特許第6183363号(P6183363)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6183363電子輸送材料およびこれを用いた有機電界発光素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183363
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】電子輸送材料およびこれを用いた有機電界発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20170814BHJP
   C07D 401/10 20060101ALI20170814BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20170814BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20170814BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   C07D401/04CSP
   C07D401/10
   C07D401/14
   C09K11/06 645
   H05B33/14 A
   H05B33/22 A
   H05B33/22 B
【請求項の数】25
【全頁数】251
(21)【出願番号】特願2014-522579(P2014-522579)
(86)(22)【出願日】2013年6月20日
(86)【国際出願番号】JP2013066978
(87)【国際公開番号】WO2014002871
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2016年5月24日
(31)【優先権主張番号】特願2012-145166(P2012-145166)
(32)【優先日】2012年6月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】311002067
【氏名又は名称】JNC株式会社
(72)【発明者】
【氏名】王 国防
(72)【発明者】
【氏名】小野 洋平
【審査官】 新留 素子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−500789(JP,A)
【文献】 特開2012−054227(JP,A)
【文献】 特開2011−136989(JP,A)
【文献】 特開2008−214307(JP,A)
【文献】 特開2007−291092(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/073541(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/152466(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/029696(WO,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0036560(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/00−401/14
C09K 11/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化1】
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式(1)において、
a、b、c、およびdは独立して1または0であるが、aおよびbが同時に0であることはなく、aおよびcが同時に0であることはなく、bおよびdが同時に0であることはなく、
PyおよびPyは独立してピリジルまたはビピリジルであり、このピリジルまたはビピリジルの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜14のアリール、または炭素数2〜12のヘテロアリールで置き換えられていてもよく;
Arは、aが0であるとき炭素数6〜20のアリールであり、aが1であるとき炭素数6〜20のアリーレンであり、Arはbが0であるとき水素または炭素数6〜20のアリールであり、bが1であるとき炭素数6〜20のアリーレンであり、これらのアリールまたはアリーレンの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、または炭素数6〜14のアリールで置き換えられていてもよく;
Aは炭素数6〜20のアリールであり、このアリールの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキルまたは炭素数6〜14のアリールで置き換えられていてもよく;
〜Rは独立して水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜14のアリール、または炭素数2〜10のヘテロアリールであり、このアリールまたはヘテロアリールの任意の水素は炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜6のシクロアルキルで置き換えられていてもよく;また、
式(1)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置き換えられていてもよい。
【請求項2】
下記式(1−1)で表される、請求項1に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
式(1−1)において、
PyおよびPyは独立してピリジルまたはビピリジルであり、このピリジルまたはビピリジルの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜14のアリール、または炭素数2〜12のヘテロアリールで置き換えられていてもよく;
ArおよびArは独立して炭素数6〜20のアリーレンであり、このアリーレンの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、または炭素数6〜14のアリールで置き換えられていてもよく;
Aは炭素数6〜20のアリールであり、このアリールの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキルまたは炭素数6〜14のアリールで置き換えられていてもよく;
〜Rは独立して水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜14のアリール、または炭素数2〜10のヘテロアリールであり、このアリールまたはヘテロアリールの任意の水素は炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜6のシクロアルキルで置き換えられていてもよく;そして、
cおよびdは独立して1または0である。
【請求項3】
下記式(1−2)で表される、請求項1に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
式(1−2)において、
Pyはピリジルまたはビピリジルであり、このピリジルまたはビピリジルの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜14のアリール、または炭素数2〜12のヘテロアリールで置き換えられていてもよく;
Arは炭素数6〜20のアリールであり、このアリールの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、または炭素数6〜14のアリールで置き換えられていてもよく;
Arは炭素数6〜20のアリーレンであり、このアリーレンの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、または炭素数6〜14のアリールで置き換えられていてもよく;
Aは炭素数6〜20のアリールであり、このアリールの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキルまたは炭素数6〜14のアリールで置き換えられていてもよく;
〜Rは独立して水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜14のアリール、または炭素数2〜10のヘテロアリールであり、このアリールまたはヘテロアリールの任意の水素は炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜6のシクロアルキルで置き換えられていてもよく;そして、
dは1または0である。
【請求項4】
下記式(1−3)で表される、請求項1に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
式(1−3)において、
Pyはピリジルまたはビピリジルであり、このピリジルまたはビピリジルの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜14のアリール、または炭素数2〜12のヘテロアリールで置き換えられていてもよく;
Arは炭素数6〜20のアリーレンであり、このアリーレンの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、または炭素数6〜14のアリールで置き換えられていてもよく;
Arは水素または炭素数6〜20のアリールであり、このアリールの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、または炭素数6〜14のアリールで置き換えられていてもよく;
Aは炭素数6〜20のアリールであり、このアリールの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキルまたは炭素数6〜14のアリールで置き換えられていてもよく;
〜Rは独立して水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜14のアリール、または炭素数2〜10のヘテロアリールであり、このアリールまたはヘテロアリールの任意の水素は炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜6のシクロアルキルで置き換えられていてもよく;そして、
cは1または0である。
【請求項5】
PyおよびPyが独立して下記式(Py−1−1)〜(Py−1−3)および(Py−2−1)〜(Py−2−18)で表される基の群から選ばれる1つであり、
【化5】
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【化6】
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これらの基の任意の水素はメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、またはピリジルで置き換えられていてもよく;
ArおよびArが独立してフェニレン、ナフタレンジイル、アントラセンジイル、またはクリセンジイルであり、これらの基の任意の水素はメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、またはナフチルで置き換えられていてもよく;
Aがフェニル、ナフチルまたはフェナントリルであり、これらの基の任意の水素はメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、またはナフチルで置き換えられていてもよく;
〜Rが独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;そして、
cおよびdが独立して1または0である、請求項2に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【請求項6】
Pyが下記式(Py−1−1)〜(Py−1−3)および(Py−2−1)〜(Py−2−18)で表される基の群から選ばれる1つであり、
【化7】
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【化8】
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これらの基の任意の水素はメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、またはピリジルで置き換えられていてもよく;
Arが水素、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、またはクリセニルであり、これらの基の任意の水素はメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、またはナフチルで置き換えられていてもよく;
Arがフェニレン、ナフタレンジイル、アントラセンジイル、またはクリセンジイルであり、これらの基の任意の水素はメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、またはナフチルで置き換えられていてもよく;
Aがフェニル、ナフチルまたはフェナントリルであり、これらの基の任意の水素はメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、またはナフチルで置き換えられていてもよく;
〜Rが独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;そして、
dが1または0である、請求項3に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【請求項7】
Pyが下記式(Py−1−1)〜(Py−1−3)および(Py−2−1)〜(Py−2−18)で表される基の群から選ばれる1つであり、
【化9】
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【化10】
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これらの基の任意の水素はメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、またはピリジルで置き換えられていてもよく;
Arがフェニレン、ナフタレンジイル、アントラセンジイル、またはクリセンジイルであり、これらの基の任意の水素はメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、またはナフチルで置き換えられていてもよく;
Arが水素、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、またはクリセニルであり、これらの基の任意の水素はメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、またはナフチルで置き換えられていてもよく;
Aがフェニル、ナフチルまたはフェナントリルであり、これらの基の任意の水素はメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、またはナフチルで置き換えられていてもよく;
〜Rが独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;そして、
cが1または0である、請求項4に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【請求項8】
PyおよびPyが独立して式(Py−1−1)、(Py−1−2)、(Py−1−3)、(Py−2−1)、(Py−2−2)、(Py−2−3)、(Py−2−7)、(Py−2−8)、(Py−2−9)、(Py−2−10)、(Py−2−11)、および(Py−2−12)で表される基の群から選ばれる1つであり、これらの基の任意の水素はメチル、t−ブチル、フェニル、ナフチル、またはピリジルで置き換えられていてもよく;
ArおよびArが独立して1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、またはアントラセン−9,10−ジイルであり、これらの基の任意の水素はメチル、t−ブチル、またはフェニルで置き換えられていてもよく;
Aがフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、または9−フェナントリルであり、これらの基の任意の水素はメチル、t−ブチル、またはフェニルで置き換えられていてもよく;
〜Rがすべて水素であり;そして、
cおよびdが独立して1または0である、請求項5に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【請求項9】
Pyが式(Py−1−1)、(Py−1−2)、(Py−1−3)、(Py−2−1)、(Py−2−2)、(Py−2−3)、(Py−2−7)、(Py−2−8)、(Py−2−9)、(Py−2−10)、(Py−2−11)、および(Py−2−12)で表される基の群から選ばれる1つであり、これらの基の任意の水素はメチル、t−ブチル、フェニル、ナフチル、またはピリジルで置き換えられていてもよく;
Arが水素、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、または9−フェナントリルであり、これらの基の任意の水素はメチル、t−ブチル、またはフェニルで置き換えられていてもよく;
Arが1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、またはアントラセン−9,10−ジイルであり、これらの基の任意の水素はメチル、t−ブチル、またはフェニルで置き換えられていてもよく;
Aがフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、または9−フェナントリルであり、これらの基の任意の水素はメチル、t−ブチル、またはフェニルで置き換えられていてもよく;
〜Rがすべて水素であり;そして、
dが1または0である、請求項6に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【請求項10】
Pyが式(Py−1−1)、(Py−1−2)、(Py−1−3)、(Py−2−1)、(Py−2−2)、(Py−2−3)、(Py−2−7)、(Py−2−8)、(Py−2−9)、(Py−2−10)、(Py−2−11)、および(Py−2−12)で表される基の群から選ばれる1つであり、これらの基の任意の水素はメチル、t−ブチル、フェニル、ナフチル、またはピリジルで置き換えられていてもよく;
Arが1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、またはアントラセン−9,10−ジイルであり、これらの基の任意の水素はメチル、t−ブチル、またはフェニルで置き換えられていてもよく;
Arが水素、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、または9−フェナントリルであり、これらの基の任意の水素はメチル、t−ブチル、シクロヘキシル、またはフェニルで置き換えられていてもよく;
Aがフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、または9−フェナントリルであり、これらの基の任意の水素はメチル、t−ブチル、またはフェニルで置き換えられていてもよく;
〜Rがすべて水素であり;そして、
cが1または0である、請求項7に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【請求項11】
PyおよびPyが独立して式(Py−1−1)、(Py−1−2)、(Py−1−3)、(Py−2−2)、(Py−2−3)、(Py−2−8)、(Py−2−9)、(Py−2−11)、および(Py−2−12)で表される基の群から選ばれる1つであり;
ArおよびArが独立して1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、またはアントラセン−9,10−ジイルであり;
Aがフェニル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、m−テルフェニル−5’−イル、1−ナフチル、2−ナフチル、または9−フェナントリルであり;
〜Rがすべて水素であり;そして、
cおよびdが独立して1または0である、請求項5に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【請求項12】
が独立して式(Py−1−1)、(Py−1−2)、(Py−1−3)、(Py−2−2)、(Py−2−3)、(Py−2−8)、(Py−2−9)、(Py−2−11)、および(Py−2−12)で表される基の群から選ばれる1つであり;
Arが水素、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、または9−フェナントリルであり;
Arが1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、またはアントラセン−9,10−ジイルであり;
Aがフェニル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、m−テルフェニル−5’−イル、1−ナフチル、2−ナフチル、または9−フェナントリルであり;
〜Rがすべて水素であり;そして、
dが1または0である、請求項6に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【請求項13】
Py独立して式(Py−1−1)、(Py−1−2)、(Py−1−3)、(Py−2−2)、(Py−2−3)、(Py−2−8)、(Py−2−9)、(Py−2−11)、および(Py−2−12)で表される基の群から選ばれる1つであり;
Arが1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、またはアントラセン−9,10−ジイルであり;
Arが水素、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、または9−フェナントリルであり;
Aがフェニル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、m−テルフェニル−5’−イル、1−ナフチル、2−ナフチル、または9−フェナントリルであり;
〜Rがすべて水素であり;そして、
cが1または0である、請求項7に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【請求項14】
下記式(1−1−66)または(1−1−758)で表される、請求項5に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化11】
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【請求項15】
下記式(1−2−8)または(1−2−28)で表される、請求項6に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化12】
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【請求項16】
下記式(1−3−206)または(1−3−300)で表される、請求項7に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
【請求項17】
下記式(1−1−2)で表される、請求項5に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
【請求項18】
下記式(1−1−765)で表される、請求項5に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
【請求項19】
下記式(1−1−893)で表される、請求項5に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
【請求項20】
下記式(1−1−973)で表される、請求項5に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
【請求項21】
下記式(1−2−125)で表される、請求項6に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物を含有する電子輸送材料。
【請求項23】
陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置される発光層と、前記陰極と該発光層との間に配置され、請求項22に記載の電子輸送材料を含有する電子輸送層および/または電子注入層とを有する有機電界発光素子。
【請求項24】
前記電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つは、さらに、キノリノール系金属錯体、ビピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体およびボラン誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項23に記載の有機電界発光素子。
【請求項25】
電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つが、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項23に記載の有機電界発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピリジル基を有する新規な電子輸送材料、この電子輸送材料を用いた有機電界発光素子(以下、有機EL素子または単に素子と略記することがある。)等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代のフルカラーフラットパネルディスプレイとして有機EL素子が注目され、活発な研究がなされている。有機EL素子の実用化を促進するには、素子の駆動電圧の低減、長寿命化が不可欠な要素であり、これらを達成するために新しい電子輸送材料の開発がなされてきた。特に、青色素子の駆動電圧低下、長寿命化は必須である。特許文献1(特開2003−123983号公報)には、フェナントロリン誘導体またはその類似体である2,2’−ビピリジル化合物を電子輸送材料に使用することで有機EL素子を低電圧で駆動させることができると記載されている。しかしながらこの文献の実施例に報告されている素子の特性(駆動電圧、発光効率など)は比較例を基準にした相対値のみであり、実用的な値と判断できる実測値は記載されていない。他に、2,2’−ビピリジル化合物を電子輸送材料に使用した例が、非特許文献1(Proceedings of the 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence)、特許文献2(特開2002−158093号公報)および特許文献3(国際公開2007/86552パンフレット)に開示されている。非特許文献1に記載されている化合物はTgが低く、実用的ではなかった。特許文献2および3に記載の化合物は比較的低電圧で有機EL素子を駆動させることができるが、実用化に向けては更なる高効率化と長寿命化が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−123983号公報
【特許文献2】特開2002−158093号公報
【特許文献3】国際公開2007/86552パンフレット
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Proceedings of the 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence (2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。本発明は、有機EL素子の高い発光効率と長寿命化等に寄与する電子輸送材料を提供することを課題とする。さらに本発明は、この電子輸送材料を用いた有機EL素子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討した結果、ベンゾ[a]カルバゾールの3位および/または9位に、直接またはアリーレンを介して、ピリジルまたはビピリジルが連結した化合物を有機EL素子の電子輸送層に用いることにより、発光効率が高く、長寿命で駆動できる有機EL素子が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
上記の課題は以下に示す各項によって解決される。
【0007】
[1] 下記式(1)で表されるベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
式(1)において、
a、b、c、およびdは独立して1または0であるが、aおよびbが同時に0であることはなく;
PyおよびPyは独立してピリジルまたはビピリジルであり、このピリジルまたはビピリジルの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜14のアリール、または炭素数2〜12のヘテロアリールで置き換えられていてもよく;
Arは、aが0であるとき水素または炭素数6〜20のアリールであり、aが1であるとき炭素数6〜20のアリーレンであり、Arはbが0であるとき水素または炭素数6〜20のアリールであり、bが1であるとき炭素数6〜20のアリーレンであり、これらのアリールまたはアリーレンの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、または炭素数6〜14のアリールで置き換えられていてもよく;
Aは炭素数6〜20のアリールであり、このアリールの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキルまたは炭素数6〜14のアリールで置き換えられていてもよく;
〜Rは独立して水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜14のアリール、または炭素数2〜10のヘテロアリールであり、このアリールまたはヘテロアリールの任意の水素は炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜6のシクロアルキルで置き換えられていてもよく;また、
式(1)で表される化合物における少なくとも1つの水素が重水素で置き換えられていてもよい。
【0008】
[2] 下記式(1−1)で表される、前記[1]項に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
式(1−1)において、
PyおよびPyは独立してピリジルまたはビピリジルであり、このピリジルまたはビピリジルの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜14のアリール、または炭素数2〜12のヘテロアリールで置き換えられていてもよく;
ArおよびArは独立して炭素数6〜20のアリーレンであり、このアリーレンの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、または炭素数6〜14のアリールで置き換えられていてもよく;
Aは炭素数6〜20のアリールであり、このアリールの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキルまたは炭素数6〜14のアリールで置き換えられていてもよく;
〜Rは独立して水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜14のアリール、または炭素数2〜10のヘテロアリールであり、このアリールまたはヘテロアリールの任意の水素は炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜6のシクロアルキルで置き換えられていてもよく;そして、
cおよびdは独立して1または0である。
【0009】
[3] 下記式(1−2)で表される、前記[1]項に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
式(1−2)において、
Pyはピリジルまたはビピリジルであり、このピリジルまたはビピリジルの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜14のアリール、または炭素数2〜12のヘテロアリールで置き換えられていてもよく;
Arは水素または炭素数6〜20のアリールであり、このアリールの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、または炭素数6〜14のアリールで置き換えられていてもよく;
Arは炭素数6〜20のアリーレンであり、このアリーレンの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、または炭素数6〜14のアリールで置き換えられていてもよく;
Aは炭素数6〜20のアリールであり、このアリールの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキルまたは炭素数6〜14のアリールで置き換えられていてもよく;
〜Rは独立して水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜14のアリール、または炭素数2〜10のヘテロアリールであり、このアリールまたはヘテロアリールの任意の水素は炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜6のシクロアルキルで置き換えられていてもよく;そして、
dは1または0である。
【0010】
[4] 下記式(1−3)で表される、前記[1]項に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
式(1−3)において、
Pyはピリジルまたはビピリジルであり、このピリジルまたはビピリジルの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜14のアリール、または炭素数2〜12のヘテロアリールで置き換えられていてもよく;
Arは炭素数6〜20のアリーレンであり、このアリーレンの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、または炭素数6〜14のアリールで置き換えられていてもよく;
Arは水素または炭素数6〜20のアリールであり、このアリールの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、または炭素数6〜14のアリールで置き換えられていてもよく;
Aは炭素数6〜20のアリールであり、このアリールの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキルまたは炭素数6〜14のアリールで置き換えられていてもよく;
〜Rは独立して水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜14のアリール、または炭素数2〜10のヘテロアリールであり、このアリールまたはヘテロアリールの任意の水素は炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜6のシクロアルキルで置き換えられていてもよく;そして、
cは1または0である。
【0011】
[5] PyおよびPyが独立して下記式(Py−1−1)〜(Py−1−3)および(Py−2−1)〜(Py−2−18)で表される基の群から選ばれる1つであり、
【化5】
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【化6】
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これらの基の任意の水素はメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、またはピリジルで置き換えられていてもよく;
ArおよびArが独立してフェニレン、ナフタレンジイル、アントラセンジイル、またはクリセンジイルであり、これらの基の任意の水素はメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、またはナフチルで置き換えられていてもよく;
Aがフェニル、ナフチルまたはフェナントリルであり、これらの基の任意の水素はメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、またはナフチルで置き換えられていてもよく;
〜Rが独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;そして、
cおよびdが独立して1または0である、前記[2]項に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【0012】
[6] Pyが下記式(Py−1−1)〜(Py−1−3)および(Py−2−1)〜(Py−2−18)で表される基の群から選ばれる1つであり、
【化7】
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【化8】
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これらの基の任意の水素はメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、またはピリジルで置き換えられていてもよく;
Arが水素、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、またはクリセニルであり、これらの基の任意の水素はメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、またはナフチルで置き換えられていてもよく;
Arがフェニレン、ナフタレンジイル、アントラセンジイル、またはクリセンジイルであり、これらの基の任意の水素はメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、またはナフチルで置き換えられていてもよく;
Aがフェニル、ナフチルまたはフェナントリルであり、これらの基の任意の水素はメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、またはナフチルで置き換えられていてもよく;
〜Rが独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;そして、
dが1または0である、前記[3]項に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【0013】
[7] Pyが下記式(Py−1−1)〜(Py−1−3)および(Py−2−1)〜(Py−2−18)で表される基の群から選ばれる1つであり、
【化9】
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【化10】
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これらの基の任意の水素はメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、またはピリジルで置き換えられていてもよく;
Arがフェニレン、ナフタレンジイル、アントラセンジイル、またはクリセンジイルであり、これらの基の任意の水素はメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、またはナフチルで置き換えられていてもよく;
Arが水素、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、またはクリセニルであり、これらの基の任意の水素はメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、またはナフチルで置き換えられていてもよく;
Aがフェニル、ナフチルまたはフェナントリルであり、これらの基の任意の水素はメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、またはナフチルで置き換えられていてもよく;
〜Rが独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;そして、
cが1または0である、前記[4]項に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【0014】
[8] PyおよびPyが独立して式(Py−1−1)、(Py−1−2)、(Py−1−3)、(Py−2−1)、(Py−2−2)、(Py−2−3)、(Py−2−7)、(Py−2−8)、(Py−2−9)、(Py−2−10)、(Py−2−11)、および(Py−2−12)で表される基の群から選ばれる1つであり、これらの基の任意の水素はメチル、t−ブチル、フェニル、ナフチル、またはピリジルで置き換えられていてもよく;
ArおよびArが独立して1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、またはアントラセン−9,10−ジイルであり、これらの基の任意の水素はメチル、t−ブチル、またはフェニルで置き換えられていてもよく;
Aがフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、または9−フェナントリルであり、これらの基の任意の水素はメチル、t−ブチル、またはフェニルで置き換えられていてもよく;
〜Rがすべて水素であり;そして、
cおよびdが独立して1または0である、前記[5]項に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【0015】
[9] Pyが式(Py−1−1)、(Py−1−2)、(Py−1−3)、(Py−2−1)、(Py−2−2)、(Py−2−3)、(Py−2−7)、(Py−2−8)、(Py−2−9)、(Py−2−10)、(Py−2−11)、および(Py−2−12)で表される基の群から選ばれる1つであり、これらの基の任意の水素はメチル、t−ブチル、フェニル、ナフチル、またはピリジルで置き換えられていてもよく;
Arが水素、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、または9−フェナントリルであり、これらの基の任意の水素はメチル、t−ブチル、またはフェニルで置き換えられていてもよく;
Arが1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、またはアントラセン−9,10−ジイルであり、これらの基の任意の水素はメチル、t−ブチル、またはフェニルで置き換えられていてもよく;
Aがフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、または9−フェナントリルであり、これらの基の任意の水素はメチル、t−ブチル、またはフェニルで置き換えられていてもよく;
〜Rがすべて水素であり;そして、
dが1または0である、前記[6]項に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【0016】
[10] Pyが式(Py−1−1)、(Py−1−2)、(Py−1−3)、(Py−2−1)、(Py−2−2)、(Py−2−3)、(Py−2−7)、(Py−2−8)、(Py−2−9)、(Py−2−10)、(Py−2−11)、および(Py−2−12)で表される基の群から選ばれる1つであり、これらの基の任意の水素はメチル、t−ブチル、フェニル、ナフチル、またはピリジルで置き換えられていてもよく;
Arが1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、またはアントラセン−9,10−ジイルであり、これらの基の任意の水素はメチル、t−ブチル、またはフェニルで置き換えられていてもよく;
Arが水素、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、または9−フェナントリルであり、これらの基の任意の水素はメチル、t−ブチル、シクロヘキシル、またはフェニルで置き換えられていてもよく;
Aがフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、または9−フェナントリルであり、これらの基の任意の水素はメチル、t−ブチル、またはフェニルで置き換えられていてもよく;
〜Rがすべて水素であり;そして、
cが1または0である、前記[7]項に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【0017】
[11] PyおよびPyが独立して式(Py−1−1)、(Py−1−2)、(Py−1−3)、(Py−2−2)、(Py−2−3)、(Py−2−8)、(Py−2−9)、(Py−2−11)、および(Py−2−12)で表される基の群から選ばれる1つであり;
ArおよびArが独立して1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、またはアントラセン−9,10−ジイルであり;
Aがフェニル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、m−テルフェニル−5’−イル、1−ナフチル、2−ナフチル、または9−フェナントリルであり;
〜Rがすべて水素であり;そして、
cおよびdが独立して1または0である、前記[5]項に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【0018】
[12] PyおよびPyが独立して式(Py−1−1)、(Py−1−2)、(Py−1−3)、(Py−2−2)、(Py−2−3)、(Py−2−8)、(Py−2−9)、(Py−2−11)、および(Py−2−12)で表される基の群から選ばれる1つであり;
Arが水素、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、または9−フェナントリルであり;
Arが1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、またはアントラセン−9,10−ジイルであり;
Aがフェニル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、m−テルフェニル−5’−イル、1−ナフチル、2−ナフチル、または9−フェナントリルであり;
〜Rがすべて水素であり;そして、
dが1または0である、前記[6]項に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【0019】
[13] PyおよびPyが独立して式(Py−1−1)、(Py−1−2)、(Py−1−3)、(Py−2−2)、(Py−2−3)、(Py−2−8)、(Py−2−9)、(Py−2−11)、および(Py−2−12)で表される基の群から選ばれる1つであり;
Arが1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、またはアントラセン−9,10−ジイルであり;
Arが水素、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、または9−フェナントリルであり;
Aがフェニル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、m−テルフェニル−5’−イル、1−ナフチル、2−ナフチル、または9−フェナントリルであり;
〜Rがすべて水素であり;そして、
cが1または0である、前記[7]項に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【0020】
[14] 下記式(1−1−66)または(1−1−758)で表される、前記[5]項に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
【0021】
[15] 下記式(1−2−8)または(1−2−28)で表される、前記[6]項に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
【0022】
[16] 下記式(1−3−206)または(1−3−300)で表される、前記[7]項に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
【0023】
[17] 下記式(1−1−2)で表される、前記[5]項に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
【0024】
[18] 下記式(1−1−765)で表される、前記[5]項に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
【0025】
[19] 下記式(1−1−893)で表される、前記[5]項に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
【0026】
[20] 下記式(1−1−973)で表される、前記[5]項に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
【0027】
[21] 下記式(1−2−125)で表される、前記[6]項に記載のベンゾ[a]カルバゾール化合物。
【化18】
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【0028】
[22] 前記[1]〜[21]のいずれか1項に記載の化合物を含有する電子輸送材料。
【0029】
[23] 陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置される発光層と、前記陰極と該発光層との間に配置され、前記[22]項に記載の電子輸送材料を含有する電子輸送層および/または電子注入層とを有する有機電界発光素子。
【0030】
[24] 前記電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つは、さらに、キノリノール系金属錯体、ビピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体およびボラン誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、前記[23]項に記載の有機電界発光素子。
【0031】
[25] 電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つが、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、前記[23]項に記載の有機電界発光素子。
【発明の効果】
【0032】
本発明の化合物は薄膜状態で電圧を印加しても安定であり、また、電荷の輸送能力が高いという特徴を持つ。本発明の化合物は有機EL素子における電荷輸送材料として適している。本発明の化合物を有機EL素子の電子輸送層および/または電子注入層に用いることで、高い発光効率と長い寿命を有する有機EL素子を得ることができる。本発明の有機EL素子を用いることにより、フルカラー表示等の高性能のディスプレイ装置を作成できる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本明細書においては、例えば「式(1−1−66)で表される化合物」のことを「化合物(1−1−66)」と称することがある。「式(1−1−758)で表される化合物」のことを「化合物(1−1−758)」と称することがある。その他の式記号、式番号についても同様に扱われる。
【0034】
化合物の定義において用いる用語「任意の」は「位置だけでなく数においても自由に選択できること」を意味する場合がある。例えば、「フェニルの任意の水素は炭素数1〜6のアルキルで置き換えられていてもよい」という表現は、「1つの水素がアルキルで置き換えられてもよい」のみならず、「複数の水素が同一のアルキル、または各々異なるアルキルで置き換えられていてもよい」ことをも意味する。
本明細書の構造式、化学反応式等で用いられる記号Me、Et、i−Pr、t−Bu、Cy、およびPhは、それぞれメチル、エチル、イソプロピル、ターシャリーブチル、シクロヘキシル、およびフェニルを表す。
【0035】
<式(1)で表される化合物>
本願の第1の発明は下記の式(1)で表される、ピリジルまたはビピリジルを有するベンゾ[a]カルバゾール化合物である。
【化19】
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式(1)において、a、b、c、およびdは独立して1または0であるが、aおよびbが同時に0であることはない。式(1)で表される化合物には、a=b=1の態様、a=0かつb=1の態様、およびa=1かつb=0の態様がある。
【0036】
式(1)においてa=b=1の態様は、下記式(1−1)で表される化合物である。
【化20】
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式(1−1)で表される化合物は、ベンゾ[a]カルバゾールの3位および9位に、直接またはアリーレンを介して、ピリジルまたはビピリジルが連結している。本発明の化合物を有機EL素子の電子輸送層または電子注入層に使用すると、LUMO準位が下がって、陰極から電子輸送層または電子注入層への電子の注入が起こり易くなるため、駆動電圧が低下するなどの効果をもたらすと考えられる。本発明の態様においては、分子の両端にピリジルまたはビピリジルが連結している式(1−1)の構造がより好ましい。ベンゾ[a]カルバゾールとピリジルまたはビピリジルの間にアリーレンを介しても特性的には大きな変動はなく、式中のcおよびdは0であってもよく、1であってもよい。一方、後述するように、ベンゾ[a]カルバゾールに直接ビピリジルが連結した化合物は、使用できる中間原料に制約があるため、選択できる製造法が制限される。PyおよびPyの片方または両方がビピリジルである化合物の場合、製造の容易さという観点では、ビピリジルが連結する側はアリーレンを介した方が好ましい。
【0037】
式(1)においてa=0かつb=1の態様は、下記式(1−2)で表される化合物である。
【化21】
[この文献は図面を表示できません]
【0038】
式(1)においてa=1かつb=0の態様は、下記式(1−3)で表される化合物である。
【化22】
[この文献は図面を表示できません]
【0039】
式(1−2)で表される化合物は、ベンゾ[a]カルバゾールの9位に、直接またはアリーレンを介して、ピリジルまたはビピリジルが連結している。式(1−3)で表される化合物は、ベンゾ[a]カルバゾールの3位に、直接またはアリーレンを介して、ピリジルまたはビピリジルが連結している。これら分子の片端にピリジルまたはビピリジルが連結している化合物は、電子輸送層や電子注入層に使用する材料として、上記の式(1−1)で表される化合物に次いで好ましい。ピリジル、ビピリジルが連結するベンゾ[a]カルバゾールの位置については、3位であってもよく、9位であってもよい。ベンゾ[a]カルバゾールとピリジルまたはビピリジルの間にアリーレンを介しても特性的には大きな変動はないが、製造の容易さという観点では、前記式(1−1)で表される化合物の説明で述べたのと同じ理由で、ビピリジルが連結する場合においてはアリーレンを介した方が好ましい。
【0040】
式(1)において、PyおよびPyは独立してピリジルまたはビピリジルである。ピリジルは、具体的には下記式(Py−1−1)、(Py−1−2)および(Py−1−3)で表される2−ピリジル、3−ピリジルおよび4−ピリジルである。ビピリジルは、具体的には下記式(Py−2−1)〜(Py−2−30)で表される基である。
【化23】
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【化24】
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【化25】
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【0041】
このピリジルまたはビピリジルの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜14のアリール、または炭素数2〜12のヘテロアリールで置き換えられていてもよい。置換基の数は、例えば、最大置換可能な数であり、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個、さらに好ましくは1個である。
【0042】
炭素数1〜6のアルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチルなどがあげられる。これらの中でも、メチル、エチル、イソプロピル、およびt−ブチルが好ましく、メチルおよびt−ブチルがより好ましく、メチルが特に好ましい。
【0043】
炭素数3〜6のシクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルがあげられる。これらの中では、原料の入手し易さ、製造の容易さからシクロヘキシルが好ましい。
【0044】
炭素数6〜14のアリールとしては、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルなどがあげられる。これらの中では、原料の入手し易さ、製造の容易さからフェニルおよびナフチルが好ましく、フェニルがより好ましい。
【0045】
炭素数2〜12のヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環基などがあげられる。具体的には、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、インドリジニル、フラザニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、フェノキサチイニル、チアントレニルなどがあげられる。これらの中では、ピリジル、キノリニルおよびイソキノリニルが好ましく、ピリジルがより好ましい。
【0046】
a=b=1の態様において、PyおよびPyは同一であっても、異なる基であってもよいが、化合物の製造の容易さという点において同一である方が好ましい。PyおよびPyが同一である場合も、異なる基である場合も、それぞれが(Py−1−1)〜(Py−1−3)および(Py−2−1)〜(Py−2−18)で表される基の群から選ばれることが好ましく、(Py−1−1)〜(Py−1−3)、(Py−2−1)〜(Py−2−3)および(Py−2−7)〜(Py−2−12)で表される基の群から選ばれることがより好ましい。
【0047】
a=1かつb=0の態様およびa=0かつb=1の態様においても、PyまたはPyは(Py−1−1)〜(Py−1−3)および(Py−2−1)〜(Py−2−18)で表される基の群から選ばれることが好ましく、(Py−1−1)〜(Py−1−3)、(Py−2−1)〜(Py−2−3)および(Py−2−7)〜(Py−2−12)で表される基の群から選ばれることがより好ましい。
【0048】
式(1)において、ArおよびArは、a=b=1の態様において、炭素数6〜20のアリーレンである。a=0かつb=1の態様において、Arは水素または炭素数6〜20のアリールであり、炭素数6〜20のアリールであることが好ましく、Arは炭素数6〜20のアリーレンである。a=1かつb=0の態様において、Arは炭素数6〜20のアリーレンであり、Arは水素または炭素数6〜20のアリールであり、炭素数6〜20のアリールであることが好ましい。
【0049】
炭素数6〜20のアリールとしては、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、クリセニル、ナフタセニル、ペリレニルなどがあげられる。これらの中では、フェニル、ナフチル、アントリル、およびフェナントリルが好ましく、フェニル、ナフチルおよびアントリルがより好ましい。
【0050】
炭素数6〜20のアリーレンとしては、フェニレン、ナフタレンジイル、アントラセンジイル、フェナントレンジイル、ピレンジイル、クリセンジイル、ナフタセンジイル、ペリレンジイルなどがあげられる。これらの中では、フェニレン、ナフタレンジイル、アントラセンジイルおよびクリセンジイルが好ましく、フェニレン、ナフタレンジイルおよびアントラセンジイルがより好ましい。
【0051】
上記のアリールまたはアリーレンの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、または炭素数6〜14のアリールで置き換えられていてもよい。これらの置換基の具体例は前記のピリジルまたはビピリジルの置換基として例示した基があげられ、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、アントリル、およびフェナントリルが好ましく、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、およびナフチルがより好ましく、メチル、t−ブチルおよびフェニルがさらに好ましい。置換基の数は、例えば、最大置換可能な数であり、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個、さらに好ましくは1個である。
【0052】
ArおよびArがアリールである場合は、置換基を有するアリールも含めて、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、m−テルフェニル−5’−イル、および9−フェナントリルが好ましく、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、3−ビフェニリル、およびm−テルフェニル−5’−イルがより好ましい。
【0053】
ArおよびArがアリーレンである場合は、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−ナフタレンジイル、2,7−ナフタレンジイル、および9,10−アントラセンジイルが好ましく、1,4−フェニレン、1,4−ナフタレンジイルおよび9,10−アントラセンジイルがより好ましい。
【0054】
式(1)において、Aは炭素数6〜20のアリールであり、このアリールの任意の水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキルまたは炭素数6〜14のアリールで置き換えられていてもよい。炭素数6〜20のアリールは上記のArおよびArで例示した基があげられる。置換基である炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキルおよび炭素数6〜14のアリールについても、前記のピリジルまたはビピリジルの置換基として例示した基があげられる。
【0055】
Aは置換基を有するアリールも含めて、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、m−テルフェニル−5’−イル、および9−フェナントリルが好ましく、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、3−ビフェニリル、および4−ビフェニリルがより好ましい。
【0056】
式(1)において、R〜Rは独立して水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜14のアリール、または炭素数2〜10のヘテロアリールであり、このアリールまたはヘテロアリールの任意の水素は炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜6のシクロアルキルで置き換えられていてもよい。炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜14のアリール、および炭素数2〜10のヘテロアリールは前記のピリジルまたはビピリジルの置換基として例示した基があげられる。置換基としての炭素数1〜6のアルキルおよび炭素数3〜6のシクロアルキルについても同様である。
【0057】
〜Rは水素、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、およびフェニルが好ましく、水素、メチル、t−ブチル、シクロヘキシル、およびフェニルがより好ましく、すべて水素であることがさらに好ましい。
【0058】
また、上記式(1)で表される化合物を構成する、ベンゾ[a]カルバゾールにおける水素原子、ベンゾ[a]カルバゾールに置換するPy、Py、Ar、Ar、A、およびR〜Rにおける水素原子の全てまたは一部が重水素であってもよい。
【0059】
<化合物の具体例>
本発明の態様における式(1−1)で表される化合物の具体例は、以下に示す化合物(1−1−1)〜(1−1−861)および(1−1−871)〜(1−1−1019)である。この中で好ましい化合物は(1−1−1)〜(1−1−56)、(1−1−65)〜(1−1−67)、(1−1−71)〜(1−1−76)、(1−1−86)〜(1−1−88)、(1−1−92)〜(1−1−97)、(1−1−102)〜(1−1−104)、(1−1−108)〜(1−1−113)、(1−1−118)、(1−1−119)、(1−1−123)〜(1−1−133)、(1−1−137)〜(1−1−141)、(1−1−145)〜(1−1−150)、(1−1−154)〜(1−1−159)、(1−1−163)〜(1−1−177)、(1−1−181)〜(1−1−183)、(1−1−205)、(1−1−206)、(1−1−208)〜(1−1−213)、(1−1−215)〜(1−1−220)、(1−1−222)〜(1−1−227)、(1−1−230)〜(1−1−233)、(1−1−236)〜(1−1−239)、(1−1−242)、(1−1−243)、(1−1−262)、(1−1−263)、(1−1−266)〜(1−1−269)、(1−1−272)〜(1−1−275)、(1−1−278)〜(1−1−281)、(1−1−284)〜(1−1−287)、(1−1−290)〜(1−1−293)、(1−1−296)〜(1−1−315)、(1−1−325)〜(1−1−351)、(1−1−361)〜(1−1−387)、(1−1−397)〜(1−1−423)、(1−1−433)〜(1−1−621)、(1−1−624)、(1−1−625)、(1−1−630)〜(1−1−635)、(1−1−638)〜(1−1−641)、(1−1−644)〜(1−1−647)、(1−1−650)〜(1−1−653)、(1−1−656)〜(1−1−659)、(1−1−662)〜(1−1−665)、(1−1−668)〜(1−1−671)、(1−1−673)〜(1−1−678)、(1−1−680)〜(1−1−685)、(1−1−687)〜(1−1−692)、(1−1−695)〜(1−1−698)、(1−1−701)〜(1−1−704)、(1−1−707)〜(1−1−720)、(1−1−733)〜(1−1−780)、(1−1−784)〜(1−1−819)、(1−1−871)〜(1−1−880)、(1−1−885)〜(1−1−888)、(1−1−891)〜(1−1−894)、(1−1−897)、(1−1−898)、(1−1−901)〜(1−1−940)、および(1−1−945)〜(1−1−974)である。
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【0146】
本発明の態様における式(1−2)で表される化合物の具体例は、以下に示す化合物(1−2−1)〜(1−2−365)および(1−2−381)〜(1−2−656)である。この中で好ましい化合物は(1−2−1)〜(1−2−146)、(1−2−149)、(1−2−150)、(1−2−153)〜(1−2−157)、(1−2−162)〜(1−2−165)、(1−2−169)〜(1−2−175)、(1−2−179)〜(1−2−182)、(1−2−185)、(1−2−186)、(1−2−189)、(1−2−190)、(1−2−193)〜(1−2−195)、(1−2−199)〜(1−2−205)、(1−2−209)〜(1−2−212)、(1−2−225)〜(1−2−365)、(1−2−451)〜(1−2−460)、(1−2−485)〜(1−2−514)および(1−2−539)〜(1−2−636)である。
【0147】
【化112】
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【0186】
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【0197】
本発明の態様における式(1−3)で表される化合物の具体例は、以下に示す化合物(1−3−1)〜(1−3−352)および(1−3−361)〜(1−3−654)である。この中で好ましい化合物は(1−3−1)〜(1−3−132)、(1−3−136)〜(1−3−141)、(1−3−144)〜(1−3−161)、(1−3−165)〜(1−3−170)、(1−3−173)、(1−3−174)、(1−3−177)〜(1−3−179)、(1−3−183)〜(1−3−189)、(1−3−193)〜(1−3−198)、(1−3−201)、(1−3−202)、(1−3−205)〜(1−3−207)、(1−3−211)〜(1−3−214)、(1−3−225)〜(1−3−352)、および(1−3−479)〜(1−3−620)である。
【0198】
【化162】
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【0199】
【化163】
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【0200】
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【0201】
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【0202】
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【0203】
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【0204】
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【0205】
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【0207】
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【0208】
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【0215】
【化179】
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【0216】
【化180】
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【0217】
【化181】
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【0218】
【化182】
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【0219】
【化183】
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【0220】
【化184】
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【0221】
【化185】
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【0222】
【化186】
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【0223】
【化187】
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【0224】
【化188】
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【0225】
【化189】
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【0226】
【化190】
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【0227】
【化191】
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【0228】
【化192】
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【0229】
【化193】
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【0230】
【化194】
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【0231】
【化195】
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【0232】
【化196】
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【0233】
【化197】
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【0234】
【化198】
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【0235】
【化199】
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【0236】
【化200】
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【0237】
【化201】
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【0238】
【化202】
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【0239】
【化203】
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【0240】
【化204】
[この文献は図面を表示できません]
【0241】
【化205】
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【0242】
【化206】
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【0243】
【化207】
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【0244】
【化208】
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【0245】
【化209】
[この文献は図面を表示できません]
【0246】
【化210】
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【0247】
【化211】
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【0248】
<式(1)で表される化合物の製造方法>
式(1)で表される化合物は、既知の合成法を利用して製造することができる。例えば、下記の反応1〜8に示す経路をたどって合成することができる。また、下記の反応9〜17に示す経路をたどって合成することもできる。
【0249】
まず、式(1)のベンゾ[a]カルバゾールの3位と9位に同じ基が連結した化合物の合成例として、反応1〜8の経路を説明する。
【化212】
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反応1では、パラジウム触媒を用いて、塩基の存在下、2−ニトロ−4−メトキシベンゼンのハロゲン化物またはトリフラートに(6−メトキシナフタレン−2−イル)ボロン酸を鈴木カップリング反応させて、化合物(a−1)を合成する。式中のR〜Rは、以降も含めて前記と同じである。
【0250】
【化213】
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反応2では、トリフェニルホスフィン:PPh或いはトリエトキシホスフィン:P(OEt)により、化合物(a−1)のニトロ基を還元的に環化させて、化合物(a−2)を合成する。
【0251】
【化214】
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反応3では、パラジウム触媒または銅触媒を用いて、塩基および反応促進剤の存在下、化合物(a−2)にAの臭化物またはヨウ化物を反応させて、化合物(a−3)を合成する。式中のAは、以降も含めて前記と同じである。
【0252】
【化215】
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反応4では、ピリジン塩酸塩を用いて化合物(a−3)のメトキシ基のメチルを脱離させ、化合物(a−4)を合成する。
【0253】
【化216】
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反応5では、塩基の存在下、化合物(a−4)にトリフルオロメタンスルホン酸無水物を反応させて、化合物(a−5)を合成する。
【0254】
【化217】
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反応6では、パラジウム触媒を用いて、塩基の存在下、化合物(a−5)にビス(ピナコラート)ジボロンを反応させて、化合物(a−6)を合成する。
【0255】
【化218】
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反応7は最終工程である。反応6で得た化合物(a−6)に、2倍モルのピリジル、ビピリジルのハライドまたはピリジルアリール(A)のハライドまたはトリフラートを鈴木カップリング反応させて、式(1)で表される化合物を合成する。
【0256】
【化219】
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また、反応8のように、反応5で得た化合物(a−5)に、パラジウム触媒を用いて、塩基の存在下、2倍モルのピリジル、ビピリジルまたはピリジルアリール(A)のボロン酸またはボロン酸エステルを鈴木カップリング反応させて、式(1)で表される化合物を合成することもできる。ただし、Aが2−ピリジルまたはビピリジルの場合には、反応中間体の安定性を考慮すると、反応7による方が好ましい。
【0257】
次に、式(1)のベンゾ[a]カルバゾールの3位と9位に異なる基が連結した化合物の合成例として反応9〜17の経路を説明する。
【化220】
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反応9では、パラジウム触媒を用いて、塩基の存在下、ニトロ基を有するベンゼンのジハロ体に(6−メトキシナフタレン−2−イル)ボロン酸を鈴木カップリング反応させて、化合物(b−1)を合成する。このとき、ジハロ体のハロゲンは反応性がX>Yになるように選択する。前記と同様に、R〜Rは、以降も含めて前記と同じである。
【0258】
【化221】
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反応10では、トリフェニルホスフィン:PPh或いはトリエトキシホスフィン:P(OEt)により、化合物(b−1)のニトロ基を還元的に環化させて、化合物(b−2)を合成する。
【0259】
【化222】
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反応11では、パラジウム触媒または銅触媒を用いて、塩基および反応促進剤の存在下、化合物(b−2)にAの臭化物またはヨウ化物を反応させて、化合物(b−3)を合成する。式中のAは、以降も含めて前記と同じである。
【0260】
【化223】
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反応12では、パラジウム触媒を用いて、塩基の存在下、化合物(b−3)にピリジルアリールまたはアリール(A02)のボロン酸またはボロン酸エステルを反応させて、化合物(b−4)を合成する。この反応はA02がピリジルまたはビピリジルの場合でも使用できるが、反応中間体の安定性を考慮すると、化合物(b−3)のYをリチオ化するか、グリニャール試薬としてから、定法に従ってボロン酸エステルまたはボロン酸とし、これとピリジルまたはビピリジルのハライドとの鈴木カップリング反応にて化合物(b−4)を得る方が好ましい。
【0261】
【化224】
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反応13では、ピリジン塩酸塩を用いて化合物(b−4)のメトキシ基のメチルを脱離させ、化合物(b−5)を合成する。
【0262】
【化225】
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反応14では、塩基の存在下、化合物(b−5)にトリフルオロメタンスルホン酸無水物を反応させて、化合物(b−6)を合成する。
【0263】
【化226】
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反応15では、パラジウム触媒を用いて、塩基の存在下、化合物(b−6)にビス(ピナコラート)ジボロンを反応させて、化合物(b−7)を合成する。
【0264】
【化227】
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反応16は最終工程である。反応15で得た化合物(b−7)に、ピリジル、ビピリジル、ピリジルアリール、またはアリール(A01)のハライドまたはトリフラートを鈴木カップリング反応させて、式(1)で表される化合物を合成する。
【0265】
【化228】
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また、反応14で得た化合物(b−6)に、パラジウム触媒を用いて、塩基の存在下、ピリジルアリールまたはアリール(A01)のボロン酸またはボロン酸エステルを鈴木カップリング反応させて、式(1)で表される化合物を合成することもできる。この反応はA01がピリジルまたはビピリジルの場合でも使用できるが、反応中間体の安定性を考慮すると、反応16による方が好ましい。
【0266】
式(1−2)のArが水素である化合物の合成方法について説明する。反応1〜8の経路にて合成する場合は、反応1で用いる(6−メトキシナフタレン−2−イル)ボロン酸の代わりに、ナフタレン環の6位が水素であるナフタレン−2−イルボロン酸を使用すればよい。反応9〜17の経路にて合成する場合は、反応9で用いる(6−メトキシナフタレン−2−イル)ボロン酸の代わりに、ナフタレン環の6位が水素であるナフタレン−2−イルボロン酸を使用すればよい。
【0267】
式(1−3)のArが水素である化合物の合成方法について説明する。反応1〜8の経路にて合成する場合は、反応1の2−ニトロ−4−メトキシベンゼンのハライドまたはトリフラートの代わりに、ベンゼン環の4位が水素である化合物を使用すればよい。また、反応9〜17の経路にて合成する場合は、反応9の出発物質であるニトロベンゼンのYが水素であるハライドまたはトリフラートを使用すればよい。
【0268】
また、上記の経路以外でも、式(1)で表される化合物を合成することができる。予め4位をピリジル、ビピリジル、ピリジルアリール、アリール(A02)などで置換した2−ニトロハロベンゼンまたはトリフラート、および、予め6位をピリジル、ビピリジル、ピリジルアリール、アリール(A01)などで置換したナフタレン−2−イルボロン酸をそれぞれ合成し、それらを定法に従って鈴木カップリング反応させる。その後、PPh或いはP(OEt)を用いて、ニトロ基を還元的に環化させ、11H−ベンゾ[a]カルバゾール誘導体を得る。最後に、パラジウム触媒または銅触媒を用いて、塩基および反応促進剤の存在下、11H−ベンゾ[a]カルバゾール誘導体にAの臭化物またはヨウ化物を反応させることによっても、本発明の式(1)で表される化合物を合成することができる。この反応経路はベンゾ[c]カルバゾールの3位と9位の基が異なる化合物を合成するのに適するが、3位と9位の基が同じ化合物にも適用できる。どちらの場合でも、ベンゾ[c]カルバゾールの9位にピリジルまたはビピリジルが連結した化合物を合成する場合には、この反応経路を経由するのが好ましい。
【0269】
上述した鈴木カップリング反応(反応1、7、8、9、12、16、および17)において用いられるパラジウム触媒は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0):Pd(PPh、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム(II):PdCl(PPh、酢酸パラジウム(II):Pd(OAc)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0):Pd(dba)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体:Pd(dba)・CHCl、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0):Pd(dba)、ビス(トリt−ブチルホスフィノ)パラジウム(0):Pd(P(t−Bu)、または[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリトジクロロメタン錯体(1:1):PdCl(dppf)・CHClなどを例示することができる。
【0270】
反応促進のため、場合によりこれらのパラジウム化合物にホスフィン化合物を加えてもよい。ホスフィン化合物の具体例としては、トリ(t−ブチル)ホスフィン:t−BuP、トリシクロヘキシルホスフィン:PCy、1−(N,N−ジメチルアミノメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(N,N−ジブチルアミノメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(メトキシメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、2,2’−ビス(ジt−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−メトキシ−2’−(ジt−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、および2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニルが挙げられる。
【0271】
同反応で用いられる塩基の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、酢酸ナトリウム、リン酸三カリウム:KPO、およびフッ化カリウムが挙げられる。
【0272】
同反応において用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロペンチルメチルエーテルなどが挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、混合溶媒として用いてもよい。反応は通常50〜180℃の温度範囲で実施されるが、より好ましくは70〜130℃である。
【0273】
反応2および反応10で用いられる反応溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドンが例示される。溶媒は単独で用いてもよく、混合溶媒として用いてもよい。反応温度は通常100℃〜220℃の範囲で実施される。より好ましくは130〜190℃である。
【0274】
反応3および反応11において銅触媒を用いる場合には、銅粉、酸化銅またはハロゲン化銅などが用いられる。同時に使用される塩基は炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水素化ナトリウムなどであり、反応促進剤はクラウンエーテル(例えば、18−クラウン−6−エーテル)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル(PEGDM)などが挙げられる。そして、反応溶媒にはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ニトロベンゼン、ジメチルスルホキシド、ジクロロベンゼン、キノリンなどが用いられる。反応温度は160〜250℃であるが、基質の反応性が低い場合にはオートクレーブなどを用いてより高温の反応を行ってもよい。
【0275】
反応3および反応11においてパラジウム触媒を用いる場合には、酢酸パラジウム(II):Pd(OAc)、塩化パラジウム:PdCl、臭化パラジウムPdBr、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0):Pd(dba)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体:Pd(dba)・CHCl、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0):Pd(dba)、ビス(トリt−ブチルホスフィノ)パラジウム(0):Pd(P(t−Bu)、または[1.1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(1:1):PdCl(dppf)・CHClなどが用いられる。
【0276】
同時に使用される塩基は炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、水素化ナトリウム、アルコキシカリウム(例えば、メトキシカリウム、エトキシカリウム、ノルマルプロポキシカリウム、イソプロポキシカリウム、n−ブトキシカリウムおよびt−ブトキシカリウムなど)、アルコキシナトリウム(例えば、メトキシナトリウム、エトキシナトリウム、ノルマルプロポキシナトリウム、イソプロポキシナトリウム、n−ブトキシナトリウムおよびt−ブトキシナトリウムなど)が挙げられる。
【0277】
反応促進剤は2,2’−(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、1,1’−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、ジシクロヘキシルホスフィノビフェニル、ジ−t−ブチルホスフィノビフェニル、トリ(t−ブチル)ホスフィン:t-BuP、1−(N,N−ジメチルアミノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(N,N−ジブチルアミノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(メトキシメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセン、2,2’−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−メトキシ−2’−(ジ−t−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、または2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニルなどが使用される。
【0278】
反応溶媒にはベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素溶媒が用いられる。溶媒は単独で用いてもよく、混合溶媒として用いてもよい。反応温度は通常50〜200℃の範囲で実施されるが、より好ましくは80〜140℃である。
【0279】
反応4および反応13で用いられる反応溶媒としては、1−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ニトロベンゼン、ジメチルスルホキシド、ジクロロベンゼン、キノリンなどが挙げられる。溶媒は単独で用いてもよく、混合溶媒として用いてもよい。場合によっては、無溶媒で行ってもよい。反応は通常150℃〜220℃の温度範囲で実施されるが、より好ましくは180〜200℃である。
【0280】
反応5および反応14において塩基を用いる場合には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム:KOAc、リン酸三カリウム:KPO、フッ化カリウム、フッ化セシウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジンなどを用いることができる。
【0281】
反応5および反応14において用いられる溶媒としては、ピリジン、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、CHCl、CHCl、CHCNなどが挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、混合溶媒として用いてもよい。反応は通常−10〜50℃の温度範囲で実施されるが、より好ましくは0〜30℃である。
【0282】
反応6および反応15において用いられるパラジウム触媒としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0):Pd(PPh、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム(II):PdCl(PPh、酢酸パラジウム(II):Pd(OAc)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0):Pd(dba)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体:Pd(dba)・CHCl、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0):Pd(dba)、ビス(トリt−ブチルホスフィノ)パラジウム(0):Pd(P(t−Bu)、または[1.1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリトジクロロメタン錯体(1:1):PdCl(dppf)・CHClなどが挙げられる。
【0283】
反応促進のため、場合によりこれらのパラジウム化合物にホスィン化合物を加えてもよい。そのホスィン化合物は、トリ(t−ブチル)ホスフィン:t−BuP、トリシクロヘキシルホスフィン:PCy、1−(N,N−ジメチルアミノメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(N,N−ジブチルアミノメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(メトキシメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、2,2’−ビス(ジt−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−メトキシ−2’−(ジt−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニルなどが挙げられる。
【0284】
反応6および反応15において用いられる塩基は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム:KOAc、リン酸三カリウム:KPO、フッ化カリウムなどである。
【0285】
反応6および反応15において用いられる溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロペンチルメチルエーテルなどである。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、混合溶媒として用いてもよい。反応温度は通常50〜180℃の範囲で実施されるが、より好ましくは70〜130℃である。
【0286】
また、上記ではアリール、ヘテロアリール等の環同士を結合させる工程で鈴木カップリング反応を用いたが、入手できる原料、試薬の種類に応じて、根岸カップリング反応を用いることもできる。
【0287】
本発明の化合物を、有機EL素子における、電子注入層または電子輸送層に用いた場合、電界印加時において安定である。これらは、本発明の化合物が、電界発光型素子の電子注入材料、または電子輸送材料として優れていることを表す。ここで言う電子注入層とは陰極から有機層へ電子を受け取る層であり、電子輸送層とは注入された電子を発光層へ輸送するための層である。また、電子輸送層が電子注入層を兼ねることも可能である。それぞれの層に用いる材料を、電子注入材料および電子輸送材料という。
【0288】
<有機EL素子の説明>
本願の第2の発明は、電子注入層、または電子輸送層に、本発明の式(1)で表される化合物を含有する有機EL素子である。本発明の有機EL素子は、駆動電圧が低く、駆動時の耐久性が高い。
【0289】
本発明の有機EL素子の構造は各種の態様があるが、基本的には陽極と陰極との間に少なくとも正孔輸送層、発光層、電子輸送層を挟持した多層構造である。素子の具体的な構成の例は、(1)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、(2)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、(3)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、等である。
【0290】
本発明の化合物は、高い電子注入性および電子輸送性を持っているので、単体又は他の材料と併用して電子注入層、または電子輸送層に使用できる。本発明の有機EL素子は、本発明の電子輸送材料に他の材料を用いた正孔注入層、正孔輸送層、発光層、などを組み合わせることで、青色、緑色、赤色や白色の発光を得ることもできる。
【0291】
本発明の有機EL素子に使用できる発光材料または発光性ドーパントは、高分子学会編、高分子機能材料シリーズ“光機能材料”、共同出版(1991)、P236に記載されているような昼光蛍光材料、蛍光増白剤、レーザー色素、有機シンチレータ、各種の蛍光分析試薬等の発光材料、城戸淳二監修、“有機EL材料とディスプレイ”シーエムシー社出版(2001)P155〜156に記載されているようなドーパント材料、P170〜172に記載されているような3重項材料の発光材料等である。
【0292】
発光材料または発光性ドーパントとして使用できる化合物は、多環芳香族化合物、ヘテロ芳香族化合物、有機金属錯体、色素、高分子系発光材料、スチリル誘導体、芳香族アミン誘導体、クマリン誘導体、ボラン誘導体、オキサジン誘導体、スピロ環を有する化合物、オキサジアゾール誘導体、フルオレン誘導体等である。多環芳香族化合物の例は、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ナフタセン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、ペリレン誘導体、コロネン誘導体、ルブレン誘導体等である。ヘテロ芳香族化合物の例は、ジアルキルアミノ基またはジアリールアミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ピリジン誘導体、ピラン誘導体、フェナントロリン誘導体、シロール誘導体、トリフェニルアミノ基を有するチオフェン誘導体、キナクリドン誘導体等である。有機金属錯体の例は、亜鉛、アルミニウム、ベリリウム、ユーロピウム、テルビウム、ジスプロシウム、イリジウム、白金、オスミウム、金、等と、キノリノール誘導体、ベンゾキサゾ−ル誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ピロール誘導体、ピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体等との錯体である。色素の例は、キサンテン誘導体、ポリメチン誘導体、ポルフィリン誘導体、クマリン誘導体、ジシアノメチレンピラン誘導体、ジシアノメチレンチオピラン誘導体、オキソベンズアントラセン誘導体、カルボスチリル誘導体、ペリレン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体等の色素が挙げられる。高分子系発光材料の例は、ポリパラフェニルビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリビニルカルバゾ−ル誘導体、ポリシラン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体等である。スチリル誘導体の例は、アミン含有スチリル誘導体、スチリルアリーレン誘導体等である。
【0293】
本発明の有機EL素子に使用される他の電子輸送材料は、光導電材料において電子伝達化合物として使用できる化合物、有機EL素子の電子輸送層および電子注入層に使用できる化合物の中から任意に選択して用いることができる。
【0294】
このような電子輸送材料の具体例は、キノリノール系金属錯体、2,2’−ビピリジル誘導体、フェナントロリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チオフェン誘導体、トリアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、オキシン誘導体の金属錯体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ガリウム錯体、ピラゾール誘導体、パ−フルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、イミダゾピリジン誘導体、ボラン誘導体等である。
【0295】
本発明の有機EL素子に使用される正孔注入材料および正孔輸送材料については、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物や、有機EL素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。それらの具体例は、カルバゾ−ル誘導体、トリアリールアミン誘導体、フタロシアニン誘導体等である。
【0296】
本発明の有機EL素子を構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、スピンコート法またはキャスト法等の方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常2nm〜5000nmの範囲である。なお、発光材料を薄膜化する方法は、均質な膜が得やすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から蒸着法を採用するのが好ましい。蒸着法を用いて薄膜化する場合、その蒸着条件は、本発明の発光材料の種類により異なる。蒸着条件は一般的に、ボート加熱温度50〜400℃、真空度10−6〜10−3Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−150〜+300℃、膜厚5nm〜5μmの範囲で適宜設定することが好ましい。
【0297】
本発明の有機EL素子は、前記のいずれの構造であっても、基板に支持されていることが好ましい。基板は機械的強度、熱安定性および透明性を有するものであればよく、ガラス、透明プラスチックフィルム等を用いることができる。陽極物質は4eVより大きな仕事関数を有する金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を用いることができる。その具体例は、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(以下、ITOと略記する)、SnO、ZnO等である。
【0298】
陰極物質は4eVより小さな仕事関数の金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物を使用できる。その具体例は、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、マグネシウム合金、アルミニウム合金等である。合金の具体例は、アルミニウム/弗化リチウム、アルミニウム/リチウム、マグネシウム/銀、マグネシウム/インジウム等である。有機EL素子の発光を効率よく取り出すために、電極の少なくとも一方は光透過率を10%以上にすることが望ましい。電極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下にすることが好ましい。なお、膜厚は電極材料の性質にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10〜400nmの範囲に設定される。このような電極は、上述の電極物質を使用して、蒸着やスパッタリング等の方法で薄膜を形成させることにより作製することができる。
【0299】
次に、本発明の発光材料を用いて有機EL素子を作成する方法の一例として、前述の陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/本発明の電子輸送材料/陰極からなる有機EL素子の作成法について説明する。適当な基板上に、陽極材料の薄膜を蒸着法により形成させて陽極を作製した後、この陽極上に正孔注入層および正孔輸送層の薄膜を形成させる。この上に発光層の薄膜を形成させる。この発光層の上に本発明の電子輸送材料を真空蒸着し、薄膜を形成させ、電子輸送層とする。さらに陰極用物質からなる薄膜を蒸着法により形成させて陰極とすることにより、目的の有機EL素子が得られる。なお、上述の有機EL素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
【0300】
このようにして得られた有機EL素子に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として印加すればよく、電圧2〜40V程度を印加すると、透明又は半透明の電極側(陽極又は陰極、および両方)より発光が観測できる。また、この有機EL素子は、交流電圧を印加した場合にも発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
【実施例】
【0301】
以下に、本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明する。まず、実施例で用いたベンゾ[a]カルバゾール化合物の合成例について、以下に説明する。
【0302】
[合成例1]化合物(1−1−66)の合成
<2−メトキシ−6−(4−メトキシ−2−ニトロフェニル)ナフタレンの合成>
【化229】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、1−クロロ−4−メトキシ−2−ニトロベンゼン13.13g、(6−メトキシナフタレン−2−イル)ボロン酸15.56g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)2.43g、リン酸三カリウム29.72g、およびトルエンとエタノールの混合溶媒280ml(トルエン/エタノール=4/1(容量比))をフラスコに入れて5分間攪拌した。次に純水28mlを加え、5時間還流した。加熱終了後、反応液を冷却し、析出した固体を濾別し粗製品1とした。濾液を分液して、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過にて乾燥剤を除去し、溶媒を減圧留去して得られた固体を粗製品2とした。これら粗製品1と2を合わせて、シリカゲルショートカラム(溶媒:トルエン)で精製し、さらに、ヘプタンで再沈殿を行って、中間体の化合物(a−1a):2−メトキシ−6−(4−メトキシ−2−ニトロフェニル)ナフタレン19.52g(収率:91%)を得た。
【0303】
<3,9−ジメトキシ−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化230】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、前記の化合物(a−1a)18.9gとトリフェニルホスフィン40.1gおよび1−メチル−2−ピロリドン120mlをフラスコに入れて攪拌し、7時間還流した。加熱終了後、反応液を冷却し、反応混合液に純水を加えて析出した固体を濾別した。固体を純水、次いでメタノールで洗浄し、粗製品を得た。その粗製品をシリカゲルショートカラム(溶媒:トルエン)精製して、中間体の化合物(a−2a):3,9−ジメトキシ−11H−ベンゾ[a]カルバゾール15.7g(収率:93%)を得た。
【0304】
<3,9−ジメトキシ−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化231】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(a−2a)15.5g、ブロモベンゼン13.2g、酢酸パラジウム(II)Pd(OAc)0.63g、トリ(t−ブチル)ホスフィンt−BuP1.70g、リン酸三カリウム35.59g、およびキシレン170mlをフラスコに入れて攪拌し、10時間還流した。反応液を冷却し、濾過にて固体を除去した後、溶媒を減圧留去して得られた粗製品をシリカゲルカラム(溶媒:へプタン/トルエン=1/1(容量比))で精製して、中間体の化合物(a−3a):3,9−ジメトキシ−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール16.4g(収率:83%)を得た。
【0305】
<11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3,9−ジオールの合成>
【化232】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(a−3a)15.4gおよびピリジン塩酸塩100.7gをフラスコに入れ、200℃で6時間加熱した。加熱終了後反応液を冷却し、純水を100ml加えた。反応混合液を酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾過にて除去し、溶媒を減圧留去して得られた粗製品をシリカゲルショートカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=6/1(容量比))で精製して、中間体の化合物(a−4a):11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3,9−ジオールを14.2g(収率:100%)得た。
【0306】
<11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3,9−ジイル ビス(トリフルオロメタンスルホネ−ト)の合成>
【化233】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(a−4a)14.2gおよびピリジン110mlをフラスコに入れ、0℃まで冷却した後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物30.7gをゆっくり滴下した。その後、反応液を0℃で1時間、室温で終夜攪拌した。反応液に純水を加えて析出した固体を濾別した。得られた固体をシリカゲルショートカラム(溶媒:トルエン)で精製して、中間体の化合物(a−5a):11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3,9−ジイルビス(トリフルオロメタンスルホネ−ト)25.5g(収率:99%)を得た。
【0307】
<11−フェニル−3,9−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化234】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(a−5a)15g、ビス(ピナコラート)ジボロン14.21g、[1.1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(1:1)(PdCl(dppf)・CHCl)1.25g、酢酸カリウム14.98g、およびシクロペンチルメチルエーテル127mlをフラスコに入れて攪拌し、4時間還流した。加熱終了後、反応液を冷却し、純水を150ml加えた。反応混合液を酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、乾燥剤を除去し、溶媒を減圧留去して得られた粗製品をシリカゲルショートカラム(溶媒:トルエン)で精製した。さらに、ヘプタンで再沈殿を行い、中間体の化合物(a−6a):11−フェニル−3,9−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール12g(収率:87%)を得た。
【0308】
<化合物(1−1−66):3,9−ジ([2,3’−ビピリジン]−6−イル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化235】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(a−6a)2.73g、6−ブロム−2,3’−ビピリジン2.47g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)0.29g、リン酸三カリウム4.24gおよびN,N−ジメチルアセトアミド20mlをフラスコに入れて攪拌し、120℃で3時間加熱した。反応終了後、反応液に純水を加え、析出した固体を濾別し、得られた固体をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=2/1(容量比))で精製し、さらに、昇華精製をして、目的の化合物(1−1−66):3,9−ジ([2,3’−ビピリジン]−6−イル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール0.5g(収率:16%)を得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(1−1−66)の構造を確認した。
【0309】
H−NMR(CDCl): δ= 9.36(s,1H)、 9.31(s,1H)、 8.76(s,1H)、8.67(t,2H)、 8.51〜8.49(m,1H)、 8.44〜8.41(m,1H)、 8.31(d,2H)、 8.17(d,1H)、 8.07(d,1H)、 7.95(s,1H)、 7.90〜7.65(m,12H)、 7.55(d,1H)、 7.46〜7.41(m,2H).
ガラス転移温度(Tg): 115℃
[測定機器:Diamond DSC (PERKIN−ELMER社製); 測定条件: 冷却速度200℃/Min.、昇温速度10℃/Min.]
【0310】
[合成例2]化合物(1−1−758)の合成
<化合物(1−1−758):11−フェニル−3,9−ビス(3−ピリジン−3−イル)フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化236】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(a−5a)2g、3−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)ピリジン2.01g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)0.20g、リン酸三カリウム2.89g、およびN,N−ジメチルアセトアミド14mlをフラスコに入れて攪拌し、120℃で4時間加熱した。反応終了後、反応液に純水を加え、析出した固体を濾別し、得られた固体をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=2/1(容量比))で精製し、さらに、昇華精製をして、目的の化合物(1−1−758):11−フェニル−3,9−ビス(3−ピリジン−3−イル)フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール0.53g(収率:25%)を得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(1−1−758)の構造を確認した。
【0311】
H−NMR(CDCl): δ=8.93(s,1H)、 8.90(s,1H)、 8.62(t,2H)、 8.30〜8.26(m,3H)、 7.96〜7.89(m,3H)、 7.83〜7.80(m,2H)、 7.75〜7.47(m,14H)、 7.40〜7.37(m,3H).
ガラス転移温度(Tg): 99.4℃
[測定機器:Diamond DSC (PERKIN−ELMER社製); 測定条件: 冷却速度200℃/Min.、昇温速度10℃/Min.]
【0312】
[合成例3]化合物(1−2−8)の合成
<3−メトキシ−11−フェニル−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化237】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(b−3a)6.25g、3−ピリジンボロン酸2.58g、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(Pd(dba))0.50g、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy)0.37g、燐酸カリウム7.42g、およびN,N−ジメチルアセトアミド70mlをフラスコに入れて5分間攪拌し、7時間還流した。反応終了後、反応液に純水を加え、析出した固体(粗製品)を濾取し、得られた固体をNH−DM1020(富士シリシア化学株式会社製)カラム(溶媒:トルエン)で精製して、中間体の化合物(b−1b):3−メトキシ−11−フェニル−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール6.17g(収率:88%)を得た。
【0313】
<11−フェニル−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−オルの合成>
【化238】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(b−1b)6.17gおよびピリジン塩酸塩26.7gをフラスコに入れ、200℃で7時間加熱した。加熱終了後、反応液を冷却し、純水を100ml添加して析出した固体を濾取し、粗製品を得た。その粗製品をシリカゲルショートカラム(溶媒:トルエン)で精製し、中間体の化合物(b−2b):11−フェニル−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−オル5.4g(収率:90.8%)を得た。
【0314】
<11−フェニル−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−イル トリフルオロメタンスルホネ−トの合成>
【化239】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(b−2b)5.4gおよびピリジン56mlをフラスコに入れ、0℃まで冷却した後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物7.89gをゆっくり滴下した。その後、反応液を0℃で1時間、室温で2時間攪拌した。反応液に純水を加えた後、酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過にて乾燥剤を除去し、溶媒を減圧留去して得られた粗製品をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=2/1(容量比))で精製して、中間体の化合物(b−3b):11−フェニル−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−イル トリフルオロメタンスルホネ−ト6.65g(収率:91.8%)を得た。
【0315】
<化合物(1−2−8):3−([ナフタレン−2−イル)−11−フェニル−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化240】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(b−3b)2.2g、2−ナフタレンボロン酸0.80g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)0.15g、リン酸三カリウム1.80gおよびトルエンとエタノールとの混合溶媒21ml(トルエン/エタノール=4/1(容量比))をフラスコに入れて5分間攪拌した。その後、純水2mlを加え5時間還流した。加熱終了後に反応液を冷却し、純水を加えて析出した固体を濾取して粗製品1とした。濾液の有機層を分液して、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾過にて除去し、溶媒を減圧留去して得られた固体を粗製品2とした。次に、粗製品1と2を合わせて、シリカゲルカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=10/1(容量比))で精製した。その後、トルエンから再結晶し、さらに、昇華精製をして、目的の化合物(1−2−8):3−([ナフタレン−2−イル)−11−フェニル−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール0.8g(収率:38%)を得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(1−2−8)の構造を確認した。
【0316】
H−NMR(CDCl): δ=8.89(d,1H)、8.57(d,1H)、8.34(s,1H)、8.30〜8.28(dd,2H)、8.15(s,1H)、7.95〜7.84(m,6H)、7.73〜7.48(m,10H)、7.35〜7.33(m,2H).
ガラス転移温度(Tg): 98.2℃
[測定機器:Diamond DSC (PERKIN−ELMER社製); 測定条件: 冷却速度200℃/Min.、昇温速度10℃/Min.]
【0317】
[合成例4]化合物(1−2−28)の合成
<化合物(1−2−28):3−(4−(ナフタレン−2−イル)フェニル)−11−フェニル−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化241】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(b−3b)2.2g、4−(ナフタレン−2−イル)フェニル)ボロン酸1.16g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)0.15g、リン酸三カリウム1.80gおよびトルエンとエタノールとの混合溶媒21ml(トルエン/エタノール=4/1(容量比))をフラスコに入れて5分間攪拌した。その後、純水2mlを加え5時間還流した。加熱終了後、反応液を冷却して純水を加え、析出した固体を濾取し、純水、次いでメタノールで洗浄した後、加熱したトルエンに溶解し、不溶分を熱時濾過にて除去した。さらにシリカゲルカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=3/1(容量比))で精製した後、熱トルエン溶液にて活性炭処理して脱色した。その後、酢酸エチルで再沈殿を行い、さらに、昇華精製をして、目的の化合物(1−2−28):3−(4−(ナフタレン−2−イル)フェニル)−11−フェニル−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール1.2g(収率:50%)を得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(1−2−28)の構造を確認した。
【0318】
H−NMR(CDCl): δ=8.89(d,1H)、 8.57(dd,1H)、 8.30〜8.28(m,3H)、 8.11(s,1H)、 7.95〜7.80(m,10H)、 7.74〜7.70(m,3H)、 7.64〜7.58(m,4H)、 7.54〜7.48(m,3H)、 7.36〜7.33(m,2H).
ガラス転移温度(Tg)は観察されなかった。
【0319】
[合成例5]化合物(1−3−206)の合成
<2−(4−クロロ−2−ニトロフェニル)−6−メトキシナフタレンの合成>
【化242】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、1−ブロモ−4−クロロ−2−ニトロベンゼン11.35g、(6−メトキシナフタレン−2−イル)ボロン酸9.7g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)1.66g、炭酸ナトリウム10.18g、およびトルエン197mlをフラスコに入れて5分間攪拌した後、純水38mlを加え5時間還流した。加熱終了後、反応液を冷却して析出した固体を濾別し、粗製品1とした。濾液の有機層を分液し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、乾燥剤を濾過にて除去し、溶媒を減圧留去して得られた固体を粗製品2とした。その後、粗製品1と2を合わせて、シリカゲルショートカラム(溶媒:トルエン)で精製した。さらに、ヘプタンで再沈殿を行い、中間体の化合物(b−1a):2−(4−クロロ−2−ニトロフェニル)−6−メトキシナフタレン12.9g(収率:85.7%)を得た。
【0320】
<9−クロロ−3−メトキシ−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化243】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、前記の化合物(b−1a)12.9g、トリフェニルホスフィン26.96gおよびo−ジクロロベンゼン82mlをフラスコに入れて攪拌し、7.5時間還流した。加熱終了後、反応液を冷却して析出した固体を濾過し、粗製品を得た。その粗製品をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン)で精製し、中間体の化合物(b−2a):9−クロロ−3−メトキシ−11H−ベンゾ[a]カルバゾール10.3g(収率:89%)を得た。
【0321】
<9−クロロ−3−メトキシ−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化244】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(b−2a)10.25g、ブロモベンゼン8.57g、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))0.327g、トリ(t−ブチル)ホスフィン(t−BuP)0.88g、リン酸三カリウム30.89g、およびキシレン110mlをフラスコに入れて攪拌し、6時間還流した。反応液を冷却し、濾過して固体を除去した後、濾液を減圧濃縮して得られた粗製品をシリカゲルショートカラム(溶媒:トルエン)で精製して、中間体の化合物(b−3a):9−クロロ−3−メトキシ−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール12.2g(収率:93.8%)を得た。
【0322】
<9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−3−メトキシ−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化245】
[この文献は図面を表示できません]
窒素雰囲気下、化合物(b−3a)5.19g、3−ビフェニルボロン酸3.45g、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(Pd(dba))0.42g、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy)0.30g、リン酸三カリウム6.16g、およびトルエン58mlをフラスコに入れて5分間攪拌した。その後、純水5.8mlを加えて7時間還流した。反応終了後に反応液を冷却し、純水を50ml添加した。反応液をトルエンで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、乾燥剤を濾過にて除去し、溶媒を減圧留去して得られた粗製品をシリカゲルカラム(溶媒:ヘプタン/トルエン=3/1(容量比))で精製して、中間体の化合物(b−4a):9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−3−メトキシ−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール6.66g(収率:97%)を得た。
【0323】
<9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−オルの合成>
【化246】
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窒素雰囲気下、化合物(b−4a)6.51gおよびピリジン塩酸塩23.7gをフラスコに入れ、200℃で6時間加熱した。加熱終了後、反応液を冷却し、純水を100ml加えて析出した固体を濾取し、粗製品を得た。その粗製品をシリカゲルショートカラム(溶媒:トルエン)で精製し、中間体の化合物(b−5a):9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−オル6.32g(収率:100%)を得た。
【0324】
<9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−イル トリフルオロメタンスルホネ−トの合成>
【化247】
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窒素雰囲気下、化合物(b−5a)6.32gおよびピリジン35mlをフラスコに入れ、0℃まで冷却した後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物7.73gをゆっくり滴下した。その後、反応液を0℃で1時間、室温で2時間攪拌した。反応液に純水を加えた後、反応混合液をトルエンで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾過にて除去し、溶媒を減圧留去して得られた粗製品をシリカゲルショートカラム(溶媒:トルエン)で精製して、中間体の化合物(b−6a):9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−イル トリフルオロメタンスルホネ−ト7.4g(収率:91%)を得た。
【0325】
<9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−11−フェニル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化248】
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窒素雰囲気下、化合物(b−6a)5.2g、ビス(ピナコラード)ジボラン2.7g、[1.1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリトジクロロメタン錯体(1:1)(PdCl(dppf)・CHCl)0.21g、酢酸カリウム2.58g、およびシクロペンチルメチルエーテル45mlをフラスコに入れて攪拌し、4時間還流した。加熱終了後、反応液を冷却し、純水を150ml添加した。反応混合液を酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾過にて除去し、溶媒を減圧留去して得られた粗製品を活性炭ショートカラム(溶媒:トルエン)で精製し、中間体の化合物(b−7a):9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−11−フェニル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール4.53g(収率:90.6%)を得た。
【0326】
<化合物(1−3−206):9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−3−([2,3’−ビピリジン]−6−イル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化249】
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窒素雰囲気下、化合物(b−7a)1.94g、6−ブロム−2,3’−ビピリジン0.88g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)0.16g、リン酸三カリウム1.44g、およびN,N−ジメチルアセトアミド14mlをフラスコに入れて攪拌し、120℃で6時間加熱した。反応終了後、反応液に純水を加え、析出した固体(粗製品)を濾取した。得られた固体をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=10/1(容量比))で精製し、さらに、昇華精製をして、目的の化合物(1−3−206):9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−3−([2,3’−ビピリジン]−6−イル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール0.89g(収率:44%)を得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(1−3−206)の構造を確認した。
【0327】
H−NMR(CDCl): δ=9.36(s,1H)、 8.76(s,1H)、 8.69(dd,1H)、 8.50(dt,1H)、 8.31〜8.27(q,2H)、 8.07(dd,1H)、 7.90〜7.88(m,3H)、 7.83(s,1H)、 7.73〜7.35(m,18H).
ガラス転移温度(Tg): 107.4℃
[測定機器:Diamond DSC (PERKIN−ELMER社製); 測定条件: 冷却速度200℃/Min.、昇温速度10℃/Min.]
【0328】
[合成例6]化合物(1−3−300)の合成
<化合物(1−3−300):9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−11−フェニル−3−(3−(ピリジン−3−イル)フェニル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化250】
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窒素雰囲気下、化合物(b−6a)2g、3−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)ピリジン0.95g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)0.12g、リン酸三カリウム1.43g、およびN,N−ジメチルアセトアミド15mlをフラスコに入れて攪拌し、120℃で4時間加熱した。反応終了後、反応液に純水を加え、トルエンで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過にて乾燥剤を除去し、溶媒を減圧留去して得られた粗製品をシリカゲルカラムで(溶媒:トルエン/酢酸エチル=10/1(容量比))精製し、さらに、昇華精製をして、目的の化合物(1−3−300):9−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−11−フェニル−3−(3−(ピリジン−3−イル)フェニル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール1.29g(収率:64%)を得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(1−3−300)の構造を確認した。
【0329】
H−NMR(CDCl): δ=8.94(s,1H)、 8.64(dd,1H)、 8.31〜8.26(m,3H)、 7.95(dt,1H)、 7.90(s,1H)、 7.83〜7.82(m,2H)、 7.76〜7.39(m,21H).
ガラス転移温度(Tg): 99.6℃
[測定機器:Diamond DSC (PERKIN−ELMER社製); 測定条件: 冷却速度200℃/Min.、昇温速度10℃/Min.]
【0330】
[合成例7]化合物(1−1−2)の合成
<化合物(1−1−2):11−フェニル−3,9−ジ(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化251】
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窒素雰囲気下、化合物(a−5a)2.95g、3−ピリジンボロン酸1.23g、、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(Pd(dba))0.14g、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy)0.11g、リン酸三カリウム4.25g、およびN,N−ジメチルアセトアミド25mlをフラスコに入れて5分間攪拌し、120℃で5時間加熱した。反応終了後、反応液に純水を加え、析出した固体を濾別した。得られた固体をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=2/1(容量比))で精製し、さらに、ヘプタンで再沈殿を行った。最後に、昇華精製をして、目的の化合物(1−1−2):11−フェニル−3,9−ジ(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール0.90g(収率:40%)を得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(1−1−2)の構造を確認した。
【0331】
H−NMR(CDCl): δ=8.96(s,1H)、 8.88(s,1H)、 8.61(dd,1H)、 8.58(dd,1H)、 8.30(dd,2H)、 8.21(s,1H)、 7.97(dt,1H)、 7.91(dt,1H)、 7.83(d,1H)、 7.74〜7.70(m,3H)、 7.62〜7.58(m,3H)、 7.52〜7.47(m,2H)、 7.40〜7.33(m,3H).
ガラス転移温度(Tg): 91.2℃
[測定機器:Diamond DSC (PERKIN−ELMER社製); 測定条件: 冷却速度200℃/Min.、昇温速度10℃/Min.]
【0332】
[合成例8]化合物(1−1−765)の合成
<化合物(1−1−765):11−フェニル−3,9−ビス(4−(ピリジン−4−イル)フェニル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化252】
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窒素雰囲気下、化合物(a−6a)2.5g、4−(4−ブロモフェニル)ピリジン2.15g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)0.26g、リン酸三カリウム3.89gおよびN,N−ジメチルアセトアミド20mlをフラスコに入れて攪拌し、120℃で6時間加熱した。反応終了後、反応液に純水を加え、析出した固体を濾別した。得られた固体をNH−DM1020(富士シリシア化学株式会社製)カラム(溶媒:トルエン)で精製し、さらに、酢酸エチルで再沈殿を行った。最後に、昇華精製をして、目的の化合物(1−1−765):11−フェニル−3,9−ビス(4−(ピリジン−4−イル)フェニル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール1.4g(収率:49.6%)を得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(1−1−765)の構造を確認した。
【0333】
H−NMR(CDCl): δ= 8.69〜8.67(m,4H)、 8.31〜8.27(m,3H)、 7.84〜7.62(m,15H)、 7.58〜7.48(m,6H)、 7.41(s,1H).
【0334】
[合成例9]化合物(1−1−893)の合成
<化合物(1−1−893):3,9−ビス(5’−メチル−[2,3’−ビピリジン]−6−イル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化253】
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窒素雰囲気下、化合物(a−6a)2.5g、6−ブロモ−5’−メチル−2,3’−ビピリジン2.51g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)0.32g、リン酸三カリウム3.89gおよびN,N−ジメチルアセトアミド25mlをフラスコに入れて攪拌し、120℃で6時間加熱した。反応終了後、反応液に純水を加え、析出した固体を濾別した。得られた固体をNH−DM1020(富士シリシア化学株式会社製)カラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=8/1(容量比))で精製し、さらに、酢酸エチルで再沈殿を行った。最後に、昇華精製をして、目的の化合物(1−1−893):3,9−ビス(5’−メチル−[2,3’−ビピリジン]−6−イル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール1.6g(収率:56%)を得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(1−1−893)の構造を確認した。
【0335】
H−NMR(CDCl): δ= 8.56(t,2H)、 8.30〜8.26(m,3H)、 7.82〜7.81(m,3H)、 7.75〜7.62(m,11H)、 7.56〜7.41(m,4H)、 7.36(dd,2H)、 2.65(s,6H).
ガラス転移温度(Tg): 114.0℃
[測定機器:Diamond DSC (PERKIN−ELMER社製); 測定条件: 冷却速度200℃/Min.、昇温速度10℃/Min.]
【0336】
[合成例10]化合物(1−1−973)の合成
<化合物(1−1−973):3,9−ビス(4−(2−メチルピリジン−4−イル)フェニル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化254】
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窒素雰囲気下、化合物(a−6a)2.5g、4−(4−クロロフェニル)−2−メチルピリジン2.1g、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(Pd(dba))0.16g、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy)0.12g、リン酸三カリウム4.0g、1,2,4−トリメチルベンゼン25ml、t-ブチルアルコール2.5mlおよび水2.5mlをフラスコに入れて6時間還流した。反応終了後、反応液に純水を加え、析出した固体を濾別した。得られた固体をNH−DM1020(富士シリシア化学株式会社製)カラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=10/1(容量比))で精製し、さらに、酢酸エチルで再沈殿を行った。最後に、昇華精製をして、目的の化合物(1−1−973):3,9−ビス(4−(2−メチルピリジン−4−イル)フェニル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール1.8g(収率:60%)を得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(1−1−973)の構造を確認した。
【0337】
H−NMR(CDCl): δ= 9.14(s,1H)、 9.09(s,1H)、 8.75(s,1H)、 8.51(dd,2H)、 8.32〜8.26(m,4H)、 8.15(dd,1H)、 8.07(dd,1H)、 8.01(s,1H)、 7.90〜7.66(m,14H)、 7.57(d,1H)、 2.48(s,3H)、 2.45(s,3H).
ガラス転移温度(Tg): 116.2℃
[測定機器:Diamond DSC (PERKIN−ELMER社製); 測定条件: 冷却速度200℃/Min.、昇温速度10℃/Min.]
【0338】
<化合物(1−2−125):11−フェニル−3−(10−フェニルアントラセン−9−イル)−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾールの合成>
【化255】
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窒素雰囲気下、化合物(b−3b)2.2g、10−フェニルアントラセン−9−イル)ボロン酸1.64g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)0.15g、リン酸三カリウム1.80gおよびトルエンとエタノールとの混合溶媒21ml(トルエン/エタノール=4/1(容量比))をフラスコに入れて5分間攪拌した。その後、純水2mlを加え5時間還流した。加熱終了後に反応液を冷却し、純水を加えて析出した固体を濾取した。得られた固体をシリカゲルカラム(溶媒:トルエン/酢酸エチル=4/1(容量比))で精製しさらに、酢酸エチルで再沈殿を行った。最後に、昇華精製をして、目的の化合物(1−2−125):11−フェニル−3−(10−フェニルアントラセン−9−イル)−9−(ピリジン−3−イル)−11H−ベンゾ[a]カルバゾール0.81g(収率:31%)を得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(1−2−125)の構造を確認した。
【0339】
H−NMR(CDCl): δ=8.92(s,1H)、 8.59(dd,1H)、 8.35(d,2H)、 8.13(s,1H)、 7.93(dt,1H)、 7.81(d,1H)、 7.76〜7.49(m,16H)、 7.39〜7.29(m,7H).
ガラス転移温度(Tg): 179.6℃
[測定機器:Diamond DSC (PERKIN−ELMER社製); 測定条件: 冷却速度200℃/Min.、昇温速度10℃/Min.]
【0340】
原料の化合物を適宜選択することにより、上記の合成例に準じた方法で、本発明の他の化合物を合成することができる。
【0341】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために、本発明の化合物を用いた有機EL素子の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0342】
実施例1〜3および比較例1〜3に係る有機EL素子を作製し、それぞれ1000cd/m発光時の特性である電圧(V)の測定、EL発光波長(nm)、外部量子効率(%)の測定し、つぎに2000cd/mの輝度が得られる電流密度で定電流駆動した際の輝度半減時間(時間)を測定した。以下、実施例および比較例について詳細に説明する。
【0343】
なお、発光素子の量子効率には、内部量子効率と外部量子効率とがあるが、発光素子の発光層に電子(または正孔)として注入される外部エネルギーが純粋に光子に変換される割合を示したものが内部量子効率である。一方、この光子が発光素子の外部にまで放出された量に基づいて算出されるものが外部量子効率であり、発光層において発生した光子は、その一部が発光素子の内部で吸収されたりあるいは反射され続けたりして、発光素子の外部に放出されないため、外部量子効率は内部量子効率よりも低くなる。
【0344】
外部量子効率の測定方法は次の通りである。アドバンテスト社製電圧/電流発生器R6144を用いて、素子の輝度が1000cd/mになる電流を印加して素子を発光させた。TOPCON社製分光放射輝度計SR−3ARを用いて、発光面に対して垂直方向から可視光領域の分光放射輝度を測定した。発光面が完全拡散面であると仮定して、測定した各波長成分の分光放射輝度の値を波長エネルギーで割ってπを掛けた数値が各波長におけるフォトン数である。次いで、観測した全波長領域でフォトン数を積算し、素子から放出された全フォトン数とした。印加電流値を素電荷で割った数値を素子へ注入したキャリア数として、素子から放出された全フォトン数を素子へ注入したキャリア数で割った数値が外部量子効率である。
【0345】
作製した実施例1〜3および比較例1〜3に係る有機EL素子における、各層の材料構成を下記表1に示す。
【表1】
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【0346】
表1において、「HI」はN,N4’−ジフェニル−N,N4’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、「HT」はN,N,N4’,N4’−テトラ[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、「BH1」は9−(4−(ナフタレン−1−イル)フェニル)−10−フェニルアントラセン、「BH2」は9−フェニル−10−(4−フェニルナフタレン−1−イル)アントラセン、「BD1」4,4’−((7,7−ジフェニル−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5,9−ジイル)ビス(フェニルアザネジイル))ジベンゾニトリル、「BD2」は7,7,−ジメチル−N,N−ジフェニル−N,N−ビス(4−(トリメチルシラニル)フェニル)−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5,9−ジアミン、「ET1」は5,9−ジ([ビピリジン]−6−イル)−7−フェニル−7H−ベンゾ[c]カルバゾール、「ET2」は2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾールである。キノリノールリチウム「Liq」と共に以下に化学構造を示す。
【0347】
【化256】
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【0348】
[実施例1]化合物(1−1−66)を電子輸送層に用いた素子
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置((株)昭和真空製)の基板ホルダーに固定し、HIを入れたモリブデン製蒸着用ボート、HTを入れたモリブデン製蒸着用ボート、BH1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、BD1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、本発明の化合物(1−1−66)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、キノリノールリチウム(Liq)を入れたモリブデン製蒸着用ボートおよびアルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。
【0349】
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10−4Paまで減圧し、まず、HIが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して正孔注入層を形成し、次いで、HTが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚25nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、BH1が入った蒸着用ボートとBD1の入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して発光層を形成した。BH1とBD1の重量比がおよそ95:5になるように蒸着速度を調節した。つぎに、化合物(1−1−66)の入った蒸着用ボートとLiqの入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して電子輸送層を形成した。化合物(1−1−66)とLiqの重量比がおよそ1:1になるように蒸着速度を調節した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
【0350】
その後、Liqが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着した。次いで、アルミニウム入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚100nmになるように0.01〜2nm/秒の蒸着速度でアルミニウムを蒸着することにより陰極を形成し、有機EL素子を得た。
【0351】
ITO電極を陽極、Liq/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.8V、外部量子効率は4.3%(波長約451nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の77%(1540cd/m)以上の輝度を保持する時間は321時間であった。
【0352】
[比較例1]
電子輸送層の化合物(1−1−66)を化合物(ET1)に替えた以外は実施例1に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、キノリノールリチウム/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は5.5V、外部量子効率は3.2%(波長約451nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の77%(1540cd/m)以上の輝度を保持する時間は63時間であった。
【0353】
[実施例2]化合物(1−1−758)を電子輸送層に用いた素子
発光層のホスト材料である化合物(BH1)を化合物(BH2)に替え,発光層のドーパント材料である化合物(BD1)を化合物(BD2)に替え,また、電子輸送層の電子輸送材料である化合物(1−1−66)を化合物(1−1−758)に替えた以外は実施例1に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、キノリノールリチウム/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は5.8V、外部量子効率は5.1%(波長約455nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の77%(1540cd/m)以上の輝度を保持する時間は170時間であった。
【0354】
[実施例3]化合物(1−1−66)を電子輸送層に用いた素子
実施例1で用いたものと同じ透明支持基板を市販の蒸着装置((株)昭和真空製)の基板ホルダーに固定し、HIを入れたモリブデン製蒸着用ボート、HTを入れたモリブデン製蒸着用ボート、BH1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、BD1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、本発明の化合物(1−1−66)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、Liqを入れたモリブデン製蒸着用ボートおよびアルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。
【0355】
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10−4Paまで減圧し、まず、HIが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して正孔注入層を形成し、ついで、HTが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚25nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。つぎに、BH1が入った蒸着用ボートとBD1の入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して発光層を形成した。BH1とBD1の重量比がおよそ95対5になるように蒸着速度を調節した。つぎに、化合物(1−1−66)の入った蒸着用ボートを加熱して膜厚20nmになるように蒸着して電子輸送層を形成した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
【0356】
その後、Liqが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着した。次いで、アルミニウム入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚100nmになるように0.01〜2nm/秒の蒸着速度でアルミニウムを蒸着することにより陰極を形成し、有機EL素子を得た。
【0357】
ITO電極を陽極、Liq/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.7V、外部量子効率は4.5%(波長約451nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の77%(1540cd/m)以上の輝度を保持する時間は345時間であった。
【0358】
[比較例2]
電子輸送層の電子輸送材料である化合物(1−1−66)を化合物(ET1)に替えた以外は実施例3に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、キノリノールリチウム/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は5.4V、外部量子効率は2.5%(波長約453nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の77%(1540cd/m)以上の輝度を保持する時間は0.5時間であった。
【0359】
[比較例3]
電子輸送層の電子輸送材料である化合物(1−1−66)を化合物(ET2)に替えた以外は実施例3に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、キノリノールリチウム/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は5.4V、外部量子効率は2.2%(波長約453nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の77%(1540cd/m)以上の輝度を保持する時間は22時間であった。
【0360】
以上の結果を表2にまとめた。
【表2】
[この文献は図面を表示できません]
【0361】
作製した実施例4〜8および比較例4〜7に係る有機EL素子における、各層の材料構成を下記表3に示す。
【表3】
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【0362】
表3において、「HI2」は1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル、「ET3」は5,9−ジ([2,3’−ビピリジン]−6−イル)−7−フェニル−7H−ベンゾ[c]カルバゾール、「ET4」は3−(6−(10−フェニルアントラセン−9−イル)ナフタレン−2−イル)ピリジン、「ET5」は2−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−7−([2,3’−ビピリジン]−6−イル)−9−フェニル−9H−カルバゾール、「ET6」は9−フェニル−2,7−ビス(4−(ピリジン−4−イル)ナフタレン−1−イル)−9H−カルバゾールである。以下に化学構造を示す。
【0363】
【化257】
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【0364】
[実施例4]化合物(1−1−66)を電子輸送層に用いた素子
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HIを入れたモリブデン製蒸着用ボート、HI2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、HTを入れたモリブデン製蒸着用ボート、BH2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、BD2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、本発明の化合物(1−1−66)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、Liqを入れたモリブデン製蒸着用ボートおよびアルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。
【0365】
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10−4Paまで減圧し、まず、HIが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して1層目の正孔注入層を形成し、さらにHI2が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚5nmになるように蒸着して2層目の正孔注入層を形成し、次いで、HTが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚25nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、BH2が入った蒸着用ボートとBD2の入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して発光層を形成した。BH2とBD2の重量比がおよそ95対5になるように蒸着速度を調節した。次に、化合物(1−1−66)の入った蒸着用ボートとLiqの入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚30nmになるように蒸着して電子輸送層を形成した。化合物(1−1−66)とLiqの重量比がおよそ1:1になるように蒸着速度を調節した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
【0366】
その後、Liqが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着した。次いで、アルミニウム入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚100nmになるように0.01〜2nm/秒の蒸着速度でアルミニウムを蒸着することにより陰極を形成し、有機EL素子を得た。
【0367】
ITO電極を陽極、Liq/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.8V、外部量子効率は5.1%(波長約454nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m)以上の輝度を保持する時間は396時間であった。
【0368】
[比較例4]
電子輸送層の化合物(1−1−66)を化合物(ET3)に替えた以外は実施例4に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、Liq/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は4.0V、外部量子効率は4.6%(波長約458nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m)以上の輝度を保持する時間は279時間であった。
【0369】
[実施例5]化合物(1−2−125)を電子輸送層に用いた素子
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HIを入れたモリブデン製蒸着用ボート、HI2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、HTを入れたモリブデン製蒸着用ボート、BH2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、BD2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、本発明の化合物(1−2−125)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、Liqを入れたモリブデン製蒸着用ボート、マグネシウムを入れたモリブデン製蒸着用ボートおよび銀を入れたモリブデン製蒸着用ボートを装着した。
【0370】
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10−4Paまで減圧し、まず、HIが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して1層目の正孔注入層を形成し、さらにHI2が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚5nmになるように蒸着して2層目の正孔注入層を形成し、次いで、HTが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚25nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、BH2が入った蒸着用ボートとBD2の入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して発光層を形成した。BH2とBD2の重量比がおよそ95対5になるように蒸着速度を調節した。次に、化合物(1−2−125)の入った蒸着用ボートとLiqの入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚30nmになるように蒸着して電子輸送層を形成した。化合物(1−2−125)とLiqの重量比がおよそ1:1になるように蒸着速度を調節した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
【0371】
その後、Liqが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着した。次いで、マグネシウムの入ったボートと銀の入ったボートを同時に加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成した。この時、マグネシウムと銀の原子数比が10対1となるように蒸着速度を調節し、蒸着速度が0.01〜2nm/秒になるようにして有機EL素子を得た。
【0372】
ITO電極を陽極、Liq/マグネシウム+銀電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.8V、外部量子効率は6.0%(波長約458nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m)以上の輝度を保持する時間は220時間であった。
【0373】
[比較例5]
電子輸送層の化合物(1−2−125)を化合物(ET4)に替えた以外は実施例5に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、Liq/マグネシウム+銀電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.5V、外部量子効率は5.5%(波長約454nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m)以上の輝度を保持する時間は170時間であった。
【0374】
[実施例6]化合物(1−3−206)を電子輸送層に用いた素子
電子輸送層の化合物(1−2−125)を化合物(1−3−206)に替えた以外は実施例5に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、Liq/マグネシウム+銀電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.8V、外部量子効率は5.3%(波長約455nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m)以上の輝度を保持する時間は307時間であった。
【0375】
[比較例6]
電子輸送層の化合物(1−2−125)を化合物(ET5)に替えた以外は実施例5に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、Liq/マグネシウム+銀電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.9V、外部量子効率は4.4%(波長約456nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m)以上の輝度を保持する時間は201時間であった。
【0376】
[実施例7]化合物(1−1−893)を電子輸送層に用いた素子
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HIを入れたモリブデン製蒸着用ボート、HI2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、HTを入れたモリブデン製蒸着用ボート、BH2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、BD2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、本発明の化合物(1−1−893)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、Liqを入れたモリブデン製蒸着用ボート、マグネシウムを入れたモリブデン製蒸着用ボートおよび銀を入れたモリブデン製蒸着用ボートを装着した。
【0377】
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10−4Paまで減圧し、まず、HIが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して1層目の正孔注入層を形成し、さらにHI2が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚5nmになるように蒸着して2層目の正孔注入層を形成し、次いで、HTが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚25nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、BH2が入った蒸着用ボートとBD2の入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して発光層を形成した。BH2とBD2の重量比がおよそ95対5になるように蒸着速度を調節した。次に、化合物(1−1−893)が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚30nmになるように蒸着して電子輸送層を形成した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
【0378】
その後、Liqが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着した。次いで、マグネシウムの入ったボートと銀の入ったボートを同時に加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成した。この時、マグネシウムと銀の原子数比が10対1となるように蒸着速度を調節し、蒸着速度が0.01〜2nm/秒になるようにして有機EL素子を得た。
【0379】
ITO電極を陽極、Liq/マグネシウム+銀電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.3V、外部量子効率は3.6%(波長約456nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の90%(1800cd/m)以上の輝度を保持する時間は56時間であった。
【0380】
[実施例8]化合物(1−1−973)を電子輸送層に用いた素子
電子輸送層の化合物(1−1−893)を化合物(1−1−973)に替えた以外は実施例7に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、Liq/マグネシウム+銀電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は4.2V、外部量子効率は4.8%(波長約456nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m)以上の輝度を保持する時間は80時間であった。
【0381】
[比較例7]
電子輸送層の化合物(1−1−893)を化合物(ET6)に替えた以外は実施例7に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、Liq/マグネシウム+銀電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は5.6V、外部量子効率は4.8%(波長約455nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m)以上の輝度を保持する時間は35時間であった。
【0382】
以上の結果を表4にまとめた。
【表4】
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* 輝度が初期輝度の90%以上を保持する時間
【0383】
作製した実施例9、10および比較例8、9に係る有機EL素子における、各層の材料構成を下記表5に示す。
【表5】
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【0384】
表5において、「ET7」は2−フェニル−9,10−ジ([2,2’−ビピリジン]−5−イル)アントラセン、「ET8」は7−フェニル−5,9−ビス(3−(ピリジン−4−イル)フェニル)−7H−ベンゾ[c]カルバゾール、「ET9」は9−(4’−(ジメシチルボリル)−[1,1’−ビナフタレン]−4−イル)−9H−カルバゾール、「ET10」は4,4’−((2−フェニルアントラセン−9,10−ジイル)ビス(4,1−フェニレン))ジピリジンである。以下に化学構造を示す。
【0385】
【化258】
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【0386】
[実施例9]化合物(1−1−765)を電子輸送層に用いた素子
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HIを入れたモリブデン製蒸着用ボート、HI2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、HTを入れたモリブデン製蒸着用ボート、BH2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、BD2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、本発明の化合物(1−1−765)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、ET7を入れたモリブデン製蒸着用ボート、フッ化リチウム(LiF)を入れたモリブデン製蒸着用ボートおよびアルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。
【0387】
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10−4Paまで減圧し、まず、HIが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して1層目の正孔注入層を形成し、さらにHI2が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚5nmになるように蒸着して2層目の正孔注入層を形成し、次いで、HTが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚25nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、BH2が入った蒸着用ボートとBD2の入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して発光層を形成した。BH2とBD2の重量比がおよそ95対5になるように蒸着速度を調節した。次に、化合物(1−1−765)が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚20nmになるように蒸着して1層目の電子輸送層を形成し、さらにET7が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚10nmになるように蒸着して2層目の電子輸送層を形成した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
【0388】
その後、LiFが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着した。次いで、アルミニウム入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚100nmになるように0.01〜2nm/秒の蒸着速度でアルミニウムを蒸着することにより陰極を形成し、有機EL素子を得た。
【0389】
ITO電極を陽極、LiF/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.8V、外部量子効率は5.3%(波長約456nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m)以上の輝度を保持する時間は107時間であった。
【0390】
[比較例8]
電子輸送層の化合物(1−1−765)を化合物(ET8)に替えた以外は実施例9に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、LiF/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は5.3V、外部量子効率は4.3%(波長約455nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m)以上の輝度を保持する時間は48時間であった。
【0391】
[実施例10]化合物(1−1−973)を電子輸送層に用いた素子
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HIを入れたモリブデン製蒸着用ボート、HI2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、HTを入れたモリブデン製蒸着用ボート、BH2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、BD2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、ET9を入れたモリブデン製蒸着用ボート、本発明の化合物(1−1−973)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、フッ化リチウム(LiF)を入れたモリブデン製蒸着用ボートおよびアルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。
【0392】
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10−4Paまで減圧し、まず、HIが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して1層目の正孔注入層を形成し、さらにHI2が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚5nmになるように蒸着して2層目の正孔注入層を形成し、次いで、HTが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚25nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、BH2が入った蒸着用ボートとBD2の入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して発光層を形成した。BH2とBD2の重量比がおよそ95対5になるように蒸着速度を調節した。次に、化合物(ET9)が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚20nmになるように蒸着して1層目の電子輸送層を形成し、さらに化合物(1−1−973)が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚10nmになるように蒸着して2層目の電子輸送層を形成した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
【0393】
その後、LiFが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着した。次いで、アルミニウム入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚100nmになるように0.01〜2nm/秒の蒸着速度でアルミニウムを蒸着することにより陰極を形成し、有機EL素子を得た。
【0394】
ITO電極を陽極、LiF/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は4.3V、外部量子効率は5.9%(波長約457nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m)以上の輝度を保持する時間は338時間であった。
【0395】
[比較例9]
電子輸送層の化合物(1−1−973)を化合物(ET10)に替えた以外は実施例10に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、LiF/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は4.3V、外部量子効率は5.4%(波長約455nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m)以上の輝度を保持する時間は200時間であった。
【0396】
以上の結果を表6にまとめた。
【表6】
[この文献は図面を表示できません]
【0397】
作製した実施例11〜15に係る有機EL素子における、各層の材料構成を下記表7に示す。
【表7】
[この文献は図面を表示できません]
【0398】
[実施例11]化合物(1−1−765)を電子輸送層に用いた素子
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HIを入れたモリブデン製蒸着用ボート、HI2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、HTを入れたモリブデン製蒸着用ボート、BH2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、BD2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、本発明の化合物(1−1−765)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、Liqを入れたモリブデン製蒸着用ボートおよびアルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。
【0399】
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10−4Paまで減圧し、まず、HIが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して1層目の正孔注入層を形成し、さらにHI2が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚5nmになるように蒸着して2層目の正孔注入層を形成し、次いで、HTが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚25nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、BH2が入った蒸着用ボートとBD2の入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して発光層を形成した。BH2とBD2の重量比がおよそ95対5になるように蒸着速度を調節した。次に、化合物(1−1−765)の入った蒸着用ボートとLiqの入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して電子輸送層を形成した。化合物(1−1−765)とLiqの重量比がおよそ1:1になるように蒸着速度を調節した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
【0400】
その後、Liqが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着した。次いで、アルミニウム入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚100nmになるように0.01〜2nm/秒の蒸着速度でアルミニウムを蒸着することにより陰極を形成し、有機EL素子を得た。
【0401】
ITO電極を陽極、Liq/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.7V、外部量子効率は7.4%(波長約456nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m)以上の輝度を保持する時間は243時間であった。
【0402】
[実施例12]
電子輸送層の化合物(1−1−765)を化合物(1−2−125)に替えた以外は実施例11に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、Liq/アルミニウム電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は4.3V、外部量子効率は6.2%(波長約456nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m)以上の輝度を保持する時間は223時間であった。
【0403】
[実施例13]化合物(1−1−2)を電子輸送層に用いた素子
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HIを入れたモリブデン製蒸着用ボート、HI2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、HTを入れたモリブデン製蒸着用ボート、BH2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、BD2を入れたモリブデン製蒸着用ボート、本発明の化合物(1−1−2)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、Liqを入れたモリブデン製蒸着用ボート、マグネシウムを入れたモリブデン製蒸着用ボートおよび銀を入れたモリブデン製蒸着用ボートを装着した。
【0404】
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10−4Paまで減圧し、まず、HIが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して1層目の正孔注入層を形成し、さらにHI2が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚5nmになるように蒸着して2層目の正孔注入層を形成し、次いで、HTが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚25nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、BH2が入った蒸着用ボートとBD2の入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して発光層を形成した。BH2とBD2の重量比がおよそ95対5になるように蒸着速度を調節した。次に、化合物(1−1−2)の入った蒸着用ボートとLiqの入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して電子輸送層を形成した。化合物(1−1−2)とLiqの重量比がおよそ1:1になるように蒸着速度を調節した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
【0405】
その後、Liqが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着した。次いで、マグネシウムの入ったボートと銀の入ったボートを同時に加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成した。この時、マグネシウムと銀の原子数比が10対1となるように蒸着速度を調節し、蒸着速度が0.01〜2nm/秒になるようにして有機EL素子を得た。
【0406】
ITO電極を陽極、Liq/マグネシウム+銀電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.9V、外部量子効率は6.2%(波長約458nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m)以上の輝度を保持する時間は150時間であった。
【0407】
[実施例14]
電子輸送層の化合物(1−1−2)を化合物(1−1−765)に替えた以外は実施例13に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、Liq/マグネシウム+銀電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.5V、外部量子効率は6.7%(波長約457nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m)以上の輝度を保持する時間は210時間であった。
【0408】
[実施例15]
電子輸送層の化合物(1−1−2)を化合物(1−1−973)に替えた以外は実施例13に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、Liq/マグネシウム+銀電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.8V、外部量子効率は6.7%(波長約455nmの青色発光)であった。また、初期輝度2000cd/mを得るための電流密度により、定電流駆動試験を実施した結果、初期値の80%(1600cd/m)以上の輝度を保持する時間は170時間であった。
【0409】
以上の結果を表8にまとめた。
【表8】
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【産業上の利用可能性】
【0410】
本発明の好ましい態様によれば、発光効率および素子寿命が優れた有機電界発光素子、それを備えた表示装置およびそれを備えた照明装置などを提供することができる。