特許第6185286号(P6185286)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6185286六方晶フェライト粉体用非晶質体の製造方法および六方晶フェライト粉体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6185286
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】六方晶フェライト粉体用非晶質体の製造方法および六方晶フェライト粉体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01G 49/00 20060101AFI20170814BHJP
   G11B 5/842 20060101ALI20170814BHJP
   G11B 5/70 20060101ALI20170814BHJP
   H01F 1/11 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   C01G49/00 C
   G11B5/842 Z
   G11B5/70
   H01F1/11
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-103153(P2013-103153)
(22)【出願日】2013年5月15日
(65)【公開番号】特開2014-224005(P2014-224005A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2016年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】506334182
【氏名又は名称】DOWAエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100105256
【弁理士】
【氏名又は名称】清野 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100161034
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 知洋
(74)【代理人】
【識別番号】100156834
【弁理士】
【氏名又は名称】橋村 一誠
(72)【発明者】
【氏名】永嶋 太
(72)【発明者】
【氏名】正田 憲司
(72)【発明者】
【氏名】大元 寛久
【審査官】 村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−215793(JP,A)
【文献】 特開2004−183049(JP,A)
【文献】 特開2013−042047(JP,A)
【文献】 特開昭60−210802(JP,A)
【文献】 特開2010−001171(JP,A)
【文献】 特開2011−213544(JP,A)
【文献】 特開2009−215591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 49/00−49/08
G11B 5/70
G11B 5/842
H01F 1/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
六方晶フェライト成分の原料とガラス成分の原料とを少なくとも含む溶融物を溶湯供給部から供給し、供給された前記溶融物にアトマイズガス噴射部からアトマイズガスを噴射して前記溶融物を微粉化するアトマイズ工程を有し、
前記アトマイズ工程において、前記溶融物を微粉化して得られる微粉の少なくとも一部を前記アトマイズガス噴射部の下方に前記微粉を取り囲むように配置された冷却部材に衝突させ、塑性変形させることを特徴とする六方晶フェライト粉体用非晶質体の製造方法。
【請求項2】
前記微粉の少なくとも一部を溶融状態で冷却部材に衝突させることにより前記微粉の少なくとも一部を扁平状に塑性変形させ、扁平状を保ちながら前記微粉を冷却して非晶質体を得ることを特徴とする請求項1に記載の六方晶フェライト粉体用非晶質体の製造方法。
【請求項3】
前記冷却部材は、筒状の部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の六方晶フェライト粉体用非晶質体の製造方法。
【請求項4】
前記冷却部材は、円筒状の部材であることを特徴とする請求項3に記載の六方晶フェライト粉体用非晶質体の製造方法。
【請求項5】
前記冷却部材は、複数の部材から構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の六方晶フェライト粉体用非晶質体の製造方法。
【請求項6】
前記冷却部材は、前記冷却部材を振動させるための振動機構を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の六方晶フェライト粉体用非晶質体の製造方法。
【請求項7】
前記冷却部材は、流体を該冷却部材内に循環させることにより冷却する機構を有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の六方晶フェライト粉体用非晶質体の製造方法。
【請求項8】
前記六方晶フェライト成分の原料は炭酸バリウムを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の六方晶フェライト粉体用非晶質体の製造方法。
【請求項9】
前記アトマイズガスの圧力が0.2〜1.0MPaであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の六方晶フェライト粉体用非晶質体の製造方法。
【請求項10】
前記アトマイズガスの流量が1.5〜10Nm/分であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の六方晶フェライト粉体用非晶質体の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の六方晶フェライト粉体用非晶質体の製造方法を有する、六方晶フェライト粉体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、六方晶フェライト粉体用非晶質体の製造方法、六方晶フェライト粉体の製造方法およびアトマイズ装置に関し、詳しくは、アトマイズ装置を用いて高密度の磁気記録に適した六方晶フェライト粉体用の非晶質体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より高速でより大容量のデータを転送するための技術が進展し、あわせて該データを保存する技術も必要になってきている。データを保存する技術としては、たとえば、磁性体の磁化を利用する磁気記録が用いられている。
【0003】
磁気記録に用いられる磁性体としては、たとえば、Fe系磁性粉等のメタル磁性粉などが例示される。このようなメタル磁性粉を用いて高密度の磁気記録を達成するために、メタル磁性粉を微粒子化することが行われている。
【0004】
しかしながら、メタル磁性粉を微粒子化しようとすると、磁性粉の酸化による磁気特性の劣化という問題があり、微粒子化には限界があった。
【0005】
そこで、酸化による磁気特性の劣化が少なく、保磁力の高い磁性粉として、六方晶フェライトの粉体を用いることが検討されている。六方晶フェライトは酸化物であるため、微粒子化しても上記の問題は生じず、高密度の磁気記録に好適である。
【0006】
このような六方晶フェライトの粉体を得るには、たとえば、下記に示すガラス結晶化法が用いられる(特許文献1および2を参照)。ガラス結晶化法では、まず、ガラス成分と磁性体原料であるフェライト成分とを高温で溶融し、溶融物を得る。次に、この溶融物を溶融状態から急冷することにより、非晶質体(ガラス体)を得る。得られた非晶質体を熱処理することにより、非晶質体中に六方晶フェライトを析出させた六方晶フェライト粉体の前駆体を得る。この六方晶フェライト粉体の前駆体からガラス成分を分離することにより、微粒子状の六方晶フェライト粉体が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−213544号公報
【特許文献2】特開2011−181130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の方法により得られる六方晶フェライト粉体の磁気特性を良好とするために、たとえば、急冷時における溶融物の冷却速度を速くすることが行われている。溶融物を急冷する方法として、上記の特許文献1には、回転する一対の圧延ロール間に溶融物を供給して冷却する方法が開示されている。また、上記の特許文献2には、溶融物にアトマイズガスを噴射して溶融物を微粉状として急冷する方法が開示されている。
【0009】
一方、コンピュータ用のデータストレージ等の高密度磁気記録媒体の市場では、高特性と安定供給とを両立できる磁性粉が求められている。そのため、高密度の磁気記録に適した六方晶フェライト粉体の歩留まりを向上させることが求められている。
【0010】
しかしながら、特許文献1に示すような圧延ロールを用いる冷却方法では大規模な装置が必要であるという問題、また、メンテナンスに費用および時間が掛かり、安定した供給の実現が困難であるという問題があった。また、特許文献2に示すようなガスアトマイズによる冷却方法では、微粉状の溶融物のうち、比較的に小さな径を有するものは冷却されやすいため、冷却速度を十分に速くすることができる。しかしながら、微粉状の溶融物の大部分を占め比較的に大きな径を有する微粉状の溶融物の冷却速度を十分に速くすることができない。その結果、特性の低い六方晶フェライト粉体が多くなってしまい、高密度の磁気記録に適した六方晶フェライト粉体の生産効率が悪化するという問題があった。
【0011】
本発明は、上記の状況を鑑みてなされ、高密度な磁気記録に好適な六方晶フェライト粉体を歩留まりよく製造するために、比較的に大きな径を有する溶融物の冷却速度を速くして、六方晶フェライト粉体の前駆体としての非晶質体を得ることができる六方晶フェライト粉体用非晶質体の製造方法および該六方晶フェライト粉体の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明の別の目的は、非晶質体等のアトマイズ粉の冷却速度を速くすることができるアトマイズ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、六方晶フェライト粉体の前駆体としての非晶質体の製造工程に着目し、比較的に径の大きな溶融物の冷却速度を速くするために、該溶融物の冷却時に該溶融物の表面積を増加させ、該溶融物の内部まで迅速に冷却することにより、上記の課題を解決できることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち、本発明の態様は、
六方晶フェライト成分の原料とガラス成分の原料とを少なくとも含む溶融物を溶湯供給部から供給し、供給された溶融物にアトマイズガス噴射部からアトマイズガスを噴射して溶融物を微粉化するアトマイズ工程を有し、
アトマイズ工程において、溶融物を微粉化して得られる微粉の少なくとも一部をアトマイズガス噴射部の下方に微粉を取り囲むように配置された冷却部材に衝突させ、塑性変形させる六方晶フェライト粉体用非晶質体の製造方法である。
【0014】
なお、本明細書では、「微粉が塑性変形する」とは、微粉が冷却部材に衝突する前後において、微粉の形状が異なっており、かつ微粉は、衝突後の形状を保っていることを意味する。
【0015】
好ましくは、微粉の少なくとも一部を溶融状態で冷却部材に衝突させることにより微粉の少なくとも一部を扁平状に塑性変形させ、扁平状を保ちながら微粉を冷却して非晶質体を得る。
【0016】
なお、本明細書では、「扁平状」とは、球状、塊状等の立体形状のものを一方向に押し潰した形状を意味する。なお、扁平状には、部分的に凹凸があり、変形が見られても、全体として見た場合に、平板または厚みの薄い直方体を含み、また、薄片状および鱗片状を含む。たとえば、一般的にフレーク状と称するものもこれに含まれる。また、「球状」とは、部分的に凹凸があり、変形が見られても、全体として見た場合に、直方体よりは立方体に近い立体形状を意味しており、粒状を含む。
【0017】
好ましくは、冷却部材は、筒状の部材である。より好ましくは、冷却部材は、円筒状の部材である。あるいは、好ましくは、冷却部材は、複数の部材から構成される。
【0018】
好ましくは、冷却部材は、冷却部材を振動させるための振動機構を有している。
【0019】
好ましくは、冷却部材は、流体を該冷却部材内に循環させることにより冷却する機構を有している。
【0020】
好ましくは、六方晶フェライト成分の原料に炭酸バリウムを含む。
【0021】
好ましくは、アトマイズガスの圧力が0.2〜1.0MPaである。また、好ましくは、アトマイズガスの流量が1.5〜10Nm/分である。
【0022】
本発明の別の態様は、上記のいずれかに記載の六方晶フェライト粉体用非晶質体の製造方法を有する六方晶フェライト粉体の製造方法である。
【0023】
本発明の別の態様は、
チャンバと、
溶融物をチャンバ内に供給する溶湯供給部と、
溶融物にアトマイズガスを噴射するアトマイズガス噴射部と、
冷却部材と、を有し、
冷却部材は、アトマイズガスにより溶融物を微粉化して得られる微粉の少なくとも一部が冷却部材に衝突するようにアトマイズガス噴射部の下方に微粉を取り囲むように配置されているアトマイズ装置である。
【0024】
好ましくは、冷却部材は筒状の部材である。あるいは、好ましくは、冷却部材は複数の部材から構成される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、高密度な磁気記録に好適な六方晶フェライト粉体を歩留まりよく製造するために、六方晶フェライト粉体の前駆体としての非晶質体の冷却速度を速くすることができる六方晶フェライト粉体用非晶質体の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、非晶質体等のアトマイズ粉の冷却速度を速くすることができるアトマイズ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本実施形態に係る六方晶フェライト粉体用非晶質体の製造方法および六方晶フェライト粉体の製造方法を示すフローチャートである。
図2図2は、本実施形態に係るアトマイズ装置の概略断面図を示す。
図3図3は、図2に示すアトマイズ装置が有する冷却部材の断面形状を示す概略図である。
図4図4は、変形例における冷却部材の断面形状を示す概略図である。
図5図5は、本発明の実施例および比較例に係る非晶質体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
図6図6は、本発明の実施例および比較例に係る六方晶フェライト粉体の保磁力と粒子体積との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき、以下の順序で詳細に説明する。
1.六方晶フェライト粉体
2.六方晶フェライト粉体の製造方法
3.本実施形態の効果
4.変形例
【0028】
(1.六方晶フェライト粉体)
本実施形態に係る方法により製造される六方晶フェライト粉体は、六方晶フェライト粒子の集合体である。六方晶フェライト粒子は、六方晶型結晶構造を有し、組成式がAFe1219で表される六方晶フェライトで主に構成されている。六方晶フェライトは、結晶のc軸異方性に起因する磁気異方性を示し、保磁力が高いハードフェライトである。
【0029】
組成式中の「A」は、アルカリ土類金属であることが好ましく、本実施形態では、「A」がBaであることが好ましい。また、六方晶フェライト粒子には、所望の特性に応じて添加成分が含有されてもよい。添加成分としては、保磁力を調整するために2価あるいは4価の元素が含有されてもよいし、粒子の形状を制御するためにビスマス(Bi)が含有されてもよいし、粒子の熱安定性を高めるためにニオブ(Nb)が含有されてもよい。
【0030】
本実施形態に係る方法により製造される六方晶フェライト粉体は、粒子体積あたりの保磁力が高く、高密度の磁気記録に好適な磁性粉である。
【0031】
(2.六方晶フェライト粉体の製造方法)
本実施形態では、上記の六方晶フェライト粉体を製造する方法を図1に示すフローチャートを用いて説明する。該六方晶フェライト粉体は、ガラス結晶化法を用いて製造される非晶質体から製造される。したがって、六方晶フェライト粉体を製造する方法は、該六方晶フェライト粉体用非晶質体を製造する方法を含んでいる。まず、出発原料として、ガラス成分の原料と、六方晶フェライト成分の原料と、を準備し、必要に応じて添加成分の原料をさらに準備する。
【0032】
ガラス成分の原料としては、急冷により非晶質となる各種化合物等であれば特に制限されないが、本実施形態では、ホウ酸を原料として用いる。また、六方晶フェライト成分の原料としては、後述する熱処理工程により六方晶フェライトを形成する各種化合物等を用いることができる。たとえば、酸化物、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、ハロゲン化物等が例示される。本実施形態では、酸化鉄および炭酸バリウムを原料として用いる。また、添加成分の原料としては、六方晶フェライト成分の原料と同様に、後述する熱処理工程により六方晶フェライトに含有される各種化合物等を用いることができる。本実施形態では、酸化ニオブを原料として用いる。
【0033】
準備した出発原料(ガラス成分の原料、六方晶フェライト成分の原料および添加成分の原料)を所定の組成比となるように秤量して混合し、混合物を得る。出発原料が均一に混合されていれば、混合する方法は特に制限されないが、本実施形態では、乾式ミキサーを用いて行う乾式混合が挙げられる。
【0034】
(溶融工程S10)
溶融工程S10では、得られる混合物を溶融して溶湯(溶融物)を得る。溶融温度は1250〜1500℃であることが好ましく、1300〜1500℃であることがより好ましく、1350〜1450℃であることがさらに好ましい。溶融時には、溶湯を混合しながら撹拌してもよい。溶融時間は、ガラス成分と、六方晶フェライト成分と、添加成分と、が均一に溶融されていれば、短い方が好ましい。
【0035】
(アトマイズ工程S20)
アトマイズ工程S20では、溶融工程S10において得られた溶湯を、ガスアトマイズ法を用いて急冷し、微粉状の非晶質体を形成する。この非晶質体は、ガラス成分と六方晶フェライト成分と添加成分とから構成される。本実施形態では、図2に示すアトマイズ装置を用いてアトマイズ工程S20を行う。
【0036】
該アトマイズ装置は、チャンバ10と、るつぼ11と、溶湯供給部12と、アトマイズガス噴射部13と、冷却部材20と、を備えている。るつぼ11は、溶融工程S10において得られる溶湯50を保持している。溶湯供給部12は、るつぼ11に連通しているノズルを通じて、チャンバ10内に溶湯50を供給する。溶湯供給部12の下部に配置されるアトマイズガス噴射部13は、溶湯供給部12から供給される溶湯50にアトマイズガスを噴出して、溶湯50を微粉状とする。微粉は、アトマイズガスにより図2に示す矢印の方向に加速され、一部の微粉(たとえば、比較的に小さな径を有する微粉)は冷却部材に衝突することなく冷却され非晶質体となり、それ以外の微粉は溶融状態で冷却部材20に衝突し塑性変形して冷却され非晶質体となる。微粉状の非晶質体はチャンバ10の下部からサイクロン15に集められブロワーで吸引されて回収される。
【0037】
溶湯供給部12は、溶湯供給部12から線状に流出される溶湯50が冷却部材20の壁面で囲まれた空間(冷却部材20の内部)を通過するように配置されている。また、溶湯供給部12から供給される溶湯量は、所望の特性に応じて決定すればよい。
【0038】
アトマイズガス噴射部13は、噴射されたアトマイズガスが溶湯50を微粉化し、微粉化された溶湯50が冷却部材20に衝突するように、噴射角度が調整されていることが好ましい。また、アトマイズガスとして用いるガスの種類は、ガスアトマイズ法において通常用いられるガスであれば特に制限されず、たとえば、空気、アルゴン等の不活性ガス等が例示される。また、アトマイズガスの流量および圧力は、溶湯量、微粉の形状、微粉の粒子径等に応じて決定すればよいが、本実施形態では、流量は、1.5〜10Nm/分であることが好ましく、圧力は0.2〜1.0MPaであることが好ましい。
【0039】
冷却部材は、アトマイズガス噴射部13の下方に、該噴射部からアトマイズガスが溶湯50に噴射されて生成した微粉を取り囲むように設置され、該微粉の少なくとも一部が冷却部材に衝突し、微粉に塑性変形が生じるように構成されていれば、その構造、寸法は制限されない。本実施形態では、冷却部材20は、筒状部材であり、アトマイズガスにより加速された微粉を筒状部材の内部の壁面に衝突させるために、生成した微粉を内部の壁面が取り囲むように配置されている。したがって、本実施形態では、冷却部材20は、筒状部材の両端の開口部のうち一方をアトマイズガス噴射部に向けて設置することが好ましい。
【0040】
筒状部材を冷却部材として用いることで、アトマイズガスにより加速された微粉のほぼ全てが冷却部材20に衝突するため、溶融状態にある微粉が塑性変形する量を増やすことができる。したがって、比較的に大きな径を有する微粉が扁平状となり、冷却部材との熱交換を効率的に進めることができる。筒状部材としては、たとえば、図3(a)に示すように、断面形状が円形である円筒状の部材、図3(b)に示すように、断面形状が、六角形等の多角形である多角形筒形状の部材等が例示される。なお、筒状部材には、スリットのような隙間が設けることができるが、微粉が冷却部材に衝突する確率を高めるためには、隙間は設けない方が好ましい。
【0041】
特に、本実施形態では、筒状部材として、図2に示すように、両端が開放された円筒管を用いることが好ましい。筒状部材としての円筒管は、側面に角部を有していないため、微粉が角部に付着することを抑制することができる。その結果、微粉の回収率を高めることができる。円筒管の寸法は、たとえば、長さが300mm、内径がφ60程度である。
【0042】
冷却部材20の材質としては、微粉との熱交換を十分に行える程度の材質であれば特に制限されない。本実施形態では、熱伝導率が10W/mK以上400W/mK以下の範囲にある材質を用いる。具体的には、SUS304、銅等が例示される。また、冷却部材20において、微粉が衝突する部分を平滑とすることが好ましい。微粉の付着を抑制することができるからである。
【0043】
図2において、冷却部材20は両端が開放された円筒管形状を有しており、一方の端部は、溶湯供給部12およびアトマイズガス噴射部13側に開放されており、円筒管の外周方向に突出しているフランジ部を有している。他方の端部は、チャンバ10の下部側に開放されている。また、冷却部材20は、溶湯供給部12およびアトマイズガス噴射部13の下方に配置され、これらに近接している。また、冷却部材20のフランジ部とチャンバの蓋部との間には隙間が設けられており、ガスの流路を形成している。冷却部材20が微粉を取り囲むように配置されることにより、ガスの流路が制限され、生成した微粉の流路も含めて流路を制御できるため、微粉の飛散の防止およびアトマイズ装置内での気流の安定も図ることができる。なお、後述するように、溶湯にアトマイズガスが噴射されて形成される微粉が冷却部材20に衝突する確率を増やすため、冷却部材20はアトマイズガスの噴射方向の延長線より上部に上端が位置するよう設けることが好ましい。
【0044】
アトマイズ工程S20では、溶湯供給部12から溶湯50が線状に流出されると、冷却部材20の内部を通過する。また、アトマイズガス噴射部13から噴射されるアトマイズガスも冷却部材20の内部に向かって(図2に示す矢印の方向に)噴射される。したがって、冷却部材20の近傍において、溶湯50が微粉化されることになる。このとき、微粉はその表面張力によりほぼ球状となっている。また、この冷却部材20は、微粉の少なくとも一部を取り囲むように配置されているため、冷却部材20の近傍では、多くの微粉は球状で溶融状態を保っており、凝固していない。
【0045】
また、アトマイズガスは、冷却部材20の内部に向かって噴射されているため、微粉はアトマイズガスの噴射方向(図2に示す矢印の方向)に加速され、その延長線上にある冷却部材20に衝突する。このとき、比較的に小さな径を有する微粉は冷却部材20と衝突する前に冷却され、非晶質体となるが、多くの微粉は溶融状態を保ったままで冷却部材20に衝突し、衝突時に容易に変形する。その結果、微粉の形状が球状から扁平状になり、冷却部材20との接触面積が大きくなることで、微粉が有する熱が冷却部材20に効率よく交換される。すなわち、冷却部材20は微粉を塑性変形させると共に、微粉を冷却する。
【0046】
また、冷却部材20の大きさは、微粉の大きさに比べて十分に大きいため、速やかに熱交換が行われ、微粉は急冷される。その結果、微粉は扁平状を保った状態で凝固して非晶質体となり、冷却部材20の他方の端部を通過してチャンバ10中を落下しチャンバ10の下部から吸引された後、サイクロン15で回収される。
【0047】
したがって、比較的に大きな径を有する微粉の形状を扁平状とすることにより、溶湯50の微粉の冷却速度を速くして凝固させ、非晶質体とすることができる。その結果、アトマイズガスにより微粉化された溶湯の冷却速度を速くすることができる。
【0048】
また、本実施形態では、冷却部材20を強制冷却するための冷却機構として、冷却部材20の外周部を覆うようにジャケット21が配置されており、冷却された流体がジャケット21の内部を循環している。該流体が、微粉との熱交換により冷却部材20に加えられた熱を奪い、冷却部材20を一定の温度に保つことにより、微粉と冷却部材20との熱交換をより効率的に行うことができる。
【0049】
また、本実施形態では、冷却部材20は、該冷却部材を振動させる振動機構としてのピストンバイブレーター22を有している。微粉が、溶融状態で冷却部材20の内壁に衝突すると、場合によっては、内壁に付着することがある。微粉が内壁に付着すると、微粉の回収率が低下する傾向にあることに加え、微粉と冷却部材20との熱交換が効率的に進まない可能性がある。そこで、ピストンバイブレーター22により冷却部材20を振動させることで、微粉の付着を解消して、微粉の回収率を高めることができる。ピストンバイブレーター22の取り付け位置としては特に制限されないが、冷却部材20の下部に取り付けることが好ましい。なお、ピストンバイブレーター22による振動は冷却部材20周辺に気流をほとんど生じさせないため、ガスの流れを阻害しない。
【0050】
回収した非晶質体の微粉は粉砕してもよい。粉砕方法としては、特に制限されず、所望の粒子径に応じて、公知の方法を採用することができる。たとえば、ボールミルによる粉砕が例示される。また、非晶質体の微粉を篩い分けして、微粉に含まれる粗大粒子を除去することが好ましい。微粉の粒子径を所定の範囲内とすることにより、均一な磁気特性を有する六方晶フェライト粉体が得られやすい。
【0051】
(熱処理工程S30)
熱処理工程S30では、アトマイズ工程S20において得られる非晶質体の微粉に熱処理を行う。この熱処理により、非晶質体の微粉において、六方晶フェライト粒子を析出させ六方晶フェライト粉体の前駆体を得る。このとき、非晶質体の微粉を静置して熱処理を行ってもよいし、転動させながら熱処理を行ってもよい。
【0052】
熱処理の温度は、非晶質体の微粉中に六方晶フェライト粒子が析出する温度であれば特に制限されない。本実施形態では、熱処理温度は、450℃以上750℃以下の範囲内であることが好ましく、500℃以上750℃以下の範囲内であることがより好ましい。熱処理は単一の処理温度で行う、いわゆる一段階処理でもよいし、異なる処理温度で数段階に分けて行う、いわゆる多段階処理であってもよい。熱処理の時間は、30分以上であることが好ましく、1時間以上であることがより好ましい。
【0053】
(分離工程S40)
分離工程S40では、熱処理工程S30において析出した六方晶フェライト粒子を含む前駆体から、非晶質成分を分離、除去して六方晶フェライト粉体を得る。非晶質成分を分離する方法としては化学的な手法が好ましい。本実施形態では、酸を用いて非晶質成分を溶解し、分離除去することが好ましい。たとえば、10質量%程度に希釈された希酢酸を用いることができる。また、処理温度は50℃以上で行うことが好ましい。非晶質成分を除去するために、酢酸を煮沸させてもよいし、また非晶質成分を均一に除去するために撹拌してもよい。この時の処理液のpHは4.0以下の酸性とすることが好ましい。このようにして、非晶質成分を分離し、六方晶フェライト粉体を得ることができる。
【0054】
その後、得られる六方晶フェライト粉体を、必要に応じて、洗浄・乾燥させる。洗浄および乾燥は公知の方法により行えばよい。
【0055】
以上より、本実施形態に係る方法により得られる六方晶フェライト粉体は、粗大粒子が少なく粒度分布が狭いことに加え、保磁力が高い。したがって、高密度の磁気記録用の磁性粉として好適である。
【0056】
(3.本実施形態の効果)
本実施形態に係る方法によれば、溶湯がアトマイズガスの噴射により微粉形状となった直後に、比較的に大きな径を有する微粉が溶融状態で冷却部材に衝突する。そのため、衝突の衝撃により、該微粉は球状から扁平状に塑性変形させられることに加え、溶融状態の微粉と冷却部材との温度差により、微粉が有する熱が冷却部材と熱交換されて急冷される。その結果、扁平状の形状のままで凝固した非晶質体の微粉が得られる。特に、微粉の形状が扁平状である場合には、比較的に大きな径を有する微粉であっても、微粉の内部まで迅速に冷却される。そのため、比較的に小さな径を有する微粉だけでなく、比較的に大きな径を有する微粉についても、冷却速度を高めることができる。
【0057】
したがって、該微粉の冷却後に得られる非晶質体を熱処理した前駆体からガラス成分を分離することにより、粒子体積あたりの保磁力が高い六方晶フェライト粉体が歩留まり良く得られる。特に、六方晶フェライト粉体がバリウムフェライト粉体である場合には、磁気特性が冷却速度に影響されやすく、冷却速度が遅い場合に良好な磁気特性が得られにくいため、本実施形態に係る方法は好適である。
【0058】
また、冷却部材が筒状である場合、アトマイズガスにより微粉化された溶融物の微粉のほとんどが冷却部材に衝突し、塑性変形して冷却される。さらに、冷却部材の壁面に囲まれた空間において、溶融物が微粉化されるため、チャンバ内で発生する気流の乱れには影響されない。その結果、粗大粒子が少なく粒度分布が良好な微粉を得ることができ、磁気特性が均一な六方晶フェライト粉体を得ることができる。
【0059】
また、冷却部材に冷却水を循環させるジャケットが備えられていることにより、微粉との熱交換をより効率的に行うことができるため、微粉の冷却速度が速くなり、上記の効果をより高めることができる。
【0060】
また、冷却部材にピストンバイブレーターが備えられていることにより、冷却部材の内壁への微粉の付着を抑制できるため、微粉の回収率を高めることができる。その結果、六方晶フェライト粉体の生産効率を向上させることができる。
【0061】
本実施形態に係るアトマイズ装置は、上述した冷却部材を有しているため、アトマイズ粉の冷却速度を速くすることができる。
【0062】
(4.変形例)
上記の実施形態では、冷却部材として両端が開放された円筒状の部材を用いたが、たとえば、図4(a)〜(c)に示す断面形状を有するように、複数の部材を用いて、溶融物が線状に流出されるチャンバ内の空間が囲まれるように配置して冷却部材を構成してもよい。このように構成された冷却部材においては、部材と部材との間に隙間が形成される。したがって、筒状の冷却部材を用いる場合に比べて、部材に衝突しない微粉が多くなる傾向にある。
【0063】
また、円筒管の下方に向かって断面形状が大きくなる構造であってもよい。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
【実施例】
【0065】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
【0066】
(実施例1)
六方晶フェライト成分の原料として、酸化鉄(テツゲン製HRT)5551g、炭酸バリウム(SOLVAY製/工業用)8186gを準備し、ガラス成分の原料として、ホウ酸(Borax製/工業用)3713gを準備し、添加成分の原料として、酸化ニオブ(高純度化学研究所製/試薬)90.99gを準備した。準備した出発原料をそれぞれ秤量し、均一になるようにヘンシェルミキサーで混合した。得られた混合物を白金製るつぼに投入し、1400℃で60分間保持することで、混合物を完全に溶解させ、溶湯(溶融物)を得た。
【0067】
次に、アトマイズ装置内において、溶湯供給部のノズルの下方に位置するアトマイズガス噴射部の下部から28mmの下方位置に、円筒管状の冷却部材を設置した。この冷却部材の寸法は、長さが300mm、内径が59.5mmであり、その材質はSUS304(熱伝導率:16.7W/mK)であった。また、冷却部材の上端から長さ方向に150mmの位置まで冷却部材の外周部を覆うジャケットを設け、冷却部材の下端から長さ方向に19mmの位置にピストンバイブレーター(エクセン株式会社製EPV18)を設置した。
【0068】
得られた溶湯をアトマイズ装置のるつぼに投入し、溶湯供給部のノズルから供給すると共に、アトマイズガスとしての常温空気を流量が3.7Nm/分、圧力が0.4MPaの条件で溶湯に噴射しアトマイズを行った。
【0069】
アトマイズ時には、冷却部材のジャケット内に水60%、エタノール40%の割合で混合し、−20℃に冷却した不凍液を循環させた。また、冷却部材をピストンバイブレーターにより振動させた。
【0070】
アトマイズにより、微粉化した溶湯は、少なくとも一部が冷却部材に衝突して扁平状に塑性変形し、かつ冷却部材との熱交換により急冷され、非晶質体の微粉となり、チャンバの下部からサイクロンに集められブロワーで吸引されて回収された。得られた非晶質体のSEM写真を図5(a)に示す。
【0071】
回収された非晶質体の微粉を篩い分けした。得られた粒度分布を表1に示す。また、目開きが250μmであるメッシュを用いて篩い分けした際に、メッシュ上に残った粒子を粗大粒子として除去し、メッシュを通過した微粉を以降の工程では用いた。
【0072】
得られた非晶質体の微粉を、5℃/分の昇温速度で670℃まで昇温し、670℃で5時間保持することにより熱処理を行い、非晶質体の微粉中に六方晶フェライトを生成させた前駆体を得た。
【0073】
六方晶フェライトが生成した前駆体を60℃に加熱した10質量%酢酸に60分浸漬することによりガラス成分を除去し、純水を用いて粉体の表面に付着した酢酸を除去し、六方晶フェライト粉体を得た。さらに、この六方晶フェライト粉体を、1.0mol/Lの苛性ソーダで洗浄し、濾液の導電率が0.8mS/m以下になるまで洗浄を繰返した。その後、六方晶フェライト粉体を純水で洗浄し、大気中110℃で4時間乾燥した。乾燥後の六方晶フェライト粉体について、以下に示す保磁力Hcの測定および粒子体積の算出を行った。
【0074】
(保磁力Hc)
六方晶フェライト粉体をφ6mmのプラスチック製容器に詰め、振動試料型磁力計(東英工業株式会社製VSM−P7−15)を使用して、外部磁場を795.8kA/m(10kOe)とした条件で、保磁力Hc(kA/m)を測定した。結果を表2に示す。
【0075】
(粒子体積)
六方晶フェライト粉体についてX線回折測定を行い、六方晶フェライトの(220)の回折面におけるピークの半値幅から算出される結晶子径を板面方向の結晶子径とし、六方晶フェライトの(006)の回折面におけるピークの半値幅から算出される結晶子径を板厚方向の結晶子径とした。これらの結晶子径の値を用いて、結晶子径体積を下記の式に基づき算出した。
結晶子径体積=(板厚方向の結晶子径)×π×(板面方向の結晶子径/2)
本実施例では、この結晶子径体積を「粒子体積」とした。結果を表2に示す。また、粒子体積あたりの保磁力Hcを図6に示す。
【0076】
(比較例1)
アトマイズ装置内に冷却部材を設けずに、溶湯をアトマイズガスで微粉化して冷却した以外は実施例1と同様にして、六方晶フェライト粉体を得た。得られた六方晶フェライトの保磁力および粒子体積を表2に示す。また、粒子体積と保磁力Hcとの関係を図6に示す。また、得られた非晶質体のSEM写真を図5(b)に示す。
【0077】
(比較例2)
冷却部材として、回転するローラをアトマイズ装置のチャンバ下部に設置して、溶湯をアトマイズガスで微粉化して冷却した以外は実施例1と同様にして、六方晶フェライト粉体を得た。得られた非晶質体の微粉の粒度分布を表1に示し、得られた六方晶フェライト粉体の保磁力および粒子体積を表2に示す。また、粒子体積あたりの保磁力Hcを図6に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
表1より、比較例2の試料の非晶質体の粒度分布が広く、粗大粒子が多いことが確認できた。これは、冷却部材が気流の流れを遮る場所に設けられたことにより、アトマイズ装置のチャンバ内の気流が乱れた結果、粒度分布が広くなったと考えられる。
【0081】
図5(a)より、実施例1において得られた非晶質体は、そのほとんどが扁平状となっていることが確認できた。したがって、実施例1では、比較的に大きな径を有する微粉の冷却速度は十分に速かったと考えられる。その結果、表2および図6から明らかなように、実施例1の試料は、粒子体積あたりの保磁力が高い粉体が歩留まりよく得られており、高密度の磁気記録用の磁性粉として好適であり、かつその生産効率が高いことが確認できた。
【0082】
一方、図5(b)より、比較例1において得られた非晶質体は、そのほとんどが球状であることが確認できた。したがって、比較例1では、比較的に大きな径を有する微粉の冷却速度が遅かったと考えられる。その結果、表2および図6から明らかなように、実施例1の試料は、粒子体積あたりの保磁力が高い粉体の歩留まりが悪いことが確認できた。
【符号の説明】
【0083】
1…アトマイズ装置
10…チャンバ
11…るつぼ
12…溶湯供給部
13…アトマイズガス噴射部
15…サイクロン
20…冷却部材
21…冷却ジャケット
22…ピストンバイブレーター
50…溶湯
図1
図2
図3
図4
図5
図6