特許第6184723号(P6184723)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユニ・チャーム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6184723-使い捨ておむつ 図000002
  • 特許6184723-使い捨ておむつ 図000003
  • 特許6184723-使い捨ておむつ 図000004
  • 特許6184723-使い捨ておむつ 図000005
  • 特許6184723-使い捨ておむつ 図000006
  • 特許6184723-使い捨ておむつ 図000007
  • 特許6184723-使い捨ておむつ 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184723
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/53 20060101AFI20170814BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20170814BHJP
   A61F 13/532 20060101ALI20170814BHJP
   A61F 13/533 20060101ALI20170814BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20170814BHJP
   A61F 13/42 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   A61F13/53 100
   A61F13/56 210
   A61F13/532 200
   A61F13/533 100
   A61F13/49 312Z
   A61F13/42 B
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-76851(P2013-76851)
(22)【出願日】2013年4月2日
(65)【公開番号】特開2014-200372(P2014-200372A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高島 麗子
(72)【発明者】
【氏名】山下 純子
(72)【発明者】
【氏名】菊池 響
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−012139(JP,A)
【文献】 特開2002−360620(JP,A)
【文献】 特開2013−039162(JP,A)
【文献】 特開2002−209935(JP,A)
【文献】 特開2012−120667(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/133731(WO,A1)
【文献】 特開2012−029965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15−13/84
A61L 15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向と前記前後方向に直交する方向である幅方向とを有し、
吸収性コアと、前記吸収性コアを被覆する被覆シートと、前記被覆シートよりも着用者の肌側に配置される液透過性の表面シートと、を有する吸収性本体を備え、
前記前後方向において、前胴回り領域と、後胴回り領域と、前記前胴回り領域と前記後胴回り領域との間に配置される股下領域とを有する使い捨ておむつであって、
前記吸収性本体よりも前記幅方向外側の両方に延出する一対のフラップ部と、
前記一対のフラップ部のそれぞれの前記幅方向外側の端部よりも幅方向外側の両方に延出し、前記前胴回り領域と前記後胴回り領域とを止着する一対の止着テープとを備え、
前記一対の止着テープには、第1の色を有する第1着色領域が形成されており、
前記被覆シートには、第2の色を有する第2着色領域が前記前後方向に延びるように形成されており、
前記第2着色領域の前記前後方向の前側の端部は、前記前胴回り領域内に位置しており、
前記第1着色領域と、前記第2着色領域とは、前記使い捨ておむつの幅方向中心線を中心軸として、対称に形成されており、
前記第1着色領域における前記第1の色と、前記第2着色領域における前記第2の色とは、反射率曲線における反射率のピークが400〜650nmの波長の範囲内に位置する色であり、
前記吸収性コアの前記表面シート側において、前記被覆シートの前記幅方向外側における一方の端部と、前記被覆シートの前記幅方向外側における他方の端部との間には、前記被覆シートが重複する所定の重複領域が形成されており、
前記重複領域は、前記使い捨ておむつの前記幅方向中心線上に位置しており、
前記第1着色領域及び前記第2着色領域は、前記使い捨ておむつの前記肌側及び衣服側から視認可能であり、
前記第1着色領域は、着用者の肌側の表面の全領域と前記衣服側の表面の全領域とに設けられ、前記幅方向に延びており、
前記使い捨ておむつの前記衣服側から視認可能な前記第2着色領域は、前記前後方向に延びている
とを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記後胴回り領域には、前記幅方向に伸縮性を有するウエスト弾性部材を備えるウエストギャザーが配置されており、
前記一対の止着テープの前記前後方向における後側の端部は、前記ウエストギャザーの前記幅方向外側に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記一対の止着テープの前記前後方向における後側の端部は、前記ウエストギャザーの前記前後方向における前側の端部から前記前後方向における後側に向かって、前記ウエストギャザーの前記前後方向における全長の30%以上の位置に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記第2着色領域の前記前後方向の後側の端部は、前記使い捨ておむつの前後方向中心よりも前記前後方向の後側に位置することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
少なくとも前記股下領域において、前記第2着色領域の前記幅方向の長さと、前記吸収性コアの前記幅方向の長さとは、同等である
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記吸収性本体は、前記被覆シートよりも衣服側に配置される不液透過性の裏面シートを更に備え、
前記吸収性コアと前記裏面シートとの間には、着用者の体液が排泄されたことを前記裏面シートの外側から識別可能なインジケータ部が配置されており、
前記インジケータ部には、第3の色を有する第3着色領域が前記使い捨ておむつの幅方向中心に沿って形成されており、
前記第3着色領域の前記幅方向における長さは、1.5mm以上であり、
前記第3着色領域における前記第3の色は、反射率曲線における反射率のピークが400〜650nmの波長の範囲内に位置する色である
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
記所定の重複領域の前記幅方向における長さは、5mm〜35mmの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項8】
前記表面シートは、前記前後方向に延びる凹凸部を有することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項9】
前記吸収性本体は、前記吸収性コアと前記被覆シートとに設けられ、前記前後方向に延びる凹部を備えることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オープン型の使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前胴回り領域と、後胴周り領域と、前胴回り領域と後胴周り領域との間に位置する股下領域とを有するオープン型の使い捨ておむつが知られている。この種の使い捨ておむつは、後胴回り領域において、幅方向外側の両方に延出する一対のフラップ部と、当該一対のフラップ部のそれぞれの幅方向外側の端部よりも幅方向外側の両方に延出する一対の止着テープとを備える。当該一対の止着テープは、使い捨ておむつを着用者に装着する際に、後胴回り領域と前胴回り領域とを止着するように構成されている。
【0003】
また、止着テープに着色を施した使い捨ておむつも提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に係る使い捨ておむつでは、一対の止着テープのそれぞれに設けられたタブに着色が施されている。このような使い捨ておむつによれば、使い捨ておむつの上に着用者を仰向けに寝かせて、使い捨ておむつを着用者に装着する際に、着色されたタブを有する止着テープが視認され易いという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7−22727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、着用者に対する使い捨ておむつの着用性を高めるためには、使い捨ておむつの上に着用者を仰向けに寝かせた際に、着用者の身体の幅方向中心と、使い捨ておむつの幅方向中心とを平行に配置する。そして、その後に、使い捨ておむつを着用者に装着することが好ましい。
【0006】
また、乳幼児などの着用者に使い捨ておむつを装着する作業は、昼間だけでなく、夜中などのように昼間に比べて暗い環境下においても実施される。例えば、乳幼児が寝ている場合には、目を覚まさせないように常夜灯(黄色豆電球)を点灯した暗い環境下において、使い捨ておむつが装着されることもある。
【0007】
また、アセアン諸国等の発展途上国や新興国では、気候環境的な理由から、住宅の部屋に窓が設けられていない、又は、小さな窓しか設けられていない場合が多い。このような住宅の部屋における明かりは、部屋の出入り口から入る光、又は、小さな窓から入る光のみとなる。また、部屋に電灯が設けられていたとしても、経済的な理由から昼間は電灯を点灯せずに、日光の明かりによって生活している場合が多い。このように、発展途上国や新興国では、昼間であっても暗い環境下において、着用者に使い捨ておむつを装着する作業が実施されることになる。
【0008】
ここで、従来技術に係る使い捨ておむつでは、止着テープが着色されているため、暗い環境下(以下、暗所下)であっても止着テープを視認しやすいものの、使い捨ておむつの他の部分を正確に視認することが困難である。よって、暗所下では、着用者の身体の幅方向中心と、使い捨ておむつの幅方向中心とを平行に配置することが困難になることが考えられる。このよう場合、着用者の身体の幅方向中心に対して、使い捨ておむつの幅方向中心が傾斜した状態となる。また、かかる状態のまま、使い捨ておむつが着用者に装着されると、着用者に対する使い捨ておむつの着用性が高められず、その結果、着用者の排泄物が漏れてしまうという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、暗所下であっても、着用者に対する着用性を高めて、排泄物の漏れを改善した使い捨ておむつを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本開示に係る使い捨ておむつは、前後方向と前記前後方向に直交する方向である幅方向とを有し、吸収性コアと、前記吸収性コアを被覆する被覆シートと、前記被覆シートよりも着用者の肌側に配置される液透過性の表面シートと、を有する吸収性本体を備え、前記前後方向において、前胴回り領域と、後胴回り領域と、前記前胴回り領域と前記後胴回り領域との間に配置される股下領域とを有する使い捨ておむつであって、前記吸収性本体よりも幅方向外側の両方に延出する一対のフラップ部と、前記一対のフラップ部のそれぞれの幅方向外側の端部よりも幅方向外側の両方に延出し、前記前胴回り領域と前記後胴回り領域とを止着する一対の止着テープとを備え、前記一対の止着テープには、第1の色によって着色される第1着色領域が形成されており、前記被覆シートには、第2の色によって着色される第2着色領域が前記前後方向に延びるように形成されており、前記第2着色領域の前後方向の前側の端部は、前記前胴回り領域内に位置しており、前記第1着色領域と、前記第2着色領域とは、前記使い捨ておむつの幅方向中心線を中心軸として、対称に形成されており、前記第1着色領域における前記第1の色と、前記第2着色領域における前記第2の色とは、反射率曲線における反射率のピークが400〜650nmの波長の範囲内に位置する色であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
暗所下であっても、着用者に対する着用性を高めて、排泄物の漏れを改善した使い捨ておむつを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る使い捨ておむつの平面図である。
図2】第1実施形態に係る使い捨ておむつの組み立て図である。
図3図1のA−A線における断面図である。
図4】使い捨ておむつ1を着用者に装着する際の状態を模式的に示した図である。
図5】使い捨ておむつ1を着用者に装着する際の状態を模式的に示した図である。
図6】第1実施形態の変形例1に係る使い捨ておむつの平面図である。
図7】第1実施形態の変形例2に係る使い捨ておむつの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態に係る使い捨ておむつ)
第1実施形態に係る使い捨ておむつについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0014】
具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。また、以下の説明において、同様の作用効果を有する構成については、同一の番号を付けて詳細な説明は省略する。
【0015】
図1は、第1実施形態に係る使い捨ておむつ1の肌当接面側の平面図である。図2は、使い捨ておむつの組み立て図である。図3は、図1に示す使い捨ておむつ1のA−A線における断面図である。
【0016】
使い捨ておむつ1は、前後方向Lと前後方向Lに直交する方向である幅方向Wとを有する。また、使い捨ておむつ1は、前後方向Lにおいて、前胴回り領域FAと、後胴回り領域BAと、前胴回り領域FAと後胴回り領域BAとの間に配置される股下領域CAとを有する。なお、本実施形態において、前後方向Lにおける前側とは、図1に示す下側であり、前後方向Lにおける後側とは、図1の上側である。
【0017】
また、使い捨ておむつ1は、吸収性本体10と、一対の背側サイドフラップ部20A,20Bと、一対の腹側サイドフラップ部30A,30Bとを備える。なお、背側サイドフラップ部20A,20Bは、着用者の胴周りの背中側に宛がわれる。また、腹側サイドフラップ部30A,30Bは、着用者の胴周りの腹側に宛がわれる。
【0018】
吸収性本体10は、矩形状である。吸収性本体10は、吸収性コア131と、吸収性コア131を被覆する被覆シート132と、被覆シート132よりも着用者の肌側に配置される液透過性の表面シート110と、被覆シート132と表面シート110との間に配置される中間シート150と、被覆シート132よりも衣服側に配置される不液透過性の裏面シート121とを有する。なお、本実施形態に係る吸収性本体10は、中間シート150を有する場合を例に挙げているが、中間シート150を有していなくてもよい。
【0019】
また、吸収性本体10の幅方向外側には、サイドシート141,142が配置されている。吸収性本体10の衣服側には、外装シート122が配置されている。
【0020】
表面シート110は、不織布、織布、有孔プラスチックシート、メッシュシート等、液体を透過する構造のシート状の材料であれば、特に限定されない。織布や不織布の素材としては、天然繊維、化学繊維のいずれも使用できる。
【0021】
天然繊維の例としては、粉砕パルプ、コットン等のセルロースが挙げられる。化学繊維の例としては、レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース、アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース、熱可塑性疎水性化学繊維、又は親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維などが挙げられる。熱可塑性疎水性化学繊維の例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の単繊維、ポリエチレンとポリプロピレンをグラフト重合してなる繊維、芯鞘構造等の複合繊維が挙げられる。例えば、表面シート110は、目付23g/mのポイントボンド不織布である。
【0022】
また、本実施形態に係る表面シート110では、目付23g/m2のポイントボンド不織布を用いることによって、表面シート110の着用者の肌側から、表面シート110よりも衣服側に配置される被覆シート132の着色が視認可能に構成されている。
【0023】
表面シート110としての不織布を作成する方法としては、乾式(カード法、スパンボンド法、メルトブローン法、エアレイド法等)及び湿式のいずれか一つの方法を用いることができる。乾式法と湿式法のうち、複数の方法を組み合わせてもよい。また、サーマルボンディング、ニードルパンチ、ケミカルボンディング等の方法が挙げられる。不織布を作成する方法は、上述の方法に限定されない。
【0024】
また、表面シート110は、前後方向Lに延びる凹凸部111を有する。本実施形態では、凹凸部111は、表面シート110の前後方向Lの前側の端部から、後側の端部にわたって設けられている。凹凸部111は、表面シート110の目付を増減させることによって形成されていても良いし、表面シート110を圧搾することによって形成されていても良い。
【0025】
裏面シート121は、液不透過性のフィルムからなる。外装シート122は、SMS不織布(スパンボンド不織布とメルトブロー不織布との複合不織布)、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布から構成された疎水性の不織布である。外装シート122と裏面シート121とは、ホットメルト型接着剤(以下、HMAとする)等で接合されている。例えば、裏面シート121は、目付16g/mの非通気性フィルムであり、外装シート122は、目付13g/mのSMS不織布である。
【0026】
吸収性コア131は、親水性繊維、高吸収性ポリマーを含む。親水性繊維の例としては、粉砕パルプ、コットン等のセルロース、レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース、アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース、粒子状ポリマー、繊維状ポリマー、熱可塑性疎水性化学繊維、又は、親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維等を単独又は混合して用いることができる。これらの中でも、低コストと吸収性コアの成形し易さとを考慮すると、粉砕パルプを使用することが好ましい。親水性繊維に高分子吸収体を混合したものを使用してもよい。
【0027】
吸収性コア131は、被覆シート132によって包まれている。本実施形態では、被覆シート132は、ティッシュである。被覆シート132は、吸収性コアを包んだ状態で、裏面シート121の肌側の表面にHMA等で接合される。
【0028】
被覆シート132は、吸収性コア131を包み込むために、所定の重複領域Sを有する。具体的に、吸収性コア131の表面シート110側において、被覆シート132の幅方向外側における一方の端部132xと、被覆シート132の幅方向外側における他方の端部132yとの間には、被覆シート132が重複する所定の重複領域Sが形成されている。つまり、図3に示すように、所定の重複領域Sの幅方向外側の端部は、被覆シート132の幅方向外側における他方の端部132xと、被覆シート132の幅方向外側における他方の端部132yである。
【0029】
また、本実施形態に係る被覆シート132には、着色領域が形成されている。なお、着色領域の詳細な構成については、後述する。
【0030】
サイドシート141、142は、吸収性本体10の表面シート110の幅方向Wにおける両側に配設される。サイドシート141,142は、裏面シート121よりも幅方向W外側において、外装シート122に接合されている。サイドシート141,142と外装シート122との間には、後述する第1レッグ弾性部材が配置されている。
【0031】
サイドシート141,142は、例えば、外装シート120と同様の材料から選ぶことができる。但し、サイドシート141,142を乗り越えて使い捨ておむつ1の幅方向外側へ尿や便などの排泄物が流れることを防止するためには、疎水性又は撥水性を有することが好ましい。
【0032】
サイドシート141,142は、疎水性の不織布、透湿又は非透湿性のフィルム、若しくは疎水性の不織布と透湿又は非透湿性のフィルムとを貼り合わせた複合シートからなる。ポリエチレン、ポリプロピレン等を主体としたフィルム、通気性のある樹脂フィルム、スパンボンド、又はスパンレース等の不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシートなどを用いることができる。本実施形態に係るサイドシート141,142は、目付15g/m2のSMS不織布からなる。
【0033】
吸収性本体10の前後方向における両端部には、一対の背側サイドフラップ部20A,20Bと、一対の腹側サイドフラップ部30A,30Bとが、それぞれ設けられている。一対の背側サイドフラップ部20A,20Bと、一対の腹側サイドフラップ部30A,30Bとは、外装シート122とサイドシート141,142とによって構成されている。
【0034】
一対の背側サイドフラップ部20A,20Bは、少なくとも吸収性本体10の前後方向Lの後胴回り領域BAに設けられる。なお、本実施形態において、一対の背側サイドフラップ部20A,20Bは、後胴回り領域BAに配置され、吸収性本体10よりも幅方向W外側の両方に延出する一対のフラップ部を構成する。
【0035】
また、一対の腹側サイドフラップ部30A,30Bは、少なくとも吸収性本体10の前後方向における前胴回り領域FAに設けられている。
【0036】
一対の背側サイドフラップ部20A,20Bのそれぞれは、止着テープを一つずつ備える。具体的に、一対の背側サイドフラップ部20A,20Bのそれぞれの幅方向外側の端部よりも幅方向外側の両方に延出し、前胴回り領域FAと後胴回り領域BAとを止着する一対の止着テープ51,52が設けられている。一対の止着テープ51,52は、背側サイドフラップ部20A,20Bにおける幅方向外側の端部に取り付けられる。
【0037】
一対の止着テープ51,52のそれぞれは、使い捨ておむつの幅方向Wにおける中心を通り、かつ前後方向Lに延びる幅方向中心線WCLを中心軸として対称に配置される。
【0038】
一対の止着テープ51,52のそれぞれは、同様の形状であり、長方形状に形成されている。具体的に、止着テープ51の幅方向Wにおける長さは、止着テープ51の前後方向Lにおける長さよりも長い。
【0039】
吸収性本体10の前胴回り領域FAの衣服当接面側には、止着テープ51、52が係止される係止テープ53が設けられている。止着テープ51、52のそれぞれには、止着部51x,52xがそれぞれ設けられている。止着部51x,52xは、いわゆる面ファスナーの雄部材であり、係止テープ53は雌部材である。
【0040】
止着部51x,52xには、複数の鉤状の突起群(フックという)を有する係合面が形成される。止着テープの素材としては、例えば、PPSB(ポリプロピレンスパンボンド不織布)があげられ、例えば、目付80g/m2のPPSBを用いることが好ましい。フックの目付は100g/m2であることが好ましい。
【0041】
係止テープ53は、フックが係合可能な不織布や編み物である。不織布を構成する繊維質材としては、芯鞘構造を有する複合繊維が用いられる。繊維質材としては、芯成分/鞘成分が、例えば、PP(ポリプロピレン)/PE(ポリエチレン)、PP/低融点PP、PET(ポリエチレンテレフタレート)/低融点PET、PET/PEの組み合わせを用いる。繊維質材に、レーヨン、PET、PP、ナイロン等のポリアミド、アクリル、ウレタン、コットン等の繊維を混合してもよい。例えば、雌部材の目付は38g/m2である。
【0042】
本実施形態に係る一対の止着テープ51,52のそれぞれには、着色領域が形成されている。なお、着色領域の詳細な構成については、後述する。
【0043】
また、吸収性本体10には、後胴回り領域BAにおいて、幅方向Wに伸縮性を有するウエスト弾性部材を備えるウエストギャザー80が配置されている。
【0044】
ウエストギャザー80は、少なくとも幅方向に伸長された状態で配置されている。ウエストギャザー80の幅方向外側端部は、吸収性本体10の幅方向外側端部よりも幅方向内側に位置する。ウエストギャザー80は、表面シート110と裏面シート121との間に配置されている。
【0045】
本実施形態に係るウエストギャザー80は、ウエスト弾性部材として、例えば、ポリエチレン、ポリウレタンを主体とした伸縮性のある樹脂フィルムを有する。本実施形態に係るウエストギャザー80は、目付60g/m2のポリウレタンフィルムを用いている。
【0046】
本実施形態では、一対の止着テープ51,52の間に、ウエストギャザー80が、設けられている。また、一対の止着テープ51,52の前後方向Lにおける後側の端部52aが、ウエストギャザー80の幅方向W外側に配置されている。
【0047】
また、一対の止着テープ51,52の前後方向Lにおける後側の端部51b,52bは、ウエストギャザー80の前後方向Lにおける前側に位置する端部80aから前後方向Lにおける後側に向かって、ウエストギャザー80の前後方向Lにおける全長の30%以上の位置に配置されている。
【0048】
詳細には、図1に示すように、一対の止着テープ51,52の前後方向における後側の端部51b,52bとウエストギャザー80の前後方向における前側の端部80aとの前後方向Lにおける長さをLaとし、ウエストギャザー80の前後方向Lにおける全長をL80とした場合、La≧L80×0.3の関係を満たす。
【0049】
ここで、本実施形態において、前後方向Lにおける長さは、次のようにして測定することができる。まず、使い捨ておむつ1に設けられる全ての弾性部材を所定部分にて製品をカットすることで、非伸長状態の弾性部材を有する使い捨ておむつ1を生成する。つぎに、図1に示すように、使い捨ておむつ1を展開した状態で、ものさしを用いて前後方向Lにおける長さの寸法を測定する。また、幅方向Wにおける長さを測定する場合も、非伸長状態の弾性部材を有する使い捨ておむつ1を生成して、寸法を測定する。
【0050】
また、一対の止着テープ51,52の前後方向Lにおける前側の端部51a,52aは、ウエストギャザー80の前後方向Lにおける前側に位置する端部80aよりも前後方向Lにおける前側に配置されている。
【0051】
このように、ウエストギャザー80の前後方向Lにおける位置と、一対の止着テープ51,52の前後方向Lにおける位置とは、前後方向Lにおいて重複しており、重複部分の前後方向Lにおける長さは、ウエストギャザー80の前後方向における全長の30%以上である。
【0052】
使い捨ておむつ1には、吸収性本体10の前後方向Lに沿って伸長された状態で複数の弾性部材が配置されている。複数の弾性部材は、使い捨ておむつの幅方向における中心を通り、かつ前後方向に延びる幅方向中心線WCLを中心軸として対称に配置される。複数の弾性部材は、着用者の脚回りに形成されるレッグギャザーを構成するレッグ弾性部材123と、レッグサイドギャザーを構成するレッグサイド弾性部材125と、を有する。
【0053】
レッグ弾性部材123は、左右2本ずつ配置されており、幅方向外側に位置する第1レッグ弾性部材123aと、幅方向内側に位置する第2レッグ弾性部材123bを有する。第1レッグ弾性部材123aは、複数の弾性部材のうち最も幅方向外側に位置する弾性部材である。レッグ弾性部材123は、外装シート122とサイドシート141との間に前後方向に伸長された状態で配置されている。よって、レッグ弾性部材123の弾性力は、吸収性本体10を前後方向Lに収縮する方向に作用する。
【0054】
第1レッグ弾性部材123a、123bは、裏面シート121よりも幅方向外側における外装シート122の肌当接面側の表面とサイドシート141、142の非肌当接面側との間に、吸収性本体10の前後方向Lに沿って伸長された状態で、HMA等の接着材を介して接合されている。
【0055】
レッグサイド弾性部材125は、左右1本ずつ配置されている。レッグサイド弾性部材125は、サイドシート141,142の幅方向における内側端部に配置されている。
【0056】
レッグサイド弾性部材125は、前後方向に沿って伸縮可能な収縮部を有する起立性のレッグサイドギャザーを構成する。サイドシート141は、幅方向に内側端部においてレッグサイド弾性部材125を巻き込むようにして内側に折り返されている。レッグサイド弾性部材125を設けることにより、着用者から排出された排泄物がサイドシート141から幅方向外側に出ることを防止できる。
【0057】
また、使い捨ておむつ1の吸収性本体10には、インジケータ部200が配置されている。具体的に、図1及び3に示すように、吸収性コア131と裏面シート121との間には、着用者の体液が排泄されたことを裏面シート121の外側から識別可能なインジケータ部200が配置されている。
【0058】
インジケータ部200は、使い捨ておむつ1の幅方向W中心に沿って配置されている。インジケータ部200の幅方向Wにおける長さW200は、1.5mm以上であることが好ましい。
【0059】
インジケータ部200に用いる部材としては、排泄物としての液体を吸収すると、色が変化する部材であれば、どのようなものを用いても良い。インジケータ部200に用いる部材としては、液体の水素イオン濃度(pH値)に応じて呈色反応する指示薬を含有するホットメルト接着剤や塗料を用いてもよい。また、インジケータ部200の部材としては、尿等の液体によって消色するように、水溶性を有する水溶性インクを用いてもよい。なお、インジケータ部200は、液体を吸収した際に絵柄又は文字が表示される紙製シート又はフィルムシート等を適用しても良い。
【0060】
(着色領域の構成)
次に着色領域の構成について説明する。本実施形態に係る使い捨ておむつ1では、一対の止着テープ51と、被覆シート132に、着色領域が形成されている。
【0061】
一対の止着テープ51,52には、第1の色によって着色される第1着色領域C1が形成されている。本実施形態では、一対の止着テープ51,52の全領域を着色することによって、第1着色領域C1が形成されている。したがって、第1着色領域C1は、幅方向Wに延びるように形成されている。第1着色領域C1は、一対の止着テープ51,52の着用者の肌側の表面と、一対の止着テープ51,52の衣服側の表面とを含む領域である。なお、図1には、第1着色領域C1が網掛け模様によって示されている。
【0062】
被覆シート132には、第2の色によって着色される第2着色領域C2が前後方向Lに延びるように形成されている。なお、本実施形態では、被覆シート132に第2の色によって着色される第2着色領域C2が形成されているケースを例に挙げて説明する。具体的に、被覆シート132の全領域に第2着色領域C2が形成されている。なお、図1には、第2着色領域C2が網掛け模様によって示されている。
【0063】
但し、中間シート150に第2着色領域C2が形成されていてもよい。具体的に、中間シート150の全領域に第2着色領域C2が形成されていてもよい。更に、被覆シート132と中間シート150との両方に第2着色領域C2が形成されていてもよい。つまり、被覆シート132又は中間シート150の少なくとも一方に、第2着色領域C2が形成されていてもよい。
【0064】
第2着色領域C2は、使い捨ておむつ1の幅方向中心線WCLを含み、前後方向Lに延びるように形成されている。具体的に、使い捨ておむつ1の幅方向中心線WCLは、第2着色領域C2の幅方向中心に位置する。よって、第2着色領域C2は、使い捨ておむつ1の幅方向Wにおける中心を通り、かつ前後方向Lに延びる幅方向中心線WCLを中心軸として、対称に形成されている。
【0065】
第2着色領域C2は、長方形状に形成されている。つまり、第2着色領域C2の前後方向Lにおける長さは、第2着色領域C2の幅方向Wにおける長さよりも長い。
【0066】
また、第2着色領域C2の前後方向Lの前側の端部C2aは、前胴回り領域FA内に位置する。一方、第2着色領域C2の前後方向Lの後側の端部C2bは、使い捨ておむつ1の前後方向中心LCLよりも前後方向Lの後側に位置する。具体的に、図1に示すように、第2着色領域C2は、後胴回り領域BAの一部から、股下領域CAを介して、前胴回り領域FAの一部にわたって形成されている。
【0067】
また、第2着色領域C2は、吸収性コア131を被覆する被覆シート132の全領域を着色することによって形成されている。従って、本実施形態では、第2着色領域C2の幅方向Wにおける最大長さは、吸収性コア131の幅方向Wにおける最大長さよりも、被覆シート132の厚みの分だけ幅方向W外側に広い。
【0068】
なお、第2着色領域C2の幅方向外側の端部C2c,C2dは、被覆シート132における所定の重複領域Sよりも幅方向Wの外側に配置されている。
【0069】
また、図3に示すように、所定の重複領域Sの幅方向Wにおける長さW2は、5mm〜35mmの範囲であることが好ましい。また、かかる所定の重複領域Sは、使い捨ておむつ1の幅方向中心線WCL上に位置することが好ましい。更に、かかる所定の重複領域Sの幅方向Wにおける中心が、使い捨ておむつ1の幅方向中心線WCL上に位置することが好ましい。
【0070】
また、本実施形態において、第1の色と第2の色とは、反射率曲線における反射率のピークが400〜650nmの波長の範囲内に位置する色である。なお、第1の色と第2の色とは、反射率曲線における反射率のピークが500〜650nmの波長の範囲内に位置する色であることが好ましい。つまり、第1の色と第2の色とは、常夜灯(黄色豆電球)を点灯したような暗所下において、青、青緑、又は、緑に見える色であることが好ましい。更には、反射率曲線における反射率のピークが540〜560nmの範囲内の色であることがより好ましい。
【0071】
なお、本実施形態では、第1の色と第2の色とは、同系色であることが好ましい。例えば、第1の色と第2の色とは、緑に見える色であることが好ましい。また、第1の色と第2の色とをこのような色によって構成することで、第1着色領域C1及び第2着色領域C2は、昼間のような明所下においても見やすくできる。
【0072】
また、第1着色領域C1と第2着色領域C2との以外の領域では、第1の色と第2の色とは異なる色を有することが好ましい。すなわち、第1着色領域C1と第2着色領域C2との以外の領域では、反射率曲線における反射率のピークが400〜650nmの波長の範囲外に位置する色であることが好ましい。例えば、第1着色領域C1と第2着色領域C2以外の領域では、白に見える色であることが好ましい。
【0073】
なお、反射率曲線は、反射率(値)と各波長(値)との関係を示し、色を識別する指標として用いることができる。反射率曲線は、光源からの発光(基準光)に対する反射率を測定することによって求めることができる。具体的に、反射率の測定は、分光測色計を用いて行うことができる。例えばコニカミノルタ株式会社製の分光測色計CM700d(商品名)を用いて行うことができる。
【0074】
分光測色計による計測方法は以下の方法によって行うことができる。まず、測定サンプルとして、第1着色領域C1の一部及び第2着色領域C2の一部を切り出す。また、光源は国際照明委員会(CIE)の規格において規定されるC光源2度視野とし、付属の標準白板にて標準合わせを行った後に測定サンプルを試料台の上に置き、付属の試料押さえによって試料を固定した状態で反射測定を行う。
【0075】
このようにして、測定サンプルそれぞれの分光反射スペクトルを測定し、例えば、400〜700nmの波長について各波長ごとの反射率を測定する。これにより、第1着色領域C1における第1の色の反射率と第2着色領域C2における第2の色の反射率とを測定できる。
【0076】
なお、インジケータ部200にも、第3の色を有する第3着色領域C3が形成されていることが好ましい。具体的に、インジケータ部200の全領域を着色することによって、幅方向Wにおける長さW200が1.5mm以上の第3着色領域C3が形成されていることが好ましい。第3の色も、第1の色及び第2の色と同様に、反射率曲線における反射率のピークが400〜650nmの波長の範囲内に位置する色であることが好ましい。例えば、第3の色は、黄に見える色であることが好ましい。
【0077】
なお、インジケータ部200は、排泄物としての液体を吸収すると、色が変化するように構成されており、第3着色領域C3が有する第3の色は、液体を吸収する前の色であることに留意すべきである。
【0078】
(作用及び効果)
本実施形態に係る使い捨ておむつ1では、後胴回り領域BAに一対の背側サイドフラップ部20A,20Bが設けられ、一対の背側サイドフラップ部20A,20Bには、一対の止着テープ51,52が設けられている。また、一対の止着テープ51,52には、第1の色によって着色される第1着色領域C1が形成されている。また、使い捨ておむつ1では、吸収性本体10は、吸収性コア131と吸収性コア131を被覆する被覆シート132とを有する。被覆シート132には、第2の色によって着色される第2着色領域C2が前後方向Lに延びるように形成されている。
【0079】
また、一対の止着テープ51に形成される第1着色領域C1は、第1の色によって着色されており、第1の色は、反射率曲線における反射率のピークが400〜650nmの波長の範囲内に位置する色である。ここで、反射率曲線における反射率のピークが400〜650nmの波長の範囲内に位置する色は、反射率曲線における反射率のピークが400〜650nmの波長の範囲外に位置する色に比べて、暗所下における比視感度が高い。
【0080】
よって、暗所下において、使い捨ておむつ1を着用者に装着するために、折り畳まれている新たな使い捨ておむつ1を展開した際に、一対の止着テープ51,52に形成される第1着色領域C1が視認されやすい。これにより、使い捨ておむつ1の前後方向Lが区別されやすいため、着用者の胴回りの背中側に対して、使い捨ておむつ1の後胴回り領域BAを素早く当てることができる。つまり、使い捨ておむつ1の装着に要する時間を短縮できるため、着用者が寝ている場合であっても、着用者を起こすことなく、使い捨ておむつ1を装着できる。
【0081】
本実施形態に係る使い捨ておむつ1では、第1着色領域C1と、第2着色領域C2とは、使い捨ておむつ1の幅方向中心線WCLを中心軸として、対称に形成されている。また、第2着色領域C2における第2の色も、反射率曲線における反射率のピークが400〜650nmの範囲内に位置する色である。
【0082】
ここで、図4乃至5は、使い捨ておむつ1を着用者に装着する際の状態を模式的に示した図である。具体的に、図4は、使い捨ておむつ1の上に着用者を仰向けに寝かせた状態を模式的に示した図である。図5は、使い捨ておむつ1の前胴回り領域FAを着用者に宛がった後、使い捨ておむつ1の止着テープ51,52を前胴回り領域FAの係止テープ53に止着する状態を模式的に示した図である。
【0083】
本実施形態に係る使い捨ておむつ1では、第1着色領域C1と、第2着色領域C2とは、使い捨ておむつ1の幅方向中心線WCLを中心軸として、対称に形成されている。
【0084】
これによれば、図4に示すように、使い捨ておむつ1の上に着用者を仰向けに寝かせた際に、第1着色領域C1と、第2着色領域C2とによって、使い捨ておむつ1の幅方向中心線WCLを認識しやすい。よって、使い捨ておむつ1の幅方向中心線WCLと、着用者の身体の幅方向中心とを一致させやすい。
【0085】
特に、使い捨ておむつ1では、第1着色領域C1だけでなく、第2着色領域C2も形成されているため、第1着色領域C1と、第2着色領域C2との2つの目安によって、使い捨ておむつ1の幅方向中心線WCLを認識できる。すなわち、使い捨ておむつ1の幅方向中心線WCLと、着用者の身体の幅方向中心とをより一致させやすくなるめ、着用者の幅方向に対する使い捨ておむつ1の着用性を向上させることが可能になる。
【0086】
また、使い捨ておむつ1では、第2着色領域C2の前後方向Lの前側の端部C2aは、前胴回り領域FA内に位置している。これによれば、使い捨ておむつ1の上に着用者を仰向けに寝かせても、着用者に隠れることなく確実に視認できる。
【0087】
このように、本実施形態に係る使い捨ておむつ1によれば、暗い環境下であっても、着用者に対する着用性を高めて、排泄物の漏れを改善することができる。
【0088】
また、使い捨ておむつ1は、後胴回り領域BAにおいて、ウエストギャザー80が配置されており、一対の止着テープ51,52の前後方向Lにおける後側の端部51a、52aが、ウエストギャザー80の幅方向W外側に配置されている。
【0089】
これによれば、第1着色領域C1を有する止着テープ51を目安に、ウエストギャザー80を着用者の胴回りの背中側に配置させやすいため、着用者の胴回りの背中側におけるウエストギャザー80のズレを防ぐことができる。従って、かかる使い捨ておむつ1によれば、着用者の胴回りの背中側における使い捨ておむつ1の着用性を高められるので、着用者の胴回りからの排泄物の漏れを確実に防止することができる。
【0090】
また、一対の止着テープ51,52の前後方向Lにおける後側の端部51b,52bは、ウエストギャザー80の前後方向Lにおける前側に位置する端部80aから前後方向Lにおける後側に向かって、ウエストギャザー80の前後方向Lにおける全長の30%以上の位置に配置されている。
【0091】
これによれば、使い捨ておむつ1を着用者に装着する際に、一対の止着テープ51が幅方向W外側に引き出されると、一対の止着テープ51に連動して、ウエストギャザー80を幅方向Wに引き延ばすことができる。すなわち、一対の止着テープ51の引き延ばすことによって、ウエストギャザー80の伸縮性をより確実に調整できるので、使い捨ておむつ1の着用者の胴回りの背中側における装着性を高めることができる。
【0092】
また、使い捨ておむつ1では、第2着色領域C2の前後方向Lの後側の端部C2bは、使い捨ておむつ1の前後方向中心LCLよりも前後方向Lの後側に位置する。すなわち、第2着色領域C2は、前後方向中心LCLを跨って、股下領域CAから前胴回り領域FAまで前後方向Lに延びる。
【0093】
これによれば、使い捨ておむつ1の上に着用者を仰向けに寝かせた際に、第2着色領域C2は、着用者に隠れることを防止できる。第2着色領域C2をより確実に視認することが可能になる。
【0094】
また、使い捨ておむつ1では、吸収性コア131の表面シート110側において、被覆シート132の幅方向外側における一方の端部132xと、被覆シート132の幅方向外側における他方の端部132yとの間には、被覆シート132が重複する所定の重複領域Sが形成されている。かかる、所定の重複領域Sは、被覆シート132が重ねられていることによって、被覆シート132に着色された第2の色が濃くなる部分である。よって、被覆シート132に着色された第2の色が視認されやすくなる。また、所定の重複領域Sは、使い捨ておむつ1の幅方向中心線WCL上に位置することが好ましい。また、所定の重複領域Sの幅方向における長さW2は、5mm〜35mmの範囲内であることが好ましい。
【0095】
所定の重複領域Sの幅方向における長さW2が、5mm未満であると、第2の色が濃くなる部分が細くなりすぎてしまい、使い捨ておむつ1の幅方向中心線WCLが視認されにくくなる可能性があるためである。一方、所定の重複領域Sの幅方向における長さW2が35mmよりも大きいと、第2の色が濃くなる部分の幅方向Wにおける長さが大きすぎてしまう。これにより、第2の色が濃くなる部分に基づいて、使い捨ておむつ1の幅方向中心線WCLが識別されにくくなる恐れがある。
【0096】
このように、所定の重複領域Sを上述の範囲内に配置することで、第2着色領域C2に着色される第2の色をより確実に視認できるととともに、第2着色領域C2によって使い捨ておむつ1の幅方向中心線WCLをより確実に認識することが可能になる。
【0097】
更に、使い捨ておむつ1によれば、第2着色領域C2に着色される第2の色をより確実に視認できるため、視認化されやすい第2着色領域C2の幅方向外側の端部C2c,C2dの部分を基準として、第2着色領域C2の幅方向外側の端部C2c、C2dに近接するレッグサイド弾性部材125を、着用者の左右の足繰り近傍に宛がうように装着することができる。すなわち、レッグサイド弾性部材125を有するレッグサイドギャザーを着用者の足繰り周りにあてがうことができる。これによって、レッグサイドギャザーが着用者の足繰り周り以外の場所に当たって、着用者に不快感を感じさせることを防止できる。よって、使い捨ておむつ1によれば、着用者が寝ている場合であっても、着用者に不快感を与えることによって、着用者を起こすことなく、使い捨ておむつ1を着用者に装着できる。
【0098】
また、使い捨ておむつ1では、着用者の体液が排泄されたことを裏面シート121の外側(衣服側)から識別可能なインジケータ部200が配置されている。インジケータ部200には、第3の色によって着色される第3着色領域C3が使い捨ておむつ1の幅方向中心線WCLに沿って形成されている。第3着色領域C3の幅方向Wにおける長さW200は、1.5mm以上であり、第3着色領域C3における第3の色も、第1の色及び第2の色と同様に、反射率曲線における反射率のピークが400〜650nmの波長の範囲内に位置する色である。すなわち、第3の色も暗所下における比視感度が高い色である。
【0099】
ここで、このように構成された使い捨ておむつ1を着用者に装着する場合、図5に示すように、使い捨ておむつ1の前胴回り領域FAを着用者に宛がった後、使い捨ておむつ1の止着テープ51,52を前胴回り領域FAの係止テープ53に止着する。
【0100】
使い捨ておむつ1では、インジケータ部200に第3の色によって着色される第3着色領域C3が形成されているため、使い捨ておむつ1の前胴回り領域FAを着用者に宛がった後においても、使い捨ておむつ1の幅方向中心線WCLを視認しやすい。よって、使い捨ておむつ1の幅方向中心線WCLと、着用者の身体の幅方向中心とを一致させやすい。すなわち、着用者の幅方向に対するおける使い捨ておむつ1の着用性を向上させることが可能になる。
【0101】
以上のように、本実施形態に係る使い捨ておむつ1によれば、折り畳まれた状態の新たな使い捨ておむつ1を展開する時から、使い捨ておむつ1の着用者への装着を完了する時までの一連のプロセスにおいて、着用者に対する使い捨ておむつ1の装着状態を視認することが可能になる。
【0102】
更に、使い捨ておむつ1では、外装シート122が、目付13g/mのSMS不織布を用いている。これにより、図5に示すように、使い捨ておむつ1を着用者に装着した際、第2着色領域C2の一部は、使い捨ておむつ1の衣服側から、外装シート122を介して視認可能である。
【0103】
このとき、使い捨ておむつ1が着用者に適切に装着されていれば、使い捨ておむつ1の衣服側から視認可能な第2着色領域C2の一部の形状は、前後方向Lに沿って延びる形状となる。更に、使い捨ておむつ1が着用者に適切に装着されていれば、止着テープ51,52の第1着色領域C1の延在方向は、係止テープ53の延在方向と平行、すなわち、幅方向Wに沿って配置される。
【0104】
かかる観点から、使い捨ておむつ1が着用者に適切に装着されていれば、第2着色領域C2の一部の延在方向と、第1着色領域C1の延在方向との交差角度は、略直交する状態となる。よって、使い捨ておむつ1によれば、第1着色領域C1の延在方向と第2着色領域C2の一部の延在方向との交差角度が、略直交しているか否かを確認することで、着用者に対する使い捨ておむつ1の装着性を高めることができる。
【0105】
更に、使い捨ておむつ1の装着した後に、着用者の排泄物によって吸収性コア131の重みが増加すると、吸収性コア131の重みにより股下領域CAが下がった場合となる。かかる場合、第1着色領域C1の延在方向と第2着色領域C2の一部の延在方向との交差角度が変化する。具体的には、かかる交差角度は、略直交している状態に比べて、大きくなる。したがって、使い捨ておむつ1によれば、第1着色領域C1の延在方向と第2着色領域C2の一部の延在方向との交差角度の変化によって、着用者が排泄物を排出したか否かを視認することも可能である。すなわち、使い捨ておむつ1の交換時期を容易に認識することも可能になる。
【0106】
また、使い捨ておむつ1では、表面シート110は、前後方向Lに延びる凹凸部111を有する。これによれば、使い捨ておむつ1の着用者の肌側から見た平面視において、凹凸部111によって第2着色領域C2に前後方向Lに延びる縞状の濃淡が形成される。このように前後方向Lに延びる縞状の濃淡が形成されることで、使い捨ておむつ1の前後方向Lを容易に認識できるとともに、使い捨ておむつ1の幅方向中心線WCLをより確実に認識することが可能になる。
【0107】
(変形例1)
次に、図6を参照して、第1実施形態の変形例1に係る使い捨ておむつ2を説明する。なお、以下の実施形態の説明においては、第1実施形態と異なる構成に着目して説明し、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
【0108】
具体的に、図6に示すように、使い捨ておむつ2では、吸収性コア131が、股下領域CAにおいて、幅方向W内側に凹む幅方向凹部160を有する。また、使い捨ておむつ2では、少なくとも使い捨ておむつ2の股下領域CAにおいて、第2着色領域C2の幅方向の長さと、吸収性コア131の幅方向Wの長さとは、同等である。
【0109】
具体的に、図に示すように、第2着色領域C2の幅方向Wにおける端部C2c,C2dは、使い捨ておむつ1の着用者の肌側から見た平面視において、吸収性コア131の幅方向Wにおける端部131c、131dに沿って設けられている。すなわち、第2着色領域C2の幅方向W外側における端部の形状は、吸収性コア131の幅方向W外側における端部の形状に沿っている。
【0110】
使い捨ておむつ2によれば、第2着色領域C2によって、吸収性コア131の形状が把握できる。具体的には、股下領域CAにおいて、吸収性コア131が、幅方向凹部160を有する場合であっても、第2着色領域C2によって、吸収性コア131の形状が把握できる。よって、着用者に使い捨ておむつ2を装着する際に、排泄物が排泄される着用者の股間部に吸収性コア131を確実に宛がうことができる。
【0111】
このように、第2着色領域C2の形状は、必ずしも長方形状でなくてもよく、例えば、吸収性コア131の幅方向外側の端部の形状に沿って形成されていても良い。すなわち、第2着色領域C2は、被覆シート132の全領域に形成されていなくてもよい。
【0112】
(変形例2)
次に、図7を参照して、第1実施形態の変形例1に係る使い捨ておむつ3を説明する。なお、以下の実施形態の説明においては、第1実施形態と異なる構成に着目して説明し、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
【0113】
使い捨ておむつ3では、吸収性本体10は、吸収性コア131と被覆シート132とにわたって凹む凹部300を備える。
【0114】
凹部300は、吸収性コア131と被覆シート132とに設けられる。凹部300は、前後方向Lに延びる。なお、凹部300は、吸収性コア131の前後方向Lの一方の端部から、他方の端部まで形成されていることが好ましい。
【0115】
凹部300は、吸収性コア131と被覆シート132とを圧搾した圧搾部によって構成されていてもよい。また、凹部300は、吸収性コア131と被覆シート132とを凹ませた溝部によって構成されていてもよい。凹部300は、圧搾部と溝部との両方によって構成されていても良い。
【0116】
使い捨ておむつ3によれば、使い捨ておむつ3の着用者の肌側から見た平面視において、凹部300によって第2着色領域C2に前後方向Lに延びる縞状の濃淡が形成される。このように前後方向Lに延びる縞状の濃淡が形成されることで、使い捨ておむつ3の前後方向Lを容易に認識できるとともに、使い捨ておむつ3の幅方向中心線WCLをより確実に認識することが可能になる。
【0117】
なお、図7の例では、表面シート110に凹凸部111が形成されていない場合を例に挙げているが、使い捨ておむつ3では、表面シート110に凹凸部111が形成されていてもよい。つまり、使い捨ておむつ3には、凹部300と凹凸部111とが組み合わせて設けられていてもよい。
【0118】
(その他の実施形態)
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0119】
本実施形態では、背側サイドフラップ部20と腹側サイドフラップ部30とが取り付けられた使い捨ておむつ1について説明した。しかし、使い捨ておむつの形態は、本実施形態に限定されない。例えば、腹側サイドフラップ部を備えていなくてもよい。使い捨ておむつ1は、乳児用、幼児用、大人用の何れであってもよい。
【0120】
本実施形態では、第1着色領域C1は、一対の止着テープ51,52の全領域に形成されていた。しかし、第1着色領域C1の形態は、本実施形態に限定されない。例えば、第1着色領域C1は、一対の止着テープ51,52の前後方向Lにおける半分の領域に形成されていても良い。
【0121】
本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【符号の説明】
【0122】
C1…第1着色領域、C2…第2着色領域、C3…第3着色領域、CA…股下領域、FA…領域、L…前後方向、LCL…前後方向中心、WCL…幅方向中心線、S…重複領域、10…吸収性本体、20A,20B…背側サイドフラップ部、30A,30B…腹側サイドフラップ部、51,52…止着テープ、53…係止テープ、80…ウエストギャザー、110…表面シート、120…外装シート、121…裏面シート、122…外装シート、123…レッグ弾性部材、123a…第1レッグ弾性部材、123b…第2レッグ弾性部材、125…レッグサイド弾性部材、131…吸収性コア、132…被覆シート、141,142…サイドシート、150…中間シート、200…インジケータ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7