(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186025
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】二液分離型容器詰調味料
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20170814BHJP
A23L 27/10 20160101ALI20170814BHJP
【FI】
A23L27/00 D
A23L27/10 F
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-15575(P2016-15575)
(22)【出願日】2016年1月29日
(65)【公開番号】特開2017-131178(P2017-131178A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2016年6月3日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年1月26日http://www.kikkoman.co.jp/corporate/news/16009.htmlで公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年1月20日〜21日さいたまスーパーアリーナにおいて開催された株式会社日本アクセス春季フードコンペンション2016で発表
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004477
【氏名又は名称】キッコーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149032
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 敏明
(72)【発明者】
【氏名】谷口 淳也
(72)【発明者】
【氏名】武石 節子
(72)【発明者】
【氏名】井ノ本 也寸志
【審査官】
小倉 梢
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−144082(JP,A)
【文献】
特開昭56−064763(JP,A)
【文献】
特開2010−187555(JP,A)
【文献】
特開平06−113782(JP,A)
【文献】
特開昭53−094049(JP,A)
【文献】
特開2015−112095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 27/00 − 27/60
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
WPIDS/WPIX(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
7メッシュの篩を通過し、かつ、50メッシュの篩を通過しないにんにく、増粘剤及び液性調味料成分を含有し、かつ、醤油の含有量が0〜10質量%であるにんにく含有調味料と、
醤油を含有し、かつ、にんにくの含有量が0〜10質量%である肉用調味料と
を分離して含む、二液分離型容器詰調味料であって、
前記にんにく含有調味料中のにんにくの量及び前記肉用調味料の量の質量比(にんにく含有調味料中のにんにくの量:肉用調味料の量)が1:15〜75である、前記二液分離型容器詰調味料。
【請求項2】
前記肉用調味料は、醤油の含有量が15〜80質量%である肉用調味料である、請求項1に記載の二液分離型容器詰調味料。
【請求項3】
前記にんにく含有調味料は、にんにくの含有量が5〜50質量%であるにんにく含有調味料である、請求項1又は2に記載の二液分離型容器詰調味料。
【請求項4】
前記にんにく含有調味料は、食塩の含有量が0〜10質量%であり、及び/又は、pHが3.0〜5.0である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の二液分離型容器詰調味料。
【請求項5】
前記二液分離型容器詰調味料は、二液分離型ディスペンパック(登録商標)詰調味料である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の二液分離型容器詰調味料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、にんにく含有調味料と肉用調味料とを分離して含む二液分離型容器詰調味料に関する。
【背景技術】
【0002】
焼肉用のたれなどとして用いられる肉用調味料は、醤油、糖類、果肉、果汁、ごま油、みりん、にんにく、ごま、香辛料、アルコールなどの複数種類の原材料を用いて調製され、通常、これらの原材料が混ぜ合わさった状態で一つの包装容器内に保存される。
【0003】
近年では、単身者や2名程度の少数人からなる少数世帯の数が急増している。少数世帯では、使用頻度によっては、肉用調味料を開封後に長期にわたって保管する場合がある。このような場合、肉用調味料は、その風味、外観及び食感を損なう傾向にあり、使用した肉料理の美味しさを著しく劣化せしめることがある。
【0004】
そこで、調味料の少量を包装し、使用の都度開封することによって、風味等を損なうことなく利用できる容器詰調味料が知られている。例えば、上ぶたと容器とからなり、上ぶたに切れ目を有する突起や溝を形成し、この突起や溝を軸に容器を二つに折ることにより中身が搾り出せるディスペンパック(登録商標)が知られている(特許文献1を参照)。
【0005】
また、ディスペンパックを改良したものとして、上ぶたと二つ以上に分離して形成された容器とからなり、各容器に2種類の調味料を分離して含むことができ、かつ、折り曲げることにより各容器に含まれる調味料がそれぞれ搾り出される二液分離型容器詰調味料が知られている(特許文献2を参照)。
【0006】
さらに、特許文献3〜6には、2種以上の調味料をそれぞれ個別の容器に分離して含む容器詰調味料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5613555号公報
【特許文献2】特開2010−187555号公報
【特許文献3】特開2015−112095号公報
【特許文献4】特開2004−129599号公報
【特許文献5】特開平06−113782号公報
【特許文献6】特開昭57−189661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らが調べたところによれば、肉用調味料は、開封前であっても、保管期間が長くなると風味等が損なわれることがわかっている。しかし、特許文献1〜6には、開封前の肉用調味料について、どのようにすれば調味料全体としての風味等の変化を抑えることができるのかということについて記載がない。
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、肉料理に使用でき、かつ、開封前の風味、外観及び食感が損なわれる程度が小さい調味料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を積み重ねた結果、開封前の肉用調味料の風味等が損なわれる理由としては種々考えられるところ、肉用調味料は複数の原材料を使用しており、それらが混ざり合った状態で保たれることにより、調味料全体としての風味等に変化が生じるのではないかと考えた。そこで、肉用調味料に使用する原材料について種々検討したところ、特ににんにくと醤油とが混ざった状態で保たれると、これらを含む調味料全体の風味等が損なわれることを見出すに至った。
【0011】
そこで、本発明者らは、にんにくを含有するにんにく含有調味料と醤油を含有する肉用調味料とを分離して含む二液分離型ディスペンパックを利用することを検討した。しかし、ディスペンパックを利用する場合は、ディスペンパックの目開きの関係上、単一包装容器内で保存する場合と同じ粒径のにんにくを使用することが難しいことを見出した。また、にんにくの粒径を小さくすると、風味が劣化する度合いが大きくなる傾向にある。
【0012】
そこで、ディスペンパックに使用できるにんにくを用い、さらに喫食時ににんにく含有調味料と肉用調味料とが混ざり合った結果として優れた風味を有する調味料とするために種々検討したところ、にんにく含有調味料中のにんにくの量と肉用調味料の量とを所定の質量比にすることにより、喫食時に風味に優れた調味料とすることに成功した。本発明はこのような成功例や知見に基づいて完成するに至った発明である。
【0013】
したがって、本発明によれば、7メッシュの篩を通過し、かつ、50メッシュの篩を通過しないにんにくを含有し、かつ、醤油の含有量が0〜10質量%であるにんにく含有調味料と、
醤油を含有し、かつ、にんにくの含有量が0〜10質量%である肉用調味料と
を分離して含む、二液分離型容器詰調味料であって、
前記にんにく含有調味料中のにんにくの量及び前記肉用調味料の量の質量比(にんにく含有調味料中のにんにくの量:肉用調味料の量)が1:15〜75である、前記二液分離型容器詰調味料が提供される。
【0014】
好ましくは、本発明の二液分離型容器詰調味料において、前記肉用調味料は、醤油の含有量が15〜80質量%である肉用調味料である。
好ましくは、本発明の二液分離型容器詰調味料において、前記にんにく含有調味料は、にんにくの含有量が5〜50質量%であるにんにく含有調味料である。
好ましくは、本発明の二液分離型容器詰調味料において、前記にんにく含有調味料は、食塩の含有量が0〜10質量%であり、及び/又は、pHが3.0〜5.0である。
好ましくは、本発明の二液分離型容器詰調味料は、二液分離型ディスペンパック詰調味料である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の二液分離型容器詰調味料によれば、原材料が混ぜ合わさっていることに起因する調味料の風味、外観及び食感の劣化を回避し、さらに喫食時に風味に優れた状態で肉料理に使用することができる。さらに本発明の二液分離型容器詰調味料によれば、簡便に香味野菜、特ににんにくの風味が際立ったたれとすることができ、焼肉などの肉料理を、香味野菜の風味を豊かにして、美味しく食することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明の二液分離型容器詰調味料(以下、本発明の調味料とよぶ。)は、にんにくを含有するにんにく含有調味料と、醤油を含有する肉用調味料とを分離して含む。すなわち、本発明の調味料は、相違するにんにく含有調味料と肉用調味料とを、接触させずに互いに分離した状態で保持して含むことを特徴とする。
【0017】
にんにく含有調味料は、にんにくを含有する液性又は半液性の調味料であれば特に限定されない。にんにくは、通常当業界で香味野菜の一種として知られているユリ科ネギ属植物であれば特に限定されず、例えば、学名が
Allium sativumであるものとして知られている。にんにくは、球根(鱗茎又は鱗片)を含むものであれば特に限定されず、これらに葉、茎、根などの他の部位を含むものであってもよい。
【0018】
にんにく含有調味料が含有するにんにくは所定の粒度を有する。にんにくの粒度が大きすぎたり、又は小さすぎたりすることによって、にんにく含有調味料と肉用調味料とを混ぜたときに、調味料全体の風味や食感(口内での異物感)が損なわれる傾向にあることから、にんにくの粒度は、7メッシュの篩を通過し、かつ、50メッシュの篩を通過しない程度の粒度であることが好ましく、12メッシュの篩を通過し、かつ、50メッシュの篩を通過しない程度の粒度であることがより好ましい。
【0019】
所定の粒度を有するにんにくを入手する方法は特に限定されず、例えば、にんにくの鱗片を細片化又は粉砕することによって製造することや市販の所定の粒度を有するにんにくを購入することなどが挙げられる。
【0020】
にんにく含有調味料におけるにんにくの含有量は特に限定されないが、例えば、にんにくの風味が感じられることや容器からの取り出しを容易にするために、にんにく含有調味料全体に対して2〜70質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。
【0021】
にんにく含有調味料は、にんにくに加えて、その他の液性調味料成分を含有する。その他の液性調味料成分としては、液性調味料に通常使用される成分であれば特に限定されないが、例えば、水、アルコール、醤油、味噌、甘味成分(砂糖、みりん、液糖、水飴など)、酸味成分(食酢、ゆず、レモンといった香酸柑橘など)、酒類成分、果肉(りんご果肉、もも果肉など)、果汁(りんご果汁など)、香辛料(唐辛子やこしょうなど)、野菜成分(大根、ニンジン、玉ネギなど)、種実類(ごまなど)、油類(ごま油など)、増粘剤(澱粉、加工でん粉、増粘多糖類など)、酵母エキス、化学調味料(グルタミン酸ソーダ、イノシン酸ソーダなど)、フレーバーなどが挙げられる。にんにく含有調味料は、その他の液性調味料成分の1種又は2種以上を含有する。
【0022】
ただし、にんにく含有調味料において、醤油は所定の含有量以下である。醤油とにんにくとが混ざり合った状態でおかれると、にんにくの風味が損なわれ、さらに調味料としての外観や食感が損なわれる傾向にあることから、にんにく含有調味料における醤油の含有量は0〜10質量%であることが好ましく、0〜5質量%であることがより好ましい。
【0023】
にんにく含有調味料を製造する方法は特に限定されず、通常知られているとおりの調味料を製造する方法を適用することができ、例えば、それぞれ加熱殺菌したにんにくとその他の液性調味料成分とを混ぜる工程などを含む製造方法が挙げられる。
【0024】
にんにく含有調味料の特性は特に限定されないが、例えば、調味料としての保存性やにんにくの風味を保つために、食塩の含有量は好ましくは0〜10質量%であり、pHは好ましくは3.0〜5.0、より好ましくは3.5〜4.2である。
【0025】
肉用調味料は、醤油を含有する肉料理に適した液性又は半液性の調味料であれば特に限定されない。肉用調味料は、醤油のみからなるものや醤油に加えて上記したその他の液性調味料成分の1種又は2種以上を含有するものが挙げられる。肉用調味料としては、例えば、通常の焼肉を食べるときに焼肉につけて食する焼肉用たれなどが挙げられる。
【0026】
肉用調味料は醤油を含有することから、肉用調味料ににんにくを含有させると、肉用調味料全体の風味が損なわれることから、肉用調味料中のにんにくの量は少ないことが好ましい。にんにくの風味を考慮すれば、肉用調味料におけるにんにくの含有量は好ましくは0〜10質量%であり、より好ましくは0〜5質量%である。
【0027】
肉用調味料が含有する醤油の含有量は特に限定されないが、例えば、醤油の風味が感じられることや適度な粘性を有するものとするために、肉用調味料全体に対して15〜80質量%が好ましく、35〜70質量%がより好ましい。醤油は当業界において通常知られているものであれば特に限定されないが、例えば、濃口醤油、淡口醤油、たまり醤油、再仕込醤油、白醤油などの液性醤油が挙げられる。
【0028】
肉用調味料を製造する方法は特に限定されず、通常知られているとおりの調味料を製造する方法を適用することができ、例えば、醤油、糖類、果汁、香辛料などとその他の調味料成分とを混ぜる工程などを含む製造方法が挙げられる。
【0029】
本発明の調味料は、にんにく含有調味料中のにんにくの量と肉用調味料の量とが一定の質量比にあることにより、喫食時ににんにく含有調味料と肉用調味料とが混ざり合った場合に優れた風味を有することが可能となることから、該質量比(にんにく含有調味料中のにんにくの量:肉用調味料の量)は好ましくは1:10〜110であり、より好ましくは1:15〜1:75であり、さらに好ましくは1:25〜1:65である。
【0030】
本発明の調味料において、にんにく含有調味料及び肉用調味料の合計質量については特に限定されないが、例えば、焼肉用たれとして一回で使い切ることができる10〜50gにすることが好ましく、20〜30gにすることがより好ましい。
【0031】
本発明の調味料は、相違するにんにく含有調味料と肉用調味料とを、接触させずに互いに分離した状態で保持するものであれば特に限定されず、例えば、にんにく含有調味料を含む容器と肉用調味料を含む容器とが物理的に切り離された独立した二形態のものやこれらの容器が共通の部材により連関して単一形態をなすものなどが挙げられる。にんにく含有調味料を含む容器及び肉用調味料を含む容器は、それぞれ1個又は2個以上であり得る。
【0032】
単一形態をなす調味料としては、2以上の容器が上ぶたにより連関して一形態となしている調味料が挙げられる。本発明の調味料は、調味料の排出や取り扱いの簡便性などの観点から、好ましくは単一形態をなす二液分離型容器詰調味料であり、より好ましくは二液分離型ディスペンパック詰調味料である。
【0033】
二液分離型ディスペンパック詰調味料は、にんにく含有調味料と肉用調味料とを、相互に液密的にパックに区画収納するものである。このようなパックとしては、市販のパックを利用することが可能であり、例えば、ディスペンパックジャパン社の小容量ポーションパックが挙げられる(特許第3140016号、特許第3990493号を参照)。
【0034】
二液分離型ディスペンパック詰調味料の具体的な一実施態様は、同一方面に開口部を有するにんにく含有調味料を含む第1の容器及び肉用調味料を含む第2の容器を厳密に区画してなるトレーと、該開口部をそれぞれ液密的に接着密封する上ふたからなり、上ふたの中央付近には第1の容器及び第2の容器の開口部上を横切る切断線を有するパックからなる二液分離型ディスペンパック詰調味料である。このような二液分離型ディスペンパック詰調味料について、パックを、上ふた外面に設けられた切断線に沿って、第1の容器及び第2の容器が接するように折曲げると、第1の容器及び第2の容器の開口部(上ふたの一部)が開裂し、それぞれの容器に含まれるにんにく含有調味料及び肉用調味料が排出可能となる。
【0035】
二液分離型ディスペンパック詰調味料は、長期保存しても風味の劣化及び色調の劣化(増色)を回避又は減じるために、外装であるフィルム状袋容器に収納し、窒素ガスを充填し、かつ、密封した、袋詰め二液分離型ディスペンパック詰調味料であることが好ましい。フィルム状袋容器は特に限定されず、例えば、素材は任意のものとすることができるが、にんにくの風味や肉用調味料の風味を維持するためには、通常の酸素不透過性の合成樹脂製のフィルムであることが好ましい。
【0036】
二液分離型ディスペンパック詰調味料に用いられる容器やフィルムの素材は特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂などの容器やフィルムを挙げることができる。フィルムは、単層又は二種以上を積層してなるフィルムやアルミニウムなどの金属箔、金属又は金属酸化物の蒸着フィルムなどを積層してなるフィルムであってもよい。
【0037】
本発明の調味料は、にんにく含有調味料と肉用調味料とを分離して含むことにより、使用時にはにんにく含有調味料と肉用調味料とが同時的又は異時的に受け皿等に排出される。排出されたにんにく含有調味料及び肉用調味料は、排出された状態、すなわち、混ざり合っていない状態で焼肉等の肉料理に使用することができるが、にんにく及び肉用調味料の風味を際立たせるために、これらを排出した後に箸等で混ぜることによりにんにく含有調味料と肉用調味料とが渾然一体となった状態で使用することが好ましい。
【0038】
本発明の調味料は、にんにく含有調味料と肉用調味料とを、相互に液密的にパックに区画収納するなどして分離して含むものであることにより、にんにくの風味を持続したままで使用できるものである。また、二液分離型ディスペンパック詰調味料とすることにより、ペーストやおろしにんにくを使用する場合よりもにんにくの風味を持続でき、さらに喫食時ににんにく含有調味料と肉用調味料とを簡便に混ぜることができるものである。
【0039】
本発明の調味料の処方例1〜3を以下に挙げるが、本発明の技術的範囲はこれらの処方例に限定されない。
【0043】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
【実施例】
【0044】
[1.にんにくの粒度別による風味評価]
様々な粒度の20質量%のにんにくとたれ(液性調味料成分)とを混合したにんにく含有調味料について評価した結果を下記表4に示す。
【0045】
【表4】
【0046】
表4に示すとおり、7−12メッシュ、12−20メッシュ及び20−50メッシュをそれぞれ篩過する粒度を有するにんにくとたれとを混合したにんにく含有調味料は風味が維持され、かつ、にんにくの食感が優れたものであった。7メッシュ以上ではたれ中のにんにくの大きさとして大きすぎるため、肉とからみにくい。また、50メッシュ未満ではにんにくの食感がなく、風味が感じにくいものであった。
【0047】
[2.にんにく含有調味料中の醤油含有量による風味評価]
種々の含有量の醤油と12−50メッシュの篩を通過する10質量%のにんにくとを混合したにんにく含有調味料について、密閉容器に24時間おいた後の風味及び50質量%の醤油を含む焼肉用たれと混合したときのにんにくの風味を評価した。結果を下記表5に示す。
【0048】
【表5】
【0049】
表5に示すとおり、にんにく含有調味料中の醤油含量が0〜10質量%であるにんにく含有調味料は風味が維持され、かつ、焼肉用たれと混ぜたときもにんにくの風味を感じさせるものであった。
【0050】
[3.にんにく含有調味料中のにんにく含有量と焼肉用たれとの比率による風味評価]
12−50メッシュの篩を通過する20質量%のにんにく及び0質量%の醤油を含有するにんにく含有調味料中のにんにくの量(A)と、にんにくを含有せず、かつ、50質量%の醤油を含む焼肉用たれ(B)とを、それぞれ個別に密閉容器に24時間おいた後、混合したときのにんにくの風味を評価した結果を下記表6に示す。
【0051】
【表6】
【0052】
表6に示すとおり、にんにく含有調味料中のにんにくの量と焼肉用たれとの質量比を1:15〜1:75とした場合に、混合時ににんにくの風味が優れており、嗜好性が適したものであった。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の二液分離型容器詰調味料は、肉料理に使用することに適しており、さらに二液分離型ディスペンパックとすることによって、多数世帯に加えて少数世帯の利用に適したものであることから、広く人々の健康と福祉に資することが可能であるものである。