(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、本実施の形態に係る開閉扉の全閉防止機構がウェーハ加工装置に適用された場合について説明する。しかしながら、本実施の形態に係る開閉扉の全閉防止機構が適用される対象装置は、ウェーハ加工装置に限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、メンテナンス等の作業に伴って作業者等が入室した状態で開閉扉が全閉状態となるのを防止する各種装置に適用することができる。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る開閉扉の全閉防止機構が適用されるウェーハ加工装置の平面模式図である。
図1においては、粗研削加工、仕上げ研削加工、研磨加工、レーザー加工を実施する複数の加工モジュールを備えたウェーハ加工装置について説明するが、この構成に限定されない。ウェーハ加工装置における加工モジュールの加工内容は特に限定されず、ユーザの要望に合わせた多種類の加工モジュールを備えていればよい。また、
図1では、説明の便宜上、操作モジュールを除いて各モジュールのハウジングを省略して記載している。
【0014】
図1に示すように、ウェーハ加工装置10は、フルオートタイプの加工装置であり、ウェーハWに対する搬送処理、研削処理、研磨処理、レーザー加工処理、洗浄処理からなる一連の作業を全自動で実施するように構成されている。ウェーハWは、円板状に形成されており、表面側には保護テープ(不図示)が貼着されている。なお、ウェーハWは、シリコン、ガリウムヒ素等の半導体ウェーハでもよいし、セラミック、ガラス、サファイア等の無機材料基板でもよいし、さらに半導体製品のパッケージ等でもよい。なお、ウェーハWは、保護テープを介して環状フレームに貼着された状態で搬入されてもよい。
【0015】
ウェーハ加工装置10は、装置手前側に複数のカセットCが載置されたカセットモジュール11が配置されている。カセットモジュール11の隣には、装置各部への指示を受け付ける操作モジュール12が配置されている。カセットモジュール11の後方には、複数のモジュール間でウェーハWを搬送する搬送モジュール13が装置手前側から装置奥側に向かって直線状に延在している。搬送モジュール13の図示左側には、粗研削モジュール14、レーザー加工モジュール15が配置されている。また、搬送モジュール13の図示右側には、仕上げ研削モジュール16、研磨モジュール17が配置されている。
【0016】
カセットモジュール11と粗研削モジュール14の間には、ウェーハWのセンタリングを行うセンタリングモジュール18が配置されている。また、粗研削モジュール14とレーザー加工モジュール15との間には、加工済みのウェーハWを洗浄する洗浄モジュール19が配置されている。このようにウェーハ加工装置10は、後述する搬送ロボット61の走行方向(Y軸方向)に平行に複数のモジュールが配設されて構成されている。操作モジュール12では、正面に設けられたタッチパネル式の表示モニタ(不図示)により、ウェーハ加工装置10の各種設定等が実施される。表示モニタには、ウェーハ加工装置10の各種処理に関する設定画像等が表示されている。
【0017】
搬送モジュール13では、搬送ロボット61によって複数の加工モジュール間のウェーハWの搬送が行われる。搬送ロボット61の搬送ロボット位置付け手段62によりY軸方向に移動される。搬送ロボット61は、多節リンクからなるアーム部63の先端にエッジクランプ式の保持部64を設けて構成される。
【0018】
このように構成されたウェーハ加工装置10では、カセットC内のウェーハWがカセットロボット22によって仮置きテーブル27に搬送されてウェーハWがセンタリングされる。次に、搬送モジュール13によって粗研削モジュール14、仕上げ研削モジュール16、研磨モジュール17、レーザー加工モジュール15の順にウェーハWが投入され、各加工モジュールでウェーハWが加工される。次に、洗浄モジュール19においてウェーハWが洗浄された後に、再び仮置きテーブル27にウェーハWが搬送される。そして、カセットロボット22によって仮置きテーブル27からカセットC内にウェーハWが収容される。
【0019】
搬送モジュール13は、ウェーハWに塵埃などの異物が付着するのを防止するために搬送室130に収容される。これにより、外部から搬送室130内に大気中の塵等が浸入するのを抑制した状態で搬送ロボット61によりウェーハWを搬送することができる。搬送室130には、開閉扉131が設けられる。開閉扉131は、作業者が搬送室130へ出入りするため、すなわち、搬送室130内へ入室し、或いは、搬送室130から退室するために開閉される。例えば、作業者は、搬送ロボット61のメンテナンスのために搬送室130内に入室する。
【0020】
開閉扉131には、例えば、スライド扉や旋回扉が適用可能である。
図1に示すウェーハ加工装置10では、開閉扉131として、スライド扉132が設けられる場合について示している。なお、
図1においては、スライド扉132が最大限に開放された状態(全開状態)である場合について示している。スライド扉132は、搬送室130の壁面に固定されたスライドレール133に沿ってY軸方向にスライド移動可能に構成されている。搬送室130内であって、開閉扉131(スライド扉132)による開放部の近傍には、開閉扉131の全閉を防止する全閉防止機構100が設けられている。
【0021】
以下、
図2及び
図3を参照しながら、本実施の形態に係る開閉扉131の全閉防止機構100の構成について説明する。
図2は、本実施の形態に係る開閉扉131による開放部近傍の拡大図である。
図3は、本実施の形態に係る開閉扉131の全閉防止機構100の構成の説明図である。
図3A及び
図3Bにおいては、それぞれ全閉防止手段101を構成する載置部材102及び防止バー106を示している。なお、
図2と
図3とは、説明の便宜上、全閉防止機構100の向きを変更している。
【0022】
図2に示すように、全閉防止機構100は、開閉扉131が全閉状態になるのを防止する全閉防止手段101と、開閉扉131が閉じることで全閉防止手段101に作用する作用手段110とを含んで構成される。全閉防止手段101は、搬送室130に配設され、搬送室130の壁面の一部に固定される。作用手段110は、開閉扉131に配設され、開閉扉131の内側(搬送室130の室内側)の先端部に固定される。以下においては、全閉防止手段101における搬送室130の壁面への固定端側を基端部側と呼び、基端部側の反対側を先端部側と呼ぶものとする。
【0023】
全閉防止手段101は、
図3に示すように、載置部材102及び防止バー106を有する。これらの載置部材102及び防止バー106は、例えば、金属材料に機械加工を施すことで形成されるが、これに限定されない。載置部材102及び防止バー106を複数部品で構成し、これらを溶接等により接合してもよい。また、載置部材102及び防止バー106の一方又は双方を、剛性を有する樹脂材料で構成することもできる。
【0024】
載置部材102は、
図3Aに示すように、概して直方体形状を有している。載置部材102には、上下方向に貫通して貫通孔103が形成されると共に、円形状の凹部104が載置部材102の上方から貫通孔103に接続して載置部材102の高さの略半分の深さで形成されている。貫通孔103は、全閉防止手段101の先端部側に配置され、凹部104は、全閉防止手段101の基端部側に配置される。貫通孔103は、全閉防止手段101の基端部側から先端部側へ延在する形状(すなわち、上面視にてスリット形状)を有する。貫通孔103と凹部104とは、上面視にてだるま穴形状を構成している。
【0025】
貫通孔103は、後述する防止バー106の軸部107を収容する寸法を有し、防止バー106の軸部107を載置部材102の貫通孔103から凹部104に向かう方向に移動可能な寸法を有する。凹部104は、後述する防止バー106のヘッド部108を収容可能な寸法を有し、ヘッド部108の外径寸法よりも僅かに大きな内径寸法で、ヘッド部108を収容可能な高さ寸法を有する。
【0026】
載置部材102には、後述する防止バー106のヘッド部108を2段で載置させる上段の上段載置部105a及び下段の下段載置部105bを有し、これらの上段載置部105aと下段の下段載置部105bとを連通させる。上段載置部105aは、載置部材102の上面で、先端部側に配置される貫通孔103の周囲を示す。下段載置部105bは、凹部104の底面部で構成される。連通路105cは、凹部104内に形成された通路(空間)により形成される。上段載置部105aと下段載置部105bとは、後述する防止バー106のヘッド部108の高さ寸法に相当する高低差を有する(
図4参照)。
【0027】
防止バー106は、概して棒状に構成され、
図3Bに示すように、鉛直方向に延在する軸部107と、この軸部107の上に設けられるヘッド部108と下に設けられるストッパ部109とを有する。軸部107は、貫通孔103に収容可能な外径寸法を有し、載置部材102の高さ寸法よりも僅かに長い寸法を有している。ヘッド部108は、概して円柱形状を有し、貫通孔103に収容されない外径寸法で、載置部材102の凹部104に収容可能な外径寸法を有している。ストッパ部109は、概して円盤形状を有し、その上面部中央にて軸部107の下端に連結されている。
【0028】
図4は、本実施の形態に係る全閉防止機構100の全閉防止手段101の断面を示す模式図である。
図4においては、載置部材102の貫通孔103の中心を通過する断面を模式的に示している。
図4Aにおいては、防止バー106のヘッド部108が載置部材102の上段載置部105aに載置された状態を示している。
図4Bにおいては、防止バー106のヘッド部108が載置部材102の下段載置部105bに載置された状態を示している。
【0029】
図4に示すように、全閉防止手段101においては、載置部材102の貫通孔103に防止バー106の軸部107が収容されている。
図4Aに示すように、防止バー106のヘッド部108が上段載置部105aに載置された状態において、ストッパ部109は、載置部材102の下面近傍に配置されている。一方、
図4Bに示すように、防止バー106のヘッド部108が下段載置部105bに載置された状態において、ストッパ部109は、載置部材102の下面より下方側に突出する位置に配置されている。
【0030】
図2に戻り、本実施の形態に係る全閉防止機構100を構成する作用手段110の構成について説明する。
図2に示すように、作用手段110は、平板形状を有する基部111と、この基部111の上端中央に設けられる作用部112及び基部111の下端に設けられる受け止めプレート113とを有する。作用手段110は、例えば、金属板材に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施して形成される。
【0031】
基部111は、開閉扉131の内壁面の所定位置に固定される。より具体的には、基部111は、作用部112が全閉防止手段101の載置部材102の上面よりも上方側に配置される一方、受け止めプレート113が載置部材102の下面よりも下方側に配置される位置に固定される。なお、基部111は、開閉扉131の開閉動作に伴って載置部材102と干渉しない厚さ寸法に構成されている。
【0032】
作用部112は、基部111の上端部から上方側に延出するネック部112aと、このネック部112aの上端から開閉扉131の内側に屈曲して設けられる接触部112bとを有する。接触部112bは、全閉防止手段101の載置部材102の上面よりも僅かに上方側の位置を、開閉扉131の内側に水平に延びている。例えば、接触部112bは、全閉防止手段101の載置部材102の奥行き寸法(
図2に示す紙面奥行き方向の寸法)と同程度の長さを有する。詳細について後述するように、作用部112は、開閉扉131を閉じることで、防止バー106のヘッド部108を上段載置部105aから下段載置部105bに落下させる役割を果たす。
【0033】
受け止めプレート113は、基部111の下端部から開閉扉131の内側に突出して設けられている。受け止めプレート113は、載置部材102の下面よりも僅かに下方側の位置を、開閉扉131の内側に水平に延びて載置部材102の奥行き寸法(
図2に示す紙面奥行き方向の寸法)と同程度の長さを有する。詳細について後述するように、受け止めプレート113は、作用部112によって上段載置部105aから下段載置部105bに落下する防止バー106のヘッド部108が下段載置部105bに載置される前に防止バー106を受け止める役割を果たす。
【0034】
図5は、本実施の形態に係る全閉防止機構100の全閉防止手段101と作用手段110との位置関係を説明するための模式図である。
図5においては、全閉防止手段101と作用手段110とが離間した状態を示している。また、
図5においては、全閉防止手段101において、防止バー106のヘッド部108が載置部材102の上段載置部105aに載置された状態について示している。
【0035】
図5に示すように、作用手段110を構成する作用部112(より具体的には、接触部112b)は、上段載置部105aに載置された防止バー106のヘッド部108に接触する高さに配置されている。一方、作用手段110を構成する受け止めプレート113は、ヘッド部108が上段載置部105aに載置された状態の防止バー106におけるストッパ部109よりも下方側に位置する高さに配置されている。
【0036】
以下、本実施の形態に係る開閉扉131の閉動作に伴う全閉防止機構100の動作について、
図5〜
図7を参照しながら説明する。
図6及び
図7は、本実施の形態に係る開閉扉131の閉動作に伴う全閉防止機構100の動作を説明するための模式図である。
図6においては、防止バー106のヘッド部108が下段載置部105bに載置される前に受け止めプレート113に受け止められた状態を示している。
図7においては、防止バー106が下段載置部105bに載置された状態を示している。
【0037】
図5に示す状態(作用手段110が全閉防止手段101から離間した状態)から開閉扉131(スライド扉132)が閉方向にスライド操作されると、作用手段110の作用部112を構成する接触部112bが防止バー106のヘッド部108に接触する。なお、この場合、受け止めプレート113は、ストッパ部109よりも下方側に位置するため、ストッパ部109に接触することはない。
【0038】
接触部112bがヘッド部108に接触すると、防止バー106が移動される。
図6に示すように、スライド扉132が全閉状態とされると、ヘッド部108が凹部104に収容され、ヘッド部108が下段載置部105bに載置される前にストッパ部109を受け止めプレート113により受け止められた状態となる。
【0039】
一方で、
図6に示すような全閉状態からスライド扉132が開方向にスライド移動されると、受け止めプレート113が防止バー106(ストッパ部109)を受け止められなくなり、防止バー106は、ストッパ部109が載置部材102の下面から下方側に突出した状態となり、ヘッド部108が下段載置部105bに載置される位置まで落下する(
図7参照)。
【0040】
このようにヘッド部108が下段載置部105bに載置された状態(ストッパ部109が載置部材102の下面から突出した状態)において、スライド扉132が閉方向(
図1に示すY軸方向)にスライド移動されると、
図7に示すように、受け止めプレート113の先端部(
図7に示す左端部)がストッパ部109に接触(干渉)する。これにより、スライド扉132は、これ以上閉方向にスライド移動ができなくなる。すなわち、スライド扉132の閉動作が制限され、全閉状態となることが防止される。
【0041】
開閉扉131を全閉状態とする場合には、防止バー106を持ち上げてヘッド部108を上段載置部105aに載置させることが必要となる。すなわち、本実施の形態に係る開閉扉131の全閉防止機構100においては、開閉扉131の全閉を行う作業者が意図的に防止バー106を引き上げ上段載置部105aにヘッド部108を載置させなくてはならない。このため、作業者等が意図することなく開閉扉131が全閉状態となることが防止される。
【0042】
以上の説明においては、開閉扉131がスライド扉132で構成される場合について説明している。しかしながら、本発明に係る開閉扉131の全閉防止機構100に適用される開閉扉131については、スライド扉132に限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、蝶番で旋回する旋回扉にも適用することができる。
【0043】
以下、本実施の形態に係る開閉扉131の全閉防止機構100が、開閉扉131として旋回扉を有する搬送室130に適用される場合について説明する。
図8は、本実施の形態に係る開閉扉131としての旋回扉による開放部近傍の拡大図である。なお、
図8に示す態様において、上述した実施形態と共通の機能を有する構成については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0044】
図8に示す搬送室130においては、作業者が入退室する開閉扉131として旋回扉134が設けられている。旋回扉134は、基端部(
図8に示す下端部)に設けられた蝶番134aにより先端部(
図8に示す上端部)を旋回可能に搬送室130の壁部に連結されている。旋回扉134の先端部には、作用手段110が設けられている。また、搬送室130の壁部のうち、旋回扉134の作用手段110に対応する位置には、全閉防止手段101が設けられている。この全閉防止手段101の近傍には、旋回扉134の旋回を一定位置で規制するための規制片135が設けられている。規制片135は、旋回扉134が全閉状態となった場合にその旋回を規制する。
【0045】
ここで、旋回扉134を旋回した場合における全閉防止機構100の動作について説明する。
図9は、開閉扉131としての旋回扉134の閉動作に伴う全閉防止機構100の動作を説明するための模式図である。なお、
図9A〜
図9Cにおいては、いずれも全閉防止機構100を上方側から示している。
図9A〜
図9Cにおいて、全閉防止機構100を構成する全閉防止手段101の構成要素と作用手段110の構成要素との高さ方向及び開閉扉131の開閉方向の相対位置関係は、それぞれ
図5〜
図7と同一である。
【0046】
図9Aにおいては、全閉防止手段101と作用手段110とが離間した状態を示している。
図9Bにおいては、防止バー106が下段載置部105bに載置される前に受け止めプレート113に受け止められた状態を示している。
図9Cにおいては、防止バー106が下段載置部105bに載置された状態を示している。
【0047】
開閉扉131として旋回扉134を有する場合においても、全閉防止機構100を構成する全閉防止手段101及び作用手段110の動作については、基本的に同一である。
図9Aに示す状態(作用手段110が全閉防止手段101から離間した状態)から旋回扉134が閉方向に旋回操作されると、作用手段110の作用部112を構成する接触部112bが防止バー106のヘッド部108に接触する。なお、この場合、受け止めプレート113は、ストッパ部109よりも下方側に位置するため、ストッパ部109に接触することはない(
図5参照)。
【0048】
接触部112bがヘッド部108に接触すると、防止バー106は、載置部材102に形成されたスリット状の貫通孔103に沿って凹部104側に移動されヘッド部108が凹部104内(下段載置部105b)に落下される。
【0049】
図9Bに示すように、ヘッド部108が下段載置部105bに載置される前に防止バー108(より具体的には、ストッパ部109)が受け止めプレート113により受け止められた状態となる。
【0050】
一方で、
図9Bに示すような全閉状態から旋回扉134が開方向に旋回操作されると、受け止めプレート113が搬送室130の外側(
図9Bに示す左方側)に移動する。これに伴い、受け止めプレート113が防止バー106(ストッパ部109)を受け止められなくなり、防止バー106は、ヘッド部108が下段載置部105bに載置される位置まで落下する。この場合、防止バー106のストッパ部109は、載置部材102の下面から下方側に突出した状態となる(
図7参照)。
【0051】
このようにヘッド部108が下段載置部105bに載置された状態(ストッパ部109が載置部材102の下面から突出した状態)において、旋回扉134が閉方向に旋回操作されると、
図9Cに示すように、受け止めプレート113の先端部(
図9Cに示す右端部)がストッパ部109に接触する。これにより、旋回扉134は、これ以上閉方向に旋回動作ができなくなる。すなわち、旋回扉134が全閉状態となることが防止される。
【0052】
したがって、開閉扉131として旋回扉134を搬送室130に備える場合においても、旋回扉134を全閉状態とする場合には、防止バー106を持ち上げてヘッド部108を上段載置部105aに載置させることが必要となる。すなわち、旋回扉134の全閉を行う作業者が意図的に防止バー106を引き上げなくてはならない。このため、作業者等が意図することなく旋回扉134が全閉状態となることが防止される。
【0053】
また、開閉扉131として旋回扉134に適用される場合においては、旋回扉134の閉動作に伴って防止バー106を回転させることで上段載置部105aから下段載置部105bに落下させる構成としても良い。この場合には、載置部材102において、防止バー106をスライド移動させる必要がなくなり、載置部材102(引いては全閉防止機構100)を小型化することが可能となる。
【0054】
図10は、本実施の形態に係る開閉扉131として旋回扉134の全閉を防止する全閉防止手段の構成の説明図である。なお、
図10に示す全閉防止手段101aにおいて、上述した実施形態と共通の機能を有する構成については、同一の符号を付すと共に符号の末尾に付与する文字を適宜付与(変更)してその詳細な説明を省略する。
図10A及び
図10Bにおいては、それぞれ全閉防止手段101aを構成する載置部材102a及び防止バー106aを示している。
【0055】
載置部材102aは、
図10Aに示すように、概して直方体形状を有している。載置部材102aには、上下方向に貫通して貫通孔103aが形成されると共に、立方体形状の凹部104aが形成されている。貫通孔103aは、載置部材102aの中央に配置され、載置部材102aを上下に貫通して設けられる。凹部104aは、載置部材102aの上面の中央に配置されている。凹部104aは、載置部材102aの高さ寸法の略半分の高さ寸法(深さ寸法)を有する。貫通孔103aは、凹部104aの底面部に接続されている。すなわち、貫通孔103aの上方側の一部は、凹部104aとオーバーラップして形成され、凹部104aの一部を構成している。
【0056】
貫通孔103aは、後述する防止バー106aの軸部107aを収容する寸法を有する。凹部104aは、後述する防止バー106aのヘッド部108aを収容可能な寸法を有する。より具体的には、防止バー106aのヘッド部108aの外形寸法よりも僅かに大きな内形寸法を有すると共に、ヘッド部108を収容可能な高さ寸法を有する。
【0057】
載置部材102aには、後述する防止バー106aのヘッド部108aを2段で載置させる上段の上段載置部105a及び下段の下段載置部105bを有し、これらの上段載置部105aと下段の下段載置部105bとを連通させる。上段載置部105aは、載置部材102aの上面で凹部104aの周辺で構成される。下段載置部105bは、凹部104aの底面部で構成される。連通路105cは、凹部104a内に形成された通路(空間)により形成される。上段載置部105aと下段載置部105bとは、後述する防止バー106aのヘッド部108aの高さ寸法に相当する高低差を有する。
【0058】
防止バー106aは、
図10Bに示すように、鉛直方向(全閉防止手段101aの上下方向)に延在する軸部107aと、この軸部107aの上、下に設けられるヘッド部108a、ストッパ部109aとを有する。軸部107aは、貫通孔103aに収容可能な外径寸法を有し、載置部材102a(貫通孔103a)の高さ寸法よりも僅かに長い寸法を有している。ヘッド部108aは、概して立方体形状を有し、その下面部中央が軸部107aの上端に連結されている。ヘッド部108aは、載置部材102aの凹部104aに収容可能な外形寸法を有している。ストッパ部109aは、概して円盤形状を有し、その上面部中央が軸部107aの下端に連結されている。
【0059】
図10に示す防止バー106aは、後述する作用手段110aの接触部112cの接触に伴って、軸部107aの軸心を中心として回転し、上段載置部105aから下段載置部105bに落下する点で
図4に示す防止バー106と相違する。
【0060】
作用手段110aは、旋回扉134の閉動作に伴って防止バー106aを回転させる点で、
図9に示す防止バー106をスライド移動させる作用手段110と異なる。
【0061】
以下、
図10に示す全閉防止手段101aを有する全閉防止機構100の動作について、
図11を参照しながら説明する。
図11は、開閉扉131としての旋回扉134の閉動作に伴う全閉防止機構100の動作を説明するための模式図である。なお、
図11A〜
図11Cにおいては、いずれも全閉防止機構100を上方側から示している。
図11A〜
図11Cにおいて、全閉防止機構100を構成する全閉防止手段101の構成要素と作用手段110の構成要素との高さ方向の相対位置関係は、それぞれ
図5〜
図7と同一である。
【0062】
図11Aにおいては、全閉防止手段101aと作用手段110aとが離間した状態を示している。
図11Bにおいては、防止バー106aが下段載置部105bに載置される前に受け止めプレート113aに受け止められた状態を示している。
図11Cにおいては、防止バー106aが下段載置部105bに載置された状態を示している。なお、全閉防止手段101aと作用手段110aとが離間した状態において、防止バー106aは、
図11Aに示すように、ヘッド部108aの四隅部と凹部104aの四隅部とがずれるように配置される。
【0063】
図11Aに示す状態(作用手段110aが全閉防止手段101aから離間した状態)から旋回扉134が閉方向に旋回操作されると、作用手段110aの作用部112aを構成する接触部112cが防止バー106aのヘッド部108aに接触しヘッド部108aを回転させる。なお、この場合、受け止めプレート113aは、ストッパ部109aよりも下方側に位置するため、ストッパ部109aに接触することはない(
図5参照)。
【0064】
ヘッド部108aに対する接触部112cの接触によって防止バー106aが軸心を中心に回転する。これにより上面視にてヘッド部108aの四隅部と凹部104aの四隅部とが一致する位置までヘッド部108aが回転すると、ヘッド部108aが凹部104a内(下段載置部105b)に落下される。
【0065】
なお、この場合、防止バー106aの下方側に受け止めプレート113aが配置されていて、
図11Bに示すように、ヘッド部108aが下段載置部105bに載置される前にストッパ部109aが受け止めプレート113aにより受け止められた状態となる。
【0066】
一方で、
図11Bに示すような全閉状態から旋回扉134が開方向に旋回操作されると、受け止めプレート113aが防止バー106a(ストッパ部109a)を受け止めていた位置から退避する。これにより、防止バー106aは、ヘッド部108aが下段載置部105bに載置される位置まで落下し、防止バー106aのストッパ部109aは、載置部材102aの下面から下方側に突出した状態となる(
図7参照)。
【0067】
このようにヘッド部108aが下段載置部105bに載置された状態(ストッパ部109aが載置部材102aの下面から突出した状態)において、旋回扉134が閉方向に旋回操作されると、
図11Cに示すように、受け止めプレート113aの先端部(
図11Cに示す右端部)がストッパ部109aに接触する。これにより、旋回扉134は、これ以上閉方向に旋回動作ができなくなる。すなわち、旋回扉134の閉動作が制限され、全閉状態となることが防止される。
【0068】
したがって、旋回扉134の閉動作に伴って防止バー106aを回転させることで上段載置部105aから下段載置部105bに落下させる場合においても、ストッパ部109aが載置部材102aの下面から突出した状態から、旋回扉134を全閉状態とする場合には、防止バー106aを持ち上げてヘッド部108aを上段載置部105aに載置させることが必要となる。すなわち、旋回扉134の全閉を行う作業者が意図的に防止バー106aを引き上げて上段載置部に載置させなくてはならない。このため、作業者等が意図することなく旋回扉134が全閉状態となることが防止される。
【0069】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0070】
例えば、上記実施の形態においては、ヘッド部108(108a)が下段載置部105bに載置された状態(ストッパ部109(109a)が載置部材102(102a)の下面から突出した状態)において、受け止めプレート113(113a)の先端部がストッパ部109(109a)に接触する場合について示しているが、受け止めプレート113(113a)が接触する対象は、防止バー106(106a)の下部の一部であれば、軸部107(107a)であってもよい。
【0071】
なお、上記実施の形態に係る防止バー106(106a)を構成するストッパ部109(109a)は、防止バー106(106a)を持ち上げた時の抜け防止の役割も担っている。