【実施例】
【0107】
以下、実施例に基づいてさらに詳述するが、本発明はこの実施例により何ら限定されるものではない。
本実施例で使用した略号は以下のとおりである。
【0108】
(テトラカルボン酸二無水物)
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
TDA:3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
(ジアミン)
p−PDA:p−フェニレンジアミン
DDM:4,4’−ジアミノジフェニルメタン
BAPU:1,3−ビス(4−アミノフェネチル)ウレア
ABAPHU:1−(4−アミノベンジル)−3−(4−アミノフェニルエチル)ウレア
Me−3ABA:3−((アミノメチル)メチル)アニリン
3AMPDA:3,5−ジアミノ−N−(ピリジン−3−イルメチル)ベンズアミン
DBA:3,5−ジアミノ安息香酸
C16DAB:4−ヘキサデシルオキシ−1,3−ジアミノベンゼン
C18DAB:4−オクタデシルオキシ−1,3−ジアミノベンゼン
(添加剤)
LS−2450:3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン
(有機溶媒)
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
BCS:ブチルセロソルブ
γ−BL:γ−ブチロラクトン
【0109】
<分子量の測定>
重合反応により得られた重合体(ポリイミド、ポリアミック酸)の分子量は、該重合体をGPC(常温ゲル浸透クロマトグラフィー)装置によって測定し、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド換算値として数平均分子量と重量平均分子量を算出した。
GPC装置:Shodex社製 (GPC−101)
カラム:Shodex社製 (KD803、KD805の直列)
カラム温度:50℃
溶離液:N,N−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H
2O)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量 約900,000、150,000、100,000、30,000)、および、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(分子量 約12,000、4,000、1,000)。
【0110】
[合成例1]BAPU:1,3−ビス(4−アミノフェネチル)ウレアの合成
【0111】
【化11】
【0112】
室温下において、窒素置換した四つ口フラスコ中に2−(4−ニトロフェニル)エチルアミン塩酸塩[A](52.50g、259mmol)、炭酸ビス(4−ニトロフェニル)[B](37.53g、123mmol)およびTHF(テトラヒドロフラン)(1877g)を加え、そこにトリエチルアミン(74.90g、740mmol)および4−N,N−ジメチルアミノピリジン(3.01g、24.7mmol)を加え、メカニカルスターラにて撹拌を行った。反応をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)にて追跡し、反応終了後、純水(9L)中へ反応溶液を加えて30分撹拌した。その後、濾過を行い、純水(1L)で洗浄し、白色固体の粗物を得た。この得られた白色固体をメタノール(488g)で超音波装置にて分散洗浄した後、濾過、乾燥を行い、白色固体のジニトロ化合物[C]を得た(得量42.3g、収率96%)。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6,δppm):8.11-8.08(4H,m),7.43-7.40(4H,m),5.89(2H,t),3.24-3.19(4H,q),2.76(4H,t).
【0113】
化合物[C](42.32g、118mmol)、5%パラジウムカーボン(5%Pd/C)(4.23g)および1,4−ジオキサン(2031g)の混合物を、窒素で置換した後、水素で置換し直し、水素存在下で室温にて撹拌した。反応をHPLCにて追跡し、反応終了後、セライトで触媒を濾過した。その後、減圧下、濾液の溶媒を留去し、白色固体の粗物を得た。得られた粗物に2−プロパノール(85g)を加え、超音波装置にて分散洗浄を行った後、濾過、乾燥を行い白色固体のジアミン化合物BAPUを得た(得量31.9g、収率91%)。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6,δppm):6.85-6.82(4H,m),6.51-6.48(4H,m),5.78(2H,t),4.83(4H,s),3.14-3.09(4H,m),2.50-2.45(4H,m).
【0114】
[比較合成例1]ABAPHU:1−(4−アミノベンジル)−3−(4−アミノフェニルエチル)ウレアの合成
【0115】
【化12】
【0116】
室温下、窒素置換した四つ口フラスコ中に4−ニトロベンジルアミン塩酸塩[D](50.00g、265mmol)、ピリジン(20.97g、265mmol)及びジクロロメタン(750g)を加え、溶液を10℃以下に冷却した。そこへ、クロロギ酸4−ニトロフェニル[E](53.43g、265mmol)のジクロロメタン(150g)溶液を加えた後、23℃に反応温度を上げ1時間撹拌した後、加熱還流を行った。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却し、ジクロロメタン(500g)と10質量%に希釈した塩酸水溶液(1000g)を加え濾過を行った。ろ液を室温撹拌し、析出した固体を濾過した。この固体をメタノール(200g)で洗浄、乾燥し白色固体の化合物[F]を得た(得量33.26g、収率40%)。一方、ろ液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(500g)を加え、洗浄後、有機層をさらに飽和食塩水(500g)で洗い硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、濾過し、溶媒留去して、白色の粗物を得た。この粗物をメタノール(200g)から再結晶し、さらに白色固体の化合物[F]を得た(得量16.6g、収率20%)。
1H-NMR(400MHz, CDCl
3, δppm):8.28-8.24(4H, m), 7.55-7.53(2H, m), 7.37-7.34(2H, m), 5.64(1H, t), 4.59(2H, d).
【0117】
室温下、窒素置換した四つ口フラスコ中に2−(4−ニトロフェニル)エチルアミン塩酸塩[G](30.29g、150mmol)、化合物[F](45.18g、142mmol)及びTHF(2260g)を加え、そこにトリエチルアミン(43.23g、427mmol)及び4−N,N−ジメチルアミノピリジン(1.74g、14.2mmol)を加え、反応を行った。反応をHPLCにて追跡し、反応終了後、純水(10L)中へ反応溶液を加え、30分撹拌を行った。その後、濾過を行い、純水(2L)で洗浄し、白色固体の粗物を得た。この得られた白色固体を2−プロパノール(300g)で洗浄した後、濾過、乾燥を行い、白色固体のジニトロ化合物[H]を得た(得量43.9g、収率90%)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):8.19-8.14(4H, m), 7.52-7.44(4H, m), 6.62(1H, t), 6.12(1H, t), 4.31(2H, d), 3.33(2H, m), 2.86(2H, t).
【0118】
化合物[H](50.00g、145mmol)、5%パラジウムカーボン(5%Pd/C)(5.0g)及び1,4−ジオキサン(1000g)の混合物を、窒素で置換した後、水素で置換しなおし、水素存在下、室温にて攪拌した。反応をHPLCにて追跡し、反応終了後、セライトで触媒を濾過した。その後、ろ液を、減圧下、溶媒留去し、茶白色固体の粗物を得た。その粗物に2−プロパノール(330g)を加え、超音波装置にて分散洗浄を行った後、濾過、乾燥を行い桃白色固体のジアミン化合物ABAPHUを得た(得量37.0g、収率90%)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):6.90-6.87(2H, m), 6.84-6.82(2H, m), 6.51-6.47(4H, m), 6.08(1H, t), 5.73(1H, t), 4.9 (2H, s), 4.84(2H, s), 3.99 (2H, d), 3.15-3.10 (2H, m), 2.51-2.46(2H, m).
【0119】
(ポリマー溶液の作製1)TDA/BAPU(10)p−PDA(80)C18DAB
テトラカルボン酸成分として、TDAを10.50g(0.035mol)、ジアミン成分として、BAPUを1.04g(0.0035mol)、p−PDAを3.03g(0.028mol)、C18DABを1.31g(0.0035mol)を用い、NMP90.32g中、50℃で24時間反応させ、ポリアミック酸溶液(PAA−1)を得た。
【0120】
ポリアミック酸溶液(PAA−1)30.00gに、NMPを50.00g、無水酢酸を10.78g、ピリジンを5.02g加え、室温で30分攪拌した後、40℃で3時間攪拌し反応させた。反応終了後、335gのメタノールにゆっくり注ぎポリマーを析出させ、30分攪拌した後、濾過により固体を回収した。得られた固体をメタノールで十分洗浄した後、100℃で真空乾燥させることにより、ポリイミド粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は10,600、重量平均分子量は26,200、イミド化率は82%であった。
【0121】
得られたポリイミド粉末2.61gにγ−BLを30.01g加え、50℃で24時間攪拌し溶解させ、完全に溶解しているのを確認し、γ−BLを5.85g、LS−2450の2%γ−BL溶液を6.48g加え、50℃で24分攪拌することで、ポリイミドが6.0質量%、γ−BLが94質量%のポリイミド溶液(SPI−1)を得た。
【0122】
(ポリマー溶液の作製2)TDA/BAPU(20)p−PDA(70)C18DAB
テトラカルボン酸成分として、TDAを9.90g(0.033mol)、ジアミン成分として、BAPUを1.96g(0.0066mol)、p−PDAを2.50g(0.023mol)、C18DABを1.25g(0.0033mol)を用い、NMP88.41g中、50℃で24時間反応させ、ポリアミック酸溶液(PAA−2)を得た。
【0123】
ポリアミック酸溶液(PAA−2)50.00gに、NMPを90.00g、無水酢酸を18.11g、ピリジンを8.42g加え、室温で30分攪拌した後、40℃で3時間攪拌し反応させた。反応終了後、580gのメタノールにゆっくり注ぎポリマーを析出させ、30分攪拌した後、濾過により固体を回収した。得られた固体をメタノールで十分洗浄した後、100℃で真空乾燥させることにより、ポリイミド粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は10,500、重量平均分子量は25,200、イミド化率は84%であった。
【0124】
得られたポリイミド粉末6.02gにγ−BLを69.23g加え、50℃で24時間攪拌し溶解させ、完全に溶解しているのを確認し、γ−BLを22.41g、LS−2450の2%γ−BL溶液を5.97g加え、50℃で24分攪拌することで、ポリイミドが6.0質量%、γ−BLが94質量%のポリイミド溶液(SPI−2)を得た。
【0125】
(ポリマー溶液の作製3)TDA/BAPU(30)p−PDA(60)C18DAB
テトラカルボン酸成分として、TDAを9.31g(0.031mol)、ジアミン成分として、BAPUを2.77g(0.0093mol)、p−PDAを2.01g(0.019mol)、C18DABを1.17g(0.0031mol)を用い、NMP86.38g中、50℃で24時間反応させ、ポリアミック酸溶液(PAA−3)を得た。
【0126】
ポリアミック酸溶液(PAA−3)30.00gにNMPを50.50g、無水酢酸を10.01g、ピリジンを4.65g加え、室温で30分攪拌した後、40℃で3時間攪拌し反応させた。反応終了後、580gのメタノールにゆっくり注ぎポリマーを析出させ、30分攪拌した後、濾過により固体を回収した。得られた固体をメタノールで十分洗浄した後、100℃で真空乾燥させることにより、ポリイミド粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は12,000、重量平均分子量は28,500、イミド化率は82%であった。
【0127】
得られたポリイミド粉末2.66gにγ−BLを30.59g加え、50℃で24時間攪拌し溶解させ、完全に溶解しているのを確認し、γ−BLを6.55g、LS−2450の2%γ−BL溶液を6.83g加え、50℃で24分攪拌することで、ポリイミドが6.0質量%、γ−BLが94質量%のポリイミド溶液(SPI−3)を得た。
【0128】
(ポリマー溶液の作製4)TDA/BAPU(50)p−PDA(40)C18DAB
テトラカルボン酸成分として、TDAを9.30g(0.031mol)、ジアミン成分として、BAPUを4.63g(0.016mol)、p−PDAを1.35g(0.012mol)、C18DABを1.17g(0.0031mol)を用い、NMP93.09g中、50℃で24時間反応させ、ポリアミック酸溶液(PAA−4)を得た。
【0129】
ポリアミック酸溶液(PAA−4)30.00gにNMPを45.00g、無水酢酸を8.66g、ピリジンを4.03g加え、室温で30分攪拌した後、40℃で3時間攪拌し反応させた。反応終了後、300gのメタノールにゆっくり注ぎポリマーを析出させ、30分攪拌した後、濾過により固体を回収した。得られた固体をメタノールで十分洗浄した後、100℃で真空乾燥させることにより、ポリイミド粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は11,200、重量平均分子量は25,200、イミド化率は82%であった。
【0130】
得られたポリイミド粉末2.60gにγ−BLを29.90g加え、50℃で24時間攪拌し溶解させ、完全に溶解しているのを確認し、γ−BLを4.00g、LS−2450の2%γ−BL溶液を6.15g加え、50℃で24分攪拌することで、ポリイミドが6.0質量%、γ−BLが94質量%のポリイミド溶液(SPI−4)を得た。
【0131】
(ポリマー溶液の作製5)TDA/BAPU(90)C18DAB
テトラカルボン酸成分として、TDAを7.50g(0.025mol)、ジアミン成分として、BAPUを6.71g(0.023mol)、C18DABを0.90g(0.0025mol)を用い、NMP86.23g中、50℃で24時間反応させ、ポリアミック酸溶液(PAA−5)を得た。
【0132】
ポリアミック酸溶液(PAA−5)30.00gにNMPを51.00g、無水酢酸を8.18g、ピリジンを3.80g加え、室温で30分攪拌した後、40℃で3時間攪拌し反応させた。反応終了後、320gのメタノールにゆっくり注ぎポリマーを析出させ、30分攪拌した後、濾過により固体を回収した。得られた固体をメタノールで十分洗浄した後、100℃で真空乾燥させることにより、ポリイミド粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は12,400、重量平均分子量は27,400、イミド化率は82%であった。
【0133】
得られたポリイミド粉末2.67gにγ−BLを30.71g、NMP4.76g加え、50℃で24時間攪拌し溶解させ、完全に溶解しているのを確認し、LS−2450の2%NMP溶液を6.35g加え、50℃で24分攪拌することで、ポリイミドが6.0質量%、γ−BLが69質量%、NMPが25質量%のポリイミド溶液(SPI−5)を得た。
【0134】
(ポリマー溶液の作製6)TDA/p−PDA(90)C16DAB
テトラカルボン酸成分として、TDAを7.51g(0.025mol)、ジアミン成分として、p−PDAを2.43g(0.023mol)、C16DABを0.87g(0.0025mol)を用い、NMP61.26g中、50℃で24時間反応させポリアミック酸溶液(PAA−6)を得た。
【0135】
ポリアミック酸溶液(PAA−6)20.00gにNMPを30.67g、無水酢酸を7.18g、ピリジンを3.33g加え、室温で30分攪拌した後、40℃で3時間攪拌し反応させた。反応終了後、214gのメタノールにゆっくり注ぎポリマーを析出させ、30分攪拌した後、濾過により固体を回収した。得られた固体をメタノールで十分洗浄した後、100℃で真空乾燥させることにより、ポリイミド粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は12,400、重量平均分子量は27,400、イミド化率は88%であった。
【0136】
得られたポリイミド粉末2.60gにγ−BLを29.90g加え、50℃で24時間攪拌し溶解させ、完全に溶解しているのを確認し、γ−BLを4.00g、LS−2450の2%γ−BL溶液を6.15g加え、50℃で24分攪拌することで、ポリイミドが6.0質量%、γ−BLが94質量%のポリイミド溶液(SPI−6)を得た。
【0137】
(ポリマー溶液の作製7)CBDA(50)PMDA/DDM
テトラカルボン酸成分として、CBDAを9.81g(0.050mol)、PMDAを10.25g(0.047mol)、ジアミン成分として、DDMを19.83g(0.0060mol)を用い、γ−BL 113.00g、NMP 113.00g中、室温で3時間反応させ、ポリアミック酸の溶液を得た。
【0138】
得られたポリアミック酸の溶液198.97gをγ−BL 204.23g、NMP 14.63g、BCS 73.74gを用いて希釈し、固形分が6質量%、γ−BLが59質量%、NMPが20質量%、BCSが15質量%のポリアミック酸溶液(PAA−7)を得た。このポリアミック酸は、数平均分子量が20,900、重量平均分子量が57,900であった。
【0139】
(ポリマー溶液の作製8)CBDA/p−PDA(80)DDM
テトラカルボン酸成分として、CBDAを3.01g(0.015mol)、ジアミン成分として、p−PDAを1.56g(0.014mol)を用い、γ−BL 15.18g、NMP 25.31g中、室温で2時間反応させた後、テトラカルボン酸成分CBDAを0.35g(0.0018mol)、ジアミン成分DDMを0.72g(0.036mol)、γ−BLを10.12g追加して、室温で3時間反応させ、ポリアミック酸の溶液を得た。
【0140】
得られたポリアミック酸の溶液47.37gをγ−BL52.28g、BCS17.59gを用いて希釈し、固形分が4質量%、γ−BLが63質量%、NMPが18質量%、BCSが15質量%のポリアミック酸溶液(PAA−8)を得た。このポリアミック酸は、数平均分子量が19,800、重量平均分子量が59,200であった。
【0141】
(ポリマー溶液の作製9)CBDA/p−PDA(60)DDM
テトラカルボン酸成分として、CBDAを2.04g(0.010mol)、ジアミン成分として、p−PDAを1.04g(0.0096mol)を用い、γ−BL 23.80g、NMP 14.28g中、室温で2時間反応させた後、テトラカルボン酸成分CBDAを0.94g(0.0048mol)、ジアミン成分DDMを1.26g(0.064mol)、γ−BLを9.52g追加して、室温で3時間反応させ、ポリアミック酸の溶液を得た。
【0142】
得られたポリアミック酸の溶液46.38gをγ−BL 20.64g、BCS 11.83gを用いて希釈し、固形分が6質量%、γ−BLが53質量%、NMPが26質量%、BCSが15質量%のポリアミック酸溶液(PAA−9)を得た。このポリアミック酸は、数平均分子量が10,300、重量平均分子量が33,100であった。
【0143】
(ポリマー溶液の作製10)CBDA/3AMPDA(30)p−PDA
テトラカルボン酸成分として、CBDAを2.86g(0.014mol)、ジアミン成分として、3AMPDA1.09g(0.0045mol)、p−PDAを1.13g(0.011mol)を用い、γ−BL27.43g、NMP18.35g中、室温で3時間反応させ、ポリアミック酸の溶液を得た。
【0144】
得られたポリアミック酸の溶液43.49gをγ−BL 21.82g、BCS 11.52gを用いて希釈し、固形分が6質量%、γ−BLが59質量%、NMPが20質量%、BCSが15質量%のポリアミック酸溶液(PAA−10)を得た。このポリアミック酸は、数平均分子量が11,500、重量平均分子量が24,000であった。
【0145】
(ポリマー溶液の作製11)CBDA/p−PDA(55)DBA(30)Me−3ABA
テトラカルボン酸成分として、CBDAを8.29g(0.042mol)、ジアミン成分として、p−PDAを3.65g(0.034mol)、DBAを0.68g(0.0045mol)、Me−3ABAを0.92g(0.0068mol)を用い、γ−BL38.39g、NM38.39g中、室温で3時間反応させ、ポリアミック酸の溶液を得た。
【0146】
得られたポリアミック酸の溶液80.90gをγ−BL 84.95g、NMP 6.07g、BCS30.33gを用いて希釈し、固形分が6質量%、γ−BLが59質量%、NMPが20質量%、BCSが15質量%のポリアミック酸溶液(PAA−11)を得た。このポリアミック酸は、数平均分子量が7,300、重量平均分子量が15,000であった。
【0147】
(ポリマー溶液の作製12)TDA/p−PDA(90)C18DAB
テトラカルボン酸成分として、TDAを9.00g(0.030mol)、ジアミン成分として、p−PDAを2.92g(0.027mol)、C18DABを1.13g(0.0030mol)を用い、NMP73.40g中、50℃で24時間反応させポリアミック酸溶液(PAA−12)を得た。
【0148】
ポリアミック酸溶液(PAA−12)20.00gに、NMPを30.67g、無水酢酸を7.16g、ピリジンを3.32g加え、室温で30分攪拌した後、40℃で3時間攪拌し反応させた。反応終了後、214gのメタノールにゆっくり注ぎポリマーを析出させ、30分攪拌した後、濾過により固体を回収した。得られた固体をメタノールで十分洗浄した後、100℃で真空乾燥させることによりポリイミド粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は11,280、重量平均分子量は29,100、イミド化率は85%であった。
【0149】
得られたポリイミド粉末2.60gにγ−BLを29.00g加え、50℃で24時間攪拌し溶解させ、完全に溶解しているのを確認し、γ−BLを4.00g、LS−2450の2%γ−BL溶液6.15g加え、50℃で24分攪拌することで、ポリイミドが6.0質量%、γ−BLが94質量%のポリイミド溶液(SPI−7)を得た。
【0150】
(ポリマー溶液の作製13)
TDA/ABAPHU(20)p−PDA(70)C18DAB
テトラカルボン酸成分として、TDAを5.10g(0.017mol)、ジアミン成分として、ABAPHUを0.96g(0.0034mol)、p−PDAを1.29g(0.012mol)、C18DABを0.64g(0.0017mol)を用い、NMP45.47g中、50℃で24時間反応させ、ポリアミック酸溶液(PAA−13)を得た。
【0151】
ポリアミック酸溶液(PAA−13)44.71gに、NMPを70.79g、無水酢酸を15.03g、ピリジンを6.99g加え、室温で30分攪拌した後、40℃で3時間攪拌し反応させた。反応終了後、481gのメタノールにゆっくり注ぎポリマーを析出させ、30分攪拌した後、濾過により固体を回収した。得られた個体をメタノールで十分洗浄した後、100℃で真空乾燥させることによりポリイミド粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は7,400、重量平均分子量は17,100、イミド化率は82%であった。
【0152】
ポリイミド粉末3.21gにγ−BLを36.92g加え、50℃で24時間攪拌し溶解させ、完全に溶解しているのを確認し、γ−BLを7.75g、NMPを9.86g、LS−2450の2%γ−BL溶液を8.08g加え、50℃で24分攪拌することで、ポリイミドが5.0質量%、γ−BLが80質量%、NMPが15質量%のポリイミド溶液(SPI−8)を得た。
【0153】
(実施例1)ポリマー溶液の作製1/ポリマー溶液の作製7=20/80
ポリマー溶液の作製1にて得たポリイミド溶液(SPI−1)とポリマー溶液の作製7にて得たポリアミック酸溶液(PAA−7)の質量比が20:80になるように混合して、室温で1時間撹拌させ、液晶配向剤を得た。
【0154】
(実施例2)ポリマー溶液の作製2/ポリマー溶液の作製7=20/80
ポリマー溶液の作製2にて得たポリイミド溶液(SPI−2)とポリマー溶液の作製7にて得たポリアミック酸溶液(PAA−7)の質量比が20:80になるように混合して、室温で1時間撹拌させ、液晶配向剤を得た。
【0155】
(実施例3)ポリマー溶液の作製3/ポリマー溶液の作製7=20/80
ポリマー溶液の作製3にて得たポリイミド溶液(SPI−3)とポリマー溶液の作製7にて得たポリアミック酸溶液(PAA−7)の質量比が20:80になるように混合して、室温で1時間撹拌させ、液晶配向剤を得た。
【0156】
(実施例4)ポリマー溶液の作製4/ポリマー溶液の作製7=20/80
ポリマー溶液の作製4にて得たポリイミド溶液(SPI−4)とポリマー溶液の作製7にて得たポリアミック酸溶液(PAA−7)の質量比が20:80になるように混合して、室温で1時間撹拌させ、液晶配向剤を得た。
【0157】
(実施例5)ポリマー溶液の作製5/ポリマー溶液の作製7=20/80
ポリマー溶液の作製5にて得たポリイミド溶液(SPI−5)とポリマー溶液の作製7にて得たポリアミック酸溶液(PAA−7)の質量比が20:80になるように混合して、室温で1時間撹拌させ、液晶配向剤を得た。
【0158】
(実施例6)ポリマー溶液の作製2/ポリマー溶液の作製7=30/70
ポリマー溶液の作製2にて得たポリイミド溶液(SPI−2)とポリマー溶液の作製7にて得たポリアミック酸溶液(PAA−7)の質量比が30:70になるように混合して、室温で1時間撹拌させ、液晶配向剤を得た。
【0159】
(実施例7)ポリマー溶液の作製2/ポリマー溶液の作製7=40/60
ポリマー溶液の作製2にて得たポリイミド溶液(SPI−2)とポリマー溶液の作製7にて得たポリアミック酸溶液(PAA−7)の質量比が40:60になるように混合して、室温で1時間撹拌させ、液晶配向剤を得た。
【0160】
(実施例8)ポリマー溶液の作製2/ポリマー溶液の作製7=50/50
ポリマー溶液の作製2にて得たポリイミド溶液(SPI−2)とポリマー溶液の作製7にて得たポリアミック酸溶液(PAA−7)の質量比が50:50になるように混合して、室温で1時間撹拌させ、液晶配向剤を得た。
【0161】
(実施例9)ポリマー溶液の作製2/ポリマー溶液の作製7=70/30
ポリマー溶液の作製2にて得たポリイミド溶液(SPI−2)とポリマー溶液の作製7にて得たポリアミック酸溶液(PAA−7)の質量比が70:30になるように混合して、室温で1時間撹拌させ、液晶配向剤を得た。
【0162】
(実施例10)ポリマー溶液の作製2/ポリマー溶液の作製8=20/80
ポリマー溶液の作製2にて得たポリイミド溶液(SPI−2)とポリマー溶液の作製8にて得たポリアミック酸溶液(PAA−8)の質量比が20:80になるように混合して、室温で1時間撹拌させ、液晶配向剤を得た。
【0163】
(実施例11)ポリマー溶液の作製2/ポリマー溶液の作製9=20/80
ポリマー溶液の作製2にて得たポリイミド溶液(SPI−2)とポリマー溶液の作製9にて得たポリアミック酸溶液(PAA−9)の質量比が20:80になるように混合して、室温で1時間撹拌させ、液晶配向剤を得た。
【0164】
(実施例12)ポリマー溶液の作製2/ポリマー溶液の作製10=20/80
ポリマー溶液の作製2にて得たポリイミド溶液(SPI−2)とポリマー溶液の作製10にて得たポリアミック酸溶液(PAA−10)の質量比が20:80になるように混合して、室温で1時間撹拌させ、液晶配向剤を得た。
【0165】
(実施例13)ポリマー溶液の作製2/ポリマー溶液の作製11=20/80
ポリマー溶液の作製2にて得たポリイミド溶液(SPI−2)とポリマー溶液の作製11にて得たポリアミック酸溶液(PAA−11)の質量比が20:80になるように混合して、室温で1時間撹拌させ、液晶配向剤を得た。
【0166】
(比較例1)ポリマー溶液の作製12/ポリマー溶液の作製7=20/80
ポリマー溶液の作製12にて得たポリイミド溶液(SPI−7)と、ポリマー溶液の作製7にて得たポリアミック酸溶液(PAA−7)の質量比が20:80になるように混合して、室温で1時間撹拌させ、液晶配向剤を得た。
【0167】
(比較例2)ポリマー溶液の作製13/ポリマー溶液の作製7=20/80
ポリマー溶液の作製13にて得たポリイミド溶液(SPI−8)と、ポリマー溶液の作製7にて得たポリアミック酸溶液(PAA−7)の質量比が20:80になるように混合して、室温で1時間撹拌させ、液晶配向剤を得た。
【0168】
<液晶セルの作製>
実施例1〜13で調製した液晶配向剤および比較例1〜2で調製した液晶配向剤について、以下のようにしてそれぞれ液晶セルを作製した。
【0169】
液晶配向剤を透明電極付きガラス基板にスピンコートし、80℃のホットプレート上で70秒間乾燥させた後、210℃のホットプレート上で10分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させた。この塗膜面をロール径120mmのラビング装置でレーヨン布を用いて、ロール回転数1000rpm、ロール進行速度50mm/sec、押し込み量0.3mmの条件でラビングし、液晶配向膜付き基板を得た。液晶配向膜付き基板を2枚用意し、その1枚の液晶配向膜面上に6μmのスペーサーを散布した後、その上からシール剤を印刷し、もう1枚の基板を液晶配向膜面が向き合いラビング方向が直行するようにして張り合わせた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶MLC−2003(メルク・ジャパン社製)を注入し、注入口を封止して、ツイストネマティック液晶セルを得た。
【0170】
作製した各液晶セル及び液晶配向剤の特性を、以下に記述する方法で評価した。なお、実施例1〜13および比較例1〜2における各液晶配向剤の組成を表1−1及び表1−2に示した。
【0171】
<白化評価>
10cmのCr基板に実施例1〜13および比較例1〜2で調製した液晶配向剤をそれぞれ1滴垂らして、温度23℃、湿度65%の条件下にて、液晶配向剤が白化するまでの時間を計測した。結果を表2に示す。
【0172】
<電圧保持率(VHR)の測定によるバックライト耐性の評価>
作製した各ツイストネマティック液晶セルについて、バックライトを照射していない初期状態の電圧保持率(VHR)の測定を行なった。電圧保持率の測定は、90℃の温度下で4Vの電圧を60μs間印加し、166.7ms後の電圧を測定し、電圧がどのくらい保持できているかを電圧保持率として計算した。なお、電圧保持率の測定には東陽テクニカ社製のVHR−1電圧保持率測定装置を使用した。
【0173】
その後、各ツイストネマティック液晶セルを40inch型液晶TV用バックライトモジュール上に240時間放置し、上記の電圧保持率の測定と同じ方法で、電圧保持率の測定を行った。バックライトを照射する前の電圧保持率(表2において「BL前」と表記する)、及び、バックライトを240時間照射した後の電圧保持率(表2において「BL後」と表記する)の測定結果を、表2に示す。
【0174】
この結果、表2に示すように、上記式(1)で表されるジアミン化合物を原料として用いたポリイミドとポリアミック酸とを含有する液晶配向剤とした実施例1〜13では、比較例1〜2と比べて、白化するまでにかかる時間が顕著に長く白化が抑制されており、且つ、バックライトの照射前後でのVHRの減少が非常に小さくバックライト耐性に優れていた。
【0175】
【表1-1】
【0176】
【表1-2】
【0177】
【表2】