続するための接続部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の基板検査方法を提供する。
請求項4記載の発明は、多端を有する配線パターンが複数形成される単位基板が複数連なるシート基板の該配線パターンを検査する際に、二つ以上の単位基板の配線パターンと電気検査を行う場合に基板検査装置と該シート基板を電気的に接続する基板検査用治具であって、一端が前記配線パターンの検査点と当接する複数の接触子と、前記接触子の他端と当接する電極部を有する電極体と、前記基板検査装置と電気的に接続される接続部と、一の多端を有する配線パターンの任意の一の検査点と、該配線パターンとは異なる単位基板に形成されるとともに該配線パターンと同一の一の多端を有する配線パターンの任意の一の検査点とを接続する短絡部と、を含む基板検査用治具を提供する。
請求項5記載の発明は、前記異なる一の多端を有する配線パターンが、前記一の多端を有する配線パターンが形成される単位基板とは異なる単位基板に形成されている請求項4の基板検査用治具を提供する。
請求項6記載の発明は、前記電極部と前記接続部を接続する導線部とをさらに含み、前記短絡部は、前記導線部に設けられている請求項4又は5に記載の基板検査用治具を提供する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、一の配線パターンと他の配線パターンを短絡させるために、一の配線パターンの任意の一端と、他の配線パターンの任意の一端とを電気的に接続させて、一の配線パターンの任意の一端以外の端子と、他の配線パターンの前記任意の一端以外の端子間の導通検査を実施することになるため、検査回数を削減することができる。
特に、従前の検査方法に比して、検査回数を約半分に低減することができ、極めて検査タクトを向上させることができる。
請求項2記載の発明によれば、一の配線パターンと前記他の配線パターンを短絡させるための短絡端子が、基板検査装置とシート基板を電気的に接続するための基板検査用治具に設けられているため、基板検査用治具を製造することで、本発明を実施することができる。このため、廉価に本発明の検査方法を実施することができる。
請求項3記載の発明によれば、一の配線パターンと他の配線パターンを短絡させるための短絡端子が、基板検査装置とシート基板を電気的に接続するための基板検査用治具と該基板検査装置とを電気的に接続するための接続部に設けられているので、基板検査装置の接続部に短絡部位を設けることにより、複雑な装置を構成することなく、簡便且つ容易に基板検査を実施することができる。
請求項4記載の発明によれば、一の配線パターンと他の配線パターンを短絡させるために、一の配線パターンの任意の一端と、他の配線パターンの任意の一端とを電気的に接続させて、一の配線パターンの任意の一端以外の端子と、他の配線パターンの前記任意の一端以外の端子間の導通検査を実施することになるため、検査回数を削減することができる。
特に、従前の検査方法に比して、検査回数を約半分に低減することができ、極めて検査タクトを向上させることができる。さらに、複雑な装置を構成することなく、簡単且つ容易に基板検査を実施することができる。
請求項5記載の発明によれば、異なる一の多端を有する配線パターンが、前記一の多端を有する配線パターンが形成される単位基板とは異なる単位基板に形成されているので、一の配線パターンと他の配線パターンを短絡させるために、一の配線パターンの任意の一端と、他の配線パターンの任意の一端とを電気的に接続させて、一の配線パターンの任意の一端以外の端子と、他の配線パターンの前記任意の一端以外の端子間の導通検査を実施することになるため、単位基板同士を接続することで検査時間・回数を削減できる。
請求項6記載の発明によれば、前記電極部と前記接続部を接続する導線部とをさらに含み、前記短絡部は、前記導線部に設けられることで、複雑な治具を構成することなく、簡便且つ容易に基板検査を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】シート基板の一実施形態を示す平面図である。
図2】本発明の検査対象の配線パターンを示す単位基板の概略断面図である。
図3】本発明にかかる基板検査装置の概略側面図の断面図である。
図4】本発明にかかる基板検査用治具の概略側面図である。
図5】本発明の一実施形態の概略を示す図であり、四つの単位基板を検査する場合の状態を概略的に示したものである。
図6】本発明の検査方法を概念的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明は、多端を有する配線パターンPが一以上形成される単位基板CBが複数連なるシート基板Bの検査を効率良く行うことを目的としている。このため、検査対象となるシート基板Bについて説明する。
図1はシート基板Bの一実施形態を示している。この図1で示されるシート基板Bには、複数の配線パターンが形成される単位基板CBが複数のマトリクス状に配置して形成されるシート状に形成されている。この基板Bは、図1に示される如く、検査対象となる複数の単位基板2が複数行複数列のマトリクス状に形成される。この基板Bは、検査処理等が行われた後に、単位基板CBごとに分割されるようになっている。各単位基板CBは同様の複数の配線パターンを有して形成されている。図1に示す基板Bでは、単位基板CBが5行、12列の構成で形成されている。単位基板CBが形成される行数については、特に限定されるものではない。なお、本明細書及び各図では説明の便宜のため、基板Bの列方向をx方向とし、列方向に直交する行方向をy方向とし、基板Bの平面に対して垂直方向(法線方向)をz方向としている。
【0014】
単位基板CBには、銅等の金属を用いた配線パターンが形成されており、これらの配線パターンの導通/短絡検査を検査することになる。これらの配線パターンには、後述する接触子が導通接触するための検査点が予め設定されることになる。なお、本明細書では、この検査点を配線パターンPの端点として説明する。この検査点には、通常接触子を当接させて、基板検査装置から電気信号を送受信するように設定される。
【0015】
次に、多端の配線パターンについて説明する。図2で示される単位基板CBの断面図には、3本の配線パターンP(P1乃至P3)が示されている。配線パターンP1と配線パターンP2は、信号を伝達するためのシグナルネット(Signal-net:所謂、信号線)と呼ばれる配線であり、一方端が単位基板CBの表面CB1に形成され、他方端が裏面CB2へ形成されている。このため、単位基板CBの表面CB1と裏面CB2を電気的に接続することができる。なお、シグナルネットは、2つのランド部の間を繋ぎ、電気信号の送受信を行うことができるように設けられるため、比較的単純な配線経路を有している場合が多く、全経路長や表面積等も比較的小さい場合が多い。
【0016】
配線パターンP3は、電源電圧又はグランドを供給するためやシールド用に用いられるVGネット(Voltage/Ground-net:所謂、電源層等)と呼ばれる配線である。図2の実施例では、単位基板CBの表面CB1に4つの端点と、裏面CB2にも四つの端点を有する配線パターンとして描かれている。このVGネット(配線パターンP3)は、単位基板CB内の複数の場所に電源電圧又はグランドを供給する必要があるとともに、シグナルネットに対するシールドとしての役割も担っている場合があるため、単位基板CB内に網の目状に設けられる場合が多く、全経路長や表面積等も大きい場合が多い。
【0017】
本発明は、シート基板Bの単位基板CBに設けられる配線パターンP3のような多端の配線パターンPを、効率良く検査することを目的としている。シート基板Bは、単位基板CBを複数備えており、夫々の単位基板CBは複数の配線パターンPを備えていることになる。この配線パターンPには、シグナルネットもあれば、VGネットも存在している。なお、本発明は、配線パターンが他端に設けられる検査を実施する場合に好適であるため、以後の説明では、配線パターンP1や配線パターンP2のような所定の二点を接続するシグナルネット(二端の配線パターン)に関しては基本的に省略する。
【0018】
次に、本発明で使用される基板を検査するための基板検査装置1について説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る基板検査装置1を示す構造断面図である。図3には、搬送テーブル20と第1及び第2の検査用治具移動部30,40との移動方向を明確にする観点からXYZ軸による直交座標系を示す。Y軸は、図3の紙面の表側から裏側に向かう方向が正方向である。
【0019】
基板検査装置1は、搬送テーブル20をX軸に沿って移動するための基板移動部60と、複数の基板検査用プローブピン35,45が取り付けられた検査用治具32,42をYZ面内で移動するための第1及び第2の検査用治具移動部30,40とを備える。第1及び第2の検査用治具移動部30,40は、XY面に関して対称に配置されている。
【0020】
搬送テーブル20は、検査基板21を載置するための基板保持部22と、その下面に固定された円筒状のブラケット63とを備える。円筒状のブラケット63には長手方向に貫通するネジ孔が形成されている。
【0021】
基板移動部60は、ブラケット63のネジ孔と螺合するボールネジ62と、そのボールネジ62を回転する駆動部61とを備える。ボールネジ62上のねじ山及びねじ溝は簡略化のために図示していない。駆動部61によってボールネジ62が回転すると、その回転量及び回転方向に応じて、ブラケット63、つまり、搬送テーブル20のX軸に沿った方向への移動量及び移動方向が決まる。
【0022】
第1の検査用治具移動部30は検査用治具保持部33を備えており、その検査用治具保持部33は、基板検査用の複数のプローブピン35が取り付けられた検査用治具32を保持するとともに、その検査用治具32を移動して検査用基板21上の検査対象の配線の検査点に基板検査用の複数のプローブピン35を当接させるように機能する。また基板検査用の複数のプローブピン35等は、検査用治具保持部33を経由して、基板の検査及び測定を行うためのスキャナ(図示せず)に電気的に接続される。
【0023】
第2の検査用治具移動部40は、第1の検査用治具移動部30の検査用治具保持部33と同様の検査用治具保持部43を備えており、その検査用治具保持部43は、検査用治具保持部33と同様に機能する。
【0024】
第1及び第2の検査用治具移動部30,40と基板移動部60との移動の制御は、基板検査装置1の制御装置(図示せず)によって行われる。また、第1及び第2の検査用治具移動部30,40には、それぞれ、検査基板21及び搬送テーブル20の位置を特定するために、主カメラ34,44が取り付けられている。
【0025】
次に、基板検査装置1で使用される検査用治具32(42)について説明する。図4は、検査用治具の一実施形態を示している。検査用治具32は、複数の接触子35(45)、これら接触子を多針状に保持する保持体3、この保持体3を支持するとともに接触子35と接触して基板検査装置と導通状態となる電極部を有する電極体4、電極部から電気的に接続されて延設される導線部5と、基板検査装置と電気的に接続される接続部を有する接続部6を有してなる。図4は、検査用治具32の概略を説明するための概略側面図を示している。この図4では、接触子35は三本に記載されているが、特に限定されるものではない。
【0026】
接触子35は、配線パターンP上に設定される検査点と後述する電極部を電気的に接続する。この接触子35の一方端は検査点に当接し、接触子35の他方端は電極部へ当接する。この接触子35によって、検査点と電極部が電気的に接続されることになる。この接触子35は、例えば、細長い棒状に形成されるとともに、導電性且つ可撓性を有している部材を採用することもできる。また、長手方向に伸縮するばねを用いた部材を採用することもできる。
【0027】
電極体4は、接触子35の他方端が当接するとともに基板検査装置と電気的に接続される電極部(図示せず)を保持する。この電極部は、電極体4の表面に対して略面一になるように形成されている。この電極部は、接触子35の外径よりも僅かに大きく形成されることが好ましい。
【0028】
導線部5は、電極体4の電極部と後述する接続体6の接続部61を電気的に接続する。この導線部5は、電極部41と接続部61を電気的に接続することができれば良く、例えば、銅線等の線状の金属線を採用することができる。
【0029】
金属線を用いて導線部5を作成する場合には、電極体4に貫通孔を設けて、その貫通孔に導線を配置し、電極体4の表面と面一になるように導線を切断することで、電極部を形成することができる。この場合、金属線の一端部は電極部として機能し、金属線の他端部は接続部61と導通接続されていることになる。
【0030】
接続体6は、基板検査装置と電気的に接続する接続部61を保持する。この接続部61は、基板検査装置1に設けられる接続箇所と導通接触することで電気的に接続される。この接続には、例えば、凹凸形状に夫々形成されるコネクタ接続を採用することができる。
【0031】
保持体3は、接触子35を保持するとともに、接触子35の一方端を検査点へ案内し、接触子35の他方端を電極部へ案内する。図4の保持体3は所定間隔を有して配置される二つの板状部材により形成されており、これら二つの板状部材が形成する空間内で接触子35を湾曲させることができる。
【0032】
この基板検査用治具32(42)には、単位基板CBに対応する検査用治具ヘッド(図示せず)が少なくとも二つ以上有するように形成されている。検査用治具ヘッドは、単位基板CBの配線パターンP上に予め設定される検査点に接触子35(45)が当接するように配置されている。このため、単位基板CBに対して検査用治具ヘッドが一対一に対応している。このため、基板検査用治具32が四つの検査用治具ヘッドを備えていれば、一回のプレスにてシート基板Bの四つの単位基板CBを検査することができ、検査用治具ヘッドの数に応じて、一回のプレスした際に検査できる単位基板CBの数を設定できることになる。
【0033】
本発明では、詳細は後述するが、一の単位基板CBに形成される一の配線パターンと、この単位基板CBとは異なる他の単位基板CBに形成される同一の配線パターンを短絡させて検査を実行することになるために、検査用治具ヘッドは偶数設けられることが好ましい。検査用治具ヘッドを偶数個設けることによって、効率良く検査用治具ヘッドを用いて、検査時間を短縮することができるからである。
【0034】
次に、本発明を実施するため、一の単位基板CBに形成される一の配線パターンPとこの配線パターンPと同じ他の単位基板CBに形成される配線パターンを短絡させる。これは、一の単位基板CBの一の配線パターンPの任意の一端と、他の単位基板CBに形成される配線パターンPの任意の一端とを電気的に接続させる。つまり、一の配線パターンPと他の配線パターンPは直列接続されており、一の単位基板CBと他の単位基板CBの所定の配線パターン同士が直列接続されていることになる。
【0035】
また、短絡端子SWは、上記の他に、基板検査装置1とシート基板Bを電気的に接続するための基板検査用治具32と基板検査装置1を電気的に接続するための接続部(図示せず)を採用することができる。このように接続部を利用する場合には、一の配線パターンPの一端と他の配線パターンPの一端がこの接続部で電気的に接続できるように設定される。また、上記の場合と同様に、短絡状態のON/OFF切り替えができるようにスイッチ機能を有するように作成されることが好ましい。
【0036】
一の配線パターンPと他の配線パターンPとの位置関係は、特段限定されるものではないが、隣接する単位基板CBを利用することが好ましい。隣接する単位基板CBの夫々の配線パターンPを利用することによって、効率良く単位基板CBを利用することができる。
【0037】
一の配線パターンPと他の配線パターンPとを接続する夫々の任意の一端は、一の配線パターンPと他の配線パターンPが直列接続されることができれば、特に限定されない。この配線パターンP同士を直列接続する短絡端子は、基板検査装置1とシート基板Bを電気的に接続するための基板検査用治具32(42)に設けられることができる。より具体的には、図4で示される基板検査用治具32の導線部5を利用することができる。一の配線パターンPの一端と電気的に接続される導線部5と、この一の配線パターンPと一端と直列接続させる他の配線パターンPの一端と電気的に接続される導線部5を短絡させるための短絡端子SWを設ける方法を採用することができる。この短絡端子SWはスイッチ素子を採用することができ、検査を実施する者が短絡状態のON/OFFを切り替えできるように設定しておくことが好ましい。
【0038】
図5では、短絡端子SW1と短絡端子SW2を用いた場合を説明する説明図である。この図5の実施例では、シート基板Bに四つの単位基板CB(単位基板CB(A)乃至単位基板CB(D))が形成されており、それらの単位基板CBには夫々パターンP(配線パターンP(1)乃至配線パターンP(4))が形成されている。また、この配線パターンPには、端子として端子1から端子5までの五つの端子が形成されている。なお、夫々の端子は、基板検査装置1と電気的に接続するための接触子30群が配置されている。なお、この単位基板CBでは、所謂、多端の配線パターンPのみを例示しており、全ての単位基板CBの配線パターンP(P(1)乃至P(4))が同一の配線パターンPとなっている。
【0039】
図5の実施例では、単位基板CB(A)の配線パターンP(1)の端子5と単位基板CB(B)の配線パターンP(2)の端子1が短絡端子SW1を介して導通接続されている。また、単位基板CB(C)の配線パターンP(3)の端子5と単位基板CB(D)の配線パターンP(4)の端子1が短絡端子SW2を介して導通接続されている。なお、短絡端子SW1短絡端子SW2は、夫々ON/OFF可能なスイッチで形成されている。
【0040】
基板検査装置1には、図示しない、スイッチ群と電源と電圧計や電流計を有しており、スイッチ群のON/OFF動作により、検査対象の測定が可能となっている。例えば、配線パターンP(1)の端子1と端子2間の配線の抵抗の良否を判定する場合、端子1と端子2間に所定電位を印加して、端子1と端子2に流れる電流を測定する。この場合の電位差(電圧値)と電流値から抵抗値を算出し、この算出された抵抗値を基に良否判定を行うことになる。
以上が本発明を実施するための基板検査装置1と基板検査用治具32と短絡端子SWの説明である。
【0041】
次に本発明の検査方法について、図5図6を用いて説明する。本発明は、単位基板CBに形成される配線パターンPを効率良く検査することができる。図4の場合、まず、短絡端子SW1をONにする。
【0042】
次に、配線パターンP(1)の端子4と配線パターンP(2)の端子2を、短絡端子SW1を経由して閉回路を形成し、この端子4と端子2間の抵抗値を算出して配線の良否に判断を行う。次に、配線パターンP(1)の端子3と配線パターンP(2)の端子3を、短絡端子SW1を経由して閉回路を形成し、この配線パターンP(1)の端子3と配線パターンP(2)の端子3間の抵抗値を算出して配線の良否に判断を行う。次に、配線パターンP(1)の端子2と配線パターンP(2)の端子4を、短絡端子SW1を経由して閉回路を形成し、この配線パターンP(1)の端子2と配線パターンP(2)の端子4間の抵抗値を算出して配線の良否に判断を行う。そして、配線パターンP(1)の端子1と配線パターンP(2)の端子5を、短絡端子SW1を経由して閉回路を形成し、この配線パターンP(1)の端子1と配線パターンP(2)の端子5間の抵抗値を算出して配線の良否に判断を行う。このようにして、配線パターンP(1)と配線パターンP(2)を短絡端子SW1により導通接続することで、従来の検査回数の8回から半分の4回に低減することができる。
【0043】
また、詳細な説明は省略するが、単位基板CB(C)と単位基板CB(D)の夫々の配線パターンP(配線パターンP(3)と配線パターン(4))についても同様に処理することで、従来よりも検査回数を半分にして、配線パターンPの検査を実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本明細書中では、ICパッケージ基板を検査物と称して説明してきたが、この検査物としては、例えば、プリント配線基板、フレキシブル基板、セラミック多層配線基板、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ用の電極板、及び半導体パッケージ用のパッケージ基板やフィルムキャリアなど種々の基板や、半導体ウェハや半導体チップやCSP(Chip size package)などの半導体装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1・・・・基板検査装置
32・・・基板検査用治具
B・・・・シート基板
CB・・・単位基板
SW・・・短絡端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6