(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記近赤外線吸収層形成用組成物が、前記透明樹脂100質量部に対して前記近赤外線吸収色素を0.2〜10質量部、前記シランカップリング剤および/またはそのオリゴマーを0.1〜30質量部、の割合で含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
前記近赤外線吸収層形成用組成物が、前記透明樹脂100質量部に対して前記シランカップリング剤および/またはそのオリゴマーを0.5〜15質量部の割合で含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
前記近赤外線吸収色素(B1)は、前記吸収スペクトルにおいて700〜720nmの領域にピーク波長を示す最大吸収ピークを有する色素であり、前記近赤外線吸収層は、前記式(1)で表わされる透過率の変化量Dが−0.86以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、下記説明に限定して解釈されるものではない。
【0025】
(光学フィルタ)
本発明の光学フィルタは、ガラス基板と、前記ガラス基板の一方の主面上に形成された近赤外線吸収層とを有する。該近赤外線吸収層は、近赤外線吸収層形成用組成物を該ガラス基板上で反応させて得られる。さらに、該近赤外線吸収層形成用組成物は、反応性基およびフルオレン骨格を有する透明樹脂と、近赤外線吸収色素と、加水分解性基および前記反応性基に対して反応性を有する官能基を有するシランカップリング剤および/またはそのオリゴマーを含有する。
【0026】
ガラス基板の表面に各種樹脂層を設ける場合、特にフルオレン骨格を有する透明樹脂に近赤外線吸収色素を含有するような光学特性を付与した樹脂層を設ける場合には、ガラス基板の表面に各種表面処理が施され、その上に樹脂層を形成することで接着性を向上させていた。しかしながら、このような方法では、ある程度の接着性は得られるものの、さらに高い接着特性が要求されるスペックには対応できない現状があった。また、上記構成において樹脂層上にさらに誘電体多層膜が配設されている場合の樹脂層と誘電体多層膜の接着性に関しても、切断時や高温高湿試験において十分な接着性が得られていない。
【0027】
本発明においては、光学特性と操作性を十分に確保しながら、上記表面処理に比べて、ガラス基板と近赤外線吸収層との間の接着性を向上させることを可能とした。また、樹脂層上にさらに誘電体多層膜が配設されている場合の樹脂層と誘電体多層膜の接着性に関しても改善が可能となった。
これは、近赤外線吸収層形成用組成物が、フルオレン骨格と反応性基を有する透明樹脂と近赤外線吸収色素を含有し、さらに、該透明樹脂が有する反応性基に対して反応性を有する官能基および加水分解性基を有するシランカップリング剤および/またはそのオリゴマーを含有することによる。
【0028】
以下、本発明の光学フィルタの実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の光学フィルタの実施形態の一例を概略的に示す断面図である。
図1に示す光学フィルタ10Aは、ガラス基板1とその一方の主面上に形成された近赤外線吸収層2からなる。
【0029】
(ガラス基板)
ガラス基板1としては、可視波長領域(450〜600nm)の光を、近赤外線吸収層2と組み合わせて光学フィルタ10Aとした際にその機能を果たせる程度に十分に、透過するものであれば、ガラスの種類は特に限定されるものではない。ガラスの材質としては、特に限定されず、通常のソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等が挙げられる。さらに、紫外領域および/または近赤外領域の波長に対して吸収特性を有する、例えば、フツリン酸塩系ガラスやリン酸塩系ガラス等にCuO等を添加した吸収型のガラスであってもよい。
【0030】
ガラス基板1は、可視域で透明な材料から、使用する装置、配置する場所等を考慮して、アルカリ成分の含有の有無や線膨張係数の大きさ等の特性を、適宜選択して使用できる。特に、ホウケイ酸ガラスは、加工が容易で、光学面における傷や異物等の発生が抑えられるため好ましい。また、アルカリ成分を含まない無アルカリガラスは、製造環境や使用環境におけるアルカリ溶出による影響を排除でき接着性、耐候性等が向上するため好ましい。
【0031】
ガラス基板1の大きさは、光学フィルタとして使用される大きさと同様とでき、使用する装置等に合わせて適宜調整される。ガラス基板1の厚みは、装置の小型化、薄型化、および取り扱い時の破損を抑制する点から、0.03〜5mmの範囲が好ましく、軽量化および強度の点から、0.05〜1mmの範囲がより好ましい。
【0032】
光学フィルタ10Aは、ガラス基板1側を、例えば撮像装置の固体撮像素子に直接貼着して使用されることがある。この場合、ガラス基板1の線膨張係数と被貼着部の線膨張係数との差が30×10
−7/K以下であることが、貼着後の剥がれ等を抑制する観点から好ましい。例えば、被貼着部の材質がシリコンであれば、線膨張係数が30×10
−7〜40×10
−7/K近傍の材料、例えば、ショット社製のAF33、テンパックス、旭硝子社製のSW−3、SW−Y、SW−YY、AN100、EN―A1等(以上、商品名)のガラスがガラス基板1の材料として好適である。被貼着部の材質がアルミナ等のセラミックであれば、線膨張係数が50×10
−7〜80×10
−7/K近傍の材料、例えば、ショット社製のD263、B270、旭硝子社製のFP1、FP01eco等のガラスがガラス基板1の材料として好適である。
【0033】
(近赤外線吸収層)
ガラス基板1の一方の主面上に形成される近赤外線吸収層2は、近赤外線吸収層形成用組成物をガラス基板上で反応させて得られる層である。該近赤外線吸収層形成用組成物は、フルオレン骨格と反応性基を有する透明樹脂、近赤外線吸収色素、および該透明樹脂が有する反応性基に対して反応性を有する官能基および加水分解性基を有するシランカップリング剤および/またはそのオリゴマーと、を含有する。なお、近赤外線吸収層形成用組成物を反応させて近赤外線吸収層を得るとは、該組成物を用いて近赤外線吸収層を形成する際に、該組成物中の反応性成分を反応させることを意味する。また、反応性成分の反応は、近赤外線吸収層が接するガラス基板等の他の層との界面における反応を含むものである。なお、近赤外線吸収層形成用組成物は、上記各成分を含有するとともに、溶媒を含有する場合もある。以下、近赤外線吸収層形成用組成物が含有する各成分について説明する。
【0034】
(1)透明樹脂
近赤外線吸収層形成用組成物において、透明樹脂は、反応性基およびフルオレン骨格を有し、ガラス基板上で反応して近赤外線吸収層を形成する成分である。フルオレン骨格を有する樹脂は、屈折率が高く、耐熱性が高い。そのため、該透明樹脂を用いて得られる近赤外線吸収層は、屈折率を高くでき、耐熱性を高くできる。
【0035】
上記反応性基は、例えば、透明樹脂の原料成分が有する反応性基のうち製造反応(例えば、重合反応)に関与しなかった反応性基であって、得られる透明樹脂の主鎖または側鎖の末端等に残存する反応性基等である。また、該透明樹脂は、熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、フルオレン骨格を有する熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂(A1)という)を含有することが好ましい。なお、熱可塑性樹脂は一般的に種類や製造方法によらず、原料由来の反応性基を本質的に有する。
【0036】
熱可塑性樹脂(A1)としては、下記式(F2)で示されるフルオレン骨格を有する熱可塑性樹脂であれば特に制限されない。熱可塑性樹脂(A1)は、具体的には、原料成分として、フルオレン骨格を有する成分を用いて得られる熱可塑性樹脂(A1)であれば特に制限されない。なお、フルオレン骨格を有する成分のうちでも、より高い屈折率および耐熱性が得られる点で、下記式(F3)で示される9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有する成分が好ましい。
【0039】
上記フルオレン骨格を有する成分を用いて得られる熱可塑性樹脂(A1)としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂が好ましい。
【0040】
アクリル樹脂としては、例えば、少なくとも、9,9−ビスフェニルフルオレンの2個のフェニル基に、末端に(メタ)アクリロイル基を有する置換基を各1個導入した9,9−ビスフェニルフルオレン誘導体を含む原料成分を重合させて得られるアクリル樹脂が挙げられる。本明細書における「(メタ)アクリロイル…」とは、「メタクリロイル…」と「アクリロイル…」の総称である。
【0041】
また、上記(メタ)アクリロイル基を有する9,9−ビスフェニルフルオレン誘導体に水酸基を導入した化合物と、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を重合させて得られるアクリル樹脂を用いてもよい。ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物の反応生成物として得られる化合物や、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とポリオール化合物の反応生成物として得られる化合物が挙げられる。
【0042】
ポリカーボネート樹脂としては、ポリカーボネート樹脂の一般的な原料成分であるカーボネート形成成分とジオール成分のいずれかに9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有する化合物を用いて重合させて得られるポリカーボネート樹脂が挙げられる。好ましくは、ジオール成分として9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン類を用い、カーボネート形成成分として、通常用いられるホスゲン類、ジフェニルカーボネート等のカーボネート類を用いて重合させて得られるポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0043】
ポリエステル樹脂としては、ポリエステル樹脂の一般的な原料成分であるジカルボン酸成分とジオール成分のいずれかに9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有する化合物を用いて重縮合させて得られるポリエステル樹脂が挙げられる。好ましくは、ジオール成分として9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン類を用い、ジカルボン酸成分として、通常用いられるジカルボン酸やエステル形成性ジカルボン酸誘導を用いて重縮合させて得られるポリエステル樹脂が挙げられる。
【0044】
本発明に用いる熱可塑性樹脂(A1)は、上記フルオレン骨格を有することで屈折率の高い樹脂である。本発明においては、上記熱可塑性樹脂(A1)の1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
ここで、近赤外線吸収層の形成に用いる透明樹脂においては、良好な光学特性が得られる点からその屈折率(n
20d)は、1.54以上が好ましく、1.55以上がより好ましく、1.56以上が特に好ましい。なお、本明細書において屈折率(n
20d)とは、20℃において波長589nmの光線を用いて測定される屈折率をいう。また、本明細書において特に断りのない限り、屈折率とは屈折率(n
20d)をいう。透明樹脂の屈折率の上限は特にないが、入手のしやすさ等から1.72程度が挙げられる。
【0046】
したがって、透明樹脂が含有する熱可塑性樹脂(A1)の屈折率についても、上記透明樹脂と同様とすることが好ましい。なお、上記熱可塑性樹脂(A1)においては、原料成分中のフルオレン骨格を有する成分の配合量を、製造上可能な範囲で適宜調整する等の方法により屈折率を調整可能である。
また、上記フルオレン骨格を有する成分を用いて得られる熱可塑性樹脂(A1)として例示した、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂は、いずれの樹脂も透明性の点でも優れた樹脂であり、近赤外線吸収層の形成に用いる透明樹脂として好適である。
【0047】
さらに、本発明に用いる熱可塑性樹脂(A1)の分子量としては、特に制限されないが、上に例示したいずれの熱可塑性樹脂についても、数平均分子量で1,000〜500,000が好ましく、3,000〜50,000がより好ましい。数平均分子量が上記下限を下回ると脆く、クラックが生じるおそれがあり、上限を上回ると溶融流動性が低くなり成形加工性もしくは溶剤への溶解性が劣る場合がある。
【0048】
上記熱可塑性樹脂(A1)としては、アクリル樹脂として、オグソールEA−F5503(商品名、大阪ガスケミカル社製、屈折率:1.60)、オグソールEA−F5003(商品名、大阪ガスケミカル社製、屈折率:1.59)等を硬化させたものが挙げられる。ポリカーボネート系樹脂としてLeXanML9103(商品名、sabic社製、屈折率1.59)、ポリマーアロイとしてはポリカーボネートとポリエステルのアロイとしてパンライトAM−8シリーズ(商品名、帝人化成社製)やxylex 7507(商品名、sabic社製)が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、OKPH4HT(商品名、大阪ガスケミカル社製、屈折率:1.64)、OKPH4(商品名、大阪ガスケミカル社製、屈折率:1.61)、B−OKP2(商品名、大阪ガスケミカル社製、屈折率:1.64)等が挙げられる。
【0049】
近赤外線吸収層形成用組成物が含有する透明樹脂は、熱可塑性樹脂(A1)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、熱可塑性樹脂(A1)以外の熱可塑性樹脂を含有してもよい。すなわち、熱可塑性樹脂(A1)以外の熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂(A2)とすれば、透明樹脂は、熱可塑性樹脂(A1)のみからなってもよく、熱可塑性樹脂(A1)と熱可塑性樹脂(A2)からなってもよい。
【0050】
熱可塑性樹脂(A2)としては、透明性を有する樹脂であり、熱可塑性樹脂(A1)と合わせて用いた場合に、透明樹脂として、屈折率が1.54以上となるような樹脂が好ましく、屈折率が1.55以上となるような樹脂がより好ましく、1.56以上となるような樹脂が特に好ましい。具体的には、フルオレン骨格を有しない、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらのなかでも、透明性の点から、屈折率が1.54以上のアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が好ましく用いられ、さらに、屈折率が1.54以上のポリエステル樹脂がより好ましく用いられる。
【0051】
熱可塑性樹脂(A2)としては、市販品を用いてもよく、具体的には、ポリエステル樹脂として、バイロン103(商品名、東洋紡社製、屈折率:1.55)等が挙げられる。熱可塑性樹脂(A2)についても、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
近赤外線吸収層形成用組成物が含有する透明樹脂における、熱可塑性樹脂(A1)の割合としては、5〜100質量%が好ましく、50〜100質量%が特に好ましい。なお、透明樹脂において熱可塑性樹脂(A1)と熱可塑性樹脂(A2)を組み合わせて用いる場合、同種の透明樹脂、例えば、アクリル樹脂同士、ポリエステル樹脂同士、ポリカーボネート樹脂同士の組み合わせが好ましい。
【0053】
(2)近赤外線吸収色素
近赤外線吸収層形成用組成物が含有する近赤外線吸収色素は、可視波長領域(450〜600nm)の光を十分に透過し、近赤外波長領域(700〜1100nm)の光を十分に吸収する能力を有する近赤外線吸収色素であれば特に制限されない。
【0054】
本発明の光学フィルタの用途、すなわち求められる近赤外線吸収特性によるが、近赤外線吸収色素として、屈折率が1.500未満の色素用溶媒に溶解して測定される波長域400〜1000nmの光の吸収スペクトルにおいて、ピーク波長が695〜720nmの領域にあり、半値全幅が60nm以下であり、かつ前記ピーク波長における吸光度を1として算出される630nmにおける吸光度と前記ピーク波長における吸光度の差を、630nmと前記ピーク波長との波長差で除した値が0.01〜0.05である最大吸収ピークを有する、近赤外線吸収色素(B1)の使用が好ましい。
【0055】
本明細書において、近赤外線吸収色素をNIR吸収色素ともいう。また、NIR吸収色素(B1)を、上記既定の色素用溶媒に最大吸収ピークのピーク波長における吸光度が1となる濃度で溶解して測定される波長域400〜1000nmの光の吸収スペクトルを、単にNIR吸収色素(B1)の吸収スペクトルという。さらに、NIR吸収色素(B1)の吸収スペクトルにおける最大吸収ピークのピーク波長をNIR吸収色素(B1)のλmaxまたは、λmax(B1)という。NIR吸収色素(B1)以外のNIR吸収色素についても同様である。
【0056】
NIR吸収色素(B1)の吸収スペクトルにおいて、λmax(B1)における吸光度を1として算出される630nmにおける吸光度(下記式(2)において、「Bb
630」と示す。)とλmax(B1)における吸光度の差を、630nmとλmax(B1)との波長差で除した値を、以下、「吸収スペクトル傾き」という。NIR吸収色素(B1)以外のNIR吸収色素についても同様である。なお、吸収スペクトル傾きを式で示すと以下の式(2)のとおりである。
吸収スペクトル傾き=(1−Bb
630)/(λmax(B1)−630) …(2)
また、近赤外線吸収層における上記式(1)で表わされる透過率の変化量Dを、単に透過率の変化量Dともいう。
【0057】
NIR吸収色素(B1)の吸収スペクトルを測定するために用いる色素用溶媒としては、屈折率が1.500未満であり、測定されるNIR吸収色素(B1)を溶解できる色素用溶媒であれば特に制限されない。NIR吸収色素(B1)の種類によるが、具体的には、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン系溶媒、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、トルエン等の芳香族溶媒、シクロヘキサノン等の脂環族溶媒が挙げられる。
【0058】
NIR吸収色素(B1)の吸収スペクトルの最大吸収ピークにおけるλmaxは、695〜720nmの領域にある。λmaxは、700〜720nmにあることが好ましい。NIR吸収色素(B1)の吸収スペクトルの最大吸収ピークにおける半値全幅は60nm以下である。半値全幅は、50nm以下が好ましく、35nm以下がより好ましい。NIR吸収色素(B1)の吸収スペクトルの最大吸収ピークにおける吸収スペクトル傾きは、0.01〜0.05である。吸収スペクトル傾きは、0.01〜0.03が好ましく、0.010〜0.014がより好ましい。
【0059】
また、NIR吸収色素(B1)としては、その吸収スペクトルが上記特徴を有する以外に、その吸収スペクトルにおいて、上記最大吸収ピーク以外に半値全幅が100nm以下の、形状がシャープな吸収ピークを有しないことが好ましい。
NIR吸収色素(B1)の上記吸光特性は、近赤外線カットフィルタに求められる波長630〜700nm付近の間で急峻に吸光度が変化する光学特性に合致する。
【0060】
本実施形態の光学フィルタにおいては、NIR吸収色素(B1)を含むNIR吸収色素を用い、これを透明樹脂に分散させて、近赤外線吸収層を形成することで、該近赤外線吸収層の上記吸光特性、すなわち、450〜600nmの可視光の透過率が70%以上であり、695〜720nmの波長域における光の透過率が10%以下であり、かつ透過率の変化量Dが−0.8以下である吸光特性を達成している。
【0061】
つまり、NIR吸収色素(B1)は、近赤外線吸収層における450〜600nmの可視波長帯域を高透過とし、695〜720nmの近赤外波長帯域を低透過(遮光)とし、その境界領域を急峻にする作用を有する。NIR吸収色素(B1)のこのような機能を阻害しないために、NIR吸収色素は、実質的にNIR吸収色素(B1)のλmax(B1)の最小値である695nmより短波長側にλmaxを有するNIR吸収色素を含有しない。この観点から、NIR吸収色素はNIR吸収色素(B1)のみで構成されてもよい。
【0062】
NIR吸収色素(B1)としては、上記吸光特性を有する化合物であれば、特に制限されない。一般にNIR吸収色素として用いられるシアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ジチオール金属錯体系化合物、ジイモニウム系化合物、ポリメチン系化合物、フタリド化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、インドフェノール系化合物、スクアリリウム系化合物等から、上記吸光特性を有する化合物を適宜選択して使用できる。これらのうちでも、特にスクアリリウム系化合物は、化学構造を調整することで上記NIR吸収色素(B1)として求められる波長帯で急峻な吸収傾きが得られるとともに、保存安定性および光に対する安定性を確保できる点で好ましい。
【0063】
NIR吸収色素(B1)として、具体的には、下記式(F1)で示されるスクアリリウム系化合物から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。本明細書において、式(F1)で示される化合物を化合物(F1)ともいう。他の化合物についても同様である。
化合物(F1)は、スクアリリウム骨格の左右にベンゼン環が結合し、さらにベンゼン環の4位に窒素原子が結合するとともに該窒素原子を含む飽和複素環が形成された構造を有するスクアリリウム系化合物であり、上記NIR吸収色素(B1)としての吸光特性を有する化合物である。化合物(F1)においては、近赤外線吸収層形成用組成物に含有される際にともに含有される透明樹脂や溶媒(以下、「ホスト溶媒」ということもある。)への溶解性を高める等のその他の要求特性に応じて、以下の範囲でベンゼン環の置換基を適宜調整できる。
【0065】
ただし、式(F1)中の記号は以下のとおりである。
R
4およびR
6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルコキシ基、または−NR
7R
8(R
7およびR
8は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または−C(=O)−R
9(R
9は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜11のアリール基もしくはアルアリール基))を示す。
【0066】
R
1とR
2、R
2とR
5、およびR
1とR
3は、それぞれ独立して、互いに連結して窒素原子と共に員数が5または6のそれぞれ複素環A、複素環B、および複素環Cを形成していてもよい。ただし、式(F1)は、複素環A、複素環B、および複素環Cから選ばれる少なくとも1以上の環構造を有する。
複素環Aが形成される場合のR
1とR
2は、これらが結合した2価の基−Q−として、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基で置換されてもよいアルキレン基、またはアルキレンオキシ基を示す。
複素環Bが形成される場合のR
2とR
5、および複素環Cが形成される場合のR
1とR
3は、これらが結合したそれぞれ2価の基−X
1−Y
1−および−X
2−Y
2−(窒素に結合する側がX
1およびX
2)として、X
1およびX
2がそれぞれ下記式(1x)または(2x)で示される基であり、Y
1およびY
2がそれぞれ下記式(1y)〜(5y)から選ばれるいずれかで示される基である。X
1およびX
2が、それぞれ下記式(2x)で示される基の場合、Y
1およびY
2はそれぞれ単結合であってもよい。
【0068】
式(1x)中、4個のZは、それぞれ独立して水素原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルコキシ基、または−NR
28R
29(R
28およびR
29は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を示す)を示す。R
21〜R
26は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を、R
27は炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示す。
【0069】
R
7、R
8、R
9、R
4、R
6、R
21〜R
27、複素環を形成していない場合のR
1〜R
3、およびR
5は、これらのうちの他のいずれかと互いに結合して5員環または6員環を形成してもよい。R
21とR
26、R
21とR
27は直接結合してもよい。
複素環を形成していない場合の、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、アリル基、炭素数6〜11のアリール基またはアルアリール基を示す。複素環を形成していない場合の、R
3およびR
5は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または、炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。
以下、複素環Aは単に環Aということもある。複素環B、複素環Cについても同様である。
【0070】
化合物(F1)において、R
4およびR
6は、それぞれ独立して、上記の原子または基を示す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。R
4およびR
6は、いずれか一方が水素原子であって、他方が−NR
7R
8である組合せが好ましい。
【0071】
化合物(F1)が、環A〜環Cのうち、環Aのみ、環Bと環Cのみ、環A〜環Cをそれぞれ有する場合、−NR
7R
8は、R
4とR
6のいずれに導入されてもよい。化合物(F1)が、環Bのみ、環Aと環Bのみをそれぞれ有する場合、−NR
7R
8は、R
4に導入されるのが好ましい。同様に、環Cのみ、環Aと環Cのみをそれぞれ有する場合、−NR
7R
8は、R
6に導入されるのが好ましい。
【0072】
−NR
7R
8としては、ホスト溶媒や透明樹脂への溶解性の観点から、−NH−C(=O)−R
9が好ましい。R
9としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基が好ましい。置換基としては、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアシルオキシ基等が挙げられる。これらのうちでも、フッ素原子で置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、および炭素数1〜6のフルオロアルキル基および/または炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されてもよいフェニル基から選ばれる基が好ましい。
【0073】
化合物(F1)において、R
1とR
2、R
2とR
5、およびR
1とR
3が、それぞれ互いに連結して形成される員数5または6の環A、環B、および環Cは、少なくともこれらのいずれか1個が形成されていればよく、2個または3個が形成されていてもよい。
【0074】
環を形成していない場合の、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、アリル基、炭素数6〜11のアリール基またはアルアリール基を示す。置換基としては、ヒドロキシ基、炭素数1〜3のアルコキシ基、アシルオキシ基が挙げられる。環を形成していない場合の、R
3およびR
5は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または、炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。これらのなかでも、R
1、R
2、R
3、R
5としては、ホスト溶媒や透明樹脂への溶解性の観点から、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0075】
また、化合物(F1)において、スクアリリウム骨格の左右に結合するベンゼン環が有する基R
1〜R
6は、左右で異なってもよいが、左右で同一であることが好ましい。
なお、化合物(F1)は、上記一般式(F1)で示される構造の共鳴構造を有する式(F1−1)で示される化合物(F1−1)を含む。
【0076】
【化7】
ただし、式(F1−1)中の記号は、上記式(F1)における規定と同じである。
【0077】
化合物(F1)として、より具体的には、環Bのみを環構造として有する下記式(F11)で示される化合物、環Aのみを環構造として有する下記式(F12)で示される化合物、環Bおよび環Cの2個を環構造として有する下記式(F13)で示される化合物が挙げられる。なお、下記式(F11)で示される化合物は、化合物(F1)において環Cのみを環構造として有しR
6が−NR
7R
8である化合物と同じ化合物である。また、下記式(F11)で示される化合物および下記式(F13)で示される化合物は、米国特許第5,543,086号明細書に記載された化合物である。
【0078】
【化8】
式(F11)〜(F13)中の記号は、上記式(F1)における規定と同じであり、好ましい態様も同様である。
【0079】
化合物(F11)において、X
1としては、上記式(2x)で示される水素原子が炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基で置換されてもよいエチレン基が好ましい。この場合、置換基としては炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。X
1として、具体的には、−(CH
2)
2−、−CH
2−C(CH
3)
2−、−CH(CH
3)−C(CH
3)
2−、−C(CH
3)
2−C(CH
3)
2−等が挙げられる。Y
1としては、単結合、−CH
2−、−C(CH
3)
2−、−CH(C
6H
5)−、−CH((CH
2)
mCH
3)−(mは0〜5)等が挙げられる。化合物(F11)における−NR
7R
8としては、−NH−C(=O)−C
mH
2m+1(mは1〜20であり、C
mH
2m+1は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。)、−NH−C(=O)−Ph−R
10(−Ph−はフェニレン基を、R
10は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、または炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基を示す。)等が挙げられ、−NH−C(=O)−CH
3、−NH−C(=O)−C
6H
13、−NH−C(=O)−C
6H
5等が好ましい。化合物(F11)として、例えば、下記式(F11−1)で示される化合物等が挙げられる。
【0081】
化合物(F12)において、Qは、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基に置換されてもよい炭素数4または5のアルキレン基、炭素数3または4のアルキレンオキシ基である。アルキレンオキシ基の場合の酸素の位置はNの隣以外が好ましい。なお、Qとしては、炭素数1〜3のアルキル基、特にはメチル基に置換されてもよいブチレン基が好ましい。
化合物(F12)において、−NR
7R
8は、−NH−C(=O)−C
mH
2m+1(mは1〜20であり、C
mH
2m+1は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。)、−NH−C(=O)−Ph−R
10(R
10は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、または炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基を示す。)等が好ましい。
【0082】
ここで、化合物(F12)は、そのλmaxが700〜720nmの間にあり、これを含有する近赤外線吸収層における透過率の変化量Dを−0.86以下とできる、NIR吸収色素(B1)として好ましい化合物である。λmaxを上記範囲とすることで、可視波長帯の透過領域を広げることが可能となる。
化合物(F12)として、例えば、下記式(F12−1)で示される化合物、下記式(F12−2)で示される化合物等が挙げられる。
【0084】
化合物(F13)において、X
1およびX
2としては、独立して上記式(2x)で示される水素原子が炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基で置換されてもよいエチレン基が好ましい。この場合、置換基としては炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。X
1およびX
2として、具体的には、−(CH
2)
2−、−CH
2−C(CH
3)
2−、−CH(CH
3)−C(CH
3)
2−、−C(CH
3)
2−C(CH
3)
2−等が挙げられる。Y
1およびY
2としては、独立して、単結合、−CH
2−、−C(CH
3)
2−、−CH(C
6H
5)−、−CH((CH
2)
mCH
3)−(mは0〜5)等が挙げられる。化合物(F13)において、−NR
7R
8は、−NH−C(=O)−C
mH
2m+1(mは1〜20であり、C
mH
2m+1は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。)、−NH−C(=O)−Ph−R
10(R
10は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、または炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基を示す。)等が好ましい。
化合物(F13)として、例えば、下記式(F13−1)で示される化合物等が挙げられる。
【0086】
上記化合物(F11−1)、化合物(F12−1)、化合物(F12−2)および化合物(F13−1)の吸光特性を表1に示す。
【0088】
なお、上記化合物(F11)、化合物(F12)、化合物(F13)等の化合物(F1)は、従来公知の方法で製造可能である。
化合物(F11−1)等の化合物(F11)は、例えば、米国特許第5,543,086号明細書に記載された方法で製造できる。
また、化合物(F12)は、例えば、J.Org.Chem.2005,70(13),5164−5173に記載の方法で製造できる。
【0089】
これらのうちでも、化合物(F12−1)、化合物(12−2)等は、例えば以下の反応式(F3)に示す合成経路にしたがって製造できる。
反応式(F3)によれば、1−メチル−2−ヨード−4−アミノベンゼンのアミノ基に所定の置換基R
9(例えば、化合物(F12−1)の場合はフェニル基(以下、「−Ph」で示す。)、化合物(F12−2)の場合は−(CH
2)
5−CH
3)を有するカルボン酸塩化物を反応させてアミドを形成する。次いで、ピロリジンを反応させ、さらに3,4−ジヒドロキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン(以下、スクアリン酸という。)と反応させることで、化合物(F12−1)、化合物(F12−2)等が得られる。
【0090】
【化12】
反応式(F3)中R
9は、−Ph、−(CH
2)
5−CH
3等の所定の置換基を示す。Etはエチル基、THFはテトラヒドロフランを示す。
【0091】
また、化合物(F13−1)等は、例えば以下の反応式(F4)に示す合成経路にしたがって製造できる。
反応式(F4)では、まず、8−ヒドロキシジュロリジンにトリフルオロメタンスルホン酸無水物(Tf
2O)を反応させ、8−トリフルオロメタンスルホン酸ジュロリジンとし、次いで、これにベンジルアミン(BnNH
2)を反応させ8−ベンジルアミノジュロリジンを得、さらにこれを還元して8−アミノジュロリジンを製造する。次いで、8−アミノジュロリジンのアミノ基に所定の置換基R
9(例えば、化合物(F13−1)の場合、−(CH
2)
6−CH
3)を有するカルボン酸塩化物を反応させてジュロリジンの8位に−NH−C(=O)R
9を有する化合物を得る。次いで、この化合物の2モルをスクアリン酸1モルと反応させることで、化合物(F13−1)等が得られる。
【0093】
反応式(F4)中、R
9は所定の置換基、Meはメチル基、TEAはトリエチルアミン、Acはアセチル基、BINAPは(2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル)、NaOtBuはナトリウムt−ブトキシドをそれぞれ示す。
【0094】
本実施形態においては、NIR吸収色素(B1)として、上記NIR吸収色素(B1)としての吸光特性を有する複数の化合物から選ばれる1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0095】
本発明においては、NIR吸収色素として上記NIR吸収色素(B1)を用いる場合には、特に、上記透明樹脂として、屈折率が1.54以上の透明樹脂を用いることが好ましく、用いる透明樹脂の屈折率は1.55以上がより好ましく、1.56以上が特に好ましい。NIR吸収色素(B1)を屈折率が1.54以上の透明樹脂に分散させて用いることにより、得られるNIR吸収色素(B1)を含有する樹脂層、すなわち近赤外線吸収層が、撮像装置用の近赤外線吸収フィルタとして重要な波長630〜700nmの間で急峻に吸収曲線が変化する光学特性を維持しながら、遮蔽領域をNIR吸収色素(B1)の最大吸収ピークのピーク波長から長波長域にまで広げることが可能となる。
【0096】
ここで、本実施形態の近赤外線吸収フィルタにおいては、近赤外波長領域の透過率を広範囲に抑制することが好ましく、そのために、好ましい態様として、上記近赤外線吸収層と、例えば、低屈折率の誘電体膜と高屈折率の誘電体膜を交互に積層した誘電体多層膜からなる選択波長遮蔽層が組み合わせて用いられることがある。
【0097】
ところが、誘電体多層膜等からなる選択波長遮蔽層は、視線角度により分光スペクトルが変動することが知られている。このため、近赤外線吸収フィルタの実使用においては、近赤外線吸収層と選択波長遮蔽層の組合せにおいて、このような分光スペクトルの変動に配慮する必要がある。このような選択波長遮蔽層との組合せを考慮すると、近赤外線吸収層は上記吸光特性を有する限り、さらに長波長域の光を遮光することが好ましい。
【0098】
そのために、NIR吸収色素がNIR吸収色素(B1)を含有する場合には、その吸収スペクトルにおいて、NIR吸収色素(B1)によるλmaxの最大値である720nmを超える近赤外線波長領域にピーク波長があり、NIR吸収色素(B1)が有する可視光波長帯域と近赤外線波長帯域の境界領域で光の吸収曲線を急峻にする作用に影響を与えることのない最大吸収ピークを有する、NIR吸収色素(B2)をさらに含有することが好ましい。このような観点からNIR吸収色素(B2)としては、化学構造を調整することで上記NIR吸収色素(B2)として求められる吸光特性が付与されたシアニン系化合物が好ましい。シアニン系化合物は古くからCD−R等の記録色素として用いられてきた色素であり低コストであって、塩形成することにより長期の安定性も確保できることが知られている。
【0099】
近赤外線吸収層形成用組成物におけるNIR吸収色素の含有量は、透明樹脂100質量部に対して、0.2〜10質量部の割合が好ましく、0.5〜5質量部の割合がより好ましい。NIR吸収色素としてNIR吸収色素(B1)を用いる場合、NIR吸収色素全量に対するNIR吸収色素(B1)の割合は、10〜100質量%が好ましく、30〜100質量%が特に好ましい。NIR吸収色素の含有量が透明樹脂100質量部に対して0.2質量部以上であれば、十分な近赤外線吸収特性を維持できる。10質量部以下であれば、可視領域の透過率を損なうことなく、十分な近赤外線吸収特性を維持できる。
【0100】
(3)シランカップリング剤および/またはそのオリゴマー
近赤外線吸収層形成用組成物が含有するシランカップリング剤および/またはそのオリゴマーは、上記透明樹脂が有する反応性基に対して反応性を有する官能基および加水分解性基を有する。近赤外線吸収層形成用組成物に含まれるNIR吸収色素の光学特性を阻害しないものであれば、シランカップリング剤および/またはそのオリゴマーは、特に制限なく使用可能である。以下、上記透明樹脂が有する反応性基に対して反応性を有する官能基および加水分解性基を有するシランカップリング剤をシランカップリング剤(C)という。
【0101】
透明樹脂が有する反応性基としては、該透明樹脂を製造する際に用いる各原料成分が有する重合等の反応に関与する官能基が挙げられる。したがって、用いるシランカップリング剤(C)は透明樹脂との組合せとして選択される。
【0102】
透明樹脂は、熱可塑性樹脂(A1)の少なくとも1種を含有することが好ましく、その場合、さらに熱可塑性樹脂(A1)以外の熱可塑性樹脂(A2)を含有することもある。透明樹脂が熱可塑性樹脂(A1)の少なくとも1種を含む2種以上の熱可塑性樹脂で構成される場合、用いるシランカップリング剤(C)は、いずれの熱可塑性樹脂が有する反応性基に対して反応性を有する官能基を有するものであってもよい。好ましくは、透明樹脂に占める割合が最も多い熱可塑性樹脂が有する反応性基に対して反応性を有する官能基を有するシランカップリング剤(C)が用いられる。この場合、透明樹脂に占める割合が少ない熱可塑性樹脂が有する反応性基に対して反応性を有する官能基を有するシランカップリング剤(C)を追加的に用いてもよい。
【0103】
このようなシランカップリング剤(C)として好ましくは、下記一般式(S1)で表される化合物が挙げられる。以下、式(S1)で表される化合物を化合物(S1)ということもある。
【0104】
R
11SiR
12nX
113−n ……(S1)
(式(S1)中、R
11は、末端に透明樹脂が有する反応性基と反応性を有する官能基をもつ炭素数1〜10の1価の有機基を、R
12は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を、nは0または1の整数を、X
11は互い同一であっても異なってもよい加水分解性基を、それぞれ示す。)
【0105】
ここで、R
11が末端に有する官能基として、具体的には、透明樹脂が有する反応性基によるが、例えば、アミノ基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、ビニル基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基、塩素原子等が挙げられる。なお、末端が塩素原子の場合、−CH
2Clの形で官能基として扱うものとする。
【0106】
例えば、透明樹脂が有する反応性基がエチレン性二重結合の場合、上記官能基としては、ビニル基、(メタ)アクリロキシ基等が挙げられる。透明樹脂が有する反応性基がカルボキシル基の場合、上記官能基としては、アミノ基、エポキシ基等が挙げられ、水酸基の場合、上記官能基として、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基等が挙げられる。
【0107】
式(S1)中、R
12は炭素数1〜6の1価の炭化水素基であり、炭素数は1〜4が好ましい。R
12は、メチル基またはエチル基であることがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0108】
X
11は、加水分解性基であり、具体的には、塩素原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、アシル基、アミノ基が挙げられる。これらのなかでも、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。ケイ素原子に結合する加水分解性基は2個または3個であり、2個または3個の加水分解性基は同一であっても異なってもよいが、生産性の観点からは同一であることが好ましい。
【0109】
式(S1)中、R
11の炭素数は末端基の炭素数を含む炭素数であり、好ましい炭素数は末端基により異なる。末端がビニル基の場合、好ましい炭素数は2〜4であり、2がより好ましい。末端がエポキシ基の場合は、エポキシ基を含む末端基としてグリシジルオキシ基、エポキシシクロヘキシル基が好ましく、これらとケイ素原子を結合する連結基として、炭素数1〜6のアルキレン基を有する構造が好ましく、連結基はエチレン基、プロピレン基が特に好ましい。R
11が、ビニル基、エポキシ基以外の末端基を有する場合は、末端基とケイ素原子を結合する連結基として、炭素数1〜10のアルキレン基を有する構造が好ましく、連結基はエチレン基、プロピレン基が特に好ましい。R
11が末端に塩素原子を有する場合、塩素原子数は1が好ましく、R
11としては2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基が好ましい。
【0110】
シランカップリング剤(C)、例えば、化合物(S1)は、加水分解性シリル基を有する。加水分解性シリル基は水分の存在下、加水分解によりシラノール基となる。シラノール基は分子間で脱水縮合して−Si−O−Si−で表されるシロキサン結合を生成するとともに、ガラス基板付近では、ガラス基板の表面の水酸基(ガラス基板−OH)と脱水縮合反応して、化学結合(ガラス基板−O−Si)を形成する。また、シランカップリング剤(C)が有する上記官能基が、透明樹脂が有する反応性基と反応することで、透明樹脂との化学結合が得られる。このシランカップリング剤(C)を介するガラス基板と透明樹脂との化学結合により、本発明においては、ガラス基板1と近赤外線吸収層2の間の強固な接着を実現可能とした。
【0111】
また、シランカップリング剤(C)を、層形成成分としての透明樹脂とともに近赤外線吸収層形成用組成物に含有させ、これを用いて近赤外線吸収層を形成することにより、得られる近赤外線吸収層2の内部において、シランカップリング剤(C)が上記同様のシロキサン結合により部分的に酸化ケイ素マトリックスを形成し、さらに上記官能基によりこの酸化ケイ素マトリックスと透明樹脂との結合も得られていると考えられる。
さらに、近赤外線吸収層2のガラス基板1と反対側の面上に、後述の誘電体多層膜が形成される場合には、誘電体多層膜は、通常、金属酸化物で構成されることから、シランカップリング剤(C)を近赤外線吸収層形成用組成物に含有させて近赤外線吸収層を形成することにより、ガラス基板の場合と同様に、その表面に化学結合(金属酸化物層−O−Si)が形成されることで、上記ガラス基板との接着と同様な機構が形成されて、近赤外線吸収層と誘電体多層膜の間で良好な接着性が発現すると期待できる。
【0112】
上記シラン系カップリング剤(C)としては、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランのようなエポキシシラン類、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランのような(メタ)アクリロキシシラン類、ビニルトリメトキシシラン、N−2−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランのようなビニルシラン類、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−N’−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノシラン類、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランのようなイソシアネートシラン類、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0113】
なお、具体的に、透明樹脂を構成する熱可塑性樹脂の種類とシラン系カップリング剤(C)の組合せとしては、熱可塑性樹脂がアクリル樹脂の場合には、(メタ)アクリロキシシラン類、ビニルシラン類、エポキシシラン類、アミノシラン類、イソシアネートシラン類が挙げられる。熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂の場合には、エポキシシラン類、アミノシラン類が挙げられる。熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂の場合には、エポキシシラン類、アミノシラン類、イソシアネートシラン類が挙げられる。
【0114】
ここで、上記シランカップリング剤(C)は、近赤外線吸収層2が含有するNIR吸収色素の光学特性を阻害しないことが必須の要件とされる。用いるNIR吸収色素によるが、NIR吸収色素として、例えば、上記本発明に好ましく用いられる上記式(F1)で示されるNIR吸収色素(B1)を用いる場合には、上記シランカップリング剤(C)はエポキシシラン類、(メタ)アクリロキシシラン類が好ましく、エポキシシラン類が特に好ましい。
シランカップリング剤(C)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0115】
なお、化合物(S1)等のシランカップリング剤(C)を、近赤外線吸収層形成用組成物に配合するにあたって、シランカップリング剤(C)はそのままの状態で配合されてもよく、そのオリゴマー(部分加水分解縮合物)として配合されてもよい。また、シランカップリング剤(C)とそのオリゴマーの混合物として近赤外線吸収層形成用組成物に配合されてもよい。
【0116】
また、2種以上のシランカップリング剤(C)を組み合わせて用いる場合には、各化合物はそのままの状態で近赤外線吸収層形成用組成物に配合されてもよく、それぞれがオリゴマーとして配合されてもよく、さらには2種以上の化合物のコオリゴマー(部分加水分解共縮合物)として配合されてもよい。また、これらの化合物、オリゴマー(部分加水分解縮合物)、コオリゴマー(部分加水分解共縮合物)の混合物であってもよい。該オリゴマーおよびコオリゴマーもまた、加水分解性基(加水分解されたシラノール基を含む)および上記透明樹脂が有する反応性基に対して反応性を有する官能基を有する。以下、シランカップリング剤(C)自体に加えてこのようなオリゴマーおよびコオリゴマーを包括して含む用語として「シランカップリング剤(C)類」を用いる。
【0117】
シランカップリング剤(C)のオリゴマーおよびコオリゴマーとは、溶媒中で酸触媒やアルカリ触媒等の触媒存在下に、シランカップリング剤(C)が有する加水分解性シリル基の一部または全部が加水分解し、次いで脱水縮合することによって生成する多量体をいう。なお。この多量体の縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度とする。
【0118】
近赤外線吸収層形成用組成物におけるシランカップリング剤(C)類の含有量は、透明樹脂100質量部に対して、0.1〜30質量部の割合が好ましく、0.5〜15質量部がより好ましく、3〜15質量部が特に好ましい。シランカップリング剤(C)類の配合量が、上記範囲内であれば、ガラス基板1と近赤外線吸収層2は十分な接着性を維持できるとともに、可視光領域の透過率を損なうことなく、十分な近赤外線吸収特性を維持できる。
【0119】
(近赤外線吸収層形成用組成物)
本発明に用いる近赤外線吸収層形成用組成物は、上記必須成分である透明樹脂、NIR吸収色素、およびシランカップリング剤(C)類を含有する。各必須成分の含有量は上記のとおりである。近赤外線吸収層形成用組成物は、通常、溶媒を含有する。溶媒は、ガラス基板上に近赤外線吸収層を均一な層として形成させる機能を有し、近赤外線吸収層の形成過程で除去される成分である。近赤外線吸収層形成用組成物は、さらに必要に応じて、各種機能を有する任意成分を本発明の効果を阻害しない範囲で含有してもよい。
【0120】
上記任意成分としては、無機微粒子からなる上記NIR吸収色素以外の近赤外線ないし赤外線吸収剤、色調補正色素、紫外線吸収剤、レベリング剤、帯電防止剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、分散剤、難燃剤、滑剤、可塑剤等が挙げられる。これら任意成分は、近赤外線吸収層形成用組成物中の透明樹脂100質量部に対して、それぞれ10質量部以下の量で配合することが好ましい。
【0121】
また、近赤外線ないし赤外線吸収剤(無機微粒子)としては、ITO(Indium Tin Oxides)、ATO(Antimony-doped Tin Oxides)、ホウ化ランタンなどからなる微粒子が挙げられる。なかでも、ITO微粒子は、可視波長領域の光の透過率が高く、かつ1200nmを超える赤外波長領域も含めた広範囲の光吸収性を有するため、赤外波長領域の光の遮蔽性を必要とする場合に特に好ましい。
【0122】
ITO微粒子の数平均凝集粒子径は、散乱を抑制し、透明性を維持する点から、5〜200nmであることが好ましく、5〜100nmであることがより好ましく、5〜70nmであることがより一層好ましい。ここで、本明細書において、数平均凝集粒子径とは、検体微粒子を水、アルコール等の分散媒に分散させた粒子径測定用分散液について、動的光散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した値をいう。
【0123】
近赤外線ないし赤外線吸収剤(無機微粒子)は、近赤外線吸収層に求められる他の物性を確保しながら、近赤外線ないし赤外線吸収剤(無機微粒子)がその機能を発揮できる量の範囲として、透明樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.3〜10質量部の割合で配合できる。
【0124】
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、オキザニリド系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、無機系紫外線吸収剤等が好ましく挙げられる。市販品として、Ciba社製、商品名「TINUVIN 479」等が挙げられる。
【0125】
無機系紫外線吸収剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、マイカ、カオリン、セリサイト等の微粒子が挙げられる。無機系紫外線吸収剤の数平均凝集粒子径は、透明性の点から、5〜200nmであることが好ましく、5〜100nmであることがより好ましく、5〜70nmであることがより一層好ましい。
紫外線吸収剤は、近赤外線吸収層に求められる他の物性を確保しながら、紫外線吸収剤がその機能を発揮できる量の範囲として、透明樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部の割合で配合できる。
【0126】
光安定剤としては、ヒンダードアミン類、;ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、ニッケルコンプレクス−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸モノエチラート、ニッケルジブチルジチオカーバメート等のニッケル錯体が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。塗工液中の光安定剤の含有量は、透明樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部が特に好ましい。
【0127】
近赤外線吸収層形成用組成物が含有する溶媒としては、上に説明した透明樹脂、NIR吸収色素、およびシランカップリング剤(C)類を安定に分散または溶解することが可能な溶媒であれば、特に限定されない。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等のエステル類;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メトキシエタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ガソリン、軽油、灯油等の炭化水素類;アセトニトリル、ニトロメタン、水等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
【0128】
溶媒の量は、透明樹脂100質量部に対して、100〜10,000質量部であることが好ましく、200〜5,000質量部が特に好ましい。なお、近赤外線吸収層形成用組成物中の不揮発成分(固形分)の含有量は、近赤外線吸収層形成用組成物全量に対して10〜50質量%が好ましく、5〜40質量%が特に好ましい。
【0129】
近赤外線吸収層形成用組成物の調製には、マグネチックスターラー、自転・公転式ミキサー、ビーズミル、遊星ミル、超音波ホモジナイザ等の撹拌装置を使用できる。高い透明性を確保するためには、撹拌を十分に行うことが好ましい。撹拌は、連続的に行ってもよく、断続的に行ってもよい。
【0130】
(近赤外線吸収層の形成)
ガラス基板1上への近赤外線吸収層2の形成は、上記近赤外線吸収層形成用組成物を用いて、例えば、ガラス基板1上に近赤外線吸収層形成用組成物の適量を塗工し、適宜溶媒を除去した後、近赤外線吸収層形成用組成物中の反応成分を反応させることで行える。
【0131】
近赤外線吸収層形成用組成物の塗工には、浸漬コーティング法、キャストコーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、カーテンコーティング法、スリットダイコーター法、グラビアコーター法、スリットリバースコーター法、マイクログラビア法、またはコンマコーター法等のコーティング法を使用できる。その他、バーコーター法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法等も使用できる。
【0132】
ガラス基板1上に上記近赤外線吸収層形成用組成物を塗工した後、乾燥により上記溶媒を除去し、さらに上記シランカップリング剤(C)類に関わる加水分解縮合反応を行うことでガラス基板1上に近赤外線吸収層2が十分な接着性をもって形成することができる。乾燥の条件としては、80〜150℃で5〜60分間程度が好ましい。また、加水分解縮合反応の条件としては、100〜200℃で5〜60分間程度が好ましい。なお、乾燥と上記シランカップリング剤(C)類に関わる加水分解縮合反応を同時に行ってもよい。その際の乾燥、加水分解縮合反応の条件としては、90〜200℃で5〜60分間程度が好ましい。
【0133】
本実施形態において、近赤外線吸収層2の厚さは、特に限定されるものではなく、用途、すなわち使用する装置内の配置スペースや要求される吸収特性等に応じて適宜定められてよい。好ましくは0.5〜100μmの範囲であり、より好ましくは1〜50μmの範囲である。上記範囲とすることで、十分な近赤外線吸収能と、膜厚の均一性および表面の平坦性を両立することができる。0.5μm以上とすることで、近赤外線吸収能を十分に発現させることができる。100μm以下とすると、膜厚の均一性および表面の平坦性が得やすくなり、吸収率のバラツキを生じにくくすることができる。50μm以下すると、さらに装置の小型化に有利となる。
【0134】
近赤外線吸収層2は、450〜600nmの可視光の透過率が70%以上であり、695〜720nmの波長域における光の透過率が10%以下であり、かつ透過率の変化量Dが−0.8以下であることが好ましい。
なお、近赤外線吸収層の透過率は、紫外可視分光光度計を用いて測定できる。
また、このような近赤外線吸収層の近赤外線吸収特性は、NIR吸収色素として、例えば、NIR吸収色素(B1)を用いることにより達成できる。
【0135】
450〜600nmの可視光波長域における透過率が70%以上、好ましくは80%以上であり、695〜720nmの波長域における光の透過率が10%以下、好ましくは5%以下であれば光学フィルタとしての用途に有用である。また、透過率の変化量Dが、−0.5以下、好ましくは−0.8以下であれば、波長630〜700nmの間における透過率の変化が十分に急峻となり、例えばデジタルスチルカメラやデジタルビデオ等の光学フィルタ用途に好適となる。透過率の変化量Dが、−0.5以下、好ましくは−0.8以下であれば、さらに、近赤外波長領域の光を遮蔽しつつ可視波長域の光の利用効率が向上し、暗部撮像でのノイズ抑制の点で有利となる。なお、
図2に、本発明の光学フィルタの実施形態に係る近赤外線吸収層(NIR吸収色素として、NIR吸収色素(B1)を用いた場合)の透過スペクトルの一例を示す。
【0136】
本実施形態の光学フィルタ10Aにおいては、反応性基およびフルオレン骨格を有する透明樹脂、好ましくは熱可塑性樹脂(A1)を含む透明樹脂を層形成成分として含有し、さらにNIR吸収色素を含有する近赤外線吸収層形成用組成物を用いて近赤外線吸収層を形成する際に、用いる組成物に、上記透明樹脂が有する反応性基に対して反応性を有する官能基および加水分解性基を有するシランカップリング剤(C)類を配合することで、光学特性と操作性を十分に確保しながら、ガラス基板1と近赤外線吸収層2との間への、高い接着性の付与を可能とした。これにより、光学フィルタ10Aにおいては、高信頼性が実現可能である。
【0137】
さらに、本実施形態の光学フィルタ10Aに係る近赤外線吸収層2は、含有するNIR吸収色素としてNIR吸収色素(B1)を用いた場合には、その光学特性により可視波長領域の光の透過率が高く、波長630〜700nmの間で急峻に透過率が変化する特性を有し、さらにこれと組み合わせる透明樹脂を屈折率1.54以上に調整することでその作用により、遮光波長領域が695〜720nmまでの幅広い特性を有する。本発明は、このような光学特性に優れる近赤外線吸収層2をその光学特性を損なうことなく強固な接着性をもってガラス基板1上に形成することを可能としたものであり、これにより近赤外線吸収層2をそれ自身単独であるいは、後述のとおり他の選択波長遮蔽層等と組み合わせて用いてNIR吸収色素(B1)の吸光特性が有効に利用され、かつ高信頼性を有する光学フィルタが得られる。
【0138】
また、その近赤外線吸収特性は、NIR吸収色素、特にはNIR吸収色素(B1)による近赤外線の吸収を利用するものであるため、反射型フィルタのような分光透過率の入射角依存性の問題が生ずることもない。
【0139】
さらに、本実施形態の光学フィルタ10Aに係る近赤外線吸収層2は、透明樹脂、NIR吸収色素およびシランカップリング剤(C)類を溶媒に分散、溶解させて調製した近赤外線吸収層形成用組成物を基材上に塗工し、必要に応じて乾燥させさらに上記シランカップリング剤(C)類に関わる加水分解縮合反応を行うことにより製造できるため、容易に、かつ十分に、高信頼性の光学フィルタの小型化、薄型化ができる。
【0140】
本発明の光学フィルタは、ガラス基板とその一方の主面上に形成された上に説明した近赤外線吸収層を具備する。光学フィルタの構成はガラス基板と該近赤外線吸収層を具備する以外は特に制限されず、
図1に示す光学フィルタ10Aのようにガラス基板1と近赤外線吸収層2のみで光学フィルタを構成してもよく、他の構成要素とともに光学フィルタを構成してもよい。他の構成要素としては、特定の波長域の光を反射する反射膜、反射防止膜、特定の波長域の光の透過と遮蔽を制御する選択波長遮蔽層等が挙げられる。本発明の光学フィルタが、これら各種機能膜を有する場合、これらは誘電体多層膜で構成されることが好ましい。
【0141】
図3は、本発明の光学フィルタの実施形態の別の一例を概略的に示す断面図である。
図3に示す本発明の実施形態の光学フィルタ10Bは、ガラス基板1と、その一方の主面上に形成された近赤外線吸収層2と、近赤外線吸収層2のガラス基板1と反対側の面上に形成された誘電体多層膜3からなる。ガラス基板1と、近赤外線吸収層2は上記光学フィルタ10Aと同様にできる。
【0142】
誘電体多層膜3は、低屈折率の誘電体膜と高屈折率の誘電体膜を交互に積層することで、得られる光学的機能を有する膜である。設計により、光の干渉を利用して特定の波長域の光の透過や遮蔽を制御する機能を発現させた反射防止膜、反射膜、選択波長遮蔽層等として使用できる。光学フィルタ10Bにおいて、誘電体多層膜3は反射防止機能を有する膜として設計することが好ましい。
誘電体多層膜3が反射防止膜である場合、誘電体多層膜(反射防止膜)3は、光学フィルタ10Bに入射した光の反射を防止することにより透過率を向上させ、効率良く入射光を利用する機能を有するもので、従来より知られる材料および方法により形成できる。
【0143】
高屈折率の誘電体膜を構成する高屈折率材料としては、屈折率がこれと組み合わせて用いられる低屈折率材料に比べて高い材料であれば特に制限されない。具体的には、屈折率が1.6を超える材料が好ましい。より具体的には、Ta
2O
5(2.22)、TiO
2(2.41)、Nb
2O
5(2.3)、ZrO
2(1.99)などが挙げられる。これらのうちでも、本発明においては、成膜性と屈折率等をその再現性、安定性を含め総合的に判断して、TiO
2等が好ましく用いられる。なお、化合物の後の括弧内の数字は屈折率を示す。以下、低屈折率材料についても同様に化合物の後の括弧内の数字は屈折率を示す。
【0144】
低屈折率の誘電体膜を構成する低屈折率材料としては、屈折率がこれと組み合わせて用いられる高屈折率材料に比べて低い材料であれば特に制限されない。具体的には、屈折率が1.55未満の材料が好ましい。より具体的には、SiO
2(1.46)、SiO
xN
y(1.46以上1.55未満)、MgF
2(1.38)などが挙げられる。これらのうちでも、本発明においては、SiO
2が成膜性における再現性、安定性、経済性などの点で好ましい。
【0145】
高屈折率の誘電体膜と低屈折率の誘電体膜を交互に積層させた誘電体多層膜3を、反射防止膜と設計する方法は、常法によればよい。典型的な一例を表2に示すが、本発明において用いる誘電体多層膜3を反射防止膜とする際の設計がこれに限定されるものではない。
【0147】
図4は、本発明の光学フィルタの実施形態のさらに別の一例を概略的に示す断面図である。
図4に示す本発明の実施形態の光学フィルタ10Cは、ガラス基板1と、その一方の主面上に形成された近赤外線吸収層2と、近赤外線吸収層2のガラス基板1と反対側の面上に形成された第1の誘電体多層膜3と、ガラス基板1の近赤外線吸収層2を有する側の反対側に形成された第2の誘電体多層膜4からなる。ガラス基板1と、近赤外線吸収層2は上記光学フィルタ10Aと同様にできる。第1の誘電体多層膜3は、
図3に示す光学フィルタ10Bの誘電体多層膜3と同様に反射防止機能を有する膜とできる。
【0148】
第2の誘電体多層膜4は、例えば、高屈折率の誘電体膜と低屈折率の誘電体膜を交互に積層させた紫外・赤外光反射機能を有する膜とできる。第2の誘電体多層膜4を、紫外・赤外光反射膜と設計する方法は、常法によればよい。典型的な一例を表3に示すが、本発明において用いる第2の誘電体多層膜4を紫外・赤外光反射膜とする際の設計がこれに限定されるものではない。
【0150】
また、光の利用効率を高めるために、モスアイ構造のように表面反射を低減する構成を設けてもよい。モスアイ構造は、例えば400nmよりも小さい周期で規則的な突起配列を形成した構造で、厚さ方向に実効的な屈折率が連続的に変化するため、周期より長い波長の光の表面反射率を抑える構造であり、モールド成型等により光学フィルタの表面に形成できる。
【0151】
以上、本発明の光学フィルタの構成および各構成層の形成方法、積層方法について例を挙げて説明した。
本発明の光学フィルタを製造するにあたっては、通常、実際に用いるサイズより大サイズで得られた母材をダイシングで切断して製品サイズに加工する。
図5A〜
図5Cは、
図4に示す光学フィルタ10Cを製造する際のダイシング工程を模式的に示す図である。
【0152】
図5Aは光学フィルタ10Cを得るための母材9であり、縦横のサイズが大サイズである以外、光学フィルタ10Cと同様の構成を示す。
ダイシング工程においては、まず、母材9の両主面上に保護フィルム5を貼付し、被切断物91として保持基材6上に固定する(
図5B)。次いで、この保護フィルム5付き母材9(被切断物91)をダイシングソーの切断テーブル11上に設置しダイシングブレードにより切断を行う。
図5Cは、ダイシングブレード7による切断時における被切断物91の断面図を示す図であり、
図6は、
図5Cに示す切断時のダイシングブレード7と切断テーブル11の動きを示す外観図である。
【0153】
被切断物91の切断は、ダイシングブレード7が回転可能に配設された上下(図中、Z方向)に移動可能なヘッド8に対して、切断テーブル11がダイシングブレード7の面と平行する方向(
図6では、Y方向)に移動することによって行われる。ダイシングブレード7が、Y方向に被切断物91の端まで達すると、切断テーブル11がダイシングブレード7の面と直交する方向(
図6では、X方向)に移動して、順次、Y方向の切断が行われる。なお、X軸方向への切断は、切断テーブル11を90度回転後、同様の操作により行われる。切断により製品サイズとなった個片10C’が、洗浄等の工程後、保護フィルム5を取り外され、
図4に示す近赤外線吸収フィルタ10Cとして使用される。
【0154】
従来では、このようなダイシングソーによる切断によって、母材9は断面方向に負荷がかかり近赤外線吸収層2とガラス基板1の間で剥離が発生する問題があったところ、本発明においては、ダイシングソーによる切断によっても、母材9において近赤外線吸収層2とガラス基板1の間で剥離が発生することが殆どなく、製品歩留まりの向上に貢献可能である。
【0155】
本発明の光学フィルタは、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ、監視カメラ、車載用カメラ、ウェブカメラ等の撮像装置や自動露出計等の光学フィルタ、PDP用の光学フィルタ等として使用できる。本発明の光学フィルタはデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ、監視カメラ、車載用カメラ、ウェブカメラ等の固体撮像装置において好適に用いられ、光学フィルタは、例えば、撮像レンズと固体撮像素子との間に配置される。
【0156】
以下に
図7を参照しながら、本発明の光学フィルタを撮像レンズと固体撮像素子との間に配置して用いた本発明の固体撮像装置の一例を説明する。
図7は、上記光学フィルタ10Cを用いた固体撮像装置の一例の要部を概略的に示す断面図である。この固体撮像装置20は、
図7に示すように、固体撮像素子21と、その前面に、光学フィルタ10Cと、撮像レンズ23をその順に有し、さらにこれらを固定する筐体24とを有する。撮像レンズ23は、筐体24の内側にさらに設けられたレンズユニット22により固定されている。光学フィルタ10Cは固体撮像素子21側に第1の誘電体多層膜3が、撮像レンズ23側に第2の誘電体多層膜4が位置するように配置されている。固体撮像素子21と、撮像レンズ23とは、光軸xに沿って配置されている。
【0157】
本発明の固体撮像装置は、上記本発明の光学フィルタを用いることで、高温高湿の環境下での使用においても高信頼性を維持できる固体撮像装置である。
【実施例】
【0158】
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。なお、以下の説明は本発明を限定するものではない。例1〜6が実施例であり、例7は比較例である。
なお、実施例中の透過率および透過率の変化量Dは下記に示す方法で測定した。
[透過率および透過率の変化量D]
近赤外線吸収層および光学フィルタについて紫外可視分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、U−4100形)を用いて透過スペクトル(透過率)を測定し、算出した。
【0159】
(近赤外線吸収層形成用組成物1〜7の調製)
シクロヘキサノン85gに、透明樹脂としてフルオレンポリエステル(B−OKP2;商品名、大阪ガスケミカル株式会社製、屈折率;1.64)を15g、およびシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(KBM403;商品名、信越シリコーン社製)をそれぞれフルオレンポリエステルの100質量部に対して0.5〜15質量部となる割合の範囲で表4に示す6種類の割合で添加し溶解させた。このそれぞれに、さらにNIR吸収色素(B1)として、上記NIR吸収色素(F12−2)の0.21gを添加し溶解させて、近赤外線吸収層形成用組成物1〜6を得た。また、シランカップリング剤を添加しなかったこと以外は近赤外線吸収層形成用組成物1〜6と同様にして近赤外線吸収層形成用組成物7を調製した。
【0160】
(例1〜7:光学フィルタ1〜7の作製)
ガラス基板(無アルカリガラス:AN100(旭硝子社製)、100×100mm、厚さ:0.7mm)上にスピンコートにより近赤外線吸収層形成用組成物1を回転800rpmで塗布し、90℃、5分間、150℃、5分間の2段階で乾燥した後、これをオーブンにて大気下150℃、1時間の熱処理を施して、ガラス基板上に、厚さ3μmの近赤外線吸収層を有する光学フィルタ1用の母材を得た。光学フィルタ1用の母材を
図5A〜
図5Cに示すのと同様にして製品サイズ(5×5mm)に切断して、光学フィルタ1を得た。
【0161】
上記において、近赤外線吸収層形成用組成物1の代わりに近赤外線吸収層形成用組成物2〜7を用いた以外は上記と同様にして光学フィルタ2〜7を得た。
【0162】
(評価)
上記で得られた光学フィルタ1〜7の各1個を試験サンプルとして初期透過率を測定し各光学フィルタの近赤外線吸収層における分光特性を得た。その後、同じ試験サンプルについて以下の分光信頼試験を行った。さらに、光学フィルタ1〜7について、別の試験サンプル各3個を用いて接着性評価を行った。
【0163】
(初期透過率の測定)
上記で得られた光学フィルタ1の透過率を測定した。その透過結果から、近赤外線吸収層が形成されていない厚さ0.7mmのガラス基板について測定した透過率の測定結果を差分した結果を
図2および表4に示す。光学フィルタ2〜7についても、同様に初期透過率を測定したところいずれも光学フィルタ1の透過率と同様であった。ここで、450〜600nmにおける透過率が89.5%以上とは、該波長範囲において89.5%未満の透過率の波長域が存在しないことを意味し、695〜720nmにおける透過率が4.5%以下とは、該波長範囲において4.5%を超える透過率の波長域が存在しないことを意味する。
【0164】
(分光信頼性試験)
85℃、85RHの条件下に、光学フィルタ1〜7を放置し、168時間後および300時間後に透過率を測定した。得られた透過率と初期透過率を以下の基準で比較して分光信頼性の評価とした。結果を表4に示す。
A…試験後の700nmにおける透過率と同波長における初期透過率の差が±1%以内である。
B…試験後の700nmにおける透過率と同波長における初期透過率の差が±1%を超える。
【0165】
(接着性評価)
上記で得られた光学フィルタ1〜7の各3個を、90℃の温水中に浸漬し、3時間後、6時間後、および12時間後(促進試験)に各1個ずつ取り出して、接着性評価サンプルとした。各接着性評価サンプルについて、JIS K6854に準じた方法でテープ剥離試験を実施し以下の基準で評価した。テープはセロテープ(登録商標(ニチバン製))を用いた。結果を表4に示す。
A…ガラス基板上に近赤外線吸収層が保持されている。
B…ガラス基材上に近赤外線吸収層が保持されていない。
【0166】
【表4】
【0167】
表4より、近赤外線吸収層形成用組成物にシランカップリング剤(C)を添加することによりガラス基板1と近赤外線吸収層2の接着性が向上していることがわかる。これは、シランカップリング剤(C)のうち加水分解して得られたシラノール基がガラス基板と結合し、官能基(エポキシ基)がフルオレンポリエステルの残基(カルボキシル基)と結合したものによると考えられる。