【文献】
蔀 拓也 他,次世代地上放送に向けた伝送技術 ,映像情報メディア学会技術報告 Vol.36 No.42,日本,ITE,2012年10月11日,pp.33-36
【文献】
ウィハンダル アセップ ムリヤナ 他,Two−stream MIMO−STBC IYansmission Method using Dual−polarized Antennas ,電子情報通信学会2005年通信ソサイエティ大会講演論文集1 ,IEICE,2005年 9月 7日,p.242
【文献】
遠島 康平 他,直交する偏波を利用した準直交MIMO−STBC伝送方式についての検討,電子情報通信学会技術研究報告,IEICE,2005年 7月13日,Vol.105, No.188,pp.113-118,AP2005−57
【文献】
大野 力 他,OFDM無線アクセスにおける偏波アンテナを用いたMIMOダイバーシチ適応送信電力制御法,電子情報通信学会技術研究報告,IEICE,2005年 1月21日,Vol.104, No.596,pp.55-60,RCS2004−299
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに異なる位置に置かれ、同一のデータに由来するシンボルを互いに異なる変換で符号化して得られた異なる送信信号をそれぞれ空間分割多重して送信する二つの送信装置を備える送信システムで用いられる送信装置であって、
データがマッピングされて得られたシンボルの系列データが二つに分割された並列系列データに含まれるそれぞれのシンボルについて、前記送信システムが備える他の送信装置が同一のシンボルに対して行う変換とは異なる変換を施し、該変換を施すことで得た変換後シンボルを前記他の送信装置が前記変換して得た変換後シンボルとは異なる時刻または異なる周波数に割り当てる符号化部と、
前記符号化部が符号化して得た符号化後シンボル系列それぞれに対して、逆フーリエ変換を施す逆フーリエ変換部と、
前記逆フーリエ変換部が逆フーリエ変換して得た二つの送信信号の一方を第1の偏波で無線送信する第1の送信アンテナ及び前記二つの送信信号の他方を前記第1の偏波とは異なる第2の偏波で無線送信する第2の送信アンテナをそれぞれ少なくとも一つずつと、
を備える送信装置。
前記符号化部は、前記並列系列データそれぞれをブロック毎に符号化するものであって、前記ブロック内の一の時刻または一の周波数に割り当てる異なる二つのシンボルに対してそれぞれ複素共役をとり、かつ前記二つのシンボルは同じ符号であって前記他の送信装置が符号化した後の符号化後シンボルとは異なる符号をとるように変換し、
他の送信装置が送信する他の送信信号と同一の情報に由来する送信信号を、前記第1の送信アンテナまたは前記第2の送信アンテナのうち、前記他の送信装置が前記他の送信信号を送信する偏波とは異なる偏波で送信する送信アンテナが送信する請求項1に記載の送信装置。
前記符号化部は、前記並列系列データそれぞれをブロック毎に符号化するものであって、前記並列系列データのそれぞれの系列データに含まれるシンボルに対してそれぞれ複素共役をとり、かつ前記ブロック内の一の時刻または一の周波数に割り当てる二つのシンボル双方に対してマイナスを乗じ、
他の送信装置が送信する他の送信信号と同一の情報に由来する送信信号を、前記第1の送信アンテナまたは前記第2の送信アンテナのうち、前記他の送信装置が前記他の送信信号を送信する偏波とは異なる偏波で送信する送信アンテナが送信する請求項1に記載の送信装置。
前記符号化部は、前記並列系列データそれぞれをブロック毎に符号化するものであって、前記ブロック内の一の時刻または一の周波数に割り当てる異なる二つのシンボルに対してそれぞれ複素共役をとり、かつ前記二つのシンボルのうちいずれかにマイナスを乗じ、
他の送信装置が送信する他の送信信号と同一の情報に由来する送信信号を、前記第1の送信アンテナまたは前記第2の送信アンテナのうち、前記他の送信装置が前記他の送信信号を送信する偏波と同じ偏波で送信する送信アンテナが送信する請求項1に記載の送信装置。
前記符号化部は、前記並列系列データそれぞれをブロック毎に符号化するものであって、前記並列系列データのそれぞれの系列データに含まれるシンボルに対してそれぞれ複素共役をとり、かつ一方の前記系列データに含まれる第1の時刻または第1の周波数に割り当てるシンボルに対してマイナスを乗じ、他方の前記系列データに含まれる第2の時刻または第2の周波数に割り当てるシンボルに対してマイナスを乗じ、
他の送信装置が送信する他の送信信号と同一の情報に由来する送信信号を、前記第1の送信アンテナまたは前記第2の送信アンテナのうち、前記他の送信装置が前記他の送信信号を送信する偏波と同じ偏波で送信する送信アンテナが送信する請求項1に記載の送信装置。
異なる位置に置かれ、同一のデータを互いに異なる変換で符号化して得られた異なる送信信号をそれぞれ空間分割多重して送信する第1の送信装置と第2の送信装置が送信する送信信号を受信する受信装置であって、
第1の偏波の信号を受信する第1の受信アンテナと、
前記第1の偏波とは異なる第2の偏波の信号を受信する第2の受信アンテナと、
前記第1の受信アンテナが受信した信号をフーリエ変換し、前記第2の受信アンテナが受信した信号をフーリエ変換するフーリエ変換部と、
前記フーリエ変換部がフーリエ変換することで得られた信号のうち、前記第1の送信装置が送信した既知のパイロット信号と前記第2の送信装置が送信した既知のパイロット信号を参照して伝送路応答を推定する伝送路応答推定部と、
前記伝送路応答推定部が算出した伝送路応答、及び前記フーリエ変換部がフーリエ変換することで得られた信号を参照して、前記第1の送信装置と前記第2の送信装置が送信した信号を推定する送信信号検出部と、
を備える受信装置。
互いに異なる位置に置かれ、同一のデータに由来するシンボルを互いに異なる変換で符号化して得られた異なる送信信号をそれぞれ空間分割多重して送信する二つの送信装置を備える送信システムであって、
前記送信装置は、
データがマッピングされて得られたシンボルの系列データが二つに分割された並列系列データに含まれるそれぞれのデータについて、前記送信システムが備える他の送信装置が同一のシンボルに対して行う変換とは異なる変換を施し、該変換を施すことで得た変換後シンボルを前記他の送信装置が前記変換して得た変換後シンボルとは異なる時刻または異なる周波数に割り当てる符号化部と、
前記符号化部が符号化して得た符号化後のシンボル系列それぞれに対して、逆フーリエ変換を施す逆フーリエ変換部と、
前記逆フーリエ変換部が逆フーリエ変換して得た二つの送信信号の一方を第1の偏波で無線送信する第1の送信アンテナ及び前記二つの送信信号の他方を前記第1の偏波とは異なる第2の偏波で無線送信する第2の送信アンテナをそれぞれ少なくとも一つずつと、
を備える送信システム。
互いに異なる位置に置かれ、同一のデータに由来するシンボルを互いに異なる変換で符号化して得られた異なる送信信号をそれぞれ空間分割多重して送信する第1の送信装置と第2の送信装置と、該第1の送信装置と該第2の送信装置がそれぞれ送信する送信信号を受信する受信装置とを具備する伝送システムであって、
前記第1の送信装置と前記第2の送信装置はそれぞれ、
データがマッピングされて得られたシンボルの系列データが二つに分割された並列系列データに含まれるそれぞれのデータについて、前記伝送システムが備える他の送信装置が同一のシンボルに対して行う変換とは異なる変換を施し、該変換を施すことで得た変換後シンボルを前記他の送信装置が前記変換して得た変換後シンボルとは異なる時刻または異なる周波数に割り当てる符号化部と、
前記符号化部が符号化して得た符号化後のシンボル系列それぞれに対して、逆フーリエ変換を施す逆フーリエ変換部と、
前記逆フーリエ変換部が逆フーリエ変換して得た二つの送信信号の一方を第1の偏波で無線送信する第1の送信アンテナ及び前記二つの送信信号の他方を前記第1の偏波とは異なる第2の偏波で無線送信する第2の送信アンテナをそれぞれ少なくとも一つずつと、
を備え、
前記受信装置は、
前記第1の偏波の信号を受信する第1の受信アンテナと、
前記第2の偏波の信号を受信する第2の受信アンテナと、
前記第1の受信アンテナが受信した信号をフーリエ変換し、前記第2の受信アンテナが受信した信号をフーリエ変換するフーリエ変換部と、
前記フーリエ変換部がフーリエ変換することで得られた信号のうち、前記第1の送信装置が送信した既知のパイロット信号と前記第2の送信装置が送信した既知のパイロット信号を参照して伝送路応答を推定する伝送路応答推定部と、
前記伝送路応答推定部が算出した伝送路応答、及び前記フーリエ変換部がフーリエ変換することで得られた信号を参照して、前記第1の送信装置と前記第2の送信装置が送信した信号を推定する送信信号検出部と、
を備える伝送システム。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、各実施例に共通する伝送システム5の構成を示す概略ブロック図である。伝送システム5は、送信システム4と受信装置30とを備える。ここで、送信システム4は第1の送信装置10と第2の送信装置20とを備える。第1の送信装置10と第2の送信装置20とは異なる位置に置かれている。第1の送信装置10と第2の送信装置20とは、同一のデータを互いに異なる符号化行列で符号化して得られた異なる送信信号をそれぞれ空間分割多重して送信する。受信装置30は、第1の送信装置10と第2の送信装置20それぞれが送信した送信信号を受信し、受信した送信信号を復号する。
【0025】
図2は、各実施例に共通する送信システム4の構成を示す概略ブロック図である。第1の送信装置10と第2の送信装置20は、同じデータを受け取る。第1の送信装置10は、誤り訂正符号化部11、マッピング部(以下、Mapping部ともいう)12、直列並列変換部(以下、S/P部ともいう)13、符号化部14、OFDMフレーム構成部151、152、逆フーリエ変換部16、送信部17と、第1の送信アンテナ181、及び第2の送信アンテナ182を備える。ここで、符号化部14は、第1の変換部141、及び第2の変換部142を備える。また、送信部17は、GI付加部171、172を備える。逆フーリエ変換部16は、IFFT部161、162を備える。
【0026】
誤り訂正符号化部11は、外部から入力されたデータに対して、誤り訂正符号化(例えば、LDPC(Low−Density Parity−Check)符号化)を施す。
誤り訂正符号化部11は、誤り訂正符号化を施した後の信号をマッピング部12に出力する。
【0027】
マッピング部12は、例えば、誤り訂正符号化部11から入力された信号を、QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)マッピングでI/Q平面にマッピングする。マッピング部12は、マッピングして得たシンボルの系列データを直列並列変換部13へ出力する。
なお、マッピング部12におけるマッピングは、QAMに限らず、他のマッピングでもよい。マッピング部12は、予め決められた規則でデータをマッピングすればよい。
【0028】
直列並列変換部13は、マッピング部12から入力されたシンボルの系列データを、シンボルが並列する並列系列データに変換する。具体的には、例えば、直列並列変換部13は、マッピング部12から入力されたシンボルの系列データに含まれるシンボルを交互に、第1の系列データと第2の系列データに分割することで、並列系列データに変換する。
直列並列変換部13は、変換して得た並列系列データのうち一方の系列データを符号化部14の第1の変換部141へ、他方の系列データを符号化部14の第2の変換部142へ出力する。
【0029】
符号化部14は、直列並列変換部13が変換して得た並列系列データに対して、第2の送信装置20の符号化部24とは異なる符号化処理(例えば、符号化行列を用いた処理)で符号化する。具体的には、例えば、第1の変換部141は並列系列データのうち一方の系列データに対して第1の規則で変換する。第2の変換部142が並列系列データのうち他方の系列データに対して第2の規則で変換する。変換の詳細は、後述する実施例毎に異なるので実施例毎に後述する。第1の変換部141は、変換後の信号をOFDMフレーム構成部151へ出力する。第2の変換部142は、変換後の信号をOFDMフレーム構成部152へ出力する。
【0030】
OFDMフレーム構成部151は、第1の変換部141から入力された符号化後の信号と自ら保持するパイロット信号とを用いて、OFDM(Orthogonal Frequency−Division Multiplexing:直交周波数分割多重方式)シンボルを生成する。OFDMフレーム構成部151は、生成したOFDMシンボルをIFFT部161へ出力する。
【0031】
OFDMフレーム構成部152は、第2の変換部142から入力された符号化後の信号と自ら保持するパイロット信号とを用いて、OFDMシンボルを生成する。OFDMフレーム構成部152は、生成したOFDMシンボルをIFFT部162へ出力する。
【0032】
IFFT部161は、OFDMフレーム構成部151から入力されたOFDMシンボルに逆フーリエ変換を施し、逆フーリエ変換を施して得た信号を、GI付加部171へ出力する。また、IFFT部162は、OFDMフレーム構成部152から入力されたOFDMシンボルに逆フーリエ変換を施し、逆フーリエ変換を施して得た信号を、GI付加部172へ出力する。このように、逆フーリエ変換部16は、符号化部14が符号化して得た符号化後のシンボル系列それぞれに対して、逆フーリエ変換を施す。
【0033】
GI付加部171は、IFFT部161から入力された信号に対して、GI(Guard Interval:ガードインターバル)を付加して、付加した後の送信信号を、第1の送信アンテナ181から送信する。GI付加部172は、IFFT部162から入力された信号に対して、GIを付加して、付加した後の送信信号を、第2の送信アンテナ182から送信する。このようにして、送信部17は、逆フーリエ変換部16が逆フーリエ変換した後の送信信号の一方を第1の送信アンテナ181から、他方を第2の送信アンテナ182から送信する。
【0034】
第1の送信アンテナ181は、第1の偏波(本実施形態では、一例として水平偏波)で送信信号を無線で送信する。第2の送信アンテナ182は、第1の偏波とは異なる第2の偏波(本実施形態では、一例として垂直偏波)で送信信号を無線で送信する。
【0035】
第2の送信装置20は、誤り訂正符号化部21、マッピング部22、直列並列変換部23、符号化部24、OFDMフレーム構成部251、252、逆フーリエ変換部26、送信部27と、第3の送信アンテナ281、及び第4の送信アンテナ282を備える。ここで、符号化部24は、第3の変換部241、及び第4の変換部242を備える。また、送信部27は、GI付加部271、272を備える。逆フーリエ変換部26は、IFFT部261、262を備える。
【0036】
誤り訂正符号化部21は、誤り訂正符号化部11と同様の処理を行う。マッピング部22は、マッピング部12と同様の処理を行う。直列並列変換部23は、直列並列変換部13と同様の処理を行う。符号化部24は、直列並列変換部23が変換して得た並列系列データに対して、第1の送信装置10の符号化部14とは異なる符号化処理(例えば、符号化行列を用いた処理)で符号化する。
【0037】
具体的には、例えば、第3の変換部241は並列系列データのうち一方の系列データに対して第3の規則で変換する。第4の変換部242が並列系列データのうち他方の系列データに対して第4の規則で変換する。変換の詳細は、後述する実施例毎に異なるので実施例毎に後述する。第3の変換部241は、変換後の信号をOFDMフレーム構成部251へ出力する。第4の変換部242は、変換後の信号をOFDMフレーム構成部252へ出力する。
【0038】
OFDMフレーム構成部251、252は、それぞれOFDMフレーム構成部151、152と同様の処理を行う。GI付加部271、272は、それぞれGI付加部171、172と同様の処理を行う。
第3の送信アンテナ281は、第1の偏波(本実施形態では、一例として水平偏波)で送信信号を無線で送信する。第4の送信アンテナ282は、第1の偏波とは異なる第2の偏波(本実施形態では、一例として垂直偏波)で送信信号を無線で送信する。
【0039】
以降、第1の送信装置10をA局、第2の送信装置20をB局ともいう。また、第1の送信アンテナ181をアンテナ0、第2の送信アンテナ182をアンテナ1、第3の送信アンテナ281をアンテナ2、第4の送信アンテナ282をアンテナ3ともいう。
また、以降では、一例として、直交する偏波を使ってデータの多重伝送を行うPDM(偏波分割多重)を想定する。直交する偏波としては、一例として水平偏波、垂直偏波を用いたPDMを想定する。A局ではアンテナ0で水平偏波で送信し、アンテナ1で垂直偏波で送信する。B局ではアンテナ2で水平偏波で送信し、アンテナ3で垂直偏波で送信する。
【0040】
図3は、各実施例の送信システム間で、符号化方式を比較した図である。同図における「符号化ペア」は、同一のデータに対して符号化を施した後の送信信号の組である。「同一偏波で送信」とは、符号化ペアを構成する二つの送信信号が同一の偏波で送信されることを意味する。「交差偏波で送信」とは、符号化ペアを構成する二つの送信信号が互いに直交する偏波で送信されることを意味する。また、後述する片方の符号化行列(例えば、STBC0またはSTBC1のいずれか)の時空間ブロック符号化行列で符号反転があるか否かが示されている。
また、各実施例は、送信システムで用いられる符号化規則として、STBC(Space Time Block Coding)と、SFBC(Space Frequency Block Code)とに分けられている。各欄には、実施例の番号と、該実施例の番号の下に、その実施例で用いられるSTBC0の符号化行列と、その実施例で用いられるSTBC1の符号化行列との組が示されている。
【0041】
実施例1〜4はAlamoutiのSTBCを少なくとも一部適用した例である。実施例5〜8はModified AlamoutiのSTBCを少なくとも一部適用した例である。MISO伝送の場合について、欧州の地上デジタル放送の伝送方式DVB−T2で、このModified Alamoutiが規格化されている。
【0042】
AlamoutiのSTBCでは、式(1)の行列Jによって符号化を行うため、送信局のA局、B局の時刻t+1の信号に複素共役処理が発生するが、Modified Alamoutiでは、送信局のA局から送信する信号は符号反転などを一切行わず、B局の信号のみに符号反転を適用している。これにより、サービスをすでに開始しているA局がある場合に、A局は従来通りの信号を送信しつつ、サービスエリアに新たに建設するB局に備える変調器をModified Alamoutiの符号化に対応したものとすることも可能となる。
【0043】
実施例9、10はAlamoutiのSTBCを、周波数方向に適用したSFBCの場合である。前述のModified Alamoutiを、SFBCに適用する方法が通信規格LTE(Long Term Evolution)で規格化されている。同図内の実施例11は説明を省略するが、
図22〜26で伝送特性を評価した結果について説明する。同図において、「省略」と記載されたケースについては、説明を省略する。
【0044】
また、ハッチングされた領域の実施例では、後述するように、一方の送信装置から受信装置30への伝搬路で偏波回転があっても、後述する観測方程式が重複しないので、受信装置30は、受信信号から送信信号を算出することができる。その結果、ハッチングされた領域の実施例では、当該一方の送信装置から受信装置30への伝搬路で偏波回転があっても伝送特性が劣化しないという利点がある。
【0045】
続いて、後述する実施例との比較のために、非特許文献1における送信システムの構成について説明する。
図28は、非特許文献1に示された送信装置の構成を示す概略ブロック図である。同図の送信システムにおいて、STBC0及びSTBC1は、例えば式(1)の行列Jに従ってシンボルの系列データを符号化する。
【0047】
ここで、式(1)の行列JはAlamoutiの時空間ブロック符号化行列である。行列Jの行が送信アンテナ番号に対応し、行列Jは2本の送信アンテナで信号を送信する際に用いられる。行列Jの列が送信時間に対応する。
【0048】
図28の例において、STBC0は、シンボル「S0、S2」を時刻tで「S0」、時刻t+1で「−S2
*」に変換する。IFFT部は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ0から送信する。また、
図28の例において、STBC0は、シンボル「S0、S2」を時刻tで「S2」、時刻t+1で「S0
*」に変換する。IFFT部は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ1から送信する。
図28の例において、STBC1は、シンボル「S1、S3」を時刻tで「S1」、時刻t+1で「−S3
*」に変換する。IFFT部は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ2から送信する。また、
図28の例において、STBC1は、シンボル「S1、S3」を時刻tで「S3」、時刻t+1で「S1
*」に変換する。IFFT部は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ3から送信する。
【0049】
[実施例1]
図4は、実施例1における送信システムの等価概念図である。同図は、非特許文献1の送信システムとの違いが分かり易くなるように記載した比較のための概念図であり、実際の送信システムの構成とは異なる。STBC0とSTBC1は、仮想の構成であり送信システム4にはこのような部材は存在しない。また、Mapping部とS/P部も第1の送信装置10と第2の送信装置20に共通するように記載しているが、送信システム4では一例として共通ではない。以下、他の実施例についても、同様の点が送信システム4の構成とは異なる。
【0050】
非特許文献1では、
図28の送信装置を提示しているが、アンテナ0〜4の物理的配置については規定していない。実施例1では、STBCによって符号化されたデータがA局、B局から送信されるようにするため、アンテナ0〜4を
図4のような配置としている。
同図におけるHは水平偏波での送信を表し、Vは垂直偏波での送信を表す。以下の図でも同様とする。
図4において、STBC0及びSTBC1では、例えば式(1)の行列Jに従ってシンボルの系列データを符号化する。具体的には、例えば、STBC0及びSTBC1は、「S0、S2」というシンボルの系列データを「S0、−S2
*」と「S2、S0
*」の二つの系列データに変換する。
【0051】
実施例1の実際の構成では、第1の変換部141は、例えばシンボル「S0、S2」を時刻tに「S0」、時刻t+1に「−S2
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部161は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ0から送信する。また、第3の変換部241は、例えばシンボル「S0、S2」を時刻tに「S2」、時刻t+1に「S0
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部261は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ2から送信する。
【0052】
第2の変換部142は、例えばシンボル「S1、S3」を時刻tに「S1」、時刻t+1に「−S3
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部162は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ1から送信する。また、第4の変換部242は、例えばシンボル「S1、S3」を時刻tに「S3」、時刻t+1に「S1
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部262は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ3から送信する。
【0053】
このことから、符号化部14及び符号化部24は、直列並列変換部(13または23)が変換して得た並列系列データそれぞれをブロック毎に符号化する。その際、符号化部14及び符号化部24は、該シンボルの系列データを符号化する送信システム4で用いられる他方の送信装置が同一のシンボルに対して符号化して得られる符号化信号とは、割り当てられる時刻が異なり、かつ互いに複素共役の関係にある符号化信号が得られるように、該シンボルの系列データを符号化する。
【0054】
実施例1はB局の伝搬路における90度の偏波回転によって伝送特性が劣化するが、この90度の偏波回転がない場合は伝送特性の劣化は起こらない(後述する
図8、9参照)。非特許文献1では、アンテナ2、アンテナ3がB局に設置されているものとすると、仮に、B局からの信号が全く受信できなくなった場合、受信装置は、S0、S2を受信できるがS1とS3を受信できないので、全データを復元することができなかった。
それに対し、実施例1では、B局からの信号が全く受信できなくなった場合(例えば、B局が壊れた場合)でも、A局が全てのシンボル(例えば、S0、S1、S2、S3)に基づく信号を送信できるので、その信号を受信した受信装置30は、全データを復元することができるという利点を有する。
【0055】
[実施例1’]
実施例1’における送信システム4は、実施例1と同様の処理を行うが、実施例1と以下の点で異なる。実施例1’では、STBC0及びSTBC1が、実施例1とは異なる行列Kに従って、それぞれシンボルの系列データを符号化する。行列Kは、次の式(2)で表される。
【0057】
ここで行列Kは、行列Jと比較すると、1行2列の要素の符号がプラスになり、2行2列の要素の符号がマイナスになっている点が異なる。すなわち、2列目の符号が反転している。
【0058】
[実施例2]
図5は、実施例2における送信システムの等価概念図である。STBC0は、例えば式(1)の行列Jに従ってシンボルの系列データを符号化する。一方、STBC1は例えば式(2)の行列Kに従ってシンボルの系列データを符号化する。
【0059】
実際の構成では、第1の変換部141は、例えばシンボル「S0、S2」を時刻tに「S0」、時刻t+1に「−S2
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部161は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ0から例えば水平偏波で送信する。また、第3の変換部241は、例えばシンボル「S0、S2」を時刻tに「S2」、時刻t+1に「S0
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部261は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ2から例えば水平偏波で送信する。
【0060】
第2の変換部142は、例えばシンボル「S1、S3」を時刻tに「S1」、時刻t+1に「S3
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部162は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ1から例えば垂直偏波で送信する。また、第4の変換部242は、例えばシンボル「S1、S3」を時刻tに「S3」、時刻t+1に「−S1
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部262は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ3から例えば垂直偏波で送信する。
【0061】
STBC1で、行列Kの2列目の符号を、行列Jの2列目の符号と反転させることで、以下のようになっている。時刻t+1において、アンテナ0で送信するための符号化後シンボル「−S2
*」とアンテナ1で送信するための符号化後シンボル「S3
*」とで互いに符号が異なっている。また、B局のアンテナ2で送信するための符号化後シンボル「S0
*」とB局のアンテナ3で送信するための符号化後シンボル「−S1
*」で、互いに符号が異なっている。
【0062】
以上、第2の実施形態において、STBC符号化に用いる行列Kの2列目の各成分の符号が行列Jの2列目の対応する成分の符号とは異なる。視点を変えると、符号化部14及び符号化部24は、ブロック毎に符号化するものであって、ブロック内の一の時刻(例えば、時刻t+1)において、送信装置間で同一の偏波で送信される上記符号化後のシンボルの符号が互いに異なり、上記一の時刻(例えば、時刻t+1)において、上記並列系列データのうち一方の系列データの符号化後の符号が他方の系列データの符号化後の符号と異なるように符号化する。また、その際、符号化部14及び符号化部24は、実施例1と同様に、送信システム4で用いられる他方の送信装置が同一のシンボルに対して符号化して得られる符号化信号とは、割り当てられる時刻が異なり、かつ互いに複素共役の関係にある符号化信号が得られるように符号化する。これにより、B局から受信装置30への伝搬路で偏波回転があっても、後述する観測方程式が重複しないので、受信装置30は、受信信号から送信信号を算出することができる。その結果、B局から受信装置30への伝搬路で偏波回転があっても伝送特性が劣化せず、実施例1に比べて利点がある。
【0063】
[実施例2’]
実施例2’における送信システム4は、実施例2と同様の処理を行うが、実施例2と以下の点で異なる。実施例2’では、実施例2とは逆に、STBC0が行列Kに従ってシンボルの系列データを符号化する。STBC1が行列Jに従ってシンボルの系列データを符号化する。
【0064】
[実施例3]
図6は、実施例3における送信システム4の等価概念図である。同図の送信システム4において、STBC0及びSTBC1は、ともに式(1)の行列JによってSTBCを実現する。送信システム4は、STBC0でSTBC符号化して得た二つの送信信号をそれぞれA局のアンテナ0とB局のアンテナ3で伝送する。ここで、一例としてアンテナ0は水平偏波で送信信号を送信し、アンテナ3は垂直偏波で送信信号を送信する。すなわち、送信システム4は、STBC0でSTBC符号化して得た二つの送信信号それぞれを互いに異なる送信装置かつ異なる偏波で送信する。
【0065】
また、送信システム4は、STBC1でSTBC符号化して得た二つの送信信号をそれぞれA局のアンテナ1とB局のアンテナ2で伝送する。ここで、一例としてアンテナ1は垂直偏波で送信信号を送信し、アンテナ2は水平偏波で送信信号を送信する。すなわち、送信システム4は、STBC1でSTBC符号化して得た二つの送信信号それぞれを異なる送信装置から、かつ異なる偏波で送信する。
なお、アンテナ0及びアンテナ2が垂直偏波で、アンテナ1及びアンテナ3が水平偏波で送信信号を送信してもよい。
【0066】
実際の構成では、第1の変換部141は、例えばシンボル「S0、S2」を時刻tに「S0」、時刻t+1に「−S2
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部161は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ0から送信する。また、第3の変換部241は、例えばシンボル「S0、S2」を時刻tに「S2」、時刻t+1に「S0
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部261は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ3から送信する。
【0067】
第2の変換部142は、例えばシンボル「S1、S3」を時刻tに「S1」、時刻t+1に「−S3
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部162は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ1から送信する。また、第4の変換部242は、例えばシンボル「S1、S3」を時刻tに「S3」、時刻t+1に「S1
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部262は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ2から送信する。
【0068】
以上、第3の実施例において、送信システム4は、同一の情報をSTBC符号化して得た二つの送信信号それぞれを異なる送信装置から、かつ異なる偏波で送信する。視点を変えると、一方の送信装置は、他方の送信装置が送信する他の送信信号と同一の情報に由来する送信信号を送信する際に、他の送信装置が当該他の送信信号を送信する偏波とは異なる偏波で送信信号を送信する。また符号化部14及び符号化部24は、ブロック毎に符号化するものであって、一の時刻(例えば、時刻t+1)において、上記並列系列データのうち一方の系列データの符号化後の符号が他方の系列データの符号化後の符号と同じとなるように符号化する。また、その際、符号化部14及び符号化部24は、上記一の時刻(例えば、時刻t+1)において、符号化後の符号が、他の送信装置と同じ偏波で送信する符号化後のシンボルの符号と異なるように符号化する。これにより、B局から受信装置30への伝搬路で偏波回転があっても、後述する観測方程式が重複しないので、受信装置30は、受信信号から送信信号を算出することができる。その結果、B局から受信装置30への伝搬路で偏波回転があっても伝送特性が劣化せず、実施例1に比べて利点がある。
【0069】
[実施例3’]
実施例3’における送信システム4は、実施例3と同様の処理を行うが、実施例3と以下の点で異なる。実施例3’では、STBC0及びSTBC1が、実施例3とは異なる行列Kに従って、それぞれシンボルの系列データを符号化する。
【0070】
[実施例4]
図7は、実施例4における送信システム4の等価概念図である。同図の送信システム4において、STBC0は式(1)の行列Jを用いてSTBCを実現し、STBC1は式(2)の行列Kを用いてSTBCを実現する。送信システム4は、STBC0でSTBC符号化して得た二つの送信信号をそれぞれA局のアンテナ0とB局のアンテナ3から送信する。ここで、アンテナ0は水平偏波で送信信号を送信し、アンテナ3は垂直偏波で送信信号を送信する。すなわち、送信システム4は、STBC0でSTBC符号化して得た二つの送信信号それぞれを互いに異なる送信装置からかつ異なる偏波で送信する。
【0071】
また、送信システム4は、STBC1でSTBC符号化して得た二つの送信信号をそれぞれA局のアンテナ1とB局のアンテナ2から送信する。ここで、アンテナ1は垂直偏波で送信信号を送信し、アンテナ2は水平偏波で送信信号を送信する。すなわち、送信システム4は、STBC1でSTBC符号化して得た二つの送信信号それぞれを異なる送信装置から、かつ異なる偏波で送信する。
なお、アンテナ0及びアンテナ2が垂直偏波で、アンテナ1及びアンテナ3が水平偏波で送信信号を送信してもよい。
【0072】
実際の構成では、第1の変換部141は、例えばシンボル「S0、S2」を時刻tに「S0」、時刻t+1に「−S2
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部161は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ0から送信する。また、第3の変換部241は、例えばシンボル「S0、S2」を時刻tに「S2」、時刻t+1に「S0
*」に割り当てた系列データに変換する。IFFT部261は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ3から送信する。
【0073】
第2の変換部142は、例えばシンボル「S1、S3」を時刻tに「S1」、時刻t+1に「S3
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部162は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ1から送信する。また、第4の変換部242は、例えばシンボル「S1、S3」を時刻tに「S3」、時刻t+1に「−S1
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部262は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ2から送信する。
【0074】
以上、第4の実施例において、送信システム4は、同一の情報をSTBC符号化して得た二つの送信信号それぞれを異なる送信装置から、かつ異なる偏波で送信する。また、STBC符号化に用いる行列Kの2列目の各成分の符号が行列Jの2列目の各成分の符号とは異なる。視点を変えると、一方の送信装置の送信部は、他方の送信装置が送信する他の送信信号と同一の情報に由来する送信信号を送信する際に、他の送信装置が伝送する偏波とは異なる偏波で伝送する。すなわち第1の送信装置は、第1の送信アンテナ181または第2の送信アンテナ182のうち、他の送信装置が伝送する偏波とは異なる偏波で伝送する送信アンテナから送信信号を送信する。
また符号化部14及び符号化部24は、ブロック毎に符号化するものであって、上記一の時刻(例えば、時刻t+1)において、上記並列系列データのうち一方の系列データの符号化後の符号が他方の系列データの符号化後の符号と異なるように符号化する。また、その際、符号化部14及び符号化部24は、上記一の時刻(例えば、時刻t+1)において、符号化後の符号が、他の送信装置と同じ偏波で送信する符号化後のシンボルの符号と同じになるように符号化する。また、その際、実施例1と同様に、符号化部14及び符号化部24は、送信システムで用いられる他方の送信装置が同一のシンボルに対して符号化して得られる符号化信号とは、割り当てられる時刻が異なり、かつ互いに複素共役の関係にある符号化信号が得られるように符号化する。
【0075】
続いて、
図8及び
図9を用いて、A局の電波を受信アンテナのメインローブで受信し、B局の電波をサイドローブで受信するときの特性のシミュレーション結果について説明する。シミュレーション条件として、変調多値数は1024QAM、FFTサイズは8kとする。また、A局とB局の受信電力が同じ、すなわちD/Uが0dBの条件で、A局の受信電力に対する雑音電力の比でC/N(Carrier to Noise Ratio)を規定する。このシミュレーション結果は、その際のビット誤り率(BER)を測定した結果である。
【0076】
図8は、B局の電波が偏波回転せず受信された場合(回転角0°)のビット誤り率特性である。縦軸はビット誤り率(BER)で、横軸は各偏波の受信C/Nの平均である。同図において、実施例1も実施例3もほぼ同じビット誤り率特性を示している。いずれもビット誤り率が1.0×10
−7となるC/Nは約23dBである。
図9は、B局の電波が90°偏波回転して受信された場合のビット誤り率特性である。
縦軸はビット誤り率(BER)で、横軸は各偏波の受信C/Nの平均である。同図において、実施例3のビット誤り率特性は、
図8における実施例3のビット誤り率特性とほぼ同じである。ビット誤り率が1.0×10
−7となるC/Nは約23dBである。一方、実施例1は、C/Nを大きくしてもビット誤り率が高いままである。
【0077】
図8及び
図9より、実施例1では、B局の受信信号に90°の偏波回転がある場合の伝送特性は、B局の受信信号に偏波回転がない場合に比べて劣化する。それに対し、実施例3では、B局の受信信号に90°の偏波回転がある場合の伝送特性は、B局の受信信号に偏波回転がない場合に比べて劣化していない。実施例2は、実施例3と同様の特性を示すため省略する。このように、実施例2、3では、伝送システム5は、B局の受信信号に90°の偏波回転があっても伝送特性を劣化させない。
【0078】
[実施例4’]
実施例4’における送信システム4は、実施例4と同様の処理を行うが、実施例4と以下の点で異なる。実施例4’では、実施例4とは逆に、STBC0が行列Kに従ってシンボルの系列データを符号化する。STBC1が行列Jに従ってシンボルの系列データを符号化する。
【0079】
[実施例5]
図10は、実施例5における送信システム4の等価概念図である。同図の送信システム4において、STBC0及びSTBC1は、例えば式(3)の行列Lに従ってそれぞれシンボルの系列データを符号化する。ここで、式(3)の行列Lは、Alamoutiの時空間ブロック符号化行列Jを一部変更したもの(Modified Alamouti)である。
【0081】
行列Lの行はアンテナ番号に対応し、列は送信時間に対応する。送信システム4は、STBC0でSTBC符号化して得た二つの送信信号をそれぞれA局のアンテナ0とB局のアンテナ2で伝送する。ここで、アンテナ0は水平偏波で送信信号を送信し、アンテナ2は水平偏波で送信信号を送信する。すなわち、送信システム4は、STBC0でSTBC符号化して得た二つの送信信号それぞれを互いに異なる送信装置から同じ偏波(同一偏波)で送信する。
【0082】
また、送信システム4は、STBC1でSTBC符号化して得た二つの送信信号をそれぞれA局のアンテナ1とB局のアンテナ3から送信する。ここで、アンテナ1は垂直偏波で送信信号を送信し、アンテナ3は垂直偏波で送信信号を送信する。すなわち、送信システム4は、STBC1でSTBC符号化して得た二つの送信信号それぞれを異なる送信装置からかつ同じ偏波(同一偏波)で送信する。
なお、アンテナ0及びアンテナ2が垂直偏波で、アンテナ1及びアンテナ3が水平偏波で送信信号を送信してもよい。
【0083】
実際の構成では、第1の変換部141は、例えばシンボル「S0、S2」を変換せずに時刻tに「S0」、時刻t+1に「S2」を割り当てた系列データを出力する。IFFT部161は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ0から送信する。また、第3の変換部241は、例えばシンボル「S0、S2」を時刻tに「−S2
*」、時刻t+1に「S0
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部261は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ2から送信する。
【0084】
第2の変換部142は、例えば「S1、S3」を変換せずに時刻tに「S1」、時刻t+1に「S3」を割り当てた系列データを出力する。IFFT部162は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ1から送信する。また、第4の変換部242は、例えば「S1、S3」を時刻tに「−S3
*」、時刻t+1に「S1
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部262は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ3から送信する。
【0085】
以上、第5の実施例において、第1の送信装置(A局)10における符号化部14は、入力されたシンボル系列に対して変更を加えず、そのままシンボル系列を出力する。第2の送信装置(B局)20における符号化部24は、入力されたシンボル系列に対して変更を加える。これにより、サービスをすでに開始しているA局がある場合に、A局は従来通りの信号を送信しつつ、サービスエリアに新たに建設するB局に備える符号化部24がModified Alamoutiの符号化に対応したもので符号化すれば良いため、放送ネットワークの構築コストが抑えることができる。
【0086】
[実施例5’]
実施例5’における送信システム4は、実施例5と同様の処理を行うが、実施例5と以下の点で異なる。実施例5’では、STBC0及びSTBC1が、実施例5とは異なる行列Mに従って、それぞれシンボルの系列データを符号化する。行列Mは、次の式(4)で表される。
【0088】
行列Mは、行列Lと比較すると、2行目の各成分の符号が反転している。
【0089】
[実施例6]
実施例6は、STBC1において、Modified Alamoutiの時空間ブロック符号化行列の符号反転がある場合の例である。
図11は、実施例6における送信システムの等価概念図である。STBC0は、式(3)の行列Lを用いてシンボルの系列データに対してSTBCを施す。一方、STBC1は式(4)に示す行列Mを用いてシンボルの系列データに対してSTBCを施す。
【0090】
送信システム4は、STBC0でSTBC符号化して得た二つの送信信号をそれぞれA局のアンテナ0とB局のアンテナ2から送信する。ここで、アンテナ0は水平偏波で送信信号を送信し、アンテナ2は水平偏波で送信信号を送信する。すなわち、送信システム4は、STBC0でSTBC符号化して得た二つの送信信号それぞれを互いに異なる送信装置からかつ同じ偏波(同一偏波)で送信する。
【0091】
また、送信システム4は、STBC1でSTBC符号化して得た二つの送信信号をそれぞれA局のアンテナ1とB局のアンテナ3から送信する。ここで、アンテナ1は垂直偏波で送信信号を送信し、アンテナ3は垂直偏波で送信信号を送信する。すなわち、送信システム4は、STBC1でSTBC符号化して得た二つの送信信号それぞれを異なる送信装置から、かつ同じ偏波(同一偏波)で送信する。
なお、アンテナ0及びアンテナ2が垂直偏波で、アンテナ1及びアンテナ3が水平偏波で送信信号を送信してもよい。
【0092】
実際の構成では、第1の変換部141は、例えばシンボル「S0、S2」を変換せずに、時刻tに「S0」、時刻t+1に「S2」を割り当てた系列データを出力する。IFFT部161は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ0から送信する。また、第3の変換部241は、例えばシンボル「S0、S2」を時刻tに「−S2
*」、時刻t+1に「S0
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部261は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ2から送信する。
【0093】
第2の変換部142は、例えばシンボル「S1、S3」を変換せずに、時刻tに「S1」、時刻t+1に「S3」を割り当てた系列データを出力する。IFFT部162は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ1から送信する。また、第4の変換部242は、例えばシンボル「S1、S3」を時刻tに「S3
*」、時刻t+1に「−S1
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部262は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ3から送信する。
【0094】
このことから、符号化部24は、並列系列データそれぞれをブロック毎に符号化するものであって、該ブロック内のそれぞれの時刻において、上記並列系列データのうち一方の系列データの符号化後の符号が他方の系列データの符号化後の符号と異なるように符号化する。また、その際、符号化部24は、送信システム4で用いられる他方の送信装置である第1の送信装置10が同一のシンボルに対して符号化して得られる符号化信号とは、割り当てられる時刻が異なり、かつ互いに複素共役の関係にある符号化信号が得られるように、符号化する。
【0095】
以上、第6の実施例において、B局におけるアンテナ2は「−S2
*、S0
*」を、アンテナ3は「S3
*、−S1
*」を送信する。アンテナ2とアンテナ3とでは、それぞれの時刻における符号化後の信号の符号が異なっている。また実施例5では、アンテナ3は「−S3
*、S1
*」を送信しているので、実施例5と比べて、アンテナ3が送信する信号の符号が前後で逆になっている。これにより、B局から受信装置30への伝搬路で偏波回転があっても、後述する観測方程式が重複しないので、受信装置30は、受信信号から送信信号を算出することができる。その結果、B局の偏波回転があっても伝送特性が劣化せず、実施例5に比べて利点がある。
【0096】
[実施例6’]
実施例6’における送信システム4は、実施例6と同様の処理を行うが、実施例6と以下の点で異なる。実施例6’では、実施例6とは逆に、STBC0が行列Mに従ってシンボルの系列データを符号化する。STBC1が行列Lに従ってシンボルの系列データを符号化する。
【0097】
[実施例7]
図12は、実施例7における送信システム4の等価概念図である。同図の送信システム4において、STBC0及びSTBC1は、ともに式(3)の行列Lを用いてSTBC符号化する。送信システム4は、STBC0でSTBC符号化して得た二つの送信信号をそれぞれA局のアンテナ0とB局のアンテナ3で伝送する。ここで、アンテナ0は水平偏波で送信信号を送信し、アンテナ3は垂直偏波で送信信号を送信する。すなわち、送信システム4は、STBC0でSTBC符号化して得た二つの送信信号それぞれを互いに異なる送信装置かつ異なる偏波(交差偏波)で送信する。
【0098】
また、送信システム4は、STBC1でSTBC符号化して得た二つの送信信号をそれぞれA局のアンテナ1とB局のアンテナ2で伝送する。ここで、アンテナ1は垂直偏波で送信信号を送信し、アンテナ2は水平偏波で送信信号を送信する。すなわち、送信システム4は、STBC1でSTBC符号化して得た二つの送信信号それぞれを異なる送信装置から、かつ異なる偏波(交差偏波)で送信する。
なお、アンテナ0及びアンテナ2が垂直偏波で、アンテナ1及びアンテナ3が水平偏波で送信信号を送信してもよい。
【0099】
以上、第7の実施例において、送信システム4は、STBC符号化して得た二つの送信信号それぞれを異なる送信装置から、かつ異なる偏波で送信する。視点を変えると、第1の送信装置10の送信部17は、第2の送信装置20が送信する他の送信信号と同一の情報に由来する送信信号を送信する際に、第1の送信アンテナ181または第2の送信アンテナ182のうち、他の送信装置が他の送信信号を送信する偏波とは異なる偏波で送信信号を送信する送信アンテナから送信信号を送信する。これにより、B局から受信装置30への伝搬路で偏波回転があっても、後述する観測方程式が重複しないので、受信装置30は、受信信号から送信信号を算出することができる。その結果、B局から受信装置30への伝搬路で偏波回転があっても伝送特性が劣化せず、実施例5に比べて利点がある。
【0100】
[実施例7’]
実施例7’における送信システム4は、実施例7と同様の処理を行うが、実施例7と以下の点で異なる。実施例7’では、STBC0及びSTBC1が、実施例7とは異なる行列Mに従って、それぞれシンボルの系列データを符号化する。
【0101】
[実施例8]
図13は、実施例8における送信システム4の等価概念図である。同図の送信システム4において、STBC0は式(3)の行列Lを用いてSTBCを実現し、STBC1は式(4)の行列Mを用いてSTBCを実現する。送信システム4は、STBC0でSTBC符号化して得た二つの送信信号をそれぞれA局のアンテナ0とB局のアンテナ3から送信する。ここで、アンテナ0は水平偏波で送信信号を送信し、アンテナ3は垂直偏波で送信信号を送信する。すなわち、送信システム4は、STBC0でSTBC符号化して得た二つの送信信号それぞれを互いに異なる送信装置からかつ異なる偏波(交差偏波)で送信する。
【0102】
また、送信システム4は、STBC1でSTBC符号化して得た二つの送信信号をそれぞれA局のアンテナ1とB局のアンテナ2から送信する。ここで、アンテナ1は垂直偏波で送信信号を送信し、アンテナ2は水平偏波で送信信号を送信する。すなわち、送信システム4は、STBC1でSTBC符号化して得た二つの送信信号それぞれを異なる送信装置から、かつ異なる偏波(交差偏波)で送信する。
なお、アンテナ0及びアンテナ2が垂直偏波で、アンテナ1及びアンテナ3が水平偏波で送信信号を送信してもよい。
【0103】
実際の構成では、第1の変換部141は、例えばシンボル「S0、S2」を変換せずに時刻tに「S0」、時刻t+1に「S2」を割り当てた系列データを出力する。IFFT部161は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ0から送信する。また、第3の変換部241は、例えばシンボル「S0、S2」を時刻tに「−S2
*」、時刻t+1に「S0
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部261は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ3から送信する。
【0104】
第2の変換部142は、例えばシンボル「S1、S3」を変換せずに時刻tに「S1」、時刻t+1に「S1」を割り当てた系列データに出力する。IFFT部162は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ1から送信する。また、第4の変換部242は、例えばシンボル「S1、S3」を時刻tに「S3
*」、時刻t+1に「−S1
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部262は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ2から送信する。
【0105】
以上、第8の実施例において、送信システム4は、STBC符号化して得た二つの送信信号それぞれを異なる送信装置から、かつ異なる偏波で送信する。送信システム4において、STBC0は式(3)の行列Lを用いてSTBCを実現し、STBC1は式(4)の行列Mを用いてSTBCを実現する。
【0106】
[実施例8’]
実施例8’における送信システム4は、実施例8と同様の処理を行うが、実施例8と以下の点で異なる。実施例8’では、実施例8とは逆に、STBC0が行列Mに従ってシンボルの系列データを符号化する。STBC1が行列Lに従ってシンボルの系列データを符号化する。
【0107】
[実施例9]
続いて、実施例9では、AlamoutiのSTBCを、周波数方向に適用したSFBCの場合を示す。
図14は、実施例9における送信システムの等価概念図である。SFBC0及びSFBC1は式(1)の行列Jを用いてSFBC符号化を実現する。このとき、行列Jの行はアンテナ番号に対応し、列は周波数(あるいはOFDM伝送ではマルチキャリア伝送するためキャリア番号)に対応する。送信システム4は、SFBC0でSFBC符号化して得た二つの送信信号をそれぞれA局のアンテナ0とB局のアンテナ2から送信する。ここで、一例としてアンテナ0とアンテナ2は共に水平偏波で送信信号を送信する。すなわち、送信システム4は、SFBC0でSFBC符号化して得た二つの送信信号それぞれを互いに異なる送信装置からかつ同じ偏波(同一偏波)で送信する。
【0108】
送信システム4は、SFBC1でSFBC符号化して得た二つの送信信号をそれぞれA局のアンテナ1とB局のアンテナ3から送信する。ここで、一例としてアンテナ1とアンテナ3は共に垂直偏波で送信信号を送信する。すなわち、送信システム4は、SFBC1でSFBC符号化して得た二つの送信信号それぞれを互いに異なる送信装置からかつ同じ偏波(同一偏波)で送信する。
なお、アンテナ0及びアンテナ2が垂直偏波で、アンテナ1及びアンテナ3が水平偏波で送信信号を送信してもよい。
【0109】
実際の構成では、第1の変換部141は、例えば「S0、S2」を周波数fに「S0」、周波数f+1に「−S2
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部161は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ0から送信する。また、第3の変換部241は、例えば「S0、S2」を周波数fに「S2」、周波数f+1に「S0
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部261は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ2から送信する。
【0110】
第2の変換部142は、例えば「S1、S3」を周波数fに「S1」、周波数f+1に「−S3
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部162は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ1から送信する。また、第4の変換部242は、例えば「S1、S3」を周波数fに「S3」、周波数f+1に「S1
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部262は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ3から送信する。
【0111】
このことから、符号化部14及び符号化部24は、直列並列変換部(13または23)が変換して得た並列系列データそれぞれをブロック毎に符号化する。その際、符号化部14及び符号化部24は、該シンボルの系列データを符号化する送信システム4で用いられる他方の送信装置が同一のシンボルに対して符号化して得られる符号化信号とは、割り当てられる周波数が異なり、かつ互いに複素共役の関係にあるように、該シンボルの系列データを符号化する。
【0112】
以上、実施例9において、送信システム4は、SFBC符号化して得た二つの送信信号それぞれを異なる送信装置から、かつ同じ偏波(同一偏波)で送信する。非特許文献1では、仮に、B局からの信号が全く受信できなくなった場合、受信装置は、S0、S2を受信できるが、S1とS3を受信できないので、全データを復元することができなかった。
それに対し、実施例9では、B局からの信号が全く受信できなくなった場合(例えば、B局がクラッシュした場合)でも、A局が全てのシンボル(例えば、S0、S1、S2、S3)に基づく信号を送信できるので、その信号を受信した受信装置は、全データを復元することができるという利点を有する。
【0113】
[実施例9’]
実施例9’における送信システム4は、実施例9と同様の処理を行うが、実施例9と以下の点で異なる。実施例9’では、SFBC0及びSFBC1が、実施例9とは異なる行列Kに従って、それぞれシンボルの系列データを符号化する。
【0114】
[実施例10]
図15は、実施例10における送信システムの等価概念図である。SFBC0は、例えば式(1)の行列Jに従ってシンボルの系列データを符号化する。一方、SFBC1は例えば式(2)に示す行列Kに従ってシンボルの系列データを符号化する。送信システム4は、SFBC0でSFBC符号化して得た二つの送信信号をそれぞれA局のアンテナ0とB局のアンテナ2で伝送する。ここで、一例としてアンテナ0とアンテナ2は共に水平偏波で送信信号を送信する。すなわち、送信システム4は、SFBC0でSFBC符号化して得た二つの送信信号それぞれを互いに異なる送信装置かつ同じ偏波(同一偏波)で送信する。
【0115】
また、送信システム4は、SFBC1でSFBC符号化して得た二つの送信信号をそれぞれA局のアンテナ1とB局のアンテナ3で伝送する。ここで、一例としてアンテナ1は垂直偏波で送信信号を送信し、アンテナ3も垂直偏波で送信信号を送信する。すなわち、送信システム4は、SFBC1でSFBC符号化して得た二つの送信信号それぞれを異なる送信装置から、かつ同じ偏波(同一偏波)で送信する。
なお、アンテナ0及びアンテナ2が垂直偏波で、アンテナ1及びアンテナ3が水平偏波で送信信号を送信してもよい。
【0116】
実際の構成では、第1の変換部141は、例えば「S0、S2」を周波数fに「S0」、周波数f+1に「−S2
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部161は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ0から例えば水平偏波で送信する。また、第3の変換部241は、例えば「S0、S2」を周波数fに「S2」、周波数f+1に「S0
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部261は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ2から例えば水平偏波で送信する。
【0117】
第2の変換部142は、例えば「S1、S3」を周波数fに「S1」、周波数f+1に「S3
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部162は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ1から例えば垂直偏波で送信する。また、第4の変換部242は、例えば「S1、S3」を周波数fに「S3」、周波数f+1に「−S1
*」を割り当てた系列データに変換する。IFFT部262は、変換後の信号を逆フーリエ変換(IFFT)して、IFFT後の信号をアンテナ3から例えば垂直偏波で送信する。
【0118】
以上、第10の実施形態において、SFBC符号化に用いる行列Kの2列目の各成分の符号が行列Jの2列目の対応する成分の符号とは異なる。視点を変えると、符号化部14及び符号化部24は、は、ブロック毎に符号化するものであって、該ブロック内の一の周波数(例えば、周波数f+1)において、送信装置間で同一の偏波で送信される上記符号化後のシンボルの符号が互いに異なり、上記一の周波数(例えば、周波数f+1)において、上記並列系列データのうち一方の系列データの符号化後の符号が他方の系列データの符号化後の符号と異なるように符号化する。これにより、B局から受信装置30への伝搬路で偏波回転があっても、後述する観測方程式が重複しないので、受信装置30は、受信信号から送信信号を算出することができる。その結果、B局から受信装置30への伝搬路で偏波回転があっても伝送特性が劣化せず、実施例9に比べて利点がある。
【0119】
[実施例10’]
実施例10’における送信システム4は、実施例10と同様の処理を行うが、実施例10と以下の点で異なる。実施例2’では、実施例2とは逆に、SFBC0が行列Kに従ってシンボルの系列データを符号化する。SFBC1が行列Jに従ってシンボルの系列データを符号化する。
【0120】
<受信装置>
続いて、受信装置30について説明する。
図16は、各実施例に共通する受信装置30の構成を示す概略ブロック図である。受信装置30は、第1の受信アンテナ311、第2の受信アンテナ312、GI除去部321、322、フーリエ変換部33、伝送路応答推定部34、送信信号検出部35、並列直列変換部36、キャリア復調部37及び誤り訂正符号復号部38を備える。フーリエ変換部33は、FFT部331及びFFT部332を備える。
【0121】
第1の受信アンテナ311は、一例として水平偏波の信号を受信するアンテナである。
第1の受信アンテナ311はRx0(水平)ともいう。第1の受信アンテナ311は、第1の送信装置10及び第2の送信装置20から伝送された信号のうち水平偏波の信号を受信し、受信した受信信号をGI除去部321へ出力する。
第2の受信アンテナ312は、一例として垂直偏波の信号を受信するアンテナである。
第2の受信アンテナ312はRx1(垂直)ともいう。第2の受信アンテナ312は、第1の送信装置10及び第2の送信装置20から伝送された信号のうち垂直偏波の信号を受信し、受信した受信信号をGI除去部322へ出力する。
なお、第1の受信アンテナ311が垂直偏波の信号を受信し、第2の受信アンテナ312が水平偏波の信号を受信してもよい。また、第1の受信アンテナ311が受信する信号の偏波と、第2の受信アンテナ312が受信する信号の偏波とがなす角度は直交していることが望ましいが、直交していなくてもよい。
【0122】
GI除去部321は、第1の受信アンテナ311から入力された受信信号からGIを除去し、除去後の信号をFFT部331へ出力する。
同様に、GI除去部322は、第2の受信アンテナ312から入力された受信信号からGIを除去し、除去後の信号をFFT部332へ出力する。
FFT部331は、GI除去部321から入力された信号に対して、フーリエ変換を施し、フーリエ変換後の信号を伝送路応答推定部34へ出力する。
FFT部332は、GI除去部322から入力された信号に対して、フーリエ変換を施し、フーリエ変換後の信号を伝送路応答推定部34へ出力する。
【0123】
伝送路応答推定部34は、FFT部331から入力された信号から既知のパイロット信号に由来する第1の信号を抽出する。同様に、伝送路応答推定部34は、FFT部332から入力された信号から既知のパイロット信号に由来する第2の信号を抽出する。伝送路応答推定部34は、抽出した第1の信号と第2の信号を参照して伝送路応答を推定する。
伝送路応答推定部34は、算出した伝送路応答を送信信号検出部35へ出力する。
【0124】
送信信号検出部35は、第1の送信装置10と第2の送信装置20における符号化規則、伝送路応答推定部34が算出した伝送路応答、及びフーリエ変換部33がフーリエ変換することで得られた信号(但し、パイロット信号に由来する信号を除く)を参照して、第1の送信装置10と第2の送信装置20が送信したシンボルを推定する。送信信号検出部35の詳細な処理は後述する。送信信号検出部35は、推定で得られたシンボルを、例えば並列な系列データとし、その並列な系列データを並列直列変換部36へ出力する。
【0125】
並列直列変換部36は、送信信号検出部35から入力された並列な系列データを、直列の系列データに変換し、変換後の系列データをキャリア復調部37へ出力する。
キャリア復調部37は、並列直列変換部36から入力された系列データに対して、復調処理を行う。具体的には、例えば、キャリア復調部37は、入力された系列データからLLR(対数尤度比)を算出する。そして、キャリア復調部37は、キャリア復調の結果得られた系列データを誤り訂正符号復号部38に出力する。
誤り訂正符号復号部38は、キャリア復調部37から入力された系列データを用いて、例えばLDPC(Low−Density Parity−Check)符号の復号処理を施し、伝送路で発生したビット誤りの訂正を行う。
【0126】
図17は、伝送システムを説明するための4×2MIMO伝送モデルである。同図において、y
0,y
1はそれぞれ水平偏波、垂直偏波の受信信号である。x
0、x
1、x
2、x
3は送信シンボル(求めたい信号)である。h
00、h
10、h
01、h
11、h
02、h
12、h
03、h
13はパイロット信号を使って推定した伝送路応答である。h
00は、アンテナ0(水平)からRx0(水平)への伝送路応答である。h
10は、アンテナ0(水平)からRx1(垂直)への伝送路応答である。h
01は、アンテナ1(垂直)からRx0(水平)への伝送路応答である。h
11は、アンテナ1(垂直)からRx1(垂直)への伝送路応答である。h
02は、アンテナ2(水平)からRx0(水平)への伝送路応答である。h
12は、アンテナ2(水平)からRx1(垂直)への伝送路応答である。h
03は、アンテナ3(垂直)からRx0(水平)への伝送路応答である。h
13は、アンテナ3(垂直)からRx1(垂直)への伝送路応答である。
【0127】
図18は、理想的な伝送路の伝送路応答行列と反時計周りに90°の偏波回転がある伝送路の伝送路応答行列を説明する図である。同図において、偏波回転のない理想的な伝送路の伝送路応答行列H
idealと、理想的な伝送路を伝送された後の信号の偏波の状態を示す模式
図C181の組が示されている。水平偏波HはX軸の正方向、垂直偏波VはY軸の正方向が正の値を表すものとする。ここで、伝送路応答行列H
idealの各成分をg
ij(iは0または1、jは0または1)とする。理想的な伝送路で伝送される環境では、g
00、g
11が1であり、g
01が0、g
10が0である。
【0128】
同図において、反時計周りに90°の偏波回転がある伝送路の伝送路応答行列H
90と、反時計周りに90°の偏波回転がある伝送路を伝送された後の信号の偏波の状態を示す模式
図C182の組が示されている。ここで、伝送路応答行列H
90の各成分をg’
ij(iは0または1、jは0または1)とする。同図において、偏波が反時計回りに90度回転することによって、垂直偏波VがX軸の負方向を向くので、g’
01が−1となる。
また、反時計周りに90度回転することによって、水平偏波HがY軸の正方向を向くので、g’
10が1である。また、g’
00が0、g’
11が0である。
【0129】
続いて、実施例1〜10について、下記の条件1または条件2のもとで、受信装置30の処理(整列方式)を説明する。条件1は、A局の伝送路応答行列H
A=H
idealであり、B局の伝送路応答行列H
B=H
idealである。条件2は、A局の伝送路応答行列H
A=H
idealであり、B局の伝送路応答行列H
B=H
90である。
[実施例1]
実施例1における伝送路応答推定部34と送信信号検出部35の処理について説明する。STBCでは、ある周波数fについて、時刻t、時刻t+1の受信信号をペアとする。
時刻tの関係式は次の式(5)で表される。
【0131】
時刻t+1の関係式は次の式(6)で表される。
【0133】
この例では、第1の送信装置10が送信した符号化後のシンボルは、式(5)の[x
0、x
1]及び式(6)の[−x
2*、−x
3*]である。また、この例では、第2の送信装置20が送信した符号化後のシンボルは、式(5)の[x
2、x
3]及び式(6)の[x
0*、x
1*]である。
式(5)及び式(6)を整列すると、整列結果として次の式(7)が得られる。
【0135】
ここで、右辺の一番左側の行列が各伝送路応答を成分とする伝送路応答行列Hである。
伝送路応答行列Hは、既知のパイロット信号を用いて推定するものとする。
【0136】
続いて、送信信号検出部35は、例えば式(7)に伝送路応答推定部34が算出した伝送路応答h
00、h
10、h
01、h
11、h
02、h
12、h
03、h
13と、各送信信号が伝送されて受信装置30が受信することにより得られたシンボルy
0(t)、y
1(t)、y
0(t+1)、y
1(t+1)を代入する。これにより、送信信号検出部35は、送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を算出する。
【0137】
ここで、伝送路応答h
ij(iは0または1、jは0〜3の整数)に時間変動がないと仮定し、h
ij(t)=h
ij(t+1)とする。条件1では式(7)は次の式(7−1)で表される。
【0139】
式(7−1)の伝送路応答行列Hにランク落ちがないので、式(7−1)の四つの観測方程式に重複が発生せず、伝送路応答推定部34は観測方程式を解くことができる。よって、A局およびB局双方の伝送路で偏波回転がない条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができる。
次に、条件2では式(7)は次の式(7−2)で表される。
【0141】
式(7−2)の伝送路応答行列Hの第1行の行ベクトルと第4行の行ベクトルは等しく、第2行の行ベクトルと第3行の行ベクトルは符号が反転したものであるので、式(7−2)の伝送路応答行列Hにランク落ちがある。式(7−2)では、観測方程式が二つであるのに対し、観測方程式に含まれる未知変数が四つとなるため、伝送路応答推定部34は観測方程式を解くことができない。よって、A局の伝送路で偏波回転がないがB局の伝送路に反時計回りに90°の偏波回転がある条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができない。
【0142】
なお、B局の受信信号に反時計回りに90°の偏波回転がある条件だけに限らず、B局の受信信号に反時計回りに270°の偏波回転がある条件でも、伝送路応答推定部34は観測方程式を解くことができない。このため送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができない。一方、B局の受信信号に反時計回りに90°及び270°以外の偏波回転がある条件では、観測方程式が重複しないため、伝送路応答推定部34は観測方程式を解くことができる。よって送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができる。
【0143】
[実施例1’]
続いて、実施例1’で条件1及び条件2で、伝送路応答推定部34が観測方程式を解くことができるか否かについて説明する。時刻tの関係式、時刻t+1の関係式及び整列結果は、それぞれ次の式(5)’、式(6)’及び式(7)’で表される。
【0147】
ここで、伝送路応答h
ij(iは0または1、jは0〜3の整数)に時間変動がないと仮定し、h
ij(t)=h
ij(t+1)とする。条件1では式(7)’は次の式(7−1)’で表される。
【0149】
式(7−1)’の伝送路応答行列Hにランク落ちがないので、伝送路応答推定部34は観測方程式を解くことができる。よって、A局およびB局双方の伝送路で偏波回転がない条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができる。
次に、条件2では式(7)’は次の式(7−2)’で表される。
【0151】
式(7−2)’の伝送路応答行列Hにランク落ちがある。式(7−2)’では、観測方程式が二つであるのに対し、観測方程式に含まれる未知変数が四つとなるため、伝送路応答推定部34は観測方程式を解くことができない。よって、A局の伝送路で偏波回転がないがB局の伝送路に反時計回りに90°の偏波回転がある条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができない。
【0152】
[実施例2]
続いて、実施例2における送信信号検出部35の処理について説明する。時刻tの受信信号は、上述した式(5)で表される。時刻t+1の受信信号は次の式(8)で表される。
【0154】
式(5)及び式(8)を整列することにより、整列結果として次の式(9)が得られる。
【0156】
ここで、伝送路応答推定部34は、実施例1と同様に既知のパイロット信号を用いて伝送路応答h
00、h
10、h
01、h
11、h
02、h
12、h
03、h
13を推定する。そして、送信信号検出部35は、実施例1と同様の処理で、送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を算出する。
【0157】
ここで、伝送路応答h
ij(iは0または1、jは0〜3の整数)に時間変動がないと仮定し、h
ij(t)=h
ij(t+1)とする。条件1では式(9)は次の式(9−1)で表される。
【0159】
式(9−1)の伝送路応答行列Hにランク落ちがないので、式(9−1)の四つの観測方程式に重複が発生せず、伝送路応答推定部34は観測方程式を解くことができる。よって、A局およびB局双方の伝送路で偏波回転がない条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができる。
次に、条件2では式(9)は次の式(9−2)で表される。
【0161】
式(9−2)の伝送路応答行列Hにランク落ちがないので、式(9−2)の四つの観測方程式に重複が発生せず、伝送路応答推定部34は観測方程式を解くことができる。よって、A局の伝送路で偏波回転がないがB局の伝送路に反時計回りに90°の偏波回転がある条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができる。
【0162】
[実施例2’]
続いて、実施例2’で条件1及び条件2で、伝送路応答推定部34が観測方程式を解くことができるか否かについて説明する。時刻tの関係式は式(5)とする。時刻t+1の関係式及び整列結果は、それぞれ次の式(8)’及び式(9)’で表される。
【0165】
ここで、伝送路応答h
ij(iは0または1、jは0〜3の整数)に時間変動がないと仮定し、h
ij(t)=h
ij(t+1)とする。条件1では式(9)’は次の式(9−1)’で表される。
【0167】
式(9−1)’の伝送路応答行列Hにランク落ちがないので、式(9−1)’の四つの観測方程式に重複が発生せず、伝送路応答推定部34は観測方程式を解くことができる。
よって、A局およびB局双方の伝送路で偏波回転がない条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができる。
次に、条件2では式(9)’は次の式(9−2)’で表される。
【0169】
式(9−2)’の伝送路応答行列Hにランク落ちがないので、式(9−2)’の四つの観測方程式に重複が発生せず、伝送路応答推定部34は観測方程式を解くことができる。
よって、A局の伝送路で偏波回転がないがB局の伝送路に反時計回りに90°の偏波回転がある条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができる。
【0170】
[実施例3]
続いて、実施例3における送信信号検出部35の処理について説明する。時刻tの受信信号が式(5)で表されるとすると、時刻t+1の受信信号は次の式(10)で表される。ここで、
図17におけるx
3は
図6のS2に対応し、x
2はS3に対応している。
【0172】
式(5)及び式(10)を整列することにより、整列結果として次の式(11)が得られる。
【0174】
ここで、伝送路応答推定部34は、実施例1と同様の処理で、伝送路応答h
00、h
10、h
01、h
11、h
02、h
12、h
03、h
13を算出する。そして、送信信号検出部35は、実施例1と同様の処理で、送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を算出する。
【0175】
ここで、伝送路応答h
ij(iは0または1、jは0〜3の整数)に時間変動がないと仮定し、h
ij(t)=h
ij(t+1)とする。条件1では、式(11)は次の式(11−1)となる。
【0177】
式(11−1)の伝送路応答行列Hにランク落ちがないので、式(11−1)の各行の観測方程式に重複が発生せず、伝送路応答推定部34はこれら四つの観測方程式を解くことができる。よって、A局およびB局双方の伝送路で偏波回転がない条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を算出することができる。
次に、条件2では式(11)は次の式(11−2)で表される。
【0179】
式(11−2)の伝送路応答行列Hにランク落ちがないので、式(11−2)の四つの観測方程式に重複が発生せず、伝送路応答推定部34は観測方程式を解くことができる。
よって、A局の伝送路で偏波回転がないがB局の伝送路に反時計回りに90°の偏波回転がある条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができる。
【0180】
[実施例3’]
続いて、実施例3’で条件1及び条件2で、伝送路応答推定部34が観測方程式を解くことができるか否かについて説明する。時刻tの関係式は式(5)とする。時刻t+1の関係式及び整列結果は、それぞれ次の式(10)’及び式(11)’で表される。
【0183】
ここで、伝送路応答h
ij(iは0または1、jは0〜3の整数)に時間変動がないと仮定し、h
ij(t)=h
ij(t+1)とする。条件1では式(11)’は次の式(11−1)’で表される。
【0185】
式(11−1)’の伝送路応答行列Hにランク落ちがないので、式(11−1)’の四つの観測方程式に重複が発生せず、伝送路応答推定部34は観測方程式を解くことができる。よって、A局およびB局双方の伝送路で偏波回転がない条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができる。
次に、条件2では式(11)’は次の式(11−2)’で表される。
【0187】
式(11−2)’の伝送路応答行列Hにランク落ちがないので、式(11−2)’の四つの観測方程式に重複が発生せず、伝送路応答推定部34は観測方程式を解くことができる。よって、A局およびB局双方の伝送路で偏波回転がない条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができる。
【0188】
[実施例4]
続いて、実施例4における送信信号検出部35の処理について説明する。時刻tの受信信号が式(5)であったとすると、時刻t+1の受信信号は次の式(12)で表される。
【0190】
また、式(5)及び式(12)を整列することにより、整列結果として次の式(13)が得られる。
【0192】
ここで、伝送路応答推定部34は、実施例1と同様の処理で、伝送路応答h
00、h
10、h
01、h
11、h
02、h
12、h
03、h
13を算出する。そして、送信信号検出部35は、実施例1と同様の処理で、送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を算出する。
【0193】
ここで、伝送路応答h
ij(iは0または1、jは0〜3の整数)に時間変動がないと仮定し、h
ij(t)=h
ij(t+1)とする。条件1では、式(13)は次の式(13−1)となる。
【0195】
式(13−1)の伝送路応答行列Hにランク落ちがあるので、式(13−1)の四つの観測方程式に重複が発生し、伝送路応答推定部34は観測方程式を解くことができない。
よって、A局およびB局双方の伝送路で偏波回転がない条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができない。
次に、条件2では式(13)は次の式(13−2)で表される。
【0197】
式(13−2)の伝送路応答行列Hにランク落ちがないので、式(13−2)の四つの観測方程式に重複が発生せず、伝送路応答推定部34は観測方程式を解くことができる。
よって、A局の伝送路で偏波回転がないがB局の伝送路に反時計回りに90°の偏波回転がある条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができる。
【0198】
[実施例4’]
続いて、実施例4’で条件1及び条件2で、伝送路応答推定部34が観測方程式を解くことができるか否かについて説明する。時刻tの関係式は式(5)とする。時刻t+1の関係式及び整列結果は、それぞれ次の式(12)’及び式(13)’で表される。
【0201】
ここで、伝送路応答h
ij(iは0または1、jは0〜3の整数)に時間変動がないと仮定し、h
ij(t)=h
ij(t+1)とする。条件1では式(13)’は次の式(13−1)’で表される。
【0203】
式(13−1)’の伝送路応答行列Hにランク落ちがあるので、式(13−1)’の四つの観測方程式に重複が発生し、伝送路応答推定部34は観測方程式を解くことができない。よって、A局およびB局双方の伝送路で偏波回転がない条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができない。
次に、条件2では式(13)’は次の式(13−2)’で表される。
【0205】
式(13−2)’の伝送路応答行列Hにランク落ちがないので、式(13−2)’の四つの観測方程式に重複が発生せず、伝送路応答推定部34は観測方程式を解くことができる。よって、A局およびB局双方の伝送路で偏波回転がない条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができる。
【0206】
[実施例5]
続いて、実施例5における送信信号検出部35の処理について説明する。時刻tの関係式が式(5)で表される。時刻t+1の関係式及び整列結果は、それぞれ次の式(14)及び式(15)で表される。ここで、x
0、x
1、x
2、x
3は、それぞれ
図10のS0、S1、−S2
*、−S3
*に対応する。
【0209】
ここで、式(15)は式(7)と一致する。このため、実施例1と同様の結果となり、A局およびB局双方の伝送路で偏波回転がない条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができる。一方、A局の伝送路で偏波回転がないがB局の伝送路に反時計回りに90°の偏波回転がある条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができない。
なお、伝送路応答推定部34は、実施例1と同様の処理で、伝送路応答h
00、h
10、h
01、h
11、h
02、h
12、h
03、h
13を算出する。そして、送信信号検出部35は、実施例1と同様の処理で、送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を算出する。
【0210】
[実施例5’]
続いて、実施例5’で条件1及び条件2で、伝送路応答推定部34が観測方程式を解くことができるか否かについて説明する。時刻tの関係式は式(5)で表される。時刻t+1の関係式及び整列結果は、それぞれ次の式(14)’及び式(15)’で表される。
【0213】
ここで、式(15)’は式(7)’と一致する。このため、実施例1’と同様の結果となり、A局およびB局双方の伝送路で偏波回転がない条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができる。一方、A局の伝送路で偏波回転がないがB局の伝送路に反時計回りに90°の偏波回転がある条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができない。
【0214】
[実施例6]
続いて、実施例6における送信信号検出部35の処理について説明する。時刻tの受信信号が式(5)で表される。時刻t+1の関係式及び整列結果は、それぞれ次の式(16)及び式(17)で表される。ここで、x
0、x
1、x
2、x
3は、それぞれ
図11のS0、S1、−S2
*、S3
*に対応する。
【0217】
ここで式(17)は式(9)と一致する。このため、実施例2と同様の結果となり、A局およびB局双方の伝送路で偏波回転がない条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができる。また、A局の伝送路で偏波回転がないがB局の伝送路に反時計回りに90°の偏波回転がある条件でも、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができる。
なお、伝送路応答推定部34は、実施例1と同様の処理で、伝送路応答h
00、h
10、h
01、h
11、h
02、h
12、h
03、h
13を算出する。そして、送信信号検出部35は、実施例1と同様の処理で、送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を算出する。
また、実施例6’は実施例2’と同様の結果となるため、その説明を省略する。
【0218】
[実施例7]
続いて、実施例7における送信信号検出部35の処理について説明する。時刻tの受信信号が式(5)で表される。時刻t+1の関係式及び整列結果は、それぞれ次の式(18)及び式(19)で表される。ここで、x
0、x
1、x
2、x
3は、それぞれ
図12のS0、S1、−S3
*、−S2
*に対応する。
【0221】
ここで式(19)は式(11)と一致する。このため、実施例3と同様の結果となり、A局およびB局双方の伝送路で偏波回転がない条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を算出することができる。更に、A局の伝送路で偏波回転がないがB局の伝送路に反時計回りに90°の偏波回転がある条件でも、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができる。
なお、伝送路応答推定部34は、実施例1と同様の処理で、伝送路応答h
00、h
10、h
01、h
11、h
02、h
12、h
03、h
13を算出する。そして、送信信号検出部35は、実施例1と同様の処理で、送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を算出する。
また、実施例7’は実施例3’と同様の結果となるため、その説明を省略する。
【0222】
[実施例8]
続いて、実施例8における送信信号検出部35の処理について説明する。時刻tの受信信号が式(5)で表される。時刻t+1の関係式及び整列結果は、それぞれ次の式(20)及び式(21)で表される。ここで、x
0、x
1、x
2、x
3は、それぞれ
図13のS0、S1、S3
*、−S2
*に対応する。
【0225】
ここで式(21)は式(13)と一致する。このため、実施例4と同様の結果となり、A局およびB局双方の伝送路で偏波回転がない条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができない。一方、A局の伝送路で偏波回転がないがB局の伝送路に反時計回りに90°の偏波回転がある条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができる。
なお、伝送路応答推定部34は、実施例1と同様の処理で、伝送路応答h
00、h
10、h
01、h
11、h
02、h
12、h
03、h
13を算出する。そして、送信信号検出部35は、実施例1と同様の処理で、送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を算出する。
また、実施例8’は実施例4’と同様の結果となるため、その説明を省略する。
【0226】
[実施例9]
続いて、実施例9における伝送路応答推定部34と送信信号検出部35の処理について説明する。実施例9では、受信信号はSFBC符号化されているため、受信装置30はある時刻tにおいて、周波数f、周波数f+1の受信信号をペアとする。周波数fの関係式は次の式(22)で表される。
【0228】
また、周波数f+1の関係式は次の式(23)で表される。
【0230】
式(22)及び式(23)を整列することにより、整列結果として次の式(24)が得られる。
【0232】
ここで、伝送路応答推定部34は、既知のパイロット信号を用いて伝送路応答行列Hを推定するものとする。
【0233】
続いて、送信信号検出部35は、例えば式(24)に伝送路応答推定部34が算出した伝送路応答h
00、h
10、h
01、h
11、h
02、h
12、h
03、h
13と、各送信信号が伝送されて受信装置30が受信することにより得られたシンボルy
0(f)、y
1(f)、y
0(f+1)、y
1(f+1)を代入する。これにより、送信信号検出部35は、送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を算出する。
【0234】
ここで、伝送路応答h
ij(iは0または1、jは0〜3の整数)が周波数方向に変化がないと仮定し、h
ij(f)=h
ij(f+1)とする。条件1では式(24)は次の式(24−1)となる。
【0236】
式(24−1)の伝送路応答行列Hにランク落ちがないので、式(24−1)の四つの観測方程式に重複が発生せず、伝送路応答推定部34は観測方程式を解くことができる。
よって、A局およびB局双方の伝送路で偏波回転がない条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができる。
次に、条件2では式(24)は次の式(24−2)で表される。
【0238】
式(24−2)の伝送路応答行列Hにランク落ちがあるので、式(24−2)の四つの観測方程式に重複が発生し、伝送路応答推定部34は観測方程式を解くことができない。
よって、A局の伝送路で偏波回転がないがB局の伝送路に反時計回りに90°の偏波回転がある条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができない。
【0239】
なお、B局の伝送路に反時計回りに90°の偏波回転がある条件だけに限らず、B局の伝送路に反時計回りに270°の偏波回転がある条件でも、伝送路応答推定部34は観測方程式を解くことができない。このため、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができない。一方、B局の伝送路に90°及び270°以外の偏波回転がある条件では、観測方程式が重複しないため、伝送路応答推定部34は観測方程式を解くことができる。よって、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができる。
なお、実施例9’は実施例9と同じ結果となるので、その説明を省略する。
【0240】
[実施例10]
続いて、実施例10における送信信号検出部35の処理について説明する。周波数fの受信信号は上述した式(24)で表される。時刻f+1の関係式及び整列結果は、それぞれ次の式(25)及び式(26)で表される。
【0243】
伝送路応答推定部34は、実施例9と同様の処理で、伝送路応答h
00、h
10、h
01、h
11、h
02、h
12、h
03、h
13を算出する。そして、送信信号検出部35は、実施例9と同様の処理で、送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を算出する。
ここで、伝送路応答h
ij(iは0または1、jは0〜3の整数)が周波数方向に変化がないと仮定し、h
ij(f)=h
ij(f+1)とする。条件1では式(26)は次の式(26−1)となる。
【0245】
式(26−1)の伝送路応答行列Hにランク落ちがないので、式(26−1)の四つの観測方程式に重複が発生せず、伝送路応答推定部34は観測方程式を解くことができる。
よって、A局およびB局双方の伝送路で偏波回転がない条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができる。
次に、条件2では式(26)は次の式(26−2)で表される。
【0247】
式(26−2)の伝送路応答行列Hにランク落ちがないので、式(26−2)の四つの観測方程式に重複が発生せず、伝送路応答推定部34は観測方程式を解くことができる。
よって、A局の伝送路で偏波回転がないがB局の伝送路に反時計回りに90°の偏波回転がある条件では、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができる。
なお、実施例10’は実施例10と同じ結果となるので、その説明を省略する。
【0248】
図19を用いて、上述の説明をまとめる。
図19は、A局の伝送路応答行列H
Aが理想のときに、B局の伝送路応答行列H
Bを変化させて、伝送路応答行列Hのランク落ちありなしを判定した結果を表す表である。同図において、B局の伝送路が理想環境の場合、反時計周りに90°回転する場合、反時計周りに180°回転する場合、反時計周りに270°回転する場合で、各実施例でランク落ちがある場合を示している。なお、反時計180°回転、270°回転の場合は、結果だけ
図19に示されている。
【0249】
同図に示すように、実施例2、2’、3、3’、6、6’、7、7’、10、10’の場合、B局の伝送路の偏波回転角度を変化させても、伝送路応答行列Hのランク落ちがない。よって、実施例2、2’、3、3’、6、6’、7、7’、10、10’の場合、B局の伝送路に偏波回転があっても、送信信号検出部35は送信シンボルx
0、x
1、x
2、x
3を正しく算出することができる。
【0250】
続いて、各実施例の伝送特性を評価した結果について説明する。実施例1のSTBC(同一偏波)、実施例3のSTBC(交差偏波)、実施例9のSFBC(同一偏波)、詳細の説明を省略した実施例11(
図3参照)のSFBC(交差偏波)を適用したSTC−SDM方式の伝送特性について、
図20に示す系統で評価を行った。比較のため,STCを適用しない場合についても同様に評価した。
【0251】
図20は、計算機シミュレーションの系統図である。同図において、MIMO−OFDM変調器として機能するA局及びB局は、PN符号発生部が発生させたPN符号を受け取る。A局及びB局は、受け取ったPN符号からそれぞれ送信信号を生成する。A局は、水平偏波(H)の送信信号(以下、A局水平偏波信号)及び垂直偏波(V)の送信信号(以下、A局垂直偏波信号)を送信する。B局は、水平偏波(H)の送信信号(以下、B局水平偏波信号)及び垂直偏波(V)の送信信号(以下、B局垂直偏波信号)を送信する。B局が送信したB局水平偏波信号及びB局垂直偏波信号に対して、遅延の付加(Delay)、受信信号の電力の変更(ATT)、位相シフト(Phase Shift)、偏波間の受信電力の変更処理(ATT/Amp)及び偏波の回転付加(Polarization Rotation)という一連の処理が行われる。この一連の処理後のB局水平偏波信号がA局から送信されたA局水平偏波信号に加算され、受信水平偏波信号が生成される。同様に、その一連の処理後のB局垂直偏波信号がA局から送信されたA局垂直偏波信号に加算され、受信垂直偏波信号が生成される。その後、受信水平偏波信号及び受信垂直偏波信号にノイズが加えられる。そして、MIMO−OFDM復調器としての受信装置30は、ノイズが加えられた後の受信水平偏波信号及び受信垂直偏波信号を復調する。そして、ビット誤り率測定部が、復調で得られたデータに対してビット誤り率を測定する。
【0252】
ここで、A局、B局の偏波間平均受信電力の比をD/U[dB]とし、A局からの受信信号は、水平・垂直偏波の受信電力が等しいと仮定した。B局の信号については,受信時にA局の信号に対してB局の送信信号が遅延している遅延時間τ[μsec]、受信時にA局の信号に対してB局の送信信号がシフトしている位相シフト量θ=90[°]、偏波間受信電力差δ[dB]、受信時の両偏波の成す角度φ[°]、送信から受信までに両偏波が回転する回転角度χ[°]をパラメータとして設定した。受信C/N[dB]は、A局の信号の受信電力に対する雑音電力として規定した。B局の信号を第1の受信アンテナ311及び第2の受信アンテナ312のサイドローブで受信する環境を想定し、B局の信号の受信特性に変化を与え、伝送特性の検証を行った。
【0253】
図21は、計算機シミュレーションにおける伝送パラメータである。帯域幅、FFTサイズ、GI比、パイロット信号比率は、地上デジタル放送用のISDB(Integarated Services Digital Broadcasting)であるISDB−T準拠とした。
【0254】
(1)高D/U環境のビット誤り率特性
高D/UのSFN環境として、A局からの信号のみを受信できる環境(D/U=∞)で、受信C/Nに対するビット誤り率(BER:Bit Error Rate)を評価した。
図22は、高D/U環境のビット誤り率特性のシミュレーション結果である。同図は、AWGN(Additive White Gaussian Noise:加法性ホワイトガウスノイズ)環境におけるシミュレーション結果である。ここで,ビット誤り率が1×10
−7以下となるC/Nを所要C/Nと規定する。STCあり、なしに関わらず、所要C/Nは約26dBとなっており、高D/UのSFN環境においては、STCの有無によらず伝送特性はほぼ等しくなる。
【0255】
(2)低D/U環境の遅延時間特性
低D/UのSFN環境として、A局とB局の受信電力が等しい環境(D/U=0)で、B局の遅延時間τに対する所要C/Nを評価した。
図23は、低D/U環境でB局の受信信号の遅延時間と所要C/Nの関係のシミュレーション結果である。ここでシミュレーション条件として偏波間受信電力差δ=0、受信時の両偏波の成す角度φ=90、回転角度χ=0である。遅延時間τ=0のとき、STC−SDM方式では所要C/Nが約23dBとなっており,上述した(1)のD/U=∞の場合と比べて3dB改善されている。一方、STCを適用しない場合、A局とB局から受信される信号が同一の信号であり、周波数選択性フェージングが生じるため、所要C/Nは26dBより大きい。遅延時間τが大きくなってくると、隣接するキャリアの伝送路応答の差が大きくなるため、隣接するキャリアでペアを組むSFBC−SDM方式(STBC(同一偏波)またはSTBC(交差偏波))の特性がSTBC−SDM方式(SFBC(同一偏波)またはSFBC(交差偏波))よりもわずかに劣化している。
【0256】
(3)低D/U環境の偏波間受信電力差特性
D/U=0において、B局の偏波間受信電力差δに対する所要C/Nを評価した。
図24は、低D/U環境でB局の受信信号の偏波間受信電力差δと所要C/Nの関係のシミュレーション結果である。ここで遅延時間τ=60、受信時の両偏波の成す角度φ=90、回転角度χ=0とした。同図は垂直偏波の受信電力が偏波間受信電力差δだけ水平偏波の受信電力より大きい場合の結果である。同図にはSTCを適用しない場合に比べてSTC−SDM方式の方が全ての偏波間受信電力差δで所要C/Nが低いことが示されている。
このことから、STC−SDM方式がSTCを適用しない場合よりも、より小さいC/Nで同じビット誤り率を達成することができる。
【0257】
また、偏波間受信電力差δが大きくなってくると、第3の実施例のSTBC(交差偏波)は、第1の実施例のSTBC(同一偏波)よりも所要C/Nが上昇している。これはMIMO伝送路のコンディションが悪くなり伝送特性が劣化していることを意味する。同様に、偏波間受信電力差δが大きくなってくると、SFBC(交差偏波)では第9の実施例のSFBC(同一偏波)よりも所要C/Nが上昇している。これはMIMO伝送路のコンディションが悪くなり伝送特性が劣化していることを意味する。よって、偏波間受信電力差δが大きくなって、交差偏波よりも同一偏波の方が有効であるので、同一偏波が望ましい。
なお、
図24には垂直偏波の受信電力が偏波間受信電力差δだけ水平偏波の受信電力より大きい場合の結果を示したが、反対に水平偏波の受信電力が垂直偏波の受信電力より大きくなる場合についても同様の結果が得られる。
【0258】
(4)低D/U環境の偏波の直交崩れ特性
D/U=0において、B局の偏波の成す角度φに対する所要C/Nを評価した。
図25は、低D/U環境でB局の受信信号の両偏波の成す角度φと所要C/Nの関係のシミュレーション結果である。ここでシミュレーションの条件として、遅延時間τ=60、偏波間受信電力差δ=0、回転角度χ=0である。また、垂直偏波のみに偏波回転を与えて直交崩れを生じさせている。同図において、STCを適用しない場合に比べてSTC−SDM方式の方が全ての受信時の両偏波の成す角度φで所要C/Nが低いことが示されている。
このことから、STC−SDM方式がSTCを適用しない場合よりも、より小さいC/Nで同じビット誤り率を達成することができる。
【0259】
また、両偏波の直交が崩れると、両偏波の成す角度φが小さくなるほど所要C/Nが上昇している。これはMIMO伝送路のコンディションが悪くなり伝送特性が劣化していることを意味する。受信時の両偏波の成す角度φが0度と90度以外では、STBC(交差偏波)の方がSTBC(同一偏波)よりも、より小さいC/Nで同じビット誤り率を達成することができる。同様に、受信時の両偏波の成す角度φが0度と90度以外では、SFBC(交差偏波)の方がSFBC(同一偏波)よりも、より小さいC/Nで同じビット誤り率を達成することができる。よって、受信時の両偏波の成す角度φが0度と90度以外では、同一偏波よりも交差偏波の方が伝送特性が良いので、同一偏波よりも交差偏波の方がより望ましい。
なお、
図25は垂直偏波のみに偏波回転を与えて直交崩れを生じさせた場合の結果だが、水平偏波のみに偏波回転を与えた場合も同様の結果が得られる。
【0260】
(5)低D/U環境の偏波回転特性
D/U=0において、B局の偏波の成す角度φ=90とし、偏波の回転角度χに対する所要C/Nを評価した。
図26は、低D/U環境でB局の受信信号の偏波の回転角度χと所要C/Nとの関係のシミュレーション結果である。ここでシミュレーション条件として、遅延時間τ=60、偏波間受信電力差δ=0である。同図において、STBC(同一偏波)及びSFBC(同一偏波)では、偏波の回転角度が0度から90度にかけて、偏波の回転角度が増加するほど所要C/Nが増加している。また、STBC(同一偏波)及びSFBC(同一偏波)では、偏波の回転角度が180度から90度にかけて、偏波の回転角度が減少するほど所要C/Nが増加している。そして、偏波の回転角度χ=90においてSTBC(同一偏波)及びSFBC(同一偏波)の所要C/Nが最大値をとり、STCの適用なしの場合よりも所要C/Nが大きくなっている。これは、偏波の回転角度χ=90で、STBC(同一偏波)及びSFBC(同一偏波)のMIMO伝送路の伝送路応答行列Hにランク落ちが発生し、送信シンボルが正しく算出できないことをコンディションが悪く、伝送特性が大きく劣化していることを意味する。
【0261】
それに対し、STBC(交差偏波)及びSFBC(交差偏波)は、偏波の回転角度χが変化しても所要C/Nが変化せず、全ての偏波の回転角度χで、STCの適用なしの場合よりも所要C/Nが小さい。すなわち、STBC(交差偏波)及びSFBC(交差偏波)は、偏波の回転に対してロバストである。また、偏波の回転角度χが0度と180度以外の角度で、STBC(交差偏波)及びSFBC(交差偏波)は、STBC(同一偏波)及びSFBC(同一偏波)よりも所要C/Nが小さい。よって、伝搬路で偏波の回転が生じる環境(但し、偏波の回転角度が180度の場合を除く)においては、同一偏波よりも交差偏波の方がより望ましい。なお、STBC(同一偏波)及びSFBC(同一偏波)は、偏波の回転角度χが0〜約60または約120〜180の範囲では、STC適用なしの場合よりも所要C/Nが小さく、伝送特性が良い。
【0262】
以上、偏波の回転角度χが所定の範囲において、STCを適用しない場合よりも、いずれか一つのSTC−SDM方式で符号化した方が伝送特性がよい。すなわち、上述した全ての実施例において、A局及びB局から到来する電波を受信する環境において、偏波の回転角度χが例えば、0〜約60または約120〜180の範囲であれば、STCを適用しない場合よりも、伝送特性の劣化を低減することができる。
【0263】
また、STBC(同一偏波)及びSTBC(同一偏波)に比べて、STBC(交差偏波)及びSFBC(交差偏波)は、伝搬路で偏波の回転が生じても伝送特性が劣化しないという利点を有する。また、STBCは、SFBCに比べて、遅延時間τが大きくなる環境でも伝送特性が劣化しにくいという利点を有する。また、同一偏波による送信は、交差偏波による送信に比べて偏波間受信電力差が大きくなる環境でも伝送特性が劣化しにくいという利点を有する。また、交差偏波による送信は、同一偏波による送信に比べて、受信時の両偏波の成す角度φが90度から崩れて他の角度となっても伝送特性が劣化しにくいという利点を有する。
【0264】
なお、各送信装置は、二つの送信アンテナを備えたがこれに限らず、三つ以上でもよい。例えば、各送信装置は、第1の偏波で送信信号を無線で送信する送信アンテナと、第1の偏波とは異なる第2の偏波で送信信号を無線で送信する送信アンテナとをそれぞれ少なくとも一つずつ備えればよい。
【0265】
以上、本実施形態において、各送信装置は、互いに異なる位置に置かれた二つの送信装置であって、同一のデータに由来するシンボルを互いに異なる変換で符号化して得られた異なる送信信号をそれぞれ空間分割多重して送信する二つの送信装置を備える送信システム4で用いられる。
【0266】
また、各送信装置において、以下の処理を行う。符号化部(14または24)は、データがマッピングされて得られたシンボルの系列データが二つに分割された並列系列データに含まれるそれぞれのシンボルについて、送信システム4が備える他の送信装置が同一のシンボルに対して行う変換とは異なる変換を施し、該変換を施すことで得た変換後シンボルを上記他の送信装置が変換して得た変換後シンボルとは異なる時刻または異なる周波数に割り当てる。逆フーリエ変換部(16または26)は、符号化部(14または24)が符号化して得た符号化後シンボル系列それぞれに対して、逆フーリエ変換を施す。各送信装置は、逆フーリエ変換部(16または26)が逆フーリエ変換して得た二つの送信信号の一方を第1の偏波で無線送信する第1の送信アンテナ及び上記二つの送信信号の他方を上記第1の偏波とは異なる第2の偏波で無線送信する第2の送信アンテナをそれぞれ少なくとも一つずつ備える。
これにより、非特許文献1の技術に対して、一方の送信装置からの信号が全く受信できなくなった場合でも、他方の送信装置が全てのシンボルに基づく信号を送信できるので、その信号を受信した受信装置30は、全データを復元することができるという有利な効果を奏する。
【0267】
例えば、実施例1の構成では、他方の送信装置からの伝送路で偏波回転が起こった場合に、伝送特性が劣化するという新たな課題が発見した。そこで、各送信装置は、更に以下に示す四つの構成のいずれかを取ることにより、他方の送信装置からの伝送路で偏波回転が起こった場合でも、伝送特性が劣化するのを防ぐことができる。
【0268】
一つ目の構成として、
図3において、符号化ペアを交差偏波で送信し、片方の符号化行列で符号反転せず、Alamoutiの符号化行列をベースにしたSTBCまたはSFBCを用いた場合(例えば、実施例3または実施例3’とそれぞれに対応するSFBCの場合)には、各送信装置は、以下の構成を備える。符号化部(14または24)は、直列並列変換部(13または23)が変換して得た並列系列データそれぞれをブロック毎に符号化するものであって、前記ブロック内の一の時刻または一の周波数に割り当てる異なる二つのシンボルに対してそれぞれ複素共役をとり、かつ上記二つのシンボルは同じ符号であって上記他の送信装置が符号化した後の符号化後シンボルとは異なる符号をとるように変換する。送信部(17または27)は、他の送信装置が送信する他の送信信号と同一の情報に由来する送信信号を、上記第1の送信アンテナまたは上記第2の送信アンテナのうち、上記他の送信装置が上記他の送信信号を送信する偏波とは異なる偏波で送信する送信アンテナから送信する。
【0269】
二つ目の構成として、
図3において、符号化ペアを交差偏波で送信し、片方の符号化行列で符号反転せず、Modified Alamoutiの符号化行列をベースにしたSTBCまたはSFBCを用いた場合(例えば、実施例7または実施例7’とそれぞれに対応するSFBCの場合)には、第2の送信装置20は、以下の構成を備える。符号化部24は、直列並列変換部23が変換して得た並列系列データそれぞれをブロック毎に符号化するものであって、上記並列系列データのそれぞれの系列データに含まれるシンボルに対してそれぞれ複素共役をとり、かつ上記ブロック内の一の時刻(例えば、
図12における時刻t)または一の周波数に割り当てる二つのシンボル双方に対してマイナスを乗じる。
送信部27は、第1の送信装置10が送信する他の送信信号と同一の情報に由来する送信信号を、上記第1の送信アンテナまたは上記第2の送信アンテナのうち、上記第1の送信装置10が上記他の送信信号を送信する偏波とは異なる偏波で送信する送信アンテナから送信する。
【0270】
三つ目の構成として、
図3において、符号化ペアを同一偏波で送信し、片方の符号化行列で符号反転し、Alamoutiの符号化行列をベースにしたSTBCまたはSFBCを用いた場合(例えば、実施例2、実施例2’、実施例10または実施例10’)には、各送信装置は、以下の構成を備える。符号化部(14または24)は、直列並列変換部(13または23)が変換して得た並列系列データそれぞれをブロック毎に符号化するものであって、前記ブロック内の一の時刻(例えば、
図5の時刻t+1)または一の周波数に割り当てる異なる二つのシンボルに対してそれぞれ複素共役をとり、かつ上記二つのシンボルのうちいずれかにマイナスを乗じる。送信部(17または27)は、他の送信装置が送信する他の送信信号と同一の情報に由来する送信信号を、上記第1の送信アンテナまたは上記第2の送信アンテナのうち、上記他の送信装置が上記他の送信信号を送信する偏波と同じ偏波で送信する送信アンテナから送信する。
【0271】
四つ目の構成として、
図3において、符号化ペアを同一偏波で送信し、片方の符号化行列で符号反転し、Modified Alamoutiの符号化行列をベースにしたSTBCまたはSFBCを用いた場合(例えば、実施例6または実施例6’とそれぞれに対応するSFBCの場合)には、第2の送信装置20は、以下の構成を備える。符号化部24は、直列並列変換部23が変換して得た並列系列データそれぞれをブロック毎に符号化するものであって、上記並列系列データのそれぞれの系列データに含まれるシンボルに対してそれぞれ複素共役をとり、かつ一方の系列データに含まれる第1の時刻(例えば、
図11の時刻t)または第1の周波数に割り当てるシンボルに対してマイナスを乗じ、他方の系列データに含まれる第2の時刻(例えば、
図11の時刻t+1)または第2の周波数に割り当てるシンボルに対してマイナスを乗じる。送信部27は、第1の送信装置10が送信する他の送信信号と同一の情報に由来する送信信号を、上記第1の送信アンテナまたは上記第2の送信アンテナのうち、第1の送信装置10が上記他の送信信号を送信する偏波と同じ偏波で送信する送信アンテナから送信する。
【0272】
上述したように、送信装置10及び送信装置20は、互いに異なる送信装置に設けられる複数のアンテナを用いて時空間符号化を行うとともに、前記複数の送信装置のそれぞれに設けられる複数のアンテナを用いて空間分割多重を行う方式を採用する伝送システムで用いられる送信装置である。
【0273】
送信装置10は、系列データを分割することによって第1系列データ及び第2系列データを出力する第1直列並列変換部(上述した直列並列変換部13)と、第1系列データを第1規則の時空間符号化によって符号化することによって第1系列データAを生成し、第2系列データを第2規則の時空間符号化によって符号化することによって第2系列データAを生成する第1符号化部(上述した符号化部14)とを備える。送信装置20は、系列データを分割することによって第1系列データ及び第2系列データを出力する第2直列並列変換部(上述した直列並列変換部23)と、第1系列データを第1規則の時空間符号化によって符号化することによって第1系列データBを生成し、第2系列データを第2規則の時空間符号化によって符号化することによって第2系列データBを生成する第2符号化部(上述した符号化部14)とを備える。
【0274】
このような前提下において、第1系列データAは、第1系列データBと異なる変換行列によって符号化されるとともに、第2系列データAは、第2系列データBと異なる符号化方法によって符号化されており、或いは、第1系列データAに対応する送信信号は、第1系列データBに対応する送信信号と異なる偏波によって送信されるとともに、第2系列データAに対応する送信信号は、第2系列データBに対応する送信信号と異なる偏波によって送信される。
【0275】
具体的には、上述したケースとしては、第1系列データA及び第1系列データBに適用される変換行列が異なり、第2系列データA及び第2系列データBに適用される変換行列が異なり、第1系列データA及び第1系列データBに対応する送信信号の偏波が同じであり、第2系列データA及び第2系列データBに対応する送信信号の偏波が同じであるケース(例えば、
図3に示す実施例2,2’、6、6’、10、10’)が考えられる。
【0276】
或いは、上述したケースとしては、第1系列データA及び第1系列データBに適用される変換行列が同じであり、第2系列データA及び第2系列データBに適用される変換行列が同じであり、第1系列データA及び第1系列データBに対応する送信信号の偏波が異なっており、第2系列データA及び第2系列データBに対応する送信信号の偏波が異なっているケース(例えば、
図3に示す実施例3,3’、7、7’、11)が考えられる。
【0277】
また、本実施形態において、受信装置30は、異なる位置に置かれた二つの送信装置であって、同一のデータを互いに異なる変換で符号化して得られた異なる送信信号をそれぞれ空間分割多重して送信する第1の送信装置10と第2の送信装置20が送信する送信信号を受信する。受信装置において、第1の受信アンテナ311は、第1の偏波の信号を受信する。第2の受信アンテナ312は、上記第1の偏波とは異なる第2の偏波の信号を受信する。フーリエ変換部33は、第1の受信アンテナ311が受信した信号をフーリエ変換し、第2の受信アンテナ312が受信した信号をフーリエ変換する。伝送路応答推定部34は、フーリエ変換部33がフーリエ変換することで得られた信号のうち、第1の送信装置10が送信した既知のパイロット信号と送信装置20が送信した既知のパイロット信号から伝送路応答を推定する。送信信号検出部35は、伝送路応答推定部34が算出した伝送路応答、及び前記フーリエ変換部がフーリエ変換することで得られた信号を参照して、前記第1の送信装置と前記第2の送信装置が送信した信号を推定する。
【0278】
このように、受信装置30は、系列データの分割によって得られる2系統の系列データの符号化によって得られる第1系列データA及び第2系列データAに対応する送信信号を第1送信装置から受信するとともに、系列データの分割によって得られる2系統の系列データの符号化によって得られる第1系列データB及び第2系列データBに対応する送信信号を第2送信装置から受信する受信処理部(例えば、
図16に示す送信信号検出部35、並列直列変換部36、キャリア復調部37など)を備える。上述したように、第1系列データAは、第1系列データBと異なる変換行列によって符号化されるとともに、第2系列データAは、第2系列データBと異なる符号化方法によって符号化されており、或いは、第1系列データAに対応する送信信号は、第1系列データBに対応する送信信号と異なる偏波によって送信されるとともに、第2系列データAに対応する送信信号は、第2系列データBに対応する送信信号と異なる偏波によって送信される。
【0279】
また、本実施形態の各送信装置及び各受信装置の各処理を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、各送信装置及び各受信装置に係る上述した種々の処理を行ってもよい。
【0280】
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0281】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0282】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではない。各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0283】
なお、日本国特許出願第2012−248786号(平成24年(西暦2012年)11月12日出願)の全内容が、参照により、本願明細書に組み込まれている。
【0284】
また、以下に、第1から第7の参考構成例を記載する。これらの構成による実施を行うようにしても良い。
【0285】
[第1の参考構成例]
2つの送信アンテナを有する第1送信装置及び2つの送信アンテナを有する第2送信装置を備える伝送システムであって、
前記第1送信装置は、
系列データを分割することによって第1系列データ及び第2系列データを出力する第1直列並列変換部と、
前記第1系列データを第1規則の時空間符号化によって符号化することによって第1系列データAを生成し、前記第2系列データを第2規則の時空間符号化によって符号化することによって第2系列データAを生成する第1符号化部とを備え、
前記第2送信装置は、
前記系列データを分割することによって前記第1系列データ及び前記第2系列データを出力する第2直列並列変換部と、
前記第1系列データを前記第1規則の時空間符号化によって符号化することによって第1系列データBを生成し、前記第2系列データを前記第2規則の時空間符号化によって符号化することによって第2系列データBを生成する第2符号化部とを備え、
前記第1系列データAは、前記第1系列データBと異なる変換行列によって符号化されるとともに、前記第2系列データAは、前記第2系列データBと異なる符号化方法によって符号化されており、或いは、前記第1系列データAに対応する送信信号は、前記第1系列データBに対応する送信信号と異なる偏波によって送信されるとともに、前記第2系列データAに対応する送信信号は、前記第2系列データBに対応する送信信号と異なる偏波によって送信されることを特徴とする伝送システム。
【0286】
[第2の参考構成例]
前記第1シンボル系列Aに対応する送信信号及び前記第2シンボル系列Aに対応する送信信号のうち、一方の送信信号は、第1偏波によって送信され、他方の送信信号は、第2偏波によって送信され、
前記第1シンボル系列Bに対応する送信信号及び前記第2シンボル系列Bに対応する送信信号のうち、一方の送信信号は、第1偏波によって送信され、他方の送信信号は、第2偏波によって送信されることを特徴とする第1の参考構成例に記載の伝送システム。
【0287】
[第3の参考構成例]
前記第1規則の時空間符号化及び前記第2規則の時空間符号化は、第1シンボル及び第2シンボルによって構成されるブロック毎に、前記第1シンボル及び前記第2シンボルを符号化する時空間符号化であり、
前記第1規則の時空間符号化で用いる変換行列は、前記第2規則の時空間符号化で用いる変換行列と異なっており、
前記第1シンボル系列Aに対応する送信信号の偏波は、前記第1シンボル系列Bに対応する送信信号の偏波と同じであり、
前記第2シンボル系列Aに対応する送信信号の偏波は、前記第2シンボル系列Bに対応する送信信号の偏波と同じであることを特徴とする第1の参考構成例に記載の伝送システム。
【0288】
[第4の参考構成例]
前記第1規則の時空間符号化及び前記第2規則の時空間符号化は、第1シンボル及び第2シンボルによって構成されるブロック毎に、前記第1シンボル及び前記第2シンボルを符号化する時空間符号化であり、
前記第1規則の時空間符号化で用いる変換行列は、前記第2規則の時空間符号化で用いる変換行列と同じであり、
前記第1シンボル系列Aに対応する送信信号の偏波は、前記第1シンボル系列Bに対応する送信信号の偏波と異なっており、
前記第2シンボル系列Aに対応する送信信号の偏波は、前記第2シンボル系列Bに対応する送信信号の偏波と異なっていることを特徴とする第1の参考構成例に記載の伝送システム。
【0289】
[第5の参考構成例]
前記第1規則の時空間符号化及び前記第2規則の時空間符号化は、第1シンボルP
0及び第2シンボルP
1によって構成されるブロック毎に、前記第1シンボルP
0及び前記第2シンボルP
1を符号化する時空間符号化であり、
前記第1規則の時空間符号化及び前記第2規則の時空間符号化で用いる変換行列は、変換行列J及び変換行列Kの中から選択された変換行列、或いは、変換行列L及び変換行列Mの中から選択された変換行列であり、
前記変換行列J〜前記変換行列Mは、
【数58】
【数59】
【数60】
【数61】
であることを特徴とする第3の参考構成例に記載の伝送システム。
但し、上において、各矢印の右側に示すものが、それぞれ、変換行列J,K,L,Mである。上の各矢印は、左から右への変換を表す。
【0290】
[第6の参考構成例]
前記第1規則の時空間符号化及び前記第2規則の時空間符号化は、第1シンボルP
0及び第2シンボルP
1によって構成されるブロック毎に、前記第1シンボルP
0及び前記第2シンボルP
1を符号化する時空間符号化であり、
前記第1規則の時空間符号化及び前記第2規則の時空間符号化で用いる変換行列は、変換行列J及び変換行列Kの中から選択された変換行列、或いは、変換行列L及び変換行列Mの中から選択された変換行列であり、
前記変換行列J〜前記変換行列Mは、
【数62】
【数63】
【数64】
【数65】
であることを特徴とする第4の参考構成例に記載の伝送システム。
但し、上において、各矢印の右側に示すものが、それぞれ、変換行列J,K,L,Mである。上の各矢印は、左から右への変換を表す。
【0291】
[第7の参考構成例]
互いに異なる送信装置に設けられる複数のアンテナを用いて時空間符号化を行うとともに、前記複数の送信装置のそれぞれに設けられる複数のアンテナを用いて空間分割多重を行う方式を採用しており、第1送信装置及び第2送信装置を備える伝送システムで用いられる受信装置であって、
系列データの分割によって得られる2系統の系列データの符号化によって得られる第1系列データA及び第2系列データAに対応する送信信号を前記第1送信装置から受信するとともに、前記系列データの分割によって得られる2系統の系列データの符号化によって得られる第1系列データB及び第2系列データBに対応する送信信号を前記第2送信装置から受信する受信処理部を備え、
前記第1系列データAは、前記第1系列データBと異なる変換行列によって符号化されるとともに、前記第2系列データAは、前記第2系列データBと異なる符号化方法によって符号化されており、或いは、前記第1系列データAに対応する送信信号は、前記第1系列データBに対応する送信信号と異なる偏波によって送信されるとともに、前記第2系列データAに対応する送信信号は、前記第2系列データBに対応する送信信号と異なる偏波によって送信されることを特徴とする受信装置。