(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吸収性物品が着用された着用状態で、前記第2領域の肌対向面と前記第3領域の非肌対向面とが接合されていない第2非接合部を備える、請求項1に記載の吸収性物品。
前記第3非接合部よりも前記前後方向の両外側には、前記第3領域と前記非肌面シートが接合された第4接合部が設けられている、請求項1から請求項3のいずれかに記載の吸収性物品。
前記第3非接合部よりも前側に位置する前記第4接合部の前記前後方向の長さは、前記第3非接合部よりも後側に位置する前記第4接合部の前記前後方向の長さよりも長い、請求項4に記載の吸収性物品。
前記第3非接合部の後端縁と前記吸収性物品の前記前後方向の中心との距離は、前記第3非接合部の前端縁と前記吸収性物品の前記前後方向の中心との距離よりも長い、請求項1から請求項5のいずれかに記載の吸収性物品。
前記第1領域の外側縁から前記幅方向の内側に向かう領域において、前記第1領域と前記非肌面シートは、接合されていない、請求項1から請求項6のいずれかに記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
前後方向と、
前記前後方向と直交する幅方向と、
前胴回り域、後胴回り域、及び前記前胴回り域と前記後胴回り域との間に位置する股下域と、
前記前後方向に延び、かつ吸収体を折り畳むための一対の第1折り線及び一対の第2折り線を有する吸収体と、
前記吸収体の非肌対向面側に位置する非肌面シートと、を備える吸収性物品であって、
前記吸収体は、前記吸収体が折り畳まれた折り畳み状態において、
前記一対の第1折り線の間に位置し、前記吸収体の前記幅方向の中央を含む第1領域と、
前記第1折り線よりも前記幅方向の内側に位置する前記第2折り線と前記第1折り線との間に位置し、前記第1領域の肌対向面側にそれぞれ配置される一対の第2領域と、
前記第2折り線よりも前記幅方向の外側において前記第2領域の肌対向面側にそれぞれ配置される一対の第3領域と、を有し、
前記第3領域の外側縁は、前記第1折り線よりも前記幅方向の外側に配置されおり、
前記折り畳み状態において、
前記第1領域の肌対向面と前記第2領域の非肌対向面とが接合された第1接合部と、
前記第3領域と前記非肌面シートが接合された第3接合部と、
前記第3接合部よりも前記幅方向の内側かつ前記第1折り線よりも前記幅方向の外側に位置し、前記第3領域と前記非肌面シートが接合されていない第3非接合部と、が設けられており、
前記第3非接合部は、前記吸収性物品の前記前後方向の中心を跨ぎ、かつ前記股下域において前記前後方向に延びる、吸収性物品。
【0010】
吸収性物品は、着用者に装着されると、着用者の両足によって挟まれる。吸収性物品には、幅方向の外側から幅方向の内側に向かう力がかかる。第3領域の外側縁が第1折り線よりも幅方向の外側に位置するため、幅方向の外側から幅方向の内側に向かう力は、第3領域の外側縁にかかる。第3領域は、変形することによって幅方向の外側から幅方向の内側に向かう力を吸収する。よって、第1領域が当該力によって変形することを防ぐことができる。また、第1領域と第2領域が接合されているため、第1折り線による折り構造が維持され易い。よって、第1領域の意図しない変形及び吸収体全体が幅入りすることを防ぐことができ、着用者の股下に対して一定の幅で吸収体を配置できる。一定の幅を有する吸収体によって排泄物を吸収でき、排泄物の漏れを抑制できる。
【0011】
また、第3領域と非肌面シートは、第3接合部によって接合され、かつ第3非接合部によって接合されていない。そのため、幅方向の外側から幅方向の内側に向かう力がかかった際に、第3接合部を基点に第3接合部よりも幅方向の内側の領域が着用者側に盛り上がるように変形する。これにより、第2非接合部、第3非接合部、及び第3接合部によって、第3領域、非肌面シート、及び第1領域によって囲まれた空間を少なくとも股下域に設けることができる。当該空間によって尿を収容できる。また、当該空間によって前後方向に尿を拡散でき、吸収体の前後方向の全体で体液を保持できる。そのため、長時間使用された場合であっても、吸収体全体で体液を吸収し、体液の漏れを抑制できる。加えて、当該空間によって前後方向に湿気を拡散でき、蒸れを抑制し、装着感を向上できる。
【0012】
かかる吸収性物品であって、
前記吸収性物品が着用された着用状態で、前記第2領域の肌対向面と前記第3領域の非肌対向面とが接合されていない第2非接合部を備えることが望ましい。
【0013】
このような吸収性物品によれば、着用状態で第2領域の肌対向面と第3領域の非肌対向面とが接合されていないため、幅方向の外側から幅方向の内側に向かう力がかかった際に、第1領域と接合された第2領域を基点にして左右の第3領域が着用者側に盛り上がるように変形し、第3領域の非肌対向面側に空間が形成される。当該空間によって排泄物を保持し、排泄物の漏れを抑制できる。
【0014】
かかる吸収性物品であって、
前記前後方向に伸縮する弾性部材を有し、かつ前記使い捨ておむつの幅方向の中心よりも前記幅方向の両外側に配置される一対の立体ギャザーを備え、
前記第3接合部は、前記弾性部材の内側縁に重なる領域に配置されることが望ましい。
【0015】
このような吸収性物品によれば、立体ギャザーの弾性部材の内側縁は、弾性部材の伸縮によって収縮し、着用者側に起立する。弾性部材の内側縁に重なる領域の吸収体は、第3接合部によって非肌面シートに接合され、変形し難い。よって、立体ギャザーが収縮する際に吸収体の形状が維持され易く、立体ギャザーが吸収体から着用者側に立ち上がり易くなる。よって、立体ギャザーと吸収体との間に排泄物を収容する空間を広く設けることができ、排泄物の漏れを抑制できる。吸収体の折り構造を維持しつつ、排泄物の漏れを効果的に抑制できる。
【0016】
かかる吸収性物品であって、
前記第3非接合部よりも前記前後方向の両外側には、前記第3領域と前記非肌面シートが接合された第4接合部が設けられていることが望ましい。
【0017】
このような吸収性物品によれば、第3非接合部よりも前後方向の両外側において第3領域と非肌面シートが接合されているため、第3領域と非肌面シートとの間の空間によって体液を前後方向の全体に拡散しても、当該空間内の体液が吸収体よりも前後方向の外側に漏れ難い。よって、吸収体の前後方向の全域で体液を吸収しつつ、排泄物の漏れを抑制できる。
【0018】
かかる吸収性物品であって、
前記第3非接合部よりも前側に位置する前記第4接合部の前記前後方向の長さは、前記第3非接合部よりも後側に位置する前記第4接合部の前記前後方向の長さよりも長いことが望ましい。
【0019】
一般的に、尿は、吸収性物品の前後方向の中心よりも前側に排泄される。そのため、吸収性物品の前後方向の中心よりも前側における第3非接合部内に尿が溜まり易い。吸収性物品の前後方向の中心よりも前側に位置する第4接合部の前後方向の長さが比較的長いため、前側に位置する第3非接合部で体液を保持しつつ、第3非接合部内の尿が吸収体の前端縁から漏れることを抑制できる。
【0020】
かかる吸収性物品であって、
前記第3非接合部の後端縁と前記吸収性物品の前記前後方向の中心との距離は、前記第3非接合部の前端縁と前記吸収性物品の前記前後方向の中心との距離よりも長いことが望ましい。
【0021】
このような吸収性物品によれば、吸収性物品の前後方向の中心よりも後側において第3非接合部の長さが比較的長いため、第3非接合部を介して前側に排泄された尿を後側に体液を拡散することができる。よって、吸収体の前後方向の全域にわたって排泄物を吸収でき、吸収容量を有効活用し、漏れを抑制できる。
【0022】
かかる吸収性物品であって、
前記第1領域の外側縁から前記幅方向の内側に向かう領域において、前記第1領域と前記非肌面シートは、接合されてなくてよい。
【0023】
このような吸収性物品によれば、幅方向の外側から幅方向の内側に向かう力がかかり、左右の第3領域が着用者側に盛り上がるように変形する際に、第1領域の外側縁も着用者側に盛り上がるように変形し易くなる。よって、第3領域、非肌面シート、及び第2領域によって囲まれた空間をより広く形成できる。
【0024】
かかる吸収性物品であって、
前記一対の第2折り線は、前記幅方向において離間していることが望ましい。
【0025】
このような吸収性物品によれば、吸収体の一対の第2折り線間には、第1領域のみが配置され、一対の第2折り線よりも幅方向の外側には、第1領域、第2領域及び第3領域が配置される。そのため、吸収体の一対の第2折り線間は、吸収体の厚みが比較的薄く、一対の第2折り線よりも幅方向の外側の領域と比較して非肌対向面側に凹む。吸収体の幅方向中央が非肌対向面側に凹んでいるため、着用者と吸収体の間に前後方向に延びる空間を形成できる。当該空間によって体液を前後方向に拡散することができ、吸収体の前後方向の全域にわたって吸収性能を有効活用し易くなる。
【0026】
また、幅方向の外側から幅方向の内側に向かう力がかかった際に第3領域が着用者側に盛り上がるように変形すると、一対の第2折り線間の空間を挟んで両側には、第3領域による壁を比較的高く設けることができる。よって、体液の横漏れを抑制し、排泄物の漏れをより抑制できる。
【0027】
===本実施の形態に係る吸収性物品について===
次に、本発明に係る吸収性物品としての使い捨ておむつの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0028】
(1)使い捨ておむつの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る使い捨ておむつ10の展開状態の平面図である。
図2は、
図1に示したA−A線に沿った使い捨ておむつ10の断面図である。
図3は、
図1に示したB−B線に沿った使い捨ておむつの断面図である。
図4は、
図1に示す使い捨ておむつの展開状態の平面図である。
図5は、展開状態の吸収体の平面図である。
図6は、
図5に示すC−C線に沿った吸収体の断面図である。
図1及び
図4に示す平面図は、使い捨ておむつを構成するトップシート50及びサイドシート70等の皺が形成されない状態まで、レッグ伸縮部75及び立体ギャザーの弾性部材77を伸長させた状態の図である。
【0029】
使い捨ておむつ10は、前胴回り域20と、股下域25と、後胴回り域30と、を有する。前胴回り域20は、着用者の前胴回り部(腹部分)と接する部分である。また、後胴回り域30は、着用者の後胴回り部(背部分)と接する部分である。股下域25は、前胴回り域20と後胴回り域30との間に位置し、脚回り開口部35が設けられる領域である。脚回り開口部35は、使い捨ておむつの外側縁に設けられており、使い捨ておむつが着用者に着用された状態で着用者の脚回りに沿って配置される部分である。なお、外側縁は、幅方向の外側端であり、内側縁は、幅方向の内側端である。
【0030】
なお、本実施形態では、前胴回り域20から後胴回り域30に向かう方向を前後方向Lと呼び、前後方向Lと直交する方向を幅方向Wと呼び、着用者の肌対向面側T1と、肌対向面側T1と反対側であり、着用者の非肌対向面側T2と、を含む方向を厚み方向Tと呼ぶ。
【0031】
使い捨ておむつ10は、吸収体40と、吸収体40の肌対向面側T1に配置される肌面シートと、吸収体40の非肌対向面側T2に位置する非肌面シートと、を少なくとも有する。吸収体40は、少なくとも股下域25に配置される。
図6に示すように、吸収体40は、吸収コア40aと、コアラップ40bと、を有する。吸収コア40aは、従来の使い捨ておむつと同様の材料によって構成でき、粉砕パルプや高吸収ポリマー(SAP)などの吸収材料を含んでおり、公知の部材や材料を用いて適宜構成することができる。
【0032】
コアラップ40bは、吸収材料である吸収コア40aを覆うシートである。コアラップ40bは、透液性を有する各種の繊維不織布もしくはティッシュによって構成される。吸収体40については、後述にて詳細に説明する。
【0033】
肌面シートは、トップシート50と、サイドシート70と、を有する。トップシート50は、不織布や織物などの液透過性のシートによって形成される。トップシート50は、着用者の肌に当接するシートである。
【0034】
サイドシート70は、トップシート50の外側縁を覆い、トップシート50よりも幅方向外側に延出する。サイドシート70の内側縁は、幅方向外側に折り返されており、2層のサイドシート70間に前後方向に伸縮する弾性部材77が配置される。サイドシート70と弾性部材77とは、立体ギャザーを構成する。立体ギャザーは、前後方向に伸縮する弾性部材77を有し、かつ使い捨ておむつの幅方向の中心よりも幅方向の両外側に一対で配置される。
【0035】
非肌面シートは、少なくともバックシート60aと外装シート60を有する。バックシート60aは、液不透過性を有し、吸収コア40a及びコアラップ40bの非肌対向面側T2に配置される。外装シート60は、バックシート60aの非肌対向面側T2に配置される。
【0036】
サイドシート70には、ファスニングテープ90が備えられる。ファスニングテープ90は、後胴回り域30において、幅方向Wに沿って延び、前胴回り域20のターゲット部95に止着されることにより、使い捨ておむつ10を着用者の身体に保持する。ターゲット部95は、一対のファスニングテープ90がそれぞれ止着するように構成されている。吸収体40の幅方向の外側には、脚回り開口部35の周囲に形成され、前後方向Lに伸縮可能なレッグ伸縮部75が備えられる。
【0037】
(2)吸収体の構成
次いで、吸収体40の構成について詳細に説明する。吸収体40は、
図5及び
図6に示すように、展開状態において1枚のシート状である。吸収体40は、前後方向に延びる一対の第1折り線FL1と、前後方向に延びる一対の第2折り線FL2と、を有する。一対の第1折り線FL1及び一対の第2折り線FL2は、吸収体を折り畳むための折り線であり、吸収体を折り畳んだ状態で形成される。吸収体40は、一対の第1折り線FL1と一対の第2折り線FL2とによって4か所で折られており、複数層に積層されている。一対の第1折り線FL1同士、一対の第2折り線FL2同士、及び第1折り線FL1と第2折り線FL2は、それぞれ幅方向において離間している。
図5に示すように、吸収体40の展開状態(第1折り線FL1及び第2折り線FL2によって折り畳まれていない状態)において、第2折り線FL2は、第1折り線FL1よりも幅方向の外側に位置する。
図2及び3に示すように、吸収体の折り畳み状態(第1折り線FL1及び第2折り線FL2によって折り畳まれた状態)において、第2折り線FL2は、第1折り線FL1よりも幅方向の内側に位置する。
【0038】
吸収体40は、折り畳み状態において、一対の第1折り線FL1の間に位置する第1領域401と、第1折り線FL1と第2折り線FL2との間に位置する一対の第2領域402と、第2折り線FL2よりも幅方向の外側に位置する一対の第3領域403と、を有する。
図5及び
図6に示す展開状態において、第1領域401は、吸収体40の幅方向Wの中央を含み、一対の第1折り線FL1の間の領域である。第2領域402は、展開状態において第1領域401を挟んで両側に位置し、第1折り線FL1と第2折り線FL2の間の領域である。第3領域403は、展開状態において第1領域401及び一対の第2領域402を挟んで両側に位置し、第2折り線FL2よりも幅方向外側の間の領域である。第1領域401、第2領域402、及び第3領域403は、幅方向Wにおいて連続している。第1領域401、第2領域402、第3領域403は、連続する1枚のコアラップ40bによって覆われている。コアラップ40bは、第1領域401、第2領域402及び第3領域403を跨っている。
【0039】
吸収体40は、第1折り線FL1によって着用者に対して谷折りされ、かつ第2折り線FL2によって着用者に対して山折りされる。吸収体40が折り畳まれた折り畳み状態で、第1領域401の肌対向面側T1に第2領域402が配置され、第2領域402の肌対向面側T1に第3領域403が配置されている。第3領域403は、少なくとも一部が第2領域402の肌対向面側T1に配置されていればよい。吸収体40は、第1折り線FL1及び第2折り線FL2によって折り畳まれるため、幅方向の寸法がコンパクトになる。
【0040】
折り畳み状態で一対の第2折り線FL2は、幅方向Wにおいて離間している。第1折り線FL1と第2折り線FL2の間は、第1領域401、第2領域402、及び第3領域403が配置される重畳部45を構成する。重畳部45は、第1領域401、第2領域402及び第3領域403が積層された部分であり、第1折り線FL1と第2折り線FL2の間の部分である。一対の第2折り線FL2の間には、第1領域401のみが配置される。一対の第2折り線FL2の間は、吸収体40の厚みが比較的薄く、一対の第2折り線FL2よりも幅方向の外側の領域と比較して非肌対向面側T2に凹んでいる。吸収体40の幅方向Wの中央が非肌対向面側T2に凹んでいるため、着用者と吸収体の間に前後方向に延びる空間を形成できる。当該空間によって体液を前後方向に拡散することができ、吸収体の前後方向の全域にわたって吸収性能を有効活用し易くなる。
【0041】
また、幅方向Wの外側から幅方向Wの内側に向かう力がかかった際に第3領域403が着用者側に盛り上がるように変形すると、一対の第2折り線FL2間の空間を挟んで両側には、第3領域403による壁を比較的高く設けることができる。よって、体液の横漏れを抑制し、排泄物の漏れをより抑制できる。
【0042】
第3領域403の外側縁は、第1折り線FL1よりも幅方向Wの外側に位置する。第1折り線FL1よりも幅方向の外側には、第3領域403のみが配置される。折り畳み状態の吸収体40の外側縁40Eは、着用者の脚回りに配置される。吸収体40の外側縁40Eは、第3領域403の外側縁である。折り畳み状態の吸収体40の外側縁40Eには、第3領域403のみが配置され、比較的厚みが薄い。よって、着用者の脚回りにおける違和感を低減できる。
【0043】
第2領域402の吸収材料の目付は、第1領域401の吸収材料の目付よりも低く、第3領域403の吸収材料の目付よりも低い。具体的には、第1領域401は、パルプとSAPを有し、第2領域402は、実質的に吸収材料を有しない。第2領域402は、設計上のSAP等の吸収材料の目付が零であるが、製造工程において第1領域等から混入したSAPやパルプを有していてもよい。第1領域401のパルプの目付及び第3領域403のパルプの目付は、第2領域402のパルプの目付よりも高い。また、第2領域402は、第1領域401等よりも低い目付のパルプを含んでいてもよいし、パルプ及びSAPの両方を含まずにコアラップ40bのみで構成されていてもよく、比較的目付が低く構成されていることにより、第2領域402を介して第1領域401に体液を円滑に導くことができる。なお、変形例において、第2領域402の吸収材料の目付は、第1領域401の吸収材料の目付と同じであってもよいし、第3領域403の吸収材料の目付と同じであってもよい。
【0044】
第2領域402のパルプの目付が第1領域401及び第3領域403と比較して低いため、重畳部45の厚みが厚くなり過ぎることを抑制でき、非肌対向面側T2に位置する第1領域401に体液を導き易くなる。また、第2領域402のパルプの目付よりも第1領域401のパルプの目付が高いため、第2領域402から第1領域401に体液が移行し易くなり、非肌対向面側T2に位置する第1領域401に体液を導き易くなる。第1折り線FL1及び第2折り線FL2には、パルプの目付の違いによる剛性差が形成される。よって、第1折り線FL1及び第2折り線FL2を基点に吸収体40をより折り畳み易くなる。
【0045】
第2領域402の厚みは、第1領域401の厚みよりも薄く、第3領域403の厚みよりも薄い。第1折り線FL1及び第2折り線FL2は、吸収体40の厚み及び目付が変化する境界であり、剛性が変化する境界となる。よって、第1折り線FL1及び第2折り線FL2を基点に吸収体40を折り畳み易い。
【0046】
トップシート50は、一対の第2折り線FL2間に位置する第1領域401の肌対向面側T1と、第3領域403の肌対向面側T1と、に跨って配置されている。トップシート50が第1領域401と第3領域403に跨って配置されているため、重畳部45に幅方向内側に向かう力がかかった際に重畳部45が幅方向内側に移動し難くなり、吸収体40の変形を効果的に抑制できる。すなわち、第1領域401の肌対向面側T1から幅方向に延びるトップシートは、第1領域401と第2領域402の間に延出せずに、第3領域403の肌対向面側T1に延びる。重畳部45において、トップシート50は、第1領域401と第2領域402の間、及び第2領域402と第3領域403の間に配置されていない。吸収体の折り構造を維持することができる。第1領域401、第2領域402及び第3領域403の3つの領域で排泄物を効率よく吸収し、排泄物の漏れを抑制できる。
【0047】
(3)吸収体同士の接合態様及び吸収体と非肌面シートの接合態様
次いで、吸収体同士の接合態様及び吸収体と非肌面シートの接合態様について説明する。使い捨ておむつ10には、吸収体40が折り畳まれた折り畳み状態において、第1接合部R1と、第2非接合部NR2と、第3接合部R3と、第3非接合部NR3と、第4接合部R4と、が設けられている。また、使い捨ておむつ10には、吸収性物品が着用された着用状態で、第2非接合部NR2が設けられている(
図7参照)。各接合部は、ホットメルト型接着剤等の接着剤が配置された領域である。非接合部は、ホットメルト型接着剤等の接着剤が配置されていない領域、又は接合部よりも接着力が弱くなるように接着剤が配置された領域である。第1接合部R1、第2非接合部NR2、第3接合部R3、第3非接合部NR3、及び第4接合部R4を有することにより、着用時の使い捨ておむつ10の意図しない変形を抑制し、排泄物の漏れを抑制できる。
図7は、使い捨ておむつの着用状態を模式的に示した断面図である。使い捨ておむつ10は、着用者に装着されると、着用者の両足によって挟まれる。使い捨ておむつ10には、幅方向の外側から幅方向の内側に向かう力がかかる。このとき、第3領域403の外側縁が第1折り線よりも幅方向の外側に位置するため、幅方向の外側から幅方向の内側に向かう力は、第3領域403の外側縁にかかる。第3領域403は、変形することによって幅方向の外側から幅方向の内側に向かう力を吸収する。よって、第1領域401が当該力によって変形することを防ぐことができる。
【0048】
第1接合部R1は、第1領域401の肌対向面と第2領域402の非肌対向面とが接合された部分である。
図2及び
図3に、第1接合部R1の幅方向の範囲を示す。第1接合部R1は、第1領域401の肌対向面と第2領域402の非肌対向面とが対向した全面に設けられていてもよいし、当該対向した面の一部に設けられていてもよい。第1接合部R1が設けられていることにより、使い捨ておむつ10に対して幅方向の外側から幅方向の内側に向かって力がかかった際に、第1領域401と第2領域402の位置がずれることを抑制し、第1折り線FL1による折り構造が維持され易い。よって、第1領域401の意図しない変形及び吸収体全体が幅入りすることを防ぐことができ、着用者の股下に対して一定の幅で吸収体40を配置できる。一定の幅を有する吸収体40によって排泄物を吸収でき、排泄物の漏れを抑制できる。
【0049】
第2非接合部NR2は、着用状態において、第2領域402の肌対向面と第3領域403の非肌対向面とが接合されていない部分である。第2非接合部NR2は、少なくとも股下域25において第2領域402の肌対向面と第3領域403の非肌対向面とが対向した全面に設けられている。第2非接合部NR2は、使い捨ておむつ10の前後方向の中心1LCを跨ぎ、かつ股下域25において前後方向に延びる。本実施の形態の第2非接合部NR2は、接着剤が配置されていない領域であり、折り畳み状態においても非接合状態である。しかし、第2非接合部NR2は、折り畳み状態において第2領域402の肌対向面と第3領域403の非肌対向面とが接合されており、かつ着用されて幅方向の外側から幅方向の内側に向かう力がかかった際に第1接合部よりも先に非接合状態となる構成を含む概念である。着用時に股下域25において第2領域402の肌対向面と第3領域403の非肌対向面とが接合されていないため、幅方向の外側から幅方向の内側に向かう力がかかった際に、第1領域401と接合された第2領域402を基点にして左右の第3領域403が着用者側に盛り上がるように変形し、第3領域403の非肌対向面側T2に空間が形成される。第2領域402と第3領域403の間の空間によって排泄物を保持し、排泄物の漏れを抑制できる。
【0050】
なお、使い捨ておむつ10は、後胴回り域30及び前胴回り域20において、第2領域402の肌対向面と第3領域403の非肌対向面が接合された第2接合部を有していてもよい。第2接合部は、第2非接合部よりも前後方向の外側に位置する。後胴回り域30及び前胴回り域20に第2接合部が設けられていても、股下域25において排泄物を収容する空間を設けることができ、排泄物の漏れを防止する効果を得ることができる。
【0051】
第3接合部R3は、第3領域403と非肌面シートが接合された部分である。より詳細には、第3接合部R3において、第3領域403の非肌対面と非肌面シートとしてのバックシート60aの肌対向面とが接合されている。第3領域403の前後方向Lの範囲は、吸収体40の前後方向Lの全域である。第3接合部R3の幅方向Wの範囲は、第3領域403の外側縁から幅方向Wの内側に延びる一定の範囲である。第3接合部R3は、第1折り線FL1よりも幅方向Wの外側に位置し、第1折り線FL1と離間している。第3接合部R3よりも幅方向Wの内側には、第3非接合部NR3が設けられている。第3非接合部NR3は、第3領域403と非肌面シートが接合されていない部分である。第3領域403は、股下域25内に配置され、前胴回り域20及び後胴回り域30に配置されていない。第3非接合部NR3は、使い捨ておむつ10の前後方向の中心1LCを跨ぎ、かつ股下域25において前後方向Lに延びる。第3非接合部NR3は、第3接合部R3よりも幅方向Wの内側かつ第1折り線FL1よりも幅方向Wの外側である。第1折り線FL1よりも幅方向の内側の領域では、第1領域401とバックシート60aは、接合されている。
【0052】
第3領域403とバックシート60aは、第3接合部R3によって接合され、かつ第3非接合部NR3によって接合されていない。そのため、幅方向Wの外側から幅方向Wの内側に向かう力がかかった際に、第3接合部R3を基点にして第3非接合部NR3に接する吸収体40が着用者側に盛り上がるように変形し、第3領域403、バックシート60a、及び第1領域401によって囲まれた空間S1を少なくとも股下域25に設けることができる(
図7参照)。当該空間S1によって尿を収容できる。また、当該空間S1によって前後方向Lに尿を拡散でき、吸収体40の前後方向Lの全域で体液を保持できる。そのため、長時間使用された場合であっても、吸収体40全体で体液を吸収し、体液の漏れを抑制できる。加えて、当該空間S1によって前後方向Lに湿気を拡散でき、蒸れを抑制し、装着感を向上できる。
【0053】
第3接合部R3は、弾性部材77の内側縁に重なる領域に配置される。立体ギャザーが複数の弾性部材を有する構成にあっては、弾性部材77の内側縁は、最も幅方向の内側に位置する弾性部材の内側縁である。立体ギャザーの弾性部材77の内側縁は、弾性部材77の伸縮によって収縮し、着用者側に起立する。弾性部材77の内側縁に重なる領域の吸収体は、第3接合部R3によってバックシート60aに接合され、変形し難い。よって、立体ギャザーが収縮する際に吸収体40の形状が維持され易く、立体ギャザーが吸収体40から着用者側に立ち上がり易くなる。よって、立体ギャザーと吸収体40との間に排泄物を収容する空間を広く設けることができ、排泄物の漏れを抑制できる。その結果、吸収体40の折り構造を維持しつつ、排泄物の漏れを効果的に抑制できる。
【0054】
第3非接合部NR3の後端縁と使い捨ておむつ10の前後方向Lの中心1LCとの距離L1は、第3非接合部NR3の前端縁と使い捨ておむつ10の前後方向の中心1LCとの距離L2よりも長い。使い捨ておむつ10の前後方向Lの中心よりも後側において第3非接合部NR3の長さが比較的長いため、第3非接合部NR3を介して前側に排泄された尿を後側に体液を拡散することができる。よって、吸収体40の前後方向Lの全域にわたって排泄物を吸収でき、吸収容量を有効活用し、漏れを抑制できる。
【0055】
第4接合部R4は、第3領域403とバックシート60aが接合された部分である。より詳細には、第4接合部R4において、第3領域403の非肌対面と非肌面シートとしてのバックシート60aが接合されている。第4接合部R4は、第3非接合部NR3よりも前後方向の両外側に位置する。第4接合部R4の前後方向の範囲は、第3非接合部NR3の外端縁から吸収体40の外端縁の間である。第4接合部R4の幅方向の範囲は、第3接合部R3の内側縁と第1折り線FL1とに挟まれた領域である。第3非接合部NR3よりも前後方向の両外側において第3領域403とバックシート60aが接合されていることにより、第3領域403とバックシート60aとの間の空間によって体液を前後方向の全体に拡散しても、当該空間内の体液が吸収体よりも前後方向の外側に漏れ難い。よって、吸収体の前後方向の全域で体液を吸収しつつ、排泄物の漏れを抑制できる。
【0056】
第3非接合部NR3よりも前側に位置する第4接合部R4の前後方向の長さL3は、第3非接合部NR3よりも後側に位置する第4接合部R4の前後方向の長さL4よりも長い。第3非接合部NR3よりも前側に位置する第4接合部R4の少なくとも一部は、前胴回り域20に設けられる。第3非接合部NR3よりも後側に位置する第4接合部R4の少なくとも一部は、後胴回り域30に設けられる。一般的に、尿は、使い捨ておむつ10の前後方向の中心1LCよりも前側に排泄される。そのため、吸収性物品の前後方向の中心よりも前側における第3非接合部内に尿が溜まり易い。使い捨ておむつ10の前後方向の中心よりも前側に位置する第4接合部の前後方向の長さが比較的長いため、前側に位置する第3非接合部で体液を保持しつつ、第3非接合部内の尿が吸収体の前端縁から漏れることを抑制できる。
【0057】
吸収体よりも幅方向の外側及び吸収体よりも前後方向の外側には、肌面シートと非肌面シートが接合された第5接合部R5が設けられている。第5接合部は、吸収体の前後方向の外端縁と使い捨ておむつ10の前後方向の外端縁との間の領域、及び吸収体の外側縁と使い捨ておむつ10の外側縁との間の領域に設けられている。第5接合部R5が設けられていることにより、吸収体の吸収材料(特に、SAP)及び体液が使い捨ておむつ10の前端縁、後端縁及び外側縁から漏れることを防止できる。
【0058】
(4)変形例に係る吸収性物品
次いで、
図8に基づいて変形例に係る吸収性物品としての使い捨ておむつ10Aについて説明する。なお、変形例の説明において実施形態と同様の構成については同符号を用いて説明を省略する。
図8は、変形例1に係る使い捨ておむつ10Aの幅方向に沿った断面の断面図である。変形例1に係る使い捨ておむつ10Aの吸収体40は、第1領域401の外側縁から幅方向Wの内側に向かう領域において、第1領域401と非肌面シートとしてのバックシート60aは、接合されていない。第1領域401の幅方向の中央の領域では、第1領域401と非肌面シートは、接合されている。
【0059】
変形例1に係る使い捨ておむつ10Aによれば、幅方向Wの外側から幅方向の内側に向かう力がかかり、左右の第3領域403が着用者側に盛り上がるように変形する際に、第1領域401の外側縁も着用者側に盛り上がるように変形し易くなる。よって、第3領域403、非肌面シート、及び第2領域402によって囲まれた空間S1をより広く形成できる。当該空間S1によって排泄物を収容するとともに、当該空間S1によって排泄物を前後方向に拡散でき、排泄物の漏れを抑制できる。
【0060】
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【解決手段】使い捨ておむつ10は、一対の第1折り線FL1及び一対の第2折り線FL2を有する吸収体40と、バックシート60aと、を備える。吸収体は、一対の第1折り線の間に位置する第1領域401と、第1領域の肌対向面側に配置される一対の第2領域402と、第2領域の肌対向面側に配置される一対の第3領域403と、を有する。第1領域と第2領域とが接合された第1接合部R1と、第3領域と非肌面シートが接合された第3接合部R3と、第3接合部よりも幅方向の内側かつ第1折り線よりも幅方向の外側に位置し、第3領域と非肌面シートが接合されていない第3非接合部NR3と、が設けられている。第3非接合部は、使い捨ておむつ10の前後方向の中心1LCを跨ぎ、かつ股下域において前後方向に延びる。