(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中空部材を、前記基板に近接する下降位置と、前記下降位置より上方に位置する上昇位置とをとるように昇降させる昇降機構を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の基板液処理装置。
前記基板保持部に保持された前記基板の周囲を囲むカップを更に備え、前記カップは、上部に開放されたカップ開口を有し、前記中空部材は、前記カップの前記カップ開口内を通過可能であることを特徴とする請求項3記載の基板液処理装置。
前記第1のガスが通過する複数の開口が形成された整流板が設けられ、前記整流板は、前記中空部材の周囲に設けられたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の基板液処理装置。
前記第1のガスは、濾過されたクリーンルーム内の空気であり、前記第2のガスは、ドライエアまたは窒素ガスであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載の基板液処理装置。
前記第2ガス供給口には、第2ガス供給源に接続されるとともに流体調整器が介設されたガス供給路が接続されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項記載の基板液処理装置。
前記制御装置は、前記流体調整器を制御して、前記内部空間の圧力を前記内部空間に第1のガスが侵入しない圧力に調整することを特徴とする請求項10記載の基板液処理装置。
前記中空部材の前記底板に、前記基板に対して乾燥促進流体を供給する乾燥促進流体ノズルが設けられていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項記載の基板液処理装置。
基板液処理装置を制御するためのプログラムが記憶された記憶媒体であって、当該記憶媒体に記憶されたプログラムをコンピュータからなる前記基板液処理装置のコントローラで実行することにより、前記コントローラが前記基板液処理装置を制御して請求項13又は14記載の基板液処理方法を実行することを特徴とする記憶媒体。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、
図1〜
図7を参照して、本発明の一実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0016】
図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
【0017】
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚のウエハWを水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
【0018】
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウエハWを保持する基板保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、基板保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウエハWの搬送を行う。
【0019】
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の処理ユニット16とを備える。複数の処理ユニット16は、搬送部15の両側に並べて設けられる。
【0020】
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、ウエハWを保持する基板保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、基板保持機構を用いて受渡部14と処理ユニット16との間でウエハWの搬送を行う。
【0021】
処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送されるウエハWに対して所定の基板処理を行う。
【0022】
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
【0023】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0024】
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウエハWを取り出し、取り出したウエハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウエハWは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって受渡部14から取り出されて、処理ユニット16へ搬入される。
【0025】
処理ユニット16へ搬入されたウエハWは、処理ユニット16によって処理された後、基板搬送装置17によって処理ユニット16から搬出されて、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウエハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
【0026】
次に、
図2〜
図4を参照して処理ユニット16の構成について説明する。
【0027】
図2〜
図4に示すように、処理ユニット(基板液処理装置)16は、半導体ウエハからなる基板(以下、単に「ウエハW」と呼ぶ)を水平姿勢で保持する基板保持部20を有している。基板保持部20は、円板状のベース22とベース22に取り付けられた複数例えば3つのチャック爪24とを有しており、ウエハW周縁部の複数箇所を前記チャック爪24により保持するメカニカルスピンチャックとして形成されている。ベース22には、外部の搬送アームとの間でウエハWの受け渡しを行う際に、ウエハWの下面を支持して持ち上げる図示しないリフトピンを有するプレートが組み込まれている。基板保持部20は、電動モータを有する回転駆動部28によって回転させることができ、これにより、基板保持部20により保持されたウエハWを鉛直方向軸線周りに回転させることができる。また、基板保持部20に保持されたウエハWの上方には、上方空間25が形成されている。
【0028】
基板保持部20の周囲には、基板保持部20に保持されたウエハWを囲繞するように環状のカップ体30が設けられている。カップ体30は、ウエハWから飛散した処理液がウエハWに戻ることを抑制し、処理液を下方に導く。
【0029】
また、カップ体30の下方には排気・排液部31が設けられている。この排気・排液部31は、主にベース22とカップ体30とに囲繞された空間から排出される気体および液体を回収するためのものであり、環状をなしている。また、排気・排液部31の底部には排液管32が接続されている。さらに排気・排液部31の下部には排気管33が接続されており、カップ体30に流れ込んだ気流は、この排気管33を介して例えば図示しない除害設備へ向けて排出される。なお、排気・排液部31は、カップ体30の周方向外側領域34と連通しており、この外側領域34に流れ込んだ気流も、排気・排液部31から処理ユニット16の外部に排出される。
【0030】
カップ体30の上面には、排液誘導ガイド35が固定されている。排液誘導ガイド35は、平面環形状を有しており、ウエハWから飛散した処理液をカップ体30に向けて案内する。また排液誘導ガイド35は、その断面において外側から内側に向けて上方へ持ち上がるように傾斜している。
【0031】
処理ユニット16はさらに、基板保持部20に保持されて回転するウエハWに向けて処理液を吐出(供給)する複数の処理液ノズル(処理液供給部)36を備えている。この処理液ノズル36は、排液誘導ガイド35の上面に固定されており、処理液をウエハWの略半径方向かつ略水平方向に吐出するようになっている。このように、処理液を水平方向に吐出する処理液ノズル36を用いることにより、処理液ノズル36の高さを低くし、ウエハWの上方空間25を狭めることができる。これにより、ウエハWの上方空間25に供給される窒素ガスまたはドライエア(後述)の使用量を削減することができる。
【0032】
なお、
図2〜
図4では1つの処理液ノズル36のみを示しているが、排液誘導ガイド35の周方向に沿って複数の処理液ノズル36が配置されている。このような複数の処理液ノズル36としては、酸性洗浄液(例えばDHF(希フッ酸))を吐出する酸性薬液ノズル、アルカリ性洗浄液(例えばSC−1)を吐出するアルカリ性薬液ノズル、およびリンス液(例えばDIW(純水))を吐出するリンス液ノズルが挙げられる。各処理液ノズル36には、処理液供給源に接続されるとともに開閉弁及び流量調整弁等の流量調整器が介設された処理液供給路を備えた図示しない処理液供給機構から、それぞれの処理液が供給される。
【0033】
なお、処理液ノズル36は、必ずしも排液誘導ガイド35に固定されていなくても良い。例えば、処理液ノズル36は図示しないノズルアームに保持されていてもよい。この場合、駆動機構によりノズルアームを旋回移動させることにより、処理液ノズル36をウエハW上方の処理液供給位置と退避位置との間で移動させるようにしても良い。
【0034】
基板保持部20及びカップ体30の上方には、基板保持部20に保持されたウエハWの周囲を囲む昇降カップ45が設けられている。この昇降カップ45は、全体として環形状を有しており、環状の上板46と、当該上板46の内端から下方に延びる遮蔽板47と、上板46の外端から下方に延びる背面板48とを有している。また、昇降カップ45は、上部に開放されるとともに中空部材60(後述)が通過可能なカップ開口49を有している。
【0035】
昇降カップ45は、図示しない昇降機構によって上下に昇降可能に構成されており、上昇位置(
図2および
図3参照)と下降位置(
図4参照)とを取ることができる。このうち昇降カップ45が下降位置にあるとき、遮蔽板47は処理液ノズル36の前方を覆う。例えば、処理液ノズル36を用いてダミーディスペンスや流量測定等を行う場合に、昇降カップ45を下降位置とする。この場合、処理液ノズル36からの処理液は、遮蔽板47によって遮断される。このため、処理液は、ウエハW側へ供給されることなく遮蔽板47を介してカップ体30に流れ込む。一方、昇降カップ45が上昇位置にあるとき、遮蔽板47は処理液ノズル36の前方から取り除かれる。この場合、処理液ノズル36からの処理液は、ウエハW側へ供給され、ウエハWの液処理が行われる。
【0036】
基板保持部20、カップ体30及び昇降カップ45は、ハウジング40内に収容されている。基板保持部20の上方に位置するハウジング40の天井には、ファンフィルタユニット(FFU)(第1ガス供給装置)50が設けられている。FFU50は、基板保持部20に保持されたウエハWに対して、上方から下方へ向けて、濾過されたクリーンルーム内の空気(第1のガス)のダウンフローを供給するものである。FFU50は、クリーンルーム内の空気を取り入れるためのファン51と、取り入れた空気を濾過するためのフィルタ52、具体的にはULPAフィルタが設けられている。
【0037】
本実施形態において、基板保持部20とFFU50との間に中空部材60が配置されている。この中空部材60は、全体として円筒形状を有しており、水平な円形状をもつ天板61と、天板61と同一の円形状をもつ底板62と、天板61と底板62との間に設けられた円筒状の側板63とを有している。これら天板61と底板62と側板63とによって囲まれた領域には、内部空間64が形成されている。
【0038】
この内部空間64には、当該内部空間64に窒素ガスまたはドライエアを吐出するガス供給口(第2ガス供給口)70が設けられている。このガス供給口70は、例えば側板63に設けられている。ガス供給口70には、ガス供給源71(窒素ガスボンベまたはドライエア生成装置)に接続されるとともに開閉弁及びガスの流量または圧力を調整する調整弁等の流体調整器74が介設されたガス供給路73を備えたガス供給機構72から、窒素ガスまたはドライエアが供給される。なお、ガス供給口70から供給される窒素ガスまたはドライエアは、第2のガスに対応しており、上述した第1のガス(クリーンルーム内の空気)とは異なる種類のガスからなっている。なお、ドライエアは低湿度雰囲気が必要な場合に用いられ、窒素ガスは低湿度及び低酸素濃度雰囲気が必要な場合に用いられる。以下においては、第2のガスとして窒素ガスを用いる場合を例にとって説明するが、窒素ガスに代えてドライエアを用いても良い。
【0039】
中空部材60の天板61には、多数(複数)の開口65が形成されている。各開口65は、FFU50の下方空間57と中空部材60の内部空間64とを互いに連通するものである。この場合、開口65は天板61の略全域にわたって均一な間隔で形成されている。各開口65の直径は例えば1mm〜5mmであり、より具体的には例えば3mmである。
【0040】
一方、中空部材60の底板62には、多数(複数)の開口66が形成されている。各開口66は、ウエハWの上方空間25と中空部材60の内部空間64とを互いに連通するものである。この場合、開口66は底板62の略全域にわたって均一な間隔で形成されている。各開口66の直径は例えば3mm〜7mmであり、より具体的には例えば5mmである。
【0041】
この場合、底板62の開口面積率は、天板61の開口面積率以上であり、より好ましくは底板62の開口面積率は、天板61の開口面積率より大きい。なお、天板61の開口面積率とは、天板61の面積全体に占める複数の開口65の合計面積の割合であり、底板62の開口面積率とは、底板62の面積全体に占める複数の開口66の合計面積の割合である。本実施形態において、底板62の開口66の直径を、天板61の開口65の直径より大きくすることにより、底板62の開口面積率を天板61の開口面積率より大きくしている。しかしながら、これに限らず、例えば単位面積あたりの底板62の開口66の個数を、単位面積あたりの天板61の開口65の個数より多くすることにより、底板62の開口面積率を天板61の開口面積率より大きくしても良い。また、天板61の複数の開口65の形状は全て互いに同一であるが、これに限らず、一部の開口65の形状を他のものと異ならせても良い。同様に、底板62の複数の開口66の形状は全て互いに同一であるが、これに限らず、一部の開口66の形状を他のものと異ならせても良い。なお、中空部材60の側板63には、このような開口は形成されていない。
【0042】
上述したように、内部空間64には、当該内部空間64に窒素ガスを吐出するガス供給口(第2ガス供給口)70が設けられている。このガス供給口70から吐出された気体は内部空間64内で拡散した後に、底板62の開口66を通って下方に向けて吐出される。
【0043】
また上述したように、中空部材60の底板62の開口面積率は、天板61の開口面積率以上となっている。さらに、FFU50の下方空間57において、FFU50からの清浄エアが下降流を形成している。このため、ガス供給口70から内部空間64へ吐出された窒素ガスは、主に天板61の開口65よりも圧力損失の小さい底板62の開口66を通って下方に向けて吐出される。これに対して、天板61の開口65は底板62の開口65よりも圧力損失が大きいため、ガス供給口70から吐出された窒素ガスのうち、開口65を通って上方へ流れる量はわずかである。
【0044】
ところで、中空部材60は、昇降機構68によって上下に昇降可能に構成されており、下降位置(
図3参照)と、下降位置より上方の上昇位置(
図2および
図4参照)とを取ることができる。そして中空部材60が下降位置にあるとき、中空部材60の底板62がウエハWに近接する。具体的には、底板62とウエハWとの距離は、例えば100mm以下程度まで狭められる。このため、ウエハWの上方空間25の容積が小さくなり、ハウジング40から上方空間25に供給すべき高価な窒素ガス(または製造に多くの用力が必要でかつ製造コストの高いドライエア)等の低湿度ガスの使用量を削減することができる。
【0045】
さらに、中空部材60は昇降カップ45のカップ開口49内を通過可能となっている。したがって、中空部材60が下降位置にあるとき(
図3参照)、中空部材60の周囲が昇降カップ45によって覆われる。これにより、ウエハWの上方空間25に供給された窒素ガスが、上方空間25から中空部材60の周囲に逃げにくくなっている。この結果、窒素ガスの使用量を更に削減することができる。
【0046】
一方、中空部材60が上昇位置にあるとき(
図2および
図4参照)、ウエハWの上方空間25の容積が拡げられる。このため、ウエハWを処理ユニット16に受け渡しする作業が中空部材60によって妨げられるおそれがない。
【0047】
さらに、中空部材60の底板62の中央部に、乾燥促進流体ノズル67が設けられている。乾燥促進流体ノズル67は、ウエハWに対して乾燥促進液(例えばIPA(イソプロピルアルコール))等の乾燥促進流体を供給するノズルである。この乾燥促進流体ノズル67には、乾燥促進液供給源に接続されるとともに開閉弁及び流量調整弁等の流量調整器が介設された乾燥促進液供給路を備えた図示しない乾燥促進液供給機構から、乾燥促進液が供給される。このように、中空部材60の底板62に乾燥促進流体ノズル67を設けたことにより、乾燥処理を行う際、乾燥促進流体ノズル67をウエハWに接近させた状態で乾燥促進液を吐出することができる。
【0048】
ところで、ハウジング40の天井の下方であって、中空部材60の周囲には、多数の開口56が形成された整流板55が設けられている。整流板55は、FFU50から下方に吹き出された清浄エア(CA)が、ウエハW上に流れるように整流する。また、整流板55の略中央部には、内部に中空部材60が配置される貫通孔58が形成されている。この貫通孔58は、中空部材60の形状に対応する円形状を有している。このように整流板55に貫通孔58を設けたことにより、中空部材60が昇降する際に、中空部材60が貫通孔58内部を通過可能となっている。また、中空部材60が下降位置と上昇位置とのいずれをとった場合であっても、FFU50からの清浄エアは整流板55の開口56から下方へ向けて供給可能となっている。
【0049】
この場合、整流板55の開口面積率は、天板61の開口面積率と等しい。具体的には、整流板55の開口面積率は例えば10%〜20%である。なお、整流板55の開口面積率とは、整流板55の面積全体(貫通孔58を除く面積)に占める複数の開口56の合計面積の割合である。例えば、整流板55の開口56の直径および間隔を、天板61の開口65の直径および間隔と同一にすることにより、整流板55の開口面積率を天板61の開口面積率と同一にしても良い。なお、中空部材60が下降位置にある場合(
図3参照)、整流板55と中空部材60の天板61とは、略同一平面上に位置する。
【0050】
ガス供給口70から内部空間64へ窒素ガスを供給しない場合(
図2および
図4参照)、FFU50から下方に吹き出された清浄エアは、整流板55の開口56、天板61の開口65および底板62の開口66をそれぞれ通過して、ウエハWの上方空間25へ流れる。この場合、上述したように、整流板55および天板61の開口面積率を互いに等しくし、底板62の開口面積率を天板61の開口面積率以上としているので、清浄エアの下降流は、底板62の影響を受けることなく、ハウジング40の内部空間に対して面内略均等に供給される。
【0051】
なお、処理ユニット16は、上述した制御装置4(
図1参照)によってその全体の動作を統括制御される。制御装置4は、処理ユニット16の全ての機能部品(例えば、回転駆動部28、昇降カップ45の図示しない昇降機構及び中空部材60の昇降機構68、図示しない処理液供給機構、FFU50、流体調整器74、図示しないガス供給機構等)の動作を制御する。
【0052】
次に、上記制御装置4の制御の下で行われる処理ユニット16の動作について説明する。
【0053】
[酸性薬液洗浄処理]
まず、図示しない昇降機構により昇降カップ45を上昇位置に保持し、昇降機構68により中空部材60を上昇位置に保持する(
図2参照)。次に、ウエハWが基板保持部20により保持され、回転駆動部28によりウエハWが回転する。この回転するウエハWには、処理液として、酸性薬液ノズル(処理液ノズル36)から酸性薬液例えばDHFが供給され、ウエハWに酸性薬液洗浄処理が施される。酸性薬液は遠心力によりウエハWから振り切られ、カップ体30に受け止められる。このとき、酸性薬液はカップ体30から排気・排液部31を介して処理ユニット16の外部へ排出される。
【0054】
このときFFU50のファン51が回転している。従って、整流板55の開口56および底板62の開口66から清浄エアが下方のウエハWに向かって流れている。すなわち、ハウジング40の内部空間の整流板55および中空部材60の下方には、清浄エアのダウンフローが形成されている。より詳細には、
図5に示すように、整流板55の開口56および底板62の開口66を通過した清浄エアは、ウエハWの上方空間25からカップ体30を介して排気・排液部31に流入する。また一部の清浄エアは、カップ体30の外側の外側領域34を通過して、排気・排液部31に流入する。その後、清浄エアは、排気・排液部31から処理ユニット16の外部へ排出される。上述したように、整流板55および天板61の開口面積率が互いに等しく、底板62の開口面積率が天板61の開口面積率以上であることにより、清浄エアの下降流は、ハウジング40の内部空間に対して面内略均等に供給される。なお、このとき、ガス供給口70からの窒素ガスの吐出は停止している。
【0055】
このように、ウエハWの上方の上方空間25に存在するガス(この場合ダウンフローを形成する清浄エア)が、処理ユニット16の外部へ排出される。これにより、ウエハWの上方空間25に酸性薬液ミスト(微小液滴)を含む酸性薬液雰囲気(処理液雰囲気)が存在していても、このような酸性薬液雰囲気が上方空間25に滞留することはない。このため、滞留した処理液雰囲気が次工程に影響を与えること及びハウジング内壁を汚染することが防止されるか、或いは最小限に抑制される。
【0056】
ここでは、酸性薬液としてDHFを用いる場合を例にとって説明したが、別の酸性薬液であってもよい。このような酸性薬液としては、例えばSC−2、SPMが挙げられる。また酸性薬液ではなく、アルカリ性薬液であってもよい。
【0057】
[リンス処理]
次に、ウエハWの回転を継続したまま、上記酸性薬液ノズル(処理液ノズル36)からの酸性薬液の吐出を停止し、代わりに、リンス液ノズル(別の処理液ノズル36)から、処理液として、リンス液例えばDIWをウエハWに供給する。これによりウエハW上に残留する酸性薬液及び残渣が洗い流される。このリンス処理は、上記の点のみが酸性薬液洗浄処理と異なり、その他の点(ガス、処理液等の流れ)は酸性薬液洗浄処理と略同じである。
【0058】
[乾燥処理]
次に、昇降機構68により、中空部材60を下降位置に移動する。一方、昇降カップ45は上昇位置にそのまま保持される(
図3参照)。次に、ウエハWの回転を継続したまま、リンス液ノズル(処理液ノズル36)からのリンス液の吐出を停止する。その後直ちに、ガス供給口70から窒素ガスが中空部材60の内部空間64に向けて吐出される。なお、FFU50からは引き続き清浄エアが供給される。
【0059】
次いで、処理液として、中空部材60の乾燥促進流体ノズル67から所定時間だけ乾燥促進液例えばIPAがウエハWに供給され、その後乾燥促進流体ノズル67からの乾燥促進液の供給が停止され、ウエハWの回転が所定時間継続される。これにより、ウエハW上に残留していたDIWがIPA中に取り込まれ、このIPAがウエハW上から振り切られるとともに蒸発し、ウエハWの乾燥が行われる。
【0060】
乾燥処理が行われているときには、FFU50からは下方空間57に向けて引き続き清浄エアが供給されている。また、ガス供給口70から中空部材60の内部空間64へ向けて、窒素ガスが吐出されている。この場合、流体調整器74を制御することにより、中空部材60の内部空間64の圧力を、当該内部空間64に清浄エアが侵入しない圧力に調整することが好ましい。このため、
図6に示すように、FFU50からの清浄エアは、主に圧力損失の小さい整流板55の開口56を通って下方に向けて吐出される(
図6の実線参照)。これに対して、天板61の開口65は圧力損失が大きいので、FFU50からの清浄エアのうち、天板61の開口65を通って中空部材60の内部空間64へ流れる量はわずかである。この清浄エアのダウンフローは、主にカップ体30の外側の外側領域34を通過して、排気・排液部31に流入する。その後、清浄エアは、排気・排液部31から処理ユニット16の外部へ排出される。
【0061】
一方、
図6に示すように、ガス供給口70から内部空間64へ吐出された窒素ガスは、底板62の開口66を通って下方に流れる(
図6の破線参照)。すなわち、底板62の開口面積率が天板61の開口面積率以上となっているので、ガス供給口70からの窒素ガスは、主に圧力損失の小さい底板62の開口66を通って下方に向けて吐出される。底板62の開口66から吐出された窒素ガスは、主にカップ体30を介して排気・排液部31に流入する。その後、窒素ガスは、排気・排液部31から処理ユニット16の外部へ排出される。このように、低湿度かつ低酸素濃度の窒素ガスが下方のウエハWに向かって流れることにより、ウエハWの上方空間25を低湿度雰囲気することができる。
【0062】
この場合、中空部材60が下降位置にあり、底板62がウエハWに近接している。このため、ウエハWの上方空間25の容積が小さくなり、ガス供給口70から上方空間25に供給される窒素ガスの使用量を削減することができる。
【0063】
乾燥処理が終了したら、ガス供給口70からの窒素ガスの吐出が停止される。このとき、FFU50からは下方空間57に向けて引き続き清浄エアが供給されている。次いで、昇降機構68により、中空部材60を上昇位置に移動するとともに、図示しない昇降機構により昇降カップ45を下降位置に移動する(
図4参照)。この状態で、処理済みのウエハWが図示しない搬送アームによりハウジング40外に搬出され、次いで、次に処理されるウエハWが図示しない搬送アームによりハウジング40内に搬入され、基板保持部20により保持される。
【0064】
このように、ウエハWの搬出入時には、ハウジング40内にFFU50から供給された清浄エアのダウンフローが形成され、カップ排気及びハウジング排気が行われる。すなわち、
図7に示すように、整流板55の開口56および底板62の開口66を通過した清浄エアは、ウエハWの上方空間25からカップ体30を介して排気・排液部31に流入する。また一部の清浄エアは、カップ体30の外側の外側領域34を通過して、排気・排液部31に流入する。その後、清浄エアは、排気・排液部31から処理ユニット16の外部へ排出される。
【0065】
以上に説明したように、本実施の形態によれば、中空部材60の内部空間64に向けて窒素ガスを供給するガス供給口70が設けられ、中空部材60の底板62の開口面積率は、中空部材60の天板61の開口面積率以上である。これにより、FFU50からの清浄エアを供給するとともに、中空部材60の底板62からウエハWの上方空間25へ向けて窒素ガスを供給することができる。また、ガス供給口70からの窒素ガスの供給を停止した場合には、FFU50からの清浄エアを中空部材60の底板62からウエハWの上方空間25へ向けて供給することができる。さらに、このような中空部材60を用いることにより、底板62をウエハWに近接させることでき、これによりウエハWの上方空間25の容積を狭め、ガス供給口70から供給される窒素ガスの量を削減することができる。