(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1に開示されたミニマルファブシステムは、ハーフインチサイズのウェハを単位処理装置で一枚ずつ処理する方法であり、ハーフインチサイズのウェハ上に印刷等された被現像物を現像する装置として、上記特許文献2に開示されたスピン現像装置が知られているものの、ハーフインチサイズのウェハ(被処理体)を現像したり、洗浄したりする加熱ウェット処理装置において、少ない量の現像液または洗浄液(処理液)とした場合であっても、効率良く加熱処理することができる装置および方法については、知られていない。
【0011】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、上記したミニマルファブシステム等に使用することのできる、ハーフインチサイズのようなきわめて小さいウェハの加熱ウェット処理方式として、効率良く加熱ウェット処理することができる加熱ウェット処理装置およびその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、
平板状の被処理体を加熱しながら
前記被処理体の表面に処理液を供給して処理する加熱ウェット処理装置であって、
集光体、および前記集光体を囲むように前記集光体の周方向に所定の間隔を空けて取り付けられ表面を上側に向けた状態で前記被処理体
を係止する複数の係止片部を有するステージと、
前記ステージの上方に設けられ、前記
係止片部に
係止された前記被処理体
の表面に前記処理液を供給する供給部と、
前記集光体の下方であり前記係止片部に
係止された
前記被処理体に臨んだ位置に設けられ、少なくとも前記被処理体と前記処理液との界面部分を加熱する加熱部と、を備え、
前記加熱部は、発光した光を前記集光体へ送る発光部であり、前記集光体にて集光した光を前記被処理体に照射して、少なくとも前記被処理体と前記処理液との界面部分を加熱することを特徴とする加熱ウェット処理装置とした。
【0013】
このように構成された本発明によれば、ステージに被処理体を設置してから、この被処理体
の表面に処理液を供給部から供給する。この状態で、ステージに設置された被処理体
の下方に位置する加熱部にて
発光した光を集光体へ送り、集光体にて集光した光を被処理体に照射して、少なくとも被処理体と処理液との界面部分を加熱する。この結果、被処理体を処理液にて処理する最適箇所である界面部分を加熱部にて加熱できるから、効率良く加熱ウェット処理できる。
【0014】
また、被処理体を介して、被処理体と前記処理液との界面部分を加熱できる
から、加熱部と供給部との設置箇所の干渉を少なくできるとともに、被処理体と処理液との界面部分を適切に加熱できる。
【0015】
さらに、発光した光を
集光体にて集光し、この
集光体にて集光した光をレンズ部にて被処理体と処理液との界面部分へ導くため、発光した光をより効率良く被処理体と処理液との界面部分へ導くことができる。
【0016】
また本発明は、上記発明において、前記
係止片部は、前記被処理体の周縁を保持する複数のピン材にて構成され、これら複数のピン材間に前記
集光体を位置させて前記
集光体と一体に設けられていることを特徴とする加熱ウェット処理装置とした。
【0017】
このように構成された本発明は、被処理体の周縁を保持する複数のピン材にて
係止片部を構成することにより、これら複数のピン材間に
集光体を位置させ、ステージと
集光体とを一体に設けることができる。したがって、加熱ウェット処理装置の部品点数を少なくできるとともに
、発光した光を複数のピン材を介して導くことが可能になるため、被処理体と処理液との界面部分をより適切かつ効率良く加熱できる。
【0018】
また本発明は、上記発明において、前記被処理体は、所定サイズ
のウェハで、前記処理液は、前記ウェハを洗浄するための洗浄液であることを特徴とする加熱ウェット処理装置とした。
【0019】
このように構成された本発明は、ステージに設置されたウェハの
下方の臨んだ位置に設けられた加熱部にて、少なくともウェハと洗浄液との界面部分を加熱することができる。よって、ウェハを洗浄液で洗浄処理する際の最適箇所である界面部分を適切に加熱できるため、効率良くウェハを洗浄することができる。
【0020】
また本発明は、上記目的を達成するために、
集光体を囲むように前記集光体の周方向に所定の間隔を空けて取り付けられた係止片部にて、表面を上側に向けた状態で平板状の被処理体を係止してステージに
前記被処理体を設置する設置工程と、前記ステージに設置された前記被処理体
の表面に、前記ステージの上方から処理液を供給する供給工程と、前記供給工程にて前記処理液を供給している状態で、
前記集光体の下方であり前記係止片部に係止された前記被処理体に臨んだ位置から
光を発光して前記集光体へ送り、前記集光プレートにて集光した光を前記被処理体に照射して、少なくとも前記被処理体と前記処理液との界面部分を加熱する処理工程と、を備えたことを特徴とする加熱ウェット処理方法とした。
【0021】
このように構成された本発明によれば、ステージに被処理体を設置し、このステージに設置された被処理体
の表面に処理液を供給している状態で、被処理体に臨んだ位置から、
光を発光して集光体へ送り、集光体にて集光した光を被処理体に照射して、少なくとも被処理体と処理液との界面部分を加熱する。この結果、被処理体を処理液にて処理する最適箇所である界面部分を適切に加熱できるため、効率良く加熱ウェット処理できる。
【0022】
また、被処理体を介して、被処理体と処理液との界面部分を加熱することにより、この被処理体と処理液との界面部分を加熱するための加熱部の設置箇所と、処理液を供給するための供給部の設置箇所との干渉を少なくできるとともに、被処理体と処理液との界面部分を適切に加熱することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ステージに被処理体を設置してから、この被処理体
の表面に処理液を供給部から供給した状態で、ステージに設置された被処理体
の下方に位置する加熱部にて、
発光した光を集光体へ送り、集光体にて集光した光を被処理体へ照射して、少なくとも被処理体と処理液との界面部分を加熱するため、被処理体を処理液にて処理する最適箇所である界面部分を加熱部にて加熱することができるから、効率良く加熱ウェット処理することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
【0026】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るウェハ洗浄機1を示す外観図で、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は背面図である。
図2は、ウェハ洗浄機1の内部構造の一部を示す概略説明図である。
図3は、ウェハ洗浄機1の洗浄ユニット3を示す概略説明図である。
【0027】
<全体構造>
本発明の第1実施形態に係るスピン洗浄装置であるウェハ洗浄機1は、所定の大きさに成形された略円盤状または矩形状のウェハWの表面を洗浄処理する加熱ウェット処理装置である。ウェハ洗浄機1は、
図1および
図2に示すように、予め規格された大きさの筐体2内に収容されたミニマルファブ(minimal fabrication)構想に基づくミニマル洗浄装置である。ここで、ミニマルファブ構想とは、多品種少量という半導体製造市場に最適なもので、省資源・省エネルギ・省投資・高性能な多様なファブに対応でき、例えば特開2012−54414号公報に記載の生産をミニマル化させるミニマル生産システムを実現させるものである。
【0028】
ウェハ洗浄機1の筐体2は、上下方向に長手方向を有する略直方体状に形成され、内部への微粒子およびガス分子のそれぞれを遮断する構造とされている。筐体2の上側の装置上部2a内には、被処理体としての被洗浄物であるウェハWを洗浄するため本体部としての洗浄ユニット3が収容されている。洗浄ユニット3による洗浄としては、ウェハW上のレジスト除去、エッチング、付着している残渣等を取り除く等を目的としたものを含む。
【0029】
洗浄ユニット3より下方の装置上部2aまたは装置下部2b内には、洗浄ユニット3での洗浄にて用いられた使用済みの洗浄液やリンス液等の廃液を貯留させるための廃液タンクや、洗浄ユニット3での洗浄に用いられる薬液、例えばフッ酸(HF)等の洗浄物である洗浄液L、洗浄後にウェハW上に残った洗浄液をリンスするために用いられる、例えば純水等のリンス液Rが貯留された薬液タンク等が収容されている。洗浄ユニット3より上方の装置上部2a内には、洗浄ユニット3の駆動や洗浄液Lの供給を制御する制御部としてのコントロールユニット4が収容されている。
【0030】
筐体2の下側には、装置上部2aに対する原料供給系や排気系、制御装置等を内蔵させるための装置下部2bが設けられている。装置下部2bには、例えば窒素(N2)ガスや空気等の乾燥補助用の
図7に示すガスGが貯留されたガスボンベ(図示せず)が収容されている。筐体2の装置上部2aの上下方向の中間部には、筐体2の正面側を側面視凹状に窪ませた凹状部2cが形成されている。凹状部2cの下側の部分は、ウェハWを筐体2内に搬入させるための前室2dとされている。前室2dには、
図2に示すウェハ搬送ロボット5が収容されている。前室2dの上面の略中央部には、搬送容器としてのミニマルシャトル(図示せず)を設置するためのシャトル収容部としての略円形状のドッキングポート2eが設けられている。
【0031】
ドッキングポート2eは、ウェハ搬送ロボット5の上面に設けられ、このドッキングポート2eを、前室2dの上面から突出させた状態とさせてウェハ搬送ロボット5が前室2d内に収容されている。前室2dは、筐体2内への微粒子およびガス分子のそれぞれを遮断する構成とされている。前室2dは、ミニマルシャトル内に収容されているウェハWを外気に曝す等することなく筐体2内へ出し入れ可能とするPLAD(Particle Lock Air-tight Docking)システムとされている。
【0032】
ウェハ搬送ロボット5は、ドッキングポート2eから搬入されてくるウェハWを洗浄ユニット3の所定位置へ搬送するとともに、洗浄ユニット3にて洗浄された後のウェハWをドッキングポート2eから筐体2外へ搬出する。ウェハ搬送ロボット5としては、例えば特開2011−96942号公報に記載のワーク搬送装置等が用いられる。ウェハ搬送ロボット5は、
図2に示すように、ウェハ搬送空間5aを介して洗浄ユニット3に連結され、ウェハ搬送空間5a内に、細長平板状の機体を伸長させたり縮退させたりし、機体の先端に設置したウェハWを洗浄ユニット3内へ出し入れする伸縮アクチュエータ(図示せず)が用いられている。
【0033】
<洗浄ユニット>
洗浄ユニット3は、筐体2内の前室2dの後側上部のウェハ処理室2f内に収容されている。洗浄ユニット3にて洗浄するウェハWは、所定の大きさ、例えば直径12.5mm(ハーフインチサイズ)の円形状の表面を有する円盤状に形成されている。ウェハWには、予め所定のパターンが形成され洗浄前の状態とされている。なお、ウェハWとしては、フォトレジスト膜が除去されたベアシリコンウェハ等であっても用いることができる。
【0034】
洗浄ユニット3は、
図3に示すように、洗浄チャンバ31を備えている。洗浄チャンバ31は、有底略円筒状の下カップ32と、下カップ32上に嵌合される略円盤状の上カップ33とで構成されている。下カップ32内の中心位置には、水平方向に回転可能なステージ34が設けられている。ステージ34に対向する上カップ33の中心位置には、供給ノズルとしての液吐出ノズル35が設けられている。液吐出ノズル35は、ステージ34に設置されたウェハWに対向する位置に設けられ、このウェハW上に洗浄液Lを供給する供給部であるとともに、後述する超音波振動子38にて共振される共振体である。
【0035】
<洗浄チャンバ>
洗浄チャンバ31の下カップ32は、円筒状の周面部32aと、周面部32aの底部側を覆う円環状の底板部32bとで構成された略有底円筒状に形成され、底板部32bの中心位置に上下方向に沿って貫通した挿通孔32cが形成されている。周面部32aの上端内縁部には、テーパ状の傾斜面部32dが周方向に亘って形成されている。下カップ32の周面部32aの上端側は、ウェハ搬送用のウェハ搬送空間5aを覆う搬送チャンバ5bの一端側の下側に取り付けられている。搬送チャンバ5bの他端側は、ウェハ搬送ロボット5に接続されている。下カップ32の底板部32bには、下カップ32内へ流れ込んでくる使用済みの洗浄液Lやリンス液Rを排出させるための廃液口(図示せず)が設けられている。
【0036】
上カップ33は、搬送チャンバ5bの一端側に接続された収容部33a内に昇降可能に収容されている。上カップ33の下方には、中心位置から略円錐状に拡開するテーパ状の内周面部33bが設けられている。内周面部33bの外側に位置する下端内縁部には、周方向に沿って下方に突出した嵌合片部33cが設けられている。嵌合片部33cは、下カップ32の周面部32aの内径寸法に略等しい外径寸法に形成され、上カップ33を下降させて下カップ32に嵌合させた際に、下カップ32の周面部32aの内側に嵌合する。
【0037】
嵌合片部33cより外側の上カップ33の下端面は、下カップ32の周面部32aの上端部に当接する当接面33dとされている。当接面33dには、周方向に亘ってパッキン33eが取り付けられている。パッキン33eは、上カップ33を下降させて下カップ32に嵌合させた際に、下カップ32の周面部32aの上端部に接触して、上カップ33と下カップ32との嵌合を気密にさせる。
【0038】
<ステージ>
ステージ34は、略円筒状の回転軸34a上に設けられている。回転軸34aは、上端側を下カップ32内に収容させ、下端側が底板部32bの中心位置を貫通させて取り付けられている。底板部32bを貫通して下カップ32外へ突出した部分には、回転軸34aを周方向に回転駆動させる回転駆動部34bが設けられている。回転軸34aの上端側は、同心状に拡開されて円筒状の収容空間34cが形成されたランプ収容部34dとされている。ランプ収容部34dの収容空間34cの中心位置には、発光部としての、例えばキセノンランプ等のランプ34eが取り付けられている。
【0039】
ランプ34eは、ステージ34上に設置されるウェハWに臨んだ位置に取り付けられ、少なくともウェハWと洗浄液Lとの界面部分を加熱するための加熱部である。収容空間34cには、ランプ34eを覆うように集光部としてのリフレクタ34fが取り付けられている。リフレクタ34fは、ランプ34eから発する光を、ステージ34上に設置されたウェハWと洗浄液Lとの少なくとも界面部分に集光させる凹弧面状の内側面とされている。
【0040】
ランプ収容部34dの上端側には、ランプ収容部34dの上端側を閉塞する閉塞部材34gが取り付けられている。閉塞部材34gの上側の中心位置には、レンズ部としての略円柱状の集光プレート34hが、閉塞部材34gに対し一体に設けられている。閉塞部材34gおよび集光プレート34hは、例えば石英や単結晶サファイヤ等の光を透過する素材にて形成されている。集光プレート34hは、リフレクタ34fにて集光された光を、ステージ34上に設置されるウェハWへ導く集光体である。ここで、レンズ部としては、照射される光を集光するものに加え、照射される光りを単に透過させるものも含まれる。
【0041】
ステージ34は、複数、例えば5本のピン材としての係止片部34iにて構成され、これら複数の係止片部34iにて集光プレート34hを囲むように、集光プレート34hの周方向に所定の間隔を空けて取り付けられている。各係止片部34iは、閉塞部材34gに対して別体として平面視矩形状に構成され、この閉塞部材34g上に取り付けられている。各係止片部34iの上側の内側縁には、ウェハWの周縁を係止して支持する係止段部34jが設けられている。これら係止片部34iのうちの1つは、後述するスピンテーブル36の上下動に連動して移動するチャックピン34kとされている。チャックピン34kは、スピンテーブル36の下降に同調して中心軸方向へ移動し、スピンテーブル36の上昇に同調して径方向に移動する構成とされている。
【0042】
一方、ステージ34の集光プレート34hに嵌合するよう、円環状のスピンテーブル36が昇降可能(上下動可能)に取り付けられている。スピンテーブル36は、エアシリンダ37にて昇降動作する。エアシリンダ37は、
図3に示すように、下カップ32内であって、回転軸34aの外側に取り付けられている。スピンテーブル36は、最上昇させた状態から、スピンテーブル36がステージ34の閉塞部材34g上に載置する位置までを昇降動作可能とされ、この位置でスピンテーブル36からエアシリンダ37が切り離れ、エアシリンダ37のみが縮退動作する構成とされている。
【0043】
スピンテーブル36の中心位置には、円形状の開口部36aが設けられている。開口部36aの上側の開口縁には、ウェハ搬送ロボット5にて搬送されるウェハWを受け取るための支持片部36bが設けられている。支持片部36bは、開口部36aの周方向に向けて等間隔に離れた位置に、複数、例えば3個ほど設けられている。支持片部36bは、ステージ34を構成する係止片部34iと干渉しない位置、例えばこれら係止片部34iに対して交互に、集光プレート34hの周囲に設けられている。
【0044】
<液吐出ノズル>
上カップ33の中心位置には、液吐出ノズル35の下端側である先端側が貫通されて取り付けられる挿通開口33fが設けられている。液吐出ノズル35は、円筒状の挿通部35aを備えている。挿通部35aの下端部は、上カップ33の挿通開口33fの下端部より下方に突出させた状態として取り付けられている。挿通部35aと挿通開口33fとの間には、挿通部35aと挿通開口33fとの間を気密にする円環状のシール材35bが取り付けられている。挿通部35aは、ステージ34上に設置されるウェハWの外径寸法に略等しい外径寸法とされている。挿通部35aの平面状の下端面35cの中心位置には、液吐出口35dが開口されている。液吐出口35dは、挿通部35aの同心状に形成され、上カップ33の挿通開口33fより上側の位置に開口された液供給口35eに通じた構成とされている。
【0045】
さらに、液吐出ノズル35は、液吐出口35dの中心位置が、ステージ34上に設置されたウェハWの中心位置上に位置するように、ステージ34に対向させて取り付けられている。すなわち、液吐出ノズル35は、上カップ33の中心位置に取り付けられ、この上カップ33は、下カップ32の同心状に取り付けられ、この下カップ32の中心位置にステージ34が取り付けられている。
【0046】
ここで、液吐出ノズル35は、ウェハWを洗浄する際に洗浄液Lが供給され、ウェハW上に残った洗浄液Lを除去するためにリンス液Rが供給され、リンス液RをウェハW上から吹き飛ばすためにガスGが供給される構成とされ、これら洗浄液L、リンス液RおよびガスGが液供給口35eから液吐出口35dへ送られる構成とされている。洗浄液L、リンス液RおよびガスGの供給は、コントロールユニット4にて制御されている。
【0047】
液吐出ノズル35の挿通部35aの上端側には、上側に進むに連れてテーパ状に拡開した形状の共振体取付部35fが一体に設けられている。共振体取付部35fの上端側は、平坦な共振体取付面35gとされている。共振体取付面35gには、円環状
の超音波振動子(PZT)38が同心状に取り付けられている。超音波振動子38は、液吐出ノズル35とウェハWの間の空間Sを満たすように供給された洗浄液Lに超音波振動を与え、この超音波振動させた洗浄液LによるウェハW上の洗浄力を向上させる。なお、共振体取付面35gへ照射される光を反射させてウェハW上に照射させることを目的として、共振体取付面35gを鏡面加工してもよい。
【0048】
次に、上記第1実施形態のウェハ洗浄機1を用いた洗浄方法について
図4ないし
図7を参照しながら説明する。
【0049】
図4は、ウェハ洗浄機1のウェハ搬入状態を示す断面図で、(a)は正面断面図、(b)は側面断面図である。
図5は、ウェハ洗浄機1のウェハ搬入状態からウェハ保持状態への移行時の状態を示す断面図で、(a)は正面断面図、(b)は側面断面図である。
図6は、ウェハ洗浄機1のウェハ保持状態を示す断面図で、(a)は正面断面図、(b)は側面断面図である。
図7は、ウェハ洗浄機1による洗浄工程を示す図で、(a)は洗浄液滴下時、(b)は洗浄時、(c)は廃液時、(d)は洗浄液追加時、(e)は洗浄時、(f)は廃液時、(g)はリンス液滴下時、(h)は洗浄時、(i)はブロー時、(j)は完了時である。
【0050】
<準備工程>
まず、コントロールユニット4にて洗浄ユニット3のエアシリンダ37を駆動させて、
図4(a)に示すように、スピンテーブル36を最上昇位置まで上昇させる。このとき、スピンテーブル36の上昇移動に連動して、ステージ34の係止片部34iのうちのチャックピン34kが径方向に移動していき、
図4(b)に示すように、ウェハWを支持する位置よりも外側にチャックピン34kが移動する。
【0051】
<搬入工程>
この状態で、洗浄が必要なウェハWが収容されたミニマルシャトルを、ウェハ洗浄機1の前室2dのドッキングポート2eに嵌合させて設置する。この状態で、ウェハ洗浄機1の所定位置に設けられているスタートスイッチ(図示せず)を押す。
【0052】
すると、ドッキングポート2eに設置されたミニマルシャトルが開放され、このミニマルシャトル内に収容されているウェハWが、ウェハ搬送ロボット5の機体の先端部に設置される。この後、機体が伸長していき、この機体の先端部に設置されているウェハWが、ウェハ搬送空間5aを介してスピンテーブル36の支持片部36b間へ搬送されていき、これら支持片部36b間にウェハWが設置される。このとき、
図4(a)および(b)に示すように、スピンテーブル36の支持片部36b間にウェハWが保持された状態とされる。
【0053】
<設置工程>
この後、エアシリンダ37が駆動し、
図5(a)に示すように、ウェハWが設置されたスピンテーブル36が下降していく。そして、
図5(b)に示すように、スピンテーブル36の下降移動に連動して、ステージ34の係止片部34iのうちのチャックピン34kが中心軸方向に移動していき、
図6(a)および
図6(b)に示すように、このチャックピン34kを含む各係止片部34i間にウェハWが設置され、これら係止片部34i間に設置されたウェハWがチャックピン34kにて保持、すなわちチャック(挟持)される。
【0054】
このとき、スピンテーブル36は、ステージ34の閉塞部材34g上に設置するまで、エアシリンダ37の駆動にて下降していく。そして、
図6(a)および
図6(b)に示すように、閉塞部材34gにスピンテーブル36が設置した状態で、エアシリンダ37がスピンテーブル36から切り離され、スピンテーブル36がステージ34とともに周方向に回転駆動可能な構成とされる。
【0055】
この後、
図3に示すように、洗浄チャンバ31の上カップ33の当接面33dが下カップ32の周面部32aの上端部に当接するまで、上カップ33が下降していき、上カップ33が下カップ32に嵌合した状態とされ、これら上カップ33と下カップ32との嵌合がパッキン33eにて気密保持された状態とされる。このとき、液吐出ノズル35は、上カップ33とともに下降していき、この液吐出ノズル35の下端面35cが、ステージ34上に設置されたウェハWと同心状かつ、ウェハWとの間に所定の間隔を空け空間Sを設けた状態とされる。
【0056】
<洗浄工程>
次いで、洗浄液供給工程として、コントロールユニット4による制御により、薬液タンクから液吐出ノズル35の液供給口35eへ常温の洗浄液Lが供給され、
図7(a)に示すように、液吐出ノズル35の液吐出口35dからウェハW上に洗浄液Lが滴下されていき、
図7(b)に示すように、この洗浄液Lが有する表面張力、液吐出ノズル35の下端面35cの濡れ性、ウェハWの濡れ性等によって、ウェハWの全面に亘って、液吐出ノズル35の下端面35cとウェハWとの間の空間Sの略全域が洗浄液Lにて満たされ、この空間Sから洗浄液Lがこぼれ落ちない程度の所定量、例えば数ml程度の微小量の洗浄液Lが液吐出ノズル35の液吐出口35dから吐出される。
【0057】
この状態で、液吐出ノズル35に取り付けられた超音波振動子38によって、液吐出ノズル35の下端面35cとウェハWとの間の空間Sを満たす洗浄液Lに超音波振動が与えられるとともに、ランプ34eが点灯され、このランプ34eからの光がウェハWへ供給され、このウェハWに供給した光に基づく熱が、少なくともウェハWと洗浄液Lとの界面部分に供給されて加熱される。
【0058】
このとき、ランプ34eからの光は、このランプ34eを覆うリフレクタ34fにて集光され、この集光された光が集光プレート34hを通過してウェハWの裏面へ照射され、ウェハW上に供給されている洗浄液Lが所定温度まで加熱される。同時に、液吐出ノズル35の下端面35cとウェハWとの間の空間Sに洗浄液Lが保持され、この空間Sから洗浄液Lがこぼれ落ちない程度、例えば600rpm未満の回転速度で回転軸34aが回転駆動部34bにて回転駆動され、この回転軸34aの回転に伴いステージ34に保持されているウェハWがスピン回転され、これら超音波振動、ランプ加熱およびスピン回転によってウェハWが洗浄液Lにて加熱スピン洗浄される。
【0059】
<液切り工程>
この後、ランプ34eによる発光が停止されるとともに、超音波振動子38による超音波振動が停止されてから、
図7(c)に示すように、回転駆動部34bによる回転軸34aの回転駆動が、例えば600rpm以上に加速され、液吐出ノズル35の下端面35cとウェハWとの間の空間Sに介在させた洗浄液Lが遠心力にて吹き飛ばされて排出される。このとき、吹き飛ばされた洗浄液Lは、スピンテーブル36上へ吹き飛ばされ、このスピンテーブル36自体の回転によって、このスピンテーブル36の外周縁から下カップ32内へ流れ落ちていき、この下カップ32に設けられた廃液口から、洗浄チャンバ31外へ排出される。
【0060】
<連続工程>
さらに、例えば洗浄液Lの劣化による使用寿命等の所定の必要に応じ、
図7(d)ないし
図7(f)に示すように、上記洗浄工程および液切り工程を複数回繰り返して洗浄液Lを間欠吐出し、液吐出ノズル35の下端面35cとウェハWとの間の空間Sに新たな洗浄液Lを追加滴下してからスピン回転されウェハWが加熱スピン洗浄された後、この空間Sに介在させた洗浄済みの洗浄液Lが吹き飛ばされて排出される。
【0061】
<リンス工程>
次いで、
図7(g)に示すように、回転駆動部34bによる回転駆動により、例えば600rpm未満の回転速度でステージ34が回転した状態で、薬液タンクから液吐出ノズル35の液供給口35eへリンス液
Rが供給され、液吐出ノズル35の液吐出口3
5dからウェハW上にリンス液Rが連続的に滴下されていき、ウェハW上からリンス液Rをこぼしながら、ウェハW上に残った洗浄液Lがリンス液Rにて洗い流されてリンスされる。
【0062】
<乾燥工程>
この後、ランプ34eがオンされウェハWが加熱さるとともに、
図7(h)に示すように、回転駆動部34bによる回転軸34aの回転駆動が、例えば1000rpm以上に加速され、かつガスGが液吐出ノズル35の液供給口35eへ供給され、液吐出ノズル35の液吐出口35dからウェハW上にガスGが吹き付けられ、ウェハW上に残ったリンス液
Rが遠心力とガスGの吹き付けにてウェハW外に吹き飛ばされてブローされて乾燥され、
図7(j)に示すように、ウェハWの洗浄が完了される。このとき、吹き飛ばされたリンス液
Rもまた、スピンテーブル36から下カップ32内へ流れ落ちていき、下カップ32の廃液口から排出される。
【0063】
<搬出工程>
この後、上述した搬入工程の逆動作がなされ、エアシリンダ37の駆動にてスピンテーブル36が上昇移動されていき、
図6(a)および
図6(b)に示す状態から、
図4(a)および
図4(b)に示す状態へ駆動していく。このとき、スピンテーブル36の上昇移動に連動して係止片部34iのうちのチャックピン34kが径方向(外側)に移動していき、
図5(b)に示すように、これら係止片部34iによるウェハWのチャックが解除されてアンチャック状態とされる。この後、
図4(a)および
図4(b)に示すように、スピンテーブル36の支持片部36b間にウェハWが受け渡される。
【0064】
次いで、ウェハ搬送ロボット5が駆動され、このウェハ搬送ロボット5の機体の先端部にウェハWが設置されてから引き戻し動作され、ウェハ搬送空間5aを介してウェハ搬送ロボット5内にウェハWが搬送されミニマルシャトル上に設置されてから、このミニマルシャトルが閉操作される。そして、このウェハWが収容されたミニマルシャトルを、前室2
dのドッキングポート2
eから取り外すことによって、ウェハ洗浄機1からウェハWが搬出される。
【0065】
<作用効果>
シリコンウェハ等のウェハを洗浄する方法としては、RCA洗浄が知られている。RCA洗浄は、ウェハ上に付着したパーティクル除去を目的としたアンモニア水と過酸化水素水から構成されるSC1(Standard Clean 1)洗浄と、ウェハ上に付着した金属不純物除去を目的とした塩酸と過酸化水素水から構成されるSC2(Standard Clean 2)洗浄との組み合わせからなる。RCA洗浄では、各薬液を所定温度まで加熱する必要があり、ウェハを洗浄液中に浸漬させる浸漬式の洗浄の場合においては、一般に構成比の多い純水を加熱し、この加熱した純水に薬液を混合することで所定の温度の洗浄液として洗浄を行っている。必要に応じ、ラインヒータ等で保温を行う場合もある。
【0066】
他方、常に新しい洗浄液を供給し続ける枚葉スピン洗浄方式の場合には、薬液を混合した洗浄液をタンク等に貯留させて加熱しておき、この加熱した洗浄液をウェハ上に供給して洗浄する。すなわち、枚葉スピン洗浄方式では、ウェハの洗浄を行う前の待機時においても洗浄液を所定温度に保温しておく必要があり、洗浄液の保温に膨大なエネルギが必要となる。また、ウェハ上に吐出された洗浄液は、ウェハおよび外気との温度差により熱を奪われてしまい、吐出直後よりも温度が低下してしまう。この温度低下を踏まえて、使用想定温度以上に加熱した洗浄液を用いる対応が可能であるものの、さらなる加熱エネルギが必要となる。また、揮発性の高い洗浄液の場合には、加熱により薬液の濃度が変化するおそれがある。
【0067】
そこで、上述のように、上記第1実施形態のウェハ洗浄機1においては、ウェハWを加熱スピン洗浄する際に、液吐出ノズル35の下端面35cとウェハWとの間の空間Sからこぼれ落ちない程度の所定量の洗浄液Lを、液吐出ノズル35の液供給口35eから、液吐出ノズル35の下端面35cとウェハWとの間の空間Sに供給し、
図7(b)に示すように、洗浄液Lが有する表面張力、液吐出ノズル35の下端面35cの濡れ性、ウェハの濡れ性等によって、液吐出ノズル35の下端面35cとウェハWとの間の空間Sが洗浄液Lにて満たされ、この洗浄液Lを介在させた状態とする。
【0068】
この状態で、超音波振動子38にて液吐出ノズル35の下端面35cとウェハWとの間の空間Sを満たす洗浄液Lに超音波振動を与えるとともに、ランプ34eからの光をリフレクタ34fおよび集光プレート34hを介してウェハWへ供給し、このウェハWを介して洗浄液Lを加熱し、かつ回転駆動部34bにてステージ34を回転駆動させてウェハWをスピン回転させ、ウェハWを洗浄液Lにて加熱スピン洗浄させる。
【0069】
この結果、洗浄液LをウェハW上に供給し続けながらウェハWを加熱スピン洗浄する場合に比べ、少ない量の洗浄液LでウェハWを洗浄できるとともに、液吐出ノズル35の下端面35cとウェハWとの間の空間を洗浄液Lにて満たした状態で、ウェハWをスピン回転させるため、洗浄液Lが有する表面張力によって、液吐出ノズル35の下端面35cとウェハWとの間の空間Sでの洗浄液Lの保持を確実にでき、この空間Sからの遠心力による洗浄液Lのこぼれ落ちを防止できるから、少ない量の洗浄液LでウェハWを効率良く洗浄でき、洗浄液Lの使用量を節約できる。
【0070】
特に、液吐出ノズル35の下端面35cをウェハWの外径寸法に略等しい外径寸法を有する平面状とし、この液吐出ノズル35の下端面35cとウェハWとの間の空間Sに洗浄液Lを介在させる構成にしている。このため、液吐出ノズル35の下端面35cとウェハWとの間の空間Sに介在させた洗浄液Lの液膜の厚さが、ウェハWの中心位置から外周縁位置までに亘って均等(一定)となる。したがって、超音波振動子38による超音波振動および回転駆動部34bによるウェハWのスピン回転によって、ウェハWの中心位置から外周縁位置までに亘って効率良く洗浄液Lを対流させることができる。
【0071】
また、液吐出ノズル35の下端面35cが洗浄液Lと接し固定端として作用するため、洗浄液を効率良く撹拌させることができるとともに、液吐出ノズル35の下端面35cとウェハWとの間の空間Sに介在させた洗浄液Lを効率良く超音波振動させることができる。よって、液吐出ノズル35の下端面35cとウェハWとの間の空間Sに介在させた洗浄液Lを均一に加熱できる。
【0072】
また、ランプ34eからの光がウェハWと洗浄液Lとの界面部分、具体的にはウェハWの裏面に集光するように、リフレクタ34fにて集光させてから集光プレート34hを通過させてウェハWへ照射させて導く構成としている。このため、ウェハW上に供給する洗浄液Lを加熱してから供給したり、ウェハWが設置されるステージ34等を加熱してウェハW上に供給される洗浄液Lを加熱したりする場合等に比べ、ウェハWとは非接触の状態であって、ウェハWの裏面に照射される光でウェハWおよび洗浄液Lを加熱するため、予め洗浄液Lを加熱する必要がなくなり、ウェハWの表面を洗浄液Lにて洗浄する際の最適箇所である、ウェハWと洗浄液Lとが接触する界面部分を効率良く加熱することができる。また、ランプ34eのオンオフを制御したり、ランプ34eの出力を制御したりすることにより、液吐出ノズル35の下端面35cとウェハWとの間の空間Sに介在させた洗浄液Lを応答性良く温度制御することができる。
【0073】
さらに、ステージ34を複数の係止片部34iにて構成し、これら係止片部34iの係止段部34jにウェハWを係止させてウェハWを保持する構成とし、これら係止片部34i間に集光プレート34hを位置させ、集光プレート34hの下方にリフレクタ34fおよびランプ34eを設置させた構成としている。この結果、ランプ34eからの光をリフレクタ34fおよび集光プレート34hを介し直線的にウェハWの裏面に照射でき、集光プレート34hを通過した光をウェハWの裏面に直接照射できるから、ウェハWへの光の照射を効率良くでき、ウェハWを介した洗浄液Lの加熱をより効率良くできる。
【0074】
またさらに、洗浄液Lを供給するための液吐出ノズル35に対し、ウェハWを挟んだ反対側にランプ34eを設置し、ランプ34eからの光をウェハWに照射させて加熱し、ウェハWとともに洗浄液Lを加熱する構成としている。このため、液吐出ノズル35とランプ34eとの設置箇所の干渉を無くすことができるとともに、ウェハWと洗浄液Lとの界面部分を効率良くかつ適切に加熱することができる。
【0075】
また、加熱スピン洗浄時のウェハWの回転速度を、液吐出ノズル35の下端面35cとウェハWとの間の空間Sから洗浄液Lがこぼれ落ちない程度、例えば600rpm未満の回転速度で回転駆動部34bにて回転駆動させている。このため、ウェハWの回転時に洗浄液Lに生じる遠心力により、液吐出ノズル35の下端面35cとウェハWとの間の空間Sからの洗浄液Lの吹きこぼれを無くすことができる。
【0076】
さらに、上カップ33の中心位置に液吐出ノズル35を固定させ、上カップ33の上下動に連動して液吐出ノズル35が上下動する構成としている。このため、上カップ33に対する液吐出ノズル35の取付位置を調整することによって、液吐出ノズル35の下端面35cとステージ34上に設置したウェハWとの間の空間Sの間隔を、この空間Sに洗浄液Lを満たして保持することができる。すなわち、液吐出ノズル35の下端面35cとウェハWとの間の空間Sの間隔を、用いる洗浄液Lの濡れ性等の性質に対応させて調整することができるため、例えば異なる性質の洗浄液Lを用いてウェハWを洗浄する場合においても、ウェハWを回転させた際に生じ得る、液吐出ノズル35の下端面35cとウェハWとの間の空間Sからの洗浄液Lのこぼれ落ちを防止することができる。
【0077】
また、ステージ34上にウェハWが設置された状態で、上カップ33を下降させることにより、上カップ33の当接面33dが下カップ32の周面部32aの上端部に当接するとともに、上カップ33の嵌合片部33cが下カップ32の周面部32aに内嵌合し、これら上カップ33と下カップ32との嵌合が気密保持される。この結果、ウェハWの加熱スピン洗浄後に、このウェハWと液吐出ノズル35の下端面35cとの間に供給した洗浄液Lや、ウェハ上に供給されるリンス液Rを、ウェハWを回転させてウェハW上から吹き飛ばして廃液させた場合における、上カップ33および下カップ32内からの洗浄液Lやリンス液Rの漏れを防止することができる。
【0078】
[第2実施形態]
図8は、本発明の第2実施形態に係るウェハ洗浄機1の一部を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。本発明の第2実施形態が前述した第1実施形態と異なるのは、第1実施形態は、ステージ34を構成する係止片部34iが平面視矩形状であるのに対し、第2実施形態は、各係止片部34iが平面視円形状としている。なお、その他の構成は第1実施形態と同じであり、第1実施形態と同一又は対応する部分には同一符号を付している。
【0079】
各係止片部34iは、複数、例えば5本ほど閉塞部材34g上に取り付けられている。各係止片部34iは、
図8(a)および
図8(b)に示すように、集光プレート34hを囲むように等間隔に離間されて取り付けられている。各係止片部34iは、略円柱状に形成され、各係止片部34iの下端部が閉塞部材34gに嵌合された状態とされ突設されている。各係止片部34iの上端側の中心位置には、ウェハWの外周縁を係止するための係止凸部34mが設けられている。
【0080】
各係止凸部34mは、係止片部34iの外径寸法より小さな外径寸法の略円柱状に形成され、係止片部34iの同心状に取り付けられている。各係止凸部34mの上端側の外周縁はテーパ状に縮径された形状とされている。各係止片部34iの係止段部34jは、係止凸部34mの周面部と各係止片部34iの上端面とによって形成されている。これら係止片部34iのうちの1つは、上記第1実施形態と同様に、チャックピン34kとされている。
【0081】
このように構成した本発明の第2実施形態は、上述した第1実施形態と同様の効果が得られるほか、各係止片部34iを平面視円
形状としたことにより、これら係止片部34i自体の強度を確保できるとともに、ウェハ洗浄機1で加熱スピン洗浄処理するウェハWの大きさや形状に対応させた係止片部34iに交換することにより、種々の大きさや形状の異なるウェハWを加熱スピン洗浄処理することが可能となる。
【0082】
[第3実施形態]
図9は、本発明の第3実施形態に係るウェハ洗浄
機1の一部を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。本発明の第3実施形態が前述した第1実施形態と異なるのは、第1実施形態は、ステージ34を構成する各係止片部34iが集光プレート34hに対し別体構成であるのに対し、第3実施形態は、各係止片部34iが集光プレート34hと一体の構成とされている。なお、その他の構成は第1実施形態と同じであり、第1実施形態と同一又は対応する部分には同一符号を付している。
【0083】
各係止片部34iは、複数、例えば5本ほど設けられており、これら係止片部34iのうちの1つが、上記第1実施形態と同様に、チャックピン34kとされ、径方向に移動可能とされている。チャックピン34kを除いた計4本の係止片部34iは、
図9(a)および
図9(b)に示すように、集光プレート34hを囲むように等間隔に離間させた位置において集光プレート34hの外周面に一体的に取り付けられて一体型とされている。チャックピン34kを除いた計4本の係止片部34iは、例えば石英や単結晶サファイヤ等の光を透過する、集光プレート34hと同一の素材にて構成されている。
【0084】
このように構成した本発明の第3実施形態は、上述した第1実施形態と同様の効果が得られるほか、チャックピン34kを除いた計4本の係止片部34iが集光プレート34hと一体型であるため、ウェハ洗浄機1の部品点数を少なくできるとともに、ランプ34eにて発光した光を、各係止片部34iを透過させてウェハWへ導くことが可能となる。よって、ウェハWと洗浄液Lとの界面部分をより適切かつ効率良く加熱することができる。
【0085】
[第4実施形態]
図10は、本発明の第4実施形態に係るウェハ洗浄機1の概略を示す説明図である。本発明の第4実施形態が前述した第1実施形態と異なるのは、第1実施形態は、ステージ34の下方にランプ34eが設置された構成であるのに対し、第4実施形態は、ステージ34の上方にランプ34eが設置された構成である。なお、その他の構成は第1実施形態と同じであり、第1実施形態と同一又は対応する部分には同一符号を付している。
【0086】
ランプ34eには、リフレクタ34fが取り付けられ、リフレクタ34fにて集光される光がウェハWの表面(処理面)側に照射するように取り付けられている。すなわち、ランプ34eは、ウェハWに臨む位置に設けられている。リフレクタ34fは、上カップ33の挿通開口33fに嵌合させて取り付けられており、上カップ33内に収容されたランプ34eからの光をリフレクタ34fにて集光させてウェハW上に照射させる。
【0087】
液吐出ノズル35は、上カップ33のいずれかの位置に取り付けられおり、この液吐出ノズル35からの吐出される洗浄液Lがリフレクタ34fの下端面とウェハWとの間に供給可能な構成とされている。
【0088】
このように構成した本発明の第4実施形態は、ウェハWに臨んだ位置にランプ34eが取り付けられているため、上述した第1実施形態と同様の効果が得られるほか、ウェハWを介さず洗浄液Lの上方から直接的に洗浄液Lを加熱できるため、ウェハWと洗浄液Lとの界面部分をより効率良く加熱することができる。
【0089】
[第5実施形態]
図11は、本発明の第5実施形態に係るウェハ洗浄機1の洗浄工程を示す図で、(a)は洗浄液滴下時、(b)は洗浄時、(c)は廃液時、(d)は洗浄液追加時、(e)は洗浄時、(f)は廃液時、(g)はリンス液滴下時、(h)は洗浄時、(i)はブロー時、(j)は完了時である。本発明の第5実施形態が前述した第1実施形態と異なるのは、第1実施形態は、液吐出ノズル35の下端面35cとウェハWとの間の空間Sに洗浄液Lを満たして洗浄する構成であるのに対し、第5実施形態は、こぼれ落ちない程度の量の洗浄液LをウェハW上に供給して洗浄する構成である。なお、その他の構成は第1実施形態と同じであり、第1実施形態と同一又は対応する部分には同一符号を付している。
【0090】
<洗浄工程>
上記第5実施形態のウェハ洗浄機1による洗浄方法は、まず、
図11(a)に示すように、液吐出ノズル35の液吐出口35dからウェハW上に洗浄液Lが滴下されていき、
図11(b)に示すように、洗浄液Lが有する表面張力、およびウェハWの濡れ性等によって、ウェハW上からこぼれ落ちない程度の洗浄液Lが供給され、ウェハWの表面全体が洗浄液Lにて満たされ、ウェハW上に洗浄液Lが水滴状に盛り上がった状態なる程度の所定量の洗浄液Lが液吐出ノズル35の液吐出口35dから吐出される。この状態で、超音波振動子38による超音波振動、ランプ34eによる加熱、およびステージ34のスピン回転が加えられ、ウェハWが洗浄液Lにて加熱スピン洗浄される。
【0091】
<液切り工程>
この後、
図11(c)に示すように、ステージ34のスピン回転が、例えば600rpm以上に加速され、ウェハW上の洗浄液Lが遠心力にて吹き飛ばされて排出される。
【0092】
<連続工程>
さらに、必要に応じ、
図11(d)ないし
図11(f)に示すように、上記洗浄工程および液切り工程を複数回繰り返し、ウェハW上に新たな洗浄液Lを追加滴下してから加熱スピン洗浄された後、このウェハW上の洗浄液Lが吹き飛ばされて排出される。
【0093】
<リンス工程>
次いで、
図11(g)に示すように、ステージ34をスピン回転させながら、ウェハW上にリンス液Rが連続滴下され、ウェハW上からリンス液Rをこぼしながら、ウェハW上に残った洗浄液Lがリンス液Rにて洗い流されてリンスされる。
【0094】
<乾燥工程>
この後、
図11(h)に示すように、ステージ34のスピン回転が加速されるとともに、ウェハW上にガスGが吹き付けられ、ウェハW上に残ったリンス液RがウェハW外に吹き飛ばされて乾燥され、
図11(j)に示すように、ウェハWの洗浄が完了される。
【0095】
<作用効果>
このように構成した本発明の第5実施形態は、ウェハW上に洗浄液Lが水滴状に盛り上がった状態となる程度の所定量の洗浄液LをウェハW上に供給した状態で加熱スピン洗浄する構成としている。このため、上述した第1実施形態と同様に、洗浄液LをウェハW上に供給し続けながらウェハWを加熱スピン洗浄する場合に比べ、少ない量の洗浄液LでウェハWを洗浄することができる。
【0096】
[その他]
なお、上記各実施形態においては、洗浄チャンバ31のうちの上カップ33を上下動可能とした、本発明はこれに限定されることはなく、下カップ32を上下動可能としたり、上カップ33とは別個に液吐出ノズル35を上下動可能とし、ステージ34上に設置されたウェハWに対し液吐出ノズル35が相対的に上下動可能としたりしてもよい。
【0097】
また、例えばレジストマスク等のウェハW以外の被洗浄物を洗浄する構成にすることもできる。さらに、洗浄液Lとしては、フッ酸のほか、オゾン水や、硫酸と過酸化水素水との混合液、水酸化カリウム水溶液等であっても、対応させて用いることができる。
【0098】
またさらに、液吐出ノズル35の下端面35cを鏡面加工し、この下端面35cに照射する光を反射させて洗浄液LおよびウェハWを加熱する構成にもできる。また、ランプは、用いる洗浄液に対応させる等し、キセノンランプ以外のLEDランプ等であってもよい。
【0099】
さらに、上記各実施形態においては、ウェハWを加熱スピン洗浄するウェハ洗浄機1について説明したが、ウェハWを加熱スピン現像するスピン現像装置についても、洗浄液Lの代わりに現像液を用いること等することにより、対応させて用いることができる。