(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
処理液供給時には前記気流阻害部材を遮蔽位置に移動させ、処理液供給した後であって前記基板を乾燥させる乾燥時には前記気流阻害部材を退避位置に移動させるように前記駆動機構を制御する制御装置を更に備えたことを特徴とする請求項3記載の基板液処理装置。
基板液処理装置を制御するためのプログラムが記憶された記憶媒体であって、当該記憶媒体に記憶されたプログラムをコンピュータからなる前記基板液処理装置の制御装置で実行することにより、前記制御装置が前記基板液処理装置を制御して請求項9又は10記載の基板液処理方法を実行することを特徴とする記憶媒体。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、
図1〜
図7を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0017】
図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
【0018】
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚のウエハWを水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
【0019】
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウエハWを保持する基板保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、基板保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウエハWの搬送を行う。
【0020】
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の処理ユニット16とを備える。複数の処理ユニット16は、搬送部15の両側に並べて設けられる。
【0021】
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、ウエハWを保持する基板保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、基板保持機構を用いて受渡部14と処理ユニット16との間でウエハWの搬送を行う。
【0022】
処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送されるウエハWに対して所定の基板処理を行う。
【0023】
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
【0024】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0025】
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウエハWを取り出し、取り出したウエハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウエハWは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって受渡部14から取り出されて、処理ユニット16へ搬入される。
【0026】
処理ユニット16へ搬入されたウエハWは、処理ユニット16によって処理された後、基板搬送装置17によって処理ユニット16から搬出されて、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウエハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
【0027】
第1の実施形態
次に、
図2および
図3を参照して本発明の第1の実施形態による処理ユニット(基板液処理装置)の構成について説明する。
図2および
図3は本実施形態による処理ユニット(基板液処理装置)を示す図である。
【0028】
図2および
図3に示すように、処理ユニット(基板液処理装置)16は、半導体ウエハからなる基板(以下、単に「ウエハW」と呼ぶ)を水平姿勢で保持する基板保持部20を有している。基板保持部20は、円板状のベース22とベース22に取り付けられた複数例えば3つのチャック爪24とを有しており、ウエハW周縁部の複数箇所を前記チャック爪24により保持するメカニカルスピンチャックとして形成されている。ベース22には、外部の搬送アームとの間でウエハWの受け渡しを行う際に、ウエハWの下面を支持して持ち上げる図示しないリフトピンを有するプレートが組み込まれている。基板保持部20は、電動モータを有する回転駆動部28によって回転させることができ、これにより、基板保持部20により保持されたウエハWを鉛直方向軸線周りに回転させることができる。また、基板保持部20に保持されたウエハWの上方には、上方空間25が形成されている。
【0029】
基板保持部20の周囲には、基板保持部20に保持されたウエハWを囲繞するように環状のカップ体30が設けられている。カップ体30は、ウエハWから飛散した処理液がウエハWに戻ることを抑制し、処理液を下方に導く。
【0030】
また、カップ体30の下方には排気・排液部31が設けられている。この排気・排液部31は、主にベース22とカップ体30とに囲繞された空間から排出される気体および液体を回収するためのものであり、環状をなしている。また、排気・排液部31の底部には排液管32が接続されている。さらに排気・排液部31の下部には排気管33が接続されており、カップ体30に流れ込んだ気流は、この排気管33を介して例えば図示しない除害設備へ向けて排出される。
【0031】
カップ体30の内側には、排液誘導ガイド35が配設されている。排液誘導ガイド35は、平面環形状を有しており、ウエハWから飛散した処理液を排気・排液部31に向けて案内する。また排液誘導ガイド35の上面は、その断面が外側から内側に向けて上方へ持ち上がるように傾斜している。
【0032】
基板液処理装置はさらに、基板保持部20に保持されて回転するウエハWに向けて処理液を吐出(供給)する複数の処理液ノズル(処理液供給部)を備えている。本例では、酸性洗浄液(例えばDHF(希フッ酸))を吐出する酸性薬液ノズル36と、アルカリ性洗浄液(例えばSC−1)を吐出するアルカリ性薬液ノズル37と、リンス液(例えばDIW(純水))を吐出するリンス液ノズル38とが設けられている。また乾燥促進液(例えばIPA(イソプロピルアルコール))を供給する乾燥促進液ノズル39が設けられている。各ノズルには、処理液供給源41に接続されるとともに開閉弁及び流量調整弁等の流量調整器が介設された処理液供給路42を備えた処理液供給機構40から、それぞれの処理液が供給される。
【0033】
図3に示すように、処理液供給ノズル36〜39はノズルアーム45に保持されており、図示しない駆動機構によりノズルアーム45を移動させることにより、処理液供給ノズル36〜39をウエハWの上方の処理液供給位置(
図3の実線参照)と退避位置(
図3の仮想線参照)との間で移動し、処理液供給ノズル36〜39からウエハWの表面に処理液が供給されるようになっている。ノズルアーム45は、基板保持部20の外方において鉛直方向に延びる回動軸46に連結されており、ノズルアーム45はこの回動軸46を中心に、処理液供給位置と退避位置との間で移動可能となっている。
【0034】
本実施形態において、基板保持部20の上方には、基板保持部20に保持されたウエハWの周縁の一部を覆う気流阻害部材70が設けられている。この気流阻害部材70は、断面L字形状を有しており、平面長方形状の上面板71と、この上面板71から下方に向けて垂直に延びる壁面板72とを有している。このうち上面板71は、後述するようにFFU50からウエハWに向かう気流を阻害する役割を果たす。一方、壁面板72は、上面板71のうち径方向外側の位置に設けられており、FFU50からの気流をウエハWの表面で一時的に滞留させる役割を果たす。この場合、壁面板72の下端は、排液誘導ガイド35の上面と略同一の高さとなるように配置されており、気流阻害部材70の上方を通過した清浄エアがカップ体30から排気・排液部31に流入しやすくなっている。
【0035】
気流阻害部材70は、例えばウエハWの全面積のうち10%〜50%程度を覆うことが好ましい。これにより、FFU50からウエハWに向かうダウンフローを阻害することができる一方、ウエハWの表面に生じる旋回流を気流阻害部材70に覆われていない部分から逃がしやすくすることができる。
【0036】
図3に示すように、気流阻害部材70の上面板71は回動アーム75に保持されており、駆動機構78により回動アーム75を移動させることにより、基板保持部20の外方に設けられた鉛直方向に延びる回動軸76を中心に回動可能となっている。これにより、気流阻害部材70は、ウエハWの周縁の一部を覆う遮蔽位置(
図3の実線参照)と、ウエハWから離れたウエハWを覆わない退避位置(
図3の仮想線参照)との間で移動可能となっている。
【0037】
基板保持部20、カップ体30及び気流阻害部材70は、ハウジング60内に収容されている。基板保持部20の上方に位置するハウジング60の天井には、ファンフィルタユニット(FFU)(ガス供給装置)50が設けられている。FFU50は、基板保持部20に保持されたウエハWに対して、上方から下方へ向けて、濾過されたクリーンルーム内の空気(第1のガス)のダウンフローを供給するものである。
【0038】
ハウジング60の下部(この場合、ハウジング60の底面の1つのコーナー部)であってカップ体30の外部には、ハウジング60内の雰囲気を排気するためのハウジング排気口61が設けられている。ハウジング排気口61には、ハウジング排気路62が接続されている。
【0039】
なお、処理ユニット16は、上述した制御装置4(
図1参照)によってその全体の動作を統括制御される。制御装置4は、処理ユニット16の全ての機能部品(例えば、回転駆動部28、気流阻害部材70の駆動機構78、図示しない処理液供給機構、FFU50等)の動作を制御する。
【0040】
次に、上記制御装置4の制御の下で行われる処理ユニット16の動作について説明する。
【0041】
[酸性薬液洗浄処理]
まず、ウエハWが基板保持部20により保持され、回転駆動部28によりウエハWが回転する。次に、駆動機構78により、気流阻害部材70を移動させ、遮蔽位置に保持する(
図3の実線参照)。次に、回転するウエハWには、処理液として、酸性薬液ノズル36から酸性薬液例えばDHFが供給され、ウエハWに酸性薬液洗浄処理が施される。酸性薬液は遠心力によりウエハWから振り切られ、カップ体30に受け止められる。このとき、酸性薬液はカップ体30から排気・排液部31を介して処理ユニット16の外部へ排出される。
【0042】
このとき、FFU50から清浄エアが下方のウエハWに向かって流れている。すなわち、ハウジング60の内部空間のFFU50の下方には、清浄エアのダウンフローが形成されている。
【0043】
この際、気流阻害部材70が基板保持部20に保持されたウエハWの周縁の一部を覆っている。このため、
図2に示すように、FFU50からの清浄エアの一部は、ウエハWの上方空間25から気流阻害部材70の上方を通過して、カップ体30を介して排気・排液部31に流入し、排気・排液部31から処理ユニット16の外部へ排出される(矢印F
1)。また、清浄エアの一部は、気流阻害部材70の上方を通過した後、ハウジング排気口61に流入し、ハウジング排気路62から処理ユニット16の外部へ排出される(矢印F
2)。このように、気流阻害部材70が、基板保持部20に保持されたウエハWの周縁の一部を覆うことにより、FFU50からの清浄エアの気流が遮られ、ウエハWの表面に達する清浄エアの量を減らしている。これにより、ウエハW上を流れる処理液が、清浄エアのダウンフローによってウエハWの外周部へいくほど冷却される不具合を抑制することができる。
【0044】
一方、気流阻害部材70の下方に進入した清浄エアは、気流阻害部材70の壁面板72によってその進行を妨げられる。また、FFU50からの気流がウエハWの回転に伴ってウエハWの表面で旋回した際、この旋回流は、壁面板72によって堰き止められる。これにより、FFU50からの清浄エアは、気流阻害部材70の下方で一時的に滞留する(矢印F
3)。このように、清浄エアがウエハWの上方空間25で滞留することにより、ウエハW上を流れる処理液が、清浄エアのダウンフローによってウエハWの外周部へいくほど冷却される不具合を抑制することができる。この結果、ウエハWの中心部とウエハWの外周部とでウエハW及び処理液に生じる温度差を低減することができる。
【0045】
気流阻害部材70の下方で一時的に滞留した清浄エアは、ウエハWの回転に伴って気流阻害部材70に覆われていない部分から流出する(矢印F
4)。この清浄エアは、カップ体30、排気・排液部31及び排気管33を介して処理ユニット16の外部へ排出される。このため、ウエハWの上方空間25に酸性薬液ミスト(微小液滴)を含む酸性薬液雰囲気(処理液雰囲気)が存在していても、このような酸性薬液雰囲気が上方空間25に長時間滞留することはない。このため、滞留した処理液雰囲気が次工程に影響を与えること及びハウジング内壁を汚染することが防止されるか、或いは最小限に抑制される。
【0046】
また、とりわけ高温の処理液を用いる場合、気流阻害部材70がウエハWの周縁の一部を覆うことによりウエハWが保温されるので、処理液の熱がウエハWの上方空間25に逃げることが防止される。このことによっても、ウエハWの中心部とウエハWの外周部とでウエハW及び処理液に温度差が生じることを抑制することができる。
【0047】
ハウジング60の内部空間のカップ体30の周辺の空間に存在するガスは、ハウジング排気口61から排出され、ハウジング排気路62を通って処理ユニット16の外部へ排出される。従って、カップ体30周辺の空間に酸性薬液蒸気または酸性薬液ミストを含む酸性薬液雰囲気が存在していても、このような酸性薬液雰囲気は、カップ体30の周辺の空間に滞留することはない。このため、滞留した処理液雰囲気が次工程に影響を与えること及びハウジング60の内壁を汚染することが防止または大幅に抑制される。
【0048】
ここでは、酸性薬液としてDHFを用いる場合を例にとって説明したが、別の酸性薬液であってもよい。このような酸性薬液としては、例えばSC−2、SPMが挙げられる。また酸性薬液ではなく、アルカリ性薬液であってもよい。
【0049】
[リンス処理]
次に、ウエハWの回転を継続したまま、上記酸性薬液ノズル36からの酸性薬液の吐出を停止し、代わりに、リンス液ノズル38から、処理液として、リンス液例えばDIWをウエハWに供給する。これによりウエハW上に残留する酸性薬液及び残渣が洗い流される。この間、駆動機構78により、気流阻害部材70は退避位置に移動される(
図3の仮想線参照)。このリンス処理は、上記の点のみが酸性薬液洗浄処理と異なり、その他の点は酸性薬液洗浄処理と略同じである。
【0050】
[乾燥処理]
次に、ウエハWの回転を継続したまま、リンス液ノズル38からのリンス液の吐出を停止する。なお、FFU50からは引き続き清浄エアが供給される。また、この間、気流阻害部材70は退避位置に保持される。
【0051】
次いで、処理液として、乾燥促進液ノズル39から所定時間だけ乾燥促進液例えばIPAがウエハWに供給され、その後乾燥促進液ノズル39からの乾燥促進液の供給が停止され、ウエハWの回転が所定時間継続される。これにより、ウエハW上に残留していたDIWがIPA中に取り込まれ、このIPAがウエハW上から振り切られるとともに蒸発し、ウエハWの乾燥が行われる。
【0052】
乾燥処理が終了したら、処理済みのウエハWが図示しない搬送アームによりハウジング60外に搬出され、次いで、次に処理されるウエハWが図示しない搬送アームによりハウジング60内に搬入され、基板保持部20により保持される。このとき、FFU50からは下方空間に向けて引き続き清浄エアが供給されている。
【0053】
以上説明したように、本実施形態によれば、気流阻害部材70がFFU50からの清浄エアの気流を遮ることにより、FFU50からウエハWの表面に達する清浄エアの量を減らすことができる。また、気流阻害部材70の下方に進入した清浄エアは、気流阻害部材70の壁面板72によってその進行を妨げられ、気流阻害部材70の下方で一時的に滞留する。さらに、気流阻害部材70がウエハWの周縁の一部を覆うことにより、ウエハWが保温される。これにより、ウエハW上を流れる処理液が、清浄エアのダウンフローによってウエハWの外周部へいくほど冷却される不具合を抑制することができ、ウエハW及び処理液の温度の面内均一性を高めることができる。
【0054】
このように、ウエハWの中心部とウエハWの外周部との間で生じるウエハW及び処理液の温度差を低減することにより、ウエハW上の膜のエッチングレートを均一にすることができるとともに、エッチング工程後のポリマー残渣の除去を均一にすることができる。また、オーバーエッジや処理時間の増加、処理液消費量が増加する等の不具合を防止することができる。
【0055】
変形例
以下、本実施形態の各種変形例について説明する。
【0056】
上記実施形態では、
図2に示すように、気流阻害部材70が断面L字形状を有し、壁面板72が上面板71のうち径方向外側の位置に設けられている場合を例にとって説明した。しかしながら、これに限らず、気流阻害部材70の断面形状は
図4(a)〜(d)に示す各種形状であっても良い。なお、
図4(a)〜(d)において、気流阻害部材70は遮蔽位置にあり、図の左右方向が径方向に対応する。
【0057】
図4(a)に示すように、気流阻害部材70が断面L字形状を有し、壁面板72が上面板71のうち径方向内側の位置に設けられていても良い。また、
図4(b)に示すように、気流阻害部材70が断面T字形状を有し、壁面板72が上面板71の径方向略中央に設けられていても良い。
【0058】
あるいは、壁面板72が複数設けられていても良い。例えば、
図4(c)(d)に示すように、壁面板72が上面板71の径方向外側および径方向内側の両方に設けられていても良い。この場合、2つの壁面板72の高さが同一であっても良く(
図4(c))、互いに異なっていても良い(
図4(d))。
【0059】
また、上記実施形態では、気流阻害部材70の上面板71が平面長方形状を有しているが、これに限らず、例えば平面から見てウエハWの周縁に沿って湾曲した弧形状を有していても良い。この場合、気流阻害部材70の下方に進入した清浄エアの進行を妨げる効果をより高めることができる。
【0060】
さらに、
図5に示すように、ウエハWの回転方向下流側の位置に、上面板71の下面から下方に延びるブロック板77を設けても良い。この場合、FFU50からの気流がウエハWの回転に伴ってウエハWの表面で旋回した際、この旋回流を当該ブロック板77によってより確実に堰き止めることができる。これにより、FFU50からの清浄エアを気流阻害部材70の下方で一時的に滞留させる効果をより高めることができる。なお、
図5において、壁面板72が上面板71の径方向外側の位置に設けられるとともに、ブロック板77が上面板71のウエハWの回転方向下流側の位置に設けられているが、これに限らず、壁面板72を設けることなく、上面板71にブロック板77のみを設けても良い。
【0061】
第2の実施形態
次に、
図6および
図7を参照して本発明の第2の実施形態による処理ユニット(基板液処理装置)の構成について説明する。
図6および
図7に示す第2の実施形態は、気流阻害部材70に代えて気流誘導部材80を設けた点が異なるものであり、他の構成は上述した第1の実施形態と略同一である。
図6および
図7において、第1の実施形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0062】
図6および
図7において、ハウジング60の内部空間において基板保持部20の外部に気流誘導部材80が配置されている。この気流誘導部材80は、ウエハWの上方空間25の雰囲気をハウジング排気口61に向けて誘導するものであり、ウエハWの上方空間25に配置される上面板81と、上面板81から下方に延びる軸部材82とを有している。
【0063】
このうち上面板81は、例えば長方形状の板状部材からなり、カップ体30の上方からFFU50の下方にわたって上下に延びている。この場合、上面板81の表面は、水平面に対して垂直に位置している。また軸部材82は、鉛直方向に延びる棒状の部材からなっており、その下端はハウジング排気口61近傍に位置している。
【0064】
上面板81は、駆動機構83により軸部材82を旋回させることにより、軸部材82を中心に回動する。これにより、気流誘導部材80は、FFU50からの清浄エアの気流をハウジング排気路62に向けて誘導する誘導位置(
図7の実線参照)と、ウエハWの上方空間25から離れた退避位置(
図7の仮想線参照)との間で移動可能となっている。
【0065】
図7に示すように、気流誘導部材80は、誘導位置において、平面から見てハウジング排気口61に対してウエハWの回転方向下流側の位置に設けられている。すなわち、ウエハWが平面から見て時計回り方向に回転する場合、気流誘導部材80は、ハウジング排気口61に対して時計回り方向に位置する。ウエハWが回転することによってウエハWの上方空間25に発生した旋回流は、ウエハWの回転方向下流側の位置に設けられた気流誘導部材80によってその旋回を遮られるようになっている。
【0066】
平面から見た場合における気流誘導部材80の長さは問わないが、誘導位置において、気流誘導部材80の先端(軸部材82から遠い側の端部)がカップ体30の縁部上方に位置することが好ましい。この場合、カップ体30の縁部の上方の雰囲気をハウジング排気口61に向けて効果的に誘導することができ、かつウエハWにミスト等が落下することを防止することができる。なお、気流誘導部材80は、1つに限らず、複数設けられていても良い。
【0067】
次に、本実施形態による処理ユニット16の動作について、主として第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0068】
[酸性薬液洗浄処理]
まず、駆動機構83により、気流誘導部材80を移動させ、誘導位置に保持する(
図7の実線参照)。次に、回転するウエハWに、処理液として、酸性薬液ノズル36から酸性薬液例えばDHFが供給され、ウエハWに酸性薬液洗浄処理が施される。このとき、FFU50から清浄エアが下方のウエハWに向かって流れている。
【0069】
酸性薬液洗浄処理を行っている間、ウエハWが回転することに伴い、酸性薬液蒸気または酸性薬液ミストを含む酸性薬液雰囲気を含むガスがウエハWの上方空間25を旋回する。このようにして発生した旋回流は、気流誘導部材80によってその旋回を妨げられて、ウエハWの周方向外側に向けて誘導される(矢印F
5)。気流誘導部材80によってウエハWの周方向外側に誘導されたガスは、下方に向けて誘導され、軸部材82の下端近傍に位置するハウジング排気口61に吸引されて、ハウジング排気路62を通って処理ユニット16の外部へ排出される。このように、ウエハWの上方空間25に滞留するガスが速やかに排出されることにより、酸性薬液雰囲気が次工程に影響を与えること及びハウジング内壁を汚染することが防止または大幅に抑制される。
【0070】
ここでは、酸性薬液としてDHFを用いる場合を例にとって説明したが、別の酸性薬液であってもよい。このような酸性薬液としては、例えばSC−2、SPMが挙げられる。また酸性薬液ではなく、アルカリ性薬液であってもよい。
【0071】
[リンス処理]
次に、ウエハWの回転を継続したまま、上記酸性薬液ノズル36からの酸性薬液の吐出を停止し、代わりに、リンス液ノズル38から、処理液として、リンス液例えばDIWをウエハWに供給する。この間、気流誘導部材80は誘導位置に保持される(
図7の実線参照)。このリンス処理は、上記の点のみが酸性薬液洗浄処理と異なり、その他の点は酸性薬液洗浄処理と略同じである。
【0072】
[乾燥処理]
次に、ウエハWの回転を継続したまま、リンス液ノズル38からのリンス液の吐出を停止する。続いて、駆動機構83により、気流誘導部材80を誘導位置から退避位置に移動する(
図7の仮想線参照)。なお、FFU50からは引き続き清浄エアが供給される。次いで、処理液として、乾燥促進液ノズル39から乾燥促進液がウエハWに供給され、その後乾燥促進液の供給が停止され、ウエハWの回転を所定時間継続することにより、ウエハWの乾燥が行われる。
【0073】
以上説明したように、本実施形態によれば、気流誘導部材80により、ウエハWの上方空間25の雰囲気をハウジング排気口61に向けて誘導する。これにより、ウエハWの上方空間25に滞留する薬液雰囲気を含むガスが速やかに排出され、当該薬液雰囲気がFFU50からの清浄エアによって置換される。この結果、ウエハWの上方空間25に薬液雰囲気を含むガスが残存することに起因してウエハWの表面にパーティクルが発生する不具合を抑制することができる。
【0074】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。例えば、上述した第1の実施形態と第2の実施形態とを組合せ、処理ユニット16のハウジング60の内部に、気流阻害部材70と気流誘導部材80とを両方とも設けても良い。