【実施例】
【0301】
以下に、本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明する。まず、実施例で用いたベンゾ[a]カルバゾール化合物の合成例について、以下に説明する。
【0302】
[合成例1]化合物(1−1−66)の合成
<2−メトキシ−6−(4−メトキシ−2−ニトロフェニル)ナフタレンの合成>
【化229】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、1−クロロ−4−メトキシ−2−ニトロベンゼン13.13g、(6−メトキシナフタレン−2−イル)ボロン酸15.56g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh
3)
4)2.43g、リン酸三カリウム29.72g、およびトルエンとエタノールの混合溶媒280ml(トルエン/エタノール=4/1(容量比))をフラスコに入れて5分間攪拌した。次に純水28mlを加え、5時間還流した。加熱終了後、反応液を冷却し、析出した固体を濾別し粗製品1とした。濾液を分液して、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過にて乾燥剤を除去し、溶媒を減圧留去して得られた固体を粗製品2とした。これら粗製品1と2を合わせて、シリカゲルショートカラム(溶媒:トルエン)で精製し、さらに、ヘプタンで再沈殿を行って、中間体の化合物(a−1a):2−メトキシ−6−(4−メトキシ−2−ニトロフェニル)ナフタレン19.52g(収率:91%)を得た。
【0303】
<3,9−ジメトキシ−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化230】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、前記の化合物(a−1a)18.9gとトリフェニルホスフィン40.1gおよび1−メチル−2−ピロリドン120mlをフラスコに入れて攪拌し、7時間還流した。加熱終了後、反応液を冷却し、反応混合液に純水を加えて析出した固体を濾別した。固体を純水、次いでメタノールで洗浄し、粗製品を得た。その粗製品をシリカゲルショートカラム(溶媒:トルエン)精製して、中間体の化合物(a−2a):3,9−ジメトキシ−11H−ベンゾ[a]カルバゾール15.7g(収率:93%)を得た。
【0304】
<3,9−ジメトキシ−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化231】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(a−2a)15.5g、ブロモベンゼン13.2g、酢酸パラジウム(II)Pd(OAc)
20.63g、トリ(t−ブチル)ホスフィンt−Bu
3P1.70g、リン酸三カリウム35.59g、およびキシレン170mlをフラスコに入れて攪拌し、10時間還流した。反応液を冷却し、濾過にて固体を除去した後、溶媒を減圧留去して得られた粗製品をシリカゲルカラム(溶媒:へプタン/トルエン=1/1(容量比))で精製して、中間体の化合物(a−3a):3,9−ジメトキシ−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール16.4g(収率:83%)を得た。
【0305】
<11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3,9−ジオールの合成>
【化232】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(a−3a)15.4gおよびピリジン塩酸塩100.7gをフラスコに入れ、200℃で6時間加熱した。加熱終了後反応液を冷却し、純水を100ml加えた。反応混合液を酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾過にて除去し、溶媒を減圧留去して得られた粗製品をシリカゲルショートカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=6/1(容量比))で精製して、中間体の化合物(a−4a):11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3,9−ジオールを14.2g(収率:100%)得た。
【0306】
<11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3,9−ジイル ビス(トリフルオロメタンスルホネ−ト)の合成>
【化233】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(a−4a)14.2gおよびピリジン110mlをフラスコに入れ、0℃まで冷却した後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物30.7gをゆっくり滴下した。その後、反応液を0℃で1時間、室温で終夜攪拌した。反応液に純水を加えて析出した固体を濾別した。得られた固体をシリカゲルショートカラム(溶媒:トルエン)で精製して、中間体の化合物(a−5a):11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3,9−ジイルビス(トリフルオロメタンスルホネ−ト)25.5g(収率:99%)を得た。
【0307】
<11−フェニル−3,9−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化234】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(a−5a)15g、ビス(ピナコラート)ジボロン14.21g、[1.1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(1:1)(PdCl
2(dppf)・CH
2Cl
2)1.25g、酢酸カリウム14.98g、およびシクロペンチルメチルエーテル127mlをフラスコに入れて攪拌し、4時間還流した。加熱終了後、反応液を冷却し、純水を150ml加えた。反応混合液を酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、乾燥剤を除去し、溶媒を減圧留去して得られた粗製品をシリカゲルショートカラム(溶媒:トルエン)で精製した。さらに、ヘプタンで再沈殿を行い、中間体の化合物(a−6a):11−フェニル−3,9−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール12g(収率:87%)を得た。
【0308】
<化合物(1−1−66):3,9−ジ([2,3’−ビピリジン]−6−イル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化235】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(a−6a)2.73g、6−ブロム−2,3’−ビピリジン2.47g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh
3)
4)0.29g、リン酸三カリウム4.24gおよびN,N−ジメチルアセトアミド20mlをフラスコに入れて攪拌し、120℃で3時間加熱した。反応終了後、反応液に純水を加え、析出した固体を濾別し、得られた固体をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=2/1(容量比))で精製し、さらに、昇華精製をして、目的の化合物(1−1−66):3,9−ジ([2,3’−ビピリジン]−6−イル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール0.5g(収率:16%)を得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(1−1−66)の構造を確認した。
【0309】
1H−NMR(CDCl
3): δ= 9.36(s,1H)、 9.31(s,1H)、 8.76(s,1H)、8.67(t,2H)、 8.51〜8.49(m,1H)、 8.44〜8.41(m,1H)、 8.31(d,2H)、 8.17(d,1H)、 8.07(d,1H)、 7.95(s,1H)、 7.90〜7.65(m,12H)、 7.55(d,1H)、 7.46〜7.41(m,2H).
ガラス転移温度(Tg): 115℃
[測定機器:Diamond DSC (PERKIN−ELMER社製); 測定条件: 冷却速度200℃/Min.、昇温速度10℃/Min.]
【0310】
[合成例2]化合物(1−1−758)の合成
<化合物(1−1−758):11−フェニル−3,9−ビス(3−ピリジン−3−イル)フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化236】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(a−5a)2g、3−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)ピリジン2.01g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh
3)
4)0.20g、リン酸三カリウム2.89g、およびN,N−ジメチルアセトアミド14mlをフラスコに入れて攪拌し、120℃で4時間加熱した。反応終了後、反応液に純水を加え、析出した固体を濾別し、得られた固体をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=2/1(容量比))で精製し、さらに、昇華精製をして、目的の化合物(1−1−758):11−フェニル−3,9−ビス(3−ピリジン−3−イル)フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール0.53g(収率:25%)を得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(1−1−758)の構造を確認した。
【0311】
1H−NMR(CDCl
3): δ=8.93(s,1H)、 8.90(s,1H)、 8.62(t,2H)、 8.30〜8.26(m,3H)、 7.96〜7.89(m,3H)、 7.83〜7.80(m,2H)、 7.75〜7.47(m,14H)、 7.40〜7.37(m,3H).
ガラス転移温度(Tg): 99.4℃
[測定機器:Diamond DSC (PERKIN−ELMER社製); 測定条件: 冷却速度200℃/Min.、昇温速度10℃/Min.]
【0312】
[合成例3]化合物(1−2−8)の合成
<3−メトキシ−11−フェニル−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化237】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(b−3a)6.25g、3−ピリジンボロン酸2.58g、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(Pd(dba)
2)0.50g、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy
3)0.37g、燐酸カリウム7.42g、およびN,N−ジメチルアセトアミド70mlをフラスコに入れて5分間攪拌し、7時間還流した。反応終了後、反応液に純水を加え、析出した固体(粗製品)を濾取し、得られた固体をNH−DM1020(富士シリシア化学株式会社製)カラム(溶媒:トルエン)で精製して、中間体の化合物(b−1b):3−メトキシ−11−フェニル−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール6.17g(収率:88%)を得た。
【0313】
<11−フェニル−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−オルの合成>
【化238】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(b−1b)6.17gおよびピリジン塩酸塩26.7gをフラスコに入れ、200℃で7時間加熱した。加熱終了後、反応液を冷却し、純水を100ml添加して析出した固体を濾取し、粗製品を得た。その粗製品をシリカゲルショートカラム(溶媒:トルエン)で精製し、中間体の化合物(b−2b):11−フェニル−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−オル5.4g(収率:90.8%)を得た。
【0314】
<11−フェニル−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−イル トリフルオロメタンスルホネ−トの合成>
【化239】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(b−2b)5.4gおよびピリジン56mlをフラスコに入れ、0℃まで冷却した後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物7.89gをゆっくり滴下した。その後、反応液を0℃で1時間、室温で2時間攪拌した。反応液に純水を加えた後、酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過にて乾燥剤を除去し、溶媒を減圧留去して得られた粗製品をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=2/1(容量比))で精製して、中間体の化合物(b−3b):11−フェニル−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−イル トリフルオロメタンスルホネ−ト6.65g(収率:91.8%)を得た。
【0315】
<化合物(1−2−8):3−([ナフタレン−2−イル)−11−フェニル−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化240】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(b−3b)2.2g、2−ナフタレンボロン酸0.80g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh
3)
4)0.15g、リン酸三カリウム1.80gおよびトルエンとエタノールとの混合溶媒21ml(トルエン/エタノール=4/1(容量比))をフラスコに入れて5分間攪拌した。その後、純水2mlを加え5時間還流した。加熱終了後に反応液を冷却し、純水を加えて析出した固体を濾取して粗製品1とした。濾液の有機層を分液して、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾過にて除去し、溶媒を減圧留去して得られた固体を粗製品2とした。次に、粗製品1と2を合わせて、シリカゲルカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=10/1(容量比))で精製した。その後、トルエンから再結晶し、さらに、昇華精製をして、目的の化合物(1−2−8):3−([ナフタレン−2−イル)−11−フェニル−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール0.8g(収率:38%)を得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(1−2−8)の構造を確認した。
【0316】
1H−NMR(CDCl
3): δ=8.89(d,1H)、8.57(d,1H)、8.34(s,1H)、8.30〜8.28(dd,2H)、8.15(s,1H)、7.95〜7.84(m,6H)、7.73〜7.48(m,10H)、7.35〜7.33(m,2H).
ガラス転移温度(Tg): 98.2℃
[測定機器:Diamond DSC (PERKIN−ELMER社製); 測定条件: 冷却速度200℃/Min.、昇温速度10℃/Min.]
【0317】
[合成例4]化合物(1−2−28)の合成
<化合物(1−2−28):3−(4−(ナフタレン−2−イル)フェニル)−11−フェニル−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化241】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(b−3b)2.2g、4−(ナフタレン−2−イル)フェニル)ボロン酸1.16g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh
3)
4)0.15g、リン酸三カリウム1.80gおよびトルエンとエタノールとの混合溶媒21ml(トルエン/エタノール=4/1(容量比))をフラスコに入れて5分間攪拌した。その後、純水2mlを加え5時間還流した。加熱終了後、反応液を冷却して純水を加え、析出した固体を濾取し、純水、次いでメタノールで洗浄した後、加熱したトルエンに溶解し、不溶分を熱時濾過にて除去した。さらにシリカゲルカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=3/1(容量比))で精製した後、熱トルエン溶液にて活性炭処理して脱色した。その後、酢酸エチルで再沈殿を行い、さらに、昇華精製をして、目的の化合物(1−2−28):3−(4−(ナフタレン−2−イル)フェニル)−11−フェニル−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール1.2g(収率:50%)を得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(1−2−28)の構造を確認した。
【0318】
1H−NMR(CDCl
3): δ=8.89(d,1H)、 8.57(dd,1H)、 8.30〜8.28(m,3H)、 8.11(s,1H)、 7.95〜7.80(m,10H)、 7.74〜7.70(m,3H)、 7.64〜7.58(m,4H)、 7.54〜7.48(m,3H)、 7.36〜7.33(m,2H).
ガラス転移温度(Tg)は観察されなかった。
【0319】
[合成例5]化合物(1−3−206)の合成
<2−(4−クロロ−2−ニトロフェニル)−6−メトキシナフタレンの合成>
【化242】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、1−ブロモ−4−クロロ−2−ニトロベンゼン11.35g、(6−メトキシナフタレン−2−イル)ボロン酸9.7g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh
3)
4)1.66g、炭酸ナトリウム10.18g、およびトルエン197mlをフラスコに入れて5分間攪拌した後、純水38mlを加え5時間還流した。加熱終了後、反応液を冷却して析出した固体を濾別し、粗製品1とした。濾液の有機層を分液し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、乾燥剤を濾過にて除去し、溶媒を減圧留去して得られた固体を粗製品2とした。その後、粗製品1と2を合わせて、シリカゲルショートカラム(溶媒:トルエン)で精製した。さらに、ヘプタンで再沈殿を行い、中間体の化合物(b−1a):2−(4−クロロ−2−ニトロフェニル)−6−メトキシナフタレン12.9g(収率:85.7%)を得た。
【0320】
<9−クロロ−3−メトキシ−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化243】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、前記の化合物(b−1a)12.9g、トリフェニルホスフィン26.96gおよびo−ジクロロベンゼン82mlをフラスコに入れて攪拌し、7.5時間還流した。加熱終了後、反応液を冷却して析出した固体を濾過し、粗製品を得た。その粗製品をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン)で精製し、中間体の化合物(b−2a):9−クロロ−3−メトキシ−11H−ベンゾ[a]カルバゾール10.3g(収率:89%)を得た。
【0321】
<9−クロロ−3−メトキシ−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化244】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(b−2a)10.25g、ブロモベンゼン8.57g、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc)
2)0.327g、トリ(t−ブチル)ホスフィン(t−Bu
3P)0.88g、リン酸三カリウム30.89g、およびキシレン110mlをフラスコに入れて攪拌し、6時間還流した。反応液を冷却し、濾過して固体を除去した後、濾液を減圧濃縮して得られた粗製品をシリカゲルショートカラム(溶媒:トルエン)で精製して、中間体の化合物(b−3a):9−クロロ−3−メトキシ−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール12.2g(収率:93.8%)を得た。
【0322】
<9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−3−メトキシ−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化245】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(b−3a)5.19g、3−ビフェニルボロン酸3.45g、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(Pd(dba)
2)0.42g、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy
3)0.30g、リン酸三カリウム6.16g、およびトルエン58mlをフラスコに入れて5分間攪拌した。その後、純水5.8mlを加えて7時間還流した。反応終了後に反応液を冷却し、純水を50ml添加した。反応液をトルエンで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、乾燥剤を濾過にて除去し、溶媒を減圧留去して得られた粗製品をシリカゲルカラム(溶媒:ヘプタン/トルエン=3/1(容量比))で精製して、中間体の化合物(b−4a):9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−3−メトキシ−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール6.66g(収率:97%)を得た。
【0323】
<9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−オルの合成>
【化246】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(b−4a)6.51gおよびピリジン塩酸塩23.7gをフラスコに入れ、200℃で6時間加熱した。加熱終了後、反応液を冷却し、純水を100ml加えて析出した固体を濾取し、粗製品を得た。その粗製品をシリカゲルショートカラム(溶媒:トルエン)で精製し、中間体の化合物(b−5a):9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−オル6.32g(収率:100%)を得た。
【0324】
<9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−イル トリフルオロメタンスルホネ−トの合成>
【化247】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(b−5a)6.32gおよびピリジン35mlをフラスコに入れ、0℃まで冷却した後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物7.73gをゆっくり滴下した。その後、反応液を0℃で1時間、室温で2時間攪拌した。反応液に純水を加えた後、反応混合液をトルエンで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾過にて除去し、溶媒を減圧留去して得られた粗製品をシリカゲルショートカラム(溶媒:トルエン)で精製して、中間体の化合物(b−6a):9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−イル トリフルオロメタンスルホネ−ト7.4g(収率:91%)を得た。
【0325】
<9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−11−フェニル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化248】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(b−6a)5.2g、ビス(ピナコラード)ジボラン2.7g、[1.1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリトジクロロメタン錯体(1:1)(PdCl
2(dppf)・CH
2Cl
2)0.21g、酢酸カリウム2.58g、およびシクロペンチルメチルエーテル45mlをフラスコに入れて攪拌し、4時間還流した。加熱終了後、反応液を冷却し、純水を150ml添加した。反応混合液を酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾過にて除去し、溶媒を減圧留去して得られた粗製品を活性炭ショートカラム(溶媒:トルエン)で精製し、中間体の化合物(b−7a):9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−11−フェニル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール4.53g(収率:90.6%)を得た。
【0326】
<化合物(1−3−206):9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−3−([2,3’−ビピリジン]−6−イル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化249】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(b−7a)1.94g、6−ブロム−2,3’−ビピリジン0.88g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh
3)
4)0.16g、リン酸三カリウム1.44g、およびN,N−ジメチルアセトアミド14mlをフラスコに入れて攪拌し、120℃で6時間加熱した。反応終了後、反応液に純水を加え、析出した固体(粗製品)を濾取した。得られた固体をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=10/1(容量比))で精製し、さらに、昇華精製をして、目的の化合物(1−3−206):9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−3−([2,3’−ビピリジン]−6−イル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール0.89g(収率:44%)を得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(1−3−206)の構造を確認した。
【0327】
1H−NMR(CDCl
3): δ=9.36(s,1H)、 8.76(s,1H)、 8.69(dd,1H)、 8.50(dt,1H)、 8.31〜8.27(q,2H)、 8.07(dd,1H)、 7.90〜7.88(m,3H)、 7.83(s,1H)、 7.73〜7.35(m,18H).
ガラス転移温度(Tg): 107.4℃
[測定機器:Diamond DSC (PERKIN−ELMER社製); 測定条件: 冷却速度200℃/Min.、昇温速度10℃/Min.]
【0328】
[合成例6]化合物(1−3−300)の合成
<化合物(1−3−300):9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−11−フェニル−3−(3−(ピリジン−3−イル)フェニル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化250】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(b−6a)2g、3−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)ピリジン0.95g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh
3)
4)0.12g、リン酸三カリウム1.43g、およびN,N−ジメチルアセトアミド15mlをフラスコに入れて攪拌し、120℃で4時間加熱した。反応終了後、反応液に純水を加え、トルエンで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過にて乾燥剤を除去し、溶媒を減圧留去して得られた粗製品をシリカゲルカラムで(溶媒:トルエン/酢酸エチル=10/1(容量比))精製し、さらに、昇華精製をして、目的の化合物(1−3−300):9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−11−フェニル−3−(3−(ピリジン−3−イル)フェニル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール1.29g(収率:64%)を得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(1−3−300)の構造を確認した。
【0329】
1H−NMR(CDCl
3): δ=8.94(s,1H)、 8.64(dd,1H)、 8.31〜8.26(m,3H)、 7.95(dt,1H)、 7.90(s,1H)、 7.83〜7.82(m,2H)、 7.76〜7.39(m,21H).
ガラス転移温度(Tg): 99.6℃
[測定機器:Diamond DSC (PERKIN−ELMER社製); 測定条件: 冷却速度200℃/Min.、昇温速度10℃/Min.]
【0330】
[合成例7]化合物(1−1−2)の合成
<化合物(1−1−2):11−フェニル−3,9−ジ(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化251】
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窒素雰囲気下、化合物(a−5a)2.95g、3−ピリジンボロン酸1.23g、、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(Pd(dba)
2)0.14g、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy
3)0.11g、リン酸三カリウム4.25g、およびN,N−ジメチルアセトアミド25mlをフラスコに入れて5分間攪拌し、120℃で5時間加熱した。反応終了後、反応液に純水を加え、析出した固体を濾別した。得られた固体をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=2/1(容量比))で精製し、さらに、ヘプタンで再沈殿を行った。最後に、昇華精製をして、目的の化合物(1−1−2):11−フェニル−3,9−ジ(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール0.90g(収率:40%)を得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(1−1−2)の構造を確認した。
【0331】
1H−NMR(CDCl
3): δ=8.96(s,1H)、 8.88(s,1H)、 8.61(dd,1H)、 8.58(dd,1H)、 8.30(dd,2H)、 8.21(s,1H)、 7.97(dt,1H)、 7.91(dt,1H)、 7.83(d,1H)、 7.74〜7.70(m,3H)、 7.62〜7.58(m,3H)、 7.52〜7.47(m,2H)、 7.40〜7.33(m,3H).
ガラス転移温度(Tg): 91.2℃
[測定機器:Diamond DSC (PERKIN−ELMER社製); 測定条件: 冷却速度200℃/Min.、昇温速度10℃/Min.]
【0332】
[合成例8]化合物(1−1−765)の合成
<化合物(1−1−765):11−フェニル−3,9−ビス(4−(ピリジン−4−イル)フェニル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化252】
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窒素雰囲気下、化合物(a−6a)2.5g、4−(4−ブロモフェニル)ピリジン2.15g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh
3)
4)0.26g、リン酸三カリウム3.89gおよびN,N−ジメチルアセトアミド20mlをフラスコに入れて攪拌し、120℃で6時間加熱した。反応終了後、反応液に純水を加え、析出した固体を濾別した。得られた固体をNH−DM1020(富士シリシア化学株式会社製)カラム(溶媒:トルエン)で精製し、さらに、酢酸エチルで再沈殿を行った。最後に、昇華精製をして、目的の化合物(1−1−765):11−フェニル−3,9−ビス(4−(ピリジン−4−イル)フェニル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール1.4g(収率:49.6%)を得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(1−1−765)の構造を確認した。
【0333】
1H−NMR(CDCl
3): δ= 8.69〜8.67(m,4H)、 8.31〜8.27(m,3H)、 7.84〜7.62(m,15H)、 7.58〜7.48(m,6H)、 7.41(s,1H).
【0334】
[合成例9]化合物(1−1−893)の合成
<化合物(1−1−893):3,9−ビス(5’−メチル−[2,3’−ビピリジン]−6−イル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化253】
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窒素雰囲気下、化合物(a−6a)2.5g、6−ブロモ−5’−メチル−2,3’−ビピリジン2.51g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh
3)
4)0.32g、リン酸三カリウム3.89gおよびN,N−ジメチルアセトアミド25mlをフラスコに入れて攪拌し、120℃で6時間加熱した。反応終了後、反応液に純水を加え、析出した固体を濾別した。得られた固体をNH−DM1020(富士シリシア化学株式会社製)カラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=8/1(容量比))で精製し、さらに、酢酸エチルで再沈殿を行った。最後に、昇華精製をして、目的の化合物(1−1−893):3,9−ビス(5’−メチル−[2,3’−ビピリジン]−6−イル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール1.6g(収率:56%)を得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(1−1−893)の構造を確認した。
【0335】
1H−NMR(CDCl
3): δ= 8.56(t,2H)、 8.30〜8.26(m,3H)、 7.82〜7.81(m,3H)、 7.75〜7.62(m,11H)、 7.56〜7.41(m,4H)、 7.36(dd,2H)、 2.65(s,6H).
ガラス転移温度(Tg): 114.0℃
[測定機器:Diamond DSC (PERKIN−ELMER社製); 測定条件: 冷却速度200℃/Min.、昇温速度10℃/Min.]
【0336】
[合成例10]化合物(1−1−973)の合成
<化合物(1−1−973):3,9−ビス(4−(2−メチルピリジン−4−イル)フェニル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化254】
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窒素雰囲気下、化合物(a−6a)2.5g、4−(4−クロロフェニル)−2−メチルピリジン2.1g、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(Pd(dba)
2)0.16g、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy
3)0.12g、リン酸三カリウム4.0g、1,2,4−トリメチルベンゼン25ml、t-ブチルアルコール2.5mlおよび水2.5mlをフラスコに入れて6時間還流した。反応終了後、反応液に純水を加え、析出した固体を濾別した。得られた固体をNH−DM1020(富士シリシア化学株式会社製)カラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=10/1(容量比))で精製し、さらに、酢酸エチルで再沈殿を行った。最後に、昇華精製をして、目的の化合物(1−1−973):3,9−ビス(4−(2−メチルピリジン−4−イル)フェニル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール1.8g(収率:60%)を得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(1−1−973)の構造を確認した。
【0337】
1H−NMR(CDCl
3): δ= 9.14(s,1H)、 9.09(s,1H)、 8.75(s,1H)、 8.51(dd,2H)、 8.32〜8.26(m,4H)、 8.15(dd,1H)、 8.07(dd,1H)、 8.01(s,1H)、 7.90〜7.66(m,14H)、 7.57(d,1H)、 2.48(s,3H)、 2.45(s,3H).
ガラス転移温度(Tg): 116.2℃
[測定機器:Diamond DSC (PERKIN−ELMER社製); 測定条件: 冷却速度200℃/Min.、昇温速度10℃/Min.]
【0338】
<化合物(1−2−125):11−フェニル−3−(10−フェニルアントラセン−9−イル)−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化255】
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窒素雰囲気下、化合物(b−3b)2.2g、10−フェニルアントラセン−9−イル)ボロン酸1.64g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh
3)
4)0.15g、リン酸三カリウム1.80gおよびトルエンとエタノールとの混合溶媒21ml(トルエン/エタノール=4/1(容量比))をフラスコに入れて5分間攪拌した。その後、純水2mlを加え5時間還流した。加熱終了後に反応液を冷却し、純水を加えて析出した固体を濾取した。得られた固体をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=4/1(容量比))で精製しさらに、酢酸エチルで再沈殿を行った。最後に、昇華精製をして、目的の化合物(1−2−125):11−フェニル−3−(10−フェニルアントラセン−9−イル)−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール0.81g(収率:31%)を得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(1−2−125)の構造を確認した。
【0339】
1H−NMR(CDCl
3): δ=8.92(s,1H)、 8.59(dd,1H)、 8.35(d,2H)、 8.13(s,1H)、 7.93(dt,1H)、 7.81(d,1H)、 7.76〜7.49(m,16H)、 7.39〜7.29(m,7H).
ガラス転移温度(Tg): 179.6℃
[測定機器:Diamond DSC (PERKIN−ELMER社製); 測定条件: 冷却速度200℃/Min.、昇温速度10℃/Min.]
【0340】
原料の化合物を適宜選択することにより、上記の合成例に準じた方法で、本発明の他の化合物を合成することができる。
【0341】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために、本発明の化合物を用いた有機EL素子の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0342】
実施例1〜3および比較例1〜3に係る有機EL素子を作製し、それぞれ1000cd/m
2発光時の特性である電圧(V)の測定、EL発光波長(nm)、外部量子効率(%)の測定し、つぎに2000cd/m
2の輝度が得られる電流密度で定電流駆動した際の輝度半減時間(時間)を測定した。以下、実施例および比較例について詳細に説明する。
【0343】
なお、発光素子の量子効率には、内部量子効率と外部量子効率とがあるが、発光素子の発光層に電子(または正孔)として注入される外部エネルギーが純粋に光子に変換される割合を示したものが内部量子効率である。一方、この光子が発光素子の外部にまで放出された量に基づいて算出されるものが外部量子効率であり、発光層において発生した光子は、その一部が発光素子の内部で吸収されたりあるいは反射され続けたりして、発光素子の外部に放出されないため、外部量子効率は内部量子効率よりも低くなる。
【0344】
外部量子効率の測定方法は次の通りである。アドバンテスト社製電圧/電流発生器R6144を用いて、素子の輝度が1000cd/m
2になる電流を印加して素子を発光させた。TOPCON社製分光放射輝度計SR−3ARを用いて、発光面に対して垂直方向から可視光領域の分光放射輝度を測定した。発光面が完全拡散面であると仮定して、測定した各波長成分の分光放射輝度の値を波長エネルギーで割ってπを掛けた数値が各波長におけるフォトン数である。次いで、観測した全波長領域でフォトン数を積算し、素子から放出された全フォトン数とした。印加電流値を素電荷で割った数値を素子へ注入したキャリア数として、素子から放出された全フォトン数を素子へ注入したキャリア数で割った数値が外部量子効率である。
【0345】
作製した実施例1〜3および比較例1〜3に係る有機EL素子における、各層の材料構成を下記表1に示す。
【表1】
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【0346】
表1において、「HI」はN
4,N
4’−ジフェニル−N
4,N
4’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、「HT」はN
4,N
4,N
4’,N
4’−テトラ[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、「BH1」は9−(4−(ナフタレン−1−イル)フェニル)−10−フェニルアントラセン、「BH2」は9−フェニル−10−(4−フェニルナフタレン−1−イル)アントラセン、「BD1」4,4’−((7,7−ジフェニル−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5,9−ジイル)ビス(フェニルアザネジイル))ジベンゾニトリル、「BD2」は7,7,−ジメチル−N
5,N
9−ジフェニル−N
5,N
9−ビス(4−(トリメチルシラニル)フェニル)−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5,9−ジアミン、「ET1」は5,9−ジ([ビピリジン]−6−イル)−7−フェニル−7H−ベンゾ[c]カルバゾール、「ET2」は2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾールである。キノリノールリチウム「Liq」と共に以下に化学構造を示す。
【0347】
【化256】
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【0348】
[実施例1]化合物(1−1−66)を電子輸送層に用いた素子
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置((株)昭和真空製)の基板ホルダーに固定し、HIを入れたモリブデン製蒸着用ボート、HTを入れたモリブデン製蒸着用ボート、BH1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、BD1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、本発明の化合物(1−1−66)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、キノリノールリチウム(Liq)を入れたモリブデン製蒸着用ボートおよびアルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。
【0349】
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10
−4Paまで減圧し、まず、HIが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して正孔注入層を形成し、次いで、HTが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚25nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、BH1が入った蒸着用ボートとBD1の入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して発光層を形成した。BH1とBD1の重量比がおよそ95:5になるように蒸着速度を調節した。つぎに、化合物(1−1−66)の入った蒸着用ボートとLiqの入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して電子輸送層を形成した。化合物(1−1−66)とLiqの重量比がおよそ1:1になるように蒸着速度を調節した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
【0350】
その後、Liqが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着した。次いで、アルミニウム入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚100nmになるように0.01〜2nm/秒の蒸着速度でアルミニウムを蒸着することにより陰極を形成し、有機EL素子を得た。
【0351】
ITO電極を陽極、Liq/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.8V、外部量子効率は4.3%(波長約451nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の77%(1540cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は321時間であった。
【0352】
[比較例1]
電子輸送層の化合物(1−1−66)を化合物(ET1)に替えた以外は実施例1に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、キノリノールリチウム/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は5.5V、外部量子効率は3.2%(波長約451nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の77%(1540cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は63時間であった。
【0353】
[実施例2]化合物(1−1−758)を電子輸送層に用いた素子
発光層のホスト材料である化合物(BH1)を化合物(BH2)に替え,発光層のドーパント材料である化合物(BD1)を化合物(BD2)に替え,また、電子輸送層の電子輸送材料である化合物(1−1−66)を化合物(1−1−758)に替えた以外は実施例1に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、キノリノールリチウム/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は5.8V、外部量子効率は5.1%(波長約455nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の77%(1540cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は170時間であった。
【0354】
[実施例3]化合物(1−1−66)を電子輸送層に用いた素子
実施例1で用いたものと同じ透明支持基板を市販の蒸着装置((株)昭和真空製)の基板ホルダーに固定し、HIを入れたモリブデン製蒸着用ボート、HTを入れたモリブデン製蒸着用ボート、BH1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、BD1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、本発明の化合物(1−1−66)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、Liqを入れたモリブデン製蒸着用ボートおよびアルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。
【0355】
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10
−4Paまで減圧し、まず、HIが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して正孔注入層を形成し、ついで、HTが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚25nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。つぎに、BH1が入った蒸着用ボートとBD1の入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して発光層を形成した。BH1とBD1の重量比がおよそ95対5になるように蒸着速度を調節した。つぎに、化合物(1−1−66)の入った蒸着用ボートを加熱して膜厚20nmになるように蒸着して電子輸送層を形成した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
【0356】
その後、Liqが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着した。次いで、アルミニウム入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚100nmになるように0.01〜2nm/秒の蒸着速度でアルミニウムを蒸着することにより陰極を形成し、有機EL素子を得た。
【0357】
ITO電極を陽極、Liq/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.7V、外部量子効率は4.5%(波長約451nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の77%(1540cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は345時間であった。
【0358】
[比較例2]
電子輸送層の電子輸送材料である化合物(1−1−66)を化合物(ET1)に替えた以外は実施例3に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、キノリノールリチウム/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は5.4V、外部量子効率は2.5%(波長約453nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の77%(1540cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は0.5時間であった。
【0359】
[比較例3]
電子輸送層の電子輸送材料である化合物(1−1−66)を化合物(ET2)に替えた以外は実施例3に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、キノリノールリチウム/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は5.4V、外部量子効率は2.2%(波長約453nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の77%(1540cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は22時間であった。
【0360】
以上の結果を表2にまとめた。
【表2】
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【0361】
作製した実施例4〜8および比較例4〜7に係る有機EL素子における、各層の材料構成を下記表3に示す。
【表3】
[この文献は図面を表示できません]
【0362】
表3において、「HI2」は1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル、「ET3」は5,9−ジ([2,3’−ビピリジン]−6−イル)−7−フェニル−7H−ベンゾ[c]カルバゾール、「ET4」は3−(6−(10−フェニルアントラセン−9−イル)ナフタレン−2−イル)ピリジン、「ET5」は2−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−7−([2,3’−ビピリジン]−6−イル)−9−フェニル−9H−カルバゾール、「ET6」は9−フェニル−2,7−ビス(4−(ピリジン−4−イル)ナフタレン−1−イル)−9H−カルバゾールである。以下に化学構造を示す。
【0363】
【化257】
[この文献は図面を表示できません]
【0364】
[実施例4]化合物(1−1−66)を電子輸送層に用いた素子
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HIを入れたモリブデン製蒸着用ボート、HI2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、HTを入れたモリブデン製蒸着用ボート、BH2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、BD2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、本発明の化合物(1−1−66)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、Liqを入れたモリブデン製蒸着用ボートおよびアルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。
【0365】
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10
−4Paまで減圧し、まず、HIが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して1層目の正孔注入層を形成し、さらにHI2が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚5nmになるように蒸着して2層目の正孔注入層を形成し、次いで、HTが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚25nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、BH2が入った蒸着用ボートとBD2の入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して発光層を形成した。BH2とBD2の重量比がおよそ95対5になるように蒸着速度を調節した。次に、化合物(1−1−66)の入った蒸着用ボートとLiqの入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚30nmになるように蒸着して電子輸送層を形成した。化合物(1−1−66)とLiqの重量比がおよそ1:1になるように蒸着速度を調節した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
【0366】
その後、Liqが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着した。次いで、アルミニウム入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚100nmになるように0.01〜2nm/秒の蒸着速度でアルミニウムを蒸着することにより陰極を形成し、有機EL素子を得た。
【0367】
ITO電極を陽極、Liq/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.8V、外部量子効率は5.1%(波長約454nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は396時間であった。
【0368】
[比較例4]
電子輸送層の化合物(1−1−66)を化合物(ET3)に替えた以外は実施例4に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、Liq/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は4.0V、外部量子効率は4.6%(波長約458nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は279時間であった。
【0369】
[実施例5]化合物(1−2−125)を電子輸送層に用いた素子
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HIを入れたモリブデン製蒸着用ボート、HI2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、HTを入れたモリブデン製蒸着用ボート、BH2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、BD2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、本発明の化合物(1−2−125)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、Liqを入れたモリブデン製蒸着用ボート、マグネシウムを入れたモリブデン製蒸着用ボートおよび銀を入れたモリブデン製蒸着用ボートを装着した。
【0370】
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10
−4Paまで減圧し、まず、HIが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して1層目の正孔注入層を形成し、さらにHI2が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚5nmになるように蒸着して2層目の正孔注入層を形成し、次いで、HTが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚25nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、BH2が入った蒸着用ボートとBD2の入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して発光層を形成した。BH2とBD2の重量比がおよそ95対5になるように蒸着速度を調節した。次に、化合物(1−2−125)の入った蒸着用ボートとLiqの入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚30nmになるように蒸着して電子輸送層を形成した。化合物(1−2−125)とLiqの重量比がおよそ1:1になるように蒸着速度を調節した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
【0371】
その後、Liqが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着した。次いで、マグネシウムの入ったボートと銀の入ったボートを同時に加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成した。この時、マグネシウムと銀の原子数比が10対1となるように蒸着速度を調節し、蒸着速度が0.01〜2nm/秒になるようにして有機EL素子を得た。
【0372】
ITO電極を陽極、Liq/マグネシウム+銀電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.8V、外部量子効率は6.0%(波長約458nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は220時間であった。
【0373】
[比較例5]
電子輸送層の化合物(1−2−125)を化合物(ET4)に替えた以外は実施例5に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、Liq/マグネシウム+銀電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.5V、外部量子効率は5.5%(波長約454nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は170時間であった。
【0374】
[実施例6]化合物(1−3−206)を電子輸送層に用いた素子
電子輸送層の化合物(1−2−125)を化合物(1−3−206)に替えた以外は実施例5に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、Liq/マグネシウム+銀電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.8V、外部量子効率は5.3%(波長約455nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は307時間であった。
【0375】
[比較例6]
電子輸送層の化合物(1−2−125)を化合物(ET5)に替えた以外は実施例5に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、Liq/マグネシウム+銀電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.9V、外部量子効率は4.4%(波長約456nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は201時間であった。
【0376】
[実施例7]化合物(1−1−893)を電子輸送層に用いた素子
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HIを入れたモリブデン製蒸着用ボート、HI2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、HTを入れたモリブデン製蒸着用ボート、BH2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、BD2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、本発明の化合物(1−1−893)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、Liqを入れたモリブデン製蒸着用ボート、マグネシウムを入れたモリブデン製蒸着用ボートおよび銀を入れたモリブデン製蒸着用ボートを装着した。
【0377】
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10
−4Paまで減圧し、まず、HIが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して1層目の正孔注入層を形成し、さらにHI2が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚5nmになるように蒸着して2層目の正孔注入層を形成し、次いで、HTが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚25nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、BH2が入った蒸着用ボートとBD2の入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して発光層を形成した。BH2とBD2の重量比がおよそ95対5になるように蒸着速度を調節した。次に、化合物(1−1−893)が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚30nmになるように蒸着して電子輸送層を形成した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
【0378】
その後、Liqが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着した。次いで、マグネシウムの入ったボートと銀の入ったボートを同時に加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成した。この時、マグネシウムと銀の原子数比が10対1となるように蒸着速度を調節し、蒸着速度が0.01〜2nm/秒になるようにして有機EL素子を得た。
【0379】
ITO電極を陽極、Liq/マグネシウム+銀電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.3V、外部量子効率は3.6%(波長約456nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の90%(1800cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は56時間であった。
【0380】
[実施例8]化合物(1−1−973)を電子輸送層に用いた素子
電子輸送層の化合物(1−1−893)を化合物(1−1−973)に替えた以外は実施例7に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、Liq/マグネシウム+銀電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は4.2V、外部量子効率は4.8%(波長約456nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は80時間であった。
【0381】
[比較例7]
電子輸送層の化合物(1−1−893)を化合物(ET6)に替えた以外は実施例7に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、Liq/マグネシウム+銀電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は5.6V、外部量子効率は4.8%(波長約455nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は35時間であった。
【0382】
以上の結果を表4にまとめた。
【表4】
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* 輝度が初期輝度の90%以上を保持する時間
【0383】
作製した実施例9、10および比較例8、9に係る有機EL素子における、各層の材料構成を下記表5に示す。
【表5】
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【0384】
表5において、「ET7」は2−フェニル−9,10−ジ([2,2’−ビピリジン]−5−イル)アントラセン、「ET8」は7−フェニル−5,9−ビス(3−(ピリジン−4−イル)フェニル)−7H−ベンゾ[c]カルバゾール、「ET9」は9−(4’−(ジメシチルボリル)−[1,1’−ビナフタレン]−4−イル)−9H−カルバゾール、「ET10」は4,4’−((2−フェニルアントラセン−9,10−ジイル)ビス(4,1−フェニレン))ジピリジンである。以下に化学構造を示す。
【0385】
【化258】
[この文献は図面を表示できません]
【0386】
[実施例9]化合物(1−1−765)を電子輸送層に用いた素子
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HIを入れたモリブデン製蒸着用ボート、HI2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、HTを入れたモリブデン製蒸着用ボート、BH2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、BD2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、本発明の化合物(1−1−765)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、ET7を入れたモリブデン製蒸着用ボート、フッ化リチウム(LiF)を入れたモリブデン製蒸着用ボートおよびアルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。
【0387】
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10
−4Paまで減圧し、まず、HIが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して1層目の正孔注入層を形成し、さらにHI2が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚5nmになるように蒸着して2層目の正孔注入層を形成し、次いで、HTが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚25nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、BH2が入った蒸着用ボートとBD2の入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して発光層を形成した。BH2とBD2の重量比がおよそ95対5になるように蒸着速度を調節した。次に、化合物(1−1−765)が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚20nmになるように蒸着して1層目の電子輸送層を形成し、さらにET7が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚10nmになるように蒸着して2層目の電子輸送層を形成した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
【0388】
その後、LiFが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着した。次いで、アルミニウム入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚100nmになるように0.01〜2nm/秒の蒸着速度でアルミニウムを蒸着することにより陰極を形成し、有機EL素子を得た。
【0389】
ITO電極を陽極、LiF/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.8V、外部量子効率は5.3%(波長約456nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は107時間であった。
【0390】
[比較例8]
電子輸送層の化合物(1−1−765)を化合物(ET8)に替えた以外は実施例9に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、LiF/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は5.3V、外部量子効率は4.3%(波長約455nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は48時間であった。
【0391】
[実施例10]化合物(1−1−973)を電子輸送層に用いた素子
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HIを入れたモリブデン製蒸着用ボート、HI2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、HTを入れたモリブデン製蒸着用ボート、BH2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、BD2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、ET9を入れたモリブデン製蒸着用ボート、本発明の化合物(1−1−973)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、フッ化リチウム(LiF)を入れたモリブデン製蒸着用ボートおよびアルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。
【0392】
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10
−4Paまで減圧し、まず、HIが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して1層目の正孔注入層を形成し、さらにHI2が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚5nmになるように蒸着して2層目の正孔注入層を形成し、次いで、HTが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚25nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、BH2が入った蒸着用ボートとBD2の入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して発光層を形成した。BH2とBD2の重量比がおよそ95対5になるように蒸着速度を調節した。次に、化合物(ET9)が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚20nmになるように蒸着して1層目の電子輸送層を形成し、さらに化合物(1−1−973)が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚10nmになるように蒸着して2層目の電子輸送層を形成した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
【0393】
その後、LiFが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着した。次いで、アルミニウム入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚100nmになるように0.01〜2nm/秒の蒸着速度でアルミニウムを蒸着することにより陰極を形成し、有機EL素子を得た。
【0394】
ITO電極を陽極、LiF/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は4.3V、外部量子効率は5.9%(波長約457nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は338時間であった。
【0395】
[比較例9]
電子輸送層の化合物(1−1−973)を化合物(ET10)に替えた以外は実施例10に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、LiF/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は4.3V、外部量子効率は5.4%(波長約455nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は200時間であった。
【0396】
以上の結果を表6にまとめた。
【表6】
[この文献は図面を表示できません]
【0397】
作製した実施例11〜15に係る有機EL素子における、各層の材料構成を下記表7に示す。
【表7】
[この文献は図面を表示できません]
【0398】
[実施例11]化合物(1−1−765)を電子輸送層に用いた素子
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HIを入れたモリブデン製蒸着用ボート、HI2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、HTを入れたモリブデン製蒸着用ボート、BH2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、BD2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、本発明の化合物(1−1−765)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、Liqを入れたモリブデン製蒸着用ボートおよびアルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。
【0399】
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10
−4Paまで減圧し、まず、HIが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して1層目の正孔注入層を形成し、さらにHI2が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚5nmになるように蒸着して2層目の正孔注入層を形成し、次いで、HTが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚25nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、BH2が入った蒸着用ボートとBD2の入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して発光層を形成した。BH2とBD2の重量比がおよそ95対5になるように蒸着速度を調節した。次に、化合物(1−1−765)の入った蒸着用ボートとLiqの入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して電子輸送層を形成した。化合物(1−1−765)とLiqの重量比がおよそ1:1になるように蒸着速度を調節した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
【0400】
その後、Liqが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着した。次いで、アルミニウム入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚100nmになるように0.01〜2nm/秒の蒸着速度でアルミニウムを蒸着することにより陰極を形成し、有機EL素子を得た。
【0401】
ITO電極を陽極、Liq/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.7V、外部量子効率は7.4%(波長約456nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は243時間であった。
【0402】
[実施例12]
電子輸送層の化合物(1−1−765)を化合物(1−2−125)に替えた以外は実施例11に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、Liq/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は4.3V、外部量子効率は6.2%(波長約456nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は223時間であった。
【0403】
[実施例13]化合物(1−1−2)を電子輸送層に用いた素子
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HIを入れたモリブデン製蒸着用ボート、HI2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、HTを入れたモリブデン製蒸着用ボート、BH2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、BD2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、本発明の化合物(1−1−2)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、Liqを入れたモリブデン製蒸着用ボート、マグネシウムを入れたモリブデン製蒸着用ボートおよび銀を入れたモリブデン製蒸着用ボートを装着した。
【0404】
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10
−4Paまで減圧し、まず、HIが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して1層目の正孔注入層を形成し、さらにHI2が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚5nmになるように蒸着して2層目の正孔注入層を形成し、次いで、HTが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚25nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、BH2が入った蒸着用ボートとBD2の入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して発光層を形成した。BH2とBD2の重量比がおよそ95対5になるように蒸着速度を調節した。次に、化合物(1−1−2)の入った蒸着用ボートとLiqの入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して電子輸送層を形成した。化合物(1−1−2)とLiqの重量比がおよそ1:1になるように蒸着速度を調節した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
【0405】
その後、Liqが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着した。次いで、マグネシウムの入ったボートと銀の入ったボートを同時に加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成した。この時、マグネシウムと銀の原子数比が10対1となるように蒸着速度を調節し、蒸着速度が0.01〜2nm/秒になるようにして有機EL素子を得た。
【0406】
ITO電極を陽極、Liq/マグネシウム+銀電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.9V、外部量子効率は6.2%(波長約458nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は150時間であった。
【0407】
[実施例14]
電子輸送層の化合物(1−1−2)を化合物(1−1−765)に替えた以外は実施例13に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、Liq/マグネシウム+銀電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.5V、外部量子効率は6.7%(波長約457nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は210時間であった。
【0408】
[実施例15]
電子輸送層の化合物(1−1−2)を化合物(1−1−973)に替えた以外は実施例13に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、Liq/マグネシウム+銀電極を陰極として、1000cd/m
2発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.8V、外部量子効率は6.7%(波長約455nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/m
2を得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m
2)以上の輝度を保持する時間は170時間であった。
【0409】
以上の結果を表8にまとめた。
【表8】
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