【実施例】
【0021】
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0022】
(実施例1〜4及び比較例1〜4)
表1中に示す各種の素材を予備混合(ドライブレンド)した後、二軸ロール(ロール表面約80℃)で約15分間混練し、冷却粉砕して半導体封止用エポキシ樹脂組成物粉を製造した。
【0023】
【表1】
【0024】
E1:YSLV−80XY(3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ジヒドロキシジフェニルメタンのエポキシ化合物)、新日鐵化学(株)商品名
E2:YX−4000(ビフェニル型エポキシ樹脂)、油化シェルエポキシ(株)商品名
E3:HP−5000(ナフタレン変性クレゾールノボラックエポキシ樹脂)、DIC(株)商品名
E4:CER−3000L(ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂とビフェニル型エポキシ樹脂の混合物)、日本化薬(株)商品名
E5:YSLV−120TE(ジメチルジヒドロキシ・ジターシャリーブチルジフェニルスルフィド型エポキシ樹脂)、新日鐵化学(株)商品名
E6:NC−3000(ビフェニル・アラルキル型エポキシ樹脂)、日本化薬(株)商品名
H1:HE910(多官能型フェノール樹脂)、エア・ウォータ(株)商品名
H2:HE200C(ビフェニル・アラルキル型フェノール樹脂)、エア・ウォータ(株)商品名
H3:MEH−7800(フェノール・アラルキル樹脂)、明和化成(株)商品名
HA−1:TBP2(トリブチルホスフィンとベンゾキノンの付加物)、黒金化成(株)商品名
HA−2:P−2(トリフェニルホスフィンとベンゾキノンの付加物)、北興化学工業(株)商品名
HT−1:ハイドロタルサイト、Mg/Al≒3.0、未焼成タイプ
HT−2:ハイドロタルサイト、Mg/Al≒2.5、焼成タイプ
【0025】
上記で得られた半導体封止用エポキシ樹脂組成物粉を用い、トランスファー成形機により、金型温度175〜180℃、成形圧力17kgf/cm
2(1.67MPa)、硬化時間90秒の条件で半導体を封止し下記の評価に用いる試験片を作製した。
【0026】
性能評価;
<HAST(Highly Accelerated temperature and humidity Stress Test、超加速寿命試験)特性>
電極には、Al/Si/Cu=98.9%/0.8%/0.3%、幅60μmのパッドを使用し、ワイヤには純銅ワイヤ(直径20μm)を用いた。この評価基板を130℃、湿度85%雰囲気の高温高湿槽に入れ、電圧5Vを印加し、累計24時間、48時間、96時間、168時間、336時間、槽内HAST試験を行った。上記時間経過時、電気特性評価を行い、ワイヤオープンしたパッケージ(抵抗値上昇100%)を「NG」、抵抗上昇値100%未満のパッケージを「OK」と評価した。
【0027】
表1で使用したハイドロタルサイト種は、HT−1(Mg/Al≒3.0かつ未焼成タイプ)、HT−2(Mg/Al≒2.5かつ焼成タイプ)を用いた。実施例1、比較例1はともに同種の樹脂系を選択し、ハイドロタルサイト様化合物種のみ変更してある。HASTの評価結果を表2に示した。Mg/Al比率が高く、未焼成タイプのハイドロタルサイト様化合物を使用した実施例1が、比較例1に比べ、HAST試験結果が良好となった。同様に、樹脂系を変えて実施例2から実施例4まで、HASTの評価試験を行ったところ、全ての系で、比較例より良好な結果となった。
【0028】
【表2】
【0029】
(実施例5、6及び比較例5−1〜5−3)
上記実施例と同様に表3に示した配合で半導体封止用エポキシ樹脂組成物粉を作製し、試験片を作製した。
【0030】
【表3】
E1:YSLV-80XY、新日鐵化学(株)商品名
E2:YX-4000、油化シェルエポキシ(株)商品名
H1:HE910、エア・ウォータ(株)商品名
H2:HE200C、エア・ウォータ(株)商品名
HA−1:TBP2、黒金化成(株)商品名
HT−1:ハイドロタルサイト、Mg/Al≒3.0、未焼成タイプ
HT−3:ハイドロタルサイト、Mg/Al≒0.6、未焼成タイプ
HT−4:ハイドロタルサイト、Mg/Al≒1.8、未焼成タイプ
HT−5:ハイドロタルサイト、Mg/Al≒2.1、未焼成タイプ
HT−6:ハイドロタルサイト、Mg/Al≒2.7、未焼成タイプ
【0031】
表3で使用したハイドロタルサイト種は、全て未焼成タイプである。また、HT−1のMg/Al比率はおよそ3.0、HT−6はMg/Al≒2.7であり、HT−3はMg/Al≒0.6、HT−4はMg/Al≒1.8、HT−5はMg/Al≒2.1と徐々にMg比率を上げたものを比較例としてある。HASTの評価結果を表4に示した。結果として、Mg比率が高いほどHAST試験で良好な結果を得られることがわかった。
【0032】
【表4】
【0033】
(実施例7〜8及び比較例6〜9)
上記実施例と同様に表5に示した配合で半導体封止用エポキシ樹脂組成物粉を作製し、試験片を作製した。
【0034】
【表5】
E1:YSLV-80XY、新日鐵化学(株)商品名
E2:YX-4000、油化シェルエポキシ(株)商品名
H1:HE910、エア・ウォータ(株)商品名
H2:HE200C、エア・ウォータ(株)商品名
HA−1:TBP2、黒金化成(株)商品名
HT−1:ハイドロタルサイト、Mg/Al≒3.0、未焼成タイプ
HT−3:ハイドロタルサイト、Mg/Al≒0.6、未焼成タイプ
HT−6:ハイドロタルサイト、Mg/Al≒2.7、未焼成タイプ
HT−7:ハイドロタルサイト、Mg/Al≒3.0、焼成タイプ
HT−8:ハイドロタルサイト、Mg/Al≒0.6、焼成タイプ
HT−9:ハイドロタルサイト、Mg/Al≒2.7、焼成タイプ
【0035】
表5では、未焼成タイプ、焼成タイプの効力の違いを検証した。実施例7ではHT−1を使用した系、比較例6はHT−1の焼成タイプであるHT−7を使用した系を検証した。同様に、Mg/Al比率を変更して同様の検証を行った。比較例7は、HT−3を使用した系、比較例8はHT−3の焼成タイプであるHT−8を使用した系を検証した。実施例8は、HT−6を使用した系、比較例9は、HT−6の焼成タイプであるHT−9を使用した系を検証した。それぞれのHAST検証結果を表6に示した。結果としては、ハイドロタルサイト様化合物のMg/Al比率が変わっても、焼成タイプより、未焼成タイプを使用した系が、バイアス印加HAST試験では良好な結果が得られることがわかった。
【0036】
【表6】
【0037】
従来から、不純物抽出液測定では、焼成タイプのハイドロタルサイト様化合物を使用した方が良好な結果が得られるため、HAST試験には有効だとされてきた(例えば、特許文献1、2参照)。
それは、層間でイオンをトラップする未焼成タイプのハイドロタルサイト様化合物と比較して、焼成タイプは、焼成することにより表面部分にポーラスが多く発生し、表面積が非常に高くなり、表面トラップ能が高くなるためである。しかし、バイアスを印加するHAST試験では、トラップしたイオンの保持能力が高くなければならないため、表面トラップ能では不十分である。そのため、層間に不純物イオンをトラップできる未焼成タイプが、バイアス印加HAST試験には有効と言える。