【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シェルに、塩基増殖反応を引き起こす基を有する塩基増殖剤がコアとして封入されている塩基増殖剤封入マイクロカプセルである。
以下、本発明を詳述する。
【0009】
本発明者らは、シェルに、塩基増殖反応を引き起こす基を有する塩基増殖剤がコアとして封入されている塩基増殖剤封入マイクロカプセルにおいては、塩基増殖反応がシェルの内部で起こるため、塩基増殖反応のみが選択的に進行し、マイクロカプセルという限られた空間内で極めて高濃度の塩基が高速に発生すること、また、このような塩基増殖剤封入マクロカプセルをエポキシ樹脂等へ分散させた場合、シェルの内部で発生した高濃度の塩基を一気に放出できるため、エポキシ樹脂等の硬化特性が向上することを見出した。
更に、塩基発生剤等により発生した塩基がシェルの内部に取り込まれ、シェルの内部で塩基増殖反応が進行し、更に、マイクロカプセルから放出された塩基が、隣接するマイクロカプセルのシェルの内部に取り込まれ、塩基増殖反応が進行するという連鎖的な塩基増殖反応が進行する。このため、光の届かないところへも塩基を伝搬することができるため、厚膜のエポキシ樹脂等を硬化することができる。
更に、このような塩基増殖剤封入マイクロカプセルにおいては、塩基増殖反応がシェルの内部で起こるため、塩基増殖反応によって発生した塩基がエポキシ樹脂等の硬化に使用されてしまうことを抑制することもできる。
本発明者らは、このような塩基増殖剤封入マイクロカプセルは、貯蔵安定性にも硬化特性にも優れた硬化剤としてエポキシ樹脂等の硬化に好適に用いられることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
(塩基増殖剤)
本発明の塩基増殖剤封入マイクロカプセルは、シェルに、塩基増殖反応を引き起こす基を有する塩基増殖剤がコアとして封入されているものである。
【0011】
上記塩基増殖剤は、塩基増殖反応を引き起こす基を有するものであり、低分子化合物であってもよいし、高分子化合物であってもよい。なかでも、塩基発生速度が更に増すことから、低分子化合物が好ましい。
本明細書中、塩基増殖反応を引き起こす基とは、塩基発生剤等により発生した塩基の存在下で加熱される等により分解し、新たに塩基を発生する基をいう。発生した塩基は新たな触媒として機能し、自己触媒的に多数の塩基を発生する。
このようにして発生した塩基は硬化剤となってエポキシ樹脂等と反応し、硬化物を形成することから、本発明の塩基増殖剤封入マイクロカプセルは、エポキシ樹脂等の硬化に好適に用いられる。また、上記塩基増殖反応を引き起こす基は、塩基発生剤等により発生した塩基の作用ではじめて分解することから、本発明の塩基増殖剤封入マイクロカプセルは、エポキシ樹脂等に配合されても、得られる硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性を低下させることはない。
【0012】
上記塩基増殖反応を引き起こす基は、塩基発生剤等により発生した塩基の存在下で、分解し、新たに塩基を発生することが好ましい。
【0013】
上記塩基増殖反応を引き起こす基は特に限定されないが、下記一般式(1)で表される塩基増殖反応を引き起こす構造を有することが好ましい。
【0014】
【化1】
【0015】
一般式(1)中、R
1及びR
2はそれぞれ水素又は炭化水素基であるか、或いは、連結して含窒素環を形成するものである。
【0016】
上記炭化水素基として、例えば、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数7〜15のアリールアルキル基等が挙げられる。具体的には例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が挙げられる。
上記炭化水素基は、アミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、ヒロドロキシル基等の置換基を有していてもよい。
上記R
1及びR
2は、連結して含窒素環を形成してもよい。この場合、含窒素環は、構成原子として複数のヘテロ原子(窒素、酸素、硫黄等)を含有してもよい。
【0017】
上記一般式(1)で表される塩基増殖反応を引き起こす構造を有する塩基増殖剤として、例えば、下記式(1−1)〜(1−14)で表される塩基増殖剤が挙げられる。
【0018】
【化2】
【0019】
(塩基発生剤)
本発明の塩基増殖剤封入マイクロカプセルにおいては、上記塩基増殖剤に加えて、更に、塩基発生剤がコアとして封入されていることが好ましい。
本明細書中、塩基発生剤とは、活性エネルギー線を照射したり、熱を与えたりすることによって塩基を発生する物質をいう。なお、活性エネルギー線として、例えば、赤外線、可視光線、紫外線等の光や、X線、γ線等の放射線や、イオンビーム等が挙げられる。
【0020】
上記塩基発生剤のうち、光を照射することによって塩基を発生する光塩基発生剤としては、例えば、オキシムエステル系化合物、アンモニウム系化合物、ベンゾイン系化合物、ジメトキシベンジルウレタン系化合物、オルトニトロベンジツウレタン系化合物等が挙げられる。具体的には例えば、9−アンスリルメチル N,N−ジエチルカルバメート、(E)−1−[3−(2−ヒドロキシフェニル)−2−プロペノイル]ピペリジン、グアニジニウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオネート、1−(アントラキノン−2−イル)エチルイミダゾールカルボキシレート、2−ニトロフェニルメチル4−メタクリロイルオキシピペリジン−1−カルボキシラート、1−(アントラキノン−2−イル)−エチルN,N−ジシクロヘキシルカルバメート、ジシクロヘキシルアンモニウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオネート、シクロヘキシルアンモニウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオナート、9−アントリルメチルN,N−ジシクロヘキシルカルバメート、1,2−ジイソプロピル−3−〔ビス(ジメチルアミノ)メチレン〕グアニジウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサメチレン−ビス(4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルカルバメート)等が好ましい。
【0021】
コアとして封入される上記塩基発生剤の配合量は特に限定されないが、上記塩基増殖剤100重量部に対する好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が100重量部である。上記塩基発生剤の配合量が0.01重量部未満であると、塩基増殖反応を開始させる塩基の発生量が少なすぎ、塩基増殖反応が極めて遅くなったり、充分な塩基増殖反応を開始させることができなくなったりすることがある。上記塩基発生剤の配合量が100重量部を超えると、マイクロカプセル中の塩基増殖剤の含有量が少なくなりすぎ、充分な量の塩基が発生しないことがある。上記塩基発生剤の配合量は、上記塩基増殖剤100重量部に対するより好ましい下限が0.1重量部、より好ましい上限が50重量部である。
【0022】
本発明の塩基増殖剤封入マイクロカプセルにおいては、上述した塩基増殖剤、必要に応じて添加される上述した塩基発生剤等が、コアとしてシェルに封入されている。
このような構造であることにより、塩基増殖反応がシェルの内部で起こるため、塩基増殖反応のみが選択的に進行し、マイクロカプセルという限られた空間内で極めて高濃度の塩基が高速に発生する。また、このような塩基増殖剤封入マクロカプセルをエポキシ樹脂等へ分散させた場合、シェルの内部で発生した高濃度の塩基を一気に放出できるため、エポキシ樹脂等の硬化特性が向上する。
更に、塩基発生剤等により発生した塩基がシェルの内部に取り込まれ、シェルの内部で塩基増殖反応が進行し、更に、マイクロカプセルから放出された塩基が、隣接するマイクロカプセルのシェルの内部に取り込まれ、塩基増殖反応が進行するという連鎖的な塩基増殖反応が進行する。このため、光の届かないところへも塩基を伝搬することができるため、厚膜のエポキシ樹脂等を硬化することができる。
更に、塩基増殖反応がシェルの内部で起こるため、塩基増殖反応によって発生した塩基がエポキシ樹脂等の硬化に使用されてしまうことを抑制することもできる。
【0023】
上記シェルは、塩基により主鎖及び/又は側鎖が分解するポリマーを含有することが好ましい。このようなポリマーを含有するシェルは、塩基により崩壊しやすく、シェルの内部で発生した高濃度の塩基を一気に放出できるため、エポキシ樹脂等の硬化特性が更に向上する。
【0024】
(塩基により主鎖が分解するポリマー)
上記塩基により主鎖が分解するポリマーは、塩基により分解する基を主鎖中に有する。塩基により主鎖が分解するため、シェルの内部で発生した塩基によりシェルが崩壊しやすく、そのため、発生した塩基の放出が容易となる。
上記塩基により主鎖が分解するポリマーとしては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂等が挙げられる。なかでも、下記式(2−1)で表されるポリマーが好ましい。
【0025】
【化3】
式(2−1)中、nは整数を表す。
【0026】
(塩基により側鎖が分解するポリマー)
上記塩基により側鎖が分解するポリマーは、塩基により分解する基を側鎖に有する。シェルの内部で発生した塩基によりポリマー側鎖が分解するため、シェル壁に緩みが生じ、そのため、発生した塩基の放出が容易となる。
上記塩基により側鎖が分解するポリマーとしては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリビニルエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。なかでも、塩基により分解する基を有するラジカル重合性モノマーを主成分とするラジカル重合性モノマーを重合させることによって得られたポリマーであることが好ましい。
上記塩基により分解する基を有するラジカル重合性モノマーは特に限定されないが、下記一般式(3)で表されるモノマーが好ましい。
【0027】
【化4】
一般式(3)中、Xは水素原子又はメチル基を表し、Aは塩基により分解する基を表す。
【0028】
上記一般式(3)で表されるモノマーとしては、具体的には例えば、下記式(3−1)〜(3−23)で表されるモノマー等が挙げられる。
【0029】
【化5】
【0030】
【化6】
【0031】
上記塩基により分解する基を有するラジカル重合性モノマーを主成分とするラジカル重合性モノマーは、必要に応じて、他のラジカル重合性モノマーを含有していてもよい。
上記他のラジカル重合性モノマーは特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸及びそのエステル、(メタ)アクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、メチルビニルエーテル、スチレン、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリロニトリル等のビニルモノマー、イソプレン等の不飽和二重結合を有する化合物等が挙げられる。
【0032】
上記他のラジカル重合性モノマーの配合量は特に限定されないが、主成分である上記塩基により分解する基を有するラジカル重合性モノマー100重量部に対する好ましい上限が50重量部である。上記他のラジカル重合性モノマーの配合量が50重量部を超えると、得られるシェル中の塩基により分解する基の含有量が少なくなり、塩基により分解された後のシェル壁の緩みが少なくなり、充分な塩基の放出が困難となることがある。
【0033】
(塩基増殖剤封入マイクロカプセルの製造方法)
本発明の塩基増殖剤封入マイクロカプセルの製造方法は特に限定されず、例えば、少なくとも、コアを構成する塩基増殖反応を引き起こす基を有する塩基増殖剤と、シェルポリマーとの共存下、塩基増殖剤封入マイクロカプセルを製造することができる。この場合、例えば、乳化、転層乳化、析出法等の公知の方法を用いることができる。
また、少なくとも、コアを構成する塩基増殖反応を引き起こす基を有する塩基増殖剤と、シェルポリマーを形成するモノマーとの共存下、塩基増殖剤封入マイクロカプセルを製造することができる。この場合、例えば、懸濁重合、乳化重合、分散重合、転層乳化重合等の公知の方法を用いることができる。上記シェルポリマーを形成するモノマーは、上述した塩基により分解する基を有するラジカル重合性モノマーを含有するラジカル重合性モノマーが好ましい。
これらの塩基増殖剤封入マイクロカプセルの製造方法もまた、本発明の1つである。
【0034】
(分散剤)
上記懸濁、懸濁重合又は分散重合を行う際の分散剤は特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アラビアガム、ゼラチン、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸アルキルエステル、ポリメタクリル酸アルキルエステル、コロイダルシリカ、ポリシロキサン等が挙げられる。
上記分散剤の配合量は特に限定されないが、上記シェルポリマー又は上記シェルポリマーを形成するモノマー100重量部に対する好ましい下限が0.001重量部、好ましい上限が10重量部である。上記分散剤の配合量が0.001重量部未満であると、分散剤を用いることによる分散安定効果が充分に得られないことがある。上記分散剤の配合量が10重量部を超えると、得られるマイクロカプセルの表面への吸着等によりマイクロカプセルに取り込まれる分散剤が増加し、期待するシェルの特性が得られないことがある。
【0035】
(乳化剤)
上記乳化又は乳化重合を行う際の乳化剤は特に限定されず、例えば、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルアンモニウム塩等が挙げられる。
上記乳化剤の配合量は特に限定されないが、上記シェルポリマーを形成するモノマー100重量部に対する好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が10重量部である。上記乳化剤の配合量が0.01重量部未満であると、得られるマイクロカプセルの粒子径を充分に小さくすることができないことがあり、また、形成したマイクロカプセルが凝集してしまうことがある。上記乳化剤の配合量が10重量部を超えると、得られるマイクロカプセルの粒子純度が低下することがある。
【0036】
(溶媒)
本発明の塩基増殖剤封入マイクロカプセルは、水及び/又は有機溶剤中で製造される。このような溶媒は特に限定されず、塩基増殖剤、シェルポリマー又はシェルポリマーを形成するモノマー等の種類、或いは、製造方法によって異なるが、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサン、トルエン、キシレン及びこれらの混合物が好ましい。
【0037】
(重合開始剤)
本発明の塩基増殖剤封入マイクロカプセルが、懸濁重合、乳化重合、分散重合、転層乳化重合等により製造される場合、ラジカル重合開始剤等の重合開始剤が用いられる。このような重合開始剤は、シェルポリマーを形成するモノマーの種類又は溶媒によって適宜選択される。
上記ラジカル重合開始剤は、親油性であっても、親水性であってもよい。上記ラジカル重合開始剤として、例えば、過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。
親油性の過酸化物は特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシラウレート、ラウロイルパーオキサイド、ジオクタノイルパーオキサイド等が挙げられる。親油性のアゾ化合物は特に限定されず、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等が挙げられる。また、親油性のラジカル重合開始剤として、AIBN、Irgacure819等の光ラジカル重合開始剤を用いてもよい。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0038】
親水性の過酸化物は特に限定されず、例えば、過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化t−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸t−ブチルヒドロペルオキシド、過蟻酸t−ブチル、過酢酸t−ブチル、過安息香酸t−ブチル、過フェニル酢酸t−ブチル、過メトキシ酢酸t−ブチル、過N−(3−トルイル)カルバミン酸t−ブチル、重硫酸アンモニウム、重硫酸ナトリウム等が挙げられる。親水性のアゾ化合物は特に限定されず、例えば、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、1,1’−アゾビス(1−アミジノ−1−シクロプロピルエタン)、2,2’−アゾビス(2−アミジノ−4−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−N−フェニルアミノアミジノプロパン)、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−エチルアミノ−2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(1−アリルアミノ−1−イミノ−2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−N−シクロへキシルアミジノプロパン)、2,2’−アゾビス(2−N−ベンジルアミジノプロパン)及びその塩酸、硫酸、酢酸塩等、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−1,1’−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミド]等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0039】
(塩基増殖剤封入マイクロカプセル)
本発明の塩基増殖剤封入マイクロカプセルの体積平均粒子径は特に限定されないが、好ましい下限は0.03μm、好ましい上限は1μmである。体積平均粒子径が0.03μm未満であると、マイクロカプセル中に充分な塩基増殖剤を封入できず、充分な塩基が供給できないことがある。体積平均粒子径が1μmを超えると、マイクロカプセルが活性エネルギー線を遮ることで、硬化性樹脂組成物の充分な硬化を行うことができないことがある。体積平均粒子径のより好ましい下限は0.05μm、より好ましい上限は0.5μmである。
本明細書中、体積平均粒子径は、動的光散乱式粒度分布計(Particle Sizing Systems社製、「NICOMP model 380 ZLS−S」)により測定した値を意味する。
【0040】
本発明の塩基増殖剤封入マイクロカプセルのコア内包率は特に限定されないが、好ましい下限は6.4重量%、好ましい上限は94重量%である。コア内包率が6.4重量%未満であると、硬化性樹脂組成物の充分な硬化を行うためには多量のマイクロカプセルを配合しなければならず、粘度が高くなりすぎることがある。コア内包率が94重量%を超えると、シェルが薄くなりすぎ、エポキシ樹脂等へ分散させる際にマイクロカプセルが崩壊することがある。コア内包率のより好ましい下限は22重量%、より好ましい上限は88.5重量%である。
本明細書中、コア内包率は、マイクロカプセル全重量中のコアの重量(含有率)を意味する。
【0041】
本発明の塩基増殖剤封入マイクロカプセルのシェル厚みは特に限定されないが、好ましい下限はマイクロカプセルの平均粒子径の1%である。シェル厚みがマイクロカプセルの平均粒子径の1%未満であると、シェルが薄すぎて、マイクロカプセルの強度が不足することがある。シェル厚みのより好ましい下限はマイクロカプセルの平均粒子径の2%である。
また、シェル厚みの好ましい上限は0.3μmである。シェル厚みが0.3μmを超えると、シェルの内部内で発生した塩基が充分に放出されないことがある。シェル厚みのより好ましい上限は0.2μmである。
本明細書中、シェル厚みは、マイクロカプセルの全重量からコアの重量(含有率)を引いた残りの重量を、シェル厚みとして換算したものを意味する。
【0042】
本発明の塩基増殖剤封入マイクロカプセルの用途は特に限定されないが、硬化剤としてエポキシ樹脂等に配合され、硬化性樹脂組成物とされることが好ましい。なかでも、本発明の塩基増殖剤封入マイクロカプセルは、エポキシ樹脂及び光塩基発生剤に配合され、活性エネルギー線照射によって硬化する感光性エポキシ樹脂組成物とされることがより好ましい。
エポキシ樹脂と、光塩基発生剤と、本発明の塩基増殖剤封入マイクロカプセルとを含有する感光性エポキシ樹脂組成物もまた、本発明の1つである。
【0043】
上記エポキシ樹脂は特に限定されないが、水系エポキシ樹脂が好ましい。本発明の塩基増殖剤封入マイクロカプセルは、上記エポキシ樹脂が水系エポキシ樹脂であっても、水系エポキシ樹脂に対して均一に分散することができ、均一で信頼性の高い硬化物を形成することができる。
上記水系エポキシ樹脂は特に限定されず、公知の水系エポキシ樹脂を使用することができ、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテルが好ましい。
【0044】
上記水系エポキシ樹脂の市販品として、例えば、W2801、W2811R70、W2821R70、W3432R67、DX255(以上、jERシリーズ、三菱化学社製)、3520WY55、3540WY55、5003W55、5522WY55、6006W70(以上、エピレッツシリーズ、三菱化学社製)、アデカレジンEMシリーズ(ADEKA社製)、EX−611、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−512、EX−521、EX−421、EX−313、EX−314、EX−321、EX−810、EX−811、EX−850、EX−851、EX−821、EX−830、EX−832、EX−841、EX−861、EX−911、EX−941、EX−920、EX−145、EX−171(以上、ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
【0045】
上記光塩基発生剤として、例えば、本発明の塩基増殖剤封入マイクロカプセルにおいてコアとして封入されている、上述した光塩基発生剤等が挙げられる。
上記光塩基発生剤の配合量は特に限定されないが、上記エポキシ樹脂100重量部に対する好ましい下限が0.5重量部、好ましい上限が15重量部である。上記光塩基発生剤の配合量が0.5重量部未満であると、エポキシ樹脂の硬化効率が低下することがある。上記光塩基発生剤の配合量が15重量部を超えると、光塩基発生剤の光吸収が強いため、感光性エポキシ樹脂組成物の深部に光が到達せず、硬化不良を引き起こすことがある。上記光塩基発生剤の配合量は、上記エポキシ樹脂100重量部に対するより好ましい下限が1.0重量部、より好ましい上限が10重量部である。
【0046】
本発明の塩基増殖剤封入マイクロカプセルの配合量は特に限定されないが、上記エポキシ樹脂100重量部に対する好ましい下限が0.5重量部、好ましい上限が50重量部である。本発明の塩基増殖剤封入マイクロカプセルの配合量が0.5重量部未満であると、エポキシ樹脂の硬化効率が低下することがある。本発明の塩基増殖剤封入マイクロカプセルの配合量が50重量部を超えると、マイクロカプセルの分解に基づく硬化物の体積収縮が大きくなることがある。本発明の塩基増殖剤封入マイクロカプセルの配合量は、上記エポキシ樹脂100重量部に対するより好ましい下限が1.0重量部、より好ましい上限が20重量部である。
【0047】
本発明の感光性エポキシ樹脂組成物は、活性エネルギー線照射直後からの硬化時間の好ましい下限が0.5分、好ましい上限が2.0時間である。硬化時間が0.5分未満であると、マイクロカプセルからの塩基の放出が充分に起こらないことがある。硬化時間が2.0時間を超えると、信頼性の高い硬化物を得るには時間がかかってしまい、生産性に劣ることがある。本発明の感光性エポキシ樹脂組成物は、活性エネルギー線照射直後からの硬化時間のより好ましい下限が1.0分、より好ましい上限が30分である。