特許第6184855号(P6184855)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6184855
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】パッケージ基板の分割方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20170814BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   H01L21/78 C
   H01L21/78 F
   H01L21/56 T
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-259143(P2013-259143)
(22)【出願日】2013年12月16日
(65)【公開番号】特開2015-115588(P2015-115588A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2016年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100137903
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】佐脇 悟志
【審査官】 正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−111757(JP,A)
【文献】 特開2012−138548(JP,A)
【文献】 特開2009−049303(JP,A)
【文献】 米国特許第06309943(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割予定ラインによって複数のパッケージデバイスが所定数区画されて形成されるパッケージ基板を個々のパッケージデバイスに分割するパッケージ基板の分割方法であって、
撮像手段によって各分割予定ラインの位置座標を検出し各分割予定ライン間のインデックスサイズを検出する検出工程と、
該検出工程を実施した後に、検出された該インデックスサイズがパッケージ寸法許容値範囲内か否か判断する判断工程と、
該判断工程において該インデックスサイズが該パッケージ寸法許容値範囲内であると判断した場合には、該検出工程で検出した該インデックスサイズ及び検出した各分割予定ラインの該位置座標に基づいてパッケージデバイス毎に加工手段にて分割する分割工程と、
を備えるパッケージ基板の分割方法。
【請求項2】
該判断工程において該インデックスサイズが該パッケージ寸法許容値範囲内に無いと判断した場合には、該分割予定ラインの範囲内で且つ該インデックスサイズが該パッケージ寸法許容値範囲内に入るように該各分割予定ラインの該位置座標を補正する補正工程を実施し、
該分割工程においては、補正後のインデックスサイズ及び補正後の該分割予定ラインの位置座標に基づいてパッケージデバイスを分割し、
該補正工程において該分割予定ラインの範囲内で且つ該インデックスサイズが該パッケージ寸法許容値範囲内に入るように該各分割予定ラインの該位置座標を補正することが不可能な場合には該分割工程をキャンセルすること、を特徴とする請求項1記載のパッケージ基板の分割方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CSP(Chip Size Package)、QFN(Quad Flat Non-leaded Package)等のパッケージ基板の分割方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CSPやQFN等のパッケージ基板は、IC、LSI等の回路が作り込まれた複数の半導体チップを配列させ、モールド樹脂等で封止して略長方形の板状に形成されている。パッケージ基板は、切削装置によって分割予定ラインに沿って切削されて半導体チップとほぼ同一サイズのパッケージとして形成される。樹脂のモールド時には配線基板の伸縮等により分割予定ラインの位置に歪が生じるため、切削時には分割予定ラインに対するアライメント結果から切削位置を決定する、いわゆる検出アライメントが採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−033295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の検出アライメントでは、分割予定ラインに沿って切削することができるが、基板の伸縮等によって分割予定ライン自体が位置ズレしていると、パッケージサイズが寸法許容値(パッケージ寸法許容値)から外れて規格外になる場合がある。例えば、パッケージデバイスがCPU(Central Processing Unit)であり、パッケージサイズが寸法許容値から大幅に外れて規格外になる場合には、CPUをマザーボードのソケットに実装することができないという問題があった。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、パッケージサイズを寸法許容値内に収めるようにパッケージ基板を個々のパッケージデバイスに分割できるパッケージ基板の分割方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のパッケージ基板の分割方法は、分割予定ラインによって複数のパッケージデバイスが所定数区画されて形成されるパッケージ基板を個々のパッケージデバイスに分割するパッケージ基板の分割方法であって、撮像手段によって各分割予定ラインの位置座標を検出し各分割予定ライン間のインデックスサイズを検出する検出工程と、該検出工程を実施した後に、検出された該インデックスサイズがパッケージ寸法許容値範囲内か否か判断する判断工程と、該判断工程において該インデックスサイズが該パッケージ寸法許容値範囲内であると判断した場合には、該検出工程で検出した該インデックスサイズ及び検出した各分割予定ラインの該位置座標に基づいてパッケージデバイス毎に加工手段にて分割する分割工程と、を備える。
【0007】
この構成によれば、分割予定ライン間のインデックスサイズがパッケージ寸法許容値内の場合にパッケージ基板が個々のパッケージデバイスに分割される。よって、パッケージ基板の伸縮によって分割予定ラインが位置ズレした場合でも、分割後のパッケージデバイスが規格外になることがない。
【0008】
また本発明のパッケージ基板の分割方法において、該判断工程において該インデックスサイズが該パッケージ寸法許容値範囲内に無いと判断した場合には、該分割予定ラインの範囲内で且つ該インデックスサイズが該パッケージ寸法許容値範囲内に入るように該各分割予定ラインの該位置座標を補正する補正工程を実施し、該分割工程においては、補正後のインデックスサイズ及び補正後の該分割予定ラインの位置座標に基づいてパッケージデバイスを分割し、該補正工程において該分割予定ラインの範囲内で且つ該インデックスサイズが該パッケージ寸法許容値範囲内に入るように該各分割予定ラインの該位置座標を補正することが不可能な場合には該分割工程をキャンセルする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、インデックスサイズがパッケージ寸法許容値範囲内に収まるように分割予定ラインの位置座標を補正することで、パッケージ基板が伸縮した場合でも個々のパッケージデバイスを規格内に収めるようにパッケージ基板を分割することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る切削装置の斜視図である。
図2】本実施の形態に係る全ポイントアライメントの説明図である。
図3】本実施の形態に係る2ポイントアライメントの説明図である。
図4】本実施の形態に係るパッケージ基板の分割方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態に係る切削装置について説明する。図1は、本実施の形態に係る切削装置の斜視図である。なお、本実施の形態に係る切削装置は、図1に示す構成に限定されない。本発明は、パッケージ基板を切削可能な切削装置であれば、どのような切削装置にも適用可能である。
【0012】
図1に示す切削装置1は、パッケージ基板W1に対して加工手段15をアライメントした後に、パッケージ基板W1を個々のパッケージデバイス51に分割するように構成されている。図2Aに示すパッケージ基板W1は、略長方形の板状に形成されており、格子状の分割予定ライン55によって複数のパッケージデバイス51に区画されている。パッケージ基板W1は、複数のパッケージデバイス51が所定の間隔を空けて形成されており、個々のパッケージデバイス51の周囲には端材となるマージン領域52が設けられている。各パッケージデバイス51は、背面側からモールド樹脂によって封止されている。
【0013】
また、パッケージ基板W1には、分割予定ライン55間のインデックスサイズを検出するためのアライメントターゲット53が設けられている。アライメントターゲット53は、各パッケージデバイス51の縦寸法及び横寸法を規定しており、個々のパッケージデバイス51の縦辺及び横辺に対応するようにパッケージ基板W1の外周部分に設けられている。このパッケージ基板W1では、パッケージデバイス51毎にアライメントターゲット53を検出する、いわゆる全ポイントアライメントが実施される。なお、図1には、図2Aに示すパッケージ基板W1を図示しているが、図3Aに示すパッケージ基板W2が使用されてもよい。
【0014】
図3に示すパッケージ基板W2は、複数のデバイス形成領域64が形成されており、デバイス形成領域64が分割予定ライン65によって複数のパッケージデバイス61に区画されている。よって、デバイス形成領域64内では複数のパッケージデバイス61が間隔なく配置され、デバイス形成領域64の周囲にだけマージン領域62が設けられている。パッケージ基板W2のアライメントターゲット63は、各パッケージデバイス61の縦寸法及び横寸法を規定しており、各パッケージデバイス61の縦辺及び横辺に対応するようにパッケージ基板W2の外周部分に設けられている(ここでは、デバイス形成領域64の四隅のアライメントターゲット63のみ図示)。このパッケージ基板W2では、デバイス形成領域64毎にアライメントターゲット63を検出する、いわゆる2ポイントアライメントが実施される。
【0015】
図1に戻り、パッケージ基板W1の裏面には保持テープTが貼着されており、この保持テープTの外周には環状フレームFが貼着されている。パッケージ基板W1は、保持テープTを介して環状フレームFに支持された状態で切削装置1に搬入される。なお、パッケージ基板W1は、CSP(Chip Size Package)基板、QFN(Quad Flat Non-leaded package)基板等のようにチップを搭載後のパッケージ基板に限らず、チップ搭載前の基板でもよい。切削装置の基台11上には、パッケージ基板W1を保持したチャックテーブル12をX軸方向に加工送りする移動機構13が設けられている。
【0016】
移動機構13は、基台11上に配置されたX軸方向に平行な一対のガイドレール21と、一対のガイドレール21にスライド可能に設置されたモータ駆動のX軸テーブル22とを有している。X軸テーブル22の上部には、チャックテーブル12が設けられている。X軸テーブル22の背面側には、図示しないナット部が形成され、これらナット部にボールネジ23が螺合されている。そして、ボールネジ23の一端部には、駆動モータ24が連結されている。駆動モータ24によりボールネジ23が回転駆動され、チャックテーブル12がガイドレール21に沿ってX軸方向に移動される。
【0017】
チャックテーブル12の表面には、ポーラスセラミック材により保持面27が形成されており、この保持面27に生じる負圧によってパッケージ基板W1が吸引保持される。チャックテーブル12の周囲には、エアー駆動式の4つのクランプ部28が設けられ、各クランプ部28によってパッケージ基板W1の周囲の環状フレームFが挟持固定される。また、基台11上には、移動機構13を跨ぐように立設した門型の柱部14が設けられている。柱部14には、チャックテーブル12の上方で一対の加工手段15をY軸方向に割出送りすると共にZ軸方向に昇降させる移動機構16が設けられている。
【0018】
移動機構16は、柱部14の前面に対してY軸方向に平行な一対のガイドレール31と、一対のガイドレール31にスライド可能に設置されたモータ駆動の一対のY軸テーブル32を有している。また、移動機構16は、各Y軸テーブル32の前面に配置されたZ軸方向に平行な一対のガイドレール33と、このガイドレール33にスライド可能に設置されたモータ駆動のZ軸テーブル34とを有している。各Z軸テーブル34の下部には、それぞれパッケージ基板W1に切削ブレード43を切り込ませて分割予定ライン55(図2参照)に沿って分割する加工手段15が設けられている。
【0019】
各Y軸テーブル32の背面側には、図示しないナット部が形成され、これらナット部にボールネジ35が螺合されている。また、各Z軸テーブル34の背面側には、図示しないナット部が形成され、これらナット部にボールネジ36が螺合されている。Y軸テーブル32用のボールネジ35、Z軸テーブル34用のボールネジ36の一端部には、それぞれ駆動モータ37、38が連結されている。これら駆動モータ37、38によりボールネジ35、36が回転駆動されることで、一対の加工手段15がガイドレール31、33に沿ってY軸方向及びZ軸方向に移動される。
【0020】
一対の加工手段15は、スピンドル41の先端に切削ブレード43を装着して構成される。切削ブレード43はブレードカバー42によって周囲が覆われており、ブレードカバー42には切削部分に向けて切削水を噴射する噴射ノズルが設けられている。また、スピンドル41には撮像手段17が設けられており、撮像手段17の撮像画像に基づいてパッケージ基板W1の分割予定ライン55(図2参照)に対して切削ブレード43がアライメントされる。加工手段15では、複数の噴射ノズルから切削水が噴射され、切削ブレード43によってパッケージ基板W1が分割予定ライン55に沿って切削されることで、個々のパッケージデバイス51に分割される。
【0021】
また、切削装置1には、装置各部を統括制御する制御手段18が設けられている。制御手段18は、各種処理を実行するプロセッサやメモリ等により構成される。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体で構成される。メモリには、切削装置1の各種加工条件だけでなく、パッケージ基板W1に対する切削ブレード43のアライメント用のプログラム、例えば、全ポイントアライメント用のプログラム、2ポイントアライメント用のプログラム、後述する補正処理用のプログラム等が記憶されている。
【0022】
ところで、パッケージ基板W1は、パッケージデバイス51の背面側をモールド樹脂で封止して成形されるため、基板全体が伸縮して分割予定ライン55(図2参照)が位置ズレする場合がある。そこで、本実施の形態に係る切削装置1では、パッケージ基板W1のモールド樹脂の封止時における伸縮分を考慮して、パッケージデバイス51の規格寸法に収まるように分割予定ライン55の位置座標を補正している。以下、図2Aに示すパッケージ基板W1を用いて全ポイントアライメントについて説明し、図3Aに示すパッケージ基板W2を用いて2ポイントアライメントについて説明する。
【0023】
なお、全ポイントアライメントを行う場合には、すべてのインデックスサイズを測長する必要があるので加工位置精度が最適になるが、アライメントに時間を要してしまう。一方、2ポイントアライメントを行う場合には、全ポイントアライメントと比較してアラインメント時間の短縮になるが、加工位置精度が全ポイントと比較して悪くなる。よって、アライメント時間と加工位置精度とを考慮して、どちらのアライメントを適用するかが判断されることが好ましい。
【0024】
図2は、本実施の形態に係る全ポイントアライメントの説明図である。図3は、本実施の形態に係る2ポイントアライメントの説明図である。なお、ここでは、X軸方向の分割予定ラインに対するアライメントについて説明するが、Y軸方向の分割予定ラインに対するアライメントについても同様である。また、図3に示すパッケージ基板においては、説明の便宜上、デバイス形成領域の四隅のアライメントターゲットのみを図示しているが、アライメントターゲットは全ての分割予定ラインの外周部に設けられている。また、図2及び図3は、アライメント処理の一例に過ぎず、この構成に限定されない。
【0025】
先ず、全ポイントアライメントについて説明する。図2Aに示すように、パッケージ基板W1は、上記したように矩形状の複数のパッケージデバイス51が間隔を空けて配置されている。各パッケージデバイス51は、縦方向(Y軸方向)のパッケージ寸法が5.0[mm]、パッケージ寸法許容値が±0[mm]、加工位置許容値が±0.15[mm]に設定されている。パッケージ寸法とは、予め設定されたパッケージデバイス51の設計値である。パッケージ寸法許容値とは、パッケージデバイス51の規格限界値である。加工位置許容値とは、パッケージ性能を維持できる分割予定ライン55の位置座標の補正限界値である。
【0026】
また、本実施の形態に係る分割予定ライン55は、切削ブレード43(図1参照)のブレード幅の設計値に加工位置許容値を持たせた所定幅を有するものである。よって、分割予定ライン55の範囲とは、切削ブレード43によってパッケージ基板W1が切り込まれる場合に、パッケージ性能を維持できる範囲を示している。
【0027】
この場合、パッケージデバイス51の実際のインデックスサイズ(測長結果)がパッケージ寸法に対するパッケージ寸法許容値範囲内であれば、パッケージデバイス51の規格内とされる。パッケージデバイス51の実際のインデックスサイズがパッケージ寸法許容値を超過した場合でも、超過量がパッケージ寸法の加工位置許容値範囲内であれば、パッケージ寸法許容範囲内に収めるように分割予定ライン55の位置座標(加工位置)を補正することが可能である。なお、加工位置許容値内での補正であれば、分割後のパッケージデバイス51のパッケージ性能が低下することがない。
【0028】
全ポイントアライメントでは、撮像手段17(図1参照)によってパッケージ基板W1の外周部分に位置するアライメントターゲット53が撮像されて、分割予定ライン55の位置座標が検出される。この分割予定ライン55の位置座標からパッケージデバイス51の縦寸法となる分割予定ライン55間のインデックスサイズが検出される。パッケージ寸法とインデックスサイズとが比較され、設計値であるパッケージ寸法に対する測長値であるインデックスサイズの超過量が算出される。そして、インデックスサイズの超過量が、規格限界値であるパッケージ寸法許容値範囲内か否かが判断される。
【0029】
インデックスサイズの超過量がパッケージ寸法許容値範囲内の場合には、現状のインデックスサイズ及び分割予定ライン55の位置座標に基づいて切削加工される。一方、インデックスサイズの超過量がパッケージ寸法許容値範囲外の場合には、加工位置許容値の範囲内(分割予定ライン55の範囲内)で分割予定ライン55の位置座標が補正される。これにより、補正後の分割予定ライン55の位置座標がパッケージ寸法許容値範囲内に入り、補正後のインデックスサイズ及び補正後の分割予定ライン55の位置座標に基づいて切削加工される。また、インデックスサイズの超過量が、加工位置許容値ではパッケージ寸法許容値内に入るように補正できない場合には、分割予定ライン55が切削加工されない。
【0030】
例えば、図2Bでは、測長したパッケージデバイス51aのインデックスサイズは4.9[mm]、パッケージデバイス51bのインデックスサイズは5.4[mm]である。パッケージ寸法が5.0[mm]であるため、パッケージ寸法に対してパッケージデバイス51aのインデックスサイズは−0.1[mm]収縮し、パッケージデバイス51bのインデックスサイズは+0.4[mm]伸長している。いずれのパッケージデバイス51a、51bのインデックスサイズの伸縮量も、パッケージ寸法許容値範囲の0[mm]を超えている。したがって、現状のパッケージデバイス51a、51bは共に規格外になっている。
【0031】
図2Cに示すように、パッケージ寸法許容値に対するパッケージデバイス51aのインデックスサイズの収縮量は−0.1[mm]なので、加工位置許容値の±0.15[mm]で補正可能である。この場合、一対の分割予定ライン55a、55bの個々の収縮分は−0.05[mm]である。よって、インデックスサイズの収縮分をキャンセルするように、一対の分割予定ライン55a、55bの位置座標がそれぞれ伸長方向に+0.05[mm]だけ補正される。これにより、分割予定ライン55a、55bの位置座標がパッケージ寸法許容値範囲内に収められ、補正後の分割予定ライン55a、55bに沿って切削加工される。
【0032】
また、パッケージ寸法許容値に対するパッケージデバイス51bのインデックスサイズの伸長量は+0.4[mm]なので、加工位置許容値の±0.15[mm]で補正することができない。この場合、一対の分割予定ライン55c、55dの個々の伸長分は+0.2[mm]である。よって、インデックスサイズの伸長分をキャンセルするように一対の分割予定ライン55c、55dの位置座標をそれぞれ加工位置許容値(−0.075[mm])で収縮方向に補正しても、パッケージ寸法許容値内に収めることができない。よって、パッケージ基板W1の分割工程では、パッケージデバイス51bの分割予定ライン55c、55dを無視して切削加工が行われる。
【0033】
続いて、2ポイントアライメントについて説明する。図3Aに示すように、パッケージ基板W2は、上記したように各デバイス形成領域64において複数のパッケージデバイス61が間隔無く配置されている。各パッケージデバイス61は、縦方向(Y軸方向)のパッケージ寸法が38.0[mm]、パッケージ寸法許容値が±0.2[mm]、加工位置許容値が±1.0[mm]に設定されている。
【0034】
2ポイントアライメントでは、撮像手段17(図1参照)によってデバイス形成領域64の四隅に位置するアライメントターゲット63が撮像されて、デバイス形成領域64の分割予定ライン65の位置座標が検出される。この分割予定ライン65の位置座標からデバイス形成領域64の縦寸法となる分割予定ライン65間のインデックスサイズが検出される。個々のパッケージデバイス61のインデックスサイズは、デバイス形成領域64全体の測長したサイズをパッケージデバイス61の数で等分することで求められる。そして、パッケージ寸法とインデックスサイズとが比較され、インデックスサイズの超過量が、規格限界値であるパッケージ寸法許容値範囲内か否かが判断される。
【0035】
インデックスサイズの超過量がパッケージ寸法許容値範囲内の場合には、現状のインデックスサイズ及び分割予定ライン65の位置座標に基づいて切削加工される。一方、インデックスサイズの超過量がパッケージ寸法許容値範囲外の場合には、加工位置許容値の範囲内(分割予定ライン65の範囲内)で分割予定ライン65の位置座標が補正される。これにより、補正後の分割予定ライン65の位置座標がパッケージ寸法許容値範囲内に入り、補正後のインデックスサイズ及び補正後の分割予定ライン65の位置座標に基づいて切削加工される。また、インデックスサイズの超過量が、加工位置許容値ではパッケージ寸法許容値内に入るように補正できない場合には、分割予定ライン65が切削加工されない。
【0036】
例えば、図3Bでは、デバイス形成領域64のインデックスサイズを等分した各パッケージデバイス61a−61dのインデックスサイズは38.5[mm]である。パッケージ寸法が38.0[mm]であるため、パッケージ寸法に対して各パッケージデバイス61a−61dのインデックスサイズの伸長量はそれぞれ+0.5[mm]である。この各パッケージデバイス61a−61dのインデックスサイズの伸長量は、パッケージ寸法許容値範囲の±0.2[mm]を+0.3[mm]だけ超えている。したがって、現状のパッケージデバイス61a−61dは全て規格外になっている。
【0037】
図3Cに示すように、パッケージ寸法許容値に対する各パッケージデバイス61a−61dのインデックスサイズの伸長量はそれぞれ+0.3[mm]である。各パッケージデバイス61a−61dのインデックスサイズの伸長量は、加工位置許容値の±1.0[mm]で補正可能である。この場合、各パッケージデバイス61a−61dのインデックスサイズの伸長量は、上から3列目の中心の分割予定ライン65cを基準に補正される。すなわち、中心の分割予定ライン65cの位置座標は補正されず、各パッケージデバイス61a−61dのインデックスサイズの伸長量をキャンセルするように、残りの分割予定ライン65a、65b、65d、65eが補正される。
【0038】
上から2列目、4列目の分割予定ライン65b、65dの位置座標は、収縮方向にそれぞれ−0.3[mm]だけ補正される。また、上から1列目、5列目の分割予定ライン65a、65eの位置座標は、上から2列目、4列目の分割予定ライン65b、65dの補正量も考慮して収縮方向に−0.6[mm]だけ補正される。これにより、分割予定ライン65a−65dの位置座標がパッケージ寸法許容値範囲内に収められ、補正後の分割予定ライン65に沿って切削加工される。
【0039】
ここで、図4を参照して、パッケージ基板の分割方法の流れについて説明する。図4は、本実施の形態に係るパッケージ基板の分割方法のフローチャートを示す図である。なお、図4は、パッケージ基板の分割方法の一例を示すものであり、この内容に限定されるものではない。なお、ここでは図2に示すパッケージ基板を分割する場合を例示して説明する。
【0040】
図4に示すように、先ず検出工程が実施される(ステップST01)。検出工程では、撮像手段17(図1参照)によって各分割予定ライン55(図2参照)の位置座標が検出され、各分割予定ライン55間のインデックスサイズが検出される。検出工程が実施された後には判断工程が実施される(ステップST02)。判断工程では、検出工程で検出されたインデックスサイズがパッケージ寸法許容値範囲内か否かが判断される。判断工程において、インデックスサイズがパッケージ寸法許容値範囲内であると判断された場合(ステップST02でYes)、分割工程が実施される(ステップST03)。分割工程では、検出工程で検出された現状のインデックスサイズ及び各分割予定ライン55の位置座標に基づいてパッケージ基板W1が加工手段15(図1参照)によって分割される。
【0041】
判断工程において、インデックスサイズがパッケージ寸法許容値内に無いと判断された場合(ステップST02でNo)、補正工程が実施される(ステップST04)。補正工程では、インデックスサイズがパッケージ寸法許容値範囲内に入るように、分割予定ライン55の範囲内(加工位置許容値の範囲内)で分割予定ライン55の位置座標を補正可能か否かが判断される。補正工程で分割予定ライン55を補正可能な場合(ステップST04でYes)、分割予定ライン55の位置座標が補正される(ステップST05)。そして、補正後の分割予定ライン55の位置座標で分割工程が実施される(ステップST03)。
【0042】
補正工程で分割予定ライン55を補正できない場合(ステップST04でNo)、分割予定ライン55の位置座標が補正されることがなく、この分割予定ライン55に対しては分割工程がキャンセルされる。なお、ステップST02からステップST05までの処理は、全ての分割予定ライン55に対して実施される。また本実施の形態に係るパッケージ基板W1の分割方法では、補正工程を実施する内容を例示して説明したが、この構成に限定されない。パッケージ基板W1の分割方法は、補正工程を備えなくてもよい。すなわち、判断工程においてインデックスサイズがパッケージ許容値範囲内の場合のみ分割予定ライン55に沿って分割するようにして、ステップST04、05を省略してもよい。
【0043】
以上のように、本実施の形態に係るパッケージ基板W1の分割方法は、分割予定ライン55間のインデックスサイズがパッケージ寸法許容値内の場合には、現状の分割予定ライン55の位置座標でパッケージ基板W1が個々のパッケージデバイス51に分割される。分割予定ライン55間のインデックスサイズがパッケージ寸法許容値内に無い場合には、パッケージ性能に影響が無い範囲で分割予定ライン55の位置座標が補正される。そして、補正後の分割予定ライン間のインデックスサイズがパッケージ寸法許容値範囲内に収められて、パッケージ基板W1が個々のパッケージデバイス51に分割される。この場合、パッケージ性能に影響が生じる範囲では分割予定ライン55の位置座標が補正されることがない。よって、パッケージ基板W1の伸縮によって分割予定ライン55が位置ズレした場合でも、分割後のパッケージデバイス51が規格外になることがなく、さらにパッケージ性能が悪化することがない。また、パッケージ基板W2についても同様な効果を得ることが可能である。
【0044】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0045】
例えば、本実施の形態に係るパッケージ基板W1の分割方法では、補正工程においてインデックスサイズがパッケージ寸法許容値範囲内に入るように、分割予定ライン55、65の範囲内(加工位置許容値の範囲内)で分割予定ライン55、65の位置座標を補正可能か否かが判断される構成としたが、この構成に限定されない。判断工程において補正可能か否かが判断されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上説明したように、本発明は、パッケージサイズを寸法許容値内に収めるようにパッケージ基板を個々のパッケージデバイスに分割できるという効果を有し、特にCSP(Chip Size Package)、QFN(Quad Flat Non-leaded Package)等のパッケージ基板の分割方法に有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 切削装置
15 加工手段
17 撮像手段
43 切削ブレード
51、61 パッケージデバイス
53、63 アライメントターゲット
55、65 分割予定ライン
W1、W2 パッケージ基板
図1
図2
図3
図4