(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2光反射部材を形成する工程の後に、前記第2光反射部材の一部を除去し、前記発光素子の電極を露出させる工程を含む請求項7または請求項8に記載の発光装置の製造方法。
前記第2光反射部材を形成する工程の後に、前記第2光反射部材の一部を除去し、前記発光素子の電極をそれぞれ露出させる工程を含む請求項10または請求項11に記載の発光装置の製造方法。
前記発光素子は電極を有し、該電極は前記第2光反射部材から露出されており、前記電極の前記第2光反射部材から露出された表面は、前記第2光反射部材の下面より鏡面反射率が高い請求項13〜17のいずれか1項に記載の発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。尚、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、および、それらの用語を含む別の用語)を用いる。それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一の部分又は部材を示す。
【0009】
実施形態1.
次に
図1A〜
図6Cを参照しながら、実施形態1に係る発光装置の製造方法について説明する。
【0010】
実施形態1の発光装置の製造方法は、
(1)複数の貫通孔を有する第1光反射部材と、貫通孔内に第1光反射部材と実質的に同じ厚さになるように設けられた透光性樹脂と、貫通孔の一方の開口側に偏在するように透光性樹脂に含有された波長変換物質と、を有する被覆部材の製造工程と、
(2)貫通孔に設けられた透光性樹脂上にそれぞれ発光素子を固定する工程と、
(3)透光性樹脂上に設けられた発光素子間に第2光反射部材を形成する工程と、
(4)発光素子間において、第1光反射部材及び第2光反射部材を切断することにより個々の発光装置に分割する工程と、を含む。
以上のように構成された実施の形態の発光装置の製造方法によれば、波長変換物質が貫通孔の一方の開口側に偏在するように含有された透光性樹脂を含む被覆部材を用いて、発光装置を製造していることから、薄型の発光装置を製造することができる。
以下、本実施の形態の発光装置の製造方法について具体的説明する。
【0011】
<被覆部材の作製>
図1A〜
図3Cを参照しながら、実施の形態に係る被覆部材70の製造工程について説明する。尚、この製造工程で作製される被覆部材70は、第1光反射部材10と、波長変換物質20を含有する透光性樹脂30と、を備えている。
【0012】
工程1−1.貫通孔を有する第1光反射部材の準備
貫通孔106を有する第1光反射部材10を準備する。貫通孔106は第1光反射部材10の第1の面101と、第1の面の裏面である第2の面102とを貫通する(
図1A、
図1B)。尚、貫通孔106は第1光反射部材10に1つだけ形成してもよいし、複数形成してもよい。
第1光反射部材10に、貫通孔106を形成する際は、当該分野で公知の方法のいずれを利用してもよい。例えば、レーザー光の照射又は描写、パンチング、エッチング、ブラスト等が挙げられる。貫通孔106の側壁には、凸部が形成されていることが好ましく、この凸部により、後述するように、透光性樹脂30と第1光反射部材10との接着力を高めることができる。また、第1光反射部材10として、樹脂又は金属を用いた場合、パンチングで貫通孔106を形成することで、貫通孔106の側壁に凸部103を容易に形成することができる。すなわち、パンチングの際、
図2Aに示すように、第1光反射部材10は、押さえ91と、下金型92と、で上下を挟むことにより保持されている。そのように保持した状態で、上金型90を下方向に打ち込むことにより、第1光反射部材10に貫通孔106を形成する。この時、上金型90と下金型92との隙間dの距離を制御することで、所定の位置に凸部103を形成することができる。上金型90と下金型92の隙間dとは、
図2Aにおいてx方向(水平方向)における上金型90と下金型92との距離を示す。例えば、上方向から下方向に貫通孔106を形成する時に隙間dを調整することで下方向に突出した(傾いた)突出部である凸部103を形成することができる(
図2B、
図2C)。言い換えると、凸部103が下側に傾斜してもよい。これは第1光反射部材10に上金型90から加えられる力と、下金型92から加えられる力とが上金型90と下金型92の隙間dだけ離れているためである。また、隙間dの距離を調整することで複数の凸部103を側壁内に有する貫通孔を形成することもできる。上金型90と下金型92の隙間dの距離は特に限定されるものではないが、傾いた凸部を形成するためには1〜30μmが好ましく、複数の凸部を形成するためには0〜30μm(0を含まない)であることが好ましい。また、第1光反射部材10の厚みに対しての上金型90と下金型92の隙間dの距離は、傾いた凸部を形成するためには1〜30%であることが好ましく、複数の凸部を形成するためには0〜30%(0を含まない)であることが好ましい。
【0013】
尚、貫通孔106を有する第1光反射部材10を、金型を使った圧縮成形やトランスファー成形、射出成形で形成してもよい。このように形成することで、貫通孔106を有する第1光反射部材10の形状のばらつきを防ぐことができる。
【0014】
貫通孔106を有する第1光反射部材10を準備した後、耐熱性シート等からなる支持部材80上に、貫通孔106を有する第1光反射部材10を載置する。
【0015】
工程1−2.波長変換物質20を含む透光性樹脂30の配置
次に、各貫通孔106内に、波長変換物質20を含有する透光性樹脂30を配置する(
図3A)。波長変換物質20を含有する透光性樹脂30を配置する際は、当該分野で公知の方法のいずれを利用してもよい。印刷、ポッティング等が挙げられる。尚、透光性樹脂30は、波長変換物質20が透光性樹脂30中で移動できる状態であればよい。つまり、透光性樹脂30は硬化前の液状の状態でもよいし、半硬化の状態でもよい。ただし、透光性樹脂30が液状の状態の方が、波長変換物質20が移動しやすいので好ましい。また、透光性樹脂30に光拡散材を含有させてもよい。
【0016】
工程1−3.波長変換物質20を偏在させる
自然沈降または強制沈降により、透光性樹脂30中の波長変換物質20を、第1の面101側に偏在させる(
図3B)。強制沈降には、例えば回転によって生じる遠心力により、波長変換物質20を沈降させる遠心沈降がある。波長変換物質20を沈降させた後、透光性樹脂30を加熱等により硬化させる。これにより、第1の面101側に波長変換物質20が偏在した透光性樹脂30が得られる。尚、透光性樹脂30に光拡散材を含有させた場合は、光拡散材が波長変換物質20と同様に偏在されてもよいが、透光性樹脂30中に偏在することなく分散して配置されることが好ましい。
【0017】
工程1−4.第1光反射部材及び透光性樹脂の除去
図3BのCt−Ct線(破線)より上側を除去する。つまり、「第2の面側の第1光反射部材10」と「波長変換物質20を偏在させた側とは反対側の透光性樹脂30」とを、除去する(
図3C)。第1光反射部材10と、透光性樹脂30と、を除去する際は、当該分野で公知の方法を利用することができる。例えば、エッチング、切削、研削、研磨、ブラスト等が挙げられる。これにより、波長変換物質20の含有量を実質的に変化させることなく透光性樹脂30を薄くすることができる。つまり、薄型化された被覆部材70を得ることができる。また、エッチング、切削、研削、研磨、ブラスト等により第1光反射部材及び透光性樹脂を除去する際に、「第2の面側の第1光反射部材10」と「波長変換物質20を偏在させた側とは反対側の透光性樹脂30」とを粗面にしてもよい。粗面にすることでタック性(粘着性)が下がり、例えば、実装時に取扱いやすくなる。
ここで、本明細書において、透光性樹脂30等の除去の前後を問わず、第1光反射部材10において波長変換物質20が偏在されている側の面を第1の面といい、その反対側の面を第2の面という。
以上の工程を経て、支持部材80に保持された被覆部材70を得ることができる。
【0018】
<発光装置の作製>
工程A−1.発光素子40の固定
上述の方法で製造した被覆部材70の透光性樹脂30上に発光素子を固定する(
図4A)。例えば、透光性樹脂30と、発光素子40の光取り出し面401とを、接合部材60を介して接着させる(
図4C)。接合部材60を用いることで透光性樹脂30が接着性を有していなくても発光素子40と接着することができる。また、接合部材60は発光素子40の側面まで形成されることで発光素子40と透光性樹脂30の接着力が向上するので好ましい。尚、透光性樹脂30の波長変換物質20が偏在された側の面と、発光素子40の光取り出し面401と、が接着されてもよいし、透光性樹脂30の波長変換物質20が偏在された側の面とは反対側の面と、発光素子の光取り出し面401と、が接着されてもよい。
【0019】
工程A−2.第2光反射部材の形成
発光素子40の側面の一部と、第1光反射部材10とを覆う第2光反射部材50を形成する(
図4B)。第2光反射部材50は、発光素子40の周りで第1光反射部材10に接合される。尚、接合部材60を用いて発光素子40と透光性樹脂30を接着させた場合は、第2光反射部材50は接合部材60も覆ってもよい(
図4C)。さらに、発光素子40の電極形成面402のうち、電極43、44で覆われていない部分も、第2光反射部材50で覆ってもよい。このとき、電極43、44の一部が第2光反射部材50から露出するように、第2光反射部材50の厚さ(z方向の寸法)を調節してもよい。つまり、第1光反射部材10の第1の面101を基準としたときに、第2光反射部材50の第1光反射部材10と対面する面と反対側の面52までの高さが、電極43、44の露出面431、441の高さ以下にしてもよい。
【0020】
また、電極43、44を埋設する厚みの第2光反射部材50を形成してもよい(
図4D)。その後、
図4DのCt−Ct線(破線)より上側を除去する。つまり、第2光反射部材50を除去し、電極43、44を露出させるようにしてもよい。第2光反射部材50を除去する際は、当該分野で公知の方法のいずれを利用してもよい。例えば、エッチング、切削、研削、研磨、ブラスト等が挙げられる。第2光反射部材50をエッチング、切削、研削、研磨、ブラスト等により除去することで第2光反射部材50の第1光反射部材10と対面する面と反対側の面52を平らな状態にできるので好ましい。
【0021】
工程A−3.発光装置の個片化
発光素子間において、第1光反射部材及び第2光反射部材を切断することにより個々の発光装置に分割する。具体的には、隣接する発光素子40の中間を通る破線X
1、破線X
2、破線X
3および破線X
4(
図5A、
図5B)に沿って、第1光反射部材10と、第2光反射部材50と、支持部材80とを、例えば、ダイサー等で切断し個片化する。最後に、支持部材80を除去(剥離)することにより、発光装置を得る(
図6A、
図6B)。また、第1光反射部材10と、第2光反射部材50と、支持部材80と、を切断する時に支持部材80は完全に切断しない方が好ましい。つまり、
図6(c)に示すように、切断部108により第1光反射部材10と、第2光反射部材50と、は切り離され、支持部材80は切り離されていないことが好ましい。このようにすることで支持部材80が複数に分割されないので、支持部材80を一度に除去(剥離)することができる。尚、切断前に支持部材80を除去し、その後に、第1光反射部材10と、第2光反射部材50と、を切断してもよい。これにより、発光素子40を1つ含む発光装置を、同時に複数製造することができる。また、複数の発光素子40を含む位置で切断してもよい。
【0022】
以上の実施形態1では、工程1−4を経て、第1光反射部材及び/又は透光性樹脂30を除去して薄型化された被覆部材70を用いて、工程A−1〜A−3を実施するようにしている。
しかしながら、実施形態1の発光装置の製造方法では、工程1−3に続いて、工程A−1〜A−2を実施した後に、第1光反射部材及び/又は透光性樹脂30を除去して被覆部材70を薄くしてもよい。さらに、実施形態1の発光装置の製造方法では、工程1−3に続いて、工程A−1〜A−3を実施した後に、各発光装置においてそれぞれ第1光反射部材及び/又は透光性樹脂30を除去して被覆部材70を薄くしてもよい。
【0023】
実施形態2.
以下、実施形態2に係る発光装置の製造方法について説明する。
実施形態2の発光装置の製造方法は、実施形態1の被覆部材の作製方法とは異なる方法で被覆部材を作製する以外は、実施形態1の発光装置の製造方法と同様である。
以下、実施形態に係る被覆部材の作製方法について説明する。
【0024】
<被覆部材の作製>
工程2−1.第1光反射部材の準備
耐熱性シート等からなる支持部材80上に、凹部107を有する第1光反射部材10を形成する。第1光反射部材10の支持部材80に対向する面を第1の面101とし、第1の面の反対側の面を第2の面102としたとき、凹部107は第2の面102側に開口して形成される(
図7A)。
【0025】
工程2−2.波長変換物質20を含有する透光性樹脂30の配置
次に、各凹部107内に、波長変換物質20を含有する透光性樹脂30を配置する(
図7A)。波長変換物質20を含有する透光性樹脂30を配置する際は、当該分野で公知の方法のいずれを利用してもよい。例えば、印刷、ポッティング等が挙げられる。尚、透光性樹脂30は波長変換物質20が透光性樹脂30中で移動できる状態であればよい。つまり、透光性樹脂30は硬化前の液状の状態でもよいし、半硬化の状態でもよい。ただし、透光性樹脂30が液状の状態の方が、波長変換物質20が移動しやすいので好ましい。
【0026】
工程2−3.波長変換物質20を偏在させる
自然沈降または強制沈降により、透光性樹脂30中の波長変換物質20を、第1の面101側(凹部の底面側)に偏在させる(
図7C)。その後、透光性樹脂30を加熱等により硬化させる。これにより、第1の面101側に波長変換物質20が偏在された透光性樹脂が得られる。
【0027】
工程2−4.第1光反射部材及び透光性樹脂の除去
図7CのCt1−Ct1線(破線)より上側を除去する。つまり「第2の面側の第1光反射部材」と「波長変換物質20を偏在させた側とは反対側の透光性樹脂30」とを、除去する。第1光反射部材10と、透光性樹脂30と、を除去する際は、当該分野で公知の方法のいずれを利用してもよい。エッチング、切削、研削、研磨、ブラスト等が挙げられる。これにより、波長変換物質20を偏在させた側の透光性樹脂30を有しながら、薄くすることができる。また、エッチング、切削、研削、研磨、ブラスト等により第1光反射部材及び透光性樹脂を除去する際に、「第2の面側の第1光反射部材10」と「波長変換物質20を偏在させた側とは反対側の透光性樹脂30」とを粗面にしてもよい。粗面にすることでタック性が下がり取扱いやすくなる。
【0028】
工程2−5.第1光反射部材の除去
第1光反射部材10の第1の面から支持部材80を剥離して、第1光反射部材10の第2の面(第1の面の反対側の面)に支持部材80を貼り付ける(
図7D)。この時、第1光反射部材10の第2の面に、別の支持部材80を貼り付けた後に第1の面から支持部材80を剥離するようにしてもよい。次に、
図7DのCt2−Ct2線(破線)より上側にある「第1の面側の第1光反射部材」を、除去する(
図7E)。第1光反射部材10を除去する際は、当該分野で公知の方法のいずれを利用してもよい。エッチング、切削、研削、研磨、ブラスト等が挙げられる。これにより第1の面101側からも波長変換物質20を含有する透光性樹脂30が露出するようにする。つまり、薄型化された被覆部材70を得ることができる。尚、工程2−4と工程2−5の除去工程はどちらを先に実施してもよい。
【0029】
実施形態3.
実施形態3の発光装置の製造方法は、以下の点で実施形態1の製造方法とは異なっている。
(1)実施形態1では、工程1−3において、透光性樹脂30を硬化させているのに対して、実施形態3の発光装置の製造方法では、工程1−3において透光性樹脂30を半硬化状態とし、発光素子40を固定する段階まで、透光性樹脂30が接着性を保持するようにしている。
(2)実施形態1では、工程A−1において、発光素子40と透光性樹脂30を接着部材により接着しているのに対して、実施形態3の発光装置の製造方法では、工程A−1において、発光素子40と透光性樹脂30とを半硬化状態の透光性樹脂30による接着性を利用して固定している。
実施形態3の発光装置の製造方法は、上記(1)(2)を除いて実施形態1の製造方法と同様に構成される。
【0030】
尚、実施形態3の発光装置の製造方法では、実施形態1の製造方法において、発光素子40と透光性樹脂30とを半硬化状態の透光性樹脂30における接着性を利用して固定した。
しかしながら、実施形態2の製造方法において、発光素子40と透光性樹脂30とを半硬化状態の透光性樹脂30における接着性を利用して固定するようにしてもよい。
【0031】
また、以上の実施形態3の発光装置の製造方法では、工程1−3に続いて、工程A−1〜A−2を実施した後に、第1光反射部材及び/又は透光性樹脂30を除去して被覆部材70を薄くすることが好ましい。
【0032】
以上の実施形態1〜3の発光装置の製造方法によれば、被覆部材70を研削、研磨等により薄くできるので、薄型の発光装置を容易に製造することができる。
【0033】
また、以上の実施形態1〜3の発光装置の製造方法では、波長変換物質20を透光性樹脂30の一方の面側に偏在させた後、透光性樹脂30における波長変換物質20が偏在していない領域を除去して被覆部材70を薄型化している。これにより、波長変換物質20の含有量のバラツキが小さい薄型の被覆部材70を形成することができ、発光装置の色調バラツキを小さくできる。
すなわち、波長変換物質20を偏在させ、波長変換物質20が偏在していない領域を除去することなく、波長変換物質を含む薄型の被覆部材を作製しようとすると、薄い第1光反射部材の貫通孔又は開口部に少ない量の透光性樹脂を塗布して製造することになる。
しかしながら、樹脂の塗布は塗布量が少ないと、塗布量のバラツキが大きくなる傾向があり、その結果、透光性樹脂に含有させた波長変換物質の含有量もバラツキが大きくなる。波長変換物質20を透光性樹脂30の一方の面側に偏在させた後、透光性樹脂30における波長変換物質20が偏在していない領域を除去して被覆部材70を薄型にすると、第1光反射部材の貫通孔又は開口部への透光性樹脂の塗布量を比較的多くできる結果、波長変換物質20の含有量のバラツキが小さい薄型の被覆部材70を形成することが可能になる。
【0034】
また、以上の実施形態1〜3の発光装置の製造方法では、波長変換物質20を透光性樹脂30の一方の面側に偏在させた後、透光性樹脂30における波長変換物質20が偏在していない領域を除去して被覆部材70を薄型化している。これにより、加工精度の良い薄型の被覆部材70を形成することができる。
すなわち、貫通孔又は開口部を有する薄い第1光反射部材を用いて、その貫通孔又は開口部に透光性樹脂30を充填して薄い被覆部材を作製しようとすると、製造過程において、例えば、貫通孔又は開口部に透光性樹脂30が充填されていない状態の薄い第1光反射部材の変形、貫通孔又は開口部に透光性樹脂30を充填して硬化させる際の薄い第1光反射部材の変形などにより、高い加工精度で被覆部材を作製することが難しい。
しかしながら、以上の実施形態1〜3の発光装置の製造方法では、製造過程での取り扱いが容易な比較的厚い第1光反射部材を用いて、貫通孔又は開口部に透光性樹脂30を充填及び硬化した後の強度の高い被覆部材を研磨又は研削等により薄くしているので、加工精度よく薄い被覆部材を作製して発光装置を製造することができる。
したがって、実施形態1〜3の発光装置の製造方法によれば、加工精度よく発光装置を製造することができる。
【0035】
さらに、以上の実施形態1〜3の発光装置の製造方法では、上述したように、加工精度よく薄い被覆部材を作製して発光装置を製造している。これにより、配光特性のバラツキの少ない発光装置を製造することができる。
すなわち、貫通孔又は開口部を有する薄い第1光反射部材を用いて、その貫通孔又は開口部に透光性樹脂を充填して、研磨又は研削等により薄型化することなく、薄い被覆部材を作製しようとすると、硬化後の透光性樹脂の形状のばらつきが大きくなりやすく、配光特性のバラツキが大きくなることが懸念される。
例えば、第1光反射部材の貫通孔又は開口部に、ポッティング等により透光性樹脂を塗布して硬化すると、いわゆる引けという現象が生じて、表面が凹形状になることがある。このように表面が凹形状になると、発光装置における光の取り出し効率が悪くなる。引けの量のバラツキにより、表面形状(例えば、凹形状における凹み量)がばらつくと、配光特性にバラツキを生じる。
しかしながら、以上の実施形態1〜3の発光装置の製造方法では、透光性樹脂30における波長変換物質20が偏在していない領域を除去して被覆部材70を薄型化しているので、引けにより形成された表面の凹形状部分を除去して平坦にでき、かつ表面形状のバラツキを小さくできる。
したがって、光の取り出し効率が高くかつ配光特性にバラツキの小さい発光装置を製造することが可能になる。
【0036】
<実施の形態4>
実施の形態4に係る発光装置1000は、実施の形態1〜3の発光装置の製造方法により作製された発光装置の一例である。実施の形態4に係る発光装置1000は、貫通孔を有する第1光反射部材10と、第1光反射部材10の貫通孔内に配置された波長変換物質20を含有する透光性樹脂30とを有する被覆部材と、透光性樹脂30と対向して配置された発光素子40と、発光素子40の側面を覆い、発光素子40の周りの第1光反射部材に対向して設けられた第2光反射部材50と、を有する。そして、透光性樹脂30中において波長変換物質20が発光素子40に対向する面側に偏在されている。すなわち、透光性樹脂30の波長変換物質20が偏在された側の面と、発光素子40の光取り出し面401が対向している。発光素子40の光取り出し面401は、発光素子40を基体に実装する場合に、発光素子40において基体と対面する面と反対側の面を示す。言い換えると、発光素子40をフェイスダウン実装する場合は、発光素子40の電極を有する面の反対側の面を示す。また、発光素子40をフェイスアップ実装する場合は、発光素子40の電極を有する面を示す。また、電極を有する面を電極形成面とする。
【0037】
図8Bは、
図8AのA−A線に沿った断面図である。
図8Bに示すように、発光素子40は、透光性基板41と、透光性基板41の下面側に形成された半導体積層体42とを含む。発光素子40は、透光性基板41側の光取り出し面401(上面)と、光取り出し面の反対側の面である電極形成面402(下面)とを有し、電極形成面402(下面)に一対の電極43、44と、を有する。一対の電極を構成する2つの電極43、44の各々は、任意の形状にすることができる。尚、本明細書において、発光素子40の「電極形成面」は、電極43、44を含まない状態における発光素子40の面を指している。本実施の形態では、電極形成面402は、半導体積層体42の下面と一致する。
【0038】
また、第1光反射部材10に形成された貫通孔の形状は円、楕円、半円、半楕円等のような曲線を含む形状や、三角形、四角形等の多角形、T及びL等の変則的な形等の任意の形状でよい。また、貫通孔内に配置される透光性樹脂30の大きさは、発光素子40からの光取出し効率を高める場合は、発光素子40の外縁よりも大きい方が好ましい。発光素子40の外縁よりも透光性樹脂30が大きいことで第1光反射部材10に反射され発光素子40に戻る光を少なくできるためである。また、発光装置の見切り性を高めたい場合は、発光素子40の外縁よりも透光性樹脂30が小さい方が好ましい。発光素子40の外縁よりも透光性樹脂30が小さいことで光が取り出される面積が小さくなるためである。
【0039】
第2光反射部材50は発光素子40の側面と、第1光反射部材10と、を覆っている。また、第2光反射部材50は、電極43、44の一部が露出するように、発光素子40の電極形成面402を覆っていてもよい。
【0040】
発光装置1000では、透光性樹脂30中において波長変換物質20が第1の面101側に偏在されている。このため、第1光反射部材10及び透光性樹脂30の波長変換物質20が偏在されていない側(第2の面102側)を除去しても、透光性樹脂30中に含まれる波長変換物質20の含有量の減少が抑制できる。つまり、透光性樹脂30中に含まれる波長変換物質20の量を大きく変えることなく、発光装置が薄型化されている。また、仮に、透光性樹脂30の厚さが多少ばらついても、透光性樹脂30中に含まれる波長変換物質20の量が大きく変わることはない。また、波長変換物質20が偏在されていない側(第2の面102側)の透光性樹脂30の表面(上面)と第1光反射部材10の上面である第2の面102は、実質的に同一平面上に位置し(面一)、両者の面において段差がなく平坦であることが好ましい。このようにすることで、更に発光装置を薄型化することができる。尚、ここでの面一及び段差がないとは、いずれか一方が他方から突出する形態に積極的に加工されていないことを意味し、50μm程度、好ましくは30μm程度の凹凸があっても面一又は段差がないという。
【0041】
発光装置1000において、透光性樹脂30の波長変換物質20が偏在された側の面と、発光素子40の光取り出し面401と、は対向(対面)している。つまり、発光装置1000の上面の一部を構成する、透光性樹脂30の外気に曝される表面は、透光性樹脂30の波長変換物質20が偏在されていない側の面である。したがって、透光性樹脂30の外気に曝される表面の近くには、実質的に波長変換物質20が存在していない。これにより、例えば波長変換物質20として水分に弱いものを使用しても、透光性樹脂30が保護層としての機能を果たすので、波長変換物質20が劣化されることを抑制し、良好な色度を保つことができる。例えば、水分に弱い波長変換物質20としてはフッ化物系蛍光体、硫化物系蛍光体、塩化物系蛍光体、ケイ酸塩系蛍光体、リン酸塩系蛍光体等がある。特にフッ化物系蛍光体であるK
2SiF
6:Mnは、赤色蛍光体として好適な蛍光体であるが、水分に弱いために適用範囲が限られていた。しかしながら、実施形態4の発光装置がフッ化物系蛍光体であるK
2SiF
6:Mnを含んでいても使用による色度の変化を抑制できる。また、発光素子40から出射された光は波長変換物質20に当たると屈折し散乱する。発光装置1000の上面は透光性樹脂30の波長変換物質20が偏在されていない面で形成されているので、透光性樹脂30中に波長変換物質20が分散されて配置されている発光装置と比較して、主に散乱が発生する箇所が発光装置の下側になる。このため、発光装置の上面が透光性樹脂30の波長変換物質20が偏在されていない面で形成されていると見切り性が良くなる。
【0042】
<実施の形態5>
実施の形態5に係る発光装置2000は、
図9に示すように、実施の形態4に係る発光装置1000と比較して、透光性樹脂30の波長変換物質20が偏在された側の面とは反対側の面と、発光素子40の光取り出し面401と、が対向して配置される点で相違する。その他の点については、実施の形態1と同様である。
【0043】
また、波長変換物質20が偏在されていない側(第2の面102側)を形成する第1光反射部材10及び透光性樹脂30が面一、つまり、両者の面において段差がなく平坦であることが好ましい。このようにすることで、更に発光装置を薄型化することができる。尚、ここでの面一及び段差がないとは実施の形態1同様に、いずれか一方が他方から突出する形態に積極的に加工されていないことを意味し、50μm程度、好ましくは30μm程度の凹凸は含んでいても良い。
【0044】
実施の形態5では、波長変換物質20が偏在された側と、発光素子40と、の間に波長変換物質20が偏在されていない透光性樹脂30が配置されている。こうすることにより、発光素子40と波長変換物質20との距離を、透光性樹脂30中において波長変換物質20が分散されて配置される場合よりも、離すことができる。これにより、例えば熱に弱い波長変換物質20や、温度による励起効率の変化が大きい波長変換物質20を使用しても発光素子40から発生する熱が波長変換物質20に伝わることを抑制することができるので、良好な色度を保つことができる。熱に弱い波長変換物質20または温度による励起効率の変化が大きい波長変換物質20としては量子ドット蛍光体、クロロシリケート蛍光体、βサイアロン蛍光体等が挙げられる。
【0045】
<実施の形態6>
図10に示す実施の形態6に係る発光装置3000は、実施の形態4に係る発光装置1000と比較して、発光装置3000の上面が発光装置3000の下面よりも粗面とされている点で相違する。言い換えると、発光装置3000の下面が発光装置3000の上面よりも平坦とされている。その他の点については、実施の形態4と同様である。
【0046】
発光装置3000の上面は、第1光反射部材10の第2の面と、透光性樹脂30の波長変換物質が偏在された側の面とは反対側の面と、を含む。発光装置3000の下面は、第2光反射部材50の第1光反射部材10と対面する面とは反対側の面52と、第2光反射部材から露出された発光素子の電極の一面である露出面431、441と、を含む。発光装置3000の上面を構成する第1光反射部材10の第2の面102は、露出面431、441よりも粗面化されることが好ましい。または、発光装置3000の上面を形成する透光性樹脂30の波長変換物質が偏在された側の面とは反対側の面は、露出面431、441より粗面化されることが好ましい。
【0047】
発光装置3000の上面が粗面化されることによりタック性が下がり、例えば、発光装置3000を実装する際に、取扱いやすくなる。尚、発光装置3000の下面を形成する、第2光反射部材から露出された発光素子の電極の一面である露出面431、441は平坦であることが好ましい。また、露出面431、441は、第2光反射部材の下面(露出面431、441の周りの面)より、鏡面反射率が高いことが好ましい。これにより、第2光反射部材50とのコントラスト差が高くなる。露出面431、441と露出面431、441の周りの面のコントラスト差が大きくなるので、電極43、44を認識しやすくなる。尚、第2の面102と、透光性樹脂30の波長変換物質が偏在された側の面とは反対側の面と、の算術平均粗さRaは特に限定されないが、取扱いやすくするためには、第2の面の算術平均粗さRaが0.05〜10μmであることが好ましく、0.07〜5μmであることがより好ましい。透光性樹脂30において波長変換物質20を偏在させた側とは反対側の面の算術平均粗さRaは、特に限定されないが、取扱いやすくするためには、0.05〜10μmであることが好ましく、0.07〜5μmであることがより好ましい。また、露出面431、441の算術平均粗さRaは特に限定されないが、認識しやすくするためには算術平均粗さRaが0.1μm以下であることが好ましく、0.05μm以下であることがより好ましく、0.025μm以下であることが更に好ましい。
【0048】
Raは、JIS0601−1976表面粗さの測定方法に準拠して、測定することができる。具体的には、Raは、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸とし、粗さ曲線をy=f(x)としたとき次式で表される。
【0050】
Raの値は、マイクロメートルで表したものである。このRaは、接触式表面粗さ測定機やレーザー顕微鏡を用いて測定することができる。尚、本明細書においては算術平均粗さ:Raの値は東京精密製のSURFCOM480A-12を用いて測定した値である。
【0051】
また、発光装置2000においても上面である第1光反射部材10の第1の面101と、透光性樹脂30の波長変換物質20が偏在された側の面と、が発光装置2000の下面を形成する露出面431、441よりも粗面とされている方が好ましい。このようにすることで、発光装置3000と同様に取扱いやすくなる。
【0052】
<実施の形態7>
図11に示す実施の形態7に係る発光装置4000は、実施の形態4に係る発光装置1000と比較して、発光素子40と透光性樹脂30とが接合部材60を介して接合される点で相違する。その他の点については、実施の形態4と同様である。
【0053】
発光素子40と透光性樹脂30の間に透光性の接合部材60を配置することにより発光素子40と、透光性樹脂30と、を容易に接合させることができるので好ましい。また、接合部材60を介することで、接合部材60と、透光性樹脂30と、の界面で屈折又は反射が生じる。これにより色ムラや輝度ムラが抑制できる。接合部材60の屈折率を、透光性樹脂30の屈折率より、発光素子40の光取り出し面401の屈折率に近い値で形成することで、発光素子40からの光の取り出し効率を高めることができるので好ましい。
【0054】
また、接合部材60が発光素子40の側面まで形成されると、発光素子40の側面から出射される光が接合部材60を通って発光装置4000から取り出すことができるので光取出し効率を高めることができる。
【0055】
透光性樹脂30が発光素子40の外縁よりも大きい場合は、接合部材60が、発光素子40の光取り出し面401の面積よりも大きい面積で、透光性樹脂30と接合されることが好ましい。これにより、発光素子40から出射された光が、光取り出し面401よりも大きい面積である接合部材60と透光性樹脂30とが接合される面積で、導入されるので、色ムラや輝度ムラを抑制できる。また、接合部材60が、透光性樹脂30の発光素子40と対面する面全てを覆うことがより好ましい。このようにすることで、透光性樹脂30の発光素子40と対面する面の全てで、発光素子40から出射された光を導入できるので更に色ムラや輝度ムラが抑制できる。
【0056】
尚、実施の形態5に係る発光装置2000のように透光性樹脂30の波長変換物質20が偏在された側の面とは反対側の面と、発光素子40の光取り出し面401と、が対面して配置されていても上述の効果が得られる。
【0057】
<実施の形態8>
図12、
図13A、13B、13Cに示す実施の形態8に係る発光装置5000は、実施の形態4に係る発光装置1000と比較して、第1光反射部材10の貫通孔の側壁に凸部103を有する点で相違する。その他の点については、実施の形態4と同様である。
【0058】
貫通孔の側壁に凸部103を有することで、発光素子40から出射された光が凸部103より反射され、波長変換物質20により多くの光が当たるので色ムラが改善されるため好ましい。また、凸部103の位置は特に限定されるものではないが、
図12に示す発光装置5000のように発光装置の上面が第1光反射部材10の第2の面102で形成されている場合は、凸部103が第1光反射部材10の第1の面101よりも第2の面102に近い位置に形成されていることが好ましい。このようにすることで、凸部103より反射された光が波長変換物質20に、より当たりやすいので色ムラが改善される。また、凸部103は、発光素子の光取り出し面より発光装置の上面に近い位置に形成される方が好ましい。こうすることにより、発光装置の見切り性が良くなる。凸部103により見切り性を高くした方が、貫通孔を小さくした場合より透光性樹脂30の量を多くできるので色ムラを抑制することができる。尚、本明細書では、凸部103の位置とは凸部103の先端の位置とする。
【0059】
貫通孔の側壁に凸部103を有することで第1光反射部材10と波長変換物質20を含有する透光性樹脂30と接着面積が大きくなり、接着力も高くなるので好ましい。また、
図13Aに示すように凸部103が第1の面101側に傾いて突き出ていてもよい。言い換えると、凸部103が第1の面101側に傾斜していてもよい。凸部103が傾いていることにより接着面積が大きくなり、接着力を高くできる。また、
図13Bに示すように凸部103が第2の面102側に傾いて突き出ていてもよい。言い換えると、凸部103が第2の面102側に傾斜していてもよい。このようにすることでも、第1光反射部材10と透光性樹脂30との接着面積が大きくなり、接着力を高くできる。更に、発光素子40から出射された光が凸部103により反射されることで発光装置の上面に向かいやすくなるので、光の取り出しが良くなる。また、
図13Cに示すように、発光素子40と透光性樹脂30とが接合部材60を介して接合されてもよい。このようにすることで、接合部材60と、透光性樹脂30と、の界面で屈折又は反射が生じ、凸部103によっても反射が生じるので、更に色ムラが改善される。
【0060】
<実施の形態9>
図14に示す実施の形態に係る発光装置6000は、実施の形態4に係る発光装置1000と比較して、透光性樹脂30に光拡散材が含有されている点で相違する。
図14Aは透光性樹脂30に第1光拡散材31が含有されており、
図14Bは透光性樹脂30に第1光拡散材31及び第2光拡散材32が含有されている。その他の点については、実施の形態4と同様である。
【0061】
図14Aに示すように透光性樹脂30に第1光拡散材31を含有することで、透光性樹脂30の屈折率を調整できるので好ましい。また、25℃(常温)における第1光拡散材の屈折率が、25℃(常温)における透光性樹脂の屈折率より高い方が好ましい。これにより、透光性樹脂30と第1光拡散材31との屈折率の差が常温(25℃)時より高温(100℃)時の方が大きくなる。これは、駆動等により温度が上昇すると、熱膨張により透光性樹脂30の屈折率が低下するためである。一般的に第1光拡散材31は温度上昇しても透光性樹脂30より屈折率は低下しない。また、波長変換物質20の波長変換効率は温度が上昇すると低下する。高温(100℃)時には透光性樹脂30と第1光拡散材31との屈折率の差が大きくなるので、発光素子40から出射された光が第1光拡散材31により反射される率が高くなり、透光性樹脂30を通過する発光素子40から出射された光の光路長を長くできる。これにより波長変換物質20に当たる光が増えるので、波長変換物質20の蛍光発光効率が低下しても色ムラを抑制することができる。
【0062】
また、第1光拡散材31は透光性樹脂30中に均一に分散されていることが好ましい。第1光拡散材31が分散されていることで、透光性樹脂30中での色ムラを抑制できる。透光性樹脂30中に分散された第1光拡散材31を有し、第1光拡散材31と、発光素子40の光取り出し面401と、の間に波長変換物質20が偏在されていることが好ましい。すなわち、透光性樹脂中において、波長変換物質が偏在している領域を除く領域に第1光拡散材が含まれていることが好ましい。このように配置することで発光素子40から出射された光が第1光拡散材31に反射されて波長変換物質20に当たりやすくなるので、更に透光性樹脂30中での色ムラを抑制できる。このため波長変換物質20は偏在するが、第1光拡散材31は、未硬化又は半硬化の状態の透光性樹脂30中で波長変換物質20に比較して沈降しにくく、均一に分散された状態を維持できる材料を選択することが好ましい。具体的には、波長変換物質20として、平均粒径が5μm〜20μmの範囲にある蛍光体粒子を選択する場合、第1光拡散材31として、例えば、平均粒径が0.1μm〜3μmの範囲にある粉体材料、好ましくは、平均粒径が0.2μm〜1μmの範囲にある粉体材料を用いることができる。更に、第1光拡散材31を含有させることで透光性樹脂30の粘度を調整することができる。これにより、透光性樹脂30の成形が容易になるので好ましい。
【0063】
また、
図14Bに示すように透光性樹脂30に第1光拡散材31及び第2光拡散材32を含有させてもよい。この時、25℃(常温)における第1光拡散材の屈折率が、25℃(常温)における透光性樹脂30の屈折率より高く、100℃(高温)における第2光拡散材の屈折率が、100℃(高温)における透光性樹脂30の屈折率より低い方が好ましい。このようにすることで、高温(100℃)時には常温(25℃)時と比較して、透光性樹脂30と第1光拡散材31との屈折率差は大きくなり、透光性樹脂30と第2光拡散材32との屈折率差は小さくなる。こうすることにより、透光性樹脂30と第1光拡散材31との屈折率差と、透光性樹脂30と第2光拡散材32との屈折率差と、がそれぞれ補完関係となることで更に温度変化による色ムラを抑制することができる。また、第1光拡散材31及び第2光拡散材32は透光性樹脂30中に分散されていることが好ましい。第1光拡散材31及び第2光拡散材32が分散されていることで透光性樹脂30中での色ムラを抑制できる。また、透光性樹脂30に2種類以上の光拡散材を含有させてもよい。
【0064】
尚、本明細書において、特に限定されない限り、屈折率とは発光素子のピーク波長における値とする。また、特に限定されない限り、屈折率の差とは絶対値とする。また、屈折率は例えばアッベ屈折計で測定することができる。部材の大きさ等によりアッベ屈折計で測定できない場合には、部材を特定し、その特定した部材と類似の部材の測定結果より屈折率を求めることができる。
【0065】
<実施の形態10>
図15Aに示す実施の形態10に係る発光装置7000は、実施の形態4に係る発光装置1000と比較して、発光装置7000の上面が発光装置7000の下面よりも粗面とされている点と、発光素子40と透光性樹脂30とが接合部材60を介して接合される点と、第1光反射部材10の貫通孔の側壁に凸部103を有する点と、透光性樹脂30に光拡散材が含有されている点とで相違する。その他の点については、実施の形態4と同様である。
【0066】
発光装置7000の上面を形成する透光性樹脂30の上面が粗面化されている。発光素子40から出射された光が、透光性樹脂30の上面によって反射されやすくなる。これにより透光性樹脂30中での色ムラを抑制できる。また、発光素子40と透光性樹脂30とが、接合部材60を介して接合されている。接合部材60を介することで、接合部材60と、透光性樹脂30と、の界面で発光素子40から出射された光の一部が屈折又は反射するので色ムラを抑制できる。第1光反射部材10の貫通孔の側壁に凸部103を有している。これにより発光素子40から出射された光の一部が、凸部103によって反射されるので色ムラを抑制できる。透光性樹脂30に光拡散材(第1光拡散材31、第2光拡散材32)が含有されている。これにより発光素子40から出射された光の一部が、光拡散材によって屈折又は反射されるので色ムラを抑制できる。このような構成にすることで、透光性樹脂30中での発光素子40から出射された光の光路長を長くすることができるので更に色ムラを抑制することができる。
【0067】
図15Bに示す実施の形態に係る発光装置7000は、
図15Aの変形例であり、透光性樹脂30の波長変換物質20が偏在された側の面とは反対側の面と、発光素子40の光取り出し面401と、が対面して配置される点で相違する。その他の点については、
図15Aと同様である。このような構成でも透光性樹脂30中での発光素子40から出射された光の光路長を長くすることができるので色ムラを抑制することができる。
【0068】
以下に、実施の形態4〜10の発光装置の各構成部材に適した材料等について説明する。
(発光素子40)
発光素子40としては、例えば発光ダイオード等の半導体発光素子を用いることができる。半導体発光素子は、透光性基板41と、その上に形成された半導体積層体42とを含むことができる。
【0069】
(透光性基板41)
発光素子40の透光性基板41には、例えば、サファイア(Al
2O
3)、スピネル(MgA1
2O
4)のような透光性の絶縁性材料や、半導体積層体42からの発光を透過する半導体材料(例えば、窒化物系半導体材料)を用いることができる。
【0070】
(半導体積層体42)
半導体積層体42は、複数の半導体層を含む。半導体積層体42の一例としては、第1導電型半導体層(例えばn型半導体層)、発光層(活性層)および第2導電型半導体層(例えばp型半導体層)の3つの半導体層を含むことができる。半導体層には、例えば、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体等の半導体材料から形成することができる。具体的には、In
XAl
YGa
1−X−YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)等の窒化物系の半導体材料(例えばInN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN等)を用いることができる。
【0071】
(電極43、44)
発光素子40の電極43、44としては、電気良導体を用いることができ、例えばCu等の金属が好適である。
【0072】
(第1光反射部材10)
第1光反射部材とは、発光素子からの光に対する反射率が60%以上、好ましくは70%以上の部材であればよい。こうすることにより、第1光反射部材に達した光が反射され、光が透光性樹脂の外側に向かうことにより、発光装置の光取出し効率を高めることができる。
【0073】
第1光反射部材の材料としては、金属、光反射性物質(例えば、酸化チタン、二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト、酸化ニオブ、硫酸バリウム、各種希土類酸化物(例えば、酸化イットリウム、酸化ガドリニウム))等が挙げられる。また、樹脂、無機材料、ガラス等やその複合体に光反射性物質を含有させたものでもよい。尚、樹脂、無機材料、ガラス等やその複合体に光反射性物質を含有させる量は、特に限定されるものではないが、光反射性物質を第1光反射部材の重量に対して10〜95重量%、好ましくは30〜80重量%、より好ましくは40〜70重量%程度含有させることが好ましい。また、樹脂中に光反射性物質を分散させて第1光反射部材を形成することで、エッチング、切削、研削、研磨、ブラスト等の加工が容易になるので好ましい。
【0074】
第1光反射部材に使用できる樹脂材料としては、特に、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。特に、耐光性、耐熱性に優れるシリコーン樹脂が好適である。
【0075】
第1光反射部材に使用できる無機材料としては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、酸化チタン、窒化チタン、酸化亜鉛又はこれらの混合物等のセラミックス又は低温焼成セラミックス等を含む単層膜又は積層膜が挙げられる。
【0076】
(第2光反射部材50)
第2光反射部材の材料は、第1光反射部材と同様の材料を用いて形成することができる。第2光反射部材の材料は、第1光反射部材の材料と同じでもよいが、特性に応じて変えてもよい。例えば、第1光反射部材と、第2光反射部材と、に含有される光反射性物質の含有量を変えてもよい。第2光反射部材は発光素子の側面を覆うので、第1光反射部材より強度を求められることがある。このため、光反射性物質を含有させた樹脂から第1光反射部材と、第2光反射部材と、を形成する場合には、第2光反射部材に含有する光反射性物質の量を第1光反射部材に含有する光反射性物質の量より減らし強度を高めてもよい。こうすることにより、より反射性を求められる第1光反射部材の反射率を高くすることが出来る。また、第1光反射部材は、その一部が除去される工程を有するため強度が求められることがある。この場合は、第1光反射部材に含有する光反射性物質の量を第2光反射部材に含有する光反射性物質の量より減らしてもよい。このようにすることで第1光反射部材の強度を第2光反射部材の強度より高くすることができる。尚、第1光反射部材は金属又は光反射性物質で形成され、第2光反射部材は光反射性物質を含有させた樹脂で形成されるような異種の材料で形成されてもよい。
【0077】
(透光性樹脂30)
透光性樹脂は発光素子を外部環境から保護するとともに、発光素子から出力される光を光学的に制御するため、発光素子の光取り出し面側に配置させる部材である。透光性樹脂の材料としては、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。特に、耐光性、耐熱性に優れるシリコーン樹脂が好適である。尚、透光性樹脂は、光の透過率が高いことが好ましい。そのため、通常は、透光性樹脂に、光を反射、吸収又は散乱する添加物は添加されないことが好ましい。しかし、望ましい特性を付与するために、透光性樹脂に添加物を添加するのが好ましい場合もある。
【0078】
(波長変換物質20)
波長変換物質としては、例えば発光素子からの発光で励起可能な蛍光体粒子が使用される。例えば、青色発光素子又は紫外線発光素子で励起可能な蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(Ce:YAG)、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(Ce:LAG)、ユウロピウムおよび/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(CaO−Al
2O
3−SiO
2)、ユウロピウムで賦活されたシリケート系蛍光体((Sr,Ba)
2SiO
4)、βサイアロン蛍光体、CASN系蛍光体、SCASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体;KSF系蛍光体等のフッ化物系蛍光体、硫化物系蛍光体、塩化物系蛍光体、ケイ酸塩系蛍光体、リン酸塩系蛍光体、量子ドット蛍光体などが挙げられる。尚、KSF系蛍光体の一般式はA
2[M
1−aMn
4+aF
6]…(I)で表すことができる。(式中、Aは、K
+、Li
+、Na
+、Rb
+、Cs
+及びNH
4+からなる群から選択される少なくとも1種の陽イオンを示し、Mは、第4族元素及び第14族元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を示し、aは0.01<a<0.20を満たす。)また、一般式(I)におけるAがK
+を含み、MがSiを含むフッ化物系蛍光体でもよい。これらの蛍光体と、青色発光素子又は紫外線発光素子と組み合わせることにより、様々な色の発光装置(例えば白色系の発光装置)を製造することができる。
【0079】
(接合部材60)
接合部材は、透光性を有する樹脂から形成することができる。接合部材の材料としては、特に、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性の透光性樹脂であるのが好ましい。接合部材は発光素子の側面と接触しているので、点灯時に発光素子で発生する熱の影響を受けやすい。熱硬化性樹脂は、耐熱性に優れているので、接合部材に適している。尚、接合部材は、光の透過率が高いことが好ましい。そのため、通常は、接合部材に、光を反射、吸収又は散乱する添加物は添加されないことが好ましい。しかし、望ましい特性を付与するために、接合部材に添加物を添加するのが好ましい場合もある。例えば、接合部材の屈折率を調整するため、または硬化前の接合部材の粘度を調整するために、各種フィラーを添加してもよい。
【0080】
(第1光拡散材31、第2光拡散材32)
第1光拡散材31及び第2光拡散材32の材料としては、具体的には、SiO
2、Al
2O
3、Al(OH)
3、MgCO
3、TiO
2、ZrO
2、ZnO、Nb
2O
5、MgO、Mg(OH)
2、SrO、In
2O
3、TaO
2、HfO、SeO、Y
2O
3、CaO、Na
2O、B
2O
3、SnO、ZrSiO
4などの酸化物、SiN、AlN、AlONなどの窒化物、MgF
2、CaF
2、NaF、LiF、Na
3AlF
6のようなフッ化物などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、各種を溶融混合させてガラス等として用いてもよい。あるいは、複数の層に分けてこれらを積層させるようにしてもよい。
【0081】
特にガラスとすることで屈折率を任意に制御する事が出来る。光拡散材の粒径としては0.01〜100umまで任意に選ぶ事が出来る。また、光拡散材の含有量は、それぞれ調整が必要で被覆樹脂の体積や光拡散材の粒径により一義的には決められない。
【0082】
以上、本発明に係るいくつかの実施形態について例示したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意のものとすることができることは言うまでもない。